不動産売却の仲介手数料とは?支払うタイミングや相場を解説

不動産売却を不動産会社に依頼した場合、報酬として「仲介手数料」を支払います。
この仲介手数料は、売却のために必要な費用のなかでも大きな割合を占めます。
そのため、そもそも仲介手数料とは「何の対価なのか」「どのように計算するのか」「いつ支払うのか」気になっている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、仲介手数料の意味と計算方法、さらに、値下げ交渉のポイントを解説します。
また、仲介手数料の安さだけで不動産会社を選ぶリスクについても解説していますので、満足できる不動産売却を実現できるよう参考にしてください。
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この記事のポイント
- 仲介手数料は買主が見つかってから2回に分けて支払う。
- 仲介手数料の料率は3~5%で、売却価格によって変わる。
- 不動産会社を探すときは、仲介手数料だけでなく「どんなサポートを受けられるか」も大切。
目次
不動産売却時の「仲介手数料」とは仲介してくれた不動産会社への成功報酬
不動産売却には「不動産仲介」という方法があります。
不動産会社が売主の依頼を受けて買主を探し、条件交渉・書類作成などをしたうえで、物件の引渡しまでサポートする売却方法です。
「不動産仲介」についての詳細は、下記の記事をお読みください。
そして「仲介手数料」とは、買主との取引が成立した際に、その取引を仲介してくれた不動産会社へ支払う報酬です。
したがって、複数の不動産会社へ売却活動を依頼していたとしても、実際に「仲介手数料」を支払うのは買主を見つけて取引を仲介してくれた1社のみです。
仲介手数料を支払うタイミングは一般的に「契約時」と「引渡し時」の2回
「仲介手数料」は成功報酬なので、実際に物件が売却できるまで支払う必要はありません。
また、不動産仲介で見つかる買主は通常「個人」です。
住宅ローンを組んで購入することがほとんどなので、買主が代金を支払うタイミングは2回に分かれます。
1回目が売買契約時の手付金支払い、2回目が住宅ローン審査通過後の残金支払いです。
仲介手数料もこのタイミングに合わせて、2回に分けて支払うことが一般的です。
各タイミングで支払う金額は、仲介手数料の半額ずつとする場合が多いでしょう。不動産会社によっては「売買契約時に一括」「残金決済時に一括」としている場合もあります。
直前に慌てなくてすむように、媒介契約を交わす前に仲介手数料の支払いタイミングを確認しておきましょう。
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不動産売却時にかかる「仲介手数料」は法律で上限が定められている
不動産売却時にかかる「仲介手数料」は「宅地建物取引業法」で上限が定められています。
その上限は売買価格によって異なり、下表のとおりです。
売却価格 | 報酬の料率 |
---|---|
200万円以下の部分 | 5% |
200万円超400万円以下の部分 | 4% |
400万円超の部分 | 3% |
- 200万円以下の部分:200万円 × 5% = 10万円
- 200万円超400万円以下の部分:200万円 × 4% = 8万円
- 400万円超の部分:3,600万円 × 3% = 108万円
- 合計:126万円
となります。
消費税10%(2021年10月時点)も別途かかるので、支払う総額は138万6,000円です。
なお、売却価格が400万円を超える場合、以下の式でも算出できます。
同じく売却価格が4,000万円の場合「4,000万円 × 3% + 6万円 = 126万」と簡単に計算できます。
不動産会社が見積もりを出す際も、こちらの計算方法を使うことが多いでしょう。
参照:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額 第二 売買又は交換の媒介に関する報酬の額 (昭和四十五年十月二十三日建設省告示第千五百五十二号)」
売主の要望で発生した通常業務以上の費用は実費請求される場合がある
「仲介手数料」は売買が成立した際に不動産会社へ支払う「成功報酬」と解説しました。
そのため、買主を見つけるためにかかった広告費やチラシの印刷費、不動産会社担当者の交通費などの負担は不要です。
それらの費用込みでの「仲介手数料」です。
ただし、売却活動にかかる費用がすべて負担不要というわけではありません。
売主の要望で発生した通常業務を超える範囲については、別途実費が発生する場合があります。
具体的には「遠隔地に住んでいる購入希望者のもとへ、売主の希望で交渉にいってもらった場合の交通費」「売主の希望で実施した新聞や雑誌などへの広告掲載費」です。
なお、実費請求は「事前に売主から了承を得た場合のみ」と決められています。
売主の知らないところで実費請求が発生することはないので安心してください。
「低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例」で仲介手数料が加算される場合がある
ここまで説明したように「仲介手数料」は不動産の売却価格に依存します。売却価格が高ければ仲介手数料も高くなり、不動産会社の利益も大きくなるのです。
そのため、価格が低い不動産ではあまり熱心に売却活動をしてもらえない傾向があります。
なかでも、老朽化した空家は通常の物件よりも調査費用と売却の手間がかかるにもかかわらず、売却価格は低いので、赤字になることが大半です。
不動産会社として利益が少ないため、かつては取り扱いを避けられる傾向にありました。
このような状況を解消するために作られた特例が「低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例」です。
400万円以下の空家を売却する場合で、通常より現地調査に費用がかかるとき、通常の仲介手数料に現地調査費用を上乗せできるという特例です。
ただし、上限は18万円+消費税です。
仲介手数料の上限額と上乗せ可能な費用の上限額は下表のとおりです。
売却価格 | 仲介手数料 | 上乗せ可能な調査費用等 |
---|---|---|
100万円 | 5万円 | 13万円 |
200万円 | 10万円 | 8万円 |
300万円 | 15万円 | 3万円 |
400万円 | 20万円 | 0万円 |
※消費税を除く
この特例により、仲介手数料の上限額以上を請求される可能性があります。
ただし、調査費用等の上乗せは、媒介契約の締結時に不動産会社から説明を受け、売主も合意することが条件です。
無断で上乗せされることはないため、その点は安心しましょう。
参照:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額 第七 空家等の売買又は交換の媒介における特例(昭和四十五年十月二十三日建設省告示第千五百五十二号)」
定められているのは仲介手数料の「上限」なので値引き交渉は可能
法律で定められている仲介手数料は「上限」です。
ほとんどの不動産会社は、仲介手数料を上限額に設定しています。
上限未満の仲介手数料でも問題ありませんので、値引き交渉ができます。
とはいえ、仲介手数料の値引きはそのまま、不動産会社の利益を小さくすることです。
値引きしても不動産会社にメリットがなければ、受け入れられないでしょう。
例えば、受け入れられるケースとして下記2つのような場合があります。
- 1.買主がすでに見つかっている
- 2.複数の不動産売却を検討中で再取引を約束する
上記のケースを、1つずつ見ていきましょう。
1.買主がすでに見つかっている場合
1つ目は、すでに買主が見つかっていて「重要事項説明書・売買契約書の作成」や「決済・引渡し手続き」のみを依頼したい場合です。
不動産会社が広告費と人件費をかけて買主を探す手間を省けます。
通常の売却活動よりも不動産会社の負担が小さいので、値引きにも応じてもらいやすくなります。
2.複数の不動産売却を検討中で再取引を約束する場合
2つ目が、複数の不動産売却を検討中の場合です。
「今回の売却がうまくいけば、他の不動産売却も任せたい」と約束すれば、仲介手数料を値引きしてもらえる可能性が高くなります。
不動産会社は、自社と媒介契約を結んでくれる売主を探すことにもコストをかけています。
再取引を約束すれば、この「売主探しにかかるコスト」を削減できるので、不動産会社も手数料を下げやすくなるのです。
仲介手数料の安さだけで不動産会社を選ぶリスク
不動産の売却価格は数千万円になることも珍しくありません。高額な取引になるので、仲介手数料が100万円を超える場合もあります。
売却益で数千万円が手に入るとはいえ、住宅ローン残債の返済も考えると「仲介手数料を安くしたい」と思うのも当然です。
しかし、仲介手数料の安さだけで不動産会社を選ぶと下記のようなリスクがあります。
- 1.売却期間が長引く恐れがある
- 2.担当者の対応が最低限になる恐れがある
- 3.囲い込みをされる恐れがある
それぞれのリスクを、1つずつ見ていきましょう。
売却期間が長引く恐れがある
チラシの作成や不動産ポータルサイトへの掲載には、印刷費や掲載費がかかります。
仲介手数料が安い場合、不動産会社はこのような「費用がかかる売却活動」を小規模にしか実施しない恐れがあります。
物件情報が広く知れ渡らないため買主が見つかりにくく、売却活動が長引いたうえに値下げを求められるケースもあるでしょう。
担当者の対応が最低限になる恐れがある
不動産会社の役割は、買主を探すだけではありません。
- 早く・高く売却できるようなアドバイスやサポート
- 売却後のトラブルを避けるためのアドバイス
- 節税に使える特例や軽減措置の情報提供
など、幅広いサポートをしてくれます。
ただし、これらサポートは売却活動における義務ではありません。多くは売主に満足してもらえるよう担当者の善意でおこなわれている部分です。
仲介手数料が安ければ担当者のモチベーションも低く「プラスαのサポート」を期待できません。
最低限の対応しかしてもらえず、売却後のトラブルや確定申告で結果的に損する恐れがあります。
「囲い込み」をされる恐れがある
「囲い込み」とは、売却を依頼された物件の買主を自社で見つけるため、他社に正しい情報を伝えないことをさします。
「その物件を買いたい人がいるので物件を案内させてほしい」という他社からの紹介依頼に対して「すでに申し込みが入りました」「すでに購入希望者がいて契約予定です」と嘘をついて断ります。
なぜこのようなことをするかというと、仲介手数料を売主だけでなく買主からも受け取れる「両手仲介」をおこなうことが目的です。
仲介手数料が安いと、その減額分を補うために物件を囲い込もうとする恐れがあります。
囲い込みをされたためになかなか買主が見つからず、売却期間が長くなったり、売却価格を値下げしなければならない状況に陥る場合があります。
不動産会社は「仲介手数料の安さ」だけでなく「対応」や「サービス」など総合的に判断して決めるべき
売却の仲介を依頼する不動産会社は「仲介手数料の安さ」だけでなく「対応」や「サービス」など総合的に判断して決めましょう。
仲介手数料が安いと、不動産会社の売却活動が期待通りに進まず、値下げしなければならないケースも多いからです。
例えば「仲介手数料半額の不動産会社Aが1,800万円で売却した場合」と「仲介手数料値引きなしの不動産会社Bが1900万円で売却した場合」を考えてみます。
このときの手元に残る金額は下表のとおりです。
不動産会社 | 売却価格 | 仲介手数料 | 手元に残る金額(売却価格-仲介手数料) |
---|---|---|---|
A | 1,800万円 | 30万円 | 1,770万円 |
B | 1,900万円 | 63万円 | 1,837万円 |
仲介手数料だけで考えると、不動産会社Aが33万円お得です。
しかし、手元に残る金額は仲介手数料値引きなしの不動産会社Bが67万円多くなります。
このようなケースがあるので、不動産売却では「仲介手数料は安い方がいい」とは限りません。
仲介手数料の上限額を請求する不動産会社であっても、買主との交渉をうまくまとめてくれたり、節税に関する情報提供をしてもらえることで、満足のいく売却ができる可能性があります。
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まとめ
仲介手数料には一般的な広告や書類作成の費用も含まれるため、不動産会社への支払いがほかに発生することは原則としてありません。
ただし、特別な広告活動や遠方への交渉が発生した場合には、実費請求のケースもあるので注意しましょう。
また、仲介手数料が安いと充分なサポートをしてもらえず、売却で得られる利益が減ってしまう恐れもあります。
売却活動を依頼する不動産会社を選ぶ際には、複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額や対応から信頼できる会社を決めることが、うまく売却活動を進めるポイントです。
オンラインの一括査定を利用すれば、1回の情報提供で複数の不動産会社に査定依頼を出せるので、ぜひ試してみてください。
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不動産売却の仲介についてよくある質問
-
仲介とは何ですか?
仲介とは、売主と買主の間に不動産会社が入り、売買取引をまとめる方法です。仲介を依頼された不動産会社は、買主探しのほか、不動産を売却するためのアドバイスやサポートをおこないます。
-
仲介で不動産を売却する場合、売却価格はどうなりますか?
近隣の不動産価格を参考に売り出せるため、相場かそれに近い価格で売却できます。
-
仲介の場合、不動産会社にはどんなことをしてもらえますか?
買主を探すほか、なるべく高く売るためのアドバイス、買主と売買契約を結ぶにあたって必要な手続きなど、無事に物件を引き渡して代金を得られるまでサポートしてもらえます。
-
仲介手数料はどれくらい支払う必要がありますか?
不動産の売却価格によって変わります。200万円までの部分は5%、200万円~400万円までの部分は4% 、400万円超の部分は3%です。
-
仲介を依頼する不動産会社はどうやって探せばよいですか?
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