台風被害を受けた家の売却方法とは?注意点や公的支援の使い方を解説

台風被害 家 売却

台風被害を受けた家を売却しようと考えたとき「台風被害にあった家は修理・解体しないと売却できない?」と不安に思う人も多いでしょう。

結論を言えば、台風被害にあった家でもそのまま売却可能です。ただし、損害の大きい家を買う人は少ないので、いつまで経っても買主がつかないというケースはありえます。

台風被害にあった家をスムーズに売却するためには、訳あり物件専門の買取業者に相談しましょう。

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この記事のポイント

  • 家の修理や解体の費用を出せない場合、そのまま訳あり物件専門の買取業者に売却するのがおすすめ。
  • 台風被害にあったまま空き家にして放置していると、固定資産税が上がったり、自治体による強制解体が実施される恐れがある。
  • 台風被害で経済的に苦しいときは、公的な援助を受けられる。

台風被害にあった家を売却するには?

家が台風被害にあうと、次のような不具合が生じてしまうでしょう。

  • 屋根が吹き飛ぶ
  • 鉄塔や電柱が倒れてくる
  • 窓ガラスが割れる
  • 雨水が家に浸水してくる
  • 雨漏りが起きるなど

こうした台風被害にあった家を売却するには、3種類の方法があります。

  1. そのままの状態で売却する
  2. 家を修理してから売却する
  3. 家を更地にしてから売却する

それぞれの方法のメリットやデメリットを1つずつ解説します。

1.そのままの状態で売却する

台風被害にあった家を手間なく手放したい場合、そのままの状態で売却しましょう。

台風に被災したとはいえ、土地自体の価値は変わらないため、家の価値がゼロになるわけではありません。

買主が問題ないと判断すれば、屋根の剥がれた家など、台風被害にあった家でも売却できないわけではありません。

しかし、台風被害にあった家は屋根が剥がれていたり、雨漏りが起きているなど、そのままの状態では需要が少なく売却がむずかしいです。

そうした場合、自社で不動産を買取している買取業者も存在するので、売却先の1つとして検討してみるとよいでしょう。

2.家を修理してから売却する

台風被害が軽微であれば、家を修理してから売却するのもよいでしょう。

家を修理・リフォームすることで不具合さえなくしてしまえば、通常の家と同じ扱いで売りに出すことができます。

ただし、台風被害にあった家を修理する場合、被害が深刻なほど高額な修理費用を負担しなければなりません。

家を売却できても、修理費用によっては赤字になる恐れもあるので、不動産業者の査定などを利用して「家がいくらで売れるか?」を把握してから修理することをおすすめします。

3.家を更地にしてから売却する

台風被害によって家が全壊してしまった場合、更地として売却したほうがよいでしょう。

あまりにも台風被害が大きいと、リフォームしても回復できないので、いまある家を解体して新しい建物へ建て直すしかありません。

この場合、台風被害にあった家を売主が解体しておけば、購入した買主がすぐ自由に利用できるため、買主が見つかる可能性が高まります。

一方で、家の解体費用を売主側で負担しなければならないため、不動産業者に土地自体の資産価値を査定してもらい、更地の場合の売却価格も把握しておくとよいでしょう。

家を売却しないと「特定空き家」に指定されてしまう

台風被害にあった家をそのまま放置してしまう人もいますが、絶対にやめましょう。

次のような台風被害にあった家を放置すると「特定空き家」に指定されてしまう恐れがあります。

  • そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理がおこなわれていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

特定空き家に指定されると、固定資産税の優遇措置を受けられなくなるうえ、自治体が強制撤去した場合は撤去費用を請求される恐れもあります。

  • 「台風被害でボロボロの家なんて、どうせ売れない・・・」

このように不安な人も、一度は不動産業者へ相談して「そのまま売るか?修理してから売るか?」といったアドバイスを受けることをおすすめします。

特定空き家について詳しく知りたい人は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

参照:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報

台風被害にあった家を売却する際のリスク

台風被害にあった家を売却する場合、次のようなリスクがあります。

  • 売却価格が安くなりやすい
  • 「契約不適合責任」により損害賠償請求を受ける
  • 家を修理・解体する場合は費用がかかる

売却価格が下がりやすいだけでなく「契約不適合責任」に問われて、損害賠償請求を受けてしまうリスクもあるため注意が必要です。

それぞれのリスクを1つずつ見ていきましょう。

売却価格が安くなりやすい

台風被害にあった家をそのまま売る場合、売却価格が安くなりやすいです。

台風被害にあった家は購入後に買主が修理して利用しなければならないので、修理費用を差し引いた金額が売却価格となります。

被害箇所を修理してから売却すれば、現状のまま売るよりは売却価格が安くなりにくいですが、必ずしも修理費用に見合う利益が得られるとは限りません。

ですので、台風被害にあった家を売却する場合、不動産業者の査定を受けて「売却価格がいくらくらいになるか?」を予想しておくことが大切です。

「契約不適合責任」により損害賠償請求を受ける

台風被害にあった家を売るとき、被害内容を買主へ伝えずに売却すると「契約不適合責任」に問われて、損害賠償請求を受ける恐れがあります。

「契約不適合責任」とは、売買契約の内容と物件が異なる場合、買主から売主へ損害賠償請求・代金減額・契約解除などを請求できる権利のことです。

民法第562条
1. 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2. 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

引用:e-Govポータル「民法第562条」

例えば、台風被害にあった事実を伝えずに家を売却すると、後から購入した買主が浸水箇所などを見つけた場合に損害賠償を請求されてしまうのです。

「契約不適合責任」による損害賠償請求を回避するには、台風被害の内容を買主へ伝えた上で売却するか、訳あり物件専門の買取業者へ売却するとよいでしょう。

家を修理・解体する場合は費用がかかる

台風被害にあった家を修理・解体してから売却する場合、費用は売主側が負担するのが一般的です。

軽微な補修であれぱ安価で修理できますが、壁に大きなヒビが入っていたり、屋根の瓦が半分以上も剥がれてしまうと、100万円以上も修理費用がかかるケースもあります。


台風被害にあった家の修理費用
修理内容 修理費用
瓦の部分補修 3〜15万円程度
瓦の全面交換 100万円程度
スレート板の部分補修 5,000円~3万円(1枚)
スレート板全面交換 120万円前後(約100㎡)
トタン屋根の部分補修 7千円~1万2,000円/㎡
トタン屋根の全面交換 100万~180万円前後(約150㎡)
ガルバリウム鋼板の部分補修 9千円~1万4,000円/㎡
ガルバリウム鋼板の全面交換 130万~210万円前後(約150㎡)

さらに台風被害にあった家を取り壊すとなると、100万円~300万円も解体費用がかかります。


台風被害にあった家の解体費用
家の構造 20坪 30坪 40坪
木造 80万円~100万円 120万円~150万円 160万円~200万円
軽量鉄骨造 120万円~130万円 180万円~195万円 240万円~260万円
重量鉄骨造 130万円~140万円 195万円~210万円 260万円~280万円
鉄筋コンクリート造 120万円~160万円 180万円~240万円 240万円~320万円

修理・解体費用が売却益を上回ると赤字になってしまう恐れもあるので、事前に不動産業者へ相談してアドバイスを受けるとよいでしょう。

台風被害にあったら公的支援などを活用しよう

台風被害にあって経済的に苦しいときは、無理せずに公的支援などを受けるとよいでしょう。

「罹災証明書」を発行してもらうことで、次のような支援を受けられます。

  • 「被災者生活再建支援制度」の支援金・免税
  • 「災害救助法」による住宅の応急処理
  • 「損害保険」による補償

この項目では、台風被害にあった際に受けられる支援についてご紹介します。

「罹災証明書」を発行してもらう

台風被害にあったら、民間・公的な支援を受けるためにまずは「罹災証明書」を発行してもらいましょう。

「罹災証明書」とは、地震や台風などの災害によって住居が損壊した場合に、被害内容を自治体に証明してもらえる書類です。

認定される台風被害には4段階あり、この認定によって国や自治体から受けられる支援が変わります。

  1. 全壊
  2. 大規模半壊
  3. 半壊
  4. 一部損壊

下記の書類を用意して、家のある地域の市区町村へ申請することで罹災証明書を発行できます。

  • 家の被害状況を確認できる写真
  • 修理にかかる費用の見積りや明細
  • 家の所有者の印鑑と身分証明書
  • 委任状(家族以外が申請する場合)

大規模な台風が起きた場合、罹災証明書の発行まで1週間〜1か月以上もかかるため、早めに申請しておくとよいでしょう。

また、家の中を片付ける前に台風被害がわかる写真を多く撮影しておくと、罹災証明書がスムーズに発行されやすいです。

「被災者生活再建支援制度」の支援金・免税

「被災者生活再建支援制度」とは、自然災害の被害を受けて生活が困難な被災者に対して、都道府県が支援金を支給して生活再建を支援する制度です。

「被災者生活再建支援制度」を受けることで、次のようなメリットがあります。

  • 支援金が支給される
  • 一部の税金が免除・猶予される

住宅が全壊・半壊したときには「被災者生活再建支援制度」の申請について、自治体へ問い合わせてみるとよいでしょう。

つづいて「被災者生活再建支援制度」によって受けられるメリットを1つずつ解説していきます。

支援金を受給できる

台風被害にあった場合は「被災者生活再建支援制度」によって「基礎支援金」と「加算支援金」という2種類の支援金を受給できます。

まず、住宅の損害程度に応じて、以下の「基礎支援金」が支給されます。


住宅の損害程度に応じて支給される「基礎支援金」
家の被害 支給額
全壊 100万円
解体 100万円
長期避難 100万円
大規模半壊 50万円

また住宅の再建方法に応じて、次の「加算支援金」が支給されるケースもあります。


住宅の損害程度に応じて支給される「基礎支援金」
再建方法 支給額
建設・購入 200万円
補修 100万円
賃貸(公営住宅以外) 50万円

支援金を受給するには、家のある地域の市区町村役場へ出向き、基礎支援金は災害発生日から13ヶ月以内、加算支援金は災害発生日から37ヶ月以内に申請しましょう。

一部の税金が免除・猶予される

台風被害にあった場合、以下のような申告・納税について猶予・減免を受けられます。

  • 申告や納税などの期限延長
  • 納税の猶予
  • 予定納税の減額・源泉徴収の徴収猶予など
  • 所得税の全部または一部の軽減(確定申告)
  • 住宅借入金など特別控除の適用期間の特例など

例えば、台風による住宅および家財の価額の1/2以上の損失を受けた場合、その年の所得金額が500万円以下であれば、所得税と復興特別所得税が全額免除されます。

減免措置の条件や詳細については、国税庁のホームページや税務署で確認しましょう。
参照:台風の影響により被害を受けた皆様へ(国税庁)

「災害救助法」による住宅の応急処理

台風によって住居が半壊したケースなど、応急的に修理すれば住める場合は「災害救助法」による住宅の応急修理を受けられます。

ただし「災害救助法」による住宅の応急修理を受けるには、以下の条件があります。

  • 1世帯当たりの限度額は54万7千円以内
  • 災害発生から1ヶ月以内に修理できる
  • 仮設住宅を利用しない

必ずしも支援を受けられるとは限りませんが、応急処理を施してから売却することで、修理費用を抑えつつ、台風被害のせいで下がった家の資産価値を復活できます。

「損害保険」の補償を受けられる場合もある

住宅保険や火災保険といった「損害保険」に加入している場合、台風のような自然災害でも補償を受けられる場合があります。

次のような被害であれば、損害保険の適用内として補償を受けられる可能性が高いです。


損害保険の補償を受けられるケース
被害内容 具体例
台風による暴風雨などによる洪水被害 (洪水で下水や汚水が家の中に流れ込んできた)
台風・暴風雨・竜巻による風災 (強風で屋根瓦が剥がれてしまった)
落雷による被害 (台風によって発生した雷で家電製品がショートした)
高潮・土砂崩れ・落石などによる被害 (土砂が崩れて自宅が巻き込まれた)
洪水や土砂崩れによる床上浸水 (台風による高潮や高波で床下浸水が起きた)

ただし、保険金の請求期限は3年間と決められているため注意しましょう。

保険法第95条
保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条又は第九十二条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、三年間行わないときは、時効によって消滅する。

引用:e-Govポータル「保険法第95条」

例えば、2019年9月に発生した千葉県の台風15号の場合、2022年10月に申請しても請求期限を過ぎているので、保険金が下りない可能性が高いです。

同じ台風被害でも、家の状況や保険会社によっては適用されないケースもあるので、まずは加入している保険会社へ連絡して確認してみましょう。

台風被害にあった家をそのまま売却するコツ

台風被害にあった家をそのまま売る場合、買主が見つからずに「売りたくても売れない」状況に陥ることも少なくありません。

台風被害にあった家をそのまま売却するには次の3つのコツがあります。

  1. 台風による被害を買主へ告知する
  2. 住宅診断で被害箇所を明確にする
  3. 訳あり物件専門の買取業者に買取してもらう

それぞれのコツについて、具体的に見ていきましょう。

1.台風による被害を買主へ告知する

台風被害を受けた事実を買主へ伝えることで「契約不適合責任」による損害賠償請求を回避できます。

「契約不適合責任」を回避するには、以下のような点を買主へ伝えましょう。

  1. どの部位が冠水したか?
  2. 水位はどのくらいだったか?
  3. 腐食などの被害はないか?

これらの被害を事前に伝えておけば、もし売却後に買主から「家に不具合がある」とクレームを入れられても責任を負わずに済みます。

2.住宅診断で被害箇所を明確にする

台風被害を受けた事実を買主へ伝える場合は「住宅診断」によって家の被害箇所を明確にしておくとよいでしょう。

住宅診断とは、家の基礎や外壁などの劣化具合や雨漏りの状況などを、住宅診断士という有資格者が調査することです。

台風被害にあった家でも、あらかじめ住宅診断をしておけば、買主が安心して購入できるので、売買契約に結びつく可能性も高まります。

3.訳あり物件専門の買取業者に買取してもらう

台風被害にあった家をいますぐ売却したい場合「訳あり物件専門の買取業者」に買取してもらうとよいでしょう。

大手不動産業者などの売主と買主を取り継ぐ「仲介業者」ではなく、自社で物件を買取している「買取業者」へ売却する場合、次のようなメリットがあります。

  1. 買主を探す必要がないので早く売却できる
  2. 現状そのままの状態でも家を売却できる

ただし、買取業者によっては台風被害にあった家を「訳あり物件」として買取拒否されてしまう恐れもあるため注意が必要です。

台風被害にあった家をそのまま買取してもらいたい場合、買取業者の中でも「訳あり物件専門の買取業者」へ相談するとよいでしょう。

まとめ

台風被害にあった家でも、修理・解体をおこなったり、売却先を選べば売却できます。

台風被害にあった家は「訳あり物件」として扱われてしまうため、通常の家に比べて売却がむずかしいことは否めません。

しかし、台風被害に対する公的支援や保険なども受けられるので、家の修理費用に充てるなど、最大限活用することをおすすめします。

また「台風被害にあった家を早く・高く売却したい」という場合は、自社で物件を買取している「訳あり物件専門の買取業者」へ相談するとよいでしょう。

台風被害を受けた家の売却についてのQ&A

  • 台風被害を受けた家でも売却できますか?

    台風被害を受けた家でも、法律上は修理・解体をしなくても問題なく売却できます。ただし、買主が見つかりにくいため、修理・解体してから売却するのが一般的です。

  • 台風被害を受けた家を売却する場合、どのような方法がありますか?

    そのままの状態で売却する方法の他にも、家を修理してから売却したり、家を更地にしてから売却する方法があります。

  • 台風被害にあった家を売る場合、注意するべき点はありますか?

    台風被害にあった家は売却価格が安くなりやすく、売却できても「契約不適合責任」により損害賠償請求を受けたり、家を修理・解体する場合に費用がかかるといったリスクがあります。

  • 台風被害にあった場合、どのような公的支援が利用できますか?

    「罹災証明書」を発行してもらうことで「被災者生活再建支援制度」の支援金・免税や「災害救助法」による住宅の応急処理や、「損害保険」の補償を受けられる場合があります。

  • どうすれば台風被害にあった家を修理・解体せずに売却できますか?

    台風による被害を買主へ告知したり、住宅診断で被害箇所を明確にしましょう。買主が見つからない場合は「訳あり物件専門の買取業者」に買取してもらうのも選択肢の1つです。