都市計画道路予定地を売ることは可能!スムーズな売却のコツについて

都市計画道路予定地とは、将来的に道路の整備が予定されている場所のことで、工事が始まると土地の一部または全部が自治体に収用されてしまいます。
都市計画道路予定地には「計画決定」「緩和路線」「事業決定」の3段階があり、事業決定でなければ都市計画道路予定地でも売却できます。
とはいえ、都市計画道路予定地は通常物件に比べると不便なので、買主が見つかりにくく売れにくい傾向にあることは否めません。
その場合は、訳あり物件専門の不動産業者に買取り相談を行うのも一つの手です。仲介と違い、直接売却は商談が成立すれば即現金化できるので、買手が現れないという心配がなくなります。
この記事では、都市計画道路予定地を確実に売却する方法についてお伝えします。
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この記事のポイント
- 都市計画道路予定地は、計画の進捗状況によって売却できる範囲が変わる。
- 都市計画法の建築制限があるため、需要が少なく価格も下がりやすい。
- 自治体の補償や税金の安さなど、都市計画道路予定地ならではのメリットがある。
目次
都市計画道路予定地でも進捗状況によっては問題なく売却可能
都市計画道路予定地でも、進捗状況によっては通常の土地のように問題なく売却できます。
都市計画道路の開発が予定されていても、すぐに道路工事が始まるわけではありません。
都市計画道路予定地の進捗状況には3段階あり、それぞれ売却できるケースと売却できないケースに分けられます。
進捗状況 | 制限 |
---|---|
決定計画 | 売却できる |
緩和路線 | 売却できる |
事業計画 | 売却できない |
まずは3種類ある都市計画道路予定地について、1つずつみていきましょう。
「計画決定」段階の都市計画道路予定地は土地全体を売却できる
1つ目のケースは、計画自体は決定したが事業着手時期は決まっていない「計画決定」段階の都市計画道路予定地です。
この段階では、まだ土地の収用や工事計画といった具体的な動きはなく、一定の制限下であれば建物の建築・建替えも認められています。
計画決定の段階であれば、自治体への届出が必要なケースもありますが、通常の土地と同様に都市計画道路予定地の全体を売却できます。
「緩和路線」段階の都市計画道路予定地も土地全体を売却できる
2つ目のケースは、計画決定後も長期間に渡って事業着手の見通しが立っていない「緩和路線」段階の都市計画道路予定地です。
例えば、昭和30〜40年代の高度経済成長期に決定されたにもかかわらず、数十年以上経っても事業決定まで進んでいない都市計画道路予定地もあるのです。
計画決定から数十年経過しても事業決定の見通しが立たない場合、都市計画道路予定地への建築制限といった制限を緩和する自治体が増えています。
例えば東京都の場合、以下の条件を満たした建物であれば、緩和路線への建築が認められます。
- 容易に移転、または除去できること
- 市街地開発事業等の支障にならないこと
- 階数が3階以下、高さが10m以下で地階がないこと
- 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造、あるいはこれらに類する構造であること
- 都市計画道路部分と分離できるように設計上配慮されていること
緩和路線の段階なら、土地収用の予定も定まっていないので、計画決定段階のケース同様に都市計画道路予定地の全体を売却できます。
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「事業決定」段階の都市計画道路予定地は土地の一部が売却できない
3つ目のケースは、具体的な事業着手の日程などが決まっている「事業決定」段階の都市計画道路予定地です。
事業決定の都市計画道路予定地では、土地の収用や立ち退き交渉がおこなわれ、道路工事も始まってしまいます。
事業決定の段階になると、都市計画道路予定地の一部が自治体に収用されてしまうため、収用されずに残った土地しか売却できません。
とはいえ、都市計画道路予定地の一部が無条件で収用されるわけではなく、収用される土地に対する補償金が支払われるので安心してください。
売却前に都市計画の進捗状況を調べておこう
売却したい都市計画道路予定地の進捗状況を確認したい場合、市区町村役場の「都市計画担当課」に問い合わせましょう。
そして、市区町村役場で以下の書類を取得します。
- 拡幅予定線図(予定概略線図・拡幅予想線図)
市区町村役場で取得した書類を確認することで、都市計画道路の名称・予定地・現在の段階などが把握できます。
なお、東京都の場合は「都市計画情報等インターネット提供サービス」というwebサイトで都市計画道路計画予定地をすぐに確認できます。
地図をクリックするだけで都市計画道路計画予定地がわかるので、いますぐ知りたい人におすすめの方法です。
参照:「都市計画情報等インターネット提供サービス」(東京都)
都市計画道路予定地は通常物件より売れにくい傾向にある
都市計画道路予定地は全体または一部を売却できますが、やはり通常物件に比べると売れにくい事実は否めません。
都市計画道路予定地が売れにくい理由として、以下の3点が挙げられます。
- 都市計画法の建築制限があるせいで需要が少ない
- 土地の一部が収用されると使い道が限られてしまう
- 都市計画道路予定地を売る場合は事前に届け出が必要
都市計画道路予定地は建築制限や土地収用のせいで買主からの需要が少ないうえ、自治体へ事前に届出しないと売却できないためです。
どうして都市計画道路予定地は売れにくいのか、より詳しく解説していきます。
都市計画法の建築制限があるせいで需要が少ない
都市計画道路予定地に指定された時点で、建物の建築・建替えには自治体からの許可が必要になり、建築できる建物にもさまざまな制限が加えられてしまいます。
「計画決定」段階でも、都市計画法によって次のような建築制限が設けられています。
- 階数が2階以下で地階を有しない
- 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造など
多くの場合、将来的に土地収用のために建物を解体する必要があるので、鉄骨鉄筋コンクリート・鉄筋コンクリート造などの堅固な建物は建築できません。
このように建築制限のせいで土地を購入した買主は自由に建物を建てられないため、都市計画道路予定地の需要を下げる大きな要因となっています。
土地の一部が収用されると使い道が限られてしまう
都市計画道路予定地に指定された時点で、都市計画道路のスペースを確保するために土地の一部を収用される恐れがあります。
都市計画道路予定地の一部が収用されると、単純に土地が狭くなるだけでなく、既存の建物を解体しなければならず、土地の形状も悪くなるため使い道が限られてしまいます。
実際には「事業決定」段階まで進展しなければ、土地収用はおこなわれませんが「計画決定」や「緩和路線」の段階でも将来的に収用されるリスクがあることは変わりません。
土地の一部を収用されると使い道が限られてしまうため、そうしたリスクを嫌い、買主は都市計画道路予定地の購入を避ける傾向にあります。
都市計画道路予定地を売る場合は事前に届出が必要
原則として、都市計画道路予定地は土地の一部が自治体に収用されて公有地とされます。
そのため、都市計画道路予定地を売却する前には自治体への届出が必要です。
例えば東京都の場合、都市計画道路予定地を売却する3週間前までに「土地有償譲渡届出書」を提出して、その旨を知事に届出する必要があります。
届出の方法は自治体によって異なるため、くわしくは市区町村役場の担当窓口へ相談してみるとよいでしょう。
参照:「公有地の拡大の推進に関する法律に基づく届出と申出」(東京都)
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都市計画道路予定地の売却価格
都市計画道路予定地は土地の一部が自治体に収用されますが、ケースによって収用される面積や位置は異なります。
一方で、中心に道路が走ってしまい、土地を2分割されてしまい使い物にならなくなってしまうケースもあるのです。
都市計画道路予定地の売却価格は、収用後に残される土地の面積・形状が影響します。
基本的に収用後の土地が狭い・形状が悪いほど、都市計画道路予定地の売却価格が安くなってしまうのです。
この項目ではケース別に、都市計画道路予定地の売却価格を解説します。
土地の一部が収用されるだけなら値下がりは少ない
都市計画道路予定地でも、収用される土地の面積が小さければ、あまり売却価格は下がりません。
収用される土地の面積が小さく、残された土地に問題なく建物を建てられるのであれば、都市計画道路予定地の価値が大幅に低下することはないです。
また新しく開発される道路に近いということで、都市計画道路予定地は利便性を重視する買主からの需要も期待できます。
基本的に再建築不可物件にならない限り、買主の探しやすさは通常の土地と変わらず、相場から約10%ほど値引きすれば、都市計画道路予定地を売却できるケースが多いです。
収用後の土地が再建築不可物件だと売却価格は安くなる
都市計画道路予定地の収用される面積が大きいと、再建築不可物件と扱われてしまい、大幅に値下げしないと売却できません。
再建築不可物件とは、次のような建築基準法を満たしていないために、新しく建物を建てられない土地のことです。
- 土地が狭く、建物を建てる建築面積を確保できない
- 道路に面してないため、接道義務を満たしていない
購入しても新しい建物を建てられないため、都市計画道路予定地が再建築不可物件になってしまうと買主からの需要が圧倒的に少なくなります。
そのため、価格を安くしないと都市計画道路予定地を売却できないのです。
収用されない土地の形状が悪い場合も売却価格が安くなる
収用後に残る土地の形状が悪い場合、都市計画道路予定地の売却価格は安くなり、買主もなかなか見つかりません。
例えば、画像のように土地の中央を割く形で土地が収用されると、残された土地は収用前の半分以下の面積になってしまうため、使い道はほとんどありません。
このように残される土地の形状が悪いと、都市計画道路予定地を購入しても建てられる建物は限られてしまうので、いくら面積が広くても売却はむずかしいでしょう。
都市計画道路予定地が売れないときの対処法
土地の一部が収用されるせいで、都市計画道路予定地は買主が見つかりにくく、売却がむずかしいです。
なかなか都市計画道路予定地が売れない場合、次の対処法を用いるとよいでしょう。
- 市場価格から10%割引した価格で売る
- 買主へ都市計画道路予定地のメリットを伝える
- 複数の不動産会社を一括査定を依頼する
それぞれの対処法について、1つずつ解説していきます。
【対処法1】市場価格から10%割引した価格で売る
都市計画道路予定地を売却する場合、市場価格から約10%割引すると売れやすいです。
都市計画道路予定地は建築制限を受けるため、一般的な土地相場よりも価格を下げないと買主が見つかりにくい傾向にあります。
しかし、都市計画道路予定地には建築制限があるものの、再建築不可物件ほど厳しい制限ではなく、とくに「緩和路線」は土地の使い道が意外と豊富です。
いずれ土地を収用されるリスクを加味しても、まずは都市計画道路予定地の価格を相場から10%値引きする程度で十分です。
【対処法2】買主へ都市計画道路予定地のメリットを伝える
都市計画道路予定地はデメリットだけではなくメリットも多いです。
都市計画道路予定地を所有していると、立退き料の支払いや節税面での優遇などの補償が受けられます。
- 収用される土地に対して補償が受けられる
- 都市計画道路予定地は通常の宅地よりも税金が安い
こうした都市計画道路予定地のメリットを伝えることで、買主の購買意欲が高まるため、スムーズな売却につながります。
ここでは買主へ伝えるべきメリットを1つずつ解説していきます。
【メリット1】収用される土地に対して補償が受けられる
都市計画道路予定地の1つ目のメリットは、収用される土地に対して補償が受けられることです。
都市計画道路予定地は土地の一部が自治体に収用されますが、対価もなしに無償で没収されてしまうわけではありません。
都市計画道路予定地を所有していると、土地の一部を収用される代償として、以下のような「立退き料」をはじめとする手厚い補償が受けられます。
- 収用される土地の価格
- 収用される建物と同等の建築費用
- 移転先へ引越しするための転居費用
- 新しい建物が完成するまでの仮住まいの費用
都市計画道路予定地だからといって、必ずしも損をするとは限らず、むしろ立退き料などの補償によって得をするケースもあるのです。
こうした手厚い補償があると伝えることで、買主の不安感を解消して都市計画道路予定地への購買意欲を掻き立てることができます。
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【メリット2】都市計画道路予定地は通常の宅地よりも税金が安い
都市計画道路予定地の2つ目のメリットは、通常の宅地よりも税金が安いことです。
具体的には、都市計画道路予定地は不動産取得税・固定資産税・都市計画税などの税金が通常の宅地よりも安いです。
固定資産税評価額を計算する際、都市計画道路予定地は地区区分・容積率・地積割に応じた軽減措置を受けられるため、収用される土地の面積が広いほど税額が安くなります。
同様に相続税評価額も減額されるため、もし土地を相続する場合も相続税の負担を抑えることが可能です。
こうした節税面でのメリットを伝えることで、都市計画道路予定地に対する買主の抵抗を減らして、購入を前向きに検討してもらえる可能性が上がります。
参照:「都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価」(国税庁)
【対処法3】複数の不動産会社を一括査定を依頼する
売り出してから数ヶ月経つのに売れる気配がない場合、売却活動を依頼する不動産会社を変えてみることも検討してみましょう。
不動産会社によって得意な物件や地域があるため、不動産会社を変えるだけでスムーズに買主が見つかったり、売却価格が上がる場合があります。
不動産会社を探すときは、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できる一括査定がおすすめです。
下記ボタンから申し込めば、全国の不動産会社に査定を依頼できるので、ぜひ活用してみてください。
まとめ
都市計画道路予定地でも「事業計画」の段階まで開発が進んでいなければ、法律上は問題なく売却できます。
ただし収用される土地が大きい場合や残された土地の形が悪い場合、買主に購入するリスクが大きいと考えられてしまうため、一般的な土地よりも売れにくい傾向にあります。
とはいえ、都市計画道路予定地が売れない場合も市場価格から10%ほど値引きしたり、立退き料や節税面でのメリットを買主へ伝えれば、売却できる可能性が高いです。
どうしても買主が見つからないときは訳あり物件の専門業者へ依頼すれば、都市計画道路予定地を最短2日ほどで買取してもらうことも可能です。
ただし、あまりにも売却価格が安い場合など、都市計画道路予定地を売却せずに立退き料を受け取ったほうがよいケースもあります。
まずは不動産業者へ「都市計画道路予定地がいくらで売れるか?」を相談して、おおよその売却価格を査定してもらうことをおすすめします。
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都市計画道路予定地を売るときのよくある質問
-
都市計画道路予定地の売却は認められていますか?
「計画決定」または「緩和路線」の段階であれば、自治体から許可をとることで都市計画道路予定地を売却可能です。ただし「事業決定」まで段階の進んだ都市計画道路予定地は売却が認められていません。
-
どうすれば都市計画道路予定地の進捗状況がわかりますか?
市区町村役場の「都市計画担当課」へ問い合わせることで、都市計画道路予定地の進捗状況がわかります。自治体によってはホームページから確認できる場合もあります。
-
都市計画法予定地は通常の土地よりも売れにくいですか?
都市計画法の建築制限や土地の一部を収用される都合上、都市計画法予定地は通常の土地よりも売れにくい傾向にあります。
-
都市計画道路予定地の売却価格はどのくらいですか?
土地の一部だけ収用される場合、売却価格は相場から10%程度の値下げで済みます。ただし、収容後の土地が再建築不可物件であったり、形状が悪いと大幅に売却価格が下がってしまいます。
-
都市計画道路予定地が売れないときはどうすればよいですか?
都市計画道路予定地の売却価格を値下げしたり、買主へ立退き料や節税面でのメリットを伝えると売却できる可能性が上がります。また、不動産会社を変えるだけでも、スムーズに買主が見つかる場合があります。→【無料で価格がわかる!】不動産のオンライン一括査定はこちら