マンション売却にかかる税金はいくら?計算式と節税控除について解説します!

マンション売却税金

「マンションを売却したいけど、税金がどのくらいかかるのか気になる…」

マンション売却は初めての方も多いことと思います。

実は、マンションを売却すると譲渡所得税・登録免許税・印紙税の3つの税金がかかります。

これらの税金は売却価格や取得費用、マンションの所有期間に応じて税率が変わりますので、その合計金額は思った以上に高額になる場合もあります。

ですが、特例や控除をうまく活用することで節税することもできますので、それらの知識を学んでおくと安心です。

そこで今回は、マンション売却にかかる税金の概要や計算方法、節税控除の種類について分かりやすく解説します。

マンション売却後に高額な税金が発生するのではないかと心配している方は必見の内容となりますので、ぜひ最後までお読みください!

マンション売却時にかかる税金

マンションを売却する際には、売却益に応じて様々な税金がかかってきます。

これから売却計画を立てる上で、売却時に適用される税金を理解しておくことは非常に重要です。

主にマンション売却にかかる税金は以下4種類。

  1. 譲渡所得税(所得税・住民税)
  2. 復興特別税
  3. 登録免許税
  4. 印紙税

この項目では、マンション売却時にかかる税金について、一つずつ詳しく解説していきます。

一目で情報を知りたい人は以下のまとめ表をご覧ください。

マンション売却でかかる税金と納付時期まとめ表

譲渡所得税(内訳) 納付時期 税率
所得税 確定申告時に納付 5年超の長期所有:15%
5年以下の短期所有:30%
住民税 給与天引きの場合、翌年6月~翌々年5月 5年超の長期所有:5%
5年以下の短期所有:9%
復興特別税 確定申告時に納付 所得税に対し2.1%
その他の税金
印紙税 売買契約時 売却価格により変動
詳しくはコチラ
登録免許税(抵当権抹消時) 引き渡し時 不動産1つにつき1000円
消費税 サービス料金支払い時 金額の10%

 

マンション売却で利益が出た場合の税金

マンション売却で利益が出た場合は主に「譲渡所得税」と「復興特別税」の2つの税金がかかります。

マンションを売却して利益が出た場合、所得税や住民税などの税金がかかり、これらの税金をまとめて「譲渡所得税」といいます。

また、マンションを売却した年には、東日本大震災の復興のために導入された「復興特別税」がかかることもあり、復興特別税の税率は2.1%で所得税額に対し課税されます。

それぞれ詳しくみていきましょう。

  

譲渡所得税(所得税・住民税)

譲渡所得税は、土地や建物などの資産を売却して得た利益に対して課税されます。

不動産を売却して利益を得た場合=譲渡所得となり、それにかかる税金ということですね。

譲渡所得税の税率は所有期間によって大きく変わるのが特徴で、これを知らずに売却時期を見誤ると高い税金を支払うことになる恐れがあります。

譲渡所得税の所有期間における税率(復興特別税を含まない)
※1所有期間が5年以下:税率は39%(所得税30%、住民税9%)
※2所有期間が5年を超える:税率は20%(所得税15%、住民税5%)

つまり、マンションの所有期間が5年を超える場合、税率が半分ほど低くなるため課税対象額が減額される場合があります。

→より詳しい譲渡所得税の計算シミュレーションはこちら

  

復興特別税

復興特別税とは、東日本大震災の復興財源として2011年に創設された税金のことです。(2037年12月31日までかかる)

法人と個人どちらも復興特別税がかかっていましたが、現在は個人のみが支払い義務のある税金となりました。

復興特別所得税の税率は2.1%で基準所得税額※にかかります。

※所得にかかるのではなく、税金・控除などが差し引かれた残りの所得税額にかかるのがポイント

基準所得税額×2.1%=復興特別所得税額

 

マンション売却で利益関係なく一律でかかる税金

マンションを売却する際には、利益が出た場合に課税される所得税や住民税だけでなく、売買に関する手数料や諸費用も発生します。

その中でも、どのような条件であっても必ずかかる税金が「登録免許税」と「印紙税」。

この2つの税金ついて、それぞれ詳しく解説していきます。

  

登録免許税

登録免許税は、不動産の登記手続きを行う際にかかる税金のことを指します。

マンション売却においては「※抵当権抹消登記」「※所有権移転登記」の2つにこの税金がかかります。

※抵当権抹消登記(売主負担)
抵当権が付いているマンションを売却する場合、売却時には抵当権抹消の登記手続きが必要となります。
※所有権移転登記(買主負担)
不動産を売却した際に、買主に所有権が移ったことを証明するために行います。
不動産の固定資産税×税率=登録免許税

土地や建物の評価額(固定資産税評価額)に税率をかけて計算します。

不動産売買の場合、基本的に土地と物件それぞれにかかり、税率が2%となります。

住宅ローンを組んで購入したマンションを売る場合、抵当権抹消登記が必要なので(不動産一つにつき1,000円)、おおよそ土地建物合わせて売主は2,000円の登録免許税を負担することとなります。

まとめると、マンションを売却する際には、売主が抵当権抹消登記費用を負担(抵当権が付いている場合のみ)、所有権移転登記費用は買主が負担する。

両者に登録免許税という形で税金が発生することになります。

  

印紙税

印紙税は、日本国内で発行された公文書、私文書など一定の文書を作成する際に納める税金のことを指します。(収入印紙の貼り付けと消印で納税)

例えば、不動産売買契約書、譲渡証明書、債権譲渡契約書、契約書、領収書などが含まれます。

不動産売買においては、売主と買主が契約を結ぶ際に不動産売買契約書を作成します。

この契約書には、売買価格、引渡し時期、引渡し方法、保証事項、契約解除に関する事項などが含まれます。

不動産売買契約書には一定の金額に応じた収入印紙が必要であり、売主または買主が納付する必要があり、収入印紙は、契約書に貼り付け、消印することで納税が完了します。

納める収入印紙の金額は、売買価格によって異なり、不動産売買契約書の場合、売買価格に応じた金額が印紙税として課されます。

例えば、売買価格が500万円以下の場合は1,000円、500万円を超え1,000万円以下の場合は5,000円、1,000万円を超える場合は1万円の印紙税がかかります。(軽減税率での税額です)

契約金額 本則税率 軽減税率
10万円を超え 50万円以下のもの 400円 200円
50万円を超え 100万円以下のもの 1千円 500円
100万円を超え 500万円以下のもの 2千円 1千円
500万円を超え1千万円以下のもの 1万円 5千円
1千万円を超え5千万円以下のもの 2万円 1万円
5千万円を超え 1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え 5億円以下のもの 10万円 6万円
5億円を超え 10億円以下のもの 20万円 16万円
10億円を超え 50億円以下のもの 40万円 32万円
50億円を超えるもの 60万円 48万円

参照:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」

 

マンション売却での仲介依頼費用・手数料等にかかる消費税

マンションを売却する際には、不動産仲介業者に依頼することが一般的です。不動産仲介業者は、契約書の作成や買い手の紹介など、様々なサービスを提供することによって手数料を受け取ります。

この手数料にはもちろん、消費税がかかります。

また、マンションの売却に関連して発生するその他の費用や諸経費についても、消費税がかかる場合があります。

たとえば、不動産鑑定や司法書士による登記手続きにおける費用などが挙げられます。

なお、消費税は税率が変わることがありますので、売却時には最新の税率を確認する必要があります。

マンション売却で気になる譲渡所得税の計算方法

この項目では譲渡所得税の計算方法について説明します。

譲渡所得税を算出するにあたり、事前にいくつか算出すべき項目があるため、分かりやすいよう先に手順を説明します。

  1. 譲渡所得を算出するため「譲渡価額、取得費、譲渡費用」を算出
  2. 3項目の算出が終わったら、譲渡所得を算出
  3. 譲渡所得が分かったら、譲渡所得税を算出

大まかに上記3STEPで譲渡所得税を求めていきます。

では、順番に①から計算してみましょう。

①譲渡価額、取得費、譲渡費用をそれぞれ算出

譲渡所得を求めるための前準備として、以下三項目をまず算出します。

と言っても、実際に細かく計算する項目は取得価格の部分。他2項目はそこまで難しくはありません。

譲渡価額:マンション等を売却した時の収入のこと。固定資産税および都市計画税の清算金も含まれる。

譲渡価額 = 売却価格 + 固定資産税清算金※

譲渡代金のほかに、譲渡から年末までの期間に対応する固定資産税および都市計画税(未経過固定資産税等)に相当する額の支払を受けた場合には、その額は譲渡価額に算入されます。

引用:No.3214 土地建物を売ったときの収入金額に含める金額

※固定資産税精算金とは、物件引き渡し後に発生する固定資産税や都市計画税相当額を、売主が買主から受け取る金銭のことです。

取得費:資産を取得した際の価格(購入価格)

物件の取得費には、物件の購入価格や購入時の諸費用が含まれます。

また、建物の購入費用には減価償却費がかかってくるので、差引後の金額を計算に使用する必要があります。(土地の価値が時間で減少しないため、減価償却の非対象)

減価償却費とは、建物などが経年劣化によって価値が減少したことを表す費用のことです。建物は有形物なので、築年数が経過するほど価値が減少していきます。

上記を含めた、取得費の計算式は以下となります。

取得費 = 購入時にかかる諸費用 +土地購入価格 +(建物購入価格 - 減価償却費)

譲渡費用:売却費用(仲介手数料や印紙税)

売却時にかかった費用には、物件を売るために使用した不動産仲介手数料や広告費、売買契約書への印紙税等々が含まれます。

人によって、これはかかった・かからなかったという費用もあるため、計算式のようなものはありませんので、分かりやすく「売却時にかかった総費用」と覚えておきましょう。

②譲渡所得を算出( 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用)

譲渡所得は、前項目で算出した譲渡価額(譲渡によって得た収入)から物件の取得費と売却時にかかった経費を差し引いた額で求められます。

譲渡所得 = 譲渡価額(価格) - 取得費 - 譲渡費用(売却経費)

譲渡所得が算出できたら、後は簡単。譲渡所得に税率をかけ、税を算出します。

③譲渡所得税を算出( 譲渡所得 × 税率)

譲渡所得が算出できたら、売却物件の所有期間を確認し、該当する税率を譲渡所得にかけます。

物件の所有期間によって以下のように税率が変わるのがポイントです。

  1. 短期譲渡所得:所有が5年以下で所得税率30%・住民税率9%
  2. 長期譲渡所得:所有が5年超で所得税率15%・住民税率5%

見て分かる通り、物件の所有期間が5年を超えると税率は大きく下がります。そのため、所有期間を確認してから税率が下がるタイミングで売却するのがかしこい売り方かもしれません。

ただし、物件によっては税率が高くなっても「新しい」という強みを押し出してすぐに売りたいのであれば、早めに売却したほうが売れやすいということも。

物件の市場価値がどの部分にどれだけあるのかを見極めることが売却成功への近道です。

マンション売却にかかる譲渡所得税シミュレーションと節税控除について

譲渡所得税の計算方法が分かったところで、実際にマンション売却をおこなったという体のシミュレーションをしてみます。

具体的な価格を設定し譲渡所得税を算出することで、売却価格から税金がどのくらいかかるのかイメージしやすくなるかと思います。

【マンションを5000万円で売却したケース】
■前提条件
物件種類:居住用マンション
売却価格:5000万円
売却にかかった諸経費:200万円
購入価格:3500万円

所有期間(5年以下、5年超)ごとの計算シミュレーションを次の項目からそれぞれ詳しくやっていきたいと思います。

 

短期譲渡所得の場合における計算シミュレーション

所有期間が5年以下の短期譲渡所得の場合、計算シミュレーションは以下のようになります。

5,000万円 - ( 200万円 + 3,500万円 )= 課税譲渡所得 1,300万円 × 39.63% = 譲渡所得税 515.2万円

3000万円特別控除の特例を受ける場合は以下。

5,000万円 - ( 200万円 + 3,500万円 )= 課税譲渡所得 1,300万円 - 3,000万円特別控除 = -1,700万円 × 39.63% =譲渡所得税 -673.7万円(税金0円)

 

長期譲渡所得の場合における計算シミュレーション

所有期間が5年を超える長期譲渡所得の場合、計算シミュレーションは以下のようになります。

5,000万円 - ( 200万円 + 3,500万円 )= 課税譲渡所得 1,300万円 × 20.315% = 譲渡所得税 264.1万円

3000万円特別控除の特例を受ける場合は以下。

5,000万円 - ( 200万円 + 3,500万円 )= 課税譲渡所得 1,300万円 - 3,000万円特別控除 = -1,700万円 × 20.315% = 譲渡所得税-345.4万円(税金0円)

 

譲渡所得税を抑えるための節税控除

譲渡所得税を抑えるためには、節税控除を活用することが重要となります。

節税控除とは、譲渡所得が発生した際にその金額から差し引かれることで税金を軽減できる制度のことです。

代表的な節税控除としては、

  1. 「3000万円の特別控除」
  2. 「譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」
  3. 「取得費加算の特例」

があります。

これらの節税控除を上手に活用することで、譲渡所得税の負担を減らすことができます。

それぞれについて、一つずつ詳しく解説していきます。

※適用条件や計算方法については複雑な場合があるため、税理士などに相談することをオススメします。

  

3000万円の特別控除

マンションを自分の住居として所有している場合、3,000万円の特別控除が適用されます。

この特別控除を利用するためには、まず譲渡所得を求める必要があります。譲渡所得は、譲渡価格から取得費、譲渡費用、そして3,000万円を差し引いた金額となります。

もし譲渡所得がマイナスとなれば、税金は発生しません。

ただし、この特別控除を利用するためには、所有するマンションが自分自身の住居である必要があります。賃貸物件など、他人に貸している住宅は対象外となります。

居住用財産とは、現在自分が居住している家屋や、共に譲渡する敷地、災害によって滅失した場合でも一定期間内に譲渡する場合などが該当します。

もし元自宅を他人に貸していた場合でも、3年以内に売却すれば居住用財産として認められます。

3000万円の特別控除を受ける条件

1.自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。

ただし、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが必要です。

また、住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、以下の2つの要件に当てはまることが必要です。

(1)その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(2)家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

2.売った年の前年および前々年に、「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」または「マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例」の適用を受けていないこと。

3.売った年、その前年および前々年に「マイホームの買換えやマイホームの交換の特例」の適用を受けていないこと。

4/売った家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

5.災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。特別な関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

※なお、「特定増改築等住宅借入金等特別控除」や「認定住宅新築等特別税額控除」については、この特例の適用を受けた場合には、入居した年及び前の2年の間に売却した場合には、これらの特別控除の適用は受けられません。

また、入居した年から3年以内に、特定増改築等住宅借入金等特別控除の対象となる資産以外の資産を売却し、この特例の適用を受ける場合にも、特定増改築等住宅借入金等特別控除の適用は受けられません。

引用:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例

「譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」とは、マンションを売却した際に売却額が購入額を下回り、譲渡所得がマイナスになった場合に利用できる特別な控除方法です。

この場合、譲渡損失分の金額を他の所得(例えば給与所得や事業所得)から差し引くことができる「損益通算」が可能です。さらに、差し引いても譲渡損失の金額がその年の所得よりも大きい場合は、「繰越控除の特例」を利用することができます。

この特例を利用することで、最長3年間は譲渡損失を翌年以降の所得から差し引くことができます。

参照:国税庁

取得費加算の特例

取得費加算の特例は、相続したマンションを売却する場合に、相続税の一定額を取得費として加算することができるという特例です。

この特例を利用することで、譲渡所得税を軽減することができます。

譲渡所得税は、売却金額から購入費や手数料などの経費を差し引いた利益に課せられる税金であり、この特例が適用されると、相続税も経費として差し引くことができます。

相続したマンションを売却する際には、住民税や所得税に加えて相続税もかかるため、売主にとっては大きな負担となります。

しかし、取得費加算の特例を利用することで、相続税を軽減することができます。

マンション売却にかかる各税金の納付方法や期限

マンション売却に伴い発生する税金には、登録免許税や譲渡所得税(所得税、住民税)、印紙税などがあります。

それぞれの税金には、納付方法や期限が定められています。

一つずつ詳しく解説していきます。

 

登録免許税は不動産の引き渡し時に支払う

所有権移転登記に伴って発生する登録免許税は、不動産の売買契約が完了した後に支払われます。

登録免許税は、不動産の登記に必要な手続きの一つで、買主の名義で登記された不動産に対して発生する税金です。

実務上においては、登記前に買主が登録免許税を支払い、引き渡し当日に司法書士が代理で支払うことが一般的。これは、引き渡しの際にすべての手続きが完了していることを確認するためです。

登記免許税の金額は、不動産の売買価格に応じて変動します。支払いの際には、売主と買主が応分の負担をすることができますが、実際には買主が全額を負担します。

 

印紙税は売買契約時に収入印紙を契約書に貼り付けて支払う

印紙税は課税文書の作成時に発生する税金で、課税文書に消印が押されることで納税が完了する仕組みになっています。

ちなみに課税文書には、契約書、請求書、領収書、譲渡証明書などが含まれます。

これらの課税文書に対して消印が押された後に行われるため、消印を忘れないようにする必要があります。

万が一、正しく納税されていない場合は、過怠税が追加されます。

課税文書に収入印紙を貼付しただけで消印が押されていない場合は、その収入印紙と同額の過怠税が課税されます。

また、課税文書自体に収入印紙が貼られていない場合は、その収入印紙のおよそ倍額の過怠税が課税されます。

 

譲渡所得税は所得税と住民税それぞれ納付期限が異なる

前述した通り、譲渡所得税は不動産などの資産を売却した際に発生する税金で、所得税と住民税が同時に含まれます。

ただし注意点があり、所得税と住民税の納付期限はそれぞれ異なるということです。

  

所得税は不動産売却をした翌年の2月16日~3月15日の確定申告期間中に納付

所得税は、不動産を売却した後の翌年2月16日~3月15日に確定申告し納税する必要があります。(2月16日と3月15日が土日祝日の場合は、翌平日が期限となります)

申告の際には、振替納税の手続きも行うことができます。振替納税を選択した場合、納税金額は銀行口座から自動的に引き落とされる仕組みです。通常、振替納税を利用する場合は4月頃に納税が行われます。

具体的な手続き方法や納税金額の計算方法については、税務署のガイドラインや税務専門家の助言を参考にすることをおすすめします。所得税の申告は重要な手続きであり、正確な情報と適切な手続きが求められます。

  

住民税は不動産売却をした翌年の6月以降に納付

まず、所得税の確定申告をすれば、住民税の手続きは不要となります。

そうでない場合、申告した年の5月以降、市町村から住民税の納付書が送付されるので、一括払いまたは年4回の分割払いで支払う形となります。

上記のような納税通知書でみずから納付する方法のことを「普通徴収」といい、会社員で毎月の給与から天引きされる場合は「特別徴収」という形で納付されます。

マンション売却後の確定申告はいつどういう流れで行う?

確定申告の時期は、マンションを売却して所得が発生した翌年の2月16日~3月15日に行います。

上記の機関までに全額納税するのが好ましいですが、難しい場合は税金の半分を期間内に納税すれば残りの税金の支払いを5月31日まで延納できます。

確定申告の流れは後述しますが、まず最初に「確定申告が必要か否か」をしっかりと判断することから始めましょう。

 

確定申告の必要があるか無いかをまず判断しよう

マンション売却で確定申告が必要・した方がいい場合とそうでない場合があります。

まず、しなければならないorした方が良いケースは以下。

  • 「譲渡所得」が出た場合
  • 税金還付の特例を利用する場合

それぞれ解説していきます。

  

【確定申告が必要】譲渡所得が出た・特例控除を利用したい場合

確定申告は、所得税や住民税など、納税額を計算するための手続きです。

マンションを売却して譲渡所得が出た場合、譲渡益として所得税の課税対象となり、住民税にも影響を及ぼす可能性があります。

ただし、譲渡所得が発生しても、特定の条件を満たせば税金を支払わずに済む「特例」があります。たとえば、売却益を別の不動産に再投資する「再投資特例」や、住宅ローンの返済に充てる「住宅特別控除」などがあります。

しかし、これらの特例を利用する場合、確定申告を行う必要があります。

つまり、譲渡所得がある場合は確定申告をする必要があるかつ、その際に特例を利用するかどうかも判断する必要があります。

 

確定申告の流れと必要書類

マンション売却における確定申告の流れは以下の通りです。

  1. 確定申告に必要な書類を集める
  2. 譲渡所得税の計算をする
  3. 確定申告書類を作成する
  4. 税務署での手続きをする

マンションの売却から確定申告までに時間が経つため、書類が不足していると申告できないリスクがあります。そのため、事前に流れや必要な書類を把握することが重要です。

次にマンション売却時に必要となる書類をそれぞれ解説していきます。これらの書類を事前に用意しておくことで、スムーズな確定申告が可能となりますのでぜひ覚えておいてください。

確定申告書

譲渡所得税の支払いをするためには、確定申告書を提出する必要があります。

不動産の売却による譲渡所得税の場合、申告書B様式と分離課税の申告書の2種類が必要となります。この2つの書類を用意しておくことが、不動産売却時の確定申告には欠かせません。

【申告書B様式】
譲渡所得を得ている方が使用する申告書です。
【分離課税の申告書】
※分離課税の申告書が必要になるのは以下の場合のみです。
  • 土地・建物の譲渡
  • 株式の譲渡
  • 申告分離課税を選択した上場株式の配当
  • 先物取引
  • 山林所得
  • 退職所得

譲渡所得計算証明書

譲渡所得計算証明書は、譲渡所得の内訳を示す書類であり、マンションを売却する場合には確定申告の際に必ず必要となります。

この証明書は確定申告書とは別に用意する必要がありますが、税務署から入手することができる他、国税庁のウェブサイトからもダウンロードできます。

入手後、証明書を先に記入することで必要な数字が整理され、確定申告書の作成がスムーズに進むため、是非事前に記入することをおすすめします。

除票住民票

譲渡所得税の確定申告には、自分が売却したマンションに住んでいたことを証明する必要があります。しかし、登記変更を済ませた後に住民票を取得しても、その目的には適いません。

そのため、引っ越してから5年以内であれば、住民票の除票を取得することができます。

ただし、売却したマンションと同じ地域に住所を移転した場合、住民票が取り除かれていないこともあり得ます。

このような場合は、現在の住所の住民票を取得して、前の住所を確認することができます。

この住民票を提出することで、代替証明として使用することができます。住民票の除票と同様に、この書類もマンションの売却時の確定申告には必要となる書類です。

売却時の売買契約書の写し

マンションを売却したら、確定申告の際に売買契約書のコピーを提出する必要があります。これは自分で用意する必要がありますので、大切に保管しましょう。

売却利益を正確に算出するためには、売却価格ではなく成約価格が記載されている契約書を用意する必要があります。

そのため、確定申告のためには売買契約書が必要となることがわかります。

媒介報酬や印紙代等の金額が分かる書類

マンションを売却する場合、譲渡所得の価格を算出するためには、売却価格とともに、取得費用と売却費用も把握する必要があります。

売却価格は売買契約書で確認できますが、取得費用と売却費用は、正確な金額を把握するために提出が必要な書類です。

取得費用には、印紙税や抵当権抹消の費用などが含まれます。

売却費用には、不動産会社への手数料や媒介報酬などが含まれます。これらの費用を明確に示す書類「媒介報酬・印紙代の明細」を準備しましょう。

つまり、マンションを売却する場合、売却価格だけでなく、取得費用と売却費用も算出する必要があることを理解し、正確な金額を示す書類を用意することが大切です。

住み替えで住宅ローン控除を利用するのに必要な書類

住み替えをする場合、住宅ローン控除として知られる住宅借入金等特別控除が適用されます。

この制度では、住宅ローンの1%を年間控除して、10年間にわたって適用されます。ただし、適用上限は物件の種類によって異なります。

一般住宅の場合は、住宅ローンの年末残高が4,000万円までが上限で、1年間40万円で、10年間で400万円の控除が受けられます。

認定住宅の場合は、住宅ローンの年末残高が5,000万円までが上限で、1年間50万円で、10年間で500万円の控除が受けられます。

必要な書類は以下の通りです。

  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 本人証明書
  • 建物・土地の登記事項証明書
  • 建物・土地の不動産売買契約書
  • 勤務先から入手する源泉徴収票
  • 住宅ローンの残高を証明する「残高証明書」
  • 耐震基準適合証明書又は住宅性能評価書の写し
  • 認定通知書の写し

以上の書類を揃えて、住宅ローン控除の申請手続きを行いましょう。

マンション売却を成功するためには特例や税率の把握が大切

「マンション売却の成功」というのは単純に物件が高く売れることではなく、売却したことによって得た利益が多くなることが成功と言えます。

そのためには、売却によってかかる税金をどれだけ抑えられるかというのも非常に重要。

使える特例はすべて利用するのはもちろん、売却のタイミングも見極めることが大切となります。

 

マンション所有期間によって税率が変わるので売るタイミングをよく考える

マンションを売却する際には、所有期間によって課税される税率が異なるため、売却のタイミングを慎重に考える必要があります。

所有期間が5年未満の場合、譲渡所得税が課税されますが、所有期間が5年以上の場合は長期譲渡所得税が課税されます。

長期譲渡所得税の税率は低く設定されており、所有期間が長くなるほど税率が下がるため、売却タイミングを見極めることで税金の節約につながります。

ただし、売却を急ぐ必要がある場合は、所有期間にかかわらず売却することが必要になることもあります。

その場合には、税金の負担が大きくなる可能性があるため、事前に税理士などの専門家と相談しておくと良いでしょう。

まとめ

マンション売却にかかる税金がさまざまあることが分かったと思います。

かかる税金の種類はそこまで多いわけではありませんが、物件の所有期間などで税率が変わる点や、特例によって節税控除を受けられる点などはしっかりと頭に入れておく必要があります。

この記事での要点を改めてまとめておきます。

  • マンション売却にかかる税金は、譲渡所得税(所得税、住民税、復興特別税)、印紙税、登録免許税(抵当権の抹消時)、消費税
  • マンションの所有期間で譲渡所得の税率が変わる
  • 「所有が5年以下で所得税率30%・住民税率9%」、「所有が5年超で所得税率15%・住民税率5%」
  • 使える節税控除制度は「3000万円の特別控除」、「譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」、「取得費加算の特例」

なるべく負担する税金を減らしつつマンションを売却することが、マンション売却成功へ導く鍵となるでしょう。