飛び降り自殺があった家の売却価値は?トラブルを避ける売り方を解説

飛び降り自殺があったマンションの価値は、1~5割程度下がるのが一般的です。
自殺があった家は心理的瑕疵物件にあたるため、告知義務を怠れば売買契約後に損害賠償責任を問われます。
また、売り出しても買主がなかなか見つからないケースが多いため、適切な売却方法を知っておくことも重要となります。
損賠賠償責任などのリスクを負わず、飛び降り自殺があったマンションをスムーズに売るには、訳あり物件専門の買取業者に相談するのがおすすめです。
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この記事のポイント
- もともと人気物件だと、飛び降り自殺があっても売却価格への影響は少ない。
- 飛び降り自殺があった事実は買主へ伝える義務がある。
- 手間をかけずに高値で売るには、訳あり物件専門の買取業者に相談がおすすめ。
目次
飛び降り自殺があったマンションの価値は1〜5割程度下落する傾向に
自殺があった家(今回の場合はマンションの部屋等)は、一般的に市場相場よりも1~5割ほど値が下がると言われています。
1~5割というと、かなり大きな差があるように感じるかと思いますので、どのような状況で値下げ幅が変動するのか、例をあげてご紹介します。
・マンションの立地条件が良い
・売り出したい部屋の条件が良い(日当たり・階数など)
・自殺未遂
・飛び降りたが病院で息を引き取った
値下がり幅が大きい状況
・売却予定の室内から飛び降りした
・自殺が報道され情報が拡散された
・マンションの立地条件が良くない
・敷地内に血痕や事故当時に発生した損傷が残ってしまった
上記の表をみてわかるように、値下がり幅が少ない物件と値下がり幅が大きい物件の違いは、事故当時の状況やもともとのマンションが持つ立地条件が深く関係しています。
この表の違いについて、もう少し詳しく解説していきます。
立地が良いなどの人気物件は値下がり幅が少ない傾向に
過去に飛び降り自殺が発生していても、もともと立地が良く一定以上のニーズがある物件であれば、さほど値を下げずに売却することが可能です。
また、自殺があったものの未遂で終わったり、病院へ搬送されたりした場合などは、建物や敷地内設置物への損傷が少ないため、値下がり幅が少ない傾向にあります。これは、購入希望者に対し「自殺があった事実を連想させにくい状況」にあるからです。
マンションの場合はご自身の部屋ではなく、屋上から飛び降り自殺が発生した場合も同様です。
飛び降り自殺の場合も、その痕跡が見えにくいのであれば、大きく値が下がる可能性は少ないと考えられます。
売却予定の室内から飛び降りが発生している場合は下り幅も大きい
一方で、残念ながら大きく値下がりしてしまう家も少なくありません。
例えば、売却予定の室内から飛び降り自殺が発生したり、駐車場に血痕が残ってしまったりした場合は「自殺があったことを連想させやすい状況」となります。
また、ニュースやSNSなどで拡散されてしまった場合も、同様です。
そうなると、購入希望者が現れにくくなり、結果として大きく値下げしなければいけない状況となってしまいます。
また、駅から物件が遠い場所にあったりスーパーや病院へのアクセスも悪かったりする場合など、ニーズが少ない立地条件であった場合も、値下げを余儀なくされるでしょう。
どれくらい下がるかには心理的瑕疵が大きく影響する
ここまでご説明してきたように、不動産の価値は「買主のイメージ」が深く関係していることがおわかりいただけたと思います。
自殺を連想させにくい状況であれば、値下げ幅が少なくなり、反対に大きく値を下げざるを得ない状況になることもあります。
これらはすべて、買主の受け止め方次第。これを不動産業界では「心理的瑕疵」と呼びます。
瑕疵とは欠陥や損傷状況のこと。すなわち心理的瑕疵とは「買主が該当物件に対して何らかの不満や嫌悪感を抱く物件」ということになります。
もうすでにご存知の通り、この心理的瑕疵には明確な基準はなく、買主の心境ひとつで決まってしまいます。
たとえ、建物自体に大きな損傷はなくても、買主が購入に抵抗を感じるのであれば、その物件は心理的瑕疵物件に該当し、値下げ要求される可能性が高まるのです。
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心理的瑕疵は簡単には消えない
買主の心境ひとつで決まる心理的瑕疵は、そう簡単に消失することはありません。
よく「何年経過すれば事故物件ではなくなるの?」という疑問をお持ちになる人も多いと思います。
しかし、心理的瑕疵に「期間」や「条件」という明確なボーダーラインは、存在しません。
確かに、去年起こった自殺よりも10年前に発生した自殺のほうが、買主の抵抗感は薄れるように感じますが、なかには「例え10年前の出来事でも、事故物件の購入に抵抗を感じる」という人も一定数存在します。
そのため「3年経過すれば事故物件ではなくなる」ということは言えないでのす。
目に見えない欠陥だからこそ配慮が必要
心理的瑕疵は、目に見えない欠陥のひとつ。言わなければわからないような損傷だからこそ、買主への配慮が必要になります。
「言わなければわからないだろう」「自殺があったことを隠せば値下げせずに済む」
なるべく高く売却したいという気持ちが先行して、ついこのような考えが出てきてしまう人も、実は少なくありません。
しかし、買主に事実をあえて伝えない行為は、不動産の法律上「不法行為」と認定されてしまうことがあります。
万が一、買主が近所の人から後で事実を知った場合、売主は不法行為を行った代償として責任を追及されてしまうことも。
この責任について、この後詳しくご説明していきます。
飛び降り自殺があった事実を隠したらどうなる?売却するときの注意点
では、飛び降り自殺が起こったことを隠して売却した場合、どのような売主責任が追及されるのでしょうか。
ここからは、飛び降り自殺があった物件を売却するときの注意点について紹介します。
告知義務を怠ると売主リスクが倍増
告知義務とは、物件の情報をありのままに申し伝えること。
売主には、告知するという義務があり、これを怠ると後で「事故があっただなんて聞いていない!責任をとれ!」などと、トラブルが勃発する恐れがあります。
不動産の法律では、何らかの瑕疵があった場合に、売主は買主に対して契約後も責任を負わなければいけません。
これを「瑕疵担保責任」または「契約不適合責任」と呼びます。
このような事態を防ぐためには、告知が欠かせません。
購入希望者が現れたのであれば、飛び降り自殺があった事実をきちんと伝えましょう。
事の大小にかかわらず、事実を伝え購入希望者に正しい判断をさせること。これが告知義務の役割となります。
売却するとき、告知をしないと損害賠償請求の恐れも
では、告知を怠った場合、どのような売主リスクが発生するのでしょうか。
法律上で定められている瑕疵に対する売主責任についてみていきましょう。
・契約解除とは、買主から契約を解除されること
・代金減額請求とは、値下げを請求されること
・損害賠償請求とは、違約金を支払うこと
売主責任には、買主へ補修費用を支払うものや契約の解除、そして損害賠償請求があります。
この売主責任は、以前「瑕疵担保責任」と呼ばれていましたが、2020年4月に民法改正があり「契約不適合責任」と呼ばれるようになりました。
契約不適合責任とはすなわち、契約に対して不適合(内容と一致しない)ものがあった場合に、売主責任が発生するというもの。
反対に言えば、欠陥や損傷をはじめから理解してもらえれば、このような売主責任が発生することはありません。
つまり、契約前に告知を行い、買主に納得して購入してもらえれば、上記の表のような売主責任を防ぐことができるという訳です。
飛び降り自殺があった事実を後で知った場合は、業者に責任を追及できる
「飛び降り自殺があったことを知らずに、現在のマンションを購入してしまい、売りにくさを感じている」
もしも今、上記のようなことで困っていたら、当時の仲介業者に責任追及できる可能性もあります。
この場合、現所有者が「買主」の立場になるのですから、売主側である仲介業者に責任追及することも可能です。
買主の立場で困りごとがあるときは、仲介を依頼した不動産会社や弁護士などの法律の専門家に相談してみましょう。
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別の部屋や敷地内で発生した自殺も告知対象
敷地内で発生したすべての事故が告知の対象です。
例えば、以下のようなものがあります。
・落下地点が共有部分の庭だった
・事故現場が別な階の住人だった
・マンションの住民以外の人間が自殺を図った
このように、飛び降り自殺現場が居住している部屋から遠くても、飛び降りた人間が関係者ではなくとも、告知の対象となります。
なぜならば、前述したように心理的瑕疵は買主の捉え方次第だからです。
仮に、事故に巻き込まれた側の立場であっても、買主が購入に抵抗を感じる可能性があれば、告知を行いましょう。
過去に自殺があった家を売却してトラブルになった事例
告知義務を怠ると、様々なトラブルに見舞われることがあるとご説明してきました。
では、実際どんなトラブルが予測されるのでしょうか。
ここからは、過去に裁判沙汰になった例をご紹介します。
今後、売却するときの参考になれば幸いです。
マンションで飛び降り自殺があり慰謝料の損害賠償が命じられた事例
飛び降り自殺があったマンションを告知せずに売却し、損害賠償を支払うことになった事例を紹介します。
マンションの売主である不動産事業者は、プライバシー保護の観点から過去に飛び降り自殺があったことを隠し、該当物件を不動産投資家に売却しました。
ところが、売却から1年後に買主である不動産投資家は、近隣業者から飛び降り自殺があった事実を知ったのです。
不動産投資家は、売主である不動産事業者に対して、2,500万円の損害賠償を請求しました。
マンションを購入・転売した不動産業者に、当該物件で飛び降り自殺があったことを告知、説明すべき義務があるとされ、上記義務違反によって転売の購入者が被った損害は、性質上、損害額を立証することが極めて困難であると認められるとして、民事訴訟法248条の趣旨を援用して、慰謝料名目の損害賠償を命じた。
売主は、プライバシー保護の観点と自殺の事実は知らなかったと主張しましたが、裁判所は買主の主張を認め、売主に損害賠償の支払いを命じたのです。
飛び降り自殺があったことは告知すべき瑕疵には当たらないとされた事例
一方で、飛び降り自殺があったことは瑕疵ではないとされた事例もあります。
賃貸ビルのテナントであった事例です。
テナントのオーナーは、同ビルで飛び降り自殺があったことを知らずに、貸店舗を借りました。
しかし、飛び降り自殺があったことを知り「商売に影響を及ぼす可能性がある」として、仲介業者に損害賠償を請求したのです。
賃貸ビルの1・2階部分の店舗を賃借した賃借人が、その1年半前に同ビル屋上より道路上への飛び降り自殺があったことを知った。賃借人は、本件自殺は賃借人の営業に影響する重要な事実であるから、契約に当たり告知をする義務があったとして、賃貸人及び仲介業者に対し2000万円の損害賠償を請求した。
ところが、裁判所はこの申し出を棄却。
同ビルでの自殺はテナント部分で発生したものではないうえ、事故発生から1年半経過していることなど、複数の要素を含めたうえで、心理的瑕疵には該当しないと判断しました。
飛び降り自殺があった家の適切な売却方法3つ
ここまで、心理的瑕疵物件の価値や起こり得るトラブルについてご紹介してきました。
心理的瑕疵が存在する物件を売るうえで大切なことは、売却しにくさを踏まえたうえで、どんな売却手段を講じるかです。
飛び降り自殺があった物件は、決して売れないわけではありません。
しかし、対策を講じずにいると、様々なトラブルが発生する恐れがあるため、注意が必要です。
そこで最後に、飛び降り自殺があった家をできるだけ損せずに売却する方法をご紹介していきます。
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①事故物件の取り扱いに詳しい不動産会社に相談
売却を決断したのであれば、まずは不動産会社に相談することから始めましょう。
できれば、過去に事故物件を取り扱ったことのある業者に相談するのがベストです。
飛び降り自殺があった事実を正直に伝え、どのような売却計画を立てればいいのか、担当者と相談してみましょう。
相談する不動産会社は、事故物件の取り扱いに長けた業者がおすすめです。
取引実績が多い不動産会社では、事故物件の売り出し方法や顧客、そしてトラブルの対処方法を熟知しています。
不動産会社のホームページや過去に配布されたチラシなどを確認し、過去の取引事例をチェックしてみましょう。
②売却前にホームインスペクションを実施する
ホームインスペクションは売主リスクを軽減するための、有効的手段のひとつです。
近年、中古住宅の取引が増加し、それに伴いホームインスペクションの需要も増加傾向にあります。
国土交通省によると、既存住宅の流通量は増加し、既存住宅の流通シェア率は平成元年の時点で8%、20年後の平成21年には17.6%と、2倍以上に需要が高まっています。
全住宅流通量(既存流通+新築着工)に占める既存住宅の流通シェアは約14.7%(平成25年)であり、大きくなりつつある。
ホームインスペクションとは、住宅診断のこと。中古物件を売却する前に、欠陥や損傷がないか専門家に診断してもらうことです。
ホームインスペクションを実施し、建物の安全性をアピールできれば、買主の購入への抵抗感を和らげることも期待できます。
③不動産会社に買取してもらう
不動産売却には、仲介のほかに買取という販売方法もあります。
不動産会社に買主を見つけてきてもらう「仲介」に対し、「買取」は不動産会社にそのまま買い取ってもらうという方法です。
買取は、現状引き渡しで売却できるため、ハウスクリーニングや修繕の必要がなく、短期間で家を処分することができます。
その一方で、買取は仲介と比較すると相場が下がり、市場価格の7割ほどに値下がりしてしまうことも。
値下がりする理由は、不動産会社の利益分や清掃費用が含まれているからです。
そこで、おすすめしたいのが「訳あり物件専門の買取業者」への売却です。
資産価値が下がってしまう自殺があった物件でも、訳あり物件専門の買取業者なら、資産として運用するノウハウがあるため、相場価格と変わらない価格で買い取ってもらえます。
そのまま売るだけではなく、自殺があった物件の売却に関するアドバイスも受けられるので、まずは訳あり物件専門の買取業者に相談してみるとよいです。
まとめ
飛び降り自殺という痛ましい事故が発生した物件は、心理的瑕疵物件に該当し「買い手が見つからない」「値が下がる」恐れがあります。
しかし、売れにくさを気にするあまり告知を怠ると、さらに大きなトラブルに直面する可能性もあるため、このページでご紹介したことを参考に、売却を進めてみてください。
飛び降り自殺があった家の売却にお困りのときは、まずは実績が豊富な不動産会社に相談することから、はじめましょう。
飛び降り自殺があった家を売る時によくある質問
-
飛び降り自殺があった家の価値はどれくらい?
飛び降り自殺があった家の価値は、市場相場よりも1~5割ほど値が下がるとされています。ただし、実際にどれくらい価値が下がるかは、ケースバイケースです。
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飛び降り自殺があった家の価値はなぜ下がるの?
不動産の価値は心理的瑕疵(買主のイメージ)によって、下がります。自殺を連想させにくい状況であれば、大きく値下がりすることは防げるでしょう。
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価値が下がるなら、飛び降り自殺があったことを隠してもいい?
「自殺があった事実」を隠して売却することは、絶対にやめましょう。もし事実を隠蔽したまま売れても、取引後に損害賠償を請求される恐れがあります。
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飛び降り自殺があった家をできるだけ高値で売却したい!
売却前にホームインスペクション(住宅診断)をおこなうとよいです。建物の安全性をアピールできれば、買主の購入への抵抗感を和らげられます。
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飛び降り自殺があった家を、スムーズに手放す方法はないの?
訳あり物件専門の買取業者への売却を検討してみてください。訳あり物件専門の買取業者なら、飛び降り自殺があった物件でも、そのままの状態で買い取ってもらえます。