共有物分割請求調停を起こされた!どう対処すれば良いか解説

共有物分割請求 調停 起こされた

共有分割請求とは、不動産の共有名義を解消し、持分割合に沿って分割することを求める手続きです。共有持分をもっていれば、だれでも請求できます。

共有分割請求の手続きは、当事者による話し合いで解決しない場合、調停に移行できます。

調停自体は話し合いの延長なので、不動産の分割を強制されることはありません。ただし、裁判所への出頭といった労力がかかります。

共有者との調停や訴訟を回避したいときは、自分の共有持分を他者に売却してしまうのも1つの方法です。自分の共有持分であれば、相手の同意がなくても売却できます。

共有持分を売却する場合は、弁護士と連携した買取業者に相談しましょう。仮に調停・訴訟の最中であっても、最短2日程度で共有持分を買い取ってもらえます。

>>【調停中でもOK!】共有持分の買取査定窓口はこちら

共有物分割請求調停を起こされたときにすべきこと

共有物分割請求調停を起こされて不安に思う人もいるかと思いますが、まずは落ち着いて対処しましょう。

調停はあくまで話し合いの延長なので、いますぐ不動産の分割を強制されるわけではありません。

むしろ、調停を起こされたということは、相手も穏便に解決したいと考えている場合が多いでしょう。というのも、共有物分割請求の手続きでは、調停をせずに訴訟へ進むこともできるのです。

いきなり訴訟をするのではなく調停からはじめるということは、相手も多少は譲歩する心構えをもっている可能性があります。調停を通して、お互いが納得できる合意案を探りましょう。

1.共有不動産がどのように分割されるのか理解しておく

共有物分割請求調停を起こされると、裁判所から調停の日程を知らせる通知が送られてきます。調停の下準備として、自分の意見をまとめておくようにしましょう。

共有者に分割を望む人がいる以上、共有不動産の分割は原則として拒否できません。のちほど解説する訴訟に発展すると、最終的には強制的な分割となります。

そのため、基本的には「どのように分割するか」を検討し、相手と交渉しましょう。共有不動産を分割する方法として、下記の3つがあります。


現物分割 不動産をそのまま分割する方法。
代償分割 持分と金銭を交換する方法。
換価分割 不動産全体を売却し、売却益を持分割合に応じて分割する方法。
共有不動産の分割方法_pc

どうしても共有名義を維持したい場合は、現状維持の代わりに相手へ提示できる条件を用意できないか検討してみましょう。

「金銭を支払う」「自分の死後は相手やその子供に持分を相続させる」など、相手の主張や個々の状況によっては共有名義の維持を受け入れてもらえる可能性があります。

不動産の管理や維持費を負担していれば有利な条件での和解も可能

調停はあくまで穏便な和解を図る場所ですが、自分に有利な条件を引き出せることもあります。

例えば、共有不動産の管理や税金・維持費などを自分1人で負担しているケースもあります。
本来、共有不動産の管理・維持にかかる負担は、各共有者が連帯し持分割合に応じて分担するのが原則です。負担が自分1人に集中して明らかに公平ではない場合、自分側に有利な条件を引き出せる可能性があります。
共有物分割禁止特約_pc

ただし、対象の不動産における利益を独占しているケース(自分だけ居住している場合や、対象不動産で事業をおこなっている場合など)では、負担が自分1人に集中していても不公平とはいえないので注意が必要です。

税金の納付書や建物を修理したときの領収書があれば、証拠品として調停委員に提出するとよいでしょう。

もし共有物分割禁止特約を付けていれば分割を回避できる

共有不動産は、共有者全員が合意すれば共有不動産の分割を禁止する特約(共有物分割禁止特約)を設定できます。共有物分割禁止特約があれば、共有不動産の分割を回避できます。

共有物分割禁止特約_pc

相続や売買で共有物分割禁止特約の存在を知らなかったというケースもあるので、法務局で登記情報を確認してみましょう。

ただし、共有不動産の分割を禁止できるのは最大で5年間であり、特約を更新するには再び共有者全員の合意が必要となります。

ただ共有物分割禁止特約を主張するだけでは時間稼ぎにしかならないので、特約終了前に分割する代わりに自分にとって有利な条件を付けるといった交渉に使うとよいでしょう。

共有物分割禁止特約を主張するのであれば、共有者全員との合意書や、共有物分割禁止特約が記載された登記条項証明書が証拠品になります。

参照:e-Govポータル「民法題256条」

2.指定された期日に裁判所へ出頭する

指定された調停日に裁判所へ出頭し、事実関係や自分が希望する和解案を説明します。

当事者本人の出頭が原則ですが、代理人を用意して自分の代わりに出席させたり、同席してもらうことも可能です。

代理人は、弁護士や認定司法書士に依頼します。裁判所からの許可があれば、例外的に家族や親類などの同席を認めてもらえる場合もあります。

適切な交渉や、そのための事前準備を任せるためには、弁護士に代理人を依頼するとよいでしょう。調停が不成立になって訴訟に発展した場合も、そのままサポートしてもらえます。

調停委員が仲裁しつつ双方の言い分をまとめて和解を目指す

調停では、一般から選ばれた調停委員2名以上と、裁判官1名からなる調停委員会が、当事者の主張を聞き取ります。

分割請求を起こした側(申立人)と起こされた側(被申立人)が交互に調停委員会のいる部屋に入り、それぞれの主張をおこないます。申立人と被申立人の待機場所は別ですが、他の事件の当事者とは同室です。

裁判所というとドラマに出てくるような法廷を想像してしまいますが、実際は裁判所内の会議室のような部屋でおこなわれます。

意見の調整をおこなう調停委員は民間人なので、比較的和やかな雰囲気で進められることも多いようです。

1回の調停にかかる時間は基本的に2時間程度ですが、双方の主張が長引いて時間が伸びたり、反対に短時間で終了することもあります。

呼び出されるまで1時間以上待たされるケースもあるため、本や雑誌など時間を潰すための用意もしておくことをおすすめします。また、当日は時間に余裕をもって予定を立てておきましょう。

調停はおおむね2~3回開かれるのが一般的

1回の調停で和解が成立すればそこで終了ですが、大抵は2~3回ほどおこなわれるのが一般的です。

調停終了後、次の調停期日や、それまでに用意しておく書類などの確認をおこなって解散となります。調停期日は、双方の当事者や裁判所側の都合に合わせて調整されます。

調停の成立・不成立が決まるまでの期間はおおむね3ヶ月程度、長引いたとしても6ヶ月程度です。

調停を欠席すると罰則はある?

調停には代理人を立てられると解説しましたが、代理人も立てずに欠席した場合、法律上は5万円以下の過料を科される恐れがあります。

裁判所又は調停委員会の呼出しを受けた事件の関係人が正当な事由がなく出頭しないときは、裁判所は、5万円以下の過料に処する。

引用:e-Govポータル「民事調停法第34条」

しかし「正当な事由のない欠席」とみなされるのは稀であり、実際に過料を科される事例はほとんどないようです。

体調不良などやむを得ない理由で欠席したい場合、裁判所へ連絡しましょう。1回だけの欠席であれば、調停期日が延期になります。

調停で双方が合意すれば調停調書にしたがって不動産を分割する

調停で話し合いを重ね、先に解説した現物分割や代償分割といった和解案が成立すれば、調停調書を作成します。

調停調書に記載される調停条項をよく読み、合意内容とズレがないかや、誤字脱字などをしっかり確認しましょう。

合意後は、調停調書の内容にしたがって不動産を分割します。調停調書には判決と同じ強制力があるため、内容に違反した場合は強制執行が可能になります。

強制執行になると、裁判所から履行の勧告・命令を出されて過料を科されたり、給料や銀行口座の差し押さえといった事態に発展するため、調停調書の取り決めは確実に守りましょう。

調停で双方が合意できなければ訴訟へ移行する

双方の合意に至らず、調停が不成立となった場合は、訴訟へと移行可能です。

調停が不成立になったら当然に訴訟へ移行するのではなく、当事者が地方裁判所へ提訴する必要があります。

訴訟は調停と違い、当事者の和解に至らなければ裁判官が分割方法を決定します。裁判官が適切と考える分割方法になるため、当事者の意向に沿わない結果も珍しくありません。

訴訟を欠席すれば相手の言い分が全面的に認められてしまうため、確実に出廷しましょう。訴訟になると手続きも複雑になるので、対応は弁護士に相談することをおすすめします。

共有物分割請求訴訟の具体的な訴訟の流れについては、下記の関連記事で詳しく解説しています。

自分の共有持分を売却すれば調停や訴訟を回避できる

調停になれば3ヶ月程度、訴訟まで発展すれば半年以上の時間がかかります。相手との交渉や証拠品の準備、裁判所への出頭などで時間と労力がかかりますし、弁護士に代理人を依頼すれば数十万~数百万円の出費も必要です。

しかし、自分の共有持分を売却すれば共有名義から抜けることになるので、調停や訴訟に関わらずに済みます。

共有持分とは?
共有不動産における、各共有者がもつ所有権の割合。

自分の共有持分だけであれば、他共有者の同意がなくても売却できます。

共有不動産の処分に抵抗がないのであれば、持分売却でトラブルを解消することも検討してみましょう。

調停や訴訟の最中でも持分売却はできる

共有持分の売却は可能といっても、調停や訴訟といった手続きの真っ最中に売却できるのか疑問に思う人は少なくないでしょう。

法律上、調停や訴訟の係争中であっても、共有持分の売買は可能です。持分売買後は、買主が当事者として調停・訴訟に参加します。

ただし、共有者の間で持分割合の認識に違いがあるなど、所有権を争う訴訟が提起されている場合は売却できないケースがあります。

弁護士と連携した共有持分の買取業者なら高額・短期間で売却できる

法律上は売買が可能とはいえ、調停や訴訟の対象となっている共有持分を実際に購入する人はほとんどいません。一般的な不動産会社では、取り扱いを断られるケースが多いでしょう。

そのため、調停や訴訟になっている共有持分を売却するときは、共有持分専門の買取業者のなかでも、弁護士と連携している業者に相談することをおすすめします。

弁護士と連携していれば調停や訴訟の対応も適切におこなえるため、積極的に共有持分を買い取ってもらえます。

また、買取業者は共有持分を直接買い取るため、代金の支払いもスムーズです。早ければ2日程度で共有持分を現金化し、共有不動産のトラブルから抜け出すことが可能です。

まとめ

共有物分割請求調停を起こされたからといって、すぐに不動産の分割を強制されることはありません。

しかし、調停で和解が成立しないと訴訟に発展し、判決による不動産の強制分割になる可能性があります。また、調停や訴訟は手続きそのものが面倒であり、時間や金銭的な負担も大きくなります。

「とにかく調停や訴訟を避けたい」「トラブルを早く解消したい」といった場合は、共有持分専門の買取業者に相談しましょう。

弁護士と連携している買取業者であれば、調停や訴訟の最中であっても短期間で共有持分を買い取れます。調停や訴訟で共有者と争うより、共有持分を売却したほうが自分の利益を早期に確定できるでしょう。

共有物分割請求についてよくある質問

  • 共有物分割請求とはなんですか?

    共有物分割請求とは、自分以外の共有者に対して、共有不動産の分割を求める権利および手続きです。請求を受けた共有者はこれを拒否できず、協議や調停・訴訟によって分割方法を決定しなければいけません。

  • 共有物分割請求で調停を起こされました。訴訟とは違うのですか?

    調停は、調停委員を挟んだ話し合いの延長であり、当事者間の和解を目指す手続きです。訴訟(裁判)のように判決が下されるのではなく、調停委員の仲介のもと双方が納得できる不動産の分割方法を話し合います。

  • 調停はどれくらいの期間がかかりますか?

    初回の調停で和解できればすぐに終了しますが、一般的には2~3回の調停をおこないます。おおむね3ヶ月~6ヶ月程度で、調停の成立・不成立が決定します。

  • 調停で、自分の希望に沿わない不動産の分割を強制されることはありますか?

    調停は当事者同士が平和的に和解することが目的なので、希望に沿わない分割を強制されることはありません。ただし、調停で和解できずに訴訟へ移行すると、裁判官によって分割方法を決定される場合があります。訴訟で分割方法が決定されると、その内容には従う必要があります。

  • 共有物分割請求されたので、自分の持分のみを売却したいです。

    弁護士と連携している専門買取業者であれば、調停・訴訟中の共有持分でも買取可能です。早ければ2日程度で現金化し、調停・訴訟に関わらなくてよくなります。→ 【弁護士と連携した買取業者】共有持分の無料査定はこちら