マイホーム購入をきっかけに「理想どおりの家にならないかも」「住宅ローンを支払い続けられるか不安」など精神的に不安定になることを、マイホームブルーといいます。
マイホームブルーが原因で夫婦の価値観にずれが生じたり、相手の横柄な性格が見えてきたりなどで、離婚になってしまうケースも少なくありません。
そこで問題となるのが、契約した住宅ローンや、建てたばかりの家をどうするかです。
住宅ローンのキャンセルは、融資実行前なら可能です。しかし、すでに融資を受けているなら、離婚後も返済を続けなければいけません。
この記事では、住宅ローンをキャンセルできる具体的なタイミングや、離婚後のローンの払い方、家を財産分与で分ける方法・売却する方法を解説します。
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- 住宅ローンキャンセルの可不可は融資実行前かどうかで決まる
- 離婚する場合の住宅ローンの払い方は2パターン
- 家の財産分与をする方法で意見が揃わないなら自分の持分のみ売却する
住宅ローンの融資実行前ならキャンセルできる
マイホームブルーが原因で離婚となると、まずは住宅ローンのことが心配ですよね。
まだ住宅ローンの返済が始まっていない人は、キャンセルできるか気になるのではないでしょうか。
結論を先にいうと、住宅ローンの融資実行前ならキャンセルできます。

融資の実行は住宅ローン契約を結んだ後、物件引き渡し前です。
住宅ローン借入時のフローを確認しておきましょう。
- 仮審査を申し込む
- 仮審査結果の通知
- 本審査を申し込む
- 本審査結果の通知
- 住宅ローン契約を結ぶ
- 融資の実行
上記の流れで住宅ローン借入の手続きはおこなわれます。
では具体的に住宅ローンの支払いを回避できる可能性があるケースを解説していきます。
住宅ローンの支払いを回避できる可能性があるケース
住宅ローンの支払いを回避できる可能性があるのは、次の2つのケースです。
- 住宅ローン契約を交わす前
- 融資実行前
順番に解説していきます。
1.本審査を通過しているが住宅ローン契約を交わす前
住宅ローンの借入時には、まず仮審査を受けます。
次に本審査に進み、本審査も通過すれば住宅ローン契約を結びます。
しかし本審査を通過したもののキャンセルしたいということであれば、住宅ローン契約を結ぶ前であればキャンセル可能です。
キャンセル料もかかりません。
2.住宅ローン契約は締結しているが融資実行前
では住宅ローン契約を結んだ後にキャンセルしたい場合はどうなのかも気になりますね。
住宅ローン契約を締結していても、融資実行前ならキャンセル可能です。
ただし、手数料や印紙代などは負担しなければいけない可能性はあります。
住宅ローンをキャンセルする際の注意点
融資実行前であれば住宅ローンをキャンセルできますが、キャンセルする際には注意点があります。
住宅ローンは金融機関との問題ですが、同時に不動産会社との手続きも進んでいます。
住宅ローンに気を取られがちですが、不動産会社との手続きがどこまで進んでいるかで支払わなければいけないお金が発生します。
売買契約を結んでいたら不動産会社に支払う手付金は戻ってこない
住宅ローンの本審査を受けた後でも、住宅ローン契約を結ぶ前であればキャンセル料もかからずキャンセルできると解説しました。
しかし本審査をおこなうには、不動産会社と売買契約を結ばなければいけません。
売買契約を結ぶ際には不動産会社に手付金を支払います。
金融機関に対してキャンセル料は発生しませんが、この手付金は返還されないので注意が必要です。
建築工事が始まっているなら違約金や建築費の支払いが必要
なかには、建築準備や建築工事が始まっているが離婚が決まったというケースもあります。
すでに準備や工事が始まっている場合は、手付金だけでなく違約金の支払いが必要になることもあります。
建築工事の違約金は、工事費用の10%が一般的です。
そして、多くの建築会社は工事の中途解約に対し損害賠償請求をおこないます。
違約金だけでなく損害賠償金も支払わなければいけない可能性がある点にも注意が必要です。
違約金と損害賠償金の合計は、契約額の20%までと法律で定められています。
宅地建物取引業法第38条
宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない。
違約金を払ってでもキャンセルしたい、そのほうが持ち出すお金を少なくできるというケースもあります。
しかし家の土台や一部が完成しているなど、ある程度工事が進んでいるならキャンセルするのではなく、家を完成させてから売却するなどの方法を採ったほうがよいケースもあります。
違約金などに加えて土台の撤去費用などを請求されることもあるからです。
離婚が決まったら、早めに銀行や不動産会社に相談したほうがよいでしょう。
家を建てた直後に離婚する場合のローンの払い方
ここまでは住宅ローンをキャンセルできるタイミングについて解説してきました。
ここからは家を建てた直後に離婚する場合の、住宅ローンの払い方について解説します。
短期間でも住んでいたなら住宅ローンを返済しなければいけません。
概ね次の2つのパターンで払うことになります。
- 1.家を売却して住宅ローンを返済する
- 2.どちらかが住みながら住宅ローンを返済する
1.家を売却して住宅ローンを返済する
離婚後はどちらも居住を望まないということであれば、家を丸ごと売却し、売却益で住宅ローンを返済します。
家は建築後1年未満で未入居なら新築として売却可能です。
建築途中からマイホームブルーになり離婚話が出ているなら、売却を見据えて未入居にしておいたほうがよいケースもあります。
2.どちらかが住みながら住宅ローンを返済する
完成した家にどちらかが居住を希望するなら、住宅ローンを返済しながら住むことができます。
住宅ローンの名義人が住むなら問題ありません。
ただし、住宅ローンの名義人でないほうが住むのなら銀行への相談が必要です。
住宅ローンは契約者本人が所有・居住するために融資されているため、本人が居住していないと契約違反になるからです。
詳しくは後述します。
財産分与の対象である家を分ける方法と売却する方法
離婚時には、夫婦が婚姻中に築いた財産を分けなければいけません。
ことのことを財産分与といいます。
マイホームが完成し、すでに夫婦のものとなっているのなら家も財産分与の対象です。
ここからは家を財産分与で分ける方法と売却する方法を解説します。
財産分与では持分割合に関係なく1/2ずつの折半になる
財産分与では、夫婦それぞれの収入や持分割合にかかわらず1/2で分けるのが原則です。
持分割合とは、共有不動産における各共有者の所有権割合のことです。
例えばペアローンを組んで家を購入した場合、家の名義も夫婦の共同名義になります。
そして家を取得した際の費用負担割合によってそれぞれの持分割合が決まります。
例えば夫2/3、妻1/3の割合で費用を負担したなら、持分割合も夫2/3、妻1/3となるのが一般的です。
しかし財産分与では1/2の折半が原則のため、夫2/3、妻1/3の持分だとしても1/2ずつで分けなければいけません。
預貯金などであれば1/2の折半も簡単にできそうですが、家はどうやって分けるの?と疑問に思いますね。
家の財産分与をする方法は次の3つです。
- 1.不動産を1/1で売却して得たお金を分ける
- 2.どちらかが片方の持分を買い取って住み続ける
- 3.どちらかが家を譲り受け、それに相当する財産を分与する
1.の「不動産を1/1で売却して得たお金を分ける」方法は、シンプルでトラブルが少ないといわれている方法です。

例えば家を3,000万円で売却したなら、1,500万円ずつに分けます。
2.の「どちらかが片方の持分を買い取って住み続ける」方法は、家を出ていく配偶者の持分を家に残る人が買い取ります。

例えば3,000万円の家であれば、家に残る配偶者が相手に1,500万円を払います。
3.の「どちらかが家を譲り受け、それに相当する財産を分与する」方法は、家を譲り受ける人が相当する他の財産を相手に渡します。

仮に3,000万円の家であれば、1,500万円相当になる預貯金や有価証券など他の財産を相手に渡し、家を譲り受けます。
家の財産分与をする方法は、こちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。

家を売却して住宅ローンを返済すればトラブルが少ない
離婚をすると家も財産分与の対象になると解説しました。
そして家の財産分与をする方法は3つありますが、前述したように家を1/1で売却して住宅ローンを返済し、残ったお金を分ける方法が一番シンプルでトラブルが少ないです。
住宅ローンの返済中だから家を売却できないのでは?と心配になるかもしれませんが、そんなことはありません。
住宅ローンの返済中に家を売却する方法は2つあります。
まずはアンダーローンかオーバーローンかを調べ、その結果によって売却方法は変わります。
アンダーローンとは住宅ローンの残債が家の売却価格を下回ることをいいます。
オーバーローンとはその逆で、住宅ローンの残債が家の売却価格を上回ることをいいます。

家の売却価格は不動産会社の査定を受けて調べ、住宅ローンの残債は銀行から送られてくる残高証明書で確認しましょう。
アンダーローンなら通常の売却ができる
住宅ローンの残債が家の売却価格を下回るアンダーローンであれば、通常の売却が可能です。
売却益で住宅ローンを完済できるからです。
住宅ローンを完済し、残ったお金を夫婦で分けるので精算しやすいのがわかりますね。
オーバーローンなら任意売却をする
住宅ローンの残債が家の売却価格を上回るオーバーローンでは、通常の売却はできません。
しかし任意売却という方法があります。
任意売却とは、住宅ローンを借り入れている銀行の許可を得て家を売却する方法です。
売却益で住宅ローンを返済し、返済しきれなかった残債は分割返済していきます。
任意売却についてはこちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
参照:共有持分の教科書「任意売却なら競売を回避できる!メリット&デメリットや具体的な手順と費用を解説!」
どちらかが住みながら住宅ローンを返済することも可能
どちらかが家に住み続け、住宅ローンの返済をしていくという財産分与も可能です。
家の財産分与をする3つの方法のなかから、「どちらかが片方の持分を買い取って住み続ける」もしくは「どちらかが家を譲り受け、それに相当する財産を分与する」方法を選択した場合、住みながら住宅ローンを返済することになるでしょう。
この場合、住宅ローンの名義人が居住するのか、住宅ローンの名義人でないほうが居住するのか2つのパターンがあります。
住宅ローンの名義人が居住する

住宅ローンの名義人が居住するのなら、大きな問題はありません。
銀行との当初の契約どおり住宅ローンの名義人が住みながら返済を続けるわけですから、そこに配偶者が住んでいなくても問題にはなりません。
ただし住宅ローンの連帯保証人として配偶者を指定している場合は注意が必要です。
連帯保証人も金融機関に対して責任を負っているため、住宅ローンの名義人が返済できなくなると代わりに返済しなければいけません。
配偶者が連帯保証人から外れるには新たな連帯保証人を立てるなどをする必要があります。
住宅ローンの名義人でないほうが居住する

住宅ローンの名義人でないほうが居住するなら銀行へ相談しましょう。
住宅ローンは契約者本人が居住するために融資されています。
本人が居住していないとなると契約違反とみなされる可能性があります。
まずは銀行へ相談し、住み続けたいほうの名義で住宅ローンの借り換えをしましょう。
なかには、養育費などの代わりとして配偶者に住宅ローンの返済を続けてもらうケースもあるかもしれません。
この場合も銀行への相談は必要です。
仮に銀行から承諾をもらえたとしても、離婚後に配偶者が住宅ローンを滞納するリスクも考えなければいけません。
住宅ローンの名義人でないほうが住み続けるなら公正証書を作成し「住宅ローンの滞納時は給料や財産を差し押さえる」などの文言を記載しておきましょう。
こちらの記事で住宅ローンの名義人でないほうが居住する場合の対処法について詳しく解説していますので参考にしてみてください。
【住宅ローン返済中に離婚】銀行への相談は必要だが名義変更はできない!対処法と他の選択肢を解説
意見が揃わないなら自分の持分のみ売却する
家の財産分与をするために売却や買取を提案しても、相手と意見が揃わないこともあります。
このままでは話しが進まないと感じるかもしれませんが、自分の持分のみを売却することができます。
家を1/1(丸ごと)で売却するには家の所有権を持つ人全員の同意が必要です。
しかし自分の持分のみの売却であれば、共有者の同意を得ずに自分の意思のみで売却できます。
持分のみの売却では専門買取業者に依頼するのが一般的です。
離婚問題を抱えながらの売却では、時間をかけずに売却したい、早く現金化したいという思いを抱いているケースが少なくありません。
専門買取業者に買い取ってもらう場合、最短一週間ほどでの売却が可能なためこれらのニーズに応えてくれます。
専門買取業者を選ぶ際には、離婚問題や財産分与に詳しい法律の専門家と連携している買取業者が安心です。
まとめ
マイホームブルーがきっかけで離婚を考えるケースは珍しくありません。
離婚をするならさまざまな問題を解決しなければいけませんが、大きな問題としてこれからはじまる住宅ローン、もしくは返済がはじまったばかりの住宅ローンの問題がありますね。
住宅ローンは融資実行前であればキャンセルできます。
ただし、マイホームには不動産会社や建築会社も関わっていますので、こちらでの違約金問題にも気をつけなければいけません。
早めに銀行や不動産会社に相談するようにしましょう。
すでに住宅ローンの返済が始まっているのなら、家を売却して売却益で住宅ローンを返済するか、どちらかが住みながら住宅ローンを返済しなければいけません。
ただし、家も財産分与の対象です。
持分割合に関係なく1/2ずつに分けなければいけません。
財産分与では家を売却して売却益で住宅ローンを返済する方法が精算しやすいため、トラブルが少なく済みます。
しかし相手が売却に同意しないなど話し合いがこじれるのであれば、自分の持分のみを売却することも可能です。
どのタイミングで離婚をするのか、そして相手の話し合い次第で選択も変わってきます。
各々の状況に最適な選択ができるよう、さまざまな方法を検討してみてください。
離婚する場合の住宅ローンFAQ
本審査まで進んでいても、住宅ローン契約を交わす前であればキャンセル料もかからずキャンセルできます。住宅ローン契約を交わした後でも、融資実行前であればキャンセル可能ですが、手数料や印紙代などは負担しなければいけない可能性があります。
住宅ローンは財産分与の対象ではありません。ただし、離婚協議で双方が合意すればその限りではありません。
一度でも入居すると中古物件の扱いになります。家は建築後1年未満で未入居なら新築として売却できるため、未入居にしておいたほうが高く売れます。
住宅ローンの名義変更は基本的に認められません。住宅ローンの借り換えをおこなうことで妻名義にすることができます。
まずは離婚と不動産問題に詳しい弁護士へ相談し、必要に応じて交渉や法的手続きを依頼しましょう。不動産や共有持分の売却を検討しているなら、弁護士と連携した不動産業者に、離婚と不動産のことをまとめて相談するのもおすすめです。→【弁護士と連携!】共有持分の無料査定はこちら
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