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マンションは建て替えと売却どっちが良い?メリット・デメリットを解説します

マンション 建て替え 売却

築古で建て替えが必要そうなマンション、もしくは実際に建て替え計画が持ち上がっているマンションのオーナーも多いかと思います。

オーナーとしては、「建て替えに賛同して所有を続けるべきか?」「処分するとして売却は可能なのか?」といった点を考えなければいけません。

判断のポイントは、それぞれのメリット・デメリットと、現実的に建て替えが可能かどうかです。とくに、建て替え可能かどうかは、自分の懐具合や管理組合の状況などをトータルで見る必要があります。

また、売却する場合は、築古マンションをどのように売るかが問題です。建て替えが決まれば建替組合などに買い取ってもらえますが、一般的な不動産売買のほうが高く売れる可能性もあります。

築古マンションを高値でスムーズに売りたいときは、不動産会社選びが重要です。一括査定を使い、複数の不動産会社を比べて、築古マンションの取り扱いが得意な業者に相談しましょう。

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この記事のポイント!
  • 建て替えは資産価値の上昇が見込めるが、高額な費用負担の可能性がある。
  • 売却は費用負担や面倒事を避けられるが、資産価値の上昇を逃すことになってしまう。
  • 総合的に見て「建て替えが現実的に可能かどうか」を考えるのが判断のポイント。

目次

中古マンションは建て替えがいい?売却がいい?

中古マンションの建て替えが決定した場合、オーナーが取れる選択肢は次の2つです。

  • 建て替え計画に参加する(所有を続ける)
  • 建て替え前に売却する

建て替え計画に参加した場合、所有権を持ち続けることになり、建て替え後の建物を使用(入居・賃貸)できます。建て替えによる価格アップを狙って、売却することも可能です。

建て替え前に売却すると、現在の資産価値で現金化することになります。建て替え決議の前に通常売買で売るか、建替組合などの「売り渡し請求」を受ける形で売却します。

売り渡し請求とは?
建て替えが可決された際、組合側が、賛成しなかった組合員(オーナー)に対して、区分所有件および敷地利用権を時価で売り渡すよう請求できる権利。議決があった日から2ヶ月以内におこなわれ、請求があった時点で「売買契約が成立した」とみなされる。
なお、賛成しなかった組合員の方からも、自己の区分所有権および敷地利用権を買い取るよう請求(買い取り請求)することもできる。
参照:e-Govポータル「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」

建て替えにしろ売却にしろ、自分の状況に応じた選択をすることが大切です。ここからは、それぞれのメリット・デメリットと、どちらを選ぶべきか考えるときの判断ポイントを紹介します。

「建て替え」「売却」それぞれのメリット・デメリット

建て替えと売却、それぞれのメリット・デメリットは次の通りです。

  • 建て替えのメリット:資産価値の上昇が見込める
  • 建て替えのデメリット:1戸につき1,000万円以上の費用負担があるかもしれない
  • 売却のメリット:費用負担や建て替えに伴う面倒事を避けられる
  • 売却のデメリット:資産価値上昇による利益を手放すことになる

建て替えは資産価値の上昇が期待できる反面、オーナーにも高額な費用負担を課せられる恐れがあります。

資産価値の上昇を捨てることにはなりますが、建て替えに伴う面倒事を避けたいのであれば、売却を選んだほうがよいでしょう。

それぞれ詳しく見ていきます。

建て替えのメリット:資産価値の上昇が見込める

建て替えは、古いマンションを新しいマンションに生まれ変わらせるので、資産価値が大きく上昇します。

現状では1,000万円以下だった部屋が、建て替え後に数千万~1億円以上になる可能性もあるでしょう。

資産価値が上がれば賃料も上がるので、利回りが良くなります。入居者も付けやすくなるので、収益性が大幅にアップするでしょう。

自分で住む場合も、最新設備や傷一つない内装を利用できるので、快適な生活を送ることが可能です。

建て替えのデメリット:1戸につき1,000万円以上の費用負担があるかもしれない

建て替えをおこなう場合、各戸のオーナーに対して費用負担を求められる可能性があります。

費用額はケース・バイ・ケースですが、1戸につき1,000万円を超えることも珍しくありません。場合によっては2,000万円、3,000万円と、新築並みの金額になることもあります。

ただし、すべての建て替えで費用負担があるとは限りません。再分譲で費用を回収できる見込みがあれば、オーナー側の負担がない場合もあります。

建て替えに修繕積立金は原則使えない

分譲マンションでは、各オーナーから毎月修繕積立金が徴収されます。これは、定期的におこなう大規模修繕に備えるための費用です。

建て替えにあたり修繕積立金から費用を充当すれば、オーナーの費用負担を軽減できそうですが、建て替えに修繕積立金は原則として使えません。これは、国土交通省の「標準管理規約」で禁止されているためです。

標準管理規約は、マンションの管理規約を定めるにあたって基準にすべきとされているものです。多くのマンションがほぼ同じ内容の管理規約を設けているため、修繕積立金の充当ができないことになります。

ただし、管理規約を変えることは禁止されていないので、集会で規約内容の変更ができれば、修繕積立金を充当できる可能性があります。

高齢者には負担を軽減できる融資がある

高齢者向けのオーナー向けに、住宅金融支援機構が返済優遇のある融資を提供しています。

借入時に満60歳以上であれば、死亡時まで返済が利息のみに軽減されます。元金は、債務者が亡くなった後、相続人が融資物件を売却して返済するという仕組みです。

高額な費用負担が必要になっても、実質的に家賃程度の負担で済むので、条件に該当する場合は利用を検討してみましょう。

参照:住宅金融支援機構「まちづくり融資(高齢者向け返済特例)」

売却のメリット:費用負担や面倒事を避けられる

マンションを売却前に売却するメリットは、建て替えに伴う費用負担や面倒事を避けられる点です。

費用負担については先述の通りですが、「面倒事」については次のようなものがあげられます。

  • 他のオーナーに反対者が多く、管理組合での話し合いがこじれてしまう
  • 自分が住んでいる場合、仮住まいと建て替え後のマンションで2回引っ越しが必要
  • 賃貸している場合、賃借人に対して一時転居や立ち退きの交渉が必要

賃借人との交渉はとくにむずかしく、立ち退きを求める場合は1年以上かかったり、調停・訴訟になったりする場合もあります

売却すれば費用負担も面倒事もすべて回避できるので、どうしてもマンションを所有し続けたい事情がなければ、売却を検討してみましょう。

売却のデメリット:資産価値上昇による利益を手放すことになる

売却によるデメリットは、建て替えによる資産価値上昇の利益を得られないことです。

先にも解説した通り、建て替えによってマンション価格が数十倍に跳ね上がる可能性もあります。建て替え後のほうが売却益は大きくなりますし、貸し出せば高利回りを期待できます。

費用面に問題がなく、スムーズに建て替えが進むのであれば、売却せず建て替え計画に参加したほうがよいでしょう。

建て替えを選んだほうがよいケース

建て替えを選んだほうが良い具体的なシチュエーションは、次の3つです。

  • 建て替え計画が具体的に進んでいる
  • 建築制限に余裕がある
  • 不動産需要の多いエリアにある

基本的に、「建て替え工事の障害が少なく、費用負担も軽いケース」があげられます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

建て替え計画が具体的に進んでいる

第一に、管理組合の集会などで、建て替え計画が具体性を持って進んでいることが重要です。

建て替え計画は管理組合の決議でおこなうため、集会で議題にすらのぼらない状況では、いつ建て替えられるかわかりません。建て替えの話題が出るまでまっていては、マンションの価値がどんどん下がってしまいます。

一人ひとりの組合員がマンションの維持・管理について考え、前向きな議論を進めているのであれば、建て替え計画もスムーズに実行されるでしょう。

建築制限に余裕がある

建物は、地域によって以下のような建築制限があります。

  • 高さ制限:「絶対高さ制限」や「道路斜線制限」「隣地斜線制限」など
  • 容積率制限:敷地面積に対する延床面積の割合
  • 建ぺい率制限:敷地に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合

これらの制限を超えた建物は建築許可が下りないため、現在の建物が制限ぎりぎりだった場合、建て替え後もいまと変わらない大きさの建物になります。

一方、もともと制限より小さめだった、もしくは規制緩和によって余裕ができた場合は、戸数を増やすことができます。入居者をいまより多く確保できる分、建て替え費用の回収が可能です。

建て替え後の新規分譲で費用を回収できれば、オーナー側の費用負担が軽減されます。少ない負担、もしくは負担ゼロで新築マンションを取得できるかもしれないということです。

容積率や高さの上限は、用途地域や都市計画によって決まります。調べたいときは、役所の建築指導課や都市計画課などに問い合わせるのが確実です。

建築制限の計算例

具体的な数値を使って、各種制限の計算をシミュレーションしてみましょう。

例えば、敷地面積が1,000㎡で、容積率の上限が300%の場合、延床面積は「1,000㎡×300%=3,000㎡」が最大ということになります。

そして、建ぺい率が60%の場合、建築面積の上限は「1,000㎡×60%=600㎡」です。1フロア600㎡までと考えると、階層は「3,000㎡÷600㎡=5階」までということです。

5階建てのマンションならおおむね30戸~40戸ほどの部屋を作れますが、上記は共用スペースなどを無視しているので、実際はさらに少なくなるでしょう。また、高さ制限でより低い建物しか建てられない場合もあります。

上記のように建て替え後のシミュレーションをおこない、建て替えでマンションの規模を拡大できるようであれば、費用負担が軽減される可能性も高いでしょう。

不動産需要の多いエリアにある

不動産需要が高い場合、建て替え後に売却や賃貸で利益を得られる可能性が高くなります。

先述の通り、新しい入居者が見込めれば建て替え費用を賄うことができ、費用負担が軽減されます。建て替え後の資産価値上昇も大きくなるので、売却する場合も有利です。

反対に、不動産需要が少ない場合は、売却や賃貸の需要が見込めません。建て替えても思ったより資産価値が上がらず、費用負担の分だけ損してしまう恐れがあります。

近隣の不動産需要を見極めるポイント

不動産需要は、次のようなポイントで見極めます。

  • 交通の利便性
  • 公共機関や商業施設の充実度
  • 治安

売買も賃貸も、不動作需要は上記の良し悪しで決まります。ただし、現時点だけでなく将来的な予測も大切で、都市開発の予定がある場合は大幅な資産価値上昇が見込めます。

自分で調べたり、不動産会社への聞き込みなどで、需要に関する情報収集をおこないましょう。

売却を選んだほうがよいケース

建て替えを選んだほうが良い具体的なシチュエーションは、次の3つです。

  • 建築制限に違反している
  • 管理組合に反対者が多い
  • 管理組合が機能していない
  • 自分の手持ち資金が少ない

建て替えとは逆で、「建て替え工事の障害が多く、費用負担が重いケース」があてはまります。

詳しい解説を見ていきましょう。

建築制限に違反している

じつは、建築制限に違反している状態の建物は少なくありません。もともと違反している場合だけでなく、建築後に法規制が強化されて違反状態になった「既存不適格建築物」もあります。

既存不適格建築物の場合、現状維持に限りそのまま使用できますが、建て替え時には現行の法規制に合わせる必要があります。容積率や高さの制限を超過している場合、建て替えで規模が小さくなるということです。

規模が小さくなると、建て替え後に割り当てられる部屋面積も小さくなる恐れがあります。新規分譲による費用回収もできないので、オーナー側の負担も大きくなるでしょう。

管理組合に反対者が多い

マンションの建て替えは、管理組合の決議によって決定します。建て替えを成立させるには、区分所有者(各オーナー)の4/5以上かつ議決権の4/5以上が賛成しなければいけません。

議決権とは?
各区分所有者がもつ専有面積の割合。専有部分の総面積が1,000㎡で、ある区分所有者のもつ専有面積が50㎡だった場合、その議決権は「50/1,000」となる(※ただし、管理規約でこれとは異なる割合にすることも可能)。

反対者が多いと、集会で賛成の決議を取れず、建て替えを実行できなくなります。高齢者が多いと、「死ぬまでこのまま住み続けたい」という現状維持派が多くなり、賛成決議を得にくくなる場合もあるでしょう。

要件は今後引き下げられる可能性もありますが、明確に反対している人が多い場合、どれだけ老朽化していても建て替えは不可能となります。

管理組合が機能していない

賛成・反対の割合以前に、管理組合が機能不全に陥っているケースもあります。

例えば、一部の組合員が権限を実質的に独占している場合、意に沿わない議題ははねのけられてしまいます。また、相続などで組合員の所在や連絡先がわからなくなり、そもそも決議を取れないというケースも少なくありません。

管理組合が機能不全になっていると、日々の手入れや修繕積立金の管理もおろそかになっている可能性もあります。トラブルを防ぐためにも、早めの処分を検討したほうがよいでしょう。

自分の手持ち資金が少ない

費用負担がある場合、自分の手持ち資金に余裕がないと対応できません。建て替えを検討する余地もなく、売却を選ばざるを得ないというのが実情です。

ただし、住宅ローンなどの借り入れで資金を用意できる場合、建て替えを選ぶことができます。60歳以上の高齢者なら、先に解説した住宅金融支援機構の「まちづくり融資」を利用するとよいでしょう。

新しく家を買うときと同じように返済シミュレーションをおこない、自分の経済事情を踏まえたうえで検討することが大切です。

どちらか選ぶときは「建て替えが現実的に可能かどうか」が判断ポイント

建て替えか売却か、どちらを選ぶか決められないときは、「建て替えが現実的に可能かどうか」で判断することが大切です。

具体的には、「自分の費用負担から考えて建て替えは可能か?」「組合の運営状況や賛成割合から見て建て替えは可能か?」というように、自分自身に問いかけます。

建て替えに対する障害や不安要素があれば、売却を選択したほうが無難です。売却益を元に新しい物件を購入したほうが、手っ取り早く居住や収益化ができるでしょう。

建て替えの具体的な流れ

マンションの建て替え方法は、大きく2種類に分けられます。

主なマンション建て替え方式
建て替え方法 内容
「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」による建て替え 同法にもとづき、建替参加者やデベロッパーで法人格をもつ「建替組合」を設立し、同組合を主体にして建て替える方法。
法人格をもつ建替組合の設立により、工事契約の締結や資金調達をスムーズにおこなえる。
任意建て替え 建替組合ではなく、任意の建て替え組織や外部業者への委託で建て替えを進める方法。

例)等価交換方式
デベロッパーにマンションの権利を売却し、デベロッパー主体で建て替えた後、新しいマンションを再取得する。

ここでは、建替組合を設立する方法にもとづいて、基本的な流れを解説していきます。

1.準備・検討段階【情報収集~建て替え推進の決議まで】

まずは情報収集をおこない、管理組合の集会で「建て替え検討」の提案をおこないます。具体的な内容は次の通りです。

STEP.1
情報収集や勉強会の実施
マンションの劣化状況や、各オーナーの不満・不安を調査。デベロッパーやコンサルタントを招聘し、有志による勉強会を実施する。
STEP.2
集会での提案・検討委員会の設立
管理組合の集会で建て替えについて提案。検討委員会を設立し、必要性や具体的な方法を検討する。
STEP.3
建て替え推進を決議・建て替え推進委員会の設立
建て替えを計画することについて、集会で基本合意を取る。検討委員会を再編し、建て替え推進委員会を設立。

ここまではあくまで「建て替えを推進すること」までしか決めず、実際に建て替えをおこなうかどうかは、次の段階で改めて決議を取る必要があります。

2.計画段階【デベロッパーの選定~建て替え決議まで】

この段階では、より詳細な計画を詰めていき、建て替えを実施することについて合意を取ります。具体的には、以下の内容で進めます。

STEP.1
建て替え推進委員が、パートナーとなるデベロッパーを選定。提示される建築プランなどをもとに比較検討する。
STEP.2
具体的な建て替え事業計画を作成する。関係者へのヒアリングや意見交換、説明会を経て、計画を調整していく。
STEP.3
建て替え決議・建替組合の設立
新マンションの概要や費用の負担方法、再入居時の住戸選定方法を集会で検討。組合員および議決権の4/5以上の賛成を得て可決する。決議に合意した人で建替組合を設立する。

建て替え決議をもって計画の実行が決定し、実際に建て替えを執り行う建替組合を設立します。

3.実施段階【売り渡し請求~竣工・再入居まで】

いよいよ建て替えを実行するため、マンションの権利と、実際に居住している人の移動をおこないます。具体的な内容は次のようになります。

STEP.1
建替組合が、建て替え不参加者に対してマンションの権利を売り渡すよう請求。代替住宅の確保などサポートもおこなう。
STEP.2
所有権や抵当権を、旧マンションから新マンションへどのように移行するか建替組合で決議。都道府県知事等に対し、権利変換計画の認可の申請をする。
STEP.3
仮住居への転居・工事着工
仮住居への転居や賃借人の立ち退きをおこない、建て替え工事ができる状態にする。工事実施計画を作成し、行政の建築確認などを経て着工。
STEP.4
竣工・再入居
新しいマンションが完成した後、新管理規約を作成し、再入居をおこなう。建替組合を解散し、新管理組合を結成して新マンションの運営がスタートする。

以上をもって、マンション建て替えの全工程が完了します。

マンションの建て替え時期は築40~50年が多い

築古マンションをもっていると、具体的な計画がなくても「いつ建て替えがおこなわれるのか?」という点は気になるところです。

マンションの建て替えをいつおこなうかについて、法的なルールはありません。ただし、過去の事例では、おおむね築40~50年で建て替えるケースが多いようです。

下記は、建替組合による建て替え事例の築年数についてまとめたものですが、組合認可時点で築40~50年あたりがボリュームゾーンとなっています。

建替組合による建て替え事例の築年数
組合認可時点の築年数 件数
築29年以下 7件
築30~39年 34件
築40~49年 51件
築50~59年 35件
築60年以上 5件

参照:マンション再生協議会「マンション建替え円滑化法による建替え事例の一覧」

しかし、築40~50年を迎えていても、具体的な建て替え計画が持ち上がっていないマンションもあるでしょう。実際に、築60年や70年のマンションも存在します。

建て替えについては、マンションの状況に応じて管理組合で決めるのが原則です。つまり、築古のまま放置されているマンションは、管理組合に建て替え反対者が多いか、そもそも機能していない可能性が高いのです。

「物理的な寿命」でいえば100年以上?

マンションの物理的な寿命は、コンクリートの耐久度に左右されます。コンクリートの寿命に関する研究では、50年以上とするものから、整備次第で150年を超えるとしているものまであります。

参照:マンション再生協議会「中古住宅流通促進・活用に関する研究会報告書取りまとめ後の取組紹介 RC造(コンクリート)の寿命に係る既往の研究例」

ただし、コンクリートの寿命が100年以上でも、他の部分が同じような耐久性をもつとは限りません。排水管やガス管などが劣化するかもしれませんし、耐震基準の改正で防災性能が不十分になることもあります。

また、部屋が狭い、間取り・内装が時代に合わなくなってくるなど、耐久性以外の面から、建て替えが必要になるケースも多いでしょう。

住むだけなら100年以上住めるかもしれませんが、住環境の快適性や安全性まで考慮すると、より早い時期での建て替えが必要となるのです。

今後は加速度的に「建て替えが必要なマンション」が増えていく

マンションの建て替え事例は全国的に見ても少なく、国土交通省の調査では、2022年時点で実施準備中も含めて316件しかありません。マンション全体の数からすれば、ごくわずかといえます。

参照:国土交通省「マンションに関する統計・データ等 マンション建替えの実施状況」

しかし、日本のマンションは1960年代のマンションブーム以降、いまも増え続けています。黎明期に建てられたものは築60年を超え、再生を考えなければならない時期です。

マンションが健全に再生されないと、周辺地域の安全面や、治安悪化といった問題が発生します。国も対応を検討しており、今後の不動産業界における大きな課題となっているのです。

また、オーナーも「築古マンションの競合」が増えることで、売却が困難になるリスクを考える必要があります。活用の目処が立っていないマンションについては、早めの売却も検討することをおすすめします。

建て替え寸前の築古マンションを売却するコツ

建て替え寸前の築古マンションを売却するコツとしては、以下の4つを押さえておきましょう。

  • 一括査定で複数の不動産会社を比較する
  • 入居者がいる状態で売り出す
  • ホームインスペクションをおこなう
  • ハウスクリーニングやホームステージングをおこなう

これらのコツを実行すれば、高額かつスムーズに売却できる可能性が高まります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

一括査定で複数の不動産会社を比較する

築古マンションは一般的に需要が低く、売却には困難が伴います。買い手はなかなか見つかりませんし、価格も相当安くなるのが普通です。

しかし、築古マンションの取り扱いに慣れている不動産会社であれば、高値でスピーディーに売れる可能性があります。実績豊富な不動産会社なら、築古マンションのニーズがある顧客ルートをもっていますし、売り方のノウハウを把握しています。

しかし、不動産会社を1社ずつ調べ、各社の実績を比較するのは大変です。そこでおすすめなのが、不動産会社をまとめて査定できる「一括査定サイト」の利用です。

一括査定なら、簡単な入力で複数社の査定を比べられるので、条件の良い不動産会社を簡単に見分けられます。サイト運営者側で提携企業の厳選をおこなっており、優良業者に絞って調べられるのもメリットです。

例えば、下記のリンクから利用できる「イエウール」では、最短60秒で最大6社に査定を依頼できます。築古マンションの取り扱いに慣れた不動産会社が多数在籍しているので、高額・スピード売却の可能な業者がきっと見つかるでしょう。

より確実に売りたいなら買取業者がおすすめ

より確実に築古マンションを売りたい場合、「買取業者」を利用するのもおすすめです。

買取業者とは、文字通り物件を直接買い取る業者です。これに対し、買主募集や契約手続きのサポートをおこなう業者は「仲介業者」といいます。

買取業者は自社が買主になるため、早ければ数日程度でマンションを現金化することが可能です。また、自社で再生してから再販するのが一般的なので、多少問題を抱えた物件でも積極的に買い取ってもらえます。

再生・再販にかかるコストが差し引かれる分、仲介で売るより2~5割ほど安くなってしまいますが、「スピード重視の売却」や「訳あり物件の処分」をしたいときには、ぜひ検討してみましょう。

入居者がいる状態で売り出す

マンションは、自分で住むだけでなく、投資用物件として貸し出すケースも多々あります。投資用として見た場合、すぐに収益を得られるかどうかは、購入時の重要なポイントです。

入居者がいる状態なら、購入してすぐ、確実に賃料収入を得られるため、需要が高くなります。現行賃料が確定しているため、利回りのシミュレーションをしやすいのも利点です。

築古マンションだと新しい入居者探しに難航することも多くなるので、入居者がいる状態は大きなセールスポイントといえるでしょう。

ホームインスペクションをおこなう

ホームインスペクションとは、家の状況を専門家の目視やレーザーなどでチェックするサービスです。家のコンディションを診ることから、「住宅診断」ともいわれます。

ホームインスペクションを受けることで、家の抱えている不具合や、修繕が必要になる箇所とその時期などがわかります。

築古マンションの購入者にとってとくに怖いのが、購入後に故障などのトラブルが起きることです。ホームインスペクションで不具合を明確にしておけば、どこにどのような問題を抱えているか細かくわかるので、安心して購入してもらえるでしょう。

ハウスクリーニングやホームステージングをおこなう

住宅の売却において、室内をきれいに見せるのは基本的な対策です。築古マンションもそれは同じで、古さを感じる部屋でも室内を良好な状態にしておけば、購入してもらいやすくなります。

内見時に良い印象を持ってもらえるよう、掃除は徹底しておきましょう。自分で掃除するだけでは取り切れない汚れは、プロのハウスクリーニングを依頼するのがおすすめです。

また、部屋の魅力を上げる方法としては「ホームステージング」もあります。室内をモデルルームのように演出するサービスで、売却期間の短縮といった効果が期待できます。

築古だからといって適当な売却をせず、できる限りの工夫に取り組んで売りやすくしましょう。

まとめ

マンションは、そのままの状態で永遠に維持できるわけではなく、築年数が古くなれば建て替えが必要になります。

オーナーとしては、建て替えに参加するか、それとも売却してしまうか、状況に応じて判断しなければいけません。経済的に費用負担がむずかしい場合は、無理せず売却を選んだほうがよいでしょう。

また、管理組合の機能不全などで建て替えの目処が立っていない場合も、売却するのがおすすめです。早めに現金化してしまい、建て替えの伴う面倒事を回避しましょう。

マンションの建て替えと売却についてよくある質問

マンションの建て替えでは、オーナー側に費用負担はありますか?

費用負担がある場合とない場合があります。建て替えに伴う戸数増加で、現状より多くの入居者を得られる場合、費用負担がなくなることもあります。費用負担がある場合、1,000万円以上の負担額になることも少なくありません。

建て替えになった場合、入居している人はどうなるのでしょうか?

管理組合などのサポートのもと、仮住居や新居へ引っ越すことになります。

建て替えは、いつ、どうやって決まるのでしょうか?

管理組合の集会で、区分所有者および議決権の4/5の賛成で可決されます。

建て替えと売却、どちらを選ぶべきですか?

費用負担や管理組合の状況などから「建て替えが可能かどうか」で見極めるようにしましょう。金銭的に余裕がなかったり、面倒事に巻き込まれそうだったりしたら、無理せず売却することをおすすめします。

高く売りたいときはどうすればよいですか?

一括査定サイトで複数の不動産会社を比較し、築古マンションが得意な業者を見つけましょう。とくに、提携不動産会社数2,000件以上の一括査定サイト「イエウール」なら全国対応で、どのエリアでも査定に対応してもらえるのでおすすめです。→【オンラインで価格がすぐわかる!】イエウールの一括査定はこちら

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