いらない不動産は、早めに処分するのがおすすめです。
不動産は所有するだけで、固定資産税を支払い続けなければなりません。実家があった土地を相続等で譲り受けたとしても、今後住む予定や親族等で活用する予定がなければ、その不動産は処分を検討したほうが良いでしょう。
もちろん不動産は、その立地により処分方法は異なるケースがあります。例えば、人口が多い市街地などに立地する不動産であれば、不動産仲介を利用し一般ユーザーへの処分がしやすい状況にあると言えます。
一方で、交通便が悪い立地や周りに人家が少ない田舎立地では、そもそも不動産需要が少なく、処分すること自体に苦労するおそれがあります。
この記事では、いらない不動産の処分方法として、一般的な不動産仲介利用時のコツや注意点、買取について解説していきます。また、不動産の処分が進展しないときに検討する方法についても紹介します。
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- 不動産の売却には、仲介で一般の買主に売る方法と、買取で不動産会社に直接買い取って貰う方法がある。
- 売却による処分ができないときは、土地活用や不動産信託、無償譲渡なども検討する。
- いらない不動産を放置し続けると、税金などの維持費がかかったり、近隣トラブルなど面倒事に巻き込まれたりするデメリットがある。
いらない不動産を売却で処分する方法2つ
いらない不動産を処分するときには、まず一般ユーザーへの売却若しくは買取を検討します。以下に、詳しく解説していきます。
- ①「仲介」で一般ユーザーへ売却する
- ②「買取」で不動産会社に買い取ってもらう
①「仲介」で一般ユーザーへ売却する
まずは、不動産仲介を利用して一般ユーザーへの売却です。
不動産仲介は最もオーソドックスな売却方法で、街の不動産会社に依頼すれば売却活動ができます。予め不動産会社が算出した査定額を元に、価格を自由に決定できるのが特徴です。
成約した場合、不動産会社に成功報酬として仲介手数料(=物件の成約価格×3%+6万円+消費税)を支払います。
不動産仲介での売却のコツ
不動産仲介を利用する売却では、コツがあります。以下に4つ解説していきます。
- A.予め周辺相場を調査しておく
- B.査定は複数社に依頼する
- C.相場より安く売却する
- D.専任媒介契約を結ぶ
A.予め周辺相場を調査しておく
一つ目は、予め周辺相場を調査しておくことです。周辺相場を調査するには、以下のサイトを利用する方法があります。
- レインズマーケットインフォメーション
- 土地総合情報システム
- 不動産ポータルサイト
レインズマーケットインフォメーションと土地総合情報システムでは、過去の売却事例を閲覧できます。売却を希望する立地を検索していくと、一戸建てやマンションなどの売却事例を誰でも無料で確認できます。
ただし、これらのサイトの情報では、詳細な住所地は伏せられているため、売却する立地に近いところをピックアップし閲覧する必要があります。よって、おおよその売却相場を掴むことはできるものの、立地としてピンポイントでの相場感は掴みにくくなっています。
不動産ポータルサイトとは、現在販売されている一戸建て・マンションなどの情報を集めたサイトになります。実際に売り出し中の不動産を閲覧できるため、周辺に競合となりそうな物件の存在や売却価格の設定について相場観を掴むことができます。
なお、一部不動産ポータルサイトでは、現在売り出し中の不動産情報を集約し、売却相場としてエリアごとに公表しているケースもあります。これら過去の売却事例と今の販売価格の情報を活用し、売却を検討する立地の相場を把握できます。
B.査定は複数社に依頼する
二つ目は、査定は複数社に依頼することです。
売却価格の設定で指標とする不動産会社の査定は、算出する会社により見解の相違があります。また、不動産会社のなかには案件を取得することを目的に、悪意的に相場を逸脱した高額査定を付けるケースもあります。
しかし、査定は複数社で受ければ、各社の平均的な査定額がわかり、相場を逸脱する悪質な不動産会社を排除できます。また、査定額は今の市場の動向を加味したものとなっているため、自らが調査したものよりも正確な数字と言えるでしょう。
相場の調査は、不動産会社の説明に対して理解が深まるというメリットもあります。査定は複数社に依頼することで、さまざまな不動産会社の見解がわかり、「相場内で最大限高く売れる価格」を正確に判断できるでしょう。
C.相場より安く価格設定する
三つ目は、相場より安く価格設定することです。
いらない不動産を処分したいのであれば、売却は早めに終えるのが得策になります。所有期間が長くなると、毎月のコストを負担し続ける必要があるからです。
よって、周辺の相場より安い価格設定をすることで早期の売却を狙えます。安価にする割合はケース・バイ・ケースですが、不動産は数千万円の買い物になるので、10%程度でも十分お得に思える金額にできるでしょう。
なお、都心部など不動産需要が高い立地で即売却が見込めそうな立地であれば、無理に安くする必要はありません。価格設定については、不動産会社の担当者とよく相談し決めていきます。
D.専任媒介契約を結ぶ
四つ目は、専任媒介契約を結ぶことです。
仲介で不動産を売る場合、不動産会社とは「媒介契約」という契約を結びます。媒介契約には3種類があり、専任媒介契約は制限が厳しい分、受けられるサポートも多くなります。
媒介契約 | メリット | デメリット |
---|---|---|
一般媒介契約 | ・同時に複数の不動産会社へ依頼できる ・自分で買主を見つけても良い |
・不動産会社にレインズへの登録や状況報告の義務なし |
専任媒介契約 | ・不動産会社は7日以内にレインズへ登録する義務がある ・2週間に一度以上、必ず状況報告がある ・自分で買主を見つけても良い |
・1社にしか仲介を依頼できない |
専属専任媒介契約 | ・不動産会社は5日以内にレインズへ登録する義務がある ・1週間に一度以上、必ず状況報告がある |
・1社にしか仲介を依頼できない ・自分で買主を見つけるのは不可 |
※レインズ:不動産業者が物件情報を共有するためのネットワークシステムおよびその運営機構。
専任媒介契約なら、他社に成約を取られる心配がないため、不動産会社は宣伝活動のために費用を掛けやすくなります。また、「専属専任媒介契約」という、よりサポートが手厚くなる契約方法もあるので、不動産会社の提供するサービス次第ではそちらも検討してみましょう。
②「買取」で不動産会社に買い取ってもらう
二つ目は、不動産会社に買い取ってもらう方法です。
買取とは、買取専門の不動産会社が買主となり、物件を直接買い取ってもらえる方法です。リサイクルショップや古本屋でものを売るのと同じだと考えるとよいでしょう。
買主を探す手間がないので、仲介より短期間で不動産を処分できます。
なお、買取業者も各社で査定額が異なるので、買取でも査定は複数社に出すのが必須です。買取業者も各社で資本金や営業方針が異なるので、各社で数百万円の違いが生まれることもあるからです。
買取利用のメリット
買取利用のメリットは、以下のとおりです。
- A.即現金化が可能
- B.現況のまま引き渡しが可能
- C.契約不適合責任が免責になるケースが多い
A.即現金化が可能
まずは、即現金化が可能です。
買取では、買取先が決まれば即売買契約を結びます。また、取引は全て現金になるため、売買契約後から約1週間程度で引き渡しが可能です。よって、現金化が早いことがメリットになります。
B.現況のまま引き渡しが可能
次に、買取では建物を現況のまま引き渡しが可能です。
古屋付きの土地であっても解体する手間はなく、解体費の負担もありません。
C.契約不適合責任が免責になるケースが多い
最後に、契約不適合責任が免責になるケースが多くなります。
契約不適合責任とは、引き渡された物件が契約内容にそぐわない(欠陥が隠れていたなど)とき、売主の責任を追及できる制度です。買主には、以下4つの権利が認められています。
- 修補(不具合箇所の修理や設備の交換を行う)
- 代金減額請求(修補で改善できない箇所に対し、資産価値が減じた分を請求する権利)
- 損害賠償請求(契約不適合により損害を被った分を損害賠償として請求できる権利)
- 契約解除(既存の契約を解除できる権利)
このように、不動産売買では売主側に重い責任があります。しかし、買取は買う方が不動産の専門家であり、自社で物件の問題点を調べられるので、契約不適合責任が免除されます。
契約不適合責任が免除されることで、引き渡し後にトラブルが発生することなく、安心して取引を進められます。
買取利用のデメリット
買取利用のデメリットは、以下のとおりです。
- A.相場より安くなる
- B.買取不可のケースもある
A.相場より安くなる
まず、買取価格が相場より安くなります。
買取の場合、市場相場に対し50%~80%程度の買値になることが一般的です。買値が安くなるのは、不動産会社が買い取った不動産をリフォームし、再販売するためのコストを差し引くためです。
交通の利便性が極端に悪いエリアなど、不動産需要が低い地域については、とくに値下がりしやすくなるでしょう。
B.買取不可のケースもある
次に、買取不可のケースもあります。
山林や農地、崖地や浸水地域、土壌汚染物件や事故物件などの場合、買取業者も取り扱いできない場合があります。
このようにトラブルを抱えた物件は、それらを専門に取り扱う「訳あり物件専門の買取業者」に依頼しましょう。
下記の関連記事では、物件の特徴別におすすめ買取業者を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

売却時の注意事項
不動産を売却する際は、次の2点に注意が必要です。
- A.相続した不動産は相続登記を行っておく
- B.所有者全員の売却への同意が必要
A.相続した不動産は相続登記を済ませる
相続した不動産は、相続登記を行っておくことが必要です。
相続登記とは、不動産の相続を受けたときに被相続人から相続人に不動産の名義を移動する登記のことになります。不動産売却は、所有者でしか行えないため相続登記は必ず必要です。
B.所有者全員の売却への同意が必要
次に、所有者全員の売却への同意が必要です。
所有者が単独であれば本人のみの意思で売却できますが、所有者が複数人いる場合には全員の同意が売却前に必要となります。仮に不動産を複数人で相続し、その後売却するときには注意しましょう。
売却が進まないときの工夫3つ
不動産仲介で売却活動するも、立地や不動産の状況により売りにくいケースもあります。ここでは、売却が進まないときの工夫を3つ紹介します。
- A.建物があれば更地にする
- B.土地が広ければ切り売りする
- C.価格の変更や不動産会社の変更などを検討する
A.建物があれば更地にする
まず、建物(古屋)があれば解体して更地にします。
外装が朽ち内装も荒れているなど建物の状態が悪いとき、買主がその建物を使うことはほぼありません。解体して更地にし、新たな建物を建設するのが一般的です。
古屋が残っている不動産は、解体業者の手配や費用負担などの手間がかかるため、買主に敬遠されることがあります。
解体費用を負担し更地にすることで、買主はその土地の状態を把握しやすくなるため、売却が進む可能性が高まります。
B.土地が広ければ切り売りする
次に、土地が広ければ切り売りも検討します。
一般的な住宅の敷地は30坪~40坪程度の広さです。狭すぎず広すぎず、手頃の価格がもっとも売れやすい土地といえます。
しかし、土地が100坪以上など広くなると、土地価格はどうしても高くなります。購入できる人が限られてしまうため、流通性は悪くなり、売却が進展しない可能性があります。
そこで、土地が広い場合には、土地を分筆し使いやすいように分けてから売却するのがおすすめです。
自らで切り売りするのが面倒であれば、不動産デベロッパーへの売却を検討しても良いでしょう。不動産デベロッパーであれば、現況のまま引渡しができるため売却にかかる手間がありません。
C.価格の変更や不動産会社の変更などを検討する
最後は、売却価格の変更となります。不動産が売れない原因の一つに価格があります。
買主は物件と価格のバランスを見ており、お得感があるか否かを見ている人が殆どです。よって、周辺の競合物件より高値になっていないかなど、相対的な価格について確認してみましょう。
また、価格を変更も効果なく不動産会社から状況を打開するような提案がなければ、不動産会社の変更を検討もおすすめです。不動産会社を変更することで、広告の仕方や営業対応が変わり、売却できるようになるかもしれません。
売却以外の処分方法4つ
いらない不動産の処分が進展しないときに、検討すべき方法があります。以下に、4つの方法を紹介します。
- ①空き家バンクに登録する
- ②土地活用を検討する
- ③不動産信託を検討する
- ④無償譲渡・寄付する
①空き家バンクに登録する
一つ目は、空き家バンクに登録することです。
空き家バンクは、地域内にある空き家の流通促進のために地方自治体などが運営しています。土地や家屋を所有する所有者が空き家の情報を登録し、自治体が運営するウェブサイトで買主や借主を募ります。
空き家バンクでは、不動産の掘り出し物を狙おうと閲覧している人が多く、普通に空き家を売るよりスムーズに売れる可能性があります。
一方で、閲覧者は一般的な不動産より安さを重視しているため、売却価格は大幅に下がることが一般的です。
価格面でのデメリットはありますが、いらない不動産のとにかく処分したい場合は、空き家バンクでの売却を検討しても良いでしょう。
②土地活用を検討する
二つ目は、土地活用を検討することです。
仮に、売却しても二束三文という状況で手放すのは勿体ないと思うのであれば、所有し続けて土地活用する方法もあります。土地活用することで収入を得られれば、毎月の固定資産税などの維持費に充てられるメリットがあり、毎月の収入アップにつながります。
土地活用の種類
土地活用にはさまざまな種類があります。以下に、代表的な土地活用を紹介します。
- A.駐車場
- B.トランクルーム
- C.資材置き場
- D.リフォームして賃貸
- E.借地
A.駐車場
駐車場には、月極駐車場とコインパーキングがあります。駅や繁華街に近い場所であればコインパーキング、その他住宅地などであれば月極駐車場がおすすめです。
駐車場は初期費用があまり掛からないことが特徴で、不動産が既に更地であれば、土地の整地や砂利の付設、車止めやフェンスの設置でスタートできます。
また、土地一括借り上げ式を選択すると、初期費用は一切掛からず毎月土地代を得られるので、初期費用をかけたくない場合にはおすすめです。
B.トランクルーム
トランクルームとは、敷地内にコンテナボックスなどを設置し、収納スペースをレンタルする事業になります。
トランクルームの設置には敷地の整地やコンテナボックスの設置など、一定の初期費用が必要です。なかには土地一括借り上げ方式を提供するトランクルーム運営会社もおり、こうした会社を利用する場合は初期費用の負担がありません。
C.資材置き場
資材置き場は、重機などの工事車両や建設工事に必要な資材などを置く場所として、土地を貸すことになります。原則、更地を提供するだけになるため、初期費用はほぼ掛かりません。土木や建築関連の会社が近くにあれば、需要を見込めるでしょう。
D.リフォームして賃貸
建物をリフォームして賃貸する方法もあります。
建物の損傷や劣化が少なく使える状態であれば、軽いリフォームで貸し出すことが可能です。賃貸需要が望めそうな市街地に立地していれば、ファミリー世帯に需要があるでしょう。
E.借地
最後は、借地として土地を貸す方法です。
交通量の多いロードサイドや、比較的店舗等を構えやすい広い土地であれば、借地として需要があるでしょう。借地なら、土地をそのまま貸すだけなので、初期費用が全く掛からないことがメリットと言えます。
③不動産信託を検討する
三つ目は、不動産信託を検討することです。
不動産信託とは、土地活用のノウハウを持った企業などに不動産を預け、適切に運用してもらう方法です。受託者はその不動産を管理・運用し、得られた利益の一部を委託者本人に渡す仕組みになっています。
どのように運用するかは受託者次第であり、必要な土地・建物の整備なども受託者が負担します。大規模な土地活用をおこなう場合も、委託者の負担がない点がメリットです。
④無償譲渡・寄付する
四つ目は、無償譲渡や寄付をすることです。以下に、3つの方法を紹介します。
- A.個人へ譲渡する
- B.NPO法人等へ譲渡する
- C.自治体に寄付する
A.個人へ譲渡する
まずは、個人へ譲渡する方法です。
例えば、処分したい物件の隣人であれば、その土地に最も馴染みがあり、土地が拡大できるメリットがあることから有力な譲渡先と言えるでしょう。
ただし、個人へ譲渡する場合には、譲渡先の人に贈与税が発生することに注意が必要です。
B.NPO法人等へ譲渡する
次に、NPO法人など個人から法人へ譲渡する方法です。
土地の譲渡に関しては、NPO法人の担当者に相談することになります。法人側にその不動産を取得するメリットがあれば、引き取ってもらうことが可能です。
ただし、法人への寄付は、寄付した側が「不動産を売却し、その代金を寄付した」とみなされる制度(みなし譲渡所得)があります。寄付時の時価が取得時より値上がりしている場合、その差額に譲渡所得税が課せられるので注意しましょう。
みなし譲渡所得による課税を避けるためには、寄付先が公益のための財産を活用する公益法人である必要があります。
C.自治体に寄付する
最後は、自治体への寄付です。
自治体へ寄付するには、自治体の担当者に相談することになります。役所に問い合わせれば、申請方法などを説明してもらえるでしょう。
自治体は寄付を受けると地方税である固定資産税の税収が減ってしまうため、寄付を受けるケースはあまり多くありません。あくまで選択肢の一つとして押さえておきましょう。
いらない不動産を放置し続けるリスク3つ
いらない不動産を放置し続けるには、リスクがあります。ここでは、主なリスクを3つ解説します。
- ①維持・管理に負担がかかる
- ②不動産が急速に劣化し、近隣トラブルになるおそれがある
- ③特定空き家に指定される可能性がある
①維持・管理に負担がかかる
一つ目は、維持・管理に負担がかかることです。
不動産を所有すると、固定資産税や都市計画税が掛かります。建物や設備に劣化があれば、その修繕費も必要です。
また、不動産を適正に管理するには、月に一度の通風やポスト内の郵便物の整理、庭があれば雑草やゴミの除去が必要です。不動産の近くに住んでいれば自分で管理できますが、遠方であれば物理的な管理は難しくなります。よって、不動産を定期的に管理する会社への依頼が必要となり、その都度費用が掛かります。
つまり、いらない不動産を所有することで余計な維持管理費が発生し、家計を圧迫してしまうのです。
②不動産が急速に劣化し、近隣トラブルになるおそれがある
二つ目は、不動産が急速に劣化し、近隣トラブルになるおそれがあります。
家は、人が住んで出入りして適宜換気し、日常的に手入れを施すことで綺麗な状態を保てます。しかし、人が住まない家は外気の取り込みがなくなり、メンテナンスされることはありません。
また、庭の草木が伸び切り、隣地や道路にまではみ出すようなケースもあるでしょう。
このように急速に不動産が劣化することで、近隣の住環境に悪影響を及ぼす可能性があります。不審火、害虫の発生、強風等で瓦礫が飛散し近隣住宅に損傷を与えるなどにより、近隣トラブルになることもあるでしょう。
万が一のトラブルを防ぐためにも、いらない不動産は所有し続けないほうが得策と言えます。
③特定空き家に指定される可能性がある
三つ目は、特定空き家に指定される可能性があります。
特定空き家とは、行政側の敷地内立ち入りによる調査にて、問題があるとされる空き家に対し指定されるものです。特定空き家に指定されると、固定資産税の減免措置がなくなり税額が上がることや、命令違反による50万円の過料などが科されます。
最終的には、行政代執行という手続きで、強制的に空き家を解体されます。費用は所有者持ちで、相場より高い解体費用を請求される恐れがあるため、空き家の放置はデメリットしかないといえるでしょう。
いらない不動産を所有しないようにする方法3つ
はじめから住む予定がないのであれば、不動産を所有しないという方法があります。ここでは、いらない不動産を所有しないようにするために予めできる方法について3つ解説します。
- ①親が存命時に不動産を処分してもらう
- ②相続後に即売却する
- ③相続放棄する
①親が存命時に不動産を処分してもらう
一つ目は、親が存命のときに不動産を処分してもらうことです。
親は終の棲家として家を購入していることが多く、慣れ親しんだ家を手放すことに対し、強い抵抗感を示す場合があります。
しかし、今不動産を残すことで子世帯に迷惑が掛かるのであれば、生きているうちに処分しておきたいと考える人も徐々に増えてきています。しっかりと話し合えば、早めの処分にも納得してもらえるかもしれません。
一方で、売却後に移り住む先については少々問題点があります。まず、高齢者が民間の賃貸住宅を借りようとしても契約を断られるケースが多くあります。また、タイミングよく自治体が運営する住宅に入居できるとは限りません。よって、不動産を処分するタイミングは、以下のようなときが望ましいと言えます。
- 高齢者住宅や老人ホームなど福祉施設への入所が決まっている
- 資産性が維持しやすい分譲マンションに住み替える
高齢者住宅などの福祉施設は、入所に多額の金銭が掛かります。よって、入所が決まれば早めに売却し、福祉施設に入る資金に充てるのが良いでしょう。
福祉施設へ入所しないのであれば、比較的資産性の高い物件に住み替えるのが良いでしょう。例えば、立地の良い分譲マンションへ住み替えると、のちに子世帯が相続した際、資産として維持や処分がしやすくなります。
家を手放すことに抵抗感があるときの対策
それでも家を手放すことに抵抗感のある人には、存命中は家に住み続けられる方法があります。以下に、2つ紹介します。
- A.リバースモーゲージ
- B.リースバック
A.リバースモーゲージ
リバースモーゲージとは、自宅を担保として生活資金などを借入れる方法です。存命中は、自宅に住み続けることができ、その間は利息のみの支払いを継続します。その後、借入人が亡くなったときに自宅を売却し元本を返済するという方法です。
リバースモーゲージを利用することで、本人は生活資金が手に入って生活がラクになり、子世帯は自宅が残らないため相続や処分に悩む必要がなくなります。
B.リースバック
リースバックとは、自宅を不動産会社等に売却し現金化したあと、賃貸住宅として住み続ける方法です。
自宅の所有権が移動することと同時に賃貸借契約をする制度であり、そのまま今の家に住み続けられます。
住み慣れた家で生活しつつ、纏まった資金を得られて、相続に関する悩むもなくなるという、複数のメリットがある方法です。
②相続後に即売却する
二つ目は、相続後に即売却することです。
相続後に相続登記を行い、不動産を売却することになります。これにより、相続税の支払いに充てることや現金化することにより相続人間で分けやすくなるでしょう。
③相続放棄する
三つ目は、相続放棄することです。
相続放棄とは、相続人としての権利自体を完全に放棄する手続きのことを言います。相続放棄が成立すると、法的には「相続人ではなかった」という扱いになります。
相続人ではなくなるので、遺産分割協議などの面倒事を一切回避できます。ただし、他の財産もすべて放棄する必要があるので、不動産だけを放棄することはできません。
なお、相続人が一人しかいない状況で相続放棄する場合、不動産の管理責任は残ります。管理責任をなくすには相続財産管理人の選任が必要なので、下記の関連記事を参考に申請を進めましょう。

まとめ
いらない不動産を所有しているのであれば、今後のリスクを考慮し早急に処分することがおすすめです。処分方法は、売却できれば最も良く、売却が難航すれば買取が良いでしょう。
なお、住む予定がない家を相続しそうな状況であれば、予め処分してしまうのもおすすめです。なお、親世帯が住み慣れた家を離れることに抵抗感が強ければ、リバースモーゲージやリースバックを活用し、子世帯に家を残さない選択をしてもらうことが重要となります。
「いらない不動産処分」に関してよくある質問
いらない不動産を処分するには、まず以下の方法を用います。
・不動産仲介で一般ユーザーへ売却する
・買取で不動産会社に売却する
不動産仲介での売却は、最もオーソドックスな方法です。売主と買主の間に不動産会社が入り取引を進めます。また、買取は買取専門の不動産会社が買主となり売却する方法です。買取先が決まれば即契約と引き渡しができるため、現金化が早いのが特徴となります。
不動産仲介で売却するコツは、以下のとおりです。詳細は本編にて紹介しています。
・予め周辺相場を調査しておく
・査定は複数社に依頼する
・相場より安く売却する
・専任媒介契約を結ぶ
相続したいらない不動産を売却する時に、注意すべき事項は以下のとおりです。
・相続登記を行っておく
・所有者全員の売却への同意が必要
以下に、売却が進展しない場合に検討する方法は、以下のとおりです。
・空き家バンクに登録する
・土地活用を検討する
・不動産信託を検討する
・無償譲渡・寄付する
いらない不動産を処分せずに放置するリスクは、下記になります。
・固定資産税等を払い続けなければならない
・不動産が急速に劣化し、近隣トラブルになるおそれがある
・特定空き家に指定される可能性がある
放置することで所有状態が続くことから、固定資産税等の負担があります。これら維持費の負担は経済的な重荷となるでしょう。また、急速に建物等が劣化し近隣トラブルになること、特定空き家に指定されると固定資産税の減免措置がなくなり税額が約6倍になるなど、放置することで多大なリスクを負うことになります。
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