造成地と分譲地の違いとは?メリット・デメリットや注意点を解説!

造成地 分譲地 メリット デメリット

「造成地」と「分譲地」は、どちらも土地の種類を指します。造成地は「山や農地を宅地に変えたもの」で、分譲地は「広大な宅地を区分けして売り出したもの」です。

分譲地の多くはデベロッパー(不動産開発業者)が開発した土地なので「造成地であり、分譲地でもある」ということがほとんどです。

つまり、分譲地を購入するときは「分譲地のメリット・デメリット」と「造成地の注意点」を同時に検討しましょう。

反対に、山や農地など「活用に造成工事が必要な土地」を売却したいときは、個人で造成すると多額の資金が必要です。

そのため、造成が必要な土地の売却は、個人で売るより不動産会社に相談することをおすすめします。一括査定で、山や農地の売却も対応している不動産会社を調べましょう。

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この記事のポイント

  • 造成地は、切土や盛土で山や農地を宅地にした土地のこと。
  • 分譲地は、デベロッパーが宅地を区分けして売却したもの。
  • 分譲地は「景観がよい」「境界トラブルがない」などのメリットがある。
  • 分譲地のデメリットは「家の設計に制限がある」「地盤が弱い恐れがある」など。

目次

造成地と分譲地の違いとは?

造成地と分譲地は、言葉の定義として意味が若干異なります。

2つの定義を混同していると、メリットとデメリットを正確に理解できません。

まずは造成地と分譲地の違いを把握しましょう。

造成地は「山や農地を造成工事で宅地にしたもの」

造成地とは、山や農地などを造成工事によって宅地に転換した土地です。

宅地とは
住宅の建築を目的とした土地。土地の用途に応じて設定される「地目」の1つ。

山や農地は、そのままの状態では家を建てられません。傾斜やぬかるみといった物理的な理由もありますが、地目以外での用途が規制されていることも理由の1つです。

造成地は、造成工事で「住居を建てられる状態」にして、地目を宅地に変更した土地を指します。

造成工事は土を削り取る「切土」か土を盛る「盛土」が代表的

造成工事では、主に「切土」と「盛土」という手法が使われます。

切土(きりど)は、地盤の高い部分を削って平らにする手法です。「土地の出っ張った部分を切り取る」とも言い換えられるでしょう。

盛土(もりど)は、地盤の低い部分に土を盛って平らにする手法です。「土地のへこんだ部分を埋め立てる」とも言い換えられます。

日本は山が多いため、宅地を作るときは切土や盛土のように「土地を平らにする工事」が必要になるのです。

分譲地は「デベロッパーが広大な宅地を区分けして売却したもの」

分譲地とは、デベロッパー(不動産開発業者)が広大な宅地を区分けして売り出したものです。

地目のように法律で規定されたものではなく、売却手法によって生まれた土地の定義です。

区画数(区分けした土地の戸数)が10戸以下の分譲地もあれば、数十~数百にいたる分譲地もあります。

大規模な分譲地の開発は不動産売買というより「街づくり」といえ、デベロッパーのコンセプトが強く反映されます。

多くの分譲地は造成地でもある

上記をまとめると、造成地と分譲地の定義は次のようになります。

  • 造成地:山や農地を宅地にしたもの
  • 分譲地:広大な宅地を区分けして売却したもの

どちらも宅地についての用語ですが、造成地は「宅地になる前の経緯」による定義であり、分譲地は「宅地の売却方法」による定義という違いがあります。

当然、造成地が分譲地として売り出されることもあります。

むしろ、多くの大規模分譲地はデベロッパーが山や農地を転換した造成地です。

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分譲地を購入するメリットとデメリット

分譲地は、個人から土地を購入する場合とは違ったメリット・デメリットがあります。

自分のライフスタイルと噛み合えば非常に住みやすいのですが、そうでない場合は暮らしに不便さを感じるかもしれません。

例えば、自分の好きなように家を建てられなかったり、交通アクセスが悪いといったデメリットが考えられます。

分譲地の購入は、メリットとデメリットをよく検討してからにしましょう。

メリット1.価格がお手頃

分譲地は、他の土地と比較して価格が安い傾向にあります。

安い理由は、まとめ買いをしたほうが個別で買うより安いのと同じです。大きな土地を区分けすることで、住環境のよい土地を安く販売できます。

また、ほかの理由としてはデベロッパーが家とセットで販売(いわゆる建売)するというのもあります。

家の設計を統一したり、資材を一括で大量に仕入れることでコストを削減し、トータルで安く販売できるようになるのです。

メリット2.街並みが整っており住みやすい

街づくりから計画を立てて開発されるので、街並みが整い住みやすくなります。

公園や商業施設の設置、防犯・交通事故防止を意識した道路設計など、景観だけでなく住民の利便性や安全性にも配慮されます。

1から街を作るからこそ可能な工夫によって、住みやすい環境が作られるのです。

メリット3.境界トラブルが起こりにくい

デベロッパーが土地を区分けするので、境界トラブルが起こりにくくなります。

古い土地ほど、隣地との境界があいまいであったり、登記簿の面積が実際のものと異なっているケースが珍しくありません。

隣地所有者との境界トラブルがこじれると、裁判沙汰になる恐れもあります。

しかし、分譲地なら境界がはっきりした状態で土地を購入できるので、こうした境界トラブルの心配がなくなるのです。

デメリット1.家の設計や建築会社が限定される

分譲地は区分けした土地の広さや価格が均一化されるので、面積や近隣環境との兼ね合いから思いどおりに家を建てられない場合があります。

また、分譲地は「建築条件付き土地」といって、家を建てるときの業者が指定されているケースも珍しくありません。

「建築条件付き土地」だと、家の間取りや外観、建築に使う資材が決められてしまい、思いどおりに家を建てられなくなります。

家づくりに強いこだわりがある場合、制限の多い分譲地は購入しないほうがよいでしょう。

デメリット2.交通アクセスの悪い郊外にあることが多い

分譲地の開発は広大な土地が必要なため、郊外に作られるケースが多々あります。

車で移動するなら問題にはなりませんが、徒歩だと駅やバス停に行くまで数十分かかる分譲地もあります。

分譲地を購入する前に、市街地や職場・学校までの距離や交通手段を検討しておきましょう。

デメリット3.造成地の場合は地盤強度が低い可能性がある

造成地の場合、通常の土地より軟弱な地盤であるケースが多々あります。

とくに、盛土によって造成された土地は、自然にできた地盤より強度が下がりやすくなります。

分譲地を購入するなら、その土地が造成地かどうかや、地盤の強度がどれくらいなのかを調査したほうがよいでしょう。

地盤が弱いと、災害時の土砂崩れや地盤沈下といったリスクが高くなります。

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分譲地ではなく個人から宅地を購入するメリットとデメリット

個人から宅地を購入する場合、つまり「分譲地ではない宅地」のメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?

分譲地のように「新しい街づくり」ではなく、既存の街に住むからこそ生まれるメリットとデメリットがあります。

例えば、自分の住む街がどんなところなのか、事前に把握できるのは大きなメリットでしょう。

しかし、既存のコミュニティに馴染めなければ住みにくい可能性もあります。

分譲地ではない土地の購入も、事前にメリットとデメリットを検討することが大切です。

メリット1.交通のアクセスがよい

分譲地ではない宅地の購入は、交通アクセスのよい立地を選べます。

駅に近い物件や、学校や役所などに近い物件、主要道路に近い物件など、しっかり探せば「日々の移動が楽な物件」が見つかるでしょう。

車をもっていない人や、子供が学校に通う年齢の家族にとっては、大きなメリットといえます。

メリット2.街の雰囲気や住環境が事前にわかる

分譲地は「これから人が集まり街を作っていく」というケースが多いため、近隣住民がどのような人になるか予測できない点に不安があります。

しかし、分譲地ではない宅地なら街の発展も進んでいるため、実際に住んだときのイメージもしやすいでしょう。

街の雰囲気や住環境が事前にわかるので、自分の価値観やライフスタイルに合わない土地を回避できます。

デメリット1.インフラ工事が別途必要な場合がある

デベロッパーが関与しない土地は、水道管やガス管といったインフラが老朽化していたり、そもそも引き込まれていない場合があります。

インフラ工事をおこなう場合、自分で業者を手配しなければいけません。

新規でのインフラ工事は費用が数十万円かかります。工事完了まで1ヶ月間かかることもあり、入居時期が延びてしまう恐れもあります。

デメリット2.既存のコミュニティに馴染む必要がある

分譲地ではない宅地は、人間関係がある程度できあがっています。

町内会や消防団などが強制加入となっており、古くからのコミュニティに馴染む必要がある土地も少なくありません。

いわゆるご近所付き合いが苦手な人には、デメリットといえるでしょう。

「造成地である分譲地」の購入で失敗しないための注意点

購入予定の分譲地が造成地でもある場合、注意すべき点は次の3つです。

  • 1.土地の歴史を調べる
  • 2.購入予定の土地が「切土」か「盛土」か確認する
  • 3.地盤や擁壁の補強工事がおこなわれているか確認する

これらは、どれも土地の地盤に関するチェックポイントです。造成地は地盤が弱い場合が多く、地盤が弱いと地盤沈下や土砂崩れのリスクが高くなります。

造成地を購入するときは、なによりも地盤の強度について調べるようにしましょう。

1.土地の歴史を調べる

まずは、造成前の土地がどんな場所だったか、地歴(土地の歴史)を調べてみましょう。

池や沼、河川、水田を造成した土地の場合、地盤が柔らかく崩れやすい可能性があります。

地歴については、過去の地図や航空写真、閉鎖登記簿から調べられます。

閉鎖登記簿とは
登記簿が電子化されるに伴って閉鎖(廃止)された紙の登記簿。法務局に申請すれば閲覧や写しの取得ができる。

過去の地図や航空写真は、国土地理院が提供する「地図・空中写真閲覧サービス」や、国会図書館に保存されている昔の住宅地図で閲覧が可能です。

参照:国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」

参照:国立国会図書館

2.購入予定の土地が「切土」か「盛土」か確認する

すでに伝えたとおり、盛土は地盤の強度が下がりやすく、災害時のリスクが高くなります。

そのため、購入予定の分譲地が盛土のうえにある場合、充分な補強が施されているかも一緒に確認することをおすすめします。

購入予定の土地が切土か盛土か知るには、役所や不動産会社に聞くのがよいでしょう。

自治体によっては「大規模盛土造成地マップ」の作成をしているところもあります。そのような自治体なら、スムーズに盛土の場所を確認可能です。

参照:国土交通省「大規模盛土造成地マップの公表状況について」

3.地盤や擁壁の補強工事がおこなわれているか確認する

土地がもともと水田であったり、造成工事が盛土でおこなわれていたとしても、地盤や擁壁がしっかり補強されていれば問題ありません。

擁壁(ようへき)とは
造成した土地の側面が崩れないよう支える壁。

地盤の調査・改良をおこなう会社であれば、地盤や擁壁の強度を調べ、必要であれば補強工事も請け負ってくれます。

費用の相場は、調査だけなら5万~10万円、改良工事は数十万~数百万ほどになります。

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個人で造成工事をおこなって分譲することは可能?

山や農地の所有者には、土地を処分も活用もできず持て余している人もいるでしょう。

仮に造成工事をおこなって分譲すれば、土地を処分しつつ大きな利益を生み出せそうですが、果たして個人で造成工事をおこなうことは可能なのでしょうか?

山や農地の所有者向けに、造成工事をおこなうために必要な認可や費用について見ていきましょう。

「山や農地の造成工事」には自治体の許可が必要

山や農地の造成工事は、だれでも自由におこなえるものではありません。

とくに、造成工事をすると災害が発生するリスクの高い土地は「宅地造成工事規制区域」に指定されます。

宅地造成工事規制区域では、下記にあてはまる造成工事をするときに、都道府県県知事(政令市・中核市・特例市の場合は市長)から開発許可を受けなければいけません。

  • 切土で高さ2mを超える崖(30度以上の斜面)ができる工事
  • 盛土で高さ1mを超える崖ができる工事
  • 切土と盛土を合わせて高さ2mを超える崖ができる工事
  • 宅地造成面積が500㎡を超える工事

宅地造成工事規制区域の位置などは、役所で確認しましょう。

参照:国土交通省「宅地耐震化 宅地造成工事規制区域」

造成工事の費用は数百万~数千万円

造成工事の費用は、依頼する業者によって異なります。しかし、参考になる目安として、各地域の国税局が定める「宅地造成費の金額表」というものがあります。

これは税金の計算で使う目安なので実際の工事費用とは異なりますが、おおよその費用相場は把握できるでしょう。

東京都における傾斜がある土地の「宅地造成費の金額表」は次のとおりです。


傾斜度 宅地造成費(1㎡あたり)
3度超5度以下 1万8,600円
5度超10度以下 2万2,800円
10度超15度以下 3万4,900円
15度超20度以下 4万9,500円
20度超25度以下 5万4,700円
25度超30度以下 5万7,900円

上記の金額で、例えば「傾斜度が3度超5度以下、500㎡の造成」をおこなう場合、費用は次のようになります。

1万8,600円×500=930万円

500㎡は約150坪であり、平均的な戸建ての坪数はおよそ40坪です。あくまで概算ですが、3~4戸程度の家が建築できる土地を造成するには、1,000万円近くかかると考えられます。

個人で造成するのは困難なので売却したほうがよい

個人で造成工事をおこなう場合の費用をシミュレートしてみましたが、実際にはさらに高額となる恐れがあります。

個人で分譲地を造成する事例はあまりないので、土木業者からの信頼を得るのは簡単ではありません。受注してくれる土木業者を見つけるのにも苦労するでしょう。

仮に造成できても、分譲地が売却できるかどうかは、実際に売り出してみるまでわかりません。

費用や時間をかけてリスクを負うより、現状のまま売却したほうが手軽に、短期間で土地を現金化できます。

一括査定なら山や農地に対応している不動産会社も調べられる

造成が必要な土地を売却したい場合、心配なのは不動産会社が対応してくれるかどうかでしょう。

山や農地の売買は一般的ではないため、取り扱いをしていない不動産会社もあります。

そこでおすすめするのが「オンラインの一括査定」で、全国の不動産会社にまとめて査定を依頼可能です。

査定を出せる不動産会社のなかには、山や農地を取り扱っている会社もあるので、スムーズに売却できるでしょう。

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まとめ

分譲地を購入するメリット・デメリットや、造成地を購入する際の注意点を解説しました。

分譲地も分譲地ではない宅地も、購入するときは「自分のライフスタイルにあった環境」であるかを確認しましょう。

そして、造成地を購入するときは、地盤の強度に細心の注意が必要です。事前にしっかり調査や補強工事をおこない、災害時のリスクを下げましょう。

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造成地と分譲地についてよくある質問

  • 造成地とはどんな土地ですか?

    造成地とは、山や農地などを整備し、宅地に転換した土地をいいます。

  • 分譲地とはどんな土地ですか?

    分譲地は、デベロッパー(不動産開発業者)などが広大な宅地を区分けして販売する土地のことです。

  • 分譲地のメリットはなんですか?

    住環境のよい土地がお手頃な価格で購入できることや、街並みが整っており住みやすいことがメリットとしてあげられます。

  • 分譲地のデメリットはなんですか?

    家の設計や建築会社が限定されることや、交通アクセスの悪い郊外にあることが多いといったデメリットがあります。

  • 造成地を購入するときの注意点は?

    地盤が弱く、災害時に土砂崩れや地盤沈下のリスクが高い造成地もあるので注意が必要です。家を建てる前に、地盤の調査や改良をしましょう。