送電線・高圧線下の不動産売却はどうする?相場や早く売る方法を解説

送電線 高圧線 不動産売却

送電線・高圧線下にある不動産は、建築制限を受けるため、売却したい人も多いでしょう。

しかし、建築制限をはじめとするデメリットのせいで、送電線・高圧線下にある不動産は売れにくい傾向があります。

そうした場合、建物を解体したり、隣地所有者に買取を提案すれば、送電線・高圧線下にある不動産でも売却できる可能性が高いです。

また、自社で物件を買い取る「買取業者」に直接売却することもできるのでご安心ください。

ただし、通常の不動産業者ではこうした扱いが難しい物件は買取価格が低かったり、そもそも買取をしていないことが多いです。

そのため、まずは一括査定を利用して、送電線・高圧線下にある不動産を取り扱っている不動産業者を探してみましょう。

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この記事のポイント

  • 電圧17万V以上の高圧線の周囲は建物を建築できない。
  • 電圧17万V未満の高圧線だと建物の高さに制限がある。
  • 建築制限がなければ、送電線・高圧線下が理由で売却価格に影響することは少ない。

送電線・高圧線下にある不動産の売却価格

送電線・高圧線下にある不動産を売る場合は、いくら程度の売却価格になるのでしょうか。

送電線・高圧線下の不動産には、3種類のケースがあり、それぞれ売却価格が異なります。

  1. 電圧17万V以上で建物が建てられない場合
  2. 電圧17万V未満で建物の高さに制限がある場合
  3. 建築制限の影響はないが嫌悪施設となる場合

どのケースも通常の物件に比べて需要が低く、売却価格も下がってしまう傾向にあります。

3つのケースの売却価格への影響を、それぞれ見ていきましょう。

1.電圧17万V以上で建物が建てられない場合

電圧17万V以上で建物が建てられない場合

1つ目は、電圧17万V以上の高圧線があり、周囲の一定範囲に建物を建築できないケースです。

電圧17万V以上の高圧線がある場合、半径3mの範囲には建物を建てられません。

ちなみに土地の一部が半径3mに該当する場合は、その部分のみに建築制限が適用されます。

参照:「電気設備に関する技術基準を定める省令第48条」(e-Govポータル)

建築制限のかかる土地の分だけ価格が下がる

土地の一部に建築制限がかかる場合、その範囲のみ土地の売却価格が下がります。

具体的には、建築制限のかかる範囲は土地の売却価格が半額程度になるとされています。

また、敷地全面が建築制限に該当する場合は、売却価格が半額以下になる恐れもあります。

ちなみに、建物を建築できない範囲は「地役権設定登記」を見ることで確認できます。

地役権設定登記とは?
自分の土地の便益を高めるために他人の土地を利用する権利を示す登記で、今回の場合は高圧線の便益を高めるために用いられます。

2.電圧17万V未満で建物の高さに制限がある場合

電圧17万V未満で建物の高さに制限がある場合

2つ目は、電圧17万V未満の高圧線があり、一定以上の高さの建物が建てられないケースです。

電圧17万V未満の場合、高圧線の1番低い位置から半径3mの範囲には、建物を建築できません。

つまり、高圧線よりも3m低い建物しか、建築が認められないということです。

ちなみに高圧線は伸縮によって、季節ごと高さが異なるため、もっとも位置が低くなる夏の高圧線の高さを基準に決められます。

建物の床面積が減る分だけ価格が下がる

建物の高さに建築制限がかかると、本来建てられるはずの建物よりも床面積が狭くなります。

わかりやすくいうと「本来なら3階建ての建物を建てられるはずなのに、1階建ての建物しか建築を認められない」といったイメージです。

この場合、2階・3階を建築できないので、その床面積の分だけ、土地の価格が安くなります。

ちなみに「地上から何mまでなら建物を建築できるか?」については、地役権設定登記を見ることで確認できます。

3.建築制限の影響はないが嫌悪施設となる場合

建築制限の影響はないが嫌悪施設となる場合
3つ目は、建築制限の影響は受けないが、高圧線自体が「嫌悪施設」と扱われるケースです。

嫌悪施設とは?
その存在が周囲の人から嫌われる施設のことで、周辺にある不動産の売却価格を下げる要因となります。

以下のような理由から、高圧線は「嫌悪施設」と見なされてしまいやすいです。

  • 鉄塔・電線のせいで眺めが悪い
  • 高い鉄塔が近隣にあることへの恐怖感
  • 電線からの電磁波による健康被害
  • 携帯電話・テレビなどへの電波障害

そのため、送電線・高圧線下にある不動産は「嫌悪施設に近い」という理由から、購入を避けられたり、売却価格が下がりやすいのです。

買主の感じ方次第なので価格は下がりにくい

高圧線が嫌悪施設と見なされるかは、買主次第なのでケースバイケースといえます。

送電線・高圧線からの電磁波による健康被害については、いまだに証明されていません。

また現状、電磁波による健康被害に関しては、知らない人や気にしない人がほとんどです。

そのため、送電線・高圧線下にある不動産でも建築制限の影響さえ受けなければ、売却価格が安くなる可能性は低いでしょう。

参照:「電波の生体影響に関する最新動向」(総務省)

正確な売却価格は「訳あり物件専門の不動産業者」に確認しよう

送電線・高圧線下にある不動産の場合、不動産の本来の価値に加えて、どの程度の建築制限を受けるかによって売却価格が変動します。

一般人では売却価格が予想しづらいため、不動産業者の査定で調べることをおすすめします。

とはいえ、通常の不動産業者では査定が難しいケースも多いです。

訳あり物件専門の不動産業者は、さまざまな事情を抱える不動産の扱いに長けているので、送電線・高圧線下にある不動産でも高値での売却が期待できます。

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送電線・高圧線下の不動産をスムーズに売る方法

送電線・高圧線下の不動産は建築制限を受けやすいため、通常物件に比べると売れにくい上、売却価格も安くなりやすい傾向にあります。

こうした送電線・高圧線下の不動産をスムーズに売るには、以下3種類の方法があります。

  • 建物を解体して更地にする
  • 隣地の所有者に売却する
  • 不動産業者に買取してもらう

更地にしたり隣地所有者に売るのであれば、建築制限はあまり関係ないですし、奥の手として不動産業者に買取してもらうことも可能です。

売却方法を1つずつ見ていきましょう。

建物を解体して更地にする

1つ目は、送電線・高圧線下の建物を解体してから更地として売却する方法です。

建物を現在利用していない場合、建物を解体して更地にすれば、土地の使い道が広がる可能性もあります。

例えば、建築制限のかかる部分を駐車場や庭に変更すれば、制限を気にせずに利用できます。

建物を残していても、老朽化が進んで売却価格を下げるだけなので、必要のない建物は解体してしまいましょう。

隣地の所有者に売却する

2つ目は、送電線・高圧線下の不動産を隣地の所有者に売却する方法です。

隣地の所有者であれば、建築制限の影響を気にせずに購入してくれる可能性が高いです。

例えば、建築制限で自分の土地に建物を建築できない場合でも、隣地所有者なら駐車場や庭にする目的で購入してくれるかもしれません。

送電線・高圧線下の不動産を売却したい場合、まずは隣地所有者に買取を提案してみることをおすすめします。

不動産業者に買取してもらう

3つ目は、送電線・高圧線下の不動産を不動産業者に直接買取してもらう方法です。

不動産業者には「仲介業者」と「買取業者」の2種類があり、物件の売り方が異なります。

種類 売り方
仲介業者 買主を探して物件を売却する
買取業者 買取業者に物件を直接売る

仲介業者で売る場合、不動産を購入してくれる買主を探す必要があるため、売却まで数ヶ月〜1年程度かかるケースも珍しくありません。

しかし、買取業者であれば、不動産を購入してくれる買主を探す必要がないため、最短数日で物件を売却することも可能です。

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送電線・高圧線下の不動産が抱えるデメリット

どうして送電線・高圧線下の不動産は売れにくく、売却価格も安くなりやすいのでしょうか。

その理由として、送電線・高圧線下の不動産が抱える、以下のデメリットが挙げられます。

  • 建築制限のせいで建物を自由に建てられない
  • 電力会社から補償金を貰えない恐れがある
  • 送電線・高圧線や鉄塔による騒音

建築制限をはじめ、それに対する保証金を貰えないリスクや騒音被害などが、送電線・高圧線下の不動産が抱えるデメリットといえます。

各デメリットを1つずつ見ていきましょう。

建築制限のせいで建物を自由に建てられない

1つ目のデメリットは、建築制限のせいで建物を自由に建てられないことです。

先述したとおり、送電線・高圧線がある場合、建築できる建物が制限されます。

高圧線の電圧 制限の内容
17万V以上 高圧線の半径3m以内には建物を建築できない
17万V未満 高圧線から3m以下の範囲には建物を建築できない

電流による健康被害や火災の燃え移りを防ぐため、送電線・高圧線は周辺の建物から一定距離をおく必要があると定められているためです。

建築制限のせいで、自由に建物を建築できないため、送電線・高圧線下の不動産は購入を避けられやすい傾向にあります。

電力会社から補償金を貰えない恐れがある

2つ目のデメリットは、電力会社からの補償金を貰えない恐れがある点です。

通常、送電線・高圧線下の不動産所有者には、建築制限などを受けることへの対価としての、補償金が電気事業者から支払われます。

しかし、補償金の支払方法が一括払いの場合、送電線・高圧線下の不動産を購入しても、買主は補償金を一切受け取れません。

建築制限のせいで使い道が限定されるにも関わらず、補償金がなくデメリットばかりが目立つので、購入を避けられてしまいやすいのです。

送電線・高圧線や鉄塔による騒音

3つ目のデメリットは、送電線・高圧線や鉄塔が発生させる騒音被害です。

鉄塔や電線が風に触れると、風斬り音を発生させるため、この騒音が原因で購入を避けられるケースも少なくありません。

新しい鉄塔や電線には騒音の少ないものもありますが、神経質な人だと「それでも音が気になって眠れない」という場合もあるようです。

とくに風の強い地域・音に敏感な買主の場合、騒音が気になるせいで、送電線・高圧線下の不動産は購入を避けられてしまいやすいです。

まとめ

送電線・高圧線下の不動産でも、売却できない訳ではありませんが、通常物件より売れにくく売却価格も安くなりやすい傾向にあります。

そうした場合、更地として売り出したり、隣地所有者に買取を提案するなど、建築制限の影響を受けないような売却方法をおすすめします。

また、自社で物件を買取している「買取業者」に依頼すれば、送電線・高圧線下の不動産でも最短数日で売却可能です。

しかし、送電線・高圧線下の不動産とはいえ「売るのであれば、なるべく高く売りたい」と考えている人も多いはずです。

そのような場合、訳あり物件専門の不動産業者へ査定の依頼をしてみるとよいでしょう。

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送電線・高圧線下の不動産売却に関するよくある質問

  • 送電線・高圧線下の不動産でも売却できますか?

    法律上の制限ないので、送電線・高圧線下の不動産でも売却可能です。

  • 送電線・高圧線は不動産の売却価格はどう影響しますか?

    電圧17万V以上で建物が建てられない場合、建築制限のかかる土地の分だけ価格が下がります。電圧17万V未満で建物の高さに制限がある場合、建物の床面積が減る分だけ価格が下がります。

  • 送電線・高圧線は不動産の売却価格はどのように確認できますか?

    一般人では売却価格が予想しづらいため、不動産業者の査定で調べてもらいましょう。「一括査定サイト」を利用して、複数の不動産業者の査定額を一気に確認する方法がおすすめです。
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  • 送電線・高圧線下の不動産は、どうすればスムーズに売却できますか?

    建物を解体して更地にするか、隣地の所有者に売却しましょう。また、不動産業者に買取してもらうことも可能です。

  • 送電線・高圧線下の不動産が抱えるデメリットは何ですか?

    建築制限のせいで建物を自由に建てられない点、電力会社から補償金を貰えない恐れがある点、送電線・高圧線や鉄塔による騒音がある点の3つが挙げられます。