マンションの共有持分割合は何で決まる?割合による権限の違い

共有とは、1つの不動産を複数人が持っている状態です。相続や自宅購入などで、マンションを共有名義にしている人も多いでしょう。
共有不動産の所有権を持つ人のことを「共有者」といい、各共有者それぞれの所有権を「共有持分」といいます。
共有持分の割合は、不動産の取得方法によって決め方も異なります。マンションを購入で取得したのであれば出資割合で、相続で取得した場合は相続分で決めるのが原則です。
また、持分割合によって可能な行為が変わります。とくに、共有名義のマンションを売却するには、共有者全員の同意が必要です。
共有者とトラブルになり、共有マンションを手放したくなったときは、共有持分の売却を検討しましょう。共有持分なら他共有者の同意はいらず、いつでもすぐに売却できます。
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この記事のポイント
- マンションの共有持分の割合は「出資割合」や「相続割合」に合わせる。
- 共有名義は各種控除を二重で受けられるなど、税制面のメリットがある。
- マンションを共有で持つと管理・処分や費用負担で意見が割れ、トラブルになるケースが多い。
目次
マンションの共有持分はどのように割合を決めれば良い?
マンションの持分割合(共有持分の割合)の決め方は、共同出資や相続など共有になった経緯によって変わってきます。
共同出資でマンションを購入した場合は出資割合、遺産分割で共有名義にする場合は相続割合が基準です。
それぞれのパターンを詳しく解説していきます。
1.共同出資でマンションを購入した場合は出資割合と同じ比率にする
共同出資でマンションを購入した場合、マンションを購入するために出資した金額の割合に合わせるのが一般的です。
頭金や住宅ローン、その他取得費用を合わせた金額で計算します。
ただし、出資割合と違う比率で共有持分の割合を設定することも可能です。マンションを購入したときは法務局で登記をおこないますが、そのときに申請する共有持分の割合は、出資割合と違っていても受理されます。
しかし、出資割合と持分割合が異なる場合は、その差額が贈与とみなされ贈与税がかかるので注意しましょう。
2.相続のマンションを共有にする場合は遺産分割で割合を決める
相続によるマンションの持分割合は、遺産分割における相続割合に合わせます。
相続割合の決め方は、主に3つのパターンに分かれます。
- 法定相続分に準ずる
- 遺言の内容に従う
- 遺産分割協議で決める
法定相続分とは、法律で定められた相続割合の目安のことです。遺言がなく、相続人側でとくに希望もない場合、法定相続分に従って分割します。
被相続人が遺言を残している場合は、原則としてその内容に沿って分割します。
遺言があっても、遺産分割協議で任意に相続割合を決めることも可能です。ただし、遺産分割協議による決定は、法定相続人全員の合意をが必要となります。
遺産分割協議をした場合は、トラブルを避けるために内容を記録した「遺産分割協議書」を必ず残しておきましょう。
不動産の遺産分割協議については、下記の記事でも詳しく解説しています。
共有持分の割合が大きいほど「マンションに対してできること」が増える
マンションの共有名義は、利用・管理・処分に関して、各共有者ができる行為が民法で制限されています。
行為は次の3つに分類され、それぞれに同意を得るべき共有持分割合の条件が設定されているのです。
- 保存行為(修繕など)
- 管理行為(賃貸借契約締結など)
- 変更行為(売却・建替えなど)
自分のもつ共有持分の割合が大きいほど、共有マンションの利用・管理・処分で意見を通しやすくなり、できる行為の範囲が広がります。
次の項目から、各行為の詳しい内容を見ていきましょう。
【変更行為】売却や大規模な改修などは「すべての共有持分」が必要
変更行為とは、マンションを物理的、もしくは法的に変更・処分する行為です。
- マンションを売却する
- 大規模な改修(リフォームやリノベーション)をおこなう
- 短期賃貸借以外の賃貸借契約
これらの行為をするには、共有持分をもつ人全員に同意をもらうか、共有持分をすべて取得して、マンションを自分の単独名義にする必要があります。
【管理行為】小規模な改良や短期賃貸借の締結は「過半数の共有持分」が必要
管理行為は、小規模な改良や短期賃貸借など「マンションの性質を変えない範囲の行為」を指します。
- 部分的な改修(壁紙の張替えなど)
- 短期賃貸借の契約締結
- 共有者のうちだれが実際に居住するか
これらの行為は、共有持分割合の過半数から同意をもらうことで決定できます。
共有者の人数ではなく、共有持分の割合が基準であることがポイントです。つまり、持分割合が1/2を超えている共有者がいれば、その人は単独で管理行為を実行できます。
【保存行為】現状維持に必要な行為なら共有持分に拘わらずおこなえる
共有マンションの維持に必要な行為であれば、共有持分の割合に関係なくどの共有者も実行できます。
- 破損箇所の修繕
- 妨害排除請求(不法占有者への明け渡し請求など)
これらは他共有者の不利益にならず、マンションの現状を維持することになるので、共有者それぞれが単独の意思でおこなえます。
「共有持分の売却」も自分の意思のみで可能
保存行為には分類されませんが、自分がもつ共有持分の売却も、各共有者が自由にできる行為です。
共有持分を売却すれば、共有名義から抜けることになるため、マンションの維持にかかる費用や、固定資産税の負担から解放されます。
また、マンションを巡って共有者とトラブルが発生しているときも、その対処をする必要がなくなります。
ただし、共有持分の売却は特殊な不動産売買となるため、一般的な不動産会社では取り扱えないケースが大半です。
そのため、共有持分を売却するときは、共有持分専門の買取業者に依頼しましょう。専門業者ならではの経験と知識で、スピーディーかつ高額で共有持分を買い取ってもらえます。
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マンションを共有で持つメリット
マンションを共有で持つと単独でできることが制限されるので、難しい運用を迫られることが多いです。
マンションを共有で持つと単独でできることが制限される一方で、以下のようなメリットもあります。
- 住宅ローン控除を共有者ごとに受けられる
- 譲渡所得の特別控除を共有者ごとに受けられる
- 相続税を抑えられる
節税効果が期待できるので、少しでも税金の負担を抑えたい人にはメリットを感じやすいでしょう。
メリット1.住宅ローン控除を共有者ごとに受けられる
マンションを共有で購入した場合、共有者それぞれが住宅ローン控除を受けることができます。
住宅ローン控除とは、一定の要件を満たすローンを組んで住宅を購入すると、年末のローン残高に応じて各年の所得税が返還される制度です。
控除される額は年末の住宅ローン残高の1%、上限額は40万円で設定されています。
2人で3,000万円ずつのローンを組んだ場合と、一人で6,000万円のローンを組む場合で住宅ローンの控除額にどれほど違いが出るか見ていきましょう。
2人それぞれが30万円の控除を受けられるので、合計60万円の住宅ローン控除を受けられる。
住宅ローン控除の上限額40万円をこえているので、この場合の住宅ローン控除額は40万円です。
1人よりも2人で共有のほうが、20万円多く控除されることがわかりますね。
メリット2.譲渡所得の特別控除を共有者ごとに受けられる
住宅ローン控除と同様に、譲渡所得の特別控除についても共有者ごとに受けられるのもメリットです。
譲渡所得の特別控除を利用すると、不動産を売却する際の利益(譲渡所得)に応じて課税される譲渡所得税が減らせます。
一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円まで控除が可能です。
売却益が6,000万円だった場合、単独名義と共有名義では課税される譲渡所得がどれだけ変わるか見ていきましょう。
メリット3.相続税を抑えられる
不動産の相続税は、不動産評価額に税率をかけて計算します。
共有マンションの場合は、さらに共有持分割合をかけるので課税対象になる不動産評価額が下がります。
相続税は金額が高いほど税率が上がる累進課税なので、不動産評価額が下がると相続税を節税することができるのです。
マンションを共有で持つデメリット
マンションを共有する上で、気になるのがデメリットですよね。
具体的には以下のようなデメリットがあげられます。
- 売却には共有者全員の同意が必要
- 賃貸借契約も過半数の同意が必要
- 費用負担が原因で揉めるリスクがある
- 相続で共有者が増えるとますます運用が困難になる
共有名義にすると共有者と協議しなければならない場面が増え、トラブルが起こりやすくなってしまいます。
これらのデメリットは根本的な解消が難しいため、共有者同士の調整やトラブルに巻き込まれたくない人にとっては、マンションの共有は向いていません。
デメリット1.売却には共有者全員の同意が必要
先に解説したとおり、共有マンションのデメリットは自由に売却ができない点です。
売却したいのであれば、共有者全員の同意を得なければなりません。
一人でも反対者がいれば説得しなければなりませんし、まとまらない場合は裁判に発展するケースもあります。
売却を実現するためには、根気強く時間と労力をかける覚悟が必要です。
デメリット2.賃貸借契約も過半数の同意が必要
賃貸借契約を結ぶには、共有者のうちの過半数の同意を得なければなりません。
賃貸借契約を結べば賃料収入が期待できますが、共有者に反対されれば収益を得る機会を失う恐れがあります。
賃貸借契約を自由に結べない状態はマンションの収益悪化にもつながるため、大きなデメリットといえるでしょう。
デメリット3.費用負担が原因で揉めるリスクがある
マンションを所有している期間中は、さまざまなランニングコストがかかります。
例えば固定資産税や都市計画税は自治体が決めた固定資産税評価額に基づいて、年4回に分けて支払わなければなりません。
その他にも火災・地震保険料も支払う必要があるでしょう。
これらのランニングコストは、共有者のうち誰か一人の代表者にまとめて請求されます。
そのため代表者は、他の共有者に共有持分割合に応じた負担額を請求しなければなりません。
他の共有者が支払いを遅滞したり拒否したりといったことが原因で、トラブルに発展することもあります。
デメリット4.相続で共有者が増えるとますます運用が困難になる
もともと共有マンションを複数人に相続していると、共有者の数がどんどん増えてしまいます。
一度も顔も合わせたことがない人たちが共有者になる可能性もあります。
そうなれば、協議をしたり合意をとったりすることがますます難しくなるでしょう。
マンションの共有名義を解消する4つの方法
共有しているマンションの共有持分割合が少ない場合は思うように運用することが難しく、トラブルも起こりやすい状況です。
共有者との調整に疲れてしまっているようなら、できるだけ早めに共有名義を解消したほうが良いでしょう。
マンションの共有名義を解消する方法は4つあり、どれも共有持分を売却して現金化することになります。
「高く売却したい」「共有者と揉めずに売却したい」など、人によって何を優先するかは変わってきますよね。
それぞれのニーズに最適な方法をご紹介していきます。
1.マンション全体を売却する
一つ目は、共有者全員の同意を得た上でマンション全体を第三者に売却する方法です。
意見が対立すると多大な労力がかかる点がネックですが、共有者全員に売却する意思があれば最も高値で売却できる方法です。
多くの人は、運用の難しい共有名義のマンションを購入することをリスクととらえます。
単独名義の不動産を手に入れたほうが自由に運用できるなどメリット感じやすいですよね。
そのため、マンション全体を売却する方法が最も需要があり高値がつきやすいのです。
2.共有者間で持分売買して単独所有にする
共有者同士で持分を売買し、共有者のうち一人の単独名義にする方法もあります。
共有持分割合を増やしたいと思っている共有者がいれば、成立しやすい方法です。
しかし誰も共有持分を買い取る意思を持っていない場合や、買い取れるだけの資金力がない場合は、この方法で共有名義を解消することはできません。
3.自分の共有持分だけ売却する
最も迅速に共有名義を解消する方法は自分の共有持分だけを売却することです。
この方法の最大のメリットは、共有者の合意を得る必要がない点です。
共有持分の売却であれば、他の共有者と疎遠・絶縁関係であってもすぐに共有名義を解消できます。
共有マンションを売却するときの具体的な方法は下記の関連記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
「共有持分専門の買取業者」ならトラブル物件もそのまま売却できる
共有名義のマンションは、共有者との間でトラブルになりやすい状態です。
実際に「他の共有者と既に揉めていて顔を合わせたくない」「共有者が増えすぎてどこの誰かもわからない人もいる」という人は多くいます。
そのようなトラブル物件でも、共有持分専門の買取業者なら現状のまま買取が可能です。
とくに、弁護士と連携している買取業者であれば、どんなトラブルがあってもスムーズに権利関係を調整できるため、トラブル物件でもスピーディーかつ高額買取ができます。
下記リンクから弁護士と連携している買取業者に無料相談を申し込めるので、共有持分の売却で悩んでいる人は気軽に問い合わせてみましょう。
マンションの共有持分を高く売るコツ
せっかく売却するのであれば、少しでも高く売りたいというのが本音なのではないでしょうか?
先ほど説明したとおり、共有持分の買取を希望する人は少数派です。
それは自由に運用できないという側面をリスクに感じている人が多いからでしょう。
リスクを完全に解消する方法はありませんが、緩和する方法はあります。
次の項目からは、マンションの共有持分を少しでも高く売るコツを伝授します。
1.共有持分の割合を高くする
共有持分の割合を高めれば、運用がしやすくなるのは事実です。
共有持分割合を過半数以上まで増やせば、賃貸借契約やリフォームなど単独でできる範囲が広がります。
高い共有持分割合を占める物件は購入検討者にとってもメリットを感じやすく、価格にもプラスに作用するでしょう。
2.共有持分専門の買取業者に売却する
購入希望者がなかなか見つからない場合は、共有持分の専門買取業者への売却を検討してみてはいかがでしょうか。
専門買取業者であれば共有持分のノウハウが蓄積されているので、何かトラブルが起きても迅速に処理できるのが強みです。
そのため、一般的な相場よりも高額での買取が期待できます。
まとめ
ここまでマンションの共有持分割合について解説しました。
共有持分割合の決め方は、共同出資の場合は出資割合、相続の場合は相続割合と一致するように設定するのがポイントです。
共有持分割合が多いほど、マンションに対してできる行為は広がります。
反対に少ない共有持分割合を持ち続けている方は、自由に運用できない上に共有者とのトラブルに巻き込まれるリスクもあるため、早期に売却したほうが良いでしょう。
自分の共有持分だけであれば、他の共有者の合意を得る必要はなく自由に売却可能です。
さらに共有持分専門の買取業者に売却すれば、相場よりも高値での売却が期待できます。
共有持分についてよくある質問
-
夫婦でマンションを購入するのですが、持分割合はどのように決めるとよいですか?
共同出資の場合の共有持分割合は、購入するために出資した金額の割合に合わせるのが一般的です。出資割合と共有持分割合が違うと、その差額が贈与とみなされ贈与税がかかるので注意しましょう。
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マンションを複数の相続人で共有名義にする場合、持分割合はどのように決めるとよいですか?
相続による共有持分割合は、相続割合に合わせます。相続割合は「法定相続分」「遺言書による指定」「遺産分割協議による相続人同士の合意」のどれかで決まります。
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共有持分のみでも売却は可能ですか?
はい、共有持分のみでも売却可能です。他共有者の同意も不要で、自分の意思のみで売却できます。
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なるべく高く、スピーディーに共有持分を売却する方法はありますか?
一般的な物件を扱う大手不動産会社より「共有持分の専門買取業者」に依頼したほうが、高額かつ最短数日での買取を期待できます。弁護士と連携しているところなら、権利関係の調整や相続トラブルのサポートも可能です。→【弁護士と連携!】共有持分の無料査定はこちら
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共有不動産を巡って共有者とトラブルになったときはどうすればいいですか?
まずは不動産問題に詳しい弁護士へ相談し、必要に応じて交渉や法的手続きを依頼しましょう。トラブルの解決が難しいようであれば、持分売却などで早めに共有名義を解消することをおすすめします。