共有持分の売却方法とは?売るときの流れや揉め事を防ぐコツを解説

共有名義の不動産全体を売却するには共有者全員の同意が必要ですが、共有持分だけであれば各共有者が自由に売却できます。
しかし、実際には、共有持分の売却で他共有者と揉めるケースは少なくありません。
揉め事を起こさず共有持分を売却するには、共有者と事前に話し合ったり、共有持分専門の買取業者に買い取ってもらう方法が有効です。
また、弁護士と連携している買取業者なら、すでにトラブルを抱えている共有持分でも、積極的に買い取ってもらえます。
早ければ2日程度で共有持分を現金化することも可能なので、まずは弁護士と連携した共有持分の買取業者に相談してみましょう。
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この記事のポイント
- 自分の共有持分だけなら自由に売却できるが、他共有者にも事前に相談したほうがトラブルを防げる。
- 弁護士と連携した買取業者ならスムーズな売却が可能。
- なるべく高く・早く持分を売るなら「共有持分の専門買取業者」がおすすめ。
共有持分の売却で揉めてしまう原因とは?
1つの不動産を複数人で共同所有している「共有不動産」において、各共有者がもつ所有権の割合を「共有持分」といいます。
自分の共有持分であれば、各共有者は自由に売却できます。他共有者に許可を取る必要はなく、事前に伝える必要もありません。
しかし、自由に売却できるのはあくまでルール上の話であり、実際に共有持分を売却すると、他共有者と揉めてしまう恐れがあります。
また、価格の折り合いがつかず、購入者と揉めてしまう場合もあります。
次の項目から、これらの具体的な原因を詳しく見ていきましょう。
原因1.勝手に売却して他共有者の心証が悪くなるケース
ルール上は自分の判断で売却できるといっても、勝手に共有持分を売却すると、他共有者からの心証が悪くなる恐れがあります。
他共有者からすれば、見知らぬ第三者が共有者になってしまうわけですから、不安に思うのは自然なことです。
共有者が家族や親戚であったり、あるいはビジネスパートナーといった深い繋がりがある場合、勝手に共有持分を売ることで今後の関係性にヒビが入る可能性があるでしょう。
原因2.購入者が他共有者に持分売却を強制してくるケース
共有持分を購入した人が、他共有者との間でトラブルを起こすケースもあります。
他共有者のもつ共有持分を売却するよう迫ってきたり、反対に自分のもつ共有持分を買い取るよう請求してくるケースです。
購入者が他共有者の共有持分を安く買い叩く、あるいは自分の共有持分を高く売りつけようと、強引な手段に出る場合もあります。
購入者と他共有者との間でトラブルになると、他共有者としては「あいつが共有持分を売れなければ」という考えに至り、怒りの矛先を共有持分を売った人に向ける場合もありえるでしょう。
ただし、共有持分を持つ人には「共有物分割請求権」という権利があるため、共有者同士で持分の売買を求めるのは違法ではありません。
共有物分割請求については、下記の関連記事も参考にしてください。
原因3.価格の折り合いがつかないケース
共有持分の売却価格について、折り合いがつかずにトラブルとなるケースもあります。
共有持分の資産価値は「不動産全体の価値×持分割合(共有持分の割合)」で決まります。不動産全体の価値が3,000万円であれば、共有持分1/2の資産価値は1,500万円です。
しかし、第三者が共有持分を購入しても、不動産全体を自由に管理・処分できるわけではないので、市場価格は本来の資産価値より下がってしまいます。
具体的な値下げ幅は物件によって変わりますが、一般的には3割ほど安くなり、共有持分の取り扱いに慣れていない不動産会社だと半額以下まで下がるケースもあります。
また、共有者同士で売買するときも価格で揉めることがあります。共有者だからといって本来の資産価値で買ってもらえるとは限らず、安価な金額での買取を提示されるケースがあるのです。
このように、自分の希望価格より安い金額でしか売れず、購入者や共有者と揉めてしまう人は少なくないのです。
共有持分を揉めずに売るためのコツ
共有持分を揉めずに売るためには、次の2点を押さえておくとよいでしょう。
- 他共有者に事前に相談しておく
- 共有持分専門の買取業者に相談する
この2点を押さえておけば、持分売却でトラブルが発生する確率を下げることが可能です。
コツ1.他共有者に事前に相談しておく
共有者とのトラブルを起こさないためには、持分売却について他共有者と話し合っておくとよいでしょう。
勝手に売却されるのと、事前に一言あってから売却されるのでは、他共有者の心証は大きく変わります。
また、相談したところ「第三者に売るくらいなら自分が買い取る」と他共有者が申し出るケースも多く、スムーズに売却できる可能性もあります。
「なるべく高く売る」なら共有者全員で不動産全体を売ったほうがよい
先にも解説したとおり、共有持分のみだと市場価格は下がってしまいます。
そのため、なるべく高く売るには不動産全体を売却すべきです。共有不動産の売却益は、持分割合に応じて分割します。
共有持分の売却を検討する前に、まずは他共有者に共有不動産全体の売却をしないか聞いてみましょう。
他共有者が共有不動産全体の売却を承諾しないとき、代替案として持分売却を考えることをおすすめします。
コツ2.共有持分専門の買取業者に相談する
共有持分の売却は特殊な不動産取引となるため、取り扱いに慣れていない不動産会社がほとんどです。なかには、共有持分の売却を依頼しても断ってくる不動産家会社もあるでしょう。
そのため、共有持分を専門に取り扱う不動産会社に相談することが大切です。とくに、物件を直接買い取る「買取業者」であれば、スムーズな持分売却ができるでしょう。
仲介業者 | 物件の購入希望者を探し、仲介手数料を取る不動産会社。共有持分を取り扱う仲介業者は少なく、購入希望者が見つかりにくい。 |
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買取業者 | 物件を自社で買い取る不動産会社。仲介業者より売却価格は少し下がるが、共有持分でもスピーディーかつ確実に売却できる。 |
共有持分専門の買取業者に依頼するメリットは、価格にもあります。共有持分の取り扱いに慣れていない不動産会社だと、適正価格がわからず安価になってしまう可能性が高いのです。
一方、共有持分専門の買取業者であれば、自社で買い取った後に収益化するには何をすればよいか知識・経験があるため、適正価格での買取ができます。
共有持分の売買に実績のあるの専門買取業者なら、普通の不動産会社で売却するより高値で売れる可能性があるでしょう。
「弁護士と連携した買取業者」ならトラブルを起こさないので安心できる
共有持分専門の買取業者のなかでも、とくにおすすめできるのが「弁護士と連携した買取業者」です。
弁護士と連携した買取業者であれば、持分の購入後に共有者とトラブルを起こすことはなく、誠実に交渉したうえで権利関係の調整をおこないます。
また、すでになにかしら問題を抱えている共有持分でも、法手続きのもと適切に解決できるため、積極的な買取が可能です。
関係者との交渉や各種手続きを効率的におこなうことでコストを削減できるため、買取価格も高くなることが期待できます。
「共有持分の売却をどこに相談すべきかわからない」という人は、ぜひ一度、弁護士と連携した買取業者に相談してみましょう。
共有持分を売却するときの流れ
共有持分を売却する流れは、次のとおりです。
- 査定依頼
- 販売活動【仲介の場合のみ】
- 売買契約の締結
基本的には通常の不動産売却と変わりません。仲介業者に依頼したときは買主を探す販売活動が必要となりますが、買取業者に依頼すれば不要です。
それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。
1.査定依頼
まずは不動産会社に査定を依頼します。仲介業者も買取業者も、無料査定を実施しているため、気軽に問い合わせてみましょう。
査定には「机上査定」と「訪問査定」が2段階があり、最初に机上査定で概算を出した後、訪問査定で物件をより詳しく調べてから最終的な査定額を出すのが一般的です。
ただし「共有者が住んでいて訪問査定をされたくない」などの事情があれば、不動産会社も机上査定で買い取るなど柔軟な対応をしてくれます。
共有持分の売却では確実かつスピーディーに買い取ってもらえる「買取業者」がおすすめですが、どんな点を基準に業者を選ぶかは、下記の関連記事を参考にしてください。
2.販売活動【仲介の場合のみ】
仲介業者の場合、買主を探すための販売活動が必要です。不動産情報誌やWebサイトなどで広告をおこない、買主が現れるのを待ちます。
不動産の売却ではここが一番時間のかかるところで、1ヶ月で見つかることもあれば、1年以上見つからないこともあります。
なお、買取業者に依頼した場合は、買取御者がそのまま買主となるため、販売活動は必要ありません。早ければ、査定を依頼してから2日後には売買契約の締結ができます。
3.売買契約の締結
買主が見つかれば、売買契約を結びます。売買契約書にサインをし、名義を変更すれば売却は完了です。
名義変更は、不動産所在地を管轄する法務局で申請します。登記は売主と買主が共同でおこなうのが原則です。
ただし、登記は法律の知識が求められるため、司法書士に代行してもらうのが一般的です。
売却代金の支払いは売買契約書にサインするのと同時におこなうのが基本ですが、振込などで後日決済とするケースもあります。
売買契約の締結に必要な書類
共有持分を売却するにあたって、必要となる書類は次のとおりです。
- 本人確認書類(免許証、パスポートなど)
- 実印
- 住民票(発行から3ヶ月以内)
- 登記済証または登記識別情報
- 固定資産税の納付書や証明書
- 印鑑証明証(発行から3ヶ月以内)
「登記済証」または「登記識別情報」とは、持分取得時に法務局から発行される書類です。
固定資産税の納付書や証明書は毎年送付されてきますが、手元にない場合は市町村役場や都税事務所で発行できます。
ちなみに、必要書類は共有者全員分ではなく、売主の分だけを用意すれば問題ありません。
共有持分の売却にかかる費用
共有持分を売却する場合、以下の費用がかかります。
- 売買契約書の「印紙税」
- 持分移転登記の「登録免許税」
- 必要書類の「取得費」
- 売却益の「譲渡所得税」
まずは売買契約書を作成する際に「印紙税」を払った後、持分移転登記の際に「登録免許税」と必要書類の「取得費」を負担します。
そして、共有持分の売却が済んだ後、売却で得た利益に対する「譲渡所得税」を納税しなければなりません。
それぞれの費用について、1つずつ解説します。
売買契約書の「印紙税」
まず、共有持分の売買契約書を作成する際に「印紙税」を納めなければなりません。
印紙税とは、売買契約を証明するための売買契約書に課税される税金で、指定された金額の収入印紙を売買契約書に張り付ける形で納税します。
以下のように、共有持分の売却価格が高いほど、印紙税も高くなります。
売却価格 | 印紙税 |
---|---|
100万円〜500万円以下 | 2,000円 |
500万円〜1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円〜5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円〜1億円以下 | 6万円 |
1億円〜5億円以下 | 10万円 |
※税率が軽減される場合もあります。詳しくは、国税庁のWebサイトでご確認ください。
参照:国税庁「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
持分移転登記の「登録免許税」
つづいて、持分移転登記の手続き時に「登録免許税」を納める必要があります。
登録免許税とは、共有持分の所有権を移すための「持分移転登記」を手続きする際に納める税金のことで「登記料」とも呼ばれます。
課税標準額については、毎年届く固定資産税の納税通知書で確認できます。
必要書類の「取得費」
持分移転登記の必要書類を取得する際、以下の費用もかかります。
必要書類 | かかる費用 |
---|---|
住民票 | 300円 |
固定資産税評価証明書 | 300円 |
印鑑登録証明書 | 450円 |
これらの費用は自治体によって変わることもあるので、詳しくは役所に確認しましょう。
売却益の「譲渡所得税」
共有持分の売却で利益を得た場合「譲渡所得税」を納税しなければなりません。
「譲渡所得」とは共有持分を売却して得た、次の利益のことです。
「譲渡所得税」とは、この譲渡所得に対して課税される所得税と住民税の総称です。
譲渡所得税の税率は、共有不動産の所有期間によって変動します。
種類 | 所有期間 | 税率 |
---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63%(所得税30.63%+住民税9%) |
長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315%(所得税15.315% + 住民税5%) |
まとめ
他共有者の同意がなくても、自分の共有持分だけなら法律上問題なく売却できます。
ただし、通常物件と同じ要領で仲介業者を用いて売却すると、買主が見つからずに売れ残りやすく、売却価格も安くなりやすいため注意しましょう。
共有持分をスムーズに売却するには、仲介業者ではなく「共有持分の専門買取業者」へ売却することをおすすめします。
なかでも、弁護士と連携している買取業者であれば、将来的な関係性にも配慮して、他共有者とのトラブルを回避・解消した上で共有持分を買取してもらえます。
以下のフォームから、弁護士と連携した専門買取業者の無料査定が受けられるので、まずは共有持分の売却に関する疑問を相談してみるとよいでしょう。
共有持分の売却に関するよくある質問
-
共有持分を勝手に売却しても大丈夫ですか?
共有持分は各共有者が単独所有している占有物なので、民法第206条に基づき、他共有者の合意がなくても所有者が自由に売却できます。
-
共有持分はどのような相手へ売却できますか?
共有持分の売却先は、他共有者・投資家・不動産業者などに限定されます。一般の買主が共有持分を購入することはほとんどありません。
-
共有持分の売却価格はどの程度ですか?
共有持分の売却相場は「共有不動産の売却価格 × 持分割合 × 1/2」が目安です。持分割合の半額程度まで売却価格が安くなります。
-
共有持分を高く売るには、どうすればよいですか?
他共有者の合意を得て、共有不動産を丸ごと売却しましょう。共有不動産を売却価格を分配することで、持分割合どおりの売却益が得られます。
-
共有持分を早く売るには、どうすればよいですか?
共有持分を自社で買取している専門買取業者へ売却しましょう。なかでも「弁護士と連携した買取業者」であれば、トラブルなくスムーズに売却できます。
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