水路に面した土地の売却方法とは?高く売るコツや注意点を解説

【水路 土地 売却】

道路との間に水路がある土地は、建築基準法を満たさない「再建築不可物件」であったり、地盤が軟弱で災害に弱い可能性があります。

そのため、水路に面した土地は売れにくく、実際にいつまでも買主がつかず悩んでいる人も多いでしょう。

水路に面した土地は「水路の占有許可を取る」「建物を建築しない前提の土地として売却する」といった方法で売れやすくすることも可能です。

まずは不動産会社に相談して、状況に合わせた適切な売却方法を検討しましょう。

また、不動産会社によって「得意な物件」もあるため、複数の不動産会社に査定してもらうことも大切です。一括査定を利用して、複数の不動産会社を比べてみましょう。

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この記事のポイント

  • 水路に面した土地は「再建築不可物件」「地盤が軟弱」など、さまざまなリスクがある。
  • 売主は、水路に面した土地の抱えるリスクを買主へ伝える義務がある。
  • 複数の不動産会社に査定してもらい、状況に合わせた売却方法を検討することが大切。

水路に面した土地を売却する際のリスク

結論からいうと、水路に面した土地は通常の土地よりも売れにくいです。

なぜなら、水路に面した土地を売却する場合、次のようなリスクがあるためです。

  • 建築基準法を満たしておらず建物を建築できない
  • 地盤が弱く補強工事が必要になる
  • 水路が溢れると浸水被害を受ける
  • 売主が契約不適合責任を負わなければならない

まずは水路に面した土地を売却する場合、どのようなリスクがあるのか確認しましょう。

建築基準法を満たしておらず建物を建築できない

土地が水路に面した場合、購入した買主が建物を建設できない恐れがあります。

家を建てるためには、建築基準法で定められた接道義務に従って、土地が道路に面した必要があります。

しかし、水路に面した土地の場合、土地と道路の間に水路を挟むため「2m以上道路に接している」という建築基準法を満たせない場合が多いです。

建築基準法を満たしていない土地は家を建てられないので、買主が住宅用地として購入できないため、水路に面した土地の売却がむずかしいのです。

建築基準法を満たしているか役所で調査可能

水路に面した土地が建築基準法を満たしているかは役所で確認できます。

水路に面した土地が建築基準法を満たしているかについては、次の内容を役所の道路管理課で確認しましょう。

  1. 現在の土地は「水路占用許可」を所得しているか?
  2. 売却後の買主へ「水路占用許可」を承継できるか?
  3. 建物を再建築する際に制限はないか?

「水路占用許可」があれば、水路上に橋をかけることで建築基準法を満たす土地にできます。

もし「水路占用許可」がなくても、後述する方法で取得することで水路に面した土地を売却しやすくなります。

地盤が弱く補強工事が必要になる

水路に面した土地は、水分を多く含んでいるため、地盤が弱いことが多いです。

そのまま水路に面した土地を売却した場合、建物を建てる際に買主側で地盤を補強する必要があります。

また契約後に軟弱地盤であることが発覚すると、契約不適合責任に問われて損害賠償請求を受ける恐れもあります。

そのため、購入後の補強工事にかかる費用を考慮して、相場より価格を下げなけいと売却できません。

水路が溢れると浸水被害を受ける

大雨などで川が増水した場合、水路が溢れて浸水被害を受ける恐れがあります。

水路の許容を超える水が流れ込むと、水が溢れて土地に流れ込み、家が浸水してしまうかもしれません。

多くの買主が水害に対して危機意識を持っているため、浸水被害の心配がある水路に面した土地は購入を避けられてしまいやすいです。

売主が契約不適合責任を負わなければならない

水路に面した土地を売却すると「契約不適合責任」に問われる恐れがあります。

「契約不適合責任」とは「目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」に売主が買主に対して負わなければならない責任のことです。

例えば、再建築不可物件であることを告知せずに売却すると、買主から「契約内容と違う」として、売買契約の解除や損害賠償を請求されてしまう恐れがあります。

そのため、水路に面した土地を売る場合、その土地が抱えるリスクをきちんと買主へ伝えた上で売却するようにしましょう。

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水路に面した土地の売却方法

不動産売買において、水路に面した土地でも売却可能です。

とはいえ、そのままでは売却がむずかしいため、水路に面した土地を売る場合、次の売却方法を実践するとよいでしょう。

  • 水路の占用許可をとってから売却する
  • 建物を建築しない前提の土地として売却する

それぞれの売却方法を1つずつ解説していきます。

1.水路の占用許可をとってから売却する

「水路の部分は建築基準法上の道路ではない」と判断されると、その土地は建築基準法を満たさないことになります。

ただし、土地と道路の間に水路がある場合、水路の占用許可をとって水路上に橋を架けることで建築基準法を満たせる場合があります。

そのため、水路を管理している自治体から占用許可を取得すれば、建築基準法を満たす土地となり、問題なく売却できるようになります。

水路の専用許可を取得するには「公共物占用許可申請書」をはじめとする、下記の必要書類を市区町村役場へ提出します。

  • 公共物占用許可申請書
  • 位置図
  • 公図
  • 平面図(構造図・断面図)
  • 誓約書
  • 同意・承諾書など

ただし、必要書類は各自治体によって異なるため、申請前に市区町村役場の窓口で確認するとよいでしょう。

参照:「道路・水路の敷地を使いたいときは(道路・水路の占用について)」(美濃市ホームページ)

水路の占用許可があれば建築基準法を満たせる

水路の所有権は土地の所有者ではなく自治体にあるため、勝手に水路の上に橋をかけることはできません。

水路は一般的に行政が管理しているため、通行や水道管敷設などのために水路上を利用するには、自治体へ水路の占用許可を申請する必要があります。

実際に売主が橋を設置しなくても、水路の専用許可をとっておけば、建築基準法を満たした土地として、通常の土地と同様に問題なく売却できます。

無許可で水路に橋を架けると占用料を徴収される

建築基準法を満たすため、無許可で水路に橋をかけると、自治体から占用料を徴収される恐れがあります。

無許可橋、京都市内に3200カ所 占用料徴収強化、全廃図る

京都市は23日、市内の小規模河川や水路に、無許可で架けられた橋が約3200カ所あることを明らかにした。許可を受けている橋の1.8倍で、市に支払う占用料も納めていない。市は、設置者に許可を得るよう働きかけ、今後6年間で無許可橋をなくす方針。

無許可橋は、住民や店舗などの所有者が、家や駐車場への出入り口を確保するために設けているケースが大半で、長さ3m 以下が多い。本来、架橋の際には、市の許可と占用料 ( 1㎡当たり年間750円 )が必要という。許可を受けている市民から「不公平だ」との不満が多く寄せられ、市は徴収強化を決定した。無許可橋の全廃を目指す取り組みは、政令市で初めてという。

無許可橋が多い理由について市建設局は、「そもそも許可や料金が必要だと知らない市民が多い」とみる。【省略】架橋されていた約4900カ所のうち許可を受けていたのは約1700カ所だった。

引用:京都新聞(2015年7月23日)

水路の占用料は市町村によって異なり、無料の自治体もありますが、規模や面積によっては有料としている自治体もあります。

例えば京都市の場合、1㎡あたり年間750円の占用料を支払わなくてはなりません。

参照:「京都市準用河川流水占用料等に関する条例」

橋をかける場合も設置コストがかかる

建築基準法を満たすために、水路に橋をかける場合、コンクリート板などの設置コストもかかります。

橋の構造にもよりますが、車の重さにも耐えられる橋をかけるには、約30万円程度かかります。


橋の設置費用
構造 設置コスト
コンクリート板を乗せるだけ 約5万円
コンクリート板に杭を打つ 約30万円

売主が橋をかけずに買主へ任せる場合でも、その分のコストは売却価格から差し引かれてしまう可能性が高いです。

2.建物を建築しない前提の土地として売却する

建物を建築できない土地と伝えた上で、水路に面した土地をそのまま売却するのも選択肢の1つです。

不動産売買において、水路の占用許可がない土地でも売却できないわけではないため、買主さえ見つかれば、通常の土地同様に売却できます。

とはいえ実際の不動産売買では、水路に面した土地は占用許可がないと売却先が見つからないケースが多いです。

通常の土地より買主が少ないので売却しづらい

水路に面した土地は需要が少なく、買主が見つかりにくいのが実情です。

建築基準法を満たしていないせいで建物を建てられないのはもちろん、軟弱地盤や水害のリスクも抱えているため、一般の買主からは購入を避けられてしまいます。

水路に面した土地の買主が見つからない場合、買取業者へ相談して土地を買取してもらうとよいでしょう。

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複数の不動産会社に査定してもらい高く売れるところを選ぼう

 
水路に面した土地をなるべく高く売るには、不動産会社選びも重要です。

一般的な不動産会社と、水路に面した土地の売買に慣れている不動産会社では、査定額が数百万円変わる場合もあります。

そのため、複数の不動産会社に査定をしてもらい、査定額を比較することが大切です。下記の一括査定を利用すれば、全国の不動産会社にまとめて査定を依頼できます。

査定は「高ければよい」というわけではない

一括査定の注意点は、査定額が高くても優良な不動産会社とは限らない点です。

査定の段階では高値を提示し、後から「やっぱり値下げしないと売れません」といってくる不動産会社もあります。

一括査定の後、現地を直接見る訪問査定がおこなわれますが、そのときに査定額の根拠を確認しましょう。あいまいな答えしか返ってこない場合は、質の低い不動産会社かもしれません。

査定額の根拠をしっかりと説明できて、担当者の対応も的確な不動産会社を選ぶようにしましょう。

水路に面している土地を売却する際の注意点

水路に面している土地を売却する際には、その土地が抱えるリスクだけでなく、注意点も把握しておきましょう。

具体的には次の3点です。

  • 占用許可が購入者に引き継がれるか確認する
  • 告知事項があれば漏れなく説明する
  • 一般的に売却価格は水路に面していない土地より下がる

なかでも「専用許可の引継ぎ有無」「告知義務の実施」を怠ってしまうと、売却後にトラブルを招く恐れがあるので大切です。

占用許可が購入者に引き継がれるか確認する

先ほども説明しましたが、接道義務を満たしていない水路に面している土地を売却する際には「水路の占用許可を取得すること」が必要です。

このとき、取得した占用権が購入者に引き継がれるかを確認しましょう。

説明がなければ、購入者は「水路の占用権も当然に引き継がれる」と考えるはずです。

もしも引き継がれない場合、購入者が無許可で水路を占用している状態となり、自治体とトラブルになってしまいます。

そして、契約時にその事実を知らされなかったとして、売主に損害賠償請求される恐れがあります。

占用権が引き継がれないのであれば、どうすれば占用許可を取得できるのか必要な手続きをまとめておくと、購入者の不安を取り除いてあげられるでしょう。

告知事項があれば漏れなく説明する

「告知事項」は「物件の取引において、購入者の意思決定を左右するような重要な欠点」を指します。買主が「そのことを事前に知っていれば契約しなかった」といえる事柄です。

水路に面している土地の代表的な告知事項は「建築不可」「再建築不可」「セットバック」「軟弱地盤」「浸水被害の有無」です。

また現在、不動産取引ではハザードマップを使って水害リスクを説明されます。

しかし、内水氾濫である水路からの洪水によるリスクは通常の水害ハザードマップには記されていません。通常程度の雨でも氾濫する恐れがあれば、告知事項として購入希望者へ説明しておいた方がよいです。

購入者は告知事項がなければ「その土地に基本的な制限・リスクはない」と認識します。ただし実際と異なっていれば「契約不適合責任」として、損害賠償請求や契約解除の恐れがありますので注意してください。

契約不適合責任とは?
売買契約において、引渡された物件が契約内容に適合しない場合、売主が買主に対して負わなければならない責任。

売却前に、不動産会社に確認しながら告知事項を正しく把握し、契約不適合責任を負う範囲や期間を決めましょう。

一般的に売却価格は水路に面していない土地より下がる

水路に面している土地にはさまざまなリスクがあります。

接道義務を満たしていなければ、橋をかけたり、占用許可のため別途費用が必要です。

そのため、通常の土地に比べて使い勝手が悪く、水路に面していない同条件の土地よりも売却価格は下がります。

売り出し価格を通常の土地と同じくらいするとまず、買主は見つからないでしょう。

まとめ

この記事では、水路に面した土地を売却する方法を解説しました。

水路に面した土地は建築基準法を満たしていなかったり、軟弱地盤や水害のリスクを抱えているため、通常の土地に比べて売却がむずかしいです。

しかし、水路の占用許可を取得して建築基準法を満たせば、水路に面した土地でも問題なく売却できます。

また、一括査定を利用すれば、高値で売却できる不動産会社を見つけることも可能です。

適切な工夫をおこない、納得できる価格で水路に面した土地を売れるようにしましょう。

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水路に面した土地を売る場合のよくある質問

  • 水路に面した土地は、普通の土地より売れにくいですか?

    水路に面した土地は、建築基準法を満たしていないことが多く、地盤が弱く浸水被害も受けやすいため、通常の土地よりも売れにくいです。

  • 水路に面した土地が建築基準法を満たしているか、どのように確認できますか?

    水路に面した土地が建築基準法を満たしているかは、役所で調べられます。

  • 水路に面した土地を売るには、どうすればよいですか?

    水路の占用許可を取得してから売却すれば、買主が見つかりやすくなります。また建築基準法を満たしていない事実を伝えた上で、建物を建築できない土地として売却することも可能です。

  • 水路の占用許可をとってから売却する場合、注意点はありますか?

    水路の占用許可があれば建築基準法を満たせる点・無許可で水路に橋を架けると占用料を徴収される点・橋をかける場合も設置コストがかかる点に注意しましょう。

  • 水路に面した土地を早く・確実に売るには、どうすればよいですか?

    自社で買取している「買取業者」へ売却することで、買主を探す手間をかけずに土地を早く売却できます。より早く・確実に売却したい場合、買取業者の中でも「訳あり物件の専門業者」へ売却しましょう。