不動産の共有名義を解消する7つの方法と手続きの流れ

共有名義 解消

相続や夫婦の自宅購入などで、不動産を共有名義にしている人は少なくありません。

しかし、共有名義は不動産の利用や処分に制限があるため、共有名義を解消したいという人も多いでしょう。

共有名義を解消する方法は数ありますが、ほとんどは他共有者との話し合いが必要です。

もしも短期間で、共有者と話し合うことなく共有名義を解消したいのであれば、持分売却がおすすめです。

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この記事のポイント

  • 不動産の共有名義には「売却に共有者全員の承諾が必要」「相続で共有者が増えて権利関係が複雑になる」といったデメリットがある。
  • もっともスムーズに共有名義を解消できる方法は「自分の共有持分を売却する」こと。
  • 共有持分専門の買取業者なら最短数日での売却が可能。

不動産の共有名義は管理・処分に制限がありトラブルになりやすい

実家の相続や、夫婦の住宅購入など、不動産が共有名義になる経緯はさまざまです。

共有名義にするメリットとしては、相続なら遺産分割をスムーズに終わらせられること、住宅購入なら費用の分担や節税などがあげられます。

しかし、共有名義にすると、次のようなリスクが発生します。

  • 不動産全体の利用や管理で「持分割合の過半数の同意」が必要となる
  • 不動産全体の処分に「共有者全員の同意」が必要となる
  • 相続で共有持分が細分化され権利関係が複雑化する
  • 不動産を利用していなくても税金や修繕費の負担がある

例えば、共有不動産に誰が居住するのか決めるには持分割合の過半数が必要ですし、不動産全体を売却するときは共有者全員の同意が必要です。

場合によっては共有者の間で意見が対立し、裁判沙汰になるケースもあります。

より詳しい共有名義のデメリットについては、下記の関連記事も参考にしてください。

共有名義を解消することでトラブルを防ぎ利用・管理・処分が自由になる

不動産を共有名義にする最大のデメリットは、利用・管理・処分に共有者との話し合いが必要となる点です。

下記の画像のとおり、各共有者が単独でできることは限られており、実質的に制限がある状態といえます。

単独名義と共有名義の違いについて

そのため、不動産の共有名義はなるべく避けて、単独名義にしたほうがよいでしょう。

現在、共有名義の不動産をもっているなら、可能な限り早めに共有名義を解消すべきです。

単独名義であれば、不動産の利用・管理・処分で揉めることなく、不動産を巡ってトラブルになることを防げます。

不動産の共有名義を解消する7つの方法

不動産の共有名義を解消する方法として、以下の6つがあげられます。

  • 自分の共有持分を専門買取業者へ売却する
  • 自分の共有持分を他共有者へ売却・贈与する
  • 自分の共有持分を放棄する
  • 他共有者の共有持分を買い取る
  • 分筆する【土地の場合のみ】
  • 不動産全体を一括で売却する
  • 共有物分割請求を起こす

それぞれ詳しく解説していくので、自分の希望や状況に合わせて方法を選択しましょう。

1.自分の共有持分を専門買取業者へ売却する

共有名義の不動産全体を売却するときは、共有者全員の承諾が必要です。1人でも売却に反対する共有者がいれば、不動産全体の売却はできません。

しかし、共有持分のみを売却する場合は、他共有者の承諾は不要となります。自分の共有持分であれば、いつでも好きなときに売却できるのです。

ただし、共有持分の売買は特殊な取引であり、一般的な不動産会社に相談しても売却できません。

そのため、共有持分を売るときは「共有持分専門の買取業者」に依頼するのがおすすめです。専門の買取業者なら、最短2日で現金化することもできます。

「不動産を売りたいけど共有者との話し合いが進まない」「なるべく早く、共有者の承諾がなくても売却したい」という人は、専門買取業者への売却を検討してみましょう。

2.自分の共有持分を他共有者へ売却・贈与する

他の共有者に、自分の共有持分を譲るという方法もあります。有償なら共有者同士での持分売却、無償で譲るなら贈与です。

持分割合を増やせば、共有者同士の話し合いで発言力が増すなどメリットがあるため、スムーズに共有名義を解消できる可能性があります。

ただし、売却なら売主側に譲渡所得税が、贈与なら受け取った側に贈与税が発生することも覚えておきましょう。

また、売却も贈与も相手側が拒否する可能性があります。その場合、のちほど解説する「共有物分割請求」をおこなうことで、強制的に売却できる可能性があります。

3.自分の共有持分を放棄する

共有持分は、自分の意思で放棄することも可能です。放棄された共有持分は、他の共有者に帰属されます。

贈与との違いは、他共有者の承諾がなくても成立する点です。言い換えれば、自分の共有持分を他の共有者へ強制的に譲り渡すことができます。

放棄を公的に証明するためには登記申請が必要で、その登記申請には他共有者の協力が必要になりますが、協力を拒否された場合は裁判所を介して登記を進めることも可能です。

持分放棄の詳しい仕組みや手順、発生する税金などについては、下記の関連記事を参考にしてください。

4.他共有者の共有持分を買い取る

自分の資金に余裕があれば、他の共有者に持分買取をもちかけてみるのもよいでしょう。

他の共有者からすべての共有持分を買い取れば、共有名義は解消されて自分だけの単独名義になります。単独名義になれば、不動産全体の利用や売却はすべて自由です。

ただし、相手側が拒否する場合は、のちほど解説する「共有物分割請求」を活用するとよいでしょう。

5.分筆する【土地の場合のみ】

共有名義の不動産が土地であれば、分筆するという方法があります。分筆とは、土地を切り分けて別々の名義にする手続きです。

持分割合に沿って分筆をおこなえば、切り分けた土地は各共有者の単独名義にすることができます。

ただし、土地の資産価値は面積だけでなく形状・日当たり・接道状況などさまざまな要素に影響されるため、専門家である土地家屋調査士に依頼しましょう。

なお、建物は切り分けることがむずかしいため、分筆のような「物理的に分割する」という方法は一般的にはおこなわれません。

分筆の詳しいやり方については、下記の記事で解説しています。

6.不動産全体を一括で売却する

共有者全員が不動産の売却による現金化を望んでいる場合は、不動産を一括して第三者に売却するのも選択肢の1つです。

売却代金を共有持分の割合に応じて分ければ公平になるため、共有者全員が納得できる共有名義の解消方法といえます。

ただし、共有名義の不動産全体を売却する際は、売買契約の締結や物件引き渡しに共有者全員の立ち会いが必要となります。

共有者全員で集まるのが困難な場合は、共有者のうち代表者、もしくは弁護士などの法律家を代理人にして、売却手続きを委任しましょう。

代理人を立てるときに必要な委任状作成については、下記の記事を参考にしてください。

7.共有物分割請求の調停・訴訟を起こす

共有物分割請求の調停・訴訟は、共有名義の解消について共有者の話し合いが決着しない、もしくは協議そのものを拒否された場合に起こせます。

調停・訴訟を起こした場合、次のような方法で不動産を分割し、共有名義を解消します。

  • 不動産全体を売却して現金で分割
  • 共有者同士で共有持分を売買
  • 不動産を物理的に分割(分筆)

最終的には裁判所の判決で共有物の分割が決定するため、強制的な分割をおこなうことができます。

ただし、訴訟にまで発展すると、自分の希望とは違う分割方法になる可能性があります。

また、調停や訴訟は時間・費用のコストが発生するため、あくまで他の解消方法解決できなかったときの最終手段とし考えましょう。

共有物分割請求のやり方については、下記の記事も参考にしてください。

共有名義を単独名義に変更する流れ

共有名義から単独名義へ変更するためには、登記の変更を申請する必要があります。

登記の変更手続きを怠ると、第三者に対して権利を主張できません。

次の項目からは共有名義を単独名義に変更するための具体的な流れについて説明します。

  1. 司法書士に相談する
  2. 法務局に書類を提出する
  3. 法務局側が登記内容が変更される

1.司法書士に相談する

登記申請は自分でおこなうことも可能ですが、法律の専門知識が必要となるため、司法書士に依頼するのが一般的です。

登記を間違えると、修正に無駄な時間と費用を取られるため、司法書士に依頼して確実な登記申請をおこないましょう。

なお、土地の分筆をおこなう際も、まずは土地家屋調査士に土地の分筆登記をしてもらった後、司法書士に名義変更の登記申請をしてもらいます。

土地家屋調査士と連携している司法書士も多いので、まとめて依頼できないか相談してみましょう。

司法書士報酬は5万~10万が目安

司法書士によって料金体系は異なりますが、登記申請にかかる司法書士報酬はおおむね5万円~10万円程度です。

不動産の状況などによって大きく変わるため、あくまで目安の金額と考えましょう。

その他の費用については、下記の関連記事も参考にしてください。

2.法務局に書類を提出する

法務局に必要書類を提出し、登記の変更を申請します。

申請に必要な書類は次の通りです。

申請に必要な書類
  • 権利証または登記識別情報通知
  • 旧名義人の印鑑証明書
  • 新名義人の住民票
  • 登記原因証明情報
  • 司法書士への委任状(代理人を依頼するときのみ必要)
  • 固定資産税評価証明書(名義変更登記を行う年度のもの)

司法書士に代理人を依頼するした場合、ほとんどの書類は司法書士側で準備してもらえます。

自分で用意する書類については、依頼する司法書士に確認しておきましょう。

3.法務局側で登記内容が変更される

書類が受理され、法務局の登記官が登記簿の名義を変更すれば、登記申請は完了です。

名義の変更が完了すると、完了書類として登記完了証と登記識別情報通知が発行されます。

登記識別情報通知は「名義変更後の不動産所有者」に発行されます。今後の不動産売買などで必要となるため、受け取った後は大切に保管しておきましょう。

まとめ

共有名義には節税効果が期待できる、話し合いがまとまらない時に同意を得やすいなどのメリットがあるため、不動産を購入する際や相続する際に共有名義を選択する人も多いと思います。

しかし、共有名義を後で売却することになった場合、トラブルに発展しやすいというデメリットもあるので注意が必要です。

共有名義のままにしてくと、共有者の間で裁判沙汰になるケースも少なくないので、可能な限り単独名義にしておくことをおすすめします。

持分売却や共有物分割請求など、共有名義を解消する方法はいくつもあるので、自分の希望や状況に合わせてスムーズな解消をおこないましょう。

共有名義の不動産についてよくある質問

  • 不動産を共有名義にしていると、どんなメリットがある?

    各共有者が住宅ローン控除や譲渡所得税の控除を受けられるので、税額を抑えられるメリットがあります。また、不動産の遺産分割をする際、共有名義にすることで公平な相続が可能です。

  • 不動産を共有名義にしていると、どんなデメリットがある?

    不動産の管理や処分に、共有者との話し合いが必要となります。例えば、共有名義の不動産全体を売却するには、共有者全員の同意が必要です。また、相続を繰り返すことで共有者が増えていき、話し合いが困難になる恐れもあります。

  • 共有名義を解消するにはどんな方法がある?

    共有者全員の同意のもと、共有不動産全体を売却する方法が一番よいでしょう。共有者から売却の承諾を得られない場合、自分の共有持分だけ売却するという方法があります。

  • 共有持分の売却に他共有者の承諾は必要?

    いいえ、必要ありません。自分の意思のみで、いつでも好きなときに売却できます。ただし、共有者の承諾は不要であっても、事前に売却することを伝えておいたほうが余計なトラブルを防げます。

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