いらない不動産の引き取り業者とは?特徴やおすすめ業者を紹介

いらない不動産 引き取り

近年、いらない不動産を有料で処分する「不動産引き取り業者」が増えています。

不動産を処分するときは売却してお金をもらうのが一般的ですが、引き取り業者の場合はその逆で、お金を支払ったうえで引き取ってもらいます。

田舎の空き家や山林、原野など、通常では売却がむずかしい不動産でも処分できるのが、不動産引き取り業者のメリットです。

この記事では、不動産引き取り業者のメリット・デメリットや、おすすめ引き取り業者を紹介しているので、不要な不動産を処分する際はぜひ参考にしてください。

ただし、どうせ処分するのであれば、可能な限り売却でお金を得たいのが一般的な心情です。他社で売れなった物件も、他の不動産業者なら売れる場合があるので、一括査定で売却可能な業者を探すこともおすすめします。

>>【最大6社をまとめて比較!】不動産の無料一括査定はこちら

この記事のポイント

  • 引き取り業者は、一般的な不動産業者では売れないような物件も対応してもらえる。
  • 引き取り料は40万~100万円程度が相場だが、物件の状況によって大きく変動する。
  • 引き取りサービス以外にも、不動産業者が物件を直接買い取る「買取」など、さまざまな処分方法がある。

目次

いらない不動産を引き取りする業者があるって本当?怪しくないのか?

不動産の処分方法としては、売却が一般的です。他には、贈与や寄付という方法もあります。しかし、これらはいずれも受け取る相手方がいなければ成立しません。

過疎地や山林など、利用価値のない不動産を欲しがる人は少なく、売却等ができないことケースが少なくありません。そこで近年増えているのが、お金を支払って業者に引き取ってもらう「不動産引き取りサービス」です。

一般的な不動産業者の業態とは異なりますが、引き取りサービスも宅地建物取引業にあたるため、宅建業免許が必要です。しっかり免許を受けており、実績も豊富にある業者であれば、怪しくはないでしょう。

いらない不動産を引き取っている業者の実態

引き取り業者は、有料で引き取った不動産を、再生・活用することで利益を得ます。建物を改修したり、太陽光発電用地として利用したりなど、具体的な方法はさまざまです。

個人では再生・活用がむずかしい不動産でも、引き取り業者なら専門知識と資金力、顧客ネットワークがあるため、収益を得ることが可能です。

引き取り時に受け取る料金は、最低限の維持・管理のために使われます。引き取り業者の収益源はあくまで物件の再生・活用がメインなので、支払いが困難なほど高額請求されるケースは少ないでしょう。

引き取り料は40万~100万円程度が相場

引き取り料は、おおむね40万~100万円程度が相場です。

例えば、引き取り業者の1つである株式会KLCの小林弘典代表取締役は、インタビューで「問題を抱えていない森林なら50万円から100万円程度」と答えています。

物件によってまちまちですが、一つの例として、長年、特に維持管理や近隣からの苦情等も無い状態で今に至っている山林であれば、おおよそ50万円から100万円くらいを所有者さんに払ってもらうことが多いですね。例えば敷地内に廃屋がある場合や、崖地がある場合等には更に高額なご提案となる場合もありますし、逆に立地等も面から価値があると判断した物件は、山林等でも買い取る(当社から売買代金を支払う)物件もありますが、いずれもその値段はまちまちです。

引用:相続土地国庫帰属制度解説サイト「いらない土地の引取業者がいるらしいので弁護士が根掘り葉掘り聞いてみた」

また、公式サイトに費用を明記している業者は、おおむね40万~50万円程度を提示しています。

株式会社EINZ(不動産有料引き取りSOS)
・1都3県(神奈川・埼玉・千葉):398,000円(税込)
・その他関東近県:498,000円(税込)
参照:不動産有料引き取りSOS
恵比寿商会株式会社
基本料金:38万5千円(税込)
参照:恵比寿商会株式会社

ただし、これらの金額はあくまで目安であり、必要な費用は物件によって大きく変わります。

再生・活用がむずかしい物件ほど、引き取り料も高額になっていくので、まずは見積もりをもらってから検討しましょう。

山林・原野・別荘地など幅広い物件が対象

引き取りサービスは、売却・活用が困難な物件であれば、幅広く対象になります。

具体的には、

  • 山林
  • 原野
  • 雑種地
  • 田舎すぎて買い手・借り手がいない空き家
  • 過疎化した別荘地やリゾートマンション

といった物件です。

こうした不動産をお金さえ払えば引き取ってもらえるのが、引き取り業者のメリットです。

ただし、農地については農地法による規制があるため、引き取ってもらえないケースが多くなります。

農地については、農業委員会に売買の斡旋をしてもらうか、農地専門の不動産業者に相談してみるのがよいでしょう。

引き取り業者に依頼するメリット・デメリット

ここからは、引き取り業者に不動産を引き取ってもらうメリット・デメリットを、より具体的に見ていきましょう。

引取り業者に依頼するメリット

メリットとしては、次の3つがあげられます。

  • 活用できない物件でも引き取ってもらえる
  • 所在地があいまいな物件でもOK
  • 立ち会い不要ですぐに処分できる

メリット1.活用できない物件でも引き取ってもらえる

先にも解説した通り、活用できない不動産でも引き取ってもらえるのが引き取りサービス最大のメリットです。

相続で取得した山林や、荒れ地になって近隣に迷惑をかけている土地、築年数の古い空き家など、普通の方法では処分できない物件を手放すことができます。

相続で子供に迷惑をかける心配もなくなりますし、維持費や固定資産税の負担が解消されれば、家計も改善されるでしょう。

メリット2.所在地があいまいな物件でもOK

相続した物件や、投資用として購入した物件だと、現地に一度も行ったことがないという所有者も少なくありません。

長年放置した結果、物件がどこにあるのか正確にわからないという人もいるでしょう。

しかし、引き取り業者なら、権利証など地番のわかる書類さえあれば、所在地を正確に調べられます。

見積もりまでは無料なので、所在地があいまいな物件でも気軽に相談することが可能です。

メリット3.立ち会い不要ですぐに処分できる

不動産を売るときは、原則として売主と買主が立ち会いをおこないます。不動産業者とのやり取りも、対面でおこなうことが一般的です。

しかし、引き取り業者の多くはオンラインや郵送での契約に対応しており、遠方にある物件でも立ち会い不要で引き取ってもらえます。

早ければ数日で引き取ってもらえるので、長年売れなかった不動産でもあっという間に手放すことが可能です。

引取り業者に依頼するメリット

デメリットとしては、次の3つがあります。

  • 費用が高額になる場合がある
  • 悪質な詐欺業者も存在する
  • 農地など対象外の不動産もある

デメリット1.費用が高額になる場合がある

引き取り業者のデメリットは、引き取り料が高額になるかもしれない点です。

先にも解説した通り、引き取り料の相場は40万~100万円程度ですが、物件の状況などで大きく変わります。

場合によっては、引き取り後にかかる一定期間分の固定資産税や管理費、残置物の撤去費用、樹木の伐採費用などが別途かかるかもしれません。

いずれにしろ事前に見積もりをもらえるので、最終的な費用を見たうえで依頼を検討しましょう。

デメリット2.悪質な詐欺業者も存在する

引き取り業者を名乗る企業のなかには、悪質な詐欺業者もいるので注意が必要です。

例えば、かつて「原野商法」の被害にあった人が、近年になって二次被害に合うケースが発生しています。

原野商法とは?
原野や山林など、価値がほとんどない不動産を「確実に値上がりする」と言って勧誘し、不当に買わせる行為。1970~1980年代にかけて被害が多発した。

引き取り業者を装って土地の処分に困っている人へ近づき、「引き取るための測量費や登記費用が必要」といって金銭を巻き上げたり、「もっと良い不動産がある」と別の土地を売りつけるといった手法です。

優良な引き取り業者であれば、事前の見積もり以外に金銭を請求することはありませんし、しつこい営業トークもしません。少しでも怪しいと思ったら、依頼はしないようにしましょう。

また、事前に業者の信用度を調べるのも大切です。宅地建物取引業免許の有無や、インターネットなどの口コミを調べて、安心できる業者か確認しましょう。

デメリット3.農地など対象外の不動産もある

引き取り業者も、すべての不動産を引き取れるわけではありません。不動産の種類によっては、有料でも引き取れない場合があります。

例えば、先述した農地は引き取れない不動産として代表的なものです。農地には厳しい規制がかけられており、農業委員会の許可が下りなければ譲渡ができません。

他にも、業者側の業務方針によって、引き取りを断られるケースがあります。取り扱える不動産の範囲は各社で異なるので、複数の業者を比較することも大切です。

おすすめ引き取り業者5選

ここからは、引き取りサービスをおこなっている業者を紹介していきます。

  • 株式会社KLC
  • 株式会社EINZ(不動産有料引き取りSOS)
  • 恵比寿商会株式会社
  • やまねこ不動産(所有権放棄サポートセンター)
  • トーア住販株式会社

いずれも宅建業免許を取得しており、不動産の専門知識を備えた企業です。まずは見積もりを依頼し、いくらで引き取ってもらえるかチェックしてみましょう。

株式会社KLC

株式会社KLC
画像引用:株式会社KLC

対応エリア 全国
営業時間 10時~17時
※土日祝は予約優先のため電話受付なし
設立 2018年
本社所在地 〒107-0052
東京都港区赤坂四丁目13番5号赤坂オフィスハイツ18号室
宅建業者免許 東京都知事 第102692号
TEL 050-5436-3610
公式サイト https://klc1809.com/

株式会社KLCは、全国の遊休地に対応する引き取り業者です。年間1,000件以上の相談実績があり、豊富な経験を生かして「いらない不動産」の根本的な解決を提案します。

創業者である小林弘典代表取締役は9歳から不動産業界を志し、総務省の「地方公共団体の経営・財務マネジメント強化事業」でアドバイザーを努めています。

条件の良い不動産であれば買取もおこなっているので、売却・引き取りの両方を検討したいときにもおすすめの引き取り業者です。

株式会社EINZ(不動産有料引き取りSOS)

EINZ_不動産有料引き取りSOS
画像引用:株式会社EINZ

対応エリア 東京・神奈川・千葉・埼玉・群馬・栃木・茨城・静岡・山梨・新潟・富山・長野
営業時間 平日10時~18時
設立 2012年
本社所在地 〒150-0043
東京都渋谷区道玄坂1-18-8道玄坂プラザ仁科屋ビル4F
宅建業者免許 東京都知事 第97527号
TEL 03-6455-0546
公式サイト https://不動産相続.jp//hikitori/

株式会社EINZは、関東を中心に事業を展開している引き取り業者です。「不動産有料引き取りSOS」というWebサイトで不動産引き取りを受け付けています。

費用が一律なのも特徴で、1都3県なら税込み398,000円、その他の関東近県なら税込み498,000円と、明朗会計での依頼ができます(残置物撤去や測量などで別途費用が必要な場合あり)。

売買やコンサルティングで培った知識をもとに、最短3日というスピーディーな不動産処分が可能な業者です。

恵比寿商会株式会社

恵比寿商会
画像引用:恵比寿商会株式会社

対応エリア 全国
営業時間 平日10時~17時
設立 2019年
本社所在地 〒150-0012
東京都渋谷区広尾5-19-1
宅建業者免許 東京都知事 第104169号
TEL 0120-794-450
公式サイト https://www.fudousan-iranai.com/

恵比寿商会株式会社は、東京都渋谷区に本社を置く全国対応の引き取り業者です。引き取りだけでなく、仲介や買取もおこなっており、物件に合わせて最適なプランを提案してくれます。

顧客第一の営業方針を取っており、しっかりとしたヒアリングを基本としながら、要望に応じてスピード対応も可能になっています。

司法書士や行政書士といった法律家とも連携し、いらない不動産を処分するために的確なサポートをしてくれる業者です。

やまねこ不動産(所有権放棄サポートセンター)

土地の所有権放棄サポートセンター
画像引用:やまねこ不動産

対応エリア 全国
営業時間 平日11時~18時/土日11時~17時
水曜日/祝日定休
設立 2020年
本社所在地 〒814-0005
福岡市早良区祖原16番15号エステート西新ビル106号
宅建業者免許 福岡県知事 19598号
TEL 0800-808-8341
公式サイト https://yamaneko-estate.com/support/

やまねこ不動産は福岡県にある会社で、「所有権放棄サポートセンター」というWebサイトで引き取りサービスをおこなっています。

会社としての設立は2020年ですが、Webサービスとして2017年より130件を超える不動産処分をサポートしてきた実績があります。

相続確定前の事前契約にも対応しており、早いうちから不動産の処分について相談することが可能です。

トーア住販株式会社

トーア住販株式会社
画像引用:トーア住販株式会社

対応エリア 全国
営業時間 10時~18時
水曜日定休
設立 1988年
本社所在地 〒188-0011
東京都西東京市田無町5丁目4番1号
宅建業者免許 東京都知事 第75359号
TEL 042-452-8631
公式サイト https://toairanaifudosan.web.fc2.com/

トーア住販株式会社は、創業30年以上の実績ある不動産業者です。引き取りサービスだけでなく、買取やリノベーションなど幅広く事業を展開しています。

長い実務経験からさまざまな物件に対応しており、農地や係争中物件、市街化調整区域などあらゆる物件の悩みに対応可能です。

物件の大小・種別を問わず、全国どこの不動産でも最善の選択をアドバイスしてもらえます。

引き取り業者以外でいらない不動産を処分する方法

ここまで引き取り業者について解説しましたが、なかには「不動産の処分にお金を払うのは抵抗がある」という人も多いでしょう。

そこで、ここからは引き取り業者以外で「いらない不動産」を処分する方法を、いくつか紹介していきます。

  • 不動産買取業者を利用する
  • 空き家バンクを使う
  • 自治体・法人に寄付する
  • 相続時に相続放棄をする
  • 「相続土地国庫帰属制度」で国に引き取ってもらう
  • インターネットの不動産マッチングサービスを使う

それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分と不動産にとってベストな方法を選びましょう。

不動産買取業者を利用する

不動産業者には、買主募集や契約手続きなどのサポートをおこなう「仲介」と、自社が買主となって物件を直接買い取る「買取」の2種類があります。

仲介の場合、買主をいちから募集することになるので、需要のない土地だといつまで経っても売れません。

一方、買取業者なら物件を直接買い取るので、査定は「自社で買い取り可能か」「買い取るならいくらまで出せるか」と、明確かつスピーディーな回答になります。

仲介で何年も売れなかった土地が、買取だと数日で現金化できたというケースも珍しくありません。

買取のデメリットは「仲介で売るより2~5割ほど安くなること」ですが、それでも現金化できる分、有料の引き取りサービスよりお得です。

買取業者を探すときは一括査定の利用がおすすめ

買取業者を探すにあたっては、オンラインの「一括査定サービス」を利用するのがおすすめです。

複数社にまとめて査定を依頼できるので、相場をチェックしたうえで一番条件の良い業者を見つけられます。

例えば、下記のリンクから利用できる「イエウール」なら、仲介と買取どちらの業者も提携しています。

最大6社をまとめて比較できるので、優良業者を簡単に見つけることが可能です。

提携業者2,000社超だから「売れる業者」が見つかる!/
《最大6社への査定依頼》
「イエウール」の無料一括査定はこちら!

空き家バンクを使う

空き家バンクとは、自治体や企業が空き家の流通を促進するための制度です。

公式サイトなどで空き家情報を登録し、空き家を買いたい人や借りたい人にアプローチできます。

放置空き家の活用や地方の活性化が目的の制度であり、自治体から買主・借主に補助金を出している場合もあるので、普通に売り出すより処分しやすいでしょう。

導入の有無や具体的な制度内容は自治体によるので、まずは役所などに問い合わせてみましょう。国土交通省のWebサイトでも情報を紹介しています。

国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」

自治体・法人に寄付する

不動産は、自治体や法人に寄付できる場合があります。受け取る側に了承してもらえることが前提ですが、土地を無償で手放すことが可能です。

自治体の場合、資材置き場や防災用具倉庫など、地域の公益に使える土地であれば引き受けてもらえます。まずは役所に相談し、審査を受けるための手続きを聞いてみましょう。

法人の場合、公に寄付を募集している場合があり、例えば次の法人があげられます。

いずれにしろ、寄付を受けてもらえるかどうかは、相手側の判断によります。活用の困難な土地だと、断られる可能性が高いことは覚えておきましょう。

譲渡所得税が課せられるケースもあるので注意

寄付をおこなうにあたっては、相手によって譲渡所得税がかかる恐れがあるので注意しましょう。

譲渡所得税とは?
不動産を売却した際に得た利益(譲渡所得)に対して課せられる税金。

税制上、寄付は「土地を時価で売却し、その代金を寄付した」とみなされます。つまり、取得時より市場価格が値上がりしているときに寄付すると、その差額が利益とみなされ、課税されるのです。

ただし、自治体もしくは一部の公益法人に対しての寄付は非課税となります。詳しくは、税務署や税理士に確認してみましょう。

参照:国税庁「公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例のあらまし」

隣地所有者に贈与する

一般的には売却がむずかしい土地でも、隣地の所有者なら欲しいと思っているかもしれません。「無料で譲りたい」ということで、引き取ってもらえる可能性があります。

隣地が面積の低い狭小地であったり、歪な形をした変形地などの場合、隣り合った土地を合わせることで優良な土地に変わり、価値が上がるかもしれません。

また、庭やガレージ、家の増築などで隣地を欲しがる人は多く、場合によっては買い取ってもらえる場合もあります。

普通に買主を募集するより、隣地の所有者に話をもちかけたほうが、スピーディーに土地を処分できるかもしれないのです。

相手側に贈与税が発生するので注意

不動産を無償で贈与する場合、相手方(受贈者)に贈与税がかかるので注意しましょう。

受贈者は、1年間に受け取った贈与額が110万円を超えると、贈与税を支払う義務が発生します。

つまり、贈与する土地の評価額が110万円以上であるか、他からも贈与を受けて合計110万円を超えていた場合、贈与税が発生するのです。

個人間で贈与する場合は、相手方が贈与税についてしっかり把握しているか確認することが、トラブルを防ぐコツになります。

「相続土地国庫帰属制度」で国に引き取ってもらう

国が不要な土地を引き取る制度として、2023年4月27日から「相続土地国庫帰属制度」が施行されます。

「相続で取得した土地」を国に引き取ってもらえる制度で、制度開始前に相続した土地も対象になります。

負担金として「10年分の管理費相当額」が必要であり、有料の引き取りサービスと似ている制度内容です。

また、申請および承認には、それぞれ次の要件があります。

申請をすることができないケース
  • 建物がある土地
  • 担保権や使用収益権が設定されている土地
  • 他人の利用が予定されている土地
  • 土壌汚染のある土地
  • 境界があいまいな土地・所有権について争っている土地
承認が下りないケース
  • 勾配や高さのある崖地で、管理に大きな費用・労力がかかる土地
  • 土地の管理・処分に邪魔となるものが地上および地下にある土地
  • 隣地所有者等との争訟をしなければ管理・処分ができない土地
  • その他、通常の管理・処分にかかる費用・労力が一般的な範囲を超える土地

要件が厳しいため、だれでも使える制度というわけではありませんが、選択肢の1つとして覚えておきましょう。

参照:法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」

相続時に相続放棄をする

相続でこれから取得する不動産であれば、相続放棄をするのも1つの方法です。

相続放棄は、相続人としての権利をすべて放棄する手続きです。土地の管理だけでなく、借金の相続や、他の相続人とのいざこざも避けられます。

ただし、土地だけでなく相続財産をすべて放棄する必要があります。金銭や他の不動産など、土地以外の財産が欲しいときは放棄しないほうがよいでしょう。

また、相続人が自分以外にいない場合、放棄しても相続財産管理人を選任するまで管理責任は消えません。選任には裁判所へ申し立てるほか、費用も20〜100万円ほどかかります。

詳しくは下記の記事で解説しているので、よろしければ参考にしてください。

参照:裁判所「相続の放棄の申述」

インターネットの不動産マッチングサービスを使う

近年は不動産業者を使わずに、個人間で取引する不動産マッチングサービスも増えています。仲介手数料などコストを削減できるのが特徴ですが、売りにくい不動産の処分にも向いているサービスです。

下記は、マッチングサービスを提供しているWebサイトの一例です。

不動産マッチングサービスの一例
サービス・サイト名 特徴
家いちば ・物件情報の掲載、買主との商談はセルフサービス。
・掲載原稿や交渉方法について都度アドバイスを受けられる。
・宅建士が仲介手数料の半額で契約手続きをサポート。
みんなの0円物件 ・物件情報の原稿は運営が作成。
・完全無料プランの他、交渉や契約手続きを任せられる有料プランもあり。
・完全無料プランから有料プランへの変更もOK(逆は不可)。
フィールドマッチング ・売主の負担は原則登記費用のみ。
・出品代行など有料オプションは必要な分だけ選べる。
・マッチングから成約までの取引を自動アシスト。

これらマッチングサービスの特徴は、利用者が「多少の問題があっても安い不動産が欲しい」と考えている点です。

ユーザーのニーズが一般的な不動産売買と異なるので、癖の強い物件でも買い手が見つかりやすくなります。

出品は超低価格、あるいはゼロ円からでもおこなえるので、「売るのはむずかしいけど引き取り業者も使いたくない」というときには、利用を検討してみましょう。

いらない不動産を早めに処分すべき理由

不動産をいらないと思いつつ、処分方法がなくて放置を続ける人は少なくありません。

しかし、不動産を放置し続けると次のようなデメリットがあります。

  • 倒壊などで近隣に被害を与える場合がある
  • 維持費や固定資産税がかかり続ける
  • 特定空き家に指定される
  • 犯罪に巻き込まれる恐れがある
  • 相続で家族や親戚に迷惑がかかる

これらのデメリットを避けるためにも、いらない不動産はなるべく早く処分すべきです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

倒壊などで近隣に被害を与える場合がある

建物の倒壊や草木の越境、害虫・害獣被害など、放置している不動産が近隣への迷惑になるケースが少なくありません。

このような不動産は、所有者に対して損害賠償を請求される恐れがあります。所有者には管理者責任があるため、被害に対する補填は免れません。

被害を与えないためには日々の適切な管理が必要ですが、そのための時間的・金銭的コストは大きな負担となるでしょう。

維持費や固定資産税がかかり続ける

不動産は、ただもっているだけでもお金がかかります。建物なら定期的な補修をしなければ倒壊の恐れがありますし、土地も草木の伐採などが必要です。

遠方なら、定期的な見回りを地元の不動産業者などに依頼する必要もでてくるでしょう。

また、不動産をもっていると、固定資産税がかかります。いらない土地でも、課税標準額(固定資産税評価額に軽減措置を適用したもの)が30万円を下回らない限り、毎年課税されます。

例えわずかな金額でも、何年も積み重ねれば大きな金額です。不動産の有効活用ができない限り、無駄にでていくだけとなります。

特定空き家に指定される

特定空き家とは、放置された空き家の管理状態を是正するための制度です。特定空き家に指定されると、次のようなデメリットがあります。

  • 改善の「勧告」を受けると、土地の固定資産税が最大6倍増額(優遇措置の解除)
  • 改善の「命令」を受け、それを無視すると最大50万円の過料
  • 行政代執行による強制解体(費用は所有者へ請求)

特定空き家の指定を避けるためには、適切な管理をおこない、周辺地域に悪影響を及ぼさないことが重要です。

倒壊の危険性があったり、衛生上、もしくは景観上の有害性があったりすると、特定空き家に指定されてしまいます。

参照: NPO法人空家・空地管理センター「特定空家とは」

犯罪に巻き込まれる恐れがある

放置された不動産は、なんらかの犯罪に利用される恐れがあります。

例えば、違法植物の栽培に使われたり、犯罪者の隠れ家に使われたりといった事例が実際に起こっています。

また、放火や不法投棄など、不動産自体が被害に遭うケースもあり、それが原因で処分がより売却をむずかしくなるかもしれません。

周辺への二次被害で管理責任を問われた結果、被害に遭ったうえに損害賠償まで請求されるようなこともありえるので、注意が必要です。

相続で家族や親戚に迷惑がかかる

いらない不動産に関する問題として、相続について悩む人はとくに多いかと思います。

いらない不動産を持ち続ければ、いずれは子供などに相続することになります。ここまであげた管理責任や維持コストのデメリットを、家族や親戚へ押し付けることになるのです。

また、複数人で不動産を相続した結果、共有名義となって所有者が何人もいる状態の不動産もあります。こうなると、売却や解体には全員の同意が必要になるため、処分はより困難です。

相続で迷惑をかけないためにも、不要な不動産はなるべく早めに処分をしておくべきでしょう。

まとめ

不動産の引き取り業者は、売却も活用もむずかしい不動産を処分する方法として、有益なサービスです。

山林や原野など、一般的にはほとんど売れないような物件は、お金を支払ってでも引き取ってもらったほうが良い場合もあります。

ただし、どのような不動産でも、人によってはなんらかの価値があるかもしれません。引き取りサービスを利用する前に、まずは本当に売却できないのかも確認することをおすすめします。

複数の不動産業者に見てもらえば、意外と買い手が見つかることもあります。一括査定なども使って、不動産の価格をいま一度調べてみましょう。

不動産の引き取り業者についてよくある質問

  • 不動産の引き取り業者とは、どのようなサービスですか?

    引取料を支払い、いらない不動産を引き取ってもらうサービスです。普通、不動産の処分は売却でおこなうことが多く、所有者にお金が入りますが、引き取りでは自身がお金を払わなければいけません。

  • お金を払ってまで引き取ってもらうメリットはなんですか?

    田舎の空き家や山林、原野など、売却も活用もむずかしい不動産を処分できることがメリットです。早ければ3日で引き取ってもらえる業者もあります。

  • 引取料はどれくらいかかりますか?

    不動産の状態と、依頼する引き取り業者によって大きく変わります。おおまかな目安は40万~100万円程度ですが、活用が困難な不動産ほど引取料は高くなるでしょう。

  • どんな不動産でも引き取ってもらえるのでしょうか?

    業者によって対応している不動産は異なります。例えば、農地は農地法の制限が厳しいため、一部の業者は取り扱っていません。

  • どうしても売却を諦められないのですが、なんとか売る方法はありませんか?

    なるべく多くの不動産業者を比較することで、売却可能な業者が見つかるかもしれません。一括査定を使えば、複数の業者にまとめて査定を申し込めるのでおすすめです。→【全国2,000社以上と提携!】イエウールの一括査定はこちら