ハウスリースバックと生活保護は両立できる?メリットと注意点を解説

ハウスリースバックとは、自宅を売却しながらも住み続けられるサービスです。自宅の売却後も、そのまま賃貸物件として住み続けられます。
一方の生活保護は、生活が困窮している人に対し、必要最低限の生活を保障するため、国が保護する制度です。
生活保護の受給には、保有資産や家賃などの制限があるため、「生活保護とハウスリースバックと一緒に利用できないのでは?」と不安に思う人もいます。
しかし、いくつかの注意点に気をつければ、生活保護を受けながらハウスリースバックを行うことは可能です。この記事では、ハウスリースバックと生活保護を両立するメリットや、注意点について詳しく解説します。
なお、ハウスリースバックを行うときは、複数の業者に査定してもらい、買取価格や賃料などの条件を比べるのが一般的です。生活保護に関する理解が深い会社を選ぶためにも、リースバック業者は2~6社程度は比較しておきましょう。
この記事のポイント
- ハウスリースバックと生活保護は両立できる。
- リースバックの売却益が残る場合など、両立できないケースもある。
- 両立できないときは、生活保護以外の公的制度など、別の方法で生活を立て直せる。
目次
ハウスリースバックと生活保護の両立は可能
結論だけ言えば、ハウスリースバックと生活保護の両立は可能です。一部例外もありますが、基本的には問題なく同時に行えます。
ただし、両立するメリットや条件を解説する前に、双方の制度をしっかり理解することが大切です。
まずはそれぞれの制度について、仕組みや条件を詳しく見ていきましょう。
ハウスリースバックの仕組み
ハウスリースバックでは、自宅を売却した後、売却先の会社と賃貸契約を結ぶことで同じ家に住み続けられます。
ハウスリースバックのメリットとしては、以下の項目が挙げられます。
- 売却益は用途自由で(ローンの返済や老後資金に使える)
- 引っ越し費用や新しい住まい探しの手間がかからない
- 住み慣れた環境や近所付き合いを維持できる
- 契約内容によっては将来的に買い戻すことも可能
ハウスリースバックでは、不動産会社が買主となる「買取方式」が主流です。つまり、売却後はリースバック業者である不動産会社と、賃貸借契約を結ぶことになります。
ハウスリースバックは民間のサービスなので、生活保護を受給していても原則的には利用可能です。売却する家さえあれば、誰でもハウスリースバックを使えます。
ハウスリースバックの要件
ハウスリースバックを利用するには、以下のような要件があります。
- 名義人全員の同意があること
- 居住用の不動産であること
- 自宅に住み続ける意思があること
- 賃料を支払えるだけの収入があること
上記以外には、売却価格が市場価格の60%~80%程度になることや、賃料が近隣相場より高くなる可能性があることに注意が必要です。
まとまった一時収入を得ながら自宅に住み続けられるハウスリースバックですが、人によって向き不向きがあるため、ライフプラン等を踏まえた上で検討するようにしましょう。
生活保護の仕組み
生活保護は、あらゆる手を尽くしても最低限度の生活を維持できない人に対して、国や自治体が生活費などを支給する制度です。
あくまで最低限の生活を保障する制度なので、無条件で受けられるわけではありません。本人の能力などをすべて活用しても困窮から抜け出せない人が対象です。
相談・申請は地域を所管する福祉事務所が担当し、都道府県や市区町村の役所に窓口があります。地域によって若干運用が異なり、審査基準や支給される生活保護費が変わります。
受給要件
生活保護を受けるための要件をまとめると、以下の項目になります。
- 世帯収入額で最低限度の生活を送れないこと
- 預金や不動産などの資産がないこと
- 親族などに助けを求められないこと
- 他の公的制度を利用できない・利用しても不足すること
- 病気など身体的な事情で働けないこと
あらゆる方法を尽くした上で、生活が困窮する場合に受給できる制度なので、収入や保有資産に制限があります。
生活保護で受給される金額は、住んでいる地域や世帯の構成などで決まる「最低生活費」から収入を差し引いた金額になります。例えば、最低生活費が15万円で、収入が8万円あれば、差額の7万円が支給されます。
実際の計算は非常に複雑なので、まずは地域の福祉事務所に相談してみましょう。
【注意】生活保護を受けるにあたって「自宅の売却」は必須ではない
生活保護を受けるためには、資産がないことが条件ですが、自宅は必ずしも売却しなければならないものではありません。
生活保護にあたって、不動産は売却することが原則ですが、自宅として使う土地・家屋については保有できる場合があります。
持ち家がある人でも申請できます。
・利用しうる資産を活用することは保護の要件ですが、居住用の持ち家については、保有が認められる場合があります。まずはご相談ください。
処分が必要か否かは個別に判断されますが、生活保護にあたって自宅の処分が必須というわけではありません。「生活保護を受けるためにリースバックをしなければ」と考えている人は、まず福祉事務所へ相談してみましょう。
ただし、以下に該当するような場合は、高確率で処分を求められます。
- 自宅が豪邸や高級マンションなどの場合
- 世帯人数に対して広すぎる場合
- 普段住んでいない・別荘などで時々しか使わない場合
- 住宅ローンが残っている場合
ハウスリースバックと生活保護を一緒に行うメリット
ハウスリースバックと生活保護を一緒に行うメリットは、以下のようなものがあります。
- 売却益で住宅ローンや借金を返済できる
- 引っ越しをせずに済む
売却した利益で生活を立て直せることや、売却後も生活環境を変えずに済むのがメリットです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
売却益で住宅ローンや借金を返済できる
生活保護を検討するほど困窮している場合、収入が減ってローンなどの返済が苦しくなっているケースが少なくありません。
しかし、ハウスリースバックを利用すれば、売却益を住宅ローンや借金の返済に充てられます。
なお、生活保護で支給されるお金は、ローンなどの返済に使えません。受給開始後も、自力で稼いだお金のみを使って返済することになりますが、生活保護の受給要件を満たしながら返済を続けるのは非常に難しいでしょう。
以上のことから、生活保護を受給される前に住宅ローンや借金を解消しておくことが大切です。その方法として、ハウスリースバックとは有効な手段となるでしょう。
引っ越しをせずに済む
ハウスリースバックを利用すると、引っ越し費用や新しい住まい探しの手間がかからず、住み慣れた環境や近所付き合いを維持できます。
引っ越しをすると、生活環境や人間関係が変わってストレスを感じることもありますが、ハウスリースバックならその心配がありません。
また、引っ越しをすると、生活保護の受給地域が変わることで手続きが面倒になる可能性がありますが、ハウスリースバックならそのリスクも回避できます。
ハウスリースバックと生活保護を一緒に行うときの注意点
ハウスリースバックと生活保護を一緒に行う際、注意点として以下の項目が挙げられます。
- 複数のリースバック業者を比較してから契約する
- リースバック業者に生活保護のことを相談しておく
- 住宅ローンの債権者に家を売ることを伝えておく
ハウスリースバックで後悔しないために、これらの注意点をしっかり押さえておきましょう。
複数のリースバック業者を比較してから契約する
ハウスリースバックを利用する場合は、複数のリースバック業者を比較することをおすすめします。なぜなら、リースバック業者によって、売却価格や賃料、契約期間や買い戻し条件などが異なるからです。
リースバック業者の中には、生活保護を受けることを考慮して、売却価格を低く抑えたり、賃料を安く設定したりすることもあります。反対に、生活保護受給者に対して不利な契約内容を提示してくる場合もあるので、業者選びは慎重に行うことが大切です。
リースバック業者を選ぶ際は、信頼できる業者かどうかや、契約内容が自分に合っているかどうかをよく確認することが大切です。
なお、リースバック業者を比較するときは、一括査定サイトの利用をおすすめします。一度に複数の業者へ申し込めるため、手間なく各社の提示条件を比較可能です。
下記のリンクから利用できる「家まもルーノ」は、リースバック専用の一括査定です。リースバック対応の不動産会社が多数提携しているので、ぜひ活用してみましょう。
リースバック業者に生活保護のことを相談しておく
ハウスリースバックを利用する場合は、リースバック業者に生活保護のことを相談しておくことも大切です。なぜなら、リースバック業者によっては、生活保護の受給条件や手続きに関する知識を持っている場合があるからです。
知識を持つ業者であれば、生活保護の申請や手続きに関するアドバイスやサポートをしてもらえるかもしれません。受給状況に応じて、契約内容やサービス内容を変更してもらえる可能性もあります。
反対に、生活保護のことを隠していると、リースバック業者から「賃料の支払いはできるのか?」「後々トラブルにならないか?」と不信感を持たれる恐れがあります。
スムーズにリースバック契約を結ぶためにも、あらかじめ生活保護のことは伝えておいたほうが良いでしょう。
住宅ローンの債権者に家を売ることを伝えておく
住宅ローンのある家をハウスリースバックで売る場合は、債権者である金融機関に、了承を得る必要があります。なぜなら、住宅ローンの残債がある家は、債権者の許可なく売却できないためです。
住宅ローンがある家は、返済が滞ったときに債権者が差し押さえるための抵当権が付いてます。この抵当権は、債権者の同意がなければ解除できません。
また、「債権者の同意を得ずに家を売却した場合、一括返済を請求する」という規約を設けているケースがほとんどです。
以上のことから、住宅ローンが残っている家を売るときは、必ず債権者と話し合うことになります。
ただし、事前に相談しても、売却益などで残債を返しきれる状況でなければ了承は得られません。その場合、家を売るには後述する「任意売却」という方法を使う必要があります。
ハウスリースバックと生活保護を両立できないケース
ここまで解説した通り、ハウスリースバックと生活保護の両立は可能です。しかし、一部のケースでは両立できない場合もあります。
具体的には、以下にあてはまると両立できません。
- ハウスリースバックの売却益が手元に残る
- ハウスリースバック後の賃料が高い
- ハウスリースバック後に借金やローンが残る
自分がハウスリースバックと生活保護を両立できるかどうか、それぞれのケースをしっかりチェックしておきましょう。
ハウスリースバックの売却益が手元に残る
ハウスリースバックの売却益が手元に残る場合、生活保護が認められなくなってしまいます。生活保護の目的上、余剰資金となるお金は保有できないためです。
売却益が高額でローンより多かった場合など、手元にお金が残ってしまうと、生活保護の受給条件に違反する可能性があります。生活保護を受けるためには、手元にお金を残さないことが重要です。
ただし、生活保護申し込み後の調査期間(おおむね1ヶ月)中に必要な生活費や、子どもの学費のように目的が明確な貯金については、例外的に保有が認められます。
具体的な金額は地域によるので、事前に福祉事務所で確認しておきましょう。
ハウスリースバック後の賃料が高い
生活保護を受ける場合、住居にかけられる賃料の上限額が定められます。上限額は各自治体によって異なりますが、平均的に3万円から5万円前後が相場です。
一方、ハウスリースバックの賃料は、「買取価格×利回り(6~13%程度)÷12ヶ月」という計算で設定されるのが一般的です。一般的な賃貸借契約とは基準が異なるので、近隣相場より高くなることがあります。
ハウスリースバックの賃料が上限を超えてしまうと、生活保護を受給できなくなる可能性があります。ハウスリースバックを利用する場合は、住んでいる地域の家賃相場を確認して、生活保護の条件に合った賃料になるように交渉することが重要です。
ハウスリースバック後に借金やローンが残る
先にも解説しましたが、生活保護で支給されるお金は、ローンや借金の返済に使えません。生活保護開始後は新規の借り入れはできませんし、受給前から残っている返済は生活保護費以外で支払う必要があります。
つまり、ハウスリースバック後に借金やローンが残る場合、生活保護費以外の収入が0円という状況になると、返済不能になってしまうのです。
返済分だけ自分で稼げば支払いは可能ですが、その稼ぎ分だけ生活保護費は減らされます。生活保護とローンなどの返済を両立するのは、非常に困難と言えます。
そのため、ハウスリースバック後に借金やローンが残る場合、生活保護との両立はおすすめできません。自己破産などの方法で、借金問題を解消してから生活保護を受けことをおすすめします。
ハウスリースバックと生活保護を両立できないときの解決策
ハウスリースバックと生活保護を両立できないときは、どうすればいいのでしょうか。代わりになる手段として、以下の解決策が挙げられます。
- 通常売却で不動産を売る
- 任意売却で家を売る(オーバーローンの場合)
- 生活保護以外の公的制度を利用する
それぞれ詳しく解説していくので、状況に応じた方法を選ぶようにしましょう。
通常売却で不動産を売る
以下のような状況であれば、ハウスリースバックではなく通常売却で不動産を売ることも検討してみましょう。
- ハウスリースバックをしても住宅ローンや借金が残る
- ハウスリースバック後の賃料が生活保護の上限を超える
通常売却のほうが高く売れるため、ハウスリースバックより多くの住宅ローンや借金を減らせます。また、ハウスリースバックの賃料より安く住める物件へ引っ越せば、生活保護も受給できます。
さらに、ローンなどを返してなお売却益が残る場合、生活資金などに回すことも可能です。生活保護を受けなくても、経済状況を立て直せる可能性があります。
任意売却で家を売る(オーバーローンの場合)
家の売却益だけでは住宅ローンを完済できない「オーバーローン」の場合、任意売却という方法で家を売ることが可能です。
任意売却は、債権者と交渉し、ローンを残したまま家を売却する方法です。売却益を返済に充てて、残った分は分割で返済を続けます。
主に滞納による強制競売を避けるための方法であり、住宅ローンの返済が滞ってしまう場合に有効な方法です。
ただし、任意売却は法的手続きや債権者との交渉など、専門的な知識が必要となります。不動産会社を探すときは、任意売却を取り扱っているかどうかを確認しましょう。
生活保護以外の公的制度を利用する
生活の困窮が避けられない場合、生活保護以外の公的制度も利用してみましょう。
さまざまな制度がありますが、代表的なものは以下の3つです。
- 自己破産
- 障害年金
- 生活困窮者自立支援制度
困窮の原因で適切な方法は変わるので、個々の状況に合わせて選びましょう。
1.自己破産
自己破産とは、裁判所に申し立てをして、ローンなどの返済義務をすべて免除してもらう制度です。ローンや借金の返済で生活が破綻してしまった人に向いています。
自己破産をしても生活保護の受給要件にも違反しないため、自己破産後に生活保護を受ければ、生活の立て直しが可能です。
ただし、自己破産は次のようなデメリットがあるため、利用するときは慎重な検討が必要です。
- ブラックリストになる(一定期間、借り入れやクレジットカード使用などができなくなる)
- 財産をすべて処分する必要がある
- 申し立てから免除開始までの間、職業・資格や移動の制限がある
- 弁護士費用や裁判費用がかかる
手続きには法律の知識が必要なので、まずは弁護士に相談しましょう。
2.障害年金
障害年金とは、病気やケガなどで働けなくなった人に対して、国から年金が支給される制度です。病気やケガの問題で収入を得られない人に向いています。
メリットとしては、借金や保有財産の制限がないため、生活保護より申請しやすいことが挙げられます。ハウスリースバックも自由にできますし、年金を返済に充てても問題ありません。
生活保護との併用も可能ですが、障害年金は収入とみなされるため、生活保護の支給額から差し引かれます。また、障害年金が生活保護より高額になる場合は、生活保護の受給はできません。
障害年金についての相談は、全国の年金事務所や街角の年金相談センターで受け付けています。また、社会保険労務士に相談すれば、適切な申請方法をアドバイスしてもらえるので、手続きが不安な人は問い合わせてみましょう。
3.生活困窮者自立支援制度
生活困窮者自立支援制度とは、生活保護の受給に至らないよう自立を支援するための制度です。都道府県および市区町村の福祉担当部署や、社会福祉協議会、社会福祉法人、NPOなどが相談窓口となります。
生活保護の「最低限の生活保障」という目的に対して、生活困窮者支援制度は「自立の支援」を目的としている点に違いがあります。「生活保護までは必要ないけど、困窮から抜け出すサポートが欲しい」という人におすすめの制度です。
自立に向けてどのような支援が必要か一緒に考える「自立相談支援事業」のほか、生活一時金の支給や就労準備、子どもの学習・生活など、個々の状況に応じたさまざまな支援があります。
まとめ
ハウスリースバックと生活保護は両立可能であり、仕組みを理解した上で手続きをすれば経済的な苦しさから抜け出すことが可能です。
しかし、売却益が残る場合や、住宅ローンが残る場合など、状況によっては両立できないこともあります。生活保護を受けながらハウスリースバックをする際は、リースバック業者の理解を得ることが大切です。
ただし、リースバック業者によって生活保護への理解度や対応の仕方は異なります。まずは複数業者に相談し、親身に話を聞いてくれるリースバック業者を見つけることから始めましょう。
ハウスリースバックと生活保護についてよくある質問
-
ハウスクリーニングとはどういうサービスですか?
ハウスリースバックとは、自宅を売却しながらも住み続けられるサービスです。自宅を売却後、賃貸借契約を結んで同じ物件に住み続けることができます。
-
生活保護とはどういう制度ですか?
生活保護は、あらゆる手を尽くしても最低限度の生活を維持できない人に対して、国や自治体が生活費などを支給する制度です。地域や世帯人数などによって決められる「最低生活費」を上限として、現金が支給されます。
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ハウスリースバックと生活保護は両立できますか?
原則として可能です。ただし、一定の条件にあてはまると、両立できない場合があります。
-
ハウスリースバックと生活保護を両立できないのはどのようなケースですか?
ハウスリースバックの売却益が手元に残ったり、ハウスリースバック後の賃料が高かったりすると、生活保護を受けられなくなります。また、ハウスリースバック後に借金やローンが残る場合、生活保護費からの返済ができない(収入上限がある中で、生活保護費以外の収入から返済する必要がある)ため、両立が困難になります。
-
ハウスリースバックと生活保護の両方を利用したい場合、どこに相談すればよいですか?
ハウスリースバックについてはリースバック業者、生活保護については地域の福祉事務所に相談しましょう。また、生活保護に詳しいリースバック業者なら、収入制限や賃料制限なども考慮したプランを提案してもらえるので、そういった業者を見つけるために何社か比較することをおすすめします。>>【簡単60秒!】リースバックのオンライン一括査定はこちら