ガソリンスタンド跡地を売却する方法とは?高く売るコツと注意点

ガソリンスタンド跡地 売却

ガソリンスタンド跡地は土壌汚染されている恐れがあり、売却が難しい傾向にあります。

実際にガソリンスタンド跡地を所有していると、売却できるか不安に思う人も多いでしょう。

ガソリンスタンド跡地を売却するには、売却前に土壌調査をおこなうことが原則です。調査の結果、汚染されていることがわかれば、売却前に土壌を浄化しなくてはなりません。

もしも売却に困った場合は、訳あり物件専門の不動産業者へ相談してみることをおすすめします。

訳あり専門の不動産業者なら、ガソリンスタンド跡地のような売却が難しい物件でも相談に乗ってくれるケースが多いです。

>>【高額査定】訳あり物件専門の買取業者はこちら

この記事のポイント

  • 売却前の土壌調査は義務ではないが実施すると売れやすくなる。
  • 不動産会社を探すときは一括査定の利用がおすすめ。
  • 「ガソリンスタンド跡地であること」は告知義務がある。

ガソリンスタンド跡地の売却するときの注意点3つ

ガソリンスタンド跡地を売るときは、土壌汚染などの危険性から、通常の不動産売却と違った注意点があります。

押さえておきたい主なポイントは、以下の3つです。

  • ガソリンスタンド跡地特有のリスクがある
  • 告知義務を怠ると契約不適合責任に問われる
  • ガソリンスタンド廃業には届け出が必要

スムーズに売却するためにも、上記のポイントはしっかり把握しておきましょう。

ガソリンスタンド跡地特有のリスクがある

ガソリンスタンド跡地には、以下のようなリスクがあります。

  • ガソリンに含まれる特定有害物質
  • 地下タンクの埋め戻しによる地盤沈下
  • 油臭・油膜の残留

これらのリスクが問題視されるため、通常の不動産より売却が難しくなります。

リスク1.特定有害物質による土壌汚染

特定有害物質とは、土壌汚染対策法で指定された人の健康に被害を生ずる恐れがある物質のことです。ガソリンには「ベンゼン」と「鉛」という2つの特定有害物質が含まれています。

ベンゼンと鉛の基準値は、次のように定められています。

項目 溶出量基準(土壌に水を加えた場合の溶出量) 含有量基準(土壌に含まれる量)
検液1Lにつき0.01mg以下 なし
ベンゼン 検液1Lにつき0.01mg以下 150mg/kg以下

参照:国土交通省「土壌汚染対策法に基づく溶出量基準・含有量基準」

2つの有害物質に土壌が汚染されている場合は、人体に影響を与える恐れがあるため、売却価格に悪影響がでてしまいます。

そのため、売却前に土壌調査を実施し、汚染があれば浄化対策工事を行います。

地下タンクの埋め戻しによる地盤沈下

ガソリンスタンドには、地下タンクが埋蔵されていることがほとんどです。

地下タンク自体は、ガソリンスタンドの廃業と同時に掘り出され、無害化されているのが一般的です。また、2010年6月以降の消防法改正により、油漏れ防止や腐食対策が義務付けれらているため、問題は起きにくくなっています。

しかし、地下タンクの埋め戻し工事が丁寧でなければ、地盤が緩くなっていたり、建物の基礎部分に干渉する恐れがあります。場合によっては地盤沈下を起こしているかもしれません。

古いガソリンスタンド跡地や、地下タンク埋め戻しの施工会社の信頼性が低いと、買い手から敬遠される可能性があります。

油臭・油膜の残留

ガソリンスタンドが長く営業されていれば、土地に油臭や油膜が残ってしまう恐れがあります。

ガソリンの臭いや目に見える油膜は、買主に嫌悪感を抱かれてしまいます。

油臭や油膜が残っている場合は、土壌汚染のときと同じように、浄化対策工事を行うのが一般的です。

告知義務を怠ると契約不適合責任に問われる

ガソリンスタンド跡地は売却が困難な土地であるため「ガソリンスタンド跡地であることを隠して売却したい!」と考える人もいるでしょう。

しかし、売却時には「ガソリンスタンド跡地であること」を買主に対して告知する義務があります。

告知義務は、取引において買主の意思決定を大きく左右するような事実が対象になります。ガソリンスタンド跡地であることは買主の意思決定に多大な影響があるので、契約前に伝えなければいけません。

告知義務に違反した場合、契約不適合責任に問われる恐れがあるので注意しましょう。

契約不適合責任とは?
売買契約における売主の責任について定めたもの。引き渡した品物が契約内容に適合しない場合、買主から追完(不足分の履行)・代金減額・損害賠償・契約解除を請求される恐れがある。

土壌汚染があると重要事項説明書への記載も必要

告知義務は売主の責任に関するルールですが、売買を仲介する不動産会社にも重要事項説明の義務があります。

重要事項説明とは?
買主の判断に重要な影響をおよぼす事項について、契約前に宅地建物取引業者が書面を交付して説明する制度。

土壌汚染があることを重要事項説明に記載しなかった場合、不動産会社はペナルティを受ける恐れがあり、企業の信用にも関わります。

そのため、ガソリンスタンド跡地の売却を仲介で売る場合、不動産会社のほうから調査を求められる可能性があります。

ガソリンスタンド廃業には届け出が必要

ガソリンスタンド経営から完全に撤退する場合、廃業の届け出が必要になります。届け出がされていないガソリンスタンド跡地は買い手からも避けられる可能性があるため、適切に手続きを済ませることが大切です。

関連する届け出は複数あり、手続きも複雑です。地域によって必要な手続きが違う場合もあるため、まずは自治体に相談しましょう。

※ガソリンスタンド廃業に必要な届出の例
  • 石油販売業廃止届書、揮発油販売業廃止届書→経済産業局
  • 給油取扱所の廃止届出→消防署
  • 土壌調査報告書、建設リサイクル法→市町村
  • 指定作業場廃止届出→都道府県
  • 解散確定申告、清算確定申告→国税庁

ガソリンスタンド跡地の売却では原則として土壌汚染調査を行う

先述の通り、ガソリンスタンド跡地は土壌汚染のリスクがあります。そのため、ガソリンスタンド跡地を売却する際は、基本的に土壌汚染調査を行います。

調査によって安全性をアピールし、購入してもらいやすくすることが主な目的です。

また、土壌汚染の被害防止などを目的とした土壌汚染対策法では、ガソリンスタンド跡地について「都道府県知事が土壌汚染の調査・対策を規定できる」としています。よって、自治体によっては条例で土壌汚染調査を義務付けている場合があります。

都道府県知事は、第一項の規定による土地の形質の変更の届出を受けた場合において、当該土地が特定有害物質によって汚染されているおそれがあるものとして環境省令で定める基準に該当すると認めるときは、環境省令で定めるところにより、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について、当該土地の所有者等に対し、指定調査機関に前条第一項の環境省令で定める方法により調査させて、その結果を報告すべきことを命ずることができる。ただし、前項の規定により当該土地の土壌汚染状況調査の結果の提出があった場合は、この限りでない。

引用:e-Govポータル「土壌汚染対策法第4条3項」

都道府県知事は、前項に規定する汚染土壌処理施設の特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、当該汚染土壌処理施設を汚染土壌の処理の事業の用に供した者に対し、相当の期限を定めて、当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

引用:e-Govポータル「土壌汚染対策法27条の2」

いずれにせよ、ガソリンスタンド跡地売却に土壌汚染調査は付き物であると考えておきましょう。

土壌汚染調査・浄化工事に必要な費用はいくら?

土壌汚染調査や浄化工事は専門の業者に依頼しますが、具体的な費用はケース・バイ・ケースです。

土壌汚染調査会社の株式会社ジオリゾームでは、参考費用として次の価格を提示しています。

土壌汚染調査の費用
  1. 地歴調査:約7万円~
  2. 表層土壌調査:900㎡以内で約20万~35万円程度、1,800㎡以内で約45万~60万円程度
  3. ボーリング調査:1箇所20万~80万円程度

浄化対策工事の費用
数百万円~数億円
※汚染の範囲や種類によって大きく異なる。深度が浅ければ1㎥あたり3万円~5万円程度で収まるケースもあり。

参照:株式会社ジオリゾーム「費用について」

調査する物件の規模や、土壌汚染の範囲・種類、業者ごとの料金設定の違いなど、さまざまな要因に左右されます。なるべく複数の業者から見積もりを取るようにしましょう。

ガソリンスタンド跡地を売却する2つの方法

前の項目でも説明した通り、ガソリンスタンド跡地を売却するには、土壌調査を実施すべきです。

そして、土壌調査をおこなった後は、以下2つどちらかの方法でガソリンスタンド跡地を売却できます。

  • 物件をそのままの状態で売却する
  • 建物を解体し更地として売却する

次の項目から、それぞれの方法を順番に見ていきましょう。

建物をそのままの状態で売却する

まずは、土地と建物をそのまま売却する方法です。何か手を加える必要がないため、手っ取り早く売却できます。

ただし、建物が残っていることで土壌汚染調査が正確にできず、解体が必要にある場合もあります。

ガソリンスタンドは、車の交通量が多い道路に面している店舗がほとんどです。土壌汚染さえ問題なければ、立地条件に優れているため、居抜き物件としても一定の需要が見込めます。

出店予定地を探している法人や、開業予定の個人事業主を狙えば、スムーズに売れる可能性があります。

建物を解体し更地として売却する

建物を解体し更地として売却する方法も検討しましょう。

建物がそのまま残っている土地よりも、更地のほうが需要が高く、買主が見つかりやすくなります。更地は、買主による土地の利用方法が制限されないため、さまざまな活用方法があります。

ただし、ガソリンスタンド跡地を更地にする際は、建物の解体費用がかかることに注意が必要です。

ガソリンスタンドの解体費用はどれくらい?

ガソリンスタンドの解体は、建築物の買いたいと、地下タンクの撤去を行います。

費用は施設の規模次第で、数百万円~数千万円と幅があります。土壌の汚染調査や浄化対策工事も含めると、高額な費用が必要です。

なお、地下タンク・配管撤去については、一般社団法人全国石油協会から補助金を受けられる場合があります。経済状況が厳しい業者であれば、最大で1,000万円(費用の2/3)の補助金を受け取り可能です。

参照:一般社団法人全国石油協会「令和4年度補正予算 SSの事業再構築・経営力強化事業」

高値でスムーズに売るなら「訳あり物件専門の買取業者」がおすすめ

ガソリンスタンドの解体や土壌汚染調査は費用が高く、多くの手間がかかります。そのため、高値でスムーズに売るなら訳あり物件専門の買取業者に相談しましょう。買取業者とは、文字通り物件を直接買い取る業者です。

仲介業者に依頼すると買主探しをする必要がありますが、買取業者は自社が買主になるため、スピーディーに取引を進められます。加えて、契約不適合責任が免責される点もメリットです

また、訳あり物件専門の買取業者は、ガソリンスタンド跡地のような物件を再生・活用するノウハウを豊富に持っているため、高値で積極的に買い取ってもらえます。

早ければ相談から現金化まで数日程度で完了することもあるため、ガソリンスタンド跡地の売却に手間をかけたくない人、スムーズに高額売却をしたい人は、ぜひ無料査定で相談してみましょう。

まとめ

ガソリンスタンド跡地は、土壌汚染や地盤沈下の恐れがあるため、売却が困難です。

そのため、ガソリンスタンド跡地を売却するには、売却前に土壌調査をおこなうことが原則です。土壌調査は法律で定められているわけではありませんが、スムーズな売却をおこなうためには、必須だと考えてください。

また、ガソリンスタンド跡地を売却する際は「土壌汚染の調査・対策が必要」「告知義務を果たす」ことに注意してください。

もしも、調査や売却の手続きが困難だったり、面倒に感じる場合は、訳あり不動産専門の買取業者に売却することも検討しましょう。

訳あり不動産専門の買取業者に売却すれば、面倒な手続きもすべて代行してもらえます。

ガソリンスタンド跡地の売却時によくある質問

  • ガソリンスタンド跡地を売却するには?

    ガソリンスタンド跡地を売却する際は、土壌調査を実施しましょう。土壌調査をして「土中に有害物質が含まれていないか」を明らかにした上で売却すべきです。

  • ガソリンスタンド跡地は売る方法は?

    「物件と土地をそのままの状態で売却する」「建物を解体し更地として売却する」の2つが、ガソリンスタンド跡地を売却する方法です。

  • ガソリンスタンド跡地は誰に売ればいい?

    ガソリンスタンド跡地をそのまま売却したい場合は「訳あり不動産専門の買取業者」へ相談してみましょう。土壌調査などガソリンスタンド跡地の売却にまつわる手続きをすべて代行してもらえます。

  • ガソリンスタンド跡地の売却が困難な理由は?

    「ガソリンに含まれる特定有害物質による土壌汚染の恐れがある」「地下タンクの埋め戻しによる地盤沈下の恐れがある」「油臭や油膜への嫌悪感が拭えない」といったデメリットがあるため、ガソリンスタンド跡地はなかなか売れにくいとされています。

  • ガソリンスタンド跡地を売却するときの注意点を知りたい!

    ガソリンスタンド跡地を売る際は、売却前に土壌汚染の調査・対策が必要と法律で定められています。また「ガソリンスタンド跡地であること」を告知する義務があることにも注意が必要です。