実家の売却は、躊躇われる傾向が今でも強くあります。その原因は、心情的な部分が強く、「寂しい」「罪悪感がある」「近所の評判を気にしている」、などにより売却に踏み切れないケースが多いようです。
現在、日本国内の多くの世帯では、昔ながらの「育った家を子世帯が受け継いでいく」という考え方は、徐々になくなりつつあります。子は成人すれば実家を離れ、都会で一人暮らししながら社会人として過ごす生活様式が一般的となっています。
よって、子が独立し親世帯のみとなった実家は、いずれ住む人はいなくなり空き家になってしまいます。このような誰も住む予定がない空き家は、売却するほうが維持管理にかかる手間やコストの負担がなくなります。
また、所有し続けるのであれば、土地活用を行い維持管理できる状態にします。つまり、空き家にして放置しないことが重要です。では、思い切って実家を売却するときに後悔なく行うには、どのようなことをおさえておけば良いのでしょうか?
この記事では、実家売却で後悔しないためのポイントや売却時の注意点、実家を空き家にしてはいけない理由などについて解説していきます。
目次
実家売却は躊躇われる傾向が強い
実家売却は、躊躇われる傾向が今でも強くあります。また、両親が遺した実家の処遇について、困っている人も多いのではないでしょうか?
このような実家の売却を躊躇う感情と、処遇をどうしてよいのかわからないことや兄弟間での話し合いができていないなどにより、空き家になった実家についての結論が出ないままになっているケースが多いようです。
しかし、実家の処遇については、早い段階で決めておくのがおすすめです。なぜなら誰も住まい実家の処遇について、結論を出さずに放置することが最も避けたいことになるからになります。
では、はじめに実家の売却を躊躇う心情とは、一般的にどのようなものになるのか?について以下に解説していきます。
実家の売却を躊躇う理由4つ
実家の売却を躊躇う理由は、以下の4つになります。
- ①生まれ育った家を売却するのは寂しいから
- ②親が守った土地を売却することに罪悪感があるから
- ③兄弟間で集まれる場所がなくなるから
- ④近所の評判を気にしているから
①生まれ育った家を売却するのは寂しいから
一つ目は、生まれ育った家を売却するのは寂しいからです。
本人が生まれ育った実家には、多くの思い出が詰まっています。幼少期に庭で遊んだことやリビングで食卓を囲んでいた時のことなど、実家には多くの思い出があり、実家がなくなることで全てのことがリセットされるような思いになります。
仮に、実家を売却し土地を他人に譲り渡すことで、新たな建物が建つこともあります。これにより実家の痕跡は完全になくなり、寂しさをイメージしてしまうことが多いようです。よって、このような思いから実家の売却を躊躇うことになります。
②親が守った土地を売却することに罪悪感があるから
二つ目は、親が守った土地を売却することに罪悪感があるからです。
実家が先祖から受け継いだ土地であったとしたら、売却に躊躇することはあります。親や先祖が守った土地を自分の代で途絶えさせて良いのかなどを考えると、罪悪感が湧いてきます。よって、このような思いが強いことで、実家の売却を躊躇ってしまうことがあります。
③兄弟間で集まれる場所がなくなるから
三つ目は、兄弟間で集まれる場所がなくなるからです。
夏休みやお正月など、親族で集まる機会は年間で何回もありません。そのときに親族が心置きなく集まれる場所が、兄弟が生まれ育った実家になります。しかし、実家を売却してしまえば親族で気軽に集まれる場所がなくなり、徐々に疎遠になるおそれがあります。
よって、このように兄弟間で集まれる場所がなくなってしまうことに懸念し、実家の売却を躊躇ってしまいます。
④近所の評判を気にしているから
四つ目は、近所の評判を気にしているからです。
実家があった近所には、親が古くからお世話になっている人や知人などがいるケースがあります。実家を売却することで、親世帯が培った近所の評判を落とす原因にもなります。よって、このような懸念点から実家の売却を躊躇ってしまいます。
実家売却は寂しくても空き家にしてはいけない!その理由は?
実家の売却は寂しくても、決して空き家にしてはいけません。実家を空き家にして放置することで、多くのリスクが考えられるからです。ここでは、実家を空き家にしてはいけない理由について解説します。
- ①建物が朽ちると、近隣に迷惑をかけるから
- ②特定空き家に指定されるから
- ③維持費に多額の費用が掛かり続けるから
- ④建物を管理し続ける必要があるから
①建物が朽ちると、近隣に迷惑をかけるから
一つ目は、建物が朽ちると近隣に迷惑が掛かるからです。
家は人が住み維持管理をすることで、良質な状態を保つことができます。例えば、室内はドアや窓の開閉を適度に行うことで、自然と新鮮な空気が入ることや湿気を外に逃がすことができています。これにより、室内の内装や設備機器について急速な劣化を防いでいます。
また、庭木の手入れや雑草の除去など、季節に応じて管理することも必要です。さらに、人目が常に行き届いていれば、外装の損傷などにいち早く気づけ、早期に修理を行えます。
しかし、空き家にしてしまうと定期的に管理はできるものの、常に人がいる状態ではありません。よって、適度な空気の入れ替えや庭木の管理、建物自体の損傷にいち早く気づくことができず、徐々に建物自体の劣化などがどうしても目立ってきてしまいます。
建物が朽ちてしまうと、まずは見た目が悪くなります。近隣に廃屋のような家があれば、近所の人はとても良い気持ちにはなりません。また、このような空き家は不審者などが住みつき、犯罪行為の温床になるおそれもあります。
さらに、衛生的には害虫の被害や台風などの自然災害時に劣化した建物の一部が飛来し、近隣住宅に損傷を与える可能性もあるでしょう。つまり、建物を空き家にすると、近隣に迷惑が掛かるリスクがあります。
②特定空き家に指定されるから
二つ目は、特定空き家に指定されるからです。
2015年5月に施行された「空き家対策特別措置法」では、そのまま放置されると倒壊や著しく保安上危険、若しくは衛生上有害となるおそれがある建物などに対し、特定空き家に指定できるようになっています。
特定空き家に指定されると、固定資産税の減免措置がなくなるなど所有者にとって大きなデメリットとなります。さらに自治体から改善の「勧告」、勧告に従わないと「命令」となり、命令に従わないと最大50万円以下の過料が科せられます。

日本国内で空き家が増え続ける理由4つ
日本国内で空き家が増え続ける理由は、以下の通りです。
- A.生活スタイルの変化
- B.管理ができない空き家を相続しているから
- C.相続放棄により放置されるケースが多いから
- D.新築一辺倒の住宅供給のツケ
A.生活スタイルの変化
まずは、生活スタイルの変化です。
一昔前の日本では、土地は先祖代々受け継いでいくことが一般的でした。3世代同居は珍しいことではなく、その家の長男が家を引き継ぎ、実家を守っていくスタイルとなっていました。
しかし、昭和の後半から平成にかけて、子は成人すると家から出ていくことが主流となり、特に地方や田舎では子は成人すると都会に出て仕事するのが主流となりつつありました。その後、家族を持ち都会で家を持つようになると、実家に帰る機会が徐々に減少していきます。
これにより、子が巣立った実家は親のみが居住することになり、その後の引き継ぎ手がなく将来的に空き家になってしまいます。
B.管理ができない空き家を相続しているから
次に、管理ができない空き家を相続しているからです。
子世帯は、親が亡くなれば実家を相続しなければなりません。しかし、都会に住む子が田舎の実家を定期的に管理することは物理的に難しいケースが多くあります。
よって、空き家を相続し所有するものの、管理ができないことや活用することもなく自らが住む予定もないことから、結果的に空き家となってしまいます。
C.相続放棄により放置されるケースが多いから
続いて、相続放棄により放置されるケースが多いからです。
相続放棄とは、被相続人の財産について相続の権利一切を放棄することになります。つまり、法的には「相続人ではなかった」ということです。しかし、この相続放棄については、他に相続人がいれば家の管理自体は相続した人が行うようになりますが、相続人が一人の場合の相続放棄では家の管理義務は残ってしまいます。
よって、管理義務が残った状態で、相続放棄された家が放置されるケースが多くなり、結果として空き家が増えていることになります。
D.新築一辺倒の住宅供給のツケ
最後に、新築一辺倒の住宅供給のツケです。
日本国内の住宅市場では、新築住宅を中心に供給されており、中古住宅の取引件数は全体の20%程度に留まっています。つまり、古くなった住宅を活用するケースが少ないために、おのずと古い住宅に買い手がつかずに残ってしまうことになります。
また、国の政策にて新築住宅には、購入時などに手厚い税制優遇がある反面、中古住宅では税制優遇などの条件が厳しくなるなど税制的に新築有利な形式になっています。これにより消費者は、税制的に有利な点が後押しし、新築住宅を検討するケースが多くなっているのが現状です。
このような新築住宅一辺倒の住宅供給を続けてきたツケが、空き家増加の要因となっているのは間違いありません。
③維持費に多額の費用が掛かり続けるから
三つ目は、維持費に多額の費用が掛かり続けるからです。
まず、空き家を所有することで、固定資産税や市街化区域内であれば都市計画税が掛かります。このように空き家の維持には一定の費用が掛かり続けます。
よって、マイホーム以外に家の維持費を払うことで、徐々に家計を圧迫するおそれがあります。
④建物を管理し続ける必要があるから
四つ目は、建物を管理し続ける必要があるからです。
空き家は、原則管理が必要になります。定期的な通風や庭木の剪定、雑草の除去、ポストの清掃などです。空き家は管理をし続けなければ、あっという間に朽ちて廃屋になる可能性があるため、1か月に一度程度はこのような維持管理する必要があります。
しかし、自らが居住するマイホームと実家が遠ければ、定期的な管理は難しくなります。このときに使うのが、空き家管理会社です。空き家管理会社に月に一度程度の管理を委託することで、委託費用が掛かり続けます。
よって、空き家がある以上は、自ら若しくは業者への委託にて建物の維持管理を続ける必要があります。

実家を売却するメリット3つ
住む予定のない実家は、空き家にせずに思い切って売却することで多くのメリットがあります。ここでは、実家を売却するメリットを3つ紹介していきます。
- ①実家の所有で悩む必要がない
- ②余計な維持費などの負担がなくなる
- ③纏まった資金を得られる
①実家の所有で悩む必要がない
一つ目は、実家の所有で悩む必要がなくなります。
実家を相続し所有し続けることで、実家の維持や管理の方法、維持に掛かる費用などについての問題が発生します。最たるところは、コスト的な部分ではないでしょうか?
一時的に維持費の負担ができたとしても、長年維持費用を負担し続けることで、家計への圧迫は避けられません。また、実家を将来的にどのようにするのかについて、売却して処分、更地にして活用など、多くの選択肢のなかで悩む期間も長くなります。
しかし、実家を売却すればこのようなことで悩む必要はありません。悩んでいる時間を他のことに充てることで、日々の生活が有意義になることもあります。何よりも悩みが一つなくなり、心に余裕が持てるようになることが一番のメリットと言えるでしょう。
②余計な維持費などの負担がなくなる
二つ目は、余計な維持費などの負担がなくなります。
これら空き家の維持費負担がなくなることで、家計に余裕ができ精神的にはラクな気持ちになれるでしょう。
③纏まった資金を得られる
三つ目は、纏まった資金を得られます。
実家を売却すると、数百万~数千万円単位の資金が手に入ります。これらの資金は、今後の生活費や貯蓄などに充てられます。実家を所有すると維持費の負担にて赤字になるケースが多く、貯蓄を切り崩す可能性があります。
しかし、実家を売却することで貯蓄を切り崩すなどの資産的なマイナスはなく、纏まった資金を得ることによる資産的なプラスを得られるのがメリットと言えるでしょう。
実家を後悔なく売却するコツ7つ
幼少期に過ごした思い出多い実家を後悔なく売却するには、コツがあります。ここでは、コツを7つ紹介していきます。
- ①周辺の売却相場を予め調査しておく
- ②査定は複数社に依頼する
- ③不動産仲介で売却が難しければ買取も検討しておく
- ④建物が使える状態であれば、綺麗な状態で内見させる
- ⑤建物の損傷が激しければ迷わず解体して更地にする
- ⑥売却に関する知識は予めつけておく
- ⑦売却活動を不動産会社任せにしない
①周辺の売却相場を予め調査しておく
一つ目は、周辺の売却相場を予め調査しておくことです。
周辺相場を調査しておくことで、今後受ける不動産会社の査定をより深く理解できることや、査定額に対し実感を持つこと、また査定を出した不動産会社に査定の根拠などを質問しやすくなります。
以下に、周辺相場の調査方法を3つ紹介していきます。
周辺相場の調査の仕方3つ
周辺相場の調査の仕方は、以下のとおりです。
- A.レインズマーケットインフォメーションを利用する
- B.土地総合情報システムを利用する
- C.一括査定サイトを利用する
A.レインズマーケットインフォメーションを利用する
レインズマーケットインフォメーションとは、不動産流通機構(レインズ)が管理するサイトで、誰でも無料で過去の売却事例を閲覧できます。利用方法は、このサイトにアクセスし物件種別や都道府県などから立地を検索していくと、売却を希望する立地での売却事例を確認できます。
なお、レインズマーケットインフォメーションでは、詳細な住所地は伏せられているため、売却を希望する立地ピンポイントで相場を調査することはできません。
B.土地総合情報システムを利用する
土地総合情報システムとは、国土交通省が監修するサイトです。誰でも無料で過去の売却事例を閲覧できることや利用方法などについては、レインズマーケットインフォメーションと同一となります。
C.一括査定サイトを利用する
一括査定サイトとは、不動産の査定を複数社に纏めて依頼できるサイトです。指定のフォーマットに、所在地や広さ、間取り、一戸建てであれば接面道路の方向や長さなどを入力します。入力後送付することで、複数の不動産会社から机上査定の回答を得られます。
机上査定とは、過去の売却事例を元に、今後3か月程度で売却できそうな金額を算出したものになります。よって、机上査定にて算出した数字は、現在の不動産市場に査定物件を投入した場合に売れる見込みの金額となるため、相場を最も反映した数字と言えます。
つまり、一括査定サイトを利用すると今売れる金額を知ることができます。
②査定は複数社に依頼する
二つ目は、査定は複数社に依頼することです。
査定額については、不動産会社毎に微妙に見解の相違があります。また、稀に案件取得を目的にわざと高い査定額を付ける悪徳な不動産会社もあります。査定を複数社に依頼することで、売却できそうな金額が分かることと、著しく高い査定を排除できます。
無論、周辺相場を調査していれば、市場価格を超越した高値査定に食いつくことはないでしょう。よって、査定は複数社に依頼且つ周辺相場の調査をしておくことで、適正価格を把握したうえで売却活動ができます。
③不動産仲介で売却が難しければ買取も検討しておく
三つ目は、不動産仲介で売却が難しければ買取も検討しておくことです。
実家がある立地が駅から極端に離れたところ、田舎などの公共交通機関が乏しい立地であれば不動産需要が低く、売却自体に苦慮するケースが考えられます。このような立地で売却活動しても、売却期間が間延びしその間の維持費負担は当然に掛かってきます。
また、長期間売却できないことで悩むケースが当然にあるでしょう。よって、不動産仲介での売却に難航するのであれば、買取にて実家を処分するのがおすすめとなります。
買取とは不動産会社が買主となる売却方法
買取とは、買取専門の不動産会社が買主となり売買を進める方法となります。買取先が決まれば即契約と引き渡しになるため、取引のスピード感と現金化の早さに特徴があります。
最短では売買契約から1週間程度での現金化が可能なケースもあるなど、売却に難航するケースでは重宝する方法であり且つ売却できないときの最終手段と言えます。なお、買取先を決めるときには複数社に買取査定を出し、最も高値を付けた会社に買取してもらうのがセオリーです。
④建物が使える状態であれば、綺麗な状態で内見させる
四つ目は、建物が使える状態であれば、綺麗な状態で内見させることです。
実家を少しでも高く売るには、内見時に良い印象を与えることが最も重要となります。特に、部屋内などは綺麗な状態で見せることが先決です。部屋内に埃やゴミが落ちていないか、物があれば整理整頓されているか、水回りなどはカビなどの汚れがない状態であるのかなどになります。
仮に部屋内などが汚い不動産は、数千万円も出して買いたいと思う人はいません。よって、内見時には内見者に良い印象を与えられるように部屋内を綺麗にし、電気は全て点灯、明るい時間に内見予約を取るなど、極力良い条件にて内見させるようにしましょう。
⑤建物の損傷が激しければ迷わず解体して更地にする
五つ目は、建物の損傷が激しければ迷わず解体して更地にすることです。
建物が使えない状態で売却する土地、いわゆる古屋付きでの売却は、難航するケースや売却値が安価になることがあります。その理由は、以下のとおりです。
- 買主が古屋を取り壊す必要がある
- 土地の状態を把握しにくい
- 古屋付きだと流通性が悪く、高値売却は望めない
まずは、買主に古屋を取り壊す手間があります。古屋を解体するには、解体業者の手配や解体費用が掛かります。解体費用は多額であることや、解体作業があることで新居建設のための工事期間が間延びします。その間にも土地の維持費用や解体費用の負担、ローンの支払いがあるため、建物は一刻も早く建設したいと買主は思います。
また、古屋があることで土地の状態などを把握しにくいこともあります。仮に更地であれば、土地の状態や形状、周辺建物と敷地の隣接状況などが把握しやすくなります。
よって、古屋付きの土地は余計な工事や費用負担が生じること、土地の状態を把握しにくいため総じて流通性が悪く、結果的に高値売却は望めず、相場より安価になるおそれがあります。つまり、このような事態を回避するために建物が使えない状態であれば、更地にして売却するのがおすすめです。
更地にするには多額の費用が掛かる
更地にするには、多額の費用が掛かります。
例えば、木造一戸建て(2階建て)の解体費用は一般的に1坪あたり3万円~4万円が相場であるため、30坪の家であればおよそ90万円~120万円の解体費用が必要です。なお、解体費は建物の構造や建物が立地するところに起因する「解体のしやすさ」により費用が変わります。
例えば、住宅街の角地に立地する家の解体であれば、間口が広く取れています。これにより、解体する重機の搬入を敷地内にしやすいことや解体物を除去するトラックも横づけしやすくなります。よって、解体に掛かる手間を軽減できることから解体費は安く収まる可能性があります。
一方で、間口が狭く敷地自体が奥まった旗竿地であれば、重機の搬入や解体物の除去もしにくい状況になります。重機が使えないことで手作業に頼ることが多く、解体作業に投入する人数や手間が掛かることから解体費用が高めになる可能性があります。
このように解体工事では、建物の構造や立地状況等により解体費用が変わることに注意します。なお、解体業者選定時には複数社に見積もりを取るのが良いでしょう。
⑥売却に関する知識は予めつけておく
六つ目は、売却に関する知識は予めつけておくことです。
売却で損しないためには、売却の流れ全体を掴んでおくことや売却で予め準備しておくもの、売却をスムーズに進めるコツ、不動産売却に関する税制など、知っておくべきことはたくさんあります。
これらを把握しておくことで、売却自体で損することや後悔することなく行えます。
⑦売却活動を不動産会社任せにしない
七つ目は、売却活動を不動産会社任せにしないことです。
不動産売却は人生で何度もあることではなく、売却に関して素人である人が圧倒的に多くなります。よって、不動産売却自体を不動産会社任せにしてしまうことがあります。
しかし、親が守ってきた財産は後悔なく売却したいと思う気持ちが強ければ、不動産売却について少しでも多く勉強し、わからないことや不明な点は担当者に聞くなど、売主としての積極的な動きも大事になります。
けっして不動産会社の都合で売却が進まないように、売却活動の内容や提案などには注視することが必要です。また、周辺の競合物件や売れ行きなども独自に調査しておくと良いでしょう。
実家売却時の注意点6つ
実家売却を進めるにあたり、注意すべき点があります。以下に、6つ紹介していきます。
- ①相続登記を行っておく
- ②家財等は予め処分しておく
- ③相続人が複数いれば、全員の売却についての同意が必要
- ④一戸建ての場合、正確な土地面積が必要
- ⑤更地にすると固定資産税が約6倍になる
- ⑥売却益がある場合には税金負担がある
①相続登記を行っておく
一つ目は、相続登記を行っておくことです。
相続登記とは、被相続人名義になっている不動産を相続人に名義変更することになります。例えば実家が親名義になっていたら、自らの名義に変更することです。なお、相続登記が必要であるのは、不動産は本人の同意がなければ売却ができないからになります。
よって、実家を売却するには必ず相続登記が必要です。
②家財等は予め処分しておく
二つ目は、家財等は予め処分しておくことです。
家の中に日常生活で使用したものが残置されていると、前の住人の生活感が滲み出ており、内見時にマイナス要素となるおそれがあります。よって、家財等は予め処分しておき、家の中はすっきりとさせておくことが理想です。
また、更地にする場合でも家財は処分する必要があるため、実家を相続し住む予定がなければ、家財は早めに処分しておきます。
③相続人が複数いれば、全員の売却についての同意が必要
三つ目は、相続人が複数いれば全員の売却についての同意が必要です。
不動産売却は、所有者本人の同意が必要であるため、誰か一人でも売却に反対する相続人がいれば売却はできません。よって、相続人が複数人いるケースでは注意します。
④一戸建ての場合、正確な土地面積が必要
四つ目は、一戸建ての場合、正確な土地面積が必要です。
実家が先祖代々から受け継いだ土地の場合、隣接地との境界が決まっていないケースがあり、土地面積が正確ではないことがあります。よって、敷地境界が決まっていないケースでは、境界確定を行い正確な土地面積を登記する事が必要です。
仮に、正確な土地面積が分からずに売買を進めると、売買後に売主買主のどちらかが「得」若しくは「損」することとなり、取引としては不公平になります。また、トラブルを引き起こし兼ねません。
つまり、一戸建てを売却する場合には、正確な土地面積が登記されているかを確認します。
⑤更地にすると固定資産税が約6倍になる
五つ目は、更地にすると固定資産税が約6倍になります。
固定資産税は住宅がある場合、減免措置により評価額が1/6になっているため、更地より税額は安くなっています。しかし、更地にすることで住宅がなくなるため、固定資産税の減免措置がなくなり、住宅があった時に比べて約6倍に税額が跳ね上がります。
よって、実家を更地にする場合には、維持費負担が増えることに注意します。
⑥売却益がある場合には税金負担がある
最後は、売却益がある場合には税金負担があります。
売却して利益が生じると、所得税と住民税の負担があり、その税額は相続した日を起算日とした所有期間により変わってきます。よって、せっかく売却したとしても税金負担や仲介手数料などを支払うことで、手元に残る金額が変わることに注意しなければなりません。
実家の売却は早めがおすすめな理由は税制優遇が使えるから
相続した実家を売却するのであれば、「空き家の3000万円特別控除」が使えるうちに売却するのがおすすめです。相続した日から起算して、3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡することで税制優遇が使えるようになります。つまり、相続した実家を売却するなら早めに動くのがおすすめと言えます。
なお、空き家の3000万円特別控除とは、空き家の売却で譲渡所得(売却益)が生じた場合、最大3000万円控除できる制度です。この制度を利用すると、控除後に残った譲渡所得に対し所得税と住民税が掛かります。よって、空き家の3000万円特別控除を利用することで税負担を少なくできます。
※「空き家の3000万円特別控除」を使うには他にも諸条件があるため、詳細は税務署などのお問い合わせください。
実家を所有するなら土地活用がおすすめ
実家の売却に躊躇いが捨てきれないのであれば、所有後に放置するのではなくその不動産を活用するのがおすすめです。ここでは、実家を所有し続けるときにおすすめの土地活用の方法について、解説します。
土地活用するメリット
以下に、土地活用のメリットを挙げていきます。
- ①収入を維持費の負担に充てられる
- ②土地を守ることができる
①収入を維持費の負担に充てられる
まずは、収入を維持費の負担に充てることができます。
不動産は単に所有するだけであれば毎月赤字となりますが、土地活用し収益を上げることで維持費を賄えます。つまり、毎月の収支の赤字を減らすことや収益が増えれば黒字化も可能です。よって、土地活用が軌道に乗れば毎月の収入アップに繋がります。
②土地を守ることができる
次に、土地を守ることができます。
土地は一度手放すと買い戻すのは大変です。土地活用することで、その土地の特性を活かしつつ維持し続けることができます。維持費の負担が経済的に難しくても、土地活用しその土地自体で維持費を生み出すことができれば家計への影響はありません。
土地活用するデメリット
続いて、土地活用のデメリットです。以下2つになります。
- ①初期費用の負担がある
- ②空室などにより、想定通りの収支にならないことがある
①初期費用の負担がある
まずは、初期費用の負担があります。
駐車場やアパート経営などを行うには、はじめにその施設を設置する事が必要になります。駐車場であれば更地にして整地する費用、アパートであればさらに建物を建てる建設費が必要です。
初期費用の金額は土地活用する種類により大きく異なりますが、土地活用を始めるには初期費用として自己資金の用意が必要になります。
②空室などにより、想定通りの収支にならないことがある
次に、駐車場やアパートは空室など稼働状況により想定通りの収支にならないことがあります。
土地活用を始めるには、周辺に需要があるのかを調査しますが、実際は初めて見ないと稼働状況はわかりません。よって、想定では黒字化を目指していても、周辺に競合施設ができたことや元々の需要予測が間違っていたなどにより、想定通りの収支にならない可能性があることを留意しなければなりません。
おすすめの土地活用4つ
ここでは、実家の土地で行うおすすめの土地活用を4つ紹介します。アパート経営以外は、原則初期費用が安価、若しくは掛からない形で始めることが可能です。
- ①駐車場
- ②アパート経営
- ③トランクルーム
- ④借地
①駐車場
実家の土地活用では、月極駐車場がおすすめです。月極駐車場は、住宅街などの立地がよく、自宅のカーポートに収容できないマイカーの駐車スペースとして需要があります。特に地方では車が主な移動手段となり、一人一台車を所有するケースも少なくありません。
また、月極駐車場は比較的初期費用が掛からず安価に済むため、はじめて土地活用する人にもおすすめの方法になります。
②アパート経営
アパート経営は、実家を更地にしてアパート建設する必要があることから初期費用は多額になります。よって、アパート経営するには多額の自己資金を準備するかアパートローンを組み、資金調達する必要があります。
アパート経営は初期費用が多額な分、経営が軌道に乗れば大きなリターンを得ることも可能になります。資金的若しくは経済的に余裕があり、賃借人の需要が望めるエリアに実家があればアパート経営が良いでしょう。
③トランクルーム
トランクルームは、更地にした土地にコンテナを設置し、物置としてのスペースをレンタルする事業です。トランクルームは、アパート経営と異なり人が住む施設ではないこと、コンテナ自体が丈夫であるため、管理自体はアパートほど難しくはありません。また、トランクルームは一度借り手が付けば、長期間賃貸借契約が持続しやすいという特徴もあります。
なお、トランクルームを運営する会社のなかには、初期費用なしの土地一括借り上げ式を採用するところがあります。これは運営会社に土地を貸し、その土地の賃料を毎月得る契約形態であるため、リスクは一切ありません。
④借地
借地とは、土地をそのまま貸す事業になります。
土地が広く交通量の多いロードサイドに面していれば、コンビニやファミリーレストランを運営する会社に土地を貸しても良いでしょう。土地を貸すだけになるので初期費用はなく、リスクはありません。

まとめ
相続した実家が空き家になるのであれば、売却か土地活用がおすすめです。なぜならば、空き家となった実家を管理せずに放置することで、将来的に多くのリスクが生じるからになります。
また、実家を後悔なく売却するには、コツがあり売却時には注意点があります。よって、実家売却前には予め売却に関する知識を得ておくのが良いでしょう。また、土地活用する場合には、実家がある立地周辺にて需要が高いもの且つ自らの経済状況から初期投資できる範囲のものにする必要があります。
実家を相続したら、空き家として放置しないことが最も重要な事項です。
「実家売却 後悔」に関してよくある質問
実家の売却を躊躇う傾向が強い理由は、主に下記になります。
・生まれ育った家を売却するのは寂しいから
・親が守った土地を売却することに罪悪感があるから
・兄弟間で集まれる場所がなくなるから
・近所の評判を気にしているから
実家を売却すると心情的に「寂しい」「罪悪感ある」などの理由から躊躇うことが多くなります。
実家を空き家にしないほうが良い理由は、下記になります。
・建物が朽ちると、近隣に迷惑をかけるから
・特定空き家に指定されるから
・維持費に多額の費用が掛かり続けるから
・建物を管理し続ける必要があるから
空き家にすることで、定期的な管理が必要になるのと維持費に多額の費用が掛かります。また、根本的に建物を管理し続ける必要があります。仮に、実家から遠方に居住している場合には物理的に管理が難しくなり、空き家管理会社に委託することで委託費用が生じたり、管理せずに放置するおそれがあります。
実家は、早期に売却か土地活用するかを決め、決して空き家として放置しないことが重要です。
以下に、実家を売却するメリットを挙げていきます。詳細は、本編にてご確認ください。
・実家の所有で悩む必要がない
・余計な維持費などの負担がなくなる
・纏まった資金を得られる
後悔なく売却するコツを下記に挙げていきます。詳細は、本編にてご確認ください。
・周辺の売却相場を予め調査しておく
・査定は複数社に依頼する
・不動産仲介で売却が難しければ買取も検討しておく
・建物が使える状態であれば、綺麗な状態で内見させる
・建物の損傷が激しければ迷わず解体して更地にする
・売却に関する知識は予めつけておく
・売却活動を不動産会社任せにしない
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