共有持分の評価額はいくら?評価基準と売却価格の決まり方を解説

共有持分を所有していると、売却や贈与・相続など、さまざまなシーンで「自分の持分はどれくらいの評価額なのか」を調べなければいけません。
共有持分の評価額は「不動産全体の評価額×持分割合」で計算します。すなわち、最初に不動産全体の評価額を調べなければいけません。
ただし、不動産全体の評価額は「何を目的にした評価額を知りたいのか」で、評価方法が異なります。
目的にあわせた評価額を調べ、自分のもつ共有持分の割合とかけ合わせましょう。
また、手っ取り早く共有持分の価格を知りたければ「共有持分の専門買取業者」に査定をしてもらいましょう。「いくらで共有持分が売れるか」を、正確に教えてもらえます。
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この記事のポイント
- 共有持分の評価額は「不動産全体の評価額×持分割合」で決まる。
- 不動産を評価する基準は「土地に5つ」「建物に1つ」ある。
- 自分の共有持分のみでも売却でき、売却価格は持分割合の半額程度となる。
共有持分の評価額は「不動産全体の評価額×持分割合」
冒頭でも触れたように、共有持分の評価額は「不動産全体の評価額×持分割合」です。

ただし、不動産の評価は何を目的にした評価なのかによって基準が異なるので、注意が必要です。
まずは「目的によって評価基準が異なる」とはどういうことなのかと、持分割合とは何なのかを見ていきましょう。
不動産全体の評価基準は使う場面によって異なる
不動産全体の評価額は、使うシーンによって評価基準が異なります。
一方、固定資産税を知りたい場合、必要となるのは「固定資産税評価額」です。
何を目的にしているかで不動産の評価基準が異なり、算出方法にもそれぞれ違いがあるのです。
具体的な内容は後ほど解説しますが、評価基準は「土地に5つ」「建物に1つ」あります。
持分割合は不動産取得時の負担金額によって決まる
持分割合とは、共有者それぞれの所有権の割合のことです。
しかし、AさんとBさんが2人で不動産を購入したなら、その不動産はAさんとBさんの共有不動産です。AさんとBさんのそれぞれに所有権があります。
それぞれが持つ所有権のことを共有持分といい、所有権の割合のことを持分割合といいます。
持分割合は、不動産取得時の負担金額によって決まります。
1,000万円の土地を購入する際に500万円ずつ(1/2ずつ)負担したのなら、持分割合も1/2ずつです。

ただし、この決め方は不動産を購入した場合の決め方です。
不動産を複数人で相続することになった場合は、法定相続分によって決めるか、もしくは遺産分割協議によって決めます。
持分割合の決め方についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

「土地には5つ」「建物には1つ」の評価基準がある
同じ不動産でも「何をするために評価額を知りたいのか」によって、不動産全体の評価額は異なります。
不動産を評価する基準は「土地に5つ」「建物に1つ」あります。
次の項目から、それぞれの詳しい解説を見ていきましょう。
土地を評価する5つの基準
土地を評価する基準は次の5つがあります。
- 土地の適正価格を形成する「公示地価」
- 都道府県が定める「基準地価」
- 贈与税や相続税の計算に使われる「相続税評価額」
- 固定資産税の計算に使われる「固定資産税評価額」
- 国が過去の売買取引成立価格を調査した「実勢価格」
同じ土地の評価でも、基準によって算出方法が異なり、実際の評価額も変わってきます。混同しないように注意しましょう。
土地の適正価格を形成する「公示地価」
「公示地価」とは、毎年3月に国が公表する土地の価格のことで、土地を評価する際のあらゆる土台となる評価基準です。
地域ごとに標準地を定め、その年の1月1日時点における土地価格を不動産鑑定士が評価します。
建物が建っていても、評価額は「更地だった場合の価値」です。土地の用途は「住宅地」「商業地」「工業地」などに分類します。
公示地価は土地の適正価格を形成するための指標であり、一般の売買取引価格や公共事業用地の取得費を決めるときも評価の基礎となります。
公示地価を確認したい場合は国土交通省の「土地総合情報システム」を参照しましょう。
都道府県が定める「基準地価」
「基準地価」とは、公示地価と同じように土地価格の形成を目的とした評価額です。調査主体は都道府県や政令指定都市で、毎年7月1日時点の評価をその年の9月頃に発表します。
公示地価と基準地価は評価するタイミングが違うため、2つを見比べると地価の変化により早く気づくことができます。
基準地価で評価される土地は基準地と呼ばれます。基準地は公示地価の標準地と同じこともあれば、違うこともあります。
基準地に選ばれている土地の特徴として、公示地価では選ばれないような「人口の少ない町村部」なども対象です。
評価するタイミングが違うこと、そして公示地価の対象にならないエリアも対象にしていることから、基準地価は公示地価の補助的な役割を担っているといえます。
贈与税や相続税の計算に使われる「相続税評価額」
「相続税評価額」は、贈与税や相続税を計算するために土地を評価して出した価格のことです。
この際に土地を評価する方法は、次の2つがあります。
- 路線価に面積をかける「路線価方式」
- 固定資産税評価額に地域ごとの倍率をかける「倍率方式」
路線価が定められている地域であれば「路線価方式」で評価し、路線価が定められていない地域であれば「倍率方式」で評価します。
路線価にかけ合わせる「路線価方式」
1つ目の「路線価方式」は、路線価が定められている地域の評価方法です。
路線価とは、路線(道路)に面している土地の1㎡あたりの価格です。
下図は東京都荒川区の路線価の一部ですが、各道路に数字が設定されています。
出典:国税庁「財産評価基準書」
路線価方式では、設定されている路線価とその土地の面積をかけ合わせると相続税評価額がわかります。
価格は1,000円単位で書かれているため「400C」と書かれているなら路線価が40万円ということです。
土地の面積が100㎡であれば、面積100㎡×路線価40万円=4,000万円が概算の相続税評価額となります。
ちなみに、路線価方式の計算結果は、公示地価の8割程度になるよう調整されています。概算を知りたいときは、公示地価から相続税評価額を計算することも可能です。
路線価が定められていない地域では「倍率方式」
2つ目の「倍率方式」は、郊外や農村部など路線価が定められていない地域で使われます。
倍率方式の計算は「固定資産税評価額×定められた倍率」となります。
固定資産税評価額は、毎年4~5月頃に送られてくる「固定資産税の課税明細書」で確認できます。手元になければ役場や税事務所で「固定資産税評価証明書」を取得しましょう。
評価倍率は国税庁のホームページで確認できます。下図は、東京都昭島市の評価倍率表を抜粋したものです。
出典:国税庁「財産評価基準書」
価格を調べたい土地が宅地であれば、宅地欄の数字を見ます。「1.1」と記載されていれば、その土地の相続税評価額は「固定資産税評価額×1.1」ということです。
固定資産税の計算に使われる「固定資産税評価額」
「固定資産税評価額」は、固定資産税評価基準という国のガイドラインに基づき決定されているもので、固定資産税の計算に使われます。
固定資産税評価額は3年に1度更新され、毎年4~5月頃に送られてくる課税明細書に記載されています。
1年毎に課税明細書が送られてくるため簡単に確認でき、計算をする必要もありません。
ただし共有不動産の場合、固定資産税納税通知書は代表者のみにしか送付されません。
もし手元に届かないということであれば、不動産所在地の役場で固定資産税課税台帳を閲覧して確認できます。
もしくは、固定資産税評価証明書を取得して確認することも可能です。
不動産取得税や登録免許税の計算にも使われる
固定資産税評価額は固定資産税の計算に使われるだけでなく、不動産取得税や登録免許税の計算にも使われます。
不動産取得税は不動産を取得した際に課税される地方税で、税額はその不動産の固定資産税評価額の4%です。
登録免許税は登記手続きの際に国に納める税金で、税額は登記の種類ごとに異なります。
土地や中古住宅の売買による登記には2.0%、新築住宅を取得した際の登記には0.4%と定められています。
国が過去の売買取引成立価格を調査した「実勢価格」
最後の「実勢価格」は、過去に取引された土地売買の取引額です。
実際に不動産取引が成立した金額なので、近隣の実勢価格を調べれば自分が売買するときも有力な資料となります。
実勢価格は国土交通省の「土地総合情報システム」で確認可能で、金額や面積などの情報が取引ケース別に調べられます。
ただし、国土交通省の不動産取引価格情報はリアルタイムの情報ではありません。
土地の購入者が全員回答しているわけでもないため、必ずしもその価格どおりに売買できるわけではないので注意しましょう。
参照:国土交通省「土地総合情報システム 不動産取引価格情報」
建物を評価する1つの基準
土地には5つの評価基準がありましたが、建物の評価基準は1つだけです。
土地の評価基準でも解説した「固定資産税評価額」が、建物を評価する基準となります。
一般的には「新築時の請負工事金額の50%~60%」もしくは「再建築価格の50%~70%」が評価額の目安といわれます。
ただし、自治体ごとに基準が異なる場合もあるので注意しましょう。
建物のあらゆる税金の基準となる「固定資産税評価額」
建物の場合も、固定資産税評価額は3年ごとに見直されます。
見直しでとくに見られるポイントは「同じ建物をいま建てたら建築費はいくらかかるか」や「経年劣化によりどれほど価値が減少したか」です。
築年数が古くなると劣化により価値は減少しますし、物価にも変動があり影響を受けるため、3年ごとに見直されます。
ここでの3年ごととは、建物が完成してからの年数ではありません。
すべての建物が一斉に更新されるため、築年数が2年のときに1回目の更新となる場合もあります。
自分の共有持分だけを売却することができる
実勢価格でも解説しましたが、不動産の売買では売主と買主が合意した金額で取引が成立します。
公示地価が1,000万円でも、売主と買主が合意したのなら1,200万円で売買できます。
共有不動産であっても売主と買主が合意した金額で取引が成立しますが、売却代金は持分割合に応じて分配しなければいけません。
しかし共有不動産の場合、共有者全員が同意していなければ売却できません。Aさんは売却したいがBさんは反対しているなら、2人の意見が揃うまで売却できないのです。
そこで、売却したいのに共有者が同意してくれないという場合は、自分の共有持分のみ売却することができます。
ここからは自分の共有持分のみを売却する場合の価格の出し方、売却方法について解説していきます。
共有持分の売却価格は持分割合の半額程度
共有持分の売却価格は、持分割合の半額程度となります。
自分の共有持分が1/3であれば、3,000万円×1/3(持分割合)×1/2となり、売却代金は500万円程度となるのが一般的です。
しかし、誰に売るのかで価格は変動します。
共有持分のみを高く売りたいのであれば、専門買取業者へ売却するとよいでしょう。
共有持分を「早く」「高く」「トラブルなく」売るなら専門買取業者へ売却する
共有持分のみの売却は、不動産を1/1で売却するよりも売れにくいというのが実情です。
持分のみを手に入れても使いづらいというのが理由で、その理由には納得がいきますね。
しかし、売れにくいというのは一般の市場で売ろうとした場合の話しです。
共有持分は、専門買取業者であれば「早く」「高く」「トラブルなく」売ることができます。
早ければ査定から現金化まで一週間ほどと、短期間で売却できるのも大きな魅力でしょう。
専門買取業のなかでも「弁護士と連携している買取業者」がおすすめ!
共有持分のみの売却では他の共有者とのトラブルを抱えていることも少なくないため、弁護士と連携している専門買取業者を選ぶと安心です。
相手方との交渉や法的手続きなどが必要な場合も、スムーズに対処できます。
当サイトを運営するクランピーリアルエステートも、弁護士と連携している共有持分専門の買取業者です。トラブル解決にも適切なアドバイスが可能なので、お気軽にお問い合わせください。
どんなときに共有持分を売却すべき?
共有持分の売買は一般的な不動産取引とはいえないため、持分のみ売却すべきかどうかで悩む人は多いでしょう。
持分売却をおこなうケースの例としては、下記のようなケースがあります。
これらの事例以外にも、クランピーリアルエステートが取り扱った取引事例について、下記の記事で詳しく紹介しています。持分売却を検討する際は、ぜひ参考にしてください。
【最短12時間査定】クランピーリアルエステートの共有持分・共有不動産の買取実績
もちろん、事例とは異なる状況・条件でも積極的に買取をおこないますので、気軽にお問い合わせくださいね。
共有持分を査定してから売却するまでの流れ
実際に共有持分を売却する場合、どのような流れでおこなうのか不安に感じる人もいるでしょう。
共有持分を査定してから売却するまでの流れは、下記のとおりです。
- 買取業者に査定依頼
- 簡易査定(24~48時間で完了)
- 訪問査定(およそ1週間で完了)
- 契約締結と代金振込み(およそ1週間で完了)
まずは買取業者に査定依頼を出します。このとき、自分の持分割合がわからない場合は業者側で調べてもらうことも可能です。
簡易査定を申し込めば、おおよそ24~48時間ほどで査定結果が出ます。簡易査定の結果に納得できれば、より正確な査定を受けるため訪問査定を依頼しましょう。
その後、買取価格や売却条件に納得できれば契約を締結します。
共有持分の査定から売却までの流れは、こちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
まとめ
共有持分の評価額を知るには「不動産全体の評価額×持分割合」を計算しなければいけません。
そして、不動産全体の評価額は目的別に6つの評価基準があります。
共有持分の評価額を知る目的によって、評価基準や計算方法は異なるので注意が必要です。
相続税評価額を知るには税理士へ、共有持分の売却を検討しているなら専門買取業者へ相談します。
目的に合った専門家へ相談し、適切な評価額を把握しましょう。
共有持分の評価額に関するFAQ
-
共有持分の評価額はどのように決まりますか?
「不動産全体の評価額×持分割合」で決まります。ただし、共有持分のみを売却した場合は不動産全体の売却価格×持分割合のさらに半額程度となります。
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不動産全体の評価額にはどんな基準がありますか?
不動産全体の評価額は「何を目的としているか」で異なります。「相続税評価額」や「固定資産税評価額」といった税額の計算に使われる評価や、過去の取引事例を調査した「実勢価格」があり、それぞれ金額も異なります。
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共有持分の評価額を知るには誰に相談すればよいですか?
共有持分の税金に関することなら税理士に、財産分与や遺産分割に関することなら弁護士や司法書士に、共有持分のみの売却を検討しているなら専門買取業者に相談します。
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自分の共有持分だけ売却することはできますか?
はい、可能です。自分の共有持分だけなら、他共有者の同意がなくても売却できます。
-
共有持分を高く売るにはどうしたらよいですか?
共有持分を専門に扱う買取業者に依頼しましょう。取引実績が豊富で弁護士と連携している専門買取業者なら「高く」「早く」「トラブルなく」売却できます。→【弁護士と連携した買取業者】共有持分の無料査定はこちら