共有持分の生前整理はどうやる?トラブル回避のコツを解説します

自分の死後に相続トラブルが発生しないよう、生前整理を検討する人も多いでしょう。
とくに、共有持分のように「分けにくい資産」は相続時に揉め事が起こりやすく、生前整理は有効なトラブル対策です。
共有持分の生前整理には「自分の持分だけ売却」「不動産全体の売却」「自分の持分を放棄」といった方法があげられます。
手っ取り早く、かつスムーズに生前整理ができるのは「自分の持分だけ売却する方法です。
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この記事のポイント
- 共有持分は生前整理することで「相続争い」が防げる。
- 共有持分の生前整理は「共有状態の解消」が大切。
- 自分の共有持分だけ売却すればスムーズに共有状態を解消できる。
共有持分は生前整理することで「相続争い」が防げる
生前整理とは、相続が発生する前に財産を整理しておくことです。
被相続人が生前にどの財産を誰に相続するか、どのように分けるかを相続人と話し合って遺言書にまとめていた場合、速やかに遺産分割をおこなえます。
遺言書を作成していなかった場合、民法に定められている相続割合、相続人同士で話し合う遺産分割協議の結果に基づいて遺産分割をおこなうことになります。
遺産の中に共有持分のような分けにくい不動産が含まれている場合は、誰が相続するのか、どのように分けるのかで相続争いに発展しやすいので要注意です。
しかし、生前整理で共有持分を遺産分割しやすい状態にしておけば、相続争いを未然に防ぐ効果が期待できます。
共有持分は相続時にトラブルになりやすい遺産
共有持分が相続時にトラブルになりやすい理由として、以下の4つがあります。
- 共有者がねずみ算式に増えて収拾がつかなくなる
- 共有者同士で相続した不動産の利用方法についてもめる
- 固定資産税の負担でもめてしまう
- 占有者問題でもめてしまう
それぞれのトラブルを詳しく解説していきます。
【トラブル①】共有者がねずみ算式に増えて収拾がつかなくなる
例えば、被相続人の遺産に含まれている不動産を共有状態にし、相続人の長女・長男・次女・次男の4人で共有持分を取得したとしましょう。
最初の共有者は4人ですが、長女や長男が亡くなり、その子供たちが共有持分を相続した場合は次々と共有者がねずみ算式で増えていくことになります。
家系図の下にいくほど疎遠になっていくので、最終的には誰が共有者なのか把握が困難になるので注意が必要です。
【トラブル②】共有者同士で相続した不動産の利用方法についてもめる
共有持分を所有する共有者は、単独で不動産を使用できます。
不動産が空き家の場合「賃貸として貸し出したい」「売却して現金化したいと」考える共有者も多いと思います。
しかし、賃貸として貸し出す場合には共有者の過半数、売却して現金化する場合には共有者全員の同意を得なくてはなりません。
共有者がねずみ算式で増えた場合、共有者の同意を得ることが難しくなり、不動産の利用や処分を容易におこなえなくなるということを理解しておきましょう。
【トラブル③】固定資産税の負担でもめてしまう
共有状態の不動産の場合は、固定資産税や都市計画税は共有者の共有持分の割合に応じて負担することになります。
そのため、不動産の売却を希望しているものの、同意を得られずに渋々現状を維持している共有者の中には、固定資産税を負担することに納得しない共有者も。
「不動産売却反対派の共有者だけが固定資産税を負担すべき」と共有者間で固定資産税の負担でもめる可能性もあるので要注意です。
【トラブル④】占有者問題でもめてしまう
共有持分を所有している共有者であれば誰でも物件を使用できますが、共有者全員で物件を使用するということはほとんどありません。
共有者の1人が物件の管理を兼ねて占有しているケースが多いです。
しかし、上記のように占有者がいる状態だと、他の共有者は共有持分を有していても自由に物件を使用できないので不公平です。
また、共有者の1人が物件を占有している状態にもかかわらず、固定資産税や都市計画税を共有持分の割合に応じて負担している場合は他の共有者は納得できません。
共有持分の生前整理で相続トラブルを防ぐ方法
これまで説明した通り、遺産に共有持分が含まれている場合はトラブルに発展しやすいです。
そこで、共有持分の相続トラブルを防ぐために、生前整理の実施を検討しましょう。
共有持分の生前整理で相続トラブルを防ぐ方法は以下の3つです。
- 共有持分だけを売却し、現金化して相続する
- 他の共有者と相続して1/1にして売却し、現金化する
- 不要な場合は共有持分を放棄する
それぞれの方法について詳しく解説していきます。
【トラブル防止策①】共有持分だけを売却し、現金化して相続する
共有持分を有する不動産を一括で売却する際は、共有者全員の同意が必要です。
しかし、共有持分だけを売却する場合には他の共有者の同意が不要です。単独で共有持分を売却できます。
共有持分を売却して現金化すれば共有者から外れることでトラブルに巻き込まれずに済む、遺産分割を速やかにおこないやすくなります。
共有持分だけを売却する方法は以下の2つです。
- 他の共有者に売却する
- 専門の買取業者に売却する
それぞれメリット・デメリットがあるので違いをよく理解してから選ぶことが重要です。
他の共有者に売却する
共有者の中には、実質的に共有状態の不動産を占有している人もいます。
実質的な占有者は、経年劣化に対する修繕の範囲を超えるリフォームやリノベーションに取りかかろうとする場合、共有者の過半数の同意を得なくてはなりません。
そのため、同意を得るのに時間と手間がかかるので、他の共有者から共有持分を買い取って自分1人で過半数の条件を満たせるようにしたいと考えている人もいます。
そのような人に売却を相談すれば、喜んで買取に応じてくれる可能性があります。
しかし、必ず買い取ってくれるとは限りません。共有者に買取に応じられる資金がなければ買取に応じてもらえないためです。
専門の買取業者に売却する
共有持分だけを買い取ってくれる第三者を探すのは難しいです。
その理由は、共有持分を買い取っても第三者はその物件を独占できないためです。
そのため、共有持分を売りたいなら、共有持分専門の買取業者に依頼することをおすすめします。
専門の買取業者に売却するメリットは、双方が契約に合意すればすぐ現金化できる点です。
少しでも高く売却したいという人は他の共有者に相談する、早く現金化したいという人は買取業者に相談するなど、状況に応じて選び分けましょう。
【トラブル防止策②】他の共有者と協力して1/1にして売却し、現金化する
共有持分のみの売却の場合には「買主が限られるので速やかに売却できない」「売却価格が安くなる」というデメリットがありました。
しかし、他の共有者と話し合い、共有持分をすべて集めて1/1の状態(持分の欠けていない通常の不動産と同じ)にしてから売却すれば、速やかに買主が見つかりやすくなります。
また、制限がなくなることにより、市場相場通りの価格での売却が期待できるので少しでも高く売却したい人は他の共有者と話し合ってみることをおすすめします。
【トラブル防止策③】不要な場合は共有持分を放棄する
共有持分を相続することによってトラブルに巻き込まれたくないと考えている場合には、共有持分を放棄するという方法があります。
相続において遺産の一部を放棄することは認められていません。その理由は、一部の放棄を認めると借金といった負の遺産だけを放棄する相続人が増えてしまうためです。
そのため、共有持分を放棄する場合はすべての遺産を放棄することになり、プラスの遺産も放棄することになるという点に注意が必要です。
民法第915条
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
引用:e-Govポータル、民法第915条
共有持分を相続放棄することにより、他の共有者に共有持分が分散されるため、共有持分のトラブルから逃れられます。
民法第255条
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
引用:e-Govポータル、民法第255条
しかし、共有持分はプラスの遺産で売却すればお金が手に入ることを考えると、共有持分の売却を優先し放棄は最終手段として取っておくことをおすすめします。
共有持分を売却して現金化してから生前整理した方がいい4つのケース
共有持分をそのまま持っていれば、共有持分を有する不動産を自由に使用できる、不動産の価値が上がった場合は売却時の恩恵を受けられるなどのメリットがあります。
すべてのケースで共有持分を売却して現金化する生前整理が最善策とはいいきれないので注意が必要です。
共有持分を売却して現金化してから生前整理した方がいいケースは以下の4つです。
- 相続人同士の仲がよくない
- 相続人と連絡が取れない
- 共有者が増えて収拾がつかなくなっている
- 住んでいないのに固定資産税だけ払い続けている
それぞれのケースについて詳しく解説していきます。
相続人同士の仲がよくない
相続人同士の仲がよくないケースでは、物件の処分方法について話し合うときに何らかのトラブルに発展する可能性が高いです。
また、固定資産税の負担や修繕費の負担などについてもめる可能性も高いため、共有持分を売却して現金化してから生前整理した方がトラブルを未然に回避できるでしょう。
相続人と連絡が取れない
子供が成人後、疎遠になっていて連絡が取れないということも多いです。
上記の場合は、共有持分というトラブルに発展しやすい財産が遺産に含まれていることを話し合いたくても話し合えません。
そのため、被相続人がトラブルを回避するための対策を事前に練っておく必要があります。
しかし、共有持分を売却して現金化しておけば、いざ相続が発生しても相続人がトラブルに巻き込まれる、相続人同士で相続争いに発展するリスクを軽減できます。
共有者が増えて収拾がつかなくなっている
不動産の共有状態が長く続いていることで、ねずみ算式で共有者が増えているケースでも共有持分を売却して現金化しておくことをおすすめします。
その理由は、共有者が増えて収拾がつかなくなっているケースでは、最終的に共有者同士で相談して1/1にして売却したくても同意を得ることがほぼ不可能だからです。
また、共有者が誰なのか把握できていなければ、有効な話し合いを持つこともできません。共有状態のまま放置すればするほど、状況が悪化するので売却により流れを断ち切るのも選択肢の1つです。
住んでいないのに固定資産税だけ払い続けている
不動産の共有者は共有持分の割合に応じて固定資産税や都市計画税を負担します。
共有者全員で何らかの形で不動産を使用している場合は特に問題ありませんが、不動産に住んでいないにもかかわらず税負担が生じているのは不公平です。
共有持分を相続した相続人に税負担が引き継がれることになるため、負担をかけたくない人は共有持分を売却して現金化してから相続することをおすすめします。
まとめ
被相続人の遺産に不動産が含まれている場合には、遺産相続が難航しやすいということを聞いたことがある人も多いと思います。
「不動産の遺産相続は先送りにしよう」と共有を選んでいるケースも多く、共有状態のまま放置されていることも。
その結果、共有持分の相続に発展し、共有者がねずみ算式に増えて収拾がつかなくなった、売却が困難になったというトラブルに発展することも多いです。
共有持分の相続でトラブルを未然に防ぐには、生前整理がおすすめです。
この記事には、共有持分の相続で起きるトラブルと生前整理の方法などをまとめています。内容をよく確認してから生前整理に取り組めば、トラブルを未然に回避できるでしょう。
共有持分の生前整理に関するQ&A
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生前整理とはどういうものですか?
生前整理とは、相続が発生する前に財産を整理しておくことです。被相続人が生きている間に自分の財産を処分したり、誰がどれくらいの割合で相続するのか指定しておくことで、相続争いを未然に防ぐ効果が期待できます。
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共有持分とはどんなものですか?
共有持分とは、共有不動産における「共有者ごとの所有権割合」を表したものです。相続時や、共同出資で不動産を購入したときなど、複数人で不動産を所有するときに発生します。
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共有持分の生前整理では、なにをすればよいですか?
「共有者と協力して不動産全体を売却する」「自分の共有持分だけを売却する」「共有持分を放棄する」などの方法があります。いずれにしろ、共有持分が相続されると権利関係の複雑化などでトラブルになりやすいので、早めに共有関係を解消することをおすすめします。
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共有不動産を巡って共有者とトラブルになったときはどうすればいい?
まずは不動産問題に詳しい弁護士へ相談し、必要に応じて交渉や法的手続きを依頼しましょう。トラブルの解決が難しいようであれば、持分売却などで早めに共有名義を解消することをおすすめします。