マンションの敷地内で起こる事故とは?事例と対応方法を解説

マンション 敷地内 事故

マンションの敷地内で起こりうる事故にはどのようなものがあるのでしょうか。

マンションの管理・メンテナンスが不十分で起こる事故や、住民の不注意が原因で発生する事故もあります。

今回は、マンションの敷地内で過去に起こった事故例や事故が起こった場合の対応方法について触れていきます。

この記事を参考に、マンション敷地内で起こりうるあらゆる事故を未然に防げるよう、対策をしておきましょう。

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この記事のポイント

  • マンションの事故原因は「設備不良」「住民の不注意」「自然災害」の3つ。
  • 事故に備えるには保険への加入が大切。
  • 清掃や点検は忘れず定期的におこなうのが重要。

マンションの敷地内で起こりうる事故例3パターン

マンションの敷地内で起こりうる事故とはどのようなものが考えられるでしょうか。

敷地内での事故例を、

  • マンション共用部や設備の不備や欠損による事故
  • 専有部分の欠損や住民の不注意による事故
  • 自然災害による事故

の3つに分けて詳しく見ていきましょう。

①マンション共用部や設備の不備や欠損による事故

マンション敷地内の事故としてまず考えられるのは、マンションの共用部や設備の不備・欠損によって発生する事故です。

例えば、

  • タイルや外壁が剥がれ落ち通行人が負傷
  • エレベータの故障による事故

などが考えられるでしょう。

タイルや外壁が剥がれ落ち通行人が負傷

マンション共用部や設備の不備・欠損による事故として、まず、タイルや外壁の落下による事故が考えられます。

2005年6月には、東京都内のオフィスビルから外壁のタイルが落下し、通行人2人が負傷する事故が起こりました。

この事故を受けて国土交通省が全国調査をした結果、外壁やタイルの落下の危険性がある建物は、全国に900件以上あることが判明しました。

外壁のタイルやレンガなどが落下して怪我人がでしまった場合、事故の責任はマンションの管理組合や管理人が持つことになります。

マンションの外壁は共用部分であるため、危険を予知できていたかいなかったかに関わらず、管理組合によるメンテナンスが十分にされていなかったと捉えられるのが一般的です。

エレベータの故障による事故

マンション共用部や設備の不備・欠損による事故として、エレベーターの故障による事故も考えられます。

東京消防庁の調査では、2013年から2017年の5年間で、エレベーターに関わる事故により812人が救急搬送されているという報告があります。

エレベーター事故の怪我の程度は中程度以下の割合がおよそ98%と、重症になるケースは少ないですが、過去にはエレベーターの不具合による死亡事故も報告されています。

参照:「東京消防庁 緊急搬送データからみる日常生活事故の実態」

マンションのエレベーターが、行き先階を飛ばしたり、ドアが開いたり閉じたりを繰り返すなど、普段とは違う様子が見られたら、すぐに管理会社に報告をして、事故を未然に防ぐようにしましょう。

②専有部分の欠損や住民の不注意による事故

また、マンションの敷地内で発生しうる事故として、専有部分の欠損や住民の不注意による事故があげられます。

住民の不注意による事故の例として、

  • 敷地内駐車場にて接触事故
  • 専有部分からの落下物による事故
  • 住人の不注意による漏水事故

などが考えられます。

敷地内駐車場にて接触事故

住民の不注意による事故として、マンションの敷地内駐車場での接触事故が考えられます。

道路交通法上では、マンション敷地内の駐車場は公道には含まれません。

しかし、多くの人が行き交うことができる場所なので、道路交通法の適用範囲外でも、自動車運転過失傷害罪などの適用範囲内になります。

また、敷地内駐車場で起きた接触事故の加害者に対しては、賠償金の支払いを請求することも可能です。

しかし、道路標識や信号のない駐車場では、事故の過失割合を決定しにくいというデメリットがあるため、事故の状況を正確に警察に伝える必要があり、場合によっては、ドライブレコーダーの映像の提示を求められることもあるでしょう。

専有部分からの落下物による事故

マンション住民の不注意による事故として、専有部分からの落下物による事故も考えられます。

通行人に当たるなど、事故が発生した場所が共有部分であったとしても、事故の原因がバルコニーに置いてあった植木鉢や物干し竿など専有部分のものが関係している場合は、マンションの管理組合は通さず、当事者間の問題となるのが一般的です。

落下の可能性があるものを、撤去せずに放置していたとして落下物の保有者が加害者となるのが一般的です。

住人の不注意による漏水事故

マンションの専有部で起こる事故として、住人の不注意による漏水事故も考えられます。

例えば、トイレの詰まりが原因で便器から汚水が溢れ、階下にまで水漏れの被害が出てしまうことがあります。

また、ベランダの水を止め忘れ、大量の水が階下のベランダや部屋まで流れ出してしまうことも考えられるでしょう。

これらの漏水事故の場合、専有部分で起こった住人の不注意によるもののため、責任は加害者にあるとされ、被害者側から損害賠償を求められる場合もあります。

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③自然災害による事故

さらに、自然災害によってマンション敷地内で事故が発生することも考えられます。

自然災害によっておこる事故としては、

  • 暴風雨によるマンション設備の破損事故
  • 地震によりマンション全体が被害を被る

などが考えられるでしょう。

暴風雨によるマンション設備の破損事故

自然災害で起こる事故として、暴風によりマンションの設備が破損する事故が考えられるでしょう。

実際に、2018年9月には、大阪市港マンション8階で、台風の暴風により飛来してきたスレート屋根が窓ガラスを突き破り、70代女性が死亡した事故がありました。
参照:「朝日新聞デジタル マンション8階の室内に飛来物、女性死亡」

台風により吹き飛ばされた屋根やシャッターなどが屋外を舞っている姿はテレビでも報じられ、珍しい光景でもなくなってきています。

台風による破損事故に備えるためには、窓ガラスに養生テープを張り補強しておくことや、カーテンを閉めておくことなどが有効でしょう。

地震によりマンション全体が被害を被る

災害による事故として、地震によってマンション全体が被害を被る可能性も否定できません。
東日本大震災の時には、東北・関東におけるマンションの建物本体被害について以下のような報告があります。

状態 詳細 棟数・割合
中破 大規模な補強・補修が必要 44棟(0.09%)
小破 タイル剥離・ひび割れ等相当な補修が必要 1,184棟(2.55%)
軽微 外観上はほとんど損傷なし、または極めて軽微 3万7,660棟(81.23%)
被害なし 被害なし 7,477棟(16.13%)

建物本体が60分の1以上傾いたものや建物本体の破損により一時的にマンションの設備が使用不能になったものはありませんでした。

しかし、宮城県では津波による1階部分の浸水被害にあったマンションが16棟あり、千葉県では液状化が原因と見られる被害が合わせて520棟あったと報告されています。

参照:「不動産ジャパン 東日本大震災のマンション被害」

マンション敷地内で事故が原因で資産価値が下がる

マンションの敷地内で事故が発生した場合、これが原因で資産価値が下がる可能性があります。

その理由としては、

  • 事故による美観の毀損
  • 事故によるマンションのイメージ低下

の2つが考えられるでしょう。

事故による美観の毀損

事故によってマンションの外観や美観が崩れてしまうと、マンションの資産価値が下がってしまう傾向があります。

中古マンションの売却時に最も影響があると言われているのが、室内ではなく、マンション全体(共用部)の美観だと言われることが多いです。

そのため、事故によってタイルや外壁が剝がれていたり、エレベーターに傷がたくさんついていたりすると、マンションの印象が悪く映ってしまいます。

美観が毀損しているだけで、「マンションの管理が行き届いていない」と思われたり「内部にも欠陥があるのでは」と思われ、マンションの資産価値にも影響が出るのが一般的です。

事故によるマンションのイメージ低下

マンションの敷地内で起きた事故が、新聞やニュースで取り上げられるなど、大きなものとなった場合、その事故によってマンションのイメージは低下してしまいます。

災害により、マンションが被害に合った過去がある場合は、災害リスクの高い物件なのかもしれないという考えも生まれるでしょう。

また、マンションの共用部の欠陥が原因で事故が起きてしまった場合には、マンションの管理体制が甘い物件なのかもといった悪いイメージを持たれてしまう原因ともなりえます。

マンションのイメージを低下させないためにも、マンション敷地内での事故はなるべく防ぎたいものです。

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マンション敷地内で事故が起きた時の対応方法

実際にマンションの敷地内で事故が起こってしまった場合、どのような対応を取るべきなのでしょうか。

ここでは、マンション敷地内で事故が起きた場合の多くに共通する項目、

  1. 警察に連絡する
  2. けが人がいれば救急車を呼ぶ
  3. 保険会社へ連絡する

の3点について解説していきます。

①警察に連絡をする

マンションの敷地内で事故が起きた場合には、まず一番に警察に連絡する必要があります。

特に、敷地内で車両事故が起きた場合やけが人が出ている場合は、事故による被害が軽微な場合であっても、警察へ報告する義務があります。

車両事故が起きた場合は、保険会社から保険金を受け取る際に必要となる事故証明書の発行手続きを警察に依頼しておくことをおすすめします。

また、マンション上層階からの落下物による事故など、誰の過失によるものか分からない事故で被害を受けた場合には、警察へ被害届を出しておくのがおすすめです。

被害届を出すことで、加害者が判明した際に警察から連絡を受けることができます。

警察への連絡や事情聴取などが終わったあとは、マンションの管理組合や管理会社へも事故があったことを報告しておくといいでしょう。

②けが人がいれば救急車を呼ぶ

マンションの敷地内で起こった事故が原因で、けが人が出てしまった場合は、救急車を呼ぶ必要があります。

事故現場に居合わせた人はすぐに負傷者の有無を確認し、救急車を呼ぶようにしましょう。

救急車が来るまでの間は負傷者の救護はもちろん、さらなる事故が発生しないよう、周りに事故が発生したことを知らせたり、危険なものを撤去するなどの措置を取ることが求められます。

③保険会社へ連絡する

警察からの事情聴取が完了したら、自分の加入している保険会社、もしくはマンションの管理組合が加入している保険会社へ連絡する必要があります。

加入している保険会社によって補償内容は異なりますが、ここでは、

  • 人身事故で怪我を負った場合に受けられる補償
  • 物損事故が起きた場合に受けられる補償

について見ていきましょう。

人身事故で怪我を負った場合の補償

事故によって自分自身が少しでも怪我をしている場合は、治療費や入院・通院費用を保険会社へ請求できる可能性があります。

さらに、事故によって後遺障害が残ってしまった場合には、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できることもあるので、自身の加入している保険の補償内容を確認しておきましょう。

物損事故が起きた場合の補償

例えば、マンション敷地内の駐車場で物損事故が起きた場合の補償は、相手の車両や物を傷つけてしまった場合と、自分の車両・物が傷ついた場合とで異なります。

相手の車両・物を傷つけてしまった場合は、対物賠償保険が適用されます。

一方で、自分の車両が傷ついてしまった場合には、車両保険を適用することができます。

しかし、マンション敷地内の駐車場での事故であっても、道路交通法が適用される場合があり、相手方と争いに発展してしまうケースも多くあります。

敷地内での事故を起こさないように注意を払うことはもちろんですが、ドライブレコーダーを設置して、警察や保険会社へ証拠として提示できる準備をしておくのも重要でしょう。

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マンション敷地内で起こる事故に備えてやっておきたいこと

上でも紹介したように、マンションの敷地内ではあらゆる事故の発生が予想されます。

それらの事故を起こさないよう事前に備えるには、

  • マンションの管理組合向けの火災保険に加入する
  • マンションや設備の経年劣化状況を把握する
  • 専有部の定期的な清掃や点検を行う
  • 敷地内に注意喚起や事故防止用ミラーを設置する

の4点を行うことが効果的です。

①マンションの管理組合向けの火災保険に加入する

マンションの敷地内での事故に備えて、マンション管理組合向けの火災保険に加入しておくことが重要です。

火災保険に加入していれば、万一マンション敷地内で事故が発生しても、復旧費や修繕費の支払いに困ることがありません。

マンション管理組合向けの火災保険には、あらゆる事故を想定した保証を付けることができ、施設賠償責任保険・個人賠償責任保険・地震保険などがあります。

火災保険の保険対応期間は5年の契約であることが多いため、マンション管理組合の役員が入れ替わった際には、どの火災保険に加入しているのか、またどのような保証内容となっているのかの確認を忘れずに行いましょう。

マンションの財産管理を安定させて、マンションの共同生活環境を良好に維持していく貯めには、火災保険の加入は必要不可欠と言えます。

②マンションや設備の経年劣化状況を把握する

マンションの建物そのものや設備などは、時と共に劣化していくものなので、定期的に建物や設備などの経年劣化状況を把握することも大切です。

マンションの敷地内で経年劣化が起きやすい場所としては、

  • 給排水配管
  • 外壁やタイル

などが考えられます。

給排水配管の経年劣化

給排水配管が経年劣化を起こすと、配管のつなぎ目やパッキンから漏水が発生する可能性があります。

特に、冷温水が流れる配管は、繰り返し急激な温度変化を受けているため、パッキンが劣
化しやすく、漏水事故の原因になりやすい傾向があります。

漏水事故が発生する前に、計画的に点検・修理を行う必要があります。

外壁やタイルの経年劣化

マンションの外壁やタイルが経年劣化を起こすと、ヒビが入ったり、ズレが起きることで、タイルや外壁が剥がれて落下する事故に発展する可能性があります。

また、防水処理の役目がある防水層が劣化すると、漏水を起きる可能性も考えられるでしょう。

外壁やタイルの経年劣化を防ぐには、やはり定期的な点検と修繕を計画的に行う必要があります。

③専有部の定期的な清掃や点検を行う

マンションの専有部を定期的に清掃・点検を行うことで、敷地内での事故対策に繋がります。

主な専有部の定期的な清掃・点検の例としては、

  • 消防設備点検
  • 排水管清掃

などが考えられます。

消防設備点検

消防設備点検では、マンション専有部のガス警報器や火災警報器・非難ハッチなどの点検を行います。

消防法という法律では、年に2回の消防設備点検が義務付けられており、消防設備が正しく動作するか確認しておくことで、火災発生時の被害を最小限に抑えてくれます。

自然災害や放火などの事故・事件に巻き込まれた際に、少しでも被害を少なくするために、専有部の消防設備の点検は、忘れず行うようにしましょう。

排水管清掃

排水管清掃では、専用の高圧洗浄機を使用して浴室や洗面所、キッチン等の排水溝を清掃していきます。

専有部の排水管は、他の専有部とも繋がっているため、一か所の排水管のつまりが原因となり、他の部屋の排水管が溢れてしまう原因ともなります。

漏水被害を発生させないためにも、専有の排水管清掃は定期的に行うようにしましょう。

④敷地内に注意喚起や事故防止用ミラーを設置する

敷地内に注意喚起の張り紙や事故防止用のミラーを設置することも、敷地内での事故を未然に防ぐ備えとなります。

マンションの駐車場で衝突事故が起きてしまう原因の多くは、柱や壁が死角となり、視認が困難な状況となっていることです。

そのため、死角となりやすい場所の近くには注意喚起の張り紙をしたり、衝突防止用のポールやミラーを設置することで、車庫入れする際に柱や壁に衝突したり、車やマンションの設備が破損する事故を防ぐことができるでしょう。

また、子供や人が飛び出してきやすい場所にも注意喚起とミラーの設置を行う事で、マンション敷地内での人身事故の発生を未然に防ぐことができます。

住人の不注意による敷地内事故を発生させないためにも、運転者への注意喚起を徹底して行いましょう。

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まとめ

マンションの敷地内では、共用部の設備の不備や欠陥による事故、住人の不注意による事故などが起こりうることが分かりました。

マンションの敷地内で事故を発生させないためには、外壁や排水管などの定期清掃・定期点検と共に、計画的な修繕工事も必要となります。

また、自分の不注意によって事故を発生させないために、ベランダの落下物となりえるものを撤去したり、防災点検や排水管清掃を積極的に行うなど、普段から事故防止に努めるのも重要です。

マンション敷地内事故に関するよくある質問

  • マンションの敷地内で起こりうる事故にはどのようなものがある?

    外壁の落下や駐車場での接触事故、漏水事故などが考えられます。

  • マンションの敷地内で起こった事故はすべて、管理会社の責任になる?

    専有部分での事故や住人の不注意によって起こった事故は、当事者同士問題となり、加害者の住人が責任を負う事もあります。

  • マンション敷地内での事故を防ぐには?

    マンション敷地内での事故を防ぐには、火災保険への加入や定期的なマンション設備の点検・修繕、注意喚起の張り紙などが有効でしょう。

  • マンション敷地内で事故があると資産価値は下がる?

    建物の破損など物理的な事故なら、修繕すれば影響は少ないでしょう。ただし、管理が甘いという噂が建てば、入居希望者が減る可能性があります。

  • マンションで死亡事故があった場合、資産価値はどうなる?

    事故の内容次第ですが、専有部分での死亡事故があった場合、売却価格は著しく下がる恐れがあります。共用部分での死亡事故では、各専有部分の資産価値への影響は少ないでしょう。