古家付き土地はどう売却する?スムーズに売るためのコツについて

古家付き土地 売却

古家付き土地とは、文字通り「古い家が付いている土地」という意味です。建物の価値はないものと考え、土地のみの価格で売り出すため、築古物件でもそのまま売却できるメリットがあります。

しかし、価格や売却期間の面で不利になることもあるので、それらのデメリットもしっかり検討しなければいけません。

大切なのは、自分が物件の売却でなにを重視するのか明確にし、メリット・デメリットを把握したうえでどのような売り方が適しているか判断することです。

ただし、個人で物件の特性に合わせた売り方を決めるのはむずかしいため、専門家の意見も聞くとよいでしょう。

一括査定を使えば複数の不動産会社を手軽に比較できるので、様々な観点から適切なアドバイスをもらえます。価格相場を調べるのにも便利なので、ぜひ活用してみましょう。

>>【無料で価格がわかる!】不動産のオンライン一括査定はこちら

この記事のポイント

  • 古家付きで土地を売却するメリットは「現状のまま売れる」「解体費用の負担が不要」など。
  • デメリットは「価格が安くなりやすい」「売却期間が長引く可能性がある」こと。
  • なるべく高値でスムーズに売るには、複数の不動産会社を比較することが大切。

「古家付き土地」の状態で売却するメリットとデメリット

家は築年数が古いほど価値は下がり、一般的な木造住宅だとおおむね築20~25年程度で市場価値がなくなります。

そこで、建物部分には価格を付けず、土地部分の価格のみで売買する手法が生まれました。これが古家付き土地といわれるものです。

建物に価格が付かないのであれば、土地だけが欲しい人にも訴求が可能です。また、「築古でも建物ごと欲しい!」という層にとっては、お買い得な物件となります。

しかし、古家付き土地での売却は良いことばかりでもありません。築古物件の売却に効果的な方法ではありますが、デメリットも存在します。

まずは古家付き土地として売り出すメリットとデメリットを把握し、自分の状況に合わせて売り出し方を選びましょう。

古家付きで土地を売却するメリット

古家付き土地として売り出すメリットは、次の4つがあげられます。

  • 現状のまま売りに出せる
  • 解体費用や固定資産税アップを避けられる
  • 建物の「契約不適合責任」を免責にしやすい
  • 「3,000万円特別控除」の適用期間が長くなる【マイホームの場合】

一番のポイントは、現状のままスピーディーに売り出せる点です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

メリット1.現状のまま売りに出せる

建物に価格を付けないので、老朽化している物件でもそのまま売り出せるのが古家付き土地の特徴です。

通常、建物に劣化や損傷があると売却はむずかしくなるため、修繕などなんらかの対策が必要になります。

しかし、古家付き土地を買う人は建物が無価値であることも織り込み済みなので、劣化や損傷があってもマイナスポイントにはなりません。

売り主は工事の手配など面倒な手続きが不要となり、売るための金銭的なコストを軽減することができます。

メリット2.解体費用や固定資産税アップを避けられる

建物に価値がない場合、先に解体してから売り出す方法もあります。古家付きより更地のほうが、売却期間を短縮できる可能性があるためです。

しかし、解体するためには100万円以上の費用がかかるため、売主にとって大きな負担となります。

また、住宅用地は建物があることで固定資産税の軽減措置が適用されており、更地化することでその適用が解除されて税額が高くなります。

つまり、古家付き土地として売り出したほうが、更地化して売るより金銭面の負担を避けられるのです。

実際に古家付き・更地化のどちらが良いかは状況次第なので、まずはそれぞれの方法を比較することが大切です。更地化して売却する方法については、下記の関連記事も参考にしてください。

メリット3.建物の「契約不適合責任」を免責にしやすい

契約不適合責任とは、売却した物件が契約内容と合っていないとき、売主に課せられる責任の範囲を定めたものです。

「雨漏りがある」「事故物件なのにそのことを伝えられていなかった」など、契約上の条件に沿わない問題があった場合、代金減額や契約解除、損害賠償などを請求される恐れがあります。

ただし、契約時に売主・買主双方の同意があれば、契約不適合責任を免責することが可能です。

古家付き土地は建物の価値をゼロとして売り出すものですから、買主側も建物の契約不適合責任はそれほど重要視しません。交渉すれば、契約に建物の免責特約を盛り込むことは可能でしょう。

契約不適合責任については別の記事でも解説しているので、よろしければ参考にしてください。

メリット4.「3,000万円特別控除」の適用期間が長くなる【マイホームの場合】

マイホームを売却するとき、譲渡所得税の軽減措置として「3,000万円の特別控除」があります。

譲渡所得税は不動産の売却益に課されますが、特別控除を適用すれば最大3,000万円を売却益から差し引くことができます。具体的な計算式にすると、次の通りです。

譲渡所得税=(売却価額-取得費-譲渡費用-3,000万円)×税率

課税対象となる金額が減るため、大幅な節税になります。そして、この特別控除を適用させる要件のなかには、次のような規定があります。

特例の適用を受けるための要件
(1)自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(中略)
イ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

引用:国税庁「マイホームを売ったときの特例」

つまり、更地化すると特別控除の期限が1年になりますが、建物を残していれば3年間の猶予があるということです。

不動産の売却は、長引くと1年以上経つことも少なくありません。余裕をもって売却活動に取り組みたい場合は、更地化するより古家付き土地で売り出したほうが有利といえるでしょう。

古家付きで土地を売却するデメリット

古家付き土地は多くのメリットがある一方、次の3つがデメリットとしてあげられます。

  • 建物部分は無償で手放すことになる
  • 価格が安くなりやすい
  • 売却まで時間がかかる場合もある

売却による利益が減る点と、売りにくくなるかもしれない点がポイントです。

それぞれ詳しく解説していきます。

デメリット1.建物部分は無償で手放すことになる

古家付き土地で売る一番のデメリットは、建物部分を無償で手放すことです。思い出がある物件だと、いくら築古でも無償で手放すことに抵抗感のある人は多いでしょう。

また、一見価値のなさそうな建物でも「お金を出してでも買いたい」という人はいるかもしれません。少しでも価格が付く可能性を捨てることになるため、機会損失となるリスクもあります。

建物が本当に価値を失っているか見極めるためには、物件の状態に加えて市場の動向も考慮しなければいけません。しかし、こうした判断を個人でおこなうのは困難です。

まずは不動産会社の査定を利用して、専門家の観点から建物の価値を測ってもらいましょう。

また、不動産会社によって判断が異なる場合もあるので、なるべく多くの不動産会社に査定してもらうことが大切です。

デメリット2.価格が安くなりやすい

古家付き土地の売却は、見方を変えると建物の解体を買主へ委ねることになるため、負担分だけ値下げを求められるケースもあります。

単純な解体費用だけでなく、解体にかかる手続きや期間などの手間も考慮されるため、更地で売り出すより価格が低くなることも少なくありません。

解体費用を自分で用意できるのであれば、自分で更地にしてから売り出したほうがトータルの利益は多くなるでしょう。

デメリット3.売却まで時間がかかる場合もある

古家付き土地は買主にとっていくつかのデメリットがあるため、なかなか売れないケースもあります。

例えば、古家が残っていると土地の用途が制限されますし、解体する場合は費用がかかります。解体費用は住宅ローンを使えないため、自己資金で100万円以上の支出が必要です。

また、地中埋設物や土壌汚染などの調査も、建物があると難易度が上がります。土地のリスクを調べにくくなり、取引後になんらかの問題が発覚するかもしれません。

コストやリスクの面から需要が下がり、売却期間が伸びてしまう可能性があるでしょう。

古家付き土地の価格は3パターンにわけられる

古家付き土地の価格は、建物の状態や広さなどで価格の付け方が変わります。具体的には、次の3パターンにわけられます

  • 「土地の価格のみ」で売却するパターン
  • 土地価格から「解体費用」を差し引くパターン
  • 土地価格から「解体費用」と「道路相当分」を差し引くパターン

不動産会社に依頼すれば、どのパターンで売り出すのが適正なのかも含めて査定してもらえるので、まずは相談してみましょう。

1.「土地の価格のみ」で売却するパターン

ひとくちに古家といっても、その状態はこれまでの管理状況によってさまざまです。

築年数が20年を超えていても、適切な修繕などがおこなわれていれば問題なく居住できます。また、古民家のように歴史的な価値や趣がある物件もあるでしょう。

このような物件は解体せずにそのまま利用することも多いため、土地のみの価格で売り出す(解体の負担を考慮しない)方法が可能です。

2.土地価格から「解体費用」を差し引くパターン

建物の状態が悪く、解体が必須となるような物件の場合、解体費用を土地価格から差し引いて売るのが一般的です。

解体費用は建物の大きさや構造のほか、地域によっても変わります。あくまでおおまかな目安ですが、戸建ての解体費用目安は次の通りです。

戸建ての解体相場目安
構造 価格相場
木造 3万円~5万円/坪
鉄骨造 3万5,000円~6万円/坪
鉄筋コンクリート造 4万円~8万円/坪

一般的な戸建ては木造で30坪程度なので、おおむね90万~150万円程度の解体費用がかかるといえます。

また、解体にかかる金銭以外の負担も考慮すると、さらに数十万~数百万円を差し引かれる可能性があります。

3.土地価格から「解体費用」と「道路相当分」を差し引くパターン

土地の面積が広い場合、そのままでは一般的な住宅用の需要が見込めません。一般的な戸建の敷地面積が100~200㎡程度なので、これより広くても土地が無駄に余ってしまいます。

そのため、面積の広い土地を購入するのは大半が開発業者です。土地を区分けし、数戸の戸建てを建てて売り出します。

しかし、1つの土地を複数に区分けする場合、区分けした土地をすべて戸建ての敷地にするわけではありません。住居は道路と接している必要があるので、道路となる部分も作る必要があります。

道路にした分だけ売却できる土地面積が減ることになるので、買主である購入者からすると利益が減ることになります。

そのため、面積が広い土地を売る場合、解体費用だけでなく「道路となる部分の土地価格」も差し引かれることが多くなります。

古家付き土地をスムーズに売るコツ

古家付き土地として売り出しても、物件の状態やそのときの市場動向によっては、なかなか売却できない場合があります。

そのため、古家付き土地を売りやすくするコツとして、次のような対策をおこなってみましょう。

  • 複数の不動産会社を比較する
  • 地盤調査など土地に問題がないか調べておく
  • 瑕疵物件なら買取業者に相談する

これらのコツを押さえておけば、古家付き土地がスムーズに売れる可能性を上げることができます。

複数の不動産会社を比較する

不動産会社は、物件のタイプや立地によって得意・不得意があります。同じ物件でも不動産会社が違うだけで価格や売却期間は大きく変わるのです。

そのため、なるべく高値でスムーズに売却するには、複数の不動産会社を比較することが大切です。

しかし、いくつもの不動産会社を1社ずつ調べるのは手間がかかります。そこでおすすめなのが、複数の不動産会社に査定を申し込める「一括査定」です。

一括査定を使えば各社の査定額や売却条件を簡単に比べられるので、もっとも相性のよい業者を探せます。

例えば、下記のリンクから利用できる「イエウール」の一括査定なら、全国2,000社と提携しているため、どの地域の古家付き土地でも対応可能な業者が見つけられるでしょう。

地盤調査など土地に問題がないか調べておく

土地は、ひと目見ただけではわからないような問題を抱えているリスクがあります。そのようなリスクの有無を明確にしておけば、買主に安心して購入してもらえるでしょう。

土地のリスクを調べる方法としては、次のような調査があげられます。

  • 地盤調査(軟弱地盤か調べる)
  • 土壌汚染調査(土壌に有害物が残留していないか調べる)
  • 地中埋設物調査(地中にものが埋まっていないか調べる)

これらの調査を売主が済ませておくことで、需要を上げる効果が期待できます。

瑕疵物件なら買取業者に相談する

瑕疵物件とは、なんらかの欠点や欠陥を抱えた物件です。購入を著しくためらうような事情を抱え、一般の人にはほとんど売却できない物件を指します。

瑕疵物件の例としては、次のようなものがあげられます。

  • 土壌汚染や軟弱地盤など「物理的な問題を抱えた物件」
  • 自殺や火事などがあった「事故物件」
  • 建て替えや増改築が禁止された「再建築不可物件」
  • 相続問題などで「権利関係があいまいな物件」
  • 近隣にゴミ処理場などの「嫌悪施設がある物件」

こうした瑕疵物件は、一般的な不動産会社ではなく、訳あり物件専門の買取業者に相談したほうが早く売却できるでしょう。

買取業者は自社で直接物件を買い取り、問題を解消してから活用・再販します。訳あり物件専門であれば、上記のような問題を抱えていても短期間で買い取ってもらえます。

ただし、買い取ってから再販するまでのコストが差し引かれるので、相場より価格が低くなりやすい点には注意しましょう。

瑕疵物件の売却については、下記の関連記事でも詳しく解説しています。

古家付き土地を売るときの注意点

古家付き土地として売り出すときは、以下の点に注意が必要です。

  • 隣地との境界を確認しておく
  • 不用品は処分しておく
  • 免責事項を明確にしておく

見落としがあるとトラブルになるなど、スムーズな売却の妨げになるので、しっかり把握しておきましょう。

それぞれ詳しく解説していきます。

隣地との境界を確認しておく

古い土地だと、隣地との境界があいまいになっているケースが少なくありません。土地の境界があいまいだと、どこからどこまでが売却対象となるのか判断できなくなります。

登記上の境界と実際の使用状況が違っているケースや、登記に記載された登記自体が間違っているケースがあります。このような土地は、境界確定測量などで境界をはっきりさせることが必要です。

境界トラブルについては関連記事でも解説しているので、よろしければ参考にしてください。

不用品は処分しておく

建物を解体する必要がないといっても、不用品はあらかじめ処分してから売り出す必要があります。不用品が残っていると買主が処分しなくてはならないため、売却しにくくなります。

また、解体作業で出てくる瓦礫などは「産業廃棄物」に分類されますが、家庭ごみは「一般廃棄物」に分類されます。

解体業者の多くは産業廃棄物の運搬許可しかないため、不用品が残っていると解体作業そのものが遅れてしまうのです。

ただでさえ買主に負担がかかる古家付き土地で、不用品処分の費用や手間まで買主に押し付けてしまうと、ますます売りにくくなってしまうでしょう。

免責事項を明確にしておく

土地・建物ともに、売却するときは「契約不適合責任」が発生します。古家付き土地は、建物の契約不適合責任を免責しやすいのも先に解説したとおりです。

しかし、契約不適合責任の免責は「責任をすべて免除する」というような取り決めができません。具体的にどのような瑕疵(欠点や欠陥)があるか明確にし、1つ1つを免責事項として定める必要があります。

免責事項として明確になっていない瑕疵が発覚した場合、契約不適合責任を問われる恐れがあります。不動産会社と相談し、必要な調査をおこなったうえで免責事項を作成することが大切です。

まとめ

古家付き土地の売却は、メリット・デメリットの両方を把握し、自分の物件に合っているかを検討することが大切です。

物件によって適した売却方法は違うので、特性に合わせた売り方を考えるようにしましょう。

不動産会社とも相談しつつ、適切な方法で売り出せば、きっと高値でスムーズな売却が実現できます。

古家付き土地についてよくある質問

  • 古家付き土地とはなんですか?

    古家付き土地とは、建物に価格を付けず、土地の価格のみで取引する不動産の売り方です。

  • 古家付き土地として売り出すメリットはなんですか?

    築古や劣化が激しい物件でも、現状のまま売り出せることがメリットです。また、建物の契約不適合責任を免責しやすい点や、マイホーム売却で使える3,000万円特別控除の期限が長くなる点もメリットとしてあげらられます。

  • 古家付き土地として売り出すデメリットはなんですか?

    建物部分を無償で手放すことや、解体費用などの分だけ価格が安くなることがデメリットです。また、売却期間が長引く可能性もあります。

  • 古家付き土地の価格はどのように決まりますか?

    大きくわけて3パターンにわけられます。「土地価格」で売れるパターン、「土地価格から解体費用を差し引いた価格」で売れるパターン、「土地価格から解体費用と道路相当分を差し引いた価格」で売れるパターンの3つです。

  • 古家付き土地の状態で売るべきか相談できる不動産会社を知りたいです。

    一括査定サイトを利用し、複数の不動産会社を比較してみましょう。様々な観点からアドバイスをもらえるため、古家付き土地で売るべきか、あるいは更地化すべきかなど、詳しく教えてもらえます。→【オンラインで価格がすぐわかる!】イエウールの一括査定はこちら