建築工事の不備や、地震による地盤のズレなどで、家が傾いてしまうことがあります。
「家が傾いていると売却できない」と考える人は多いのですが、法律上の制限はなく、買主が傾きを承諾していれば売却は可能です。
しかし、実際に売り出しても買主がつきにくく、売却価格も大きく下がります。
傾いた家をスムーズに売却するためには、訳あり物件専門の買取業者に相談するのがおすすめです。
訳あり物件専門の買取業者は自社で物件を買い取るため、早ければ2日程度で現金化できます。まずは無料査定を利用して、売却予定の物件がいくらになるか調べてみましょう。

- 傾斜が6/1000以上ある家は価格や売れやすさへの影響が大きい。
- 傾いている家の売却価格は100万円~500万円下がる恐れがある。
- 傾いた家を手間なく売るには、訳あり物件専門の買取業者に相談がおすすめ。
傾いた家の売却は可能?
結論からいうと、傾いた家を売却することは可能です。
ただし、必ずしも売却できるわけではありません。
家が傾いていると、購入しても通常の家のように利用することが難しいからです。
では、どのような場合に傾いた家でも売却ができるのでしょうか?
傾いた家でも必要としている買主がいれば売却可能
「欲しい」と感じる買主がいれば、傾いた家でも売却できます。
買主側も、購入後に通常の家として利用するとは限りません。
人によっては、傾いた家を解体して新たな建物を建設する場合もあれば、多少の傾きであれば気にせずに利用する方もいます。
また、購入後に自分で傾きを修理しようと考えている方もいるため、「傾いた家でも欲しい」と考えている買主がいれば売却が可能です。
売却時に家が傾いている事実を伝えることが大切
傾いた家をそのまま売却する際には、売却時には必ず家が傾いている事実を伝えましょう。
「家が傾いています」と伝えるだけではなく、下記の3つを中心にできるだけ細かい情報を買主へ伝えましょう。
- どれぐらい傾いているのか(具体的な数値で提示)
- どこが傾いているのかとその原因(床だけや基礎の沈下など)
- 売却価格を安くしている理由(修繕に必要な工事費用など)
これらを明確に伝えることで、後のトラブルを防止することにもつながります。
またトラブル防止だけでなく、スムーズに手続きを進めることもできます。
傾いた家と判断される基準
あなた自身は「家が傾いていない」と感じていても、実際には傾いている可能性もあります。
家が傾いているかどうかを正確に判断する基準には、下記の2つがあります。
- 既存住宅状況調査
- 品確法(公共工事の品質確保の促進に関する法律)
調査法や法律により判断基準が多少異なりますが、少しの傾きであれば瑕疵の可能性が低いと判断されることもあります。
では、傾いた家と判断される基準はどのくらいの傾斜なのでしょうか?
既存住宅状況調査では勾配の傾斜が6/1000以上だと「傾斜有り」と判断される
既存住宅状況調査では、勾配の傾斜が6/1000以上の場合に「傾斜あり」と判断されます。
既存住宅状況調査とは、既存住宅状況調査技術者という資格を持つ方が、目視や計測をおこない、家の傾きなどを調べる調査のことで「ホームインスペクション」とも呼ばれます。
調査をおこない、勾配の傾斜が6/1000以上の場合には傾斜ありと判断されますが、6/1000未満だった場合には異常なしと判断されます。
- 勾配の傾斜が6/1000以上の場合=傾斜あり
- 勾配の傾斜が6/1000未満の場合=異常なし
勾配の傾斜を表す単位は「‰(パーミル)」が使用されており、1/1000勾配が増えるごとに「0.0573°」の傾きを表しています。
つまり、6/1000以上の勾配の場合、0.3438°以上傾いているということになり傾斜ありと判断されるため覚えておきましょう。
品確法では傾きによって瑕疵の可能性が決まる
既存住宅状況調査では、勾配の傾斜の度合いによって傾斜の有無を判断されましたが、国土交通省「品確法(住宅品質確保促進法)」では傾斜の有無でなく、瑕疵の可能性が判断されます。
瑕疵の可能性は、下記の3つに分類されます。
- 3/1000未満の傾き
- 3/1000以上6/1000未満の傾き
- 6/1000以上の傾き
つづいて、それぞれの瑕疵について解説します。
3/1000未満の傾きの場合は瑕疵の可能性が低い
3/1000未満の傾きの場合には「瑕疵の可能性が低い」と判断されます。
国土交通省が定める品確法では、3/1000未満であれば健康被害などに対しても自覚症状はほぼないものとされています。
しかし、絶対に健康被害がないというわけではなく、通常生活に支障をきたす場合には修繕が必要です。
3/1000以上6/1000未満の傾きの場合は瑕疵の可能性がある
3/1000以上6/1000未満の傾きの場合には「瑕疵の可能性がある」と判断されます。
3/1000未満と判断された際には、健康被害になどの自覚症状はほぼないと考えられるのに対し、3/1000以上6/1000未満の傾きでは「傾斜を感じる」と判断されます。
一定程度とは、3/1000未満の傾斜の場合でも瑕疵が生じる可能性があるのと同様に、扉が開けにくいなどの通常生活に支障をきたしている場合には修繕が必要です。
また傾きが大きい分、修繕が必要となる可能性は3/1000未満の傾きよりも高いです。
6/1000以上の傾きの場合は瑕疵の可能性が高い
6/1000以上の傾きの場合には「瑕疵の可能性が高い」と判断されます。
また傾斜を感じるだけでなく、次のような健康被害も考えられます。
- ふらつき
- めまい
- 睡眠障害
6/1000以上の傾きがある場合、修繕が必要となる可能性が高いです。
ただし、必ずしも修繕が必要というわけではありません。
品確法上では瑕疵の可能性が高くても、日常生活に支障がないのであれば、修繕が必要ないケースもあります。
家が傾いているかどうかを調べる方法
「家が傾いているか?」を調べるためには、2種類の調査方法があります。
- 自分で調べる
- 専門業者に依頼して、機械を利用して調べる
専門業者を利用する場合でも、目的によって利用する機械なども変わります。
この項目では、それぞれの方法について具体的に解説します。
ホースを利用すれば自分で床の傾きを調べられる
ホースを利用すれば、床の傾きを自分自身で調べることが可能です。
両端が3メートル以上ある場所で測定すれば、より正確に測定できます。
具体的には、下記の手順で測定します。
- テープでホースを壁に固定し、壁から床面まで垂直に下ろす
- ホースを床に沿って反対の壁まで伸ばし、1と同じようにテープで固定する
- ホースに水を満たす
- ホースの水面から床面までの高さを測定(両方ともおこなう)
両方のホースの水面から床面までの高さを測定できたら、その数値を次の計算式に当てはめます。
(片方のホースの水面から床面までの高さ-もう片方のホースの水面から床面までの高さ)÷ ホースを伸ばした壁から壁までの距離
上記の計算方法では、単位をすべて「mm(ミリメートル)」とします。
計算の結果、床に傾きがあるようであれば、専門業者へ相談してより正確に調べてもらいましょう。
5円玉で柱や壁の傾きを調べられる
5円玉と紐を利用することで、柱や壁の傾きを調べることが可能です。
具体的には、下記の手順で測定します。
- 壁から少し離した状態で5円玉をつけた糸を垂らす
- 1の糸の根元の壁からの距離と、先端の糸の壁からの距離を測定
- 糸の長さを測定
1~3でそれぞれの数値を測定したら、次の計算式で壁や柱の傾きを測定します。
壁や柱の傾き=(1の糸の根元の壁からの距離-先端の糸の壁からの距離)÷ 糸の長さ
柱の傾きを調べる場合には、壁でなく柱でおこなうことで柱の傾きを調べることが可能です。
専門業者を利用すれば機械での測定が可能
自分で測定する場合、お金がほとんどかかりませんが、数値を正確に測定することは不可能です。
自分で傾きを測定して、傾いているようであれば専門業者を利用しましょう。
専門業者は機械を使用するため、傾きの正確な数値を測定できます。
具体的には、下記の3つの手順で測定します。
- オートレベル測定器で地盤の傾きを測定
- 下げ振りで建物の傾きを測定
- レーザーレベルで内部から建物の傾きを測定
続いては、機械を利用した専門業者による傾きの測定手順を解説します。
オートレベル測定器で測定
オートレベル測定器を使用すれば、地盤の水平さや高さなどの測定が可能です。
具体的には、家の四隅に測定器を当てて、それぞれの目盛り(数値)を測定します。
測定した数値を比較して、数値に誤差がある場合にはそれが地盤の高低差となるため、正確な数値を測定できます。
下げ振りで測定
地盤の傾きを測定したら、下げ振りを利用して建物自体の傾きを調べます。
先ほど解説した5円玉を使った測定方法と似ていますが、専門業者では下げ振りという重りを2階もしくは3階から垂らし、上下の差を測定することで建物の傾きを調べることが可能です。
レーザーレベルで測定
レーザーレベルでの測定は、内部から傾きを測定するという測定方法です。
レーザーレベルでは、部屋の中心に測定器を設置し、レーザーによって水平線と床の高さを測定することで床がどれだけ傾いているのかを測定可能です。
このように専門的な機械を利用することで、家の傾きを正確な数値で測定することができます。
傾いた家の売却価格の相場
傾いた家の売却価格の相場は、家が傾いている原因によって異なります。
例えば、床のみが傾いているだけであればそれほど価格は下がりませんが、基礎自体が沈下してしまっている場合には大幅に価格が下がります。
「どの部分が原因で傾いているのか?」を確認することで、どのくらい家の売却価格が下がるのかを予想できます。
続いては、傾きの原因ごとに売却価格の相場を解説します。
床だけが傾いている場合は約100万円近く下がる
床だけが傾いている場合には、約100万円近く売却価格が下がります。
基礎が沈下して行っている床の傾きではなく、柱や外壁は問題がなく床だけが傾いている場合は修繕費もそれほど高くないため、そのまま売却する際も100万円程度の値下げで売却可能です。
基礎が沈下している場合は約500万円近く下がる
基礎の沈下による家の傾きの場合、売却価格は約500万円ほど下がることが多いです。
基礎の不同沈下は、建物の重さに地盤が負けてしまう軟弱地盤や地下に防空壕や井戸などがあることによる空洞などが主な原因とされています。
そして、家が傾いてしまうほとんどの原因は基礎の不同沈下によるものなので、大幅に価格が下がります。
基礎が沈下していることが原因の家を通常の価格で売却するためには、原因である地盤を直す必要があります。
地盤を直すためには、一度建物を持ち上げたのちに地盤を改良しなければならないため、一部分のみが原因の傾きの場合とは異なり約500万円近くの値下げが一般的です。
全体的に傾いていると約300~500万円近く下がる
床だけの傾きと基礎の沈下の両方の原因を考えると、ほとんどの傾きの原因が基礎の沈下によるものなので、家が全体的に傾いている場合には約300~500万円近く売却価格が下がると考えておきましょう。
そのまま売却する場合だけでなく、修繕費としても約300~500万円程度の費用が必要となるため、売却時に修繕するかどうかはしっかりと検討しましょう。
傾いた家を高い価格で売却する方法
傾いた家をそのまま売却する場合、相場よりも安い価格となることがほとんどです。
傾いた家を高い価格で売却するには、下記の3つの方法があります。
- 傾きを修理・修繕して売却
- 家を解体して売却
- 訳あり物件専門の買取業者に売却
わかりやすくいうと、傾いている家を修理するか、解体するかの2択です。
次の項目から、それぞれの方法を具体的に解説します。
1.傾きを修理・修繕して売却
傾きを修理・修繕して売却すれば、相場に近い価格で売却できる可能性が高いです。
また、傾きを修理・修繕して売却することのメリットは他にもあり、買主が見つかるまで時間がかからないというのも大きなメリットです。
傾いた家をそのまま売却すると、修繕する手間は買主にかかります。
一方で傾きを修繕してから売却すれば、売主の手間はかかりますが、買主は修繕する手間がかかりません。
その結果、スムーズに購入手続きを進めることができるのも大きなメリットです。
また傾きを修繕すれば、既存住宅売買瑕疵保険なども利用できるので、品質保証や瑕疵の保険にも役立ちます。
手間はかかりますが、修理・修繕してから売却するメリットは大きいです。
2.家を解体して売却
家を解体した後で更地として売却する方法もおすすめです。
解体費用や手間はかかりますが、家を解体してしまうことで家の傾きなどの瑕疵の可能性がなくなるため、売却しやすくなります。
また「家は必要ないけど土地が欲しい」と考えている方も多いため、買主の幅を広げることが出来ます。
家を解体することで買主の需要が増え、より高額で売れる可能性も高まります。
ただし家が傾いた原因が基礎の沈下にある場合、買主が新しく家を建てても傾いてしまう可能性が高いため、売却後のトラブルを避けるためにも必ず売却前に調査しておきましょう。
3.訳あり物件専門の買取業者に売却
傾いた家を修繕や解体せずに売却しようとすると、なかなか買主が見つからず売却できないこともあります。
買主が見つからないが「修繕や解体をせずに家を売却したい・・・」という方は不動産買取業者へ売却しましょう。
不動産買取業者に売却すると、立地によっては傾いた家でも高い価格で売却できますし、買主を探す手間が省けます。
訳あり物件専門の買取業者なら、傾いた家でも最短2日で買い取れるため、すぐに売却したい場合はとくにおすすめです。
まとめ
この記事では、傾いた家の売却価格や売却方法、売却時の注意点などを解説しました。
傾いた家でも正しい手順を踏めば、トラブルの防止につながったり、より高い価格で売却が可能です。
そして傾いた家を売却できたら、売却によって得た利益をどうするのか検討しましょう。
よりよい不動産投資へ資金を活用したり、貯金して今後の生活資金にするなどあらかじめ資金の使い道を考えておくことで有効活用できます。
傾いた家についてよくある質問
傾いた家をそのまま売却することは法律上問題ありません。ただし買主が見つかりにくく、売却価格も下がりやすいです。
「既存住宅状況調査」では勾配の傾斜が6/1000以上だと「傾斜有り」と判断されます。国土交通省が定める「品確法」でも、勾配の傾斜が3/1000以上の場合は傾いた家と判断される恐れがあります。
ホースや5円玉を使って自分で傾きを調べる方法と、専門業者へ依頼して機械で正確に調べてもらう方法があります。
床だけが傾いている場合は約100万円、基礎が沈下している場合は約500万円、家が全体的に傾いていると約300~500万円近く安くなります。
家の傾きを修理・修繕して売却するか、傾いた家を解体して売却すれば、相場に近い価格で売却できる可能性が高いです。傾いたまま売却する場合は、訳あり物件を専門に取り扱う買取業者に依頼することで、高く買い取ってもらえる可能性があります。→【現状のままでもOK!】傾いた家の高額買取はこちら
コメントを残す