病死物件に告知義務はあるの?基準と売買・賃貸時の注意点

人の死があった不動産は事故物件とみなされ、買主を見つけにくくなり、売却価格も下がってしまいます。
しかし、すべての死亡例で事故物件になるわけではなく、病死の場合は通常の不動産として売却できます。
遺体発見まで時間がかかったケースなど、室内に汚染・損傷が残ってしまった場合を除き、買主への告知義務はありません。
この記事では、病死が事故物件になるかどうかの基準や、事故物件になる場合はどのような点に注意すべきか解説します。
また、事故物件の売却を検討している場合は、訳あり物件専門の買取業者に相談するとよいでしょう。早ければ2日程度で売却できるので、急いで売却したい場合はとくにおすすめです。
>>【事故物件でも高額買取!】訳あり物件専門の買取業者はこちら!
この記事のポイント
- 病死や自然死など、事件性のない場合は事故物件にならない。
- 病死でも、孤独死で発見が遅れた場合は告知義務が発生する。
- 事故物件を手間なく売却するなら、訳あり物件専門の買取業者に相談がおすすめ。
目次
病死があった物件に事故物件としての告知義務は原則ない
これまで所有している物件で病死が起こった際など、事故物件として告知義務はあるのかないのか、あいまいな部分が残されていました。
そのため不動産を扱っている企業間で対処にバラつきがあったものを統一するため、国土交通省|『宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取り扱いについて』が発表され、告知義務について明確な基準が示されました。
結論として『病死は当然起こりうるもの』であるとして『心理的瑕疵とは認めない』方針=告知義務はないもの、となっています。
ただし例外として「心理的瑕疵が認められ、告知義務が発生するケースもある」という記載もありますのでこちらについて続けて解説いたします。
【例外】孤独死など発見が遅れた場合は告知義務が発生するケースあり
国土交通省|『宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取り扱いについて』によると、病死であっても告知する義務があるとする例として以下が挙げられています。
病死でも告知義務が発生する代表例4つ
例外として、病死であっても以下のような例は告知義務を行わなければならないとされています。
- 病死後発見まで時間が経ち特殊清掃が必要になった
- 病死後発見まで時間が経ち大規模なリフォームが必要になった
- 病死後発見まで時間が経ちニュースになるなど影響があった
- 【マンション等】他の部屋で発見の遅れた孤独死があった
例①:病死後発見まで時間が経ち特殊清掃が必要になった
ご遺体の発見が遅れ汚損が酷かったケースでは原状復帰のため特殊清掃が必要になるケースもあります。
このような場合では単なる病死としてではなく、心理的瑕疵があるものとして告知義務があると定められました。
例②:病死後発見まで時間が経ち大規模なリフォームが必要になった
ご遺体の発見が遅れ、特殊清掃だけでは原状復帰が難しいほど建物への汚損・損傷が出てしまったケースでは、床や畳を張り替える、ユニットバスやトイレを交換するといった大規模リフォームが必要になる場合もあるでしょう。
このような場合も特殊清掃と同じく、心理的瑕疵にあたるとして告知義務があると定められています。
例③:病死後発見まで時間が経ちニュースになるなど影響があった
事件性はなくとも、大幅に発見が遅れた孤独死などがニュースになる例も稀にあります。
また同一建物内に限らず近隣住民の間で大きな話題として注目された、等ということになると、仮に告知しなくても後々新住民が知る可能性もあります。
このようなケースでも心理的瑕疵が認められ、告知義務があるものとされています。
例④:【マンション等】他の部屋で発見の遅れた孤独死があった
マンションやアパートなど共有部分のある建物の場合には、該当戸だけでなく他の場所で孤独死などの発見が遅れたケースでも告知義務が発生する可能性もあります。
どういった場合に告知義務が発生するかは、病死で発見が遅れたケースと同じく、特殊清掃や大規模なリフォームが必要となったケースでかつ、敷地内の共有部分で起こった場合です。
該当戸(所有されている運用検討中の物件)でなく他の居室内で同様のことが起こった場合でも心理的瑕疵が認められ、告知義務があるものと明確化されました。
【共用部分で告知が必要な代表的な例】
告知義務が発生する可能性のある代表的な共用部分の例は以下です。
- エレベーター
- ゴミ捨て場
- 階段(非常階段含む)
- 屋上
- エントランス
- 駐車場
病死でも特殊清掃などが必要になると告知義務が発生する理由は?
病死なら心理的瑕疵があるとは認められていないといいながら、なぜ告知義務が発生するケースもあるのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
なぜ告知義務が発生するケースもあるのかは以下のように考えられているためです。
- 物件の契約締結に重要な影響がある可能性があるから
- 告知義務違反として損害賠償責任が問われる可能性があるから
物件の契約締結に重要な影響がある可能性があるから
購入もしくは賃貸契約をしようか検討する際、立地や部屋の間取り・内装や設備などと併せて様々な価値基準で判断が下されます。
その際、病死で発見が遅れ特殊清掃などが必要なレベルでの汚損があった、という事実はその判断に影響を及ぼす可能性がある為、告知義務が認められた経緯があります。
「気にしないけど」という方もいらっしゃるかもしれませんが、「気になるし怖いからやめておこう…」と考える方もいらっしゃるのが事実だからです。
告知義務違反として損害賠償責任が問われる可能性があるから
告知義務が発生するケースで告知義務を怠った場合には、損害賠償が認められる可能性が十分にあります。
過去にも、病死によるものでの判例ではないのですが大阪で実際に賃貸契約を結ぶ際告知が行われなかったケースで、114万円(賃貸借契約金・慰謝料・引越代など)の支払いが命じられた判例もありますから、後のトラブルを回避するためにも、また企業としての信用をなくさないためにも告知が必要なのです。
病死で告知義務が発生する場合どのくらいの期間告知が必要なのか
病死があり告知義務が必要となった場合に『どのくらいの期間告知をしなくてはならないのか』については、賃貸物件か売却物件かによって違いがあります。
この違いは金額の大きな売却物件では損害の大きさが賃貸物件とは異なる点から定められている経緯があります。
- 売却物件の場合告知に時効はない
- 賃貸物件の場合3年の告知義務が発生する
売却物件の場合告知に時効はない
売却の場合には告知期間に取り決めはありませんので、知りうる情報は告知しなくてはなりません。
知りうる情報、というのはあくまで通常の業務内においての範囲とされていて、周辺住民への影響の聞き取り調査などを行うまでは必要ないと明記されています。
過去に売却が繰り返され、最終的な所有者が知り得ない情報であると判断できたケースでは、『告知義務はない』と認められた判例もありました。
賃貸物件の場合3年の告知義務が発生する
賃貸物件の取扱時には、「告知義務は3年」と時効が定められました。
(※病死以外の例では事件性がある、社会的影響が大きかった等で3年以上の時効となるケースもあります。)
一度でも入居したら次は告知しなくてよい、ということはなく3年間は告知しなくてはいけない点は注意が必要です。
病死で事故物件になった不動産を売却・賃貸運用する際に覚えておきたいこと
物件を所有し運用する以上、病死が起こることは必然のことでもありますが、病死が起こり告知義務を負うことになった物件の運用時に覚えておいていただきたいポイントをまとめましたのでチェックしてまいりましょう。
- 買い手・借り手がなかなか見つからない場合の対処法
- 少しでも価値を損ねずに売る・賃貸運用ための対策
①買い手・借り手がなかなか見つからない場合の対処法
告知義務がある=事故物件ということで買い手・借り手がつきにくいというケースはあります。
このような時、どのような対処ができうるのか解説いたします。
A.事故物件専門の買取業者に買い取ってもらう
事故物件である、もしくは事故物件であった(3年は経過済み)ということから、取引を渋られてしまうケースは良くあります。
『このまま抱えていてもコストもかかるし、早く処分したい』という場合には、事故物件を専門に取り扱っている業者に依頼して買い取ってもらうことが有効な手段です。
なぜ事故物件専門の業者がおすすめなのかというと、一般不動産業者とは違い事故物件専門業者には買取後に物件を運用できるノウハウがあるため、適正価格で買取が実現するからです。
事故物件専門の買取業者は、リフォーム業者や不動産投資家とのコネクションがあるため、
- 手を加えて(リフォームやリノベーション・または更地にして)高く売る
- 不動産投資家(常に物件を求めている人)に売る
といった形で事故物件でも利益化できるノウハウがあるので、積極的な買い付けが可能なのです。
事故物件を専門に取り扱っている業者は多いとは言えませんが、そのような業者もあります。詳しくは以下のページで解説しておりますのでご参照下さい。
-540x281.png)
B.売却価格・賃料を下げる
よくある流れの1つですが、所有しているだけでは利益どころか損失が大きくなる一方です。
売却価格を下げたり、賃料を下げるというのはもっともポピュラーな方法でもあります。
そもそも一般の不動産業者に仲介してもらう場合、仲介手数料もかかる上、買取価格大きく値を下げられてしまうケースもあります。
むやみに価値を落として取引するよりも、事故物件専門の不動産業者に直接買取してもらうことをおすすめします。
C.ほとぼりが冷めるまで寝かしてから運用する
ニュースになった、近隣住民に大きな話題となってしまった、などの場合では『(無駄に安くするのは避けたいから)しばらく寝かせておく』という方もいらっしゃいます。
ただこの寝かせておく期間にも税金や維持費がかかることを考えるという点は確実にデメリットとなってしまいますから、ランニングコストも含めて検討するのが望ましいでしょう。
②少しでも価値を損ねずに売る・賃貸運用ための対策
リスクを抱える事故物件の運用時に、少しでも資産価値を下げないためにできる対策についてもご紹介いたします。
A.特殊清掃・リフォームを行う
原状復帰、そしてより価値のある物件として運用するためにも有効な手段の1つです。
特に建築年数のたった物件の場合、事故物件に限らずリノベーションして資産価値をあげてから処分するという方法は近年多く行われています。
リノベーションで資産価値が上げる、という点については、ただ現状復帰するのではなく、より魅力的な物件となるよう手を加えるということが必要になります。
例えば、『最近テレワークが増加したことでワークスペースのある物件が人気になっている』という背景を踏まえ、ワークスペースを作る、その為に間取りを変更するというのも一案でしょう。
その他、『内装をオシャレな雰囲気にして、間取りも使いやすいよう変更してみる』という案もあります。
近年リノベーション物件が人気の理由は、快適であることだけでなく、お家時間を充実させたいという潜在ニーズを満たすオシャレな内装や設備も一端を担っていますから、他のリノベーション物件の実例を参考にしてみるのもおすすめです。
B.事故物件専門の買取業者に買い取ってもらう
一般の不動産業者では事故物件の買取後の運用ルートが確立していないため、リスクが大きすぎるということから大きく値が下げられてしまう可能性が大きいもの。
処分するのであれば、事故物件の取扱に長けた業者に依頼するのが得策です。
訳あり物件専門の買取業者なら、一般の業者とは違い多くの事故物件の取引実績データがあります。
また買取した事故物件を不動産投資家に販売する、もしくは売却する為により効果的な方法(更地にする、もしくはリノベーションやリフォームで資産価値を高める)で運用するノウハウがある為、事故物件でも高額査定が可能なのです。
下記のリンクから、訳あり物件専門の買取業者に無料査定を依頼できるので、まずは売却予定の事故物件がいくらになるか調べてみましょう。
まとめ
室内で病死があっても、不動産は事故物件とみなされません。告知義務もなく、通常の不動産と同じ価格で売却可能です。
ただし、孤独死で発見が遅れ、遺体の腐敗などから室内が損傷してしまった場合は事故物件となります。
事故物件とみなされると、売買なら無期限、賃貸なら3年の告知義務が発生します。買主や借主がつかず、物件を持て余してしまうケースも珍しくありません。
スムーズに事故物件を処分するには、訳あり物件専門の買取業者に相談するのがおすすめです。豊富な取引データから高額での買取が可能であり、最短2日で現金化できます。
維持費や固定資産税でコストがかかる前に、速やかに事故物件を売却しましょう。
病死があった物件は事故物件?告知義務はどうなる?
-
病死の場合は告知義務はどうなるの?
自然に起こりうる事象ですから、心理的瑕疵とは認められないため原則告知義務はありません。ただし例外があります。
-
病死なのに告知義務があるのはどんな時?
病死でも告知義務が発生するのは以下のようなケースです。
・発見が遅れ、孤独死などでニュースとして取り上げられた
・同上に、近隣住民の間で大きな話題となってしまった
・同上の理由から特殊清掃・大規模なリフォームが必要になった
・【集合住宅】同様の事が同建物内の別の居室・共有部分で起こった -
告知はどのくらいの期間しなくてはいけないの?
売却物件には時効がありませんので、知りうる限り告知義務を負うものとされています。賃貸物件の場合には3年間は告知義務が発生します。
-
告知義務があるのに告知しなかったらどうなる?
訴訟を起こされるなどして、損害賠償責任が問われる可能性があります。その結果企業としての信用も失墜する可能性もあるため告知は必要です。
-
病死があった物件の売却は諦めるべき?
病死で事故物件として告知義務を負ってしまった場合でも売却を諦める必要はありません。事故物件を専門に取り扱っている訳あり物件専門の買取業者なら、高額かつスムーズに売却が可能です。→【事故物件でも高額買取!】訳あり物件専門の買取業者はこちら