ローン残高があってもリースバックは使える?確実に売る方法について

リースバック ローン残高

リースバックとは、家を売却するのと同時に賃貸借契約を結び、そのまま住み続けることができるサービスです。家を使った資金調達の方法として、近年利用者が増えています。

家にローン残高があっても、リースバックは使えます。ただし、リースバックで得た売却資金でローン完済できることが条件です。

では、ローン残高がある自宅をリースバックする場合、確実に売るにはどのように進めていけば良いのでしょうか?この記事では、リースバック利用時の注意点や少しでも高く売る方法などを解説します。

なお、リースバックの買取価格やその他の条件は業者によって変わります。自分に有利な条件で契約するためにも、まずは複数のリースバック業者を比較・検討しましょう。

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画像引用:家まもルーノ

この記事のポイント

  • ローン残高があってもリースバックは使えるが、売却と同時に完済することが条件となる。
  • ローン残高があるときのリースバックは、事前に金融機関と相談しておく。
  • リースバックで高く売る方法としては、複数業者の査定を比較するのがおすすめ。

目次

ローン残高があってもリースバックは使える

売却する自宅にローン残高がある場合、売却と同時にローンを完済することがリースバックの条件となります

リースバックで得た売却資金で完済するか、不足分を自己資金で補填する必要があります。つまり、「ローン残高<リースバックの売却益+自己資金」という状態であることが必要です。

リースバックの売却益は、買取価格から諸経費を差し引いたものを指します。リースバックでは業者の買取形式が多いため、大体のケースで仲介手数料はかかりませんが、譲渡所得税がかかる場合はあるので注意しましょう。

また、後述する抵当権抹消にも登記費用がかかりますし、業者によっては賃貸借契約の敷金・礼金や事務手数料などを請求してくる場合があります。査定時に、リースバックの契約にかかる費用を業者へ確認しておきましょう。

オーバーローンの場合は、リースバックは使えない

売却益と自己資金でローン完済ができない場合を「オーバーローン」といいます。オーバーローンだと、原則としてリースバックを使うことはできません

リースバックの売却金額は、通常相場に対して70%~90%となります。相場より低い金額で売却となるため、自宅の購入時に100%に近いローンを組んでいる場合、オーバーローン状態でリースバックができない可能性が高いでしょう。

オーバーローン時の対処法

オーバーローンでリースバックできないときは、通常売却でなるべく高く売りましょう。リースバックの売却益では完済できなくても、通常売却の利益なら完済できるかもしれません。

また、通常売却でもアンダーローンにならなければ、任意売却という方法があります。任意売却とは、金融機関了承のもと、ローンを残した状態で売却する方法です。

金融機関からすれば、担保(家)が他人に移るというリスクを抱えることになりますが、自己破産などで強制競売になるよりはデメリットが少ないため、このような方法が可能になります。

ただし、任意売却をしても残債の返済は続ける必要があるうえ、やり方によっては信用情報にキズがつく(一定期間クレジットカードを使えないなどの弊害がある)ので、利用時は慎重な検討が必要です。

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ローン残高がある状態でリースバックをするときの注意点

ローン残高がある状態でリースバックするときには、以下の点に注意しましょう。

  • 金融機関に相談しておく
  • ②抵当権の抹消を忘れず行う

金融機関に相談しておく

リースバックを行う前に、ローンを組んでいる金融機関に相談しておきましょう。

金融機関に黙って売却するとトラブルになる恐れがあります。アンダーローンであっても、事前に話を通しておいたほうがスムーズに手続きが進みます。

金融機関が一番気になるのは各自に完済できるか」なので、相談する際はリースバック業者の査定書などを持参するのがよいでしょう。

②抵当権の抹消を忘れず行う

続いて、抵当権抹消登記を忘れずに行うことです。

ローン完済を行うと抵当権は自動で消えるわけではなく、抵当権抹消登記をしなければいけません。完済後、金融機関から関連書類が送られてくるので、それらを持って不動産所在地の法務局で申請します。

抹消費用は不動産1個に付き1,000円で、司法書士に依頼した場合は1万5千円程度掛かります。

リースバックの売却価格が決まる要素4つ

リースバックでローン完済できるかのポイントは、家がいくらで売れるかです。

リースバック業者の査定では、主に以下の4点が見られます。

  • ①築年数
  • ②立地や市場的な価値
  • ③賃貸できる期間
  • ④家賃設定

適正価格で買い取ってもらえるよう、各ポイントを詳しく把握しておきましょう。

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築年数

一つ目は、築年数です。

一般的に、築年数が浅いほど不動産が使える耐用年数は長いため、価格は高めに設定されます。また、構造(木造かRC造)により法定耐用年数が異なるので、同じ築年数でも構造の違いで価格差が出てきます。

リースバック業者は、買い取った不動産を資産として運用若しくは将来的にはリフォームなど付加価値を付けて売却することを検討しています。耐用年数が長い不動産は、運用できる年数が長いため高値で買い取られる傾向があります。

②立地や市場的な価値

二つ目は、立地条件や市場的な価値です。

立地条件は、主要路線の駅に近いことが最も重要視されます。これは、賃貸需要が落ちにくく賃料下落のリスクが低いからです。

市場的な価値としては、駅直結や南面角地など、需要が落ちにくい不動産であれば高値買取の傾向があります。

一方で、駅から遠い・バス便・旗竿地・がけ地など、不動産として一般的に好まれない立地の場合、安価での買取となります。

③賃貸できる期間

三つ目は、賃貸できる期間です。

リースバックの賃貸借契約には、定期借家契約と普通借家契約があります。定期借家契約は契約期間を更新しないことを前提とする契約形態であるため、借主は概ね2~3年で退去する必要があります。

一方、普通借家契約は借主が希望する限り、基本的に更新が可能なので、貸主側に不利な契約です。ただし、貸主にデメリットがある分、家賃が定期借家契約より高くなる傾向があります。

賃貸期間を決めずに長く住み続けたいなら普通借家契約がおすすめですが、短期間で引っ越す予定があるなら、定期借家契約のほうがお得です。目的やライフプランに合わせて選ぶと良いでしょう。

MEMO
定期借家契約でも再契約できないわけではありませんが、貸主の同意が必要です。売却時に「再契約する」という口約束があっても、実際は貸主の判断次第になってしまいます。
また、普通借家契約も、老朽化による建て替えや家賃滞納などを理由に、契約更新できない場合があります。

④家賃設定

最後は、家賃設定です。リースバックの家賃は、周辺相場より高くなる傾向があります。

具体的には「家賃=買取額×期待利回り(6~13%)÷12ヶ月」という計算で決まるのが一般的で、買取価格が高いほど家賃も高くなります。

買取額や期待利回りは業者によって異なるため、査定段階で複数業者を比較検討するようにしましょう。

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リースバックで少しでも高く売却する方法4つ

リースバックを利用しローン完済を行うなら、「少しでも高く売りたい」と思う人が大半です。リースバックで少しでも高く売却する方法としては、以下の4つが挙げられます。

  • ①複数社に査定を出す
  • ②価格の交渉をしてみる
  • ③リースバックの実績が多い業者を選ぶ
  • ④市場価格を調査しておく

①複数社に査定を出す

リースバックで少しでも高く売却するには、複数社に査定を出し比較することが大切です。

業者によって査定の基準は異なり、会社が違うだけで数百万円の差が出ることもあります。なるべく高く売りたいのであれば、査定の比較は必須といえるでしょう。

なお、複数社をまとめて比較したいときは、一括査定サイトの利用がおすすめです。1回の入力で各社に査定を申し込めるので、大幅に手間を省けます。

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②価格の交渉をしてみる

次に、価格交渉をしてみることです。

例えば、複数社に査定を出すも思ったような買取金額ではない場合に、買取価格の上限を聞き出すなどして、少しでも高値で買い取ってもらえるような交渉を行います。

物件の築年数や市場的な価値がある若しくは今後見込めると判断されれば、買取金額がアップするケースもあります。

③リースバックの実績が多い業者を選ぶ

続いて、リースバックの実績が多い業者を選ぶことです。

リースバックの実績が多い業者であれば、多くの管理物件を既に所持しており、1件あたりの利回りを抑えることも可能です。

実績があり収益が安定している業者であれば、将来的な需要を見越して高値買取するケースもあるので、一度交渉する価値はあるでしょう。

④市場価格を調査しておく

最後は、市場価格を調査しておくことです。

リースバックの売却価格は相場比70%~90%であるため、周辺相場と相場に対する買取率がどの程度であるかを把握しておきましょう。

市場価格を調査する方法

自分で市場価格を調査するには、以下のような方法があります。

  • レインズマーケットインフォメーションや
    不動産取引価格情報検索を使う
  • 一括査定を受ける

レインズマーケットインフォメーション(日本不動産流通機構)不動産取引価格情報検索(国土交通省)は、過去の不動産売買を調べることができます。周辺地域の取引事例があれば、具体的な価格を調べられるでしょう。

一括査定は、指定のフォームに必要事項を入力し送付すると、複数の不動産会社から机上査定を受けられるシステムです。各社の査定額から中央値を取れば、最新の市場相場を推測できます。

リースバック利用のメリットとデメリット

リースバックの利用には、メリットとデメリットがあります。それぞれ詳しく解説するので、自分によって本当に必要な契約なのか、慎重に判断しましょう。

リースバックのメリット

リースバック利用の主なメリットは、以下の通りです。

  • ①売却してもそのまま居住できる
  • ②将来的に買い戻せる可能性がある
  • ③仲介での売却と比べて現金化が早い

①売却してもそのまま居住できる

リースバック最大のメリットは売却してもそのまま居住ができ、引っ越しが不要であることです。

通常の売却だと、所有権を移転し退去するのが一般的となります。しかし、リースバックでは売却後も賃貸で住めるため引っ越しの手間がありません。

引っ越しのコストがなく、生活の変化に伴うストレスを避けることが可能です。

②将来的に買い戻せる可能性がある

リースバックでは、一度手放した所有権を将来的に買い戻せる可能性があります

一時的な資金確保でリースバックを利用したものの、その後買い戻しの資金を確保できれば再購入が可能です。買戻しができれば、賃貸の契約期間満了による退去を心配する必要がないため、将来的に安心して暮らせます。

ただし、売却したときに「買い戻し特約」を設定し、各種条件を定めたおかないと買い戻しが難しくなるので注意しましょう。

③仲介での売却と比べて現金化が早い

最後は、仲介での売却と比べて現金化が早いことです。

リースバック業者は、基本的に現金で一括購入します。よって、相談から契約完了までが早く、最短1週間程度で現金化が可能です。

仲介だと数ヶ月や1年以上かかる場合もあるので、急いで現金が欲しい人には大きなメリットとなります。

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リースバックのデメリット

リースバックのデメリットは、以下の通りです。

  • ①家賃設定が相場より高くなることが多い
  • ②定期借家契約が多い

①家賃設定が相場より高くなることが多い

デメリット一つ目は、家賃設定が相場より高くなることが多いことです。

先述の通り、リースバックの家賃設定は買取価格と利回りで決められているケースが多いため、周辺相場より高くなるケースがあります。

リースバック契約時にはまとまった資金は入るものの、家賃負担が生じることを忘れないことが大切です。事前に資金計画を立てて、家賃の支払いに無理がないかシミュレーションしましょう。

家賃滞納に注意する

高い家賃設定は、将来的に家賃滞納を引き起こすリスクがあります。家賃滞納を起こし、督促などにも従わなければ、強制退去になるかもしれないので注意しましょう。

現状の経済力では支払える家賃であったとしても、年金生活になったときに支払えなくなるケースもあるので、収入が減少するリスクを十分に考慮して計画を立てることが大切です。

②定期借家契約が多い

次に、リースバックでは、定期借家契約が多くなります。先述の通り、定期借家契約だと期間満了時に退去しなければいけません。

契約期間は当初2~3年で設定されるのが一般的ですが、業者によってはもっと長い期間を設定出来る場合もあります。

査定時に、賃貸借契約の形態は何なのか、定期借家契約の場合は何年間の契約になるかを確認しておきましょう。

リースバック利用時の疑問点4つ

ここまで解説してきた内容以外にも、リースバックについて疑問や不安を抱える人は少なくありません。そこで、ここからはリースバック利用時によくあある疑問点を解説していきます。

  • ①家賃を抑える方法はあるのか?
  • ②リースバックの利用に年齢制限などの条件はあるのか?
  • ③共有名義でもリースバックは使えるのか?
  • ④リースバックを利用すると費用はどの程度掛かるのか?

①家賃を抑える方法はあるのか?

家賃を抑えるには、定期借家契約を選ぶ方法があります。

リースバック業者は定期借家契約を提案するケースが多いため、定期借家を選ぶことへのハードルは高くありません。また、普通借家契約で家賃を抑えるには、買取金額を安くするか貸主と家賃交渉する方法があります。

②リースバックの利用に年齢制限などの条件はあるのか?

リースバックの利用に年齢制限はありません

よって、どの年代の人でも原則利用できます。

③共有名義でもリースバックは使えるのか?

共有名義でもリースバックを使えます。ただし、共有者全員の許可が必要です。

仮に共有者の許可が取れなければ、リースバックの利用はできません。

④リースバックを利用すると費用はどの程度掛かるのか?

リースバックを利用すると、掛かる項目は以下の通りです。

  • 印紙代
  • 登記費用(抵当権抹消登記を行う場合)
  • 賃貸借契約時に掛かる手数料(賃料の1か月分相当)
  • 敷金と礼金

例えば、「3,000万円で売却し、家賃が12万5千円、敷金・礼金・手数料を各々家賃の1か月分」とすると掛かる費用は以下の通りです。

  • 印紙代・・1万円
  • 登記費用・・1万5千円前後(司法書士報酬を含む)
  • 手数料・・12万5千円
  • 敷金と礼金・・合わせて25万円

合計すると、40万円です。つまり、上記のケースでリースバックを利用すると、初期費用として40万円が掛かります。

まとめ

住宅ローンの完済でリースバックか仲介での売却を選択するかは、双方のメリットデメリットを比較して慎重に判断しましょう

特にリースバックは、売却後に賃貸として住めるメリットはあるものの、定期借家契約が大半でいずれ退去となる可能性があります。また、高齢世帯であれば退去後の賃貸住居を探すのに時間が掛かるでしょう。

よって、リースバックは一時的な資金確保を目的に将来的には買戻しも視野に入れているときなどに、利用がおすすめです。

リースバック「専用」一括査定!

画像引用:家まもルーノ

「リースバック ローン残高」に関してよくある質問

  • リースバックを利用したい家にローン残高があってもリースバックは使えるのか?

    リースバックを利用したい家にローン残高があってもリースバックは使えます。但し、原則リースバックで売却した資金と自己資金で既存ローンを完済できる(アンダーローン)ときに限ります。
    なお、リースバックで売却後にもローンが残る状態(オーバーローン)の場合には、通常売却を行ってローン完済する方法があります。しかし、通常売却でもローン完済が難しい場合には、金融機関の了承のもと任意売却を行うしかありません。
    リースバックでの売却は、通常相場比70%~90%となるため、ローン残債が多額である場合には利用には注意しましょう。

  • ローン残高がある状態でリースバックを利用する時の注意点とは何か?

    ローン残高がある状態でリースバックを利用するときの注意点は、以下の2つです。
    ・金融機関に相談しておく
    ・抵当権の抹消を忘れず行う
    最も重要なことは、抵当権を抹消しておくことです。抵当権はローン完済で自動で消滅するものではなく、予め司法書士に手続きを依頼しておく必要があります。

  • リースバックで売却価格が決まる要素はとは何か?

    リースバックで売却価格が決まる要素は、主に以下の4つとなります。
    ・築年数
    ・立地や市場的な価値
    ・賃貸できる期間
    ・家賃設定
    最も重要な要素は、リースバック業者は不動産投資を目的に物件の取得を行っているため、家賃設定と利回りです。
    仮に物件に対する家賃設定と想定利回りが決まっていれば、物件の取得金額は必然的に決まってきます。
    他の項目について詳細は、本編にてご紹介しています。

  • リースバックで少しでも高く売却するにはどのような方法があるのか?

    リースバックで少しでも高く売却するには、以下に挙げる方法があります。
    ・複数社に査定を出す
    ・価格の交渉をしてみる
    ・リースバックの実績が多い業者を選ぶ
    ・市場価格を調査しておく
    なお、高く売却ができたとしても、反面リースバック後の家賃も高くなります。よって、リースバックで取得したい金額と支払える家賃について予め決めておいた方が良いでしょう。

  • リースバックのメリットとデメリットとは何か?

    はじめにリースバックのメリットは、以下に挙げたとおりです。
    ・売却してもそのまま居住できる
    ・将来的に買い戻せる可能性がある
    ・仲介での売却と比べて現金化が早い
    リースバック最大のメリットは、売却後もそのまま居住できることです。また、将来的に買い戻しができることも大きなメリットと言えるでしょう。また、デメリットは以下に挙げたとおりです。
    ・家賃設定が相場より高くなることが多い
    ・定期借家契約が多い
    デメリットは家賃の支払いがあること、定期借家契約が多いことです。定期借家契約は契約期間の更新を前提としていないので期限があり、買い戻しができなければ将来的には退去となります。なお、再契約で実質的な契約期間の延長もできますが、再契約できるかは貸主側次第です。