共有名義人の片方が死亡した際の相続方法は?手続き方法を詳しく解説

共有名義 片方死亡 相続

共有名義の不動産において共有者の1人が亡くなってしまった場合、その相続人に共有持分が相続されます。

しかし、共有持分を取得しても不動産を自由に管理・運用できないので、共有持分を相続すべきか悩む人も多いでしょう。

確かに、共有持分の相続はデメリットも多くあります。しかし、相続した後に「やっぱりいらない」と思えばすぐに売却できるため、基本的には相続したほうがお得です。

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この記事のポイント

  • 共有者が死亡した場合、その人の共有持分は相続人が引き継ぐ。
  • 相続人や当別縁故者がいない場合、他共有者に帰属する。
  • 相続するか相続放棄するかで悩んだ場合、売却益が見込める限りは相続するのがおすすめ。

死亡した共有者の共有持分を取得できる人物

不動産が共有名義の場合、死亡した共有者の共有持分は、誰が引き継ぐのでしょうか?

共有不動産とは?
複数人で共同所有している不動産のことで、複数人の名義で登記するので「共有名義不動産」とも呼ばれます。
共有持分とは?
それぞれの共有者がもつ共有不動産の断片的な所有権で、権利の大きさを「持分割合」といい「1/2」などの分数で表記されます。

死亡した共有者の共有持分を取得できる人物は、以下のとおりです。

共有者死亡後の持分_pc


ケース 共有持分を取得できる人物
遺言がある場合 遺言で指定された人物
遺言がない場合 法律で定められた「法定相続人」
法定相続人がいない場合 内縁の妻など「特別縁故者」
特別縁故者もいない場合 不動産を共有している「他共有者」

上から順番に優先され、該当する人物がいない場合、共有持分を取得する権利が次の候補へ繰り下がっていきます。

基本的には、死亡した共有者(被相続人)の親族へ引き継がれることが多いです。

まずは、死亡した共有者の共有持分を引き継ぐ際の仕組みを解説します。

【第1候補】遺言がある場合は「遺言で指定された人物」

遺言書で相続人が指定されている場合、その人物が遺産を相続します。

なぜなら、遺産相続においては民法で定められた取り分「法定相続分」よりも遺言書の内容が優先されるためです。

つまり、遺言書で指定すれば、血縁関係にない内縁の妻などへ遺産相続させることも法律上は認められています。

遺言に対して「遺留分」を主張することも可能

遺言がある場合でも、必ずしもその内容どおりに相続されるとは限りません。

法定相続人である親族の権利を保障するため、遺言書の内容にかかわらず、最低限の遺産を「遺留分」として相続できる権利が認められています。

法定相続人とは?
被相続人の配偶者や血縁関係にある親族など、民法第887〜890条で定められた相続人のことで、それぞれの人物には相続順位が定められています。

法定相続人ごとの遺留分は以下のとおりです。

相続順位 法定相続人 遺留分
第1順位 配偶者 1/4
子または孫 1/4
第2順位 配偶者 1/3
両親または祖父母 1/6
第3順位 配偶者 1/2
兄弟姉妹または甥や姪 なし

ただし、すでに配偶者が死亡している場合、その遺留分は同順位の法定相続人が相続できます。

遺留分における不動産の評価方法については、こちらの記事を参考にしてください。

【第2候補】遺言がない場合は法律で定められた「法定相続人」

遺言書によって相続人が指定されていない場合、法律で定められた「法定相続人」が被相続人の遺産を相続します。

被相続人の配偶者や親族が法定相続人となりますが、優先順位が決められているため、親族だからといって必ずしも相続できるとは限りません。

また、被相続人の遺産は相続人同士で分配しなければならず、各相続人の取り分は法定相続分で定められているため注意しましょう。

法定相続人とは被相続人の配偶者など

遺産相続において、相続権をもつ人物「法定相続人」が民法で決められています。

それぞれの相続順位における法定相続人は以下のとおりです。


相続順位 法定相続人
第1順位 被相続人の配偶者
被相続人の子または孫
第2順位 被相続人の配偶者
被相続人の両親または祖父母
第3順位 被相続人の配偶者
被相続人の兄弟姉妹または甥や姪

第1順位がいない場合は第2順位の人物へ、第2順位もいない場合は第3順位の人物へ、遺産の相続権が繰り下がる仕組みです。

「相続放棄」という手続きを踏めば、遺産を一切相続せずに手放せるので、次の相続順位へ遺産の相続権が移ります。

なお、被相続人の子が死亡している場合は孫、両親が死亡している場合は祖父母を、兄弟姉妹が死亡している場合は甥や姪を、その順位の法定相続人にすることも可能です。

また、配偶者が死亡している場合、その法定相続分を同順位の法定相続人が相続できます。

参照:e-Govポータル「民法第900条」

各相続人の取り分は法定相続分で定められている

法定相続人には、民法で「法定相続分」という遺産の取り分が決められています。

法定相続分とは、被相続人の遺産を法定相続人が相続する際、各相続人が相続できる取り分の割合のことで、民法第900条に定められています。

それぞれの相続順位における法定相続分は以下のとおりです。

相続順位 相続人 法定相続分
第1順位 配偶者 1/2
子または孫 1/2
第2順位 配偶者 2/3
父母または祖父母 1/3
第3順位 配偶者 3/4
兄弟姉妹 1/4

配偶者以外の相続人が2人以上いる場合、法定相続分をさらに人数分で分配します。

例えば、被相続人の子供が2人兄弟なら、それぞれの法定相続分は1/4ずつです。

また、配偶者が死亡している場合、その法定相続分を同順位の相続人で分配します。

この場合、被相続人の子供が2人兄弟なら、それぞれの法定相続分は1/2ずつです。

「遺産分割協議」で取り分を相続人間で決定してもOK

必ずしも、遺言の内容や法定相続分に従って遺産分割する義務はありません。

「遺産分割協議」を用いれば、相続する遺産の取り分を法定相続人で決められます。

遺産分割協議とは?
相続人同士で遺産の分割方法を決める話し合いの総称で、全員が合意すれば、遺言の内容や法定相続分と異なる割合で遺産を相続できます。

ただし、相続人同士の話し合いがまとまらない場合、裁判に発展してしまうケースもあるため注意しましょう。

遺産分割協議の流れは、下記のように進めていきます。

  1. 相続人のみで話し合う「遺産分割協議」
  2. 調停委員を介して再び話し合う「遺産分割調停」
  3. 裁判官に最終判断を委ねる「遺産分割審判」

より詳しい遺産分割協議の方法については、関連記事をご覧ください。

【第3候補】法定相続人がいない場合は「特別縁故者」

死亡した共有者に法定相続人がいなければ「特別縁故者」が遺産相続できます。

特別縁故者が相続できるケース
  • 法定相続人が既に全員死亡している
  • 被相続人が身寄りのない独り身だった

特別縁故者とは、被相続人と特別な関係性があった人物で、内縁の妻などが該当します。

法定相続人がいないことが明確である場合に限り、被相続人の遺産の一部もしくは全部を、特別縁故者が取得可能です。

これについては、民法でも以下のように定められています。

民法第958条の3
前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

引用:e-Govポータル「民法第958条」

ただし、法定相続人がいない場合でも、被相続人の遺産が自動的に特別縁故者へ相続されるわけではなく「相続財産管理人の選任」を申立てなければ相続できません。

特別縁故者とは被相続人の内縁の妻など

特別縁故者とは、生前の被相続人と特別な関係性がある人物で、法定相続人がいない場合のみ、例外的に遺産相続が認められる場合があります。

特別縁故者と認められる条件は、次の3つです。

特別縁故者と認められる条件
  • 被相続人と生計を同じくしていた
  • 被相続人の療養看護に努めた
  • その他被相続人と特別の縁故があった

被相続人と生計を同じくしていた人物には、内縁の妻をはじめ、被相続人と親子同然の関係で同居していた人物などが該当します。

被相続人の療養看護に努めた人物とは、生前に被相続人の世話などを無報酬でおこなった人物で、仕事として報酬を受け取るホームヘルパーなどは対象になりません。

その他被相続人と特別の縁故があった人物に関しては、被相続人から口約束で財産を譲る約束されていた場合に認められるケースがあります。

参照:「特別縁故者に対する相続財産分与」(裁判所)

【第4候補】特別縁故者もいない場合は「他共有者」

法定相続人も特別縁故者もいない場合、被相続人の共有持分は他共有者に帰属します。

被相続人の共有持分について、民法でも以下のように定められています。

民法第255条
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

引用:e-Govポータル「民法第255条」

ただし、特別縁故者の場合と同様に、被相続人の共有持分が自動的に他共有者へ帰属するわけではなく「相続財産管理人の選任」を申立てなければなりません。

各共有者の取り分は持分割合に比例する

被相続人の共有持分が他共有者に帰属する場合、持分割合に応じて分配されます。

わかりやすいように具体例で解説します。

例えば、以下の持分割合で不動産を共有していたとします。
・Aの持分割合:3/5
・Bの持分割合:1/5
・Cの持分割合:1/5

Cが死亡すると、Cの持分1/5は「A3:B1」の割合で分配されます。
・Aへ分配される持分:1/5 × 3/4 = 3/20
・Bへ分配される持分:1/5 × 1/4 = 1/20

したがって、AとBの持分割合はそれぞれ以下のとおりになります。
・帰属後のAの持分割合:3/5 + 3/20 = 3/4
・帰属後のBの持分割合:1/5 + 1/20 = 1/4
共有者死亡による持分の帰属_pc

つまり、持分割合が多い共有者ほど、被相続人の共有持分を多く取得できる仕組みです。

他共有者より特別縁故者が優先された判例

この記事では、特別縁故者の方が他共有者より優先順位が高いと解説しました。

なぜなら、1989年11月24日の最高裁において、他共有者より特別縁故者の方が優先された判例が示されているためです。

ただし、状況次第では特別縁故者より他共有者の方が優先順位が高いと判断される可能性もあるので、心配な場合は弁護士へ相談してみるとよいでしょう。

参照:「最高裁判例 平成元年11月24日」(裁判所)

死亡した共有者の共有持分を相続する手続き方法

死亡した共有者の共有持分を相続するには、2種類の方法があります。


被相続人との関係 相続する方法
相続人 ​​取り分を確認してから遺産を相続する
特別縁故者
他共有者
相続人を探してから共有持分を引継ぐ

被相続人との関係によって、相続するための手続き方法が異なるため注意が必要です。

それぞれの方法と手順について、1つずつ見ていきましょう。

【相続人の場合】取り分を確認してから遺産を相続する

あなたが相続人の場合、自分の取り分を確認してから被相続人の遺産を相続しましょう。

被相続人の遺産を相続する手順は次の4ステップです。

被相続人の遺産を相続する手順
  1. 遺言書の存在を確認する
  2. 法定相続人全員で遺産分割協議をおこなう
  3. 相続登記によって遺産を名義変更する
  4. 相続税を納税する

それぞれの手順について、時系列順に解説していきます。

【手順1】遺言書の存在を確認する

遺産相続では遺言書の内容が最優先されるので、まずは遺言書を探しましょう。

もし後から遺言書が発見されると、はじめから遺産相続をやり直さなければなりません。

遺言書の有無は、以下の方法で確認できます。

遺言書の有無を確認する方法
  • 自宅などの保管場所を探す
  • 公証役場で検索する
  • 法務局で検索する

遺言書がなければ、法定相続分にしたがうか、遺産分割協議をおこなって相続方法を決定します。

【手順2】法定相続人全員で遺産分割協議をおこなう

つづいて、法定相続人全員で遺産分割協議をおこない、遺産の分け方を相談しましょう。

ただし、法定相続人全員が合意しないと、遺産分割協議は無効となるため注意が必要です。

法定相続人がわからない場合、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集めて、配偶者や血縁関係にある親族を確認しましょう。

遺産分割協議では、共有者全員が一同に顔を合わせる必要はなく、電話やメールでも実施したり、弁護士などに代理人とすることも可能です。

なお、遺産分割協議が終了したら、その内容を証明するために「遺産分割協議書」を作成しておくとよいでしょう。

遺産分割協議書の作成方法については、こちらの記事をご覧ください。

【手順3】相続登記によって遺産を名義変更する

遺産分割協議で遺産の分け方を決めたら、被相続人から相続人へ名義変更しましょう。

具体的には「相続登記申請書」という書類を提出して「相続登記」をおこないます。

「相続登記」を申請するには、3つの方法があります。


申請方法 説明
窓口申請 法務局の窓口に直接書類を提出する
郵送申請 相続登記申請書を郵送する
オンライン申請 インターネットで登記を申請する

遺産の金額によって異なりますが、相続登記にかかる費用は、遺産が1,000万円の場合で5〜10万円程度です。


申請する人物 かかる費用
(遺産が1,000万円の場合)
自分で申請する場合 約5万円
弁護士・司法書士に依頼する場合 約6~10万円

【手順4】相続税を納税する

遺産の相続登記を終えたら、税務署へ相続税を納税しましょう。

相続税は現金一括納付が基本とされており、国や自治体から納付書が送付されてくるので、それを金融機関へ持参して指定された金額を支払うことで納税可能です。

近年では、次のような相続税の納税方法もあります。

相続税を納税する方法
  • 金融機関へ納付書を持参して納税
  • 被相続人の住所地がある税務署の窓口で納税
  • コンビニにバーコード付納付書を持参して納税
  • インターネットを利用してクレジットカードで納税

ただし、相続税の納税には期限が定められており、被相続人の死亡を知った翌日から10ヶ月以内に納税しないと、加算税や延滞税が課せられるため注意しましょう。

参照:「相続税の申告と納税」(国税庁)

【特別縁故者・他共有者の場合】相続人を探してから持分を取得する

あなたが特別縁故者・他共有者の場合、法定相続人がいないことを確認してから、被相続人の共有持分を取得しましょう。

法定相続人がいない場合、次の手順で被相続人の共有持分を取得できます。

被相続人の共有持分を取得する方法
  1. 「相続財産管理人の選任」を申し立てる
  2. 選任された相続財産管理人が相続人を探す
  3. 相続人がいない場合は被相続人の共有持分を取得する

死亡した共有者に法定相続人がいる場合、基本的に共有持分は取得できないので、まずは法定相続人がいない事実を証明しなければなりません。

また、相続財産管理人の選任の申立てから、実際に共有持分を取得するまで、1年以上はかかるため注意が必要です。

それぞれの手順を、時系列順に見ていきましょう。

【手順1】「相続財産管理人の選任」を申し立てる

まずは「相続財産管理人の選任」を家庭裁判所へ申し立てましょう。

以下の必要書類を、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所へ提出します。

相続財産管理人を選任するための必要書類
  • 相続財産管理人の選任の申立書
  • 被相続人の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
  • 法定相続人の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票か戸籍附票
  • 財産を証明する資料(不動産であれば不動産登記事項証明書)
  • 利害関係を証明する資料

「相続財産管理人の選任の申立書」は裁判所のホームページでダウンロードできる上、書き方も確認可能です。

また「相続財産管理人の選任」の申立てには、次の費用がかかります。


費用 金額
申立費用 800円(収入印紙)
予納郵便切手 1,000円程度
官報公告費用 4,230円
予納金 数十〜数百万円

予納金とは、選任された相続財産管理人への報酬などにあてる費用で、相続財産から支払いができる場合、余った予納金は返金されます。

参照:相続財産管理人の選任の申立書」(裁判所)

【手順2】選任された相続財産管理人が相続人を探す

申立てを受けると、家庭裁判所が相続財産管理人を選任して、法定相続人の捜索をおこないます。

一般的に相続財産管理人は、弁護士や司法書士が選ばれることが多いです。

家庭裁判所から選任された相続財産管理人は、次のような業務をおこないます。

相続財産管理人の業務
  • 法定相続人の捜索
  • 被相続人が残した債務の支払い

法定相続人の捜索では、官報の公告を利用して、相続人が現れるのを待ちます。

それでも見つからない場合、死亡した共有者に法定相続人がいないことが確定します。

【手順3】相続人がいない場合は被相続人の共有持分を取得する

死亡した共有者に法定相続人がいないことが確定したら、最後に「特別縁故者に対する財産分与」を家庭裁判所に申し立てましょう。

そして、家庭裁判所が調査・審判をおこない、被相続人の遺産を分与するか決定します。

家庭裁判所が確認する点
  • 特別縁故者と認められるか?
  • どの程度の財産を分与すべきか?

「特別縁故者に対する財産分与」が認められると、被相続人の遺産の全部または一部を特別縁故者が取得できます。

また、法定相続人・特別縁故者が共にいない場合、死亡した共有者の共有持分が他共有者へ帰属されます。

ただし、被相続人の共有持分が他共有者へ帰属する場合、その持分を自分の名義に変更する登記が必要です。

死亡した共有者の共有持分は相続するべき?

被相続人が共有持分を所有していた場合、相続するべきか迷う人も多いでしょう。

共有持分を相続する場合、被相続人の借金ごと相続しなければならず、共有不動産を巡って他共有者とトラブルになる恐れもあるといったデメリットがある点は否めません。

一方で、共有持分を売却すれば現金化できるだけでなく、上記のデメリットも相殺できるので、場合によってはメリットも非常に多いです。

この項目では、共有持分を相続するメリット・デメリットを比較した後、おすすめの方法を解説します。

【デメリット】被相続人の借金も相続しなければならない

1つ目のデメリットは、被相続人に借金がある場合は肩代わりしなければならないことです。

遺産相続では、すべての遺産を相続しなければならないため、財産だけを相続して負債を手放すといったことができません。

つまり、共有持分を相続する場合、被相続人の借金も相続しなければならないのです。

被相続人に借金がある場合、相続財産の資産価値と負債の残債を比較して、相続するべきか慎重に検討しましょう。

【デメリット】他共有者とトラブルになる恐れがある

2つ目のデメリットは、不動産を共有する他共有者とトラブルになる恐れがあることです。

共有持分を相続した場合、残りの他共有者と一緒に不動産を共同所有しなければなりません。

ここで注意したいのが、共有不動産は他共有者の同意がないと自由に扱えないことです。


種類 具体例 必要条件
保存行為 共有不動産への出入りなど 共有者全員が可能
管理行為 共有不動産の貸し出しなど 持分割合の過半数の同意
変更行為 共有不動産の売却・解体など 共有者全員の同意

このように共有不動産を扱う場合、さまざまな場面で他共有者の同意が必要なため、意見があわずにトラブルが起きることも少なくありません。

他共有者とのよくあるトラブル例については、これらの記事を参考にしてください。

【メリット】共有持分を売却すれば現金化できる

共有持分を相続する場合、売却して現金化できるというメリットもあります。

共有持分を売却すれば、数百万円単位のまとまったお金が手に入るので、金銭的メリットは大きいでしょう。

他にも共有持分を売却することで、次のメリットも得られます。

  • 共有持分の売却益を借金返済に充てられる
  • 他共有者とのトラブルから抜け出せる

つまり、共有持分を相続するデメリットも、持分売却することで解消できるのです。

共有持分の売却益を借金返済に充てられる

物件にもよりますが、共有持分は数百万円単位の価格で売却可能です。

そのため、被相続人に借金がある場合でも、共有持分の売却益を借金返済に充てることで、借金を相殺できます。

また、被相続人に借金がない場合でも、共有持分を売却することで、生活費や貯蓄に充てることができます。

借金が高額すぎる場合、共有持分の売却益では相殺できないケースもありますが、基本的には共有持分を相続しておいて損はないでしょう。

他共有者とのトラブルから抜け出せる

共有持分を売却すれば、トラブルごと不動産の共有名義から抜け出せます。

共有持分を売却する場合、他共有者の同意は必要ないので、他共有者と一切関わる必要もありません。

つまり「いますぐ共有不動産のトラブルから解放されたい」と感じたら、すぐに共有持分を売却してしまえばよいので、とりあえず相続しておくことをおすすめします。

とりあえず共有持分を相続して売却するのがおすすめ

次のような理由から「共有持分を相続したくない」という人も多いでしょう。

  • 「被相続人の借金なんて、自分で払いたくない」
  • 「他共有者と揉めたくないので、共有持分は要らない」

こうした場合には「相続放棄」という方法もありますが、借金や共有持分だけでなく、被相続人のすべての遺産を手放さなければなりません。

せっかく現金化できる共有持分を、そのまま手放してしまうのは少々勿体ないですよね。

ですので、被相続人の負債が財産を上回らない限り、死亡した共有者の共有持分を相続してから売却することをおすすめします。


被相続人の遺産 おすすめの方法
財産が負債を上回る 共有持分を相続してから売却
負債が財産を上回る 相続放棄して一切相続しない

自分が相続放棄をすべきかどうか詳しく知っておきたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。

共有持分は他共有者の同意なく売却可能

じつは共有不動産ではなく共有持分だけなら、他共有者の同意がなくても売却できます。

なぜなら、共有持分はあくまで各共有者が個人で所有している占有物なので、持ち主が自由に売却しても法律上は一切問題ないのです。


種類 所有権
共有不動産 共有者全員で共同所有する
共有持分 共有者個人が単独所有している

「共有持分が必要ない」と感じたら、すぐに売却して現金化できるので、基本的には相続しておくことをおすすめします。

共有持分を売却する方法について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

相続前でも法定相続分を売却可能

遺産分割協議が難航すると、なかなか取り分が決まらないことも少なくありません。

このとき、遺産の分け方が確定する前でも、自分の法定相続分を売却できます。

ただし、共有持分以外にも、現金などの相続財産がある場合は売却できません。

そうした場合、遺産分割協議を終えてから、相続した共有持分を売却しましょう。

おすすめの売却先は「共有持分の専門買取業者」

共有持分を売却する場合、必ず「共有持分の専門買取業者」へ売却しましょう。

通常物件も扱う不動産業者で共有持分を売却すると、次のデメリットがあります。

一般的な不動産業者へ売却するデメリット
  • なかなか共有持分の買主が見つからない
  • 買取業者でも共有持分を買取拒否される
  • 専門業者に比べて共有持分の買取価格が安い

そこでおすすめしたいのが、共有持分に精通している専門買取業者です。

なかには、弁護士と連携している専門買取業者もあり、権利関係にまつわるトラブルを解決できるので、一般的な不動産業者では扱えない共有持分も積極的に買取しています。

こうした専門買取業者へ共有持分を売却すれば、次のようなメリットが得られます。

相続財産管理人の業務
  • 最短数日で共有持分を買取してもらえる
  • 共有持分を高額買取してもらえる
  • 売却後のトラブルは買取業者が対応してくれる

以下のフォームでは、弁護士と連携している「共有持分の専門買取業者」の無料査定が受けられます。

あなたの共有持分の価格がわかるだけでなく、相続に関するアドバイスも受けられるので、まずは一度相談してみるとよいでしょう。

まとめ

共有名義の不動産で共有者の片方が死亡した場合、基本的には亡くなった人の親族が共有持分を相続できます。

ですので、まずは遺言の内容や民法で定められた法定相続分を確認して、自分が相続できる遺産の取り分を把握しましょう。

そして「遺産分割協議」で遺産の分け方を決定して、その内容どおりに「相続登記」で共有持分などを相続しましょう。

共有持分を相続すると、被相続人の借金を背負わされることになったり、トラブルに巻き込まれるリスクもありますが、そうした場合は共有持分を売却すれば問題ありません。

まずは「遺産相続するべきか?」を判断するためにも、弁護士や不動産業者といった専門家へ相談することをおすすめします。

共有持分の相続に関するよくある質問

  • 死亡した共有者の共有持分は誰が相続できますか?

    遺言がある場合は遺言で指定された人物、遺言がない場合は法定相続人である配偶者や親族が相続できます。法定相続人がいない場合は内縁の妻などの特別縁故者や他共有者が取得することも可能です。

  • どうすれば死亡した共有者の共有持分を相続できますか?

    相続人の場合、自分の取り分を確認してから相続登記で遺産相続しましょう。特別縁故者・他共有者の場合、法定相続人がいないことを確認してから、家庭裁判所へ持分の取得を申し立てましょう。

  • 共有持分を相続するデメリットは何ですか?

    被相続人の借金も相続しなければならない点と、他共有者とトラブルになる恐れがある点がデメリットです。

  • 共有持分を相続するメリットは何ですか?

    共有持分を売却すれば現金化できる点がメリットです。共有持分を売却することで、相続におけるデメリットも相殺できます。

  • 死亡した共有者の共有持分は相続するべきですか?

    とりあえず共有持分を相続して、必要なければ売却するとよいでしょう。「共有持分の専門買取業者」であれば、共有持分を高く・早く買取してもらえます。【最短48時間で買取】共有持分の専門業者はコチラ