サブリースとは、業者が不動産を借り上げ、賃貸管理を代行するサービスです。賃料保証があり、空室があっても一定の収入を得られるという特徴があります。
しかし、サブリース会社に手数料を取られる分、得られる収入は自主管理などより低くなります。また、中途解約がむずかしいのもデメリットです。
サブリース物件の売却は可能ですが、上記のようなデメリットから、需要が低くなかなか売れないケースも少なくありません。
高額かつスムーズに売るためには、なるべく多くの不動産会社を比べて、サブリース物件に詳しい業者を見つけることが重要となります。
効率的に相性の良い不動産会社を見つけるには、一括査定を使い、複数の不動産会社をまとめて比較するのがおすすめです。価格相場を把握するためにも、ぜひ活用してみましょう。

- サブリース物件は、中途解約の難しさや利回りの悪さから売りにくい。
- サブリース物件をスムーズに売るためには、一括査定の利用やサブリースの解約交渉がポイント。
- 投資計画がズレてきたときや、より優良な物件を買えるようになったときが、サブリース物件を売却すべきタイミング。
目次
サブリース物件の売却は可能だがむずかしい
サブリース契約のある物件でも、原則として売却は可能です。買主さえ見つかれば、サブリース契約ごと売却することができます。
しかし、サブリース物件にはさまざまなデメリットがあるため、実際に売却する際は困難が伴います。
サブリース会社との調整などで専門的な知識が求められるので、サブリース物件に詳しい不動産会社を見つけられるかどうかが、売却の結果を大きく左右するでしょう。
サブリース物件の売却がむずかしい理由
サブリース物件の売却がむずかしい理由としては、以下の6つがあげられます。
- オーナー側からの中途解約が困難
- 利回りが悪くなる
- 賃料を下げられることが多い
- 入居者を選べない
- 修繕やハウスクリーニングの費用が高い
- サブリース会社の倒産リスクがある
制約が多く、主な購入者である投資家にとって魅力の低い物件であることが問題です。
それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
オーナー側からの中途解約が困難
サブリース契約は借地借家法という法律が適用されるため、中途解約が困難になります。
そもそも、賃貸借契約には、家主が賃借人に貸す「マスターリース」と、賃借人がさらに別の人へ転貸する「サブリース」の2つがあります。
つまり、サブリースとはマスターリースを前提としたものであり、不動産業界でいうところのサブリース契約は、本来は「家主とサブリース会社が結ぶマスターリース」を指しているのです。
ここで問題となるのが借地借家法です。借地借家法とは、賃貸借契約で不利になりやすい賃借人を守るための制度ですが、最高裁で「サブリース契約にも適用される」という判例が下されています。
…建物を一括して賃料自動増額特約等の約定の下に賃借することを内容とする契約(いわゆるサブリース契約)についても,借地借家法32条1項の規定が適用される。
借地借家法は賃借人を保護するため、解約に厳しい制限を定めていますが、これがサブリース会社にも適用されます。
結果、「個人対企業」でも契約上の立場はサブリース会社側に有利となり、中途解約がむずかしくなるのです。
オーナー側が契約更新を拒絶するときは、中途解約と同じような制限を受けることになります。
利回りが悪くなる
サブリース契約は、月々の賃料を保証する「賃料保証型」がメジャーです。空室があっても賃料収入を得られますが、その代わりに賃料の10~20%程度を手数料として差し引かれます。
空室率が高ければリスクヘッジとなりますが、入居者がいる状態であれば通常より利回りが悪くなります。そのため、自分でしっかりと管理できる投資家からは需要を得られません。
なお、賃料保証のない「パススルー型」というサブリース契約もあります。こちらは空室や滞納分の賃料をもらえない代わりに、手数料が3~5%程度まで抑えられます。
パススルー型であれば、利回りの面では一般的な管理委託とほとんど変わりません。賃貸借契約を1本にまとめられるため、入居のたびに賃貸借契約を結ぶ手間を省けるというメリットもあります。
ただし、解約しにくいという点は賃料保証型と同じです。任せたい業務が管理委託の範囲内で可能であれば、あえてパススルー型を選ぶ必要もないでしょう。
賃料を下げられることが多い
サブリース契約の賃料は、ずっと同じというわけではなく、契約更新のときに下げられてしまうことがあります。
借地借家法では、貸主・借主の双方が、賃料の増減を請求できると定めています。賃料保証型であっても、最初の賃料が永続的に保証されるわけではないのです。
建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
「建物が古くなって適正な賃料が下がった」などの理由で、サブリース会社から賃料の減額を請求されるケースは多々あります。
もしも「賃料を下げない」という特約があっても、賃借人にとって不利な特約となるので、借地借家法の解釈では無効です。
悪質な業者だと、勧誘時に「○年間は家賃が下がらない」「ずっと同じ家賃を保証」と断定し、契約書にもその旨を記載しながら、後になって減額請求をしてくる場合があります。
2020年に施行された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」によって、上記のような断定や誇大広告は禁止されましたが、認識のズレなどからトラブルになることは十分ありえます。
実際に減額するかどうかは交渉で決まる
賃料の減額請求は正当な権利ですが、認められているのはあくまで「請求」であり、請求された側はその内容について交渉することが可能です。
最終的には双方の合意がなければ減額できないので、交渉次第では請求の取り下げ、もしくは減額幅の縮小などが可能です。
しかし、交渉でサブリース会社側がどれほど譲歩してくれるかはわからず、「減額に応じないなら違約金を払え」などといってくる恐れもあり、訴訟になるなど泥沼化する恐れもあるので注意しましょう。
交渉や訴訟については弁護士に相談するのがおすすめですが、請求内容が法的に妥当な内容だと、取り下げや減額幅の縮小はむずかしくなります。
入居者を選べない
サブリース契約をすると、オーナーは入居者選びに関与できません。だれに貸すのかはすべてサブリース会社が決めるので、属性の悪い人物に貸してしまう恐れもあります。
家賃の支払い能力が低かったり、近隣トラブルを引き起こしたりするような人物が入居者だと、売却時にも敬遠されてしまいます。
賃料保証型の場合、空室だとサブリース会社にとっては損失にしかならないので、多少条件が悪い人物でも入居させてしまうことがあるのです。
修繕やハウスクリーニングの費用が高い
賃料保証型のサブリース契約でも、劣化・損傷の修繕費や、退去者がでたときのハウスクリーニング費用などは、すべてオーナー側の負担です。
基本的にサブリース会社が指定する業者を利用しますが、一般的な相場より割高で、他社への依頼や相見積もりも認められないケースが多くなります。
オーナーが鍵を持たず、室内を直接確認できないことも多いため、請求された費用が本当に必要なものなのか確認できないというデメリットがあります。
サブリース会社の倒産リスクがある
サブリース会社が倒産することで、さまざまな問題がオーナーへ一斉に降りかかるかもしれません。
まず、サブリース会社の経営が傾いた時点で、保証賃料が支払われなくなる可能性があります。キャッシュフローが滞り、資金繰りが苦しくなる恐れがあるでしょう。
倒産後は、サブリース会社が入居者と結んでいた賃貸借契約を、オーナーが引き継ぎます。それまでサブリース会社に任せていた業務に対応する必要がでてくるのです。
滞納者がいたり、属性の悪い入居者がいたりなど、隠れていたトラブルが一気に噴出するかもしません。新しい委託管理会社を探すなど、早急な対応が必要になるでしょう。
サブリース物件を売りやすくするためのコツ
サブリース物件は売却のむずかしい不動産ですが、工夫次第で売りやすくすることも可能です。
具体的なコツとしては、次の5つがあげられます。
- サブリースに詳しい不動産会社を探す
- 賃料の値下げ前に売る
- サブリースの解約を交渉する
- 不動産需要が高くなっている時期に売り出す
- 売却期間に余裕をもたせる
これらのコツを押さえて、高額かつスムーズな売却を実現しましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
サブリースに詳しい不動産会社を探す
不動産売却は、売却物件と不動産会社の相性によって結果が大きく左右されます。とくに、サブリース物件のようにデメリットの多い物件は、その問題に精通した不動産会社を選ぶことが重要です。
不動産会社は培ったノウハウや顧客ルートにより、得意とする物件が異なります。不動産会社の違いで、売却価格が数百万円変わることも珍しくありません。
そのため、不動産会社を探すときはサブリース物件の取り扱い実績を聞いてみましょう。また、サブリース物件の売却について疑問や不安を質問するのもおすすめです。
実績豊富で、質問に対して的確な回答ができる業者であれば、信頼できる不動産会社といえます。
一括査定で複数の不動産会社を比べるのがおすすめ
「不動産会社選びが大切」とはいっても、手がかりもないまま1社ずつ調べて連絡を取るのは、時間的にも労力的にも負担が大きくなります。
そこでおすすめなのが、オンラインで査定を申し込める「一括査定サイト」です。一括査定サイトは、オンラインの簡単な入力だけで申し込めるので、すぐに査定を依頼したいときに便利です。
サイト側でも提携不動産会社の厳選をおこなっているので、優良業者を絞り込むことができます。
とくに、下記のリンクから利用できる「イエウール」では、全国2,000社以上と提携しており、幅広い物件に対応しているのでおすすめです。
サブリースのように売却がむずかしい物件でも、豊富な候補のなかから最適な不動産会社を見つけられるしょう。
賃料の値下げ前に売る
不動産投資家にとって、賃料は物件の収益性を測る重要なポイントです。賃料が下がればそれだけ投資効率が悪くなるのは、サブリース物件でも同じです。
サブリース契約の場合、保証賃料の値下げはよくあることなので、売却はそれより前におこなうようにしましょう。
また、賃料が下がるということは、築古などでサブリースに関係なく資産価値が下がっているとも考えられます。早めの売却は、より売却しにくくなるのを防ぐためにも有効です。
サブリースの解約を交渉する
「オーナー側からの中途解約が困難」という解説をしましたが、解約が一切できないわけではありません。交渉や契約内容次第では、オーナー側からの解約も可能です。
サブリースを解約し、自主管理や管理委託の状態にすれば、売却もしやすくなります。
具体的には次のような解約方法があるので、詳しく見ていきましょう。
- 双方の合意による解約
- 正当事由による解約
双方の合意による解約
サブリースに限らず、契約というものは双方が公平な立場で合意すれば、解約できます。当事者間の合意による解約は「合意解約(または合意解除)」といわれます。
端的にいえば、合意さえ得られればいつ・どちらから申し込んでも、解約は可能ということです。合意解約の場合、違約金を支払うのか、猶予期間はあるのかなど、解約条件も双方の合意次第になります。
ただし、実際にサブリース会社がすんなりと合意するケースは、ほとんどありません。解約させないよう、理由を付けて解約を拒絶してくることが多いでしょう。
とくに、空き室が多かったり、逆ザヤ(家賃が保証賃料より低い状態)が発生していたりするときは、サブリース会社のほうから解約を申し出てくる場合があります。
正当事由による解約
正当事由とは、「賃貸借契約を解約せざるをえない」と客観的に判断できる要因のことです。正当事由による解約は借地借家法に定められた規定なので、「法定解除」と呼ばれます。
具体的な事由は個々の事情に応じて判断されますが、基本は次の5項目が見られます。
- 賃貸人と賃借人(転借人を含む)が建物を使用する事情
- 賃貸借におけるこれまでの経緯
- 建物の利用状況(賃借人・転借人がどのように使っているか)
- 建物の現況(建て替えが必要かどうか)
- 明け渡しに対する財産上の給付(立退料などの支払いやその金額)
これらを総合的に考慮し、契約解除が合理的かどうか判断します。
立退料は、他の要因が正当事由として「弱い」ときに、その不足を補う役割のものです。つまり、他の事由がある程度認められる状況で、はじめて立退料の有無が問題になるということです。
正当事由による解約は、まずは交渉をおこない、決裂した場合に調停や訴訟で争うことになります。サブリース会社と解約について対立した時点で、不動産に詳しい弁護士へ相談してみましょう。
不動産需要が高くなっている時期に売り出す
デメリットの多いサブリース物件でも、近隣の不動産需要が高まっている時期なら、スムーズに売れる可能性があります。
不動産需要が高くなれば、自然と売却価格も上がります。高値で売るのもよいでしょうし、相場より低価格にして短期間で売却するのもよいでしょう。
不動産需要は市場相場に反映されるので、まずは不動産会社の査定を受けてみて、最新の市場動向を聞いてみることをおすすめします。
売却期間に余裕をもたせる
不動産の平均的な売却期間はおおむね3ヶ月前後ですが、物件によって大きく変わります。サブリース物件のように売りにくい不動産だと、半年以上かかる場合もあるでしょう。
しかし、焦って売ろうとすると、価格を下げるなどなにかしらの妥協が必要になってきます。購入希望者に足元を見られ、大幅な値下げを請求されるかもしれません。
デメリットの多いサブリース物件だからこそ、売却期間になるべく余裕をもたせ、じっくりと買主を探すようにしましょう。
サブリース物件の売却を検討すべきタイミング
サブリース物件の売却について、「労力をかけてまで売る意味はあるのか?」「所有を続けたほうが利益を増やせるのではないか?」と悩んでいるオーナーは多いでしょう。
一人ひとりで状況が異なるため、売り時を見極めるのは大変です。そこで、サブリース物件を売却すべき基本的なタイミングとして、次の3つを紹介します。
- 想定した投資計画からズレてきたとき
- 資金が溜まってより優良な物件を買えるようになったとき
- 相続で取得したとき・生前整理を検討しているとき
これらの状況を迎えたときは、ぜひ一度売却を検討してみましょう。
想定した投資計画からズレてきたとき
投資をするときは、最初に投資計画を立てます。不動産の場合、所有期間中に得られる賃料や、ローンや管理費などのランニングコスト、修繕のタイミングや費用を盛り込みます。
しかし、最初の投資計画がそのまま進まないことも珍しくありません。賃料が下がったり、災害などで予定外の修繕費がかかったりすることもあります。
想定した投資計画にズレが生じ、シミュレーションしなおしても赤字になるような状況であれば、売却して損失を抑えましょう。
なお、投資計画が最初からない場合は、途中からでもしっかり立てることをおすすめします。シミュレーションを重ね、出口戦略を取るまでの収支がプラスにならなければ、投資をする意味がありません。
資金が溜まってより優良な物件を買えるようになったとき
投資を続けていると、手元の資金が増えていき、経済的に余裕がでてきます。現在もっている不動産の売却益と合わせれば、より収益性の高い物件を買えるかもしれません。
どのような物件も、築年数が経過すれば資産価値や得られる収益は下がります。また、大規模修繕の時期を迎えれば、高額な支出は避けられません。
そうなる前に新しい物件へ買い替え、常に良好な収支を保つことも、不動産投資では大切です。買い替えに伴って自主管理や委託管理に切り替えれば、サブリースのデメリットを解消することもできます。
相続で取得したとき・生前整理を検討しているとき
不動産を取得する経緯として、相続はとくに多い要因です。しかし、不動産知識のない人がいきなり収益物件を相続しても、管理や運用に迷ってしまいます。
サブリース物件は初心者でも運用しやすくはありますが、修繕費などで高額な費用を突然請求されることもあります。不動産投資に興味がなければ、早めに売却したほうがよいでしょう。
また、自分がオーナーで生前整理を考えているときも、売却を考えるタイミングです。サブリース物件はなにかと制約が多いため、相続財産として残しても迷惑になるかもしれません。
被相続人となる親族とも相談してみて、不要なようであれば自分が生きているうちに処分をしましょう。
サブリース物件を売却する際の手順
サブリース物件を売るときは、以下の手順で進めていきます。
- サブリースの契約内容を確認する
- 物件の査定をおこなう
- 不動産会社と契約を結ぶ
- 買主募集
- 売買契約・物件引き渡し
全体の流れを把握して、滞りなく売却できるようにしましょう。
1.サブリースの契約内容を確認する
まずはサブリースの契約内容を確認し、サブリース契約を維持したまま売るか、解約してから売るか検討しましょう。
これまで解説した通り、サブリース物件は売却で不利になるので、可能であれば解約してから売り出すほうがおすすめです。
契約書のなかに解約条項が盛り込まれていれば、その内容に従って解約を申し込めます。内容はケースバイケースですが、違約金や告知期間について記載されるのが一般的です。
ただし、実際に合意するかどうかはサブリース会社に決定権があります。合意が得られない場合、調停や訴訟が必要になるかもしれません。
なお、サブリース物件のまま売る場合は、サブリース会社から同意を取らなくても大丈夫です。しかし、最終的には賃貸借契約の引き継ぎが必要なため、事前に話を通しておいたほうがスムーズでしょう。
サブリースを解約するなら契約解除通知をおこなう
サブリースを解約する場合、サブリース会社へ契約解除通知書を送付します。
書面の作成時は、契約書のどの条項をもとにした解約であるか、明確に記載することが重要です。また、何月何日に解約するのか、日付も明記しておきましょう。
書面作成は弁護士などに依頼できるほか、全日本不動産協会の「貸室賃貸借契約(サブリース)終了についての通知」をもとに作るのもよいでしょう。
→全日本不動産協会「貸室賃貸借契約(サブリース)終了についての通知」
サブリース解約は「解約後のリスク」も想定しておく
サブリース契約を解約したほうが売りやすくはなりますが、解約によるリスクもあるため、まずは慎重な検討が必要です。
サブリース解約のリスクとしては、次のような問題があげられます。
- 高額な違約金が発生する
- 空室分の賃料がなくなり収入が減ってしまう(賃料保証の場合)
- サブリース会社の管理がずさんで修繕などの費用がかかる
金銭的な問題が中心なので、もしものときに対応できるだけの資金があるかどうかが重要です。
次のステップの「査定」で物件の価格を調べ、手元の資金などとあわせてお金の流れをシミュレーションしましょう。
2.物件の査定をおこなう
物件の査定は、不動産会社に依頼します。査定額やその他の売却条件、担当者の態度や回答の正確性を見て、信頼できそうな不動産会社を選びましょう。
注意点として押さえておきたいのが、査定額が必ずしも売却価格になるとは限らないということです。査定額より高くなることもあれば、安くなることもあります。
査定はあくまで「このくらいなら売れるであろう」という予測です。物件の状態や市場の相場価格を参考にしていますが、最終的な売却価格は売主と買主の合意によって決まります。
では、査定額で不動産会社を比較する意味がないかというと、そうともいえません。他社より高値で査定する不動産会社は、営業力に自信があったり、優良な顧客を多数抱えていたりします。
複数の査定を比較し、高値を提示する不動産会社を見つけることが、高額売却への近道となります。
査定時に用意する書類
売却に必要な書類は不動産会社のほうから指示をもらえますが、事前に自分で用意すれば話が早く進みます。
主な必要書類は、次の通りです。
- 登記済権利証または登記識別情報
- 登記簿謄本(登記事項証明書)
- 固定資産税納税通知書
- 本人確認書類
- 印鑑証明書
- 建物の図面
- 地積測量図
- ローン残高証明書
- 物件購入時の売買契約書・重要事項説明書
- サブリース会社との契約書
上記の他にも、マンションなら管理規約、土地なら境界確認書など、物件によって必要な書類が変わる場合もあります。
詳しくは関連記事でも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

ローン残債が査定額を上回る場合はどうする?
「売却したい」と思っているものの、物件購入時のローンが残っているという人も多いと思います。ローン残債が残っている場合、残債額が売却価格を超えているかどうかで対応が変わります。
残債が売却価格を下回る「アンダーローン」なら、売却代金で返済できるのでとくに支障はありません。
しかし、残債が売却価格を上回る「オーバーローン」の場合、売却代金で返しきれない分は、自己資金や借り換えローンを使う必要があります。
また、自己資金や借り換えローンを利用できない場合、任意売却という方法もあります。
ただし、任意売却は信用情報機関に事故情報が掲載(いわゆる「ブラックリスト」入り)されたり、売却価格について債権者の了承が必要であったりと、デメリットもあります。
不動産会社にも専門的な知識が必要となるため、大手から地域密着型まで、幅広い候補から依頼先を検討してみましょう。
3.不動産会社と契約を結ぶ
査定を通して依頼する不動産会社を見つけたら、契約を結びます。仲介の場合は「媒介契約」を結びますが、これには3つの種類があります。
媒介契約 | メリット | デメリット |
---|---|---|
一般媒介契約 | ・同時に複数の不動産会社へ依頼できる ・自分で買主を見つけても良い |
・不動産会社にレインズ※への登録や状況報告の義務なし |
専任媒介契約 | ・不動産会社は7日以内にレインズへ登録する義務がある ・2週間に一度以上、必ず状況報告がある ・自分で買主を見つけても良い |
・1社にしか仲介を依頼できない |
専属専任媒介契約 | ・不動産会社は5日以内にレインズへ登録する義務がある ・1週間に一度以上、必ず状況報告がある |
・1社にしか仲介を依頼できない ・自分で買主を見つけるのは不可 |
※レインズ:不動産業者が物件情報を共有するためのネットワークシステムおよびその運営機構。
基本的には、専任媒介もしくは専属専任媒介のほうが、不動産会社が積極的に動いてくれるためおすすめです。ただし、囲い込みをされないように注意しましょう。
不動産会社は、自社で買主を見つければ売主・買主の双方から手数料を取れるので、囲い込みによって利益を増やそうとする悪質業者が存在する。
なお、仲介ではなく買取を依頼した場合、不動産会社がそのまま買主となるので、すぐに売買契約に移行します。
4.買主募集
媒介契約を結んだら、売り出し価格を決定し、買主を募集します。
売り出し価格は査定額をもとに設定しますが、金額を変えることもできます。不動産会社の意見を聞きつつ、自分が希望する価格を設定しましょう。
広告や買主対応は不動産会社に任せることになりますが、掲載する写真や文章など、過不足がないかチェックするのも売主の大切な作業です。
なお、空室の場合、内見を希望される場合もあります。空室でも管理はサブリース会社がおこなっているので、サブリース会社に内見できるかどうか確認しましょう。
5.売買契約・物件引き渡し
買主が決まれば、売買契約の締結をおこないます。売主と買主、仲介した不動産会社が顔を合わせて、契約書に署名・捺印するのが一般的です。
また、サブリース契約を残して売った場合、売主・買主とサブリース会社の間で引き継ぎ作業をおこないます。サブリース会社と連絡を取り、どのように引き継ぐのか確認しましょう。
売買契約の締結後、買主のローン審査などをまって、物件の引き渡しをおこないます。引き渡しおよび代金決済後、所有権移転登記をおこない受理されれば、売却は完了です。
まとめ
サブリース物件は、過去にサブリース絡みの訴訟が大きく報道されたことで、悪いイメージを持つ人も少なくありません。
実際に、認識のズレやサブリース会社の説明不足などから、トラブルになりやすい物件といえます。
しかし、売却自体は決して不可能ではなく、問題点や売却のコツを押さえておけば、スムーズに売ることもできます。
まずは一括査定などを使い、相性の良い不動産会社を見つけましょう。サブリース物件について知識や実績が豊富な不動産会社なら、適切なサポートで売却を実現してくれます。
サブリース物件の売却についてよくある質問
サブリースとは、又貸し・転貸しという意味です。不動産業界におけるサブリース契約は、業者が収益物件を一括借上げし、貸主としての運営を代行したり、賃料保証などをおこなうサービスを指します。
はい、可能です。サブリース契約を残したままでも物件を売ることはできます。ただし、サブリース物件にはデメリットも多いので、通常の不動産より売りにくくなるでしょう。
中途解約のむずかしさや、手数料を差し引かれることによる利回りの低さが主なデメリットです。他には、入居者を選べないことや、サブリース会社の倒産リスクがあることもあげられます。
解約はサブリース会社側に主導権があり、オーナー側からの解約は困難です。不可能ではありませんが、高額な違約金の請求や、調停・訴訟にまで発展する恐れがあります。
まずはサブリースに詳しい不動産会社を探すことが大切です。知識・実績が豊富な不動産会社なら、適切なアドバイスで売却をサポートしてくれます。なるべく多くの不動産会社に査定を依頼し、優良業者を見つけましょう。→【最大6社をまとめて比較!】イエウールの一括査定はこちら
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