共有名義マンションの売却方法とは?具体的な流れや注意点を解説

相続や夫婦の自宅購入などで、共有名義のマンションを所有する人は多くいます。
しかし「現金が必要になった」「離婚することになった」「共有者と不仲になった」など、それぞれの事情によりマンションを売却したいと考える人もいるでしょう。
共有名義のマンションを売却するには、他の共有者も同意している必要があります。自分1人の判断だけでは、共有名義のマンションを売却できません。
共有者が売却に反対する場合や、相手方との交渉が難しい場合は、自分の共有持分だけ売却することも検討してみましょう。
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この記事のポイント
- 共有名義マンションの売却は、共有者全員の同意が必要。
- 売却活動を進める前に「最低売却価格」と「引き渡し時期」を決めておく。
- 共有者全員から売却の同意が得られないときは「自分の共有持分」を売却する。
共有名義マンションを売却する6つの流れ
共有名義マンションを売却する流れは、次の5ステップに分けられます。
- 共有者全員からマンション売却の同意を取る
- 売却を依頼する不動産会社を選ぶ
- 必要書類を集める
- 販売活動をおこなう
- 売買契約を結ぶ
- 物件を引き渡す
流れに沿って、各ステップを詳しく解説していきます。
1.共有者全員からマンション売却の同意を取る
共有名義マンションの売却でなにより重要なのが、共有者全員の同意です。
共有名義マンションを売るときは、共有者全員の同意が必要です。1人でも売却に反対している場合や、連絡が取れずに確認を取れない場合は、共有名義マンションの売却はできません。
確実に共有者全員の意思を確認するためには、登記簿などから共有者が何人いるか調べておきましょう。
連絡の取れない共有者がいる場合は、不在者財産管理人制度を使うことで売却可能になります。また、認知症で意思確認ができない共有者がいるときは、成年後見制度を活用しましょう。
それぞれの制度については、下記の関連記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

2.売却を依頼する不動産会社を選ぶ
共有者から売却の同意を取れたら、次に不動産会社を選びます。
共有名義であっても、共有者全員で売却するのであれば、通常の不動産売却と同じように売却できます。
そのため、不動産会社選びも通常の不動産売却をするときと同じ感覚で選びましょう。
不動産会社には仲介と買取の2種類がある
不動産会社には、大きく分けて「仲介業者」と「買取業者」の2つがあります。
仲介業者 | 販売活動を通して購入希望者を見つけ、売買契約が成立するまでの手続きをサポートする業態。マンションの売主・買主から仲介手数料を取ることで利益を得る。 |
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買取業者 | 自社でマンションを直接買い取り、リフォームなどで資産価値を上げてから再販する業者。 |
仲介業者のほうが高値で売却できる傾向にありますが、購入希望者が見つかるかどうかは運によるところもあり、売れるまで1年以上かかるケースもあります。
一方、買取業者だと価格は少し下がりますが、不動産会社が買主となるためスピーディーな売却が可能です。買取業者によっては、最短2日で現金化ができます。
また、買取業者だと、事故物件や権利関係のトラブルが起きている物件でもそのまま買い取ってもらえるところが多くあります。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、共有者と話し合ってからどちらの不動産会社にするか決めましょう。
3.必要書類を集める
マンション売却にあたって、必要となる書類は下記のとおりです。
- 登記済権利証または登記識別情報
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 本人確認書類
- 実印・印鑑証明書
- 納税通知書または固定資産税評価証明書
- マンションの管理規約や管理費がわかる書類
- マンション購入時の売買契約書
スムーズに売却活動を進めるためにも、漏れがないようにひとつずつ確認していきましょう。
登記済権利証または登記識別情報
登記済権利証は一般に「権利書」と呼ばれている書類です。物件の所有者であることを証明する重要な書類として、不動産の取得時に法務局から交付されています。
平成17年以前に取得したマンションであれば、登記済権利書が登記名義人の手元にあるはずです。
一方、平成17年以降に取得した場合、登記識別情報という12桁の英数字の組み合わせが発行されています。
登記済権利証を紛失してしまった、もしくは12桁の登記識別情報が分からないという場合、登記名義人であることを証明するために「事前通知制度」や「本人確認情報の提供の制度」を利用する必要があります。
各種制度の詳しい方法は、法務局か司法書士に相談してみましょう。
登記事項証明書(登記簿謄本)
登記事項証明書は、登記簿の内容を証明する書類です。登記簿謄本といわれる場合もあります。
マンション所在地を管轄する法務局の窓口で取得できるほか、郵送やオンラインでの申請も可能です。
登記は一般に公開された情報なので、登記名義人以外でも取得することができます。
参照:法務局「登記事項証明書(土地・建物)、地図・図面証明書を取得したい方」
本人確認書類
本人確認書類は、共有名義となっている全員分が必要です。
運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなどの一般的な本人確認書類を用意します。
登記されている住所と現住所が違う場合は、最新の住民票も必要となります。
実印・印鑑証明書
売買契約書に押印するため、共有者全員の実印と印鑑証明書が必要となります。本人が在住する自治体の役所で取得できます。
印鑑証明書は発行から3カ月以内が有効期限となっているため、期限切れとならないように売買契約日の目処が立ってから手配しましょう。
納税通知書または固定資産税評価証明書
納税通知書は、毎年1月1日時点の所有者に対し、春頃に送られてきます。
移転登記にかかる登録免許税の算出や、マンション売却に伴う固定資産税・都市計画税の清算のために必要です。
納税通知書紛失してしまった場合、マンション所在地の役所で固定資産税評価証明書を発行してもらい、代替書類として利用できます。
マンションの管理規約や管理費がわかる書類
各マンションには、管理規約など独自に定められたルールがあります。マンションのルールや維持管理方法など買主が把握できるよう、関連書類の引き渡しが必要です。
規約の書類を紛失している、もしくは最新のものがないということであれば、マンションの管理会社から入手しましょう。
マンション購入時の売買契約書やパンフレット
マンションを購入した際の売買契約書や重要事項証明書は物件情報として役に立ちます。
部屋の間取りや設備などが分かるパンフレットも、可能な限り用意しましょう。
パンフレットは魅力的にマンションを紹介しているので、買主が購入を決める後押しをしてくれることもあります。
4.販売活動をおこなう
不動産情報サイトなどを活用し、売却マンションの宣伝をおこないます。
仲介業者の場合、これらの費用は仲介手数料に含まれます。ただし、売主の希望で広告を増やすときは、追加費用の負担が必要です。
買取業者の場合は販売活動をおこなう必要がなく、査定後すぐに売買契約を結ぶことができます。
5.売買契約を結ぶ
買主が見つかれば、売買契約書にサインし、売買契約を結びます。
買主が住宅ローンを利用する場合、融資決定と同時に契約を結ぶ必要があるため、銀行に関係者が集まってサインをおこなうケースがあります。
買主に対して、成約前に重要事項説明をおこないますが、基本的には不動産会社がすべて執り行うので、売主側から説明することはないでしょう。
売買契約は共有者全員で立ち会うのが原則
共有名義マンションの場合、売買契約を結ぶときは共有者全員で立ち会う必要があります。
遠方に住んでいたり、病気などで立ち会いがむずかしい場合は、代理人を立てましょう。代理人を立てれば、本人の代わりに売買契約書のサインをしてもらうことも可能です。
共有者のなかから代表者を選んで他共有者の代理人とすることもできますが、売却手続きの負担が集中するため注意が必要です。
トラブルを起こさずスムーズに手続きを進めるためには、弁護士などの法律家に依頼するとよいでしょう。
代理人を立てる際に必要な委任状の作成については、下記の関連記事も参考にしてください。
6.物件を引き渡す
物件の引き渡しが終われば、共有名義マンションの売却は完了です。一般的には、鍵の引き渡しをもって引き渡しとします。
物件の引き渡しに関しても、共有者全員の立ち会いが必要となります。ただし、売買契約を結ぶときと同様、代理人を立てることも可能です。
共有名義マンションの売却における注意点
共有名義マンションの売却にあたって、次の2点は注意すべきポイントです。
- 共有者の間で「売却にかける期間」や「最低売却価格」を決めておく
- 売却にかかる費用配分を決めておく
売却活動をスムーズに進めるためにも、上記2点はしっかりと押さえておきましょう。
共有者の間で「売却にかける期間」や「最低売却価格」を決めておく
売却活動を始めたものの、途中で共有者の意見が変わるなど、トラブルになるケースがあります。
売却活動中のトラブルは購入希望者にも迷惑をかけてしまうので、事前の対策をしておきましょう。
とくにトラブルになりやすい「売却にかける期間」や「最低売却価格」は、あらかじめ決めておくことをおすすめします。
「1年以内に仲介業者で売れなければ買取業者に切り替える」「最低〇〇万円で売却する」と明確にしておけば、後からトラブルが起きる確立を減らせるでしょう。
売却にかかる費用配分を決めておく
マンションの売却には仲介手数料や印紙税、抵当権抹消費用などさまざまな費用がかかります。
トラブルとならないよう、事前に共有者全員で費用負担割合を決めておくことが大切です。
一般的には、各共有者の持分割合に応じて費用を分担します。
共有者全員の同意を得られないなら「持分売却」も検討しよう
共有名義マンションの売却には共有者全員の同意がいるため、1人でも反対者がいれば売却はできません。
しかし、自分のもつ「共有持分」であれば、自分の意思のみで売却が可能です。
共有持分とは、共有名義のマンションにおいて、各共有者がもつ所有権の割合をあらわすものです。
「共有者が共有マンションの売却に反対している」「手間なくすぐに共有名義から抜けたい」という人は、持分売却を検討してみましょう。
共有持分の売却なら共有者の同意がなくても可能
共有持分を売却するメリットは、他の共有者の同意が不要なところです。
持分売却をすることを伝える義務もないため、極端にいえば共有者に内緒のまま売却することもできます。
また、共有名義マンションを巡ってなんらかのトラブルが起こっていても、共有持分を売却すれば共有名義から抜け出せるので、面倒事を回避することが可能です。
デメリットは需要が低く売却価格は下がりやすいこと
持分売却のデメリットは、本来の資産価値より売却価格が下がりやすいことです。
第三者が共有持分を取得しても、マンションの利用や管理には他共有者との話し合いが必要です。実質的に制限があるため、需要は大きく下がります。
マンションの状況にもよりますが、安ければ半額近くまで価格が下がってしまいます。
専門買取業者なら高額・スピーディーに売却できる
なるべく高く、そしてスピーディーに共有持分を売却するなら、専門の買取業者に依頼することをおすすめします。
共有持分専門の買取業者なら、持分を買い取った後に収益化する方法を熟知しているため、高額買取が期待できます。
また、買取業者の強みであるスピーディーな買取で、最短2日の現金化も可能です。
まずは無料査定を利用して、マンションの共有持分がいくらになるか聞いてみましょう。
まとめ
共有名義のマンションを売却する場合、共有者の同意が必要になるなど、単独名義のマンションとは違う部分があります。
また、仮に共有者の同意を得られなくても、持分売却によって自分の所有権だけ処分することが可能です。
まずは共有者と売却について話し合い、それでも同意を得ることがむずかしければ、持分売却も検討しましょう。共有持分専門の買取業者であれば、売却に向けた具体的なアドバイスも可能です。
共有名義のマンションについてよくある質問
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共有名義のマンションを売りたいとき、他の共有者からの同意は必要?
はい、必要です。マンションに限らず、共有名義の不動産をまるごと売りたい場合、共有者全員から同意を得る必要があります。
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売却の同意以外に、他の共有者と話し合っておくべきことは?
売却活動を進める前に「最低売却価格」と「引き渡し時期」を決めておきましょう。この2つは意見が分かれやすいため、事前にしっかり決めておくことで売却活動中のトラブルを防げます。
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共有名義マンションのうち、自分の共有持分のみでも売却は可能?
はい、共有持分のみでも売却可能です。他共有者の同意も不要で、自分の意思のみで売却できます。
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共有持分の売却相場ってどのくらい?
個々の条件で大きく変わりますが、一般的には「通常不動産の半額程度」とされています。ただし、共有持分専門の買取業者に売却することで、通常不動産に近い価格での売却が期待できます。
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なるべく高く、スピーディーに共有持分を売却する方法は?
一般的な物件を扱う大手不動産会社より「共有持分の専門買取業者」に依頼したほうが、高額かつ最短数日での買取を期待できます。弁護士と連携しているところなら、権利関係の調整や法的トラブルのサポートも可能です。→【弁護士と連携!】共有持分の無料査定はこちら