マンションを貸す際の家賃相場はどう決まる?高く貸すコツを解説

マンション貸す 相場

急な転勤や海外赴任など、さまざまな事情で自宅のマンションを貸すことを検討する際にまず気になるのが、「いくらで貸せるのか?」ではないでしょうか?

マンションを貸すときの家賃は、周辺物件の相場や、不動産会社の賃料査定などから決めていくことが一般的です。

管理費や修繕費、ローン支払いなどをまかない、その上で黒字になれば、理想的な家賃設定と言えるでしょう。

この記事では、マンションを貸すときに家賃を調べる方法や、家賃決定に影響する要素、できるだけ高い家賃で貸し出すための工夫などについて解説します。

この記事のポイント

  • マンションを貸すときに家賃相場を調べる方法は3つ。
  • どのように貸し出すか(貸出形態)も家賃設定に影響する。
  • なるべく高く貸すには、貸し出す時期や不動産会社選びが重要。

目次

マンションを貸す際に家賃相場を調べる方法3つ

マンションを貸す際に家賃相場を調べる方法は、以下の3つがあります。

  • ①周辺物件の相場から調べる
  • ②不動産会社の賃料査定で調べる
  • ③一括査定サイトを利用して調べる

1つで判断するのではなく、できればそれぞれの方法で調べて比較してみましょう。複数の方法で調べることで、より適切な家賃相場がわかります。

①周辺物件の相場から調べる

一つ目は、近隣から条件の近い物件を探し、いくらで貸しているかを調べる方法です。特に、同じマンション内にある別の部屋の賃貸情報があれば、適切な家賃はすぐにわかります。

なお、調べ方については「インターネットで調査する方法」と「不動産情報誌を閲覧する方法」があります。

インターネットで調査する方法

インターネットでの調査でまず行うことは、「家賃相場+地域」等のキーワードで検索することです。そうすると、賃貸物件を検索できる不動産ポータルサイトにヒットします。

地域や最寄り駅、駅距離や広さなどを入力し、自分のマンションと条件の近い物件を探します。自分が借り手になるつもりで検索してみましょう。

なお、ポータルサイトのなかには、現在募集中の賃貸物件のデータを集約し、家賃相場として閲覧できるサイトもあります。手っ取り早く家賃相場を掴めますが、あくまで概算であることは注意しましょう。

不動産情報誌を閲覧する方法

不動産情報誌は、駅やコンビニなどに設置されているフリーペーパーや、書店などで購入できる有料雑誌があります。

例えば、情報量の豊富さで言えば「CHINTAI○○版」がおすすめです。CHINTAIは毎奇数月の24日に発売されており、地域毎に発行されています(東京・神奈川・千葉・埼玉の情報は首都圏版など)。

不動産情報誌には、賃貸物件の探し方や暮らし方など、借り手側の興味を引く情報が多数掲載されています。入居者募集の参考にもなるでしょう。

②不動産会社の賃料査定で調べる

二つ目は、不動産会社の賃料査定を使って調べる方法です。

賃貸物件を扱う不動産会社では、マンションの賃料査定を行っており、周辺の成約実績や現在募集中の賃貸物件など、多数のデータから賃料を提示してくれます。

さまざまな評価要素を多角的に見て判断するため、貸主自身が調べるより的確な調査が可能であり、信憑性の高い相場がわかります。

なお、会社によって評価基準は若干異なるので、なるべく複数社(3社程度)に見積もりをとるのがおすすめです。

③一括査定サイトを利用して調べる

三つ目は、一括査定サイトを利用して決める方法です。

複数の不動産会社にまとめて申し込めるので、各社の査定賃料を手間なく相場がわかります。好条件を提示する不動産会社があれば、そのまま管理を委託するのも良いでしょう。

なお、一括査定サイトの具体例としては、以下のサイトが挙げられます。

HOME4U
リビンマッチ
RE-Guide

指定のフォームから必要事項を入力するだけで、賃料査定が可能です。いずれも無料で使えるので、気軽に活用してみましょう。

マンションを貸す際の家賃決定に影響する要素4つ

マンションを貸す際には、家賃決定に大きく影響する要素があります。以下に代表的なものを4つ紹介していきます。

  • ①間取りや広さ
  • ②築年数
  • ③駅距離などの利便性
  • ④室内の設備や機能の充実度

①間取りや広さ

まずは、間取りや広さです。

マンションの場合、間取りは概ね1K~3LDKが主流となります。間取りによって、需要の高い広さが変わります。

間取りごとに需要の高い広さの目安は、以下の通りです。

  • 1K:20~30㎡
  • 1LDK:40㎡前後
  • 2LDK:50㎡~60㎡
  • 3LDK:65㎡~70㎡

狭くなると需要が下がるのは勿論ですが、広いほど良いとも限りません。1LDKで70㎡など「一般的ではない組み合わせ」だと、却って入居者が集まらず、相場より安く貸さざるを得ないケースがあります。

②築年数

次に、築年数です。

築年数は、一般的に築浅ほど人気が上がります。築浅のほうが、室内の状態や各種設備が良いからです。

傾向としては、築10年以内の物件に人気が集まりやすく、家賃相場も高くなります。一方、築年数が20年を超えると設備のや建物の劣化が目立つようになり、家賃相場も低くなります。

③駅距離などの利便性

続いて、駅距離などの利便性です。駅距離はマンションの家賃相場に対して、特に影響の大きい要素です。

例えば、国土交通省国土交通政策研究所の調査では、駅から1分離れると坪単価が1.9万円下がるという結果が出ています。

参考:国土交通省国土交通政策研究所「住宅の資産価値に関する研究」

駅距離以外には、商店街やスーパーといった生活利便施設の充実度、地域(吉祥寺や自由が丘などエリア単位)の人気度なども、加価値として家賃相場への影響があります。

④室内の設備や機能の充実度

最後に、室内の設備や機能の充実度です。マンションの居住性を高めるのが、室内などに設置される設備となります。

例えば、キッチンはおしゃれなカウンタータイプやアイランド型、浴室にはミストサウナ、リビングには天井カセット式エアコン、寝室にもインターホン完備など、快適な住環境を実現できる室内設備が充実していると借り手へのイメージがよくなります。

設備や機能などが充実したマンションであれば、借り手の問い合わせを多く見込めるため、賃料を高めに設定できます。

マンションを貸す際に家賃相場を調べるメリット

マンションを貸す前に、家賃相場は調べるメリットは以下の通りです。

  • 競合より高すぎる家賃設定を防げる
  • 安定的に賃貸経営を続けられる
  • 家賃の値下げ交渉に備えられる

スムーズな入居者付けや、安定した賃貸経営などのために、家賃相場の調査は必要です。

競合より高すぎる家賃設定を防げる

家賃相場を調査することで、競合物件より高すぎる家賃設定を防げます

相場より高すぎる賃料設定をすると、借り手は現れません。マンションを貸すのであれば、利益を得つつも借り手がすぐ見つかる家賃設定にすべきです。

場合によっては、相場より安く貸し出すことで、競合物件との差別化もできます。賃貸経営では空き室が最も避けるべき状態なので、相場を調べて入居者付けに支障のない家賃設定にしましょう。

安定的に賃貸経営を続けられる

家賃相場を調査することで、安定的な賃貸経営にもつながります

安定した賃貸経営には、一度入居した借り主が長期間居住することが大切です。築年数や設備の充実度などが同程度で、より賃料の安い競合物件があると、借り主に引っ越されるかもしれません。

安定的に賃貸経営をするのであれば、設備仕様や築年数、立地等に応じた賃料設定が必要です。よって、マンションを貸す前の相場調査が必要です。

家賃の値下げ交渉に備えられる

家賃相場を調査することで、家賃の値下げ交渉に備えられるというメリットもあります

入居者を募集していると、家賃の値下げ交渉を持ちかけられるケースが少なくありません。相場を知らずに値下げしてしまうと、今後の賃貸経営に影響します。

しかし、家賃相場を把握しておけば、入居希望者が不当な大幅値下げを求めるきても、毅然として断ることが可能です。

周辺相場を調査しておくことで、根拠を持って値引き交渉に対応できます。

マンションの家賃相場決定にも影響する、主な貸出形態3つ

マンションの家賃相場決定には、貸出形態も影響してきます。ここでは、マンションの貸出形態3つについて紹介していきます。

  • 普通借家契約
  • サブリース
  • リロケーション

普通借家契約

一般的な賃貸借契約では、普通借家契約が締結されます。

普通借家契約とは、1年以上の契約期間が設定され、賃借人に契約違反等がない限り更新可能な契約です。慣習的に2年契約としているケースが多いものの、3年以上の期間が設定されている場合もあります。

普通借家契約は、賃借人に居住する意思がある限り契約の更新は都度可能、且つ契約途中の解約についても予め特約(例えば「賃貸を解約する場合は1カ月前に連絡する」など)を定めることも可能です。

つまり、賃借人に有利な契約形態であるため、3つの貸出形態のなかでは賃料相場が比較的高くなります

サブリース

サブリースとは、空室期間があっても賃貸管理会社が賃料を保証するシステムです。

通常、空室だと賃料収入は当然0円です。しかし、サブリースでは空室でも賃料が保証されるため、収支計画を立てやすくなります。

その代わり、サブリースで設定される賃料は、一般的な相場の8割程度です。空室リスクは回避できるものの、家賃収入は低くなります。

サブリースはオーナー側からの中途解約が困難であったり、利回りが悪くなるといったデメリットがあるため、投資開始時点で将来を見据えた計画を立てることが大切です。

リロケーション

リロケーションとは、定期借家契約(期間を定めた賃貸借契約)のことです

普通借家契約は賃借人の意思次第で更新可能でしたが、リロケーションでは期間満了で契約は必ず終了します。リロケーションを使えば、急な転勤時など、一定期間マンションを空けるときに部屋を有効活用できます。

ただし、借り主にとっては期間の制限があるため、家賃相場は低く、先述した貸出形態より安価で貸し出すの一般的です。

できるだけ高い家賃設定をするための工夫4つ

賃貸経営を安定させるには、できる限り高い家賃で貸すのが理想です。では、できるだけ高い家賃相場で貸すにはどのような工夫があるのでしょうか?

以下に、4つの方法を解説します。

  • ①繁忙期に入居者の募集をする
  • ②築年数が浅いなど好条件であれば相場より高めで設定する
  • ③内見時は綺麗な状態で見せる
  • ④周辺で管理件数が多い不動産会社に委託する

①繁忙期に入居者の募集をする

繁忙期に入居者の募集をする方法があります。

不動産の繁忙期は、一般的に春先の3月上旬~4月上旬です。この時期は、春から新生活を迎える社会人や、転勤により新拠点での住まい探しをする人が最も多くなります。

需要拡大期に募集すると、賃料を少々上乗せしても成約を取れる可能性があります。一般的に賃貸物件の申し込みは先着順であるため、借り手にとって良さそうな物件があれば早めに押さえたいという心理になるからです。

よって、繁忙期に入居者の募集をすることで、高めの家賃設定が可能になります。

②築年数が浅いなど好条件であれば相場より高めで設定する

築年数が浅いなど物件として好条件であれば、相場より高めで設定できます

築年数以外にも、駅徒歩5分以内や眺望の良さ、希少なタワーマンションの最上階住戸なども好まれやすい条件です。このような「誰でも一度は住んでみたい」と思うような好条件の物件であれば、周辺相場より賃料を高めに設定してもよいでしょう。

③内見時は綺麗な状態で見せる

高めの家賃で貸すためには、内見の印象も重要です

汚いと部屋のイメージが下がるため、高い家賃設定に納得してもらえない可能性があります。賃料を高く設定したいのであれば、清潔感は必須項目となります。

内見前には必ず清掃を行い、少しでも綺麗な状態で見せるようにしましょう。

④周辺で管理件数が多い不動産会社に委託する

最後は、周辺で管理件数が多い不動産会社に委託することです。

地域の賃貸情報に詳しく、ノウハウが豊富な不動産会社であれば、ベストな家賃を提示してくれます。

周辺物件と比べたときの強みも判断できるので、利点を活かした宣伝で入居者を見つけてくれるでしょう。

まとめ

マンションを貸すことになった場合の家賃は、周辺物件の家賃相場や不動産会社の賃料査定などから決めていきます

家賃相場を知ることで、競合より高すぎる家賃設定を防ぎ、安定的な経営を続けることが可能です。

自分でも相場を調べつつ、不動産会社ともしっかり相談し、納得のいく賃料でマンションを貸し出しましょう。

マンション貸すときの家賃相場についてよくある質問

  • マンションを貸すときに相場を調べる方法は?

    家賃相場を調べるときは、以下3つの方法があります。
    ①周辺物件の相場から調べる
    ②不動産会社の賃料査定で調べる
    ③一括査定サイトを利用して調べる
    周辺物件から家賃相場を調査する方法には、インターネットか情報誌があります。
    また、不動産会社の賃料査定は、3社程度取得しておきます。
    一括査定サイトは、どこの不動産会社に問い合わせしてよいのかわからないときに利用するのがおすすめです。

  • マンションを貸すときに相場を調査しておいたほうが良い理由とは?

    周辺相場を調査したほうが良い理由は、以下のとおりです。
    ・競合より高すぎる家賃設定を防げる
    ・安定的に賃貸経営を続けられる
    ・家賃の値下げ交渉に備えられる
    家賃相場を調査し予め把握しておくことで、家賃設定で失敗することなく借主を募集できます。また、適正な家賃設定ができることで、借主入居後も賃貸経営が安定します。
    さらに、借主募集時に家賃の値下げ交渉があったとき、根拠を持って対処できるメリットがあります。

  • マンションを貸す際の家賃決定に影響する要素とは何か?

    家賃決定に影響する主な要素は、下記のとおりです。
    ・間取りや広さ
    ・築年数
    ・駅距離などの利便性
    ・室内の設備や機能の充実度

  • マンションの家賃相場決定にも影響する、主な貸出形態とは何か?

    貸出形態は、下記3つとなります。
    ・普通借家契約
    ・サブリース
    ・リロケーション
    一般的な賃貸物件では、普通借家契約が利用されます。普通借家契約は、借主有利な契約形態などの理由のため、3つの貸出形態のなかでは家賃相場は最も高く設定できます。
    また、リロケーションは定期借家契約となり、貸主の空室期間のみ賃貸契約する形態であるため、借主にデメリットが多く家賃相場は最も安価です。

  • マンションを貸すときに、できるだけ高い家賃相場設定をするための工夫とは何か?

    できるだけ高い家賃相場を設定するための工夫は、以下のとおりです。
    ・繁忙期に入居者の募集をする
    ・築年数が浅いなど好条件であれば相場より高めで設定する
    ・内見時は綺麗な状態で見せる
    ・周辺で管理件数が多い不動産会社に委託する