相続が発生した場合は、亡くなった人(被相続人)の遺産を相続人たちで分け合います。
遺産が現金のように分けやすいものだと遺産分割もスムーズですが、土地のように分割が難しいものは、意見が割れて話し合いが進まないケースも多々あります。
土地を含む遺産の相続を予定している人は、スムーズに遺産分割をおこなうために、事前に意見が割れた場合の対処法と注意点を把握しておきましょう。
「とりあえず共有名義で相続しよう」という場合も多いのですが、共有名義にするとトラブルが起こりやすいので、できれば避けるべきです。
共有名義での相続しかできないようであれば、自分の共有持分だけ売却するなど、早いうちに共有関係から抜け出しておくことをおすすめします。
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- 土地の遺産分割は意見が分かれやすい。
- 共有は将来的にトラブルに発展しやすい。
- 早期の共有状態の解消を目指すことが重要。
目次
意見が分かれた場合の土地の相続方法
亡くなった人の遺産に土地が含まれていた場合には、相続人全員が土地の相続を希望する、売却派と相続派に分かれるなど、話し合いがスムーズに進まないケースが多いです。
話し合いがなかなかスムーズに進まなくても、トラブルを回避しながら何かしらの結論を出さなくてはなりません。
意見が分かれた場合にトラブルを回避しながら土地を相続する方法として、以下の3つが挙げられます。
- 土地を共有状態にする
- 法定相続割合に応じて分筆する
- 差額分を現金で精算する
それぞれの相続方法を詳しく説明していきます。
土地を共有状態にする
全員が相続を希望している場合、土地を共有状態にすれば全員が共有持分を手にできます。共有持分の所有者は、単独所有ではないので一部の権利が制限されます。
「それでは相続人全体の同意を得られないのでは?」と思った人もいるかもしれませんが、誰かが単独所有することは回避できるので一旦状況を落ち着かせることが可能です。
しかし、土地を共有状態にすることにより一時的に相続人同士の言い争いを回避できても、問題を先送りしただけなので早めに話し合いを再開することをおすすめします。
法定相続割合に応じて分筆する
全員が相続を希望しているまたは一部が相続を希望している場合、法律で定められている法定相続割合に応じて土地を分筆(分割)するという選択肢があります。
分筆という方法であれば、土地の所有権を希望する人は土地を取得できる、売却を希望する人は取得後の土地を売却すれば目的を達成できます。
しかし、土地が小さいと分筆したことにより需要が低くなり資産価値が下がる、接道義務を満たさないような分け方をすると後でトラブルに発展する可能性も。
分筆を選択する際は、公平性を確保できているのか土地家屋調査士や不動産鑑定士などの専門家に相談しながら分筆しましょう。
差額分を現金で清算する
相続人の1人が単独所有を主張している場合、単独所有を主張している人に土地の名義を切り替えれば所有権の問題は解決できます。
しかし、遺産に占める土地の資産価値の割合が高いケースでは、法定相続割合から計算した遺産額との間に差が生じることが多いです。
そのようなケースでは、遺産分割で不公平が生じるため、土地を単独所有する相続人が他の相続人に対して、現金で差額分を清算して公平性を確保する必要があります。
しかし、単独所有を希望する人に資金的な余裕がない場合は、この方法を選択できません。
各相続人の主張や状況などをよく考えた上で最適な相続方法を選択しましょう。
共有状態を選択した場合の注意点
遺産分割について話し合ったものの、うまく話し合いが進まない場合の対策として土地の共有を一時的に選択することも多いですが、あまりおすすめしません。
その理由は、共有には以下の3つの注意点があるためです。
- 土地の使用・利用を制限される
- 共有持分の相続によって相続人の把握が困難になる
- 固定資産税や都市計画税が発生する
それぞれの注意点を詳しく解説していきます。
土地の使用・利用を制限される
共有によって土地の共有持分を手に入れた人は、自由に土地を使える一方、割合によっては使用・利用を一部制限されてしまいます。
例えば、貸し出して賃料を得たいと思っていても共有持分の過半数の同意がない場合には土地を貸し出せない、土地を売却したいと思っていても全体を売却するには共有者全員の同意が必要になるなどです。
共有状態を選択することによって、一時的に遺産分割の言い争いを避けることはできます。しかし、将来的に共有状態の土地について何らかの決断を下す際は、再度話し合いによって解決しなければならないことを把握しておきましょう。
共有持分の相続によって相続人の把握が困難になる
共有持分も資産となるため、共有持分の所有者が亡くなった場合、その相続人は共有持分を手に入れることができます。
その結果、共有持分の細分化により共有者が増えるため、その後の土地の話し合いがさらに難航しやすくなります。
持分割合の過半数の同意を必要とする決定事項の場合は、細分化されても既に共有持分を所有している人の全体の持分割合は変化しないので大きな影響は生じません。
しかし、共有者全員の同意を必要とする土地全体の売却の場合、相続による共有者の増加で同意を得ることがさらに難しくなります。
また、細分化されることにより共有者の把握が困難になると、共有者全員で話し合いの場を設けることも困難になるという点に注意が必要です。
固定資産税や都市計画税が発生する
土地の共有持分は所有権を分割したようなものなので、共有持分の所有者は固定資産税や都市計画税などの税金を共有持分の割合に応じて毎年納めなくてはなりません。
自分の意思だけで自由に決定できず使用・利用を一部制限されるものに対し、固定資産税や都市計画税などの税金を納めるという現状に不満を抱く人も多いです。
無駄な支出が生じることはもちろん、全員で負担しなければならない税金を一部納めない共有者が現れるなど、トラブルに発展しやすいということを覚えておきましょう。
共有状態を解消する4つの方法
遺産分割で共有を選択することにより一時的に言い争いを避け、落ち着いてからゆっくり土地の分割方法を考えるという方法は間違いではありません。
しかし、共有状態のまま放置すると将来的にトラブルに発展する可能性が高いため、早めに共有状態を解消することをおすすめします。
共有状態を解消するための方法として、以下の4つの方法が挙げられます。
- 共有持分を放棄する
- 共有持分を贈与する
- 共有持分を他の相続人に売却する
- 共有持分を買取業者に買い取ってもらう
それぞれの方法を詳しく説明していきます。
方法①共有持分を放棄する
共有持分を放棄すれば、放棄された共有持分は他の共有者に割り当てられることによって共有状態を解消できます。
確実に共有状態を解消できるというメリットがある一方、共有持分の資産価値を考えると共有持分を放棄するという選択肢は、他の共有者にお金を渡したのと同じなので損です。
そのため、共有持分の放棄は最終手段として残しておくことをおすすめします。
方法②共有持分を贈与する
共有持分を贈与した場合は贈与者が所有していた共有持分が受贈者に移るため、贈与者は共有状態を解消できます。
共有持分の贈与と放棄で異なるのは、放棄した場合は共有者全員に放棄された共有持分が割り当てられる一方で、贈与した場合は特定の人物に共有持分を提供できるという点です。
受贈者にはプラスに見えるかもしれませんが、共有持分の資産価値によっては贈与された共有持分に対して贈与税が課されます。
また、共有持分の放棄と同様、損をするということを十分に理解した上で選択しましょう。
方法③共有持分を他の共有者に売却する
共有持分を他の共有者に売却することで、自身の共有持分は購入者に移るため、共有状態を解消できます。
共有持分の放棄や贈与とは異なり、売却により現金が手に入るという点は大きな魅力です。しかし、必ず共有持分の買い取りに応じてくれるとは限りません。
共有者の1人が他の共有持分を買い取って単独名義に切り替えたいと考えている場合は、共有持分の買い取りに応じてくれる可能性があります。
それ以外の場合、共有持分を買い取ってもメリットはないため、応じてもえらない可能性が高いと言えるでしょう。
方法④共有持分を買取業者に買い取ってもらう
共有持分を買取業者に買い取ってもらえれば、共有持分が買取業者に移るので共有状態を解消できます。
「売却には共有者全員の同意が必要なのでは?」と疑問を抱く人もいるかもしれませんが、土地全体を売却する場合とは異なり、共有持分のみの売却では同意を必要としません。
共有持分専門の買取業者であれば必ず買い取ってもらえるため、確実に現金化したい人は他の共有者に売却するよりも買取業者に買い取りを依頼しましょう。
とくに、弁護士と連携した買取業者なら相続トラブルで揉めている物件でも積極的に買い取ってもらえます。
土地の相続でトラブルを未然に回避する方法
遺産に土地が含まれている場合、遺産分割で意見分かれることによりトラブルに発展する可能性が高いため、トラブルを未然に回避したいと考えている人も多いと思います。
トラブルを未然に回避したい人は、以下のような対策を事前に練っておくことが大切です。
- 遺言書を作成しておく
- 生前贈与を選択する
それぞれの方法について詳しく解説していきます。
遺言書を作成しておく
誰が土地を相続するか、どのように遺産を分割するのかについてまとめた遺言書を生前に作成しておけば、相続が発生してもトラブルを回避できる可能性が高いです。
しかし、回避できる可能性が高いというだけで必ず回避できるわけではありません。
その理由は、被相続人が作成した遺言書の指示通りに遺産分割しなくてはならないというルールがない、相続時に初めて遺言書を目にした相続人が反発する可能性があるためです。
相続人全員の納得を得られるようにするためにも、生前に全員で話し合ってから遺言書を作成しましょう。
また、遺言書はきちんとルールに従って作成していない場合は、作成していても無効となる可能性があります。
確実に自分の意思を相続に反映するためにも、司法書士や弁護士などの専門家に相談しましょう。
生前贈与を選択する
生前贈与とは、生前に財産を第三者に移しておくことです。
土地の生前贈与を選択しておくことで、相続財産に土地が含まれなくなるため、トラブルを未然に回避できます。
ただし、生前贈与を選択した場合には、相続税と比べて税率の高い贈与税が適用される点に注意してください。
高い贈与税を回避したい人には相続時精算課税制度を利用するという方法があります。
相続時精算課税制度とは、父母や祖父母(60歳以上)が子供や孫(20歳以上)に対し生前贈与をした場合、最大2,500万円控除することによって贈与税を発生させない制度です。
贈与者が亡くなったタイミングで生前贈与した財産と他の遺産を含めて相続税を求めます。
相続時精算課税制度を利用しても税金の支払いが免除されるわけではない、基礎控除額の110万円の控除が受けられなくなるという点に注意が必要です。
生前贈与を選択したことが原因で多額の税金を納めなくてはならないケースもあるため、よく分からないという人は税理士に相談しましょう。
まとめ
分割しやすい現金や保険金などの遺産のみを相続した場合、相続割合に基づく遺産分割がスムーズに進みやすいです。
しかし、遺産に土地のように分割が容易ではない財産が含まれている場合、意見が分かれて遺産分割がスムーズに進行しないことも多いです。
意見が分かれた場合の対策の1つに共有という方法がありますが、共有状態を放置すると後でトラブルに発展することも多く、共有はあまりおすすめしません。
どうしても共有という選択肢しかない場合には、早めに共有状態を解消した方が良いため、買取専門業者に買い取ってもらって共有状態を解消しましょう。
土地の相続に関するQ&A
方法としては「売却して現金で分割する」「相続割合に合わせて土地を分筆する」「代表者がすべて相続する代わりに、他の相続人に代償金を支払う」「共有名義にして相続する」の4つがあります。ただし、共有名義にすると後の管理・処分で揉めてしまう恐れがあるので、他3つの方法にすることをおすすめします。
土地の利用や建て替え、リフォーム、売却など、さまざまな場面で共有者間の話し合いが必要となります。また、相続を繰り返し共有持分が細分化すると権利関係の把握が難しくなり、子供や孫の世代でトラブルとなる恐れがあります。
まずは相続問題に詳しい弁護士へ相談し、必要に応じて交渉や法的手続きを依頼しましょう。調停や訴訟も含めて、適切なトラブル解決法をアドバイスしてもらえます。
相続登記が完了すれば、自分の持分だけ売却できます。「法定相続分に準じた相続登記」なら、遺産分割協議の確定前に相続登記をして、持分を売却することが可能です。ただし、後々トラブルになるため、基本的には遺産分割がまとまるまで売却しないほうがよいでしょう。
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