田舎の家のたたみ方とは?具体的な方法や注意点を解説します

田舎の家をたたむには、売却で処分することが最も良い方法です。
今、「田舎の家は両親のみの二人暮らし」「子供が全員独立し家を継ぐ予定はない」。このような状況に置かれている家庭が多くあります。将来的には確実に田舎の家が空き家になる状況の中で、田舎の家を維持するのか?処分するのか?について悩みがある人は多いのではないでしょうか。
田舎の家は、住む予定があれば相続し保有し続けるのは良いのですが、相続後も確実に住む予定がないのであれば手放してしまうのが得策です。しかし、田舎の家を手放すにしても、両親が健在の内に予め行っておくべき事項や注意点がたくさんあります。
この記事では、田舎の家のたたみを徹底的に解説します。家をたたむ前に行うべきことや注意点、コツなどについて紹介していきます。田舎の家の処分方法について悩みがある人には必見です。
目次
田舎の家をたたむには、売却で処分することが最も良い方法
田舎の家をたたむには、売却で処分する方法が最も良い方法です。つまり、家の所有権を売却により完全に譲渡し、一切の関わりを無くすことになります。
しかし、田舎立地の多くは周辺に家が少ないことや、公共交通機関が充実していないエリアが多く、そもそもの不動産需要が低いケースが想定されます。よって、売却をしようにもなかなか売れないことや、相場より安価で売却が成立することも当然にあるでしょう。
なお、築年数の経過により建物が古く使えない場合には、解体して売却するのがおすすめです。
田舎の家を売却する方法2つ
田舎の家を売却する方法は2つあります。以下に、詳しく解説していきます。
不動産仲介
不動産仲介とは、売主と買主の間に不動産業者が入り取引を成立させる方法です。一般的に不動産売買は専門性の高い手続きが多く、個人間のみでは取引を成立させることが難しくなります。
そこで、不動産業者が間に入り取引を成立させます。間に入る不動産会社の役目は、売主と媒介契約を結び売却活動を行うことや、取引成立のために契約書などの書面作成、司法書士や銀行など不動産売買に必要な業者の手配となります。
なお、不動産仲介では間に入った不動産会社に取引の成功報酬として、仲介手数料を支払います。仲介手数料は、400万円超の速算式で「物件価格×3%+6万円+消費税」となります。
例えば、2000万円で成約した物件の仲介手数料は726,000円となりますが、紹介した計算式は仲介手数料のマックス値であるため、不動産会社により仲介手数料は異なるケースがあります。
不動産仲介のメリットは、順調に進めば相場並みで売却ができること、デメリットは買主を見つけるまで売却活動が続くので、長引く可能性があることです。売却活動に進展がないケースでは、販売価格を下げることや不動産会社を変更したりなど、柔軟な対応が求められます。
買取
買取とは、買取専門の不動産業者などが買主となり売却を進める方法です。不動産仲介のように買主を探す必要はなく、自らで買取専門の業者を見つけ見積もりを取り、金額に納得できれば即契約と引き渡しを行えます。これにより、即現金化ができるのが一番のメリットとなります。
一方で、買取金額は周辺相場より平均して20%~30%程度となります。これは、買取業者は買い取った不動産にリフォームなどを行い再販売するので、その費用を捻出するためになります。
尚、田舎立地の場合、買取価格が平均よりさらに下回る可能性や買取自体ができないケースもあるので、利用する際は買取専門の不動産業者への相談がおすすめです。
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田舎の家をたたむ前、両親が健在の内に行った方が良い準備
田舎の家をたたむ前、両親が健在の内にできれば行っておいた方が良いことが幾つかあります。下記に5つ紹介します。
- 両親との話し合い
- 資産になりそうなものをピックアップしてもらう
- 不用品の処分を行う
- 不動産の権利関係を確認しておく
- 敷地の一部などの売却などを行い、相続する財産を抑えておく
①両親との話し合い
まずは、両親との話し合いです。年を追うごとに両親としても、将来的にこの家をどうしたいのかについては考えていることでしょう。よって、本人と両親の間で家の相続・処分について十分な話し合いをすることが重要です。
親は実家を相続させることが重荷になると思っていることや、子は実家に戻るつもりがないので相続する意思がないなど、お互いの意見をはっきりと主張することで今後の道筋が見えてきます。話し合いの結果、将来的に田舎の家をたたむ方向で調整が付けば、両親も少しずつ身の回りのものの整理や不用品の処分、売却などに向けて専門の業者に相談ができます。
田舎の家を急にたたむことは難しいので、事前に少しずつ進めておくことが必要です。
②資産になりそうなものをピックアップしてもらう
次に、資産になりそうなものをピックアップしておくことです。
不動産、株式、貴金属関係、骨董品など、資産として保有できそうなものを事前に振り分けてもらった方がよいでしょう。
③不用品の処分を行う
続いて、不用品の処分を行うことです。
家具や家電、衣服や生活雑貨、趣味で集めたものなど、身の回りの不用品は少しずつ処分してもらいます。不用品の処分は、少量ずつであれば自治体で行う粗大ごみ回収に依頼することや、粗大ごみ回収センターなどに持ち込めます。
また、一気に不用品処分を行うのであれば、不用品回収を専門で行う業者に依頼してしまうのがおすすめです。このような業者は、軽トラックなどで自宅に駆け付け担当者に指示さえすれば、部屋からの荷物の運び出しを行ってくれます。さらに、少量1点から対応可能であることや、多量の場合はパック料金(定額制)を活用するとお得に利用できます。
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④不動産の権利関係を確認しておく
さらに、不動産の権利関係を確認しておくことです。
実家の土地と建物の謄本を取得し、所有者の確認や所有権以外の権利が設定されていないかを確認します。また、田舎の家が古ければ改めて敷地境界を確認し、測量が必要となるケースもあります。
さらに、土地や敷地境界などに関して近隣とトラブルがないかなども確認しておいた方が良いでしょう。
⑤敷地の一部売却などを行い、相続する財産を抑えておく
最後に、田舎の家が広ければ敷地の一部を売却するなど、相続する財産を最小限に留めておく方法もあります。
両親が売却をためらうようであれば、敷地の一部を駐車場に変え土地活用することもおすすめです。土地活用していれば、相続後に発生する毎月の固定費分を賄えることもあるため、相続する側の負担軽減にもつながります。
田舎の家のたたみ方(不動産仲介を利用の場合)
この章では、不動産仲介を利用する場合の田舎の家のたたみ方について解説します。田舎の家のたたみ方の主な手順や、実家をたたむ費用などについて紹介していきます。
- 相続登記を行う
- 家の中を綺麗にする
- 不動産会社を探す
- 査定を受け、媒介契約を結ぶ
- 買主を見つけ、売買契約を結ぶ
- 引き渡しを行う
- 譲渡所得があれば確定申告を行う(空き家の3000万円特別控除利用時も)
①相続登記を行う
第1段階は、相続登記を行うことです。
相続登記とは、相続後に不動産の名義を相続人に変更することになります。不動産売却は所有者本人の意思がなければできないため、売却するときには必ず必要です。
なお、相続登記の費用は、司法書士への報酬・登録免許税・各種実費で構成されています。登録免許税は、相続による登記名義の移転に掛かる税金です。「不動産の固定資産税評価額×0.4%」が登録免許税の費用となります。
また、各種実費は主に戸籍を取るための費用となり、一般的には数千円程度です。最後に、司法書士の報酬は司法書士事務所ごとに自由に設定できます。一般的には、5万円~8万円程度で設定されているケースが多いようです。
②家の中を綺麗にする
第2段階は、家の中を綺麗にすることです。こちらは、建物を残す形で売却するパターンの時に行います。
不動産売却時には、内見者を募り現況の確認を行います。田舎の実家が古い家であったとしても、フローリングや畳、壁、水回りを綺麗にすること、庭があれば植栽の剪定など綺麗な状態で見せることが重要となります。不動産の売買が進むかは、内見者へ与える印象によって大きく変わってきます。
よって、内見者を募る前に家の中を掃除することが必要となります。なお、水回りなどには頑固な汚れなど素人では難しい個所の掃除もあるので、ハウスクリーニングを依頼するのも良いでしょう。
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③不動産業者を探す
第3段階は、不動産業者探しです。
不動産仲介で売却してくれる不動産業者をインターネットなどで探します。なお、どこに頼んで良いのかわからない場合やそもそも周辺の不動産業者が分からない場合には、一括査定サイトなどの活用もおすすめです。
④査定を受け、媒介契約を結ぶ
第4段階は、査定を受け金額に納得すれば媒介契約を結びます。
不動産業者が決まれば実査定を受け、査定金額の提示と売り出し価格の提案などに納得できれば、媒介契約を結びます。不動産業者と媒介契約を結べれば、3.4日後くらいから売却活動スタートです。
⑤買主を見つけ、売買契約を結ぶ
第5段階は、売却活動を行い内見者を募ります。内見者の中から物件を気に入る人が見つかれば、買主としてその後に売買契約を結びます。
売買契約時には、契約書に添付する印紙代(成約価格5,000万円以下で1万円、成約価格5000万円超で3万円)と仲介手数料の半金を不動産会社に支払います。
⑥引き渡しを行う
第6段階は、引き渡しです。買主から最終金の支払いがあれば、鍵の引き渡しを行います。
引き渡し後は、所有権の移転登記などを行う必要がありますが、費用は一般的に買主負担となります。
⑦譲渡所得があれば確定申告を行う(空き家の3000万円特別控除利用時も)
最終段階は、税務関係の確定申告です。
売却したことにより譲渡所得(プラスの財産)が発生した場合には、確定申告を行い所得税と住民税の支払いがあります。また、空き家の3,000万円特別控除利用時も同様です。
ここまで、田舎の実家のたたみ方の具体的な手順を紹介しました。実家を売却する際に直接的に掛かる費用は、特段大きな金額ではありません。しかし、敷地の測量が必要であるケースや建物が古く解体する場合には解体費用が掛かるなど、状況により費用負担は変わってきます。
測量は土地の形が悪い時や境界確定の話し合いなどが長引くなどで手間が掛かったときは、費用が100万円位掛かることがあります。また、解体は建物の構造や規模感にもよりますが100万円位掛かることがあります。これらが必要なケースでは、事前に関係各社に見積もりを取っておくのが良いでしょう。
なお、このあとの章では売却時に「建物を残すor解体する」ことについて、メリット・デメリットを紹介します。
売却時は建物を残したほうがよいのか、解体したほうが良いのか
田舎の家をたたむときに建物を残したほうが良いのか、解体したほうが良いのかは迷うところです。
一般的に、建物自体は多少劣化しているものの住み心地に問題がなければ建物を残す、建物が古すぎて修理や修繕が必要な状態であれば解体が良いとされています。ここでは、建物を残す若しくは解体することによるメリット・デメリットを解説します。
建物を残すことによるメリット・デメリット
メリット | ・買主が住宅ローンを使える ・リフォームなどを行うことにより、買主は直ぐに居住が可能 ・売主は解体費用を負担しなくてよい |
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デメリット | ・売主は引き渡しを行うまで、維持管理を続ける必要がある ・買主が解体を嫌がり、物件の検討自体を敬遠することがある |
建物を残すことによるメリットは、まず買主が住宅ローンを使えることです。住宅ローンは更地の状態の不動産では使うことができず、建物があれば住宅ローンが使え、金利などの条件面が良くなります。
また、売主は解体費用の負担がありません。売却時に掛かる経費を削減できます。
デメリットは、売主は引き渡しが完了するまで維持管理を続けることや、内見があるたびに室内の清掃なども行う必要があることです。よって、売却が長引けば面倒なことが続くことになります。
次に、建物が使える状態であったとしても買主が住宅を新築することが目的の場合、買主が解体する手間を嫌がり物件の検討自体を敬遠することがあります。これにより、物件の検討者が減る可能性があり売却が遅くなることがあります。
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解体することによるメリット・デメリット
メリット | ・買主が土地の形状や状態を確認しやすい ・買主が解体費用を負担する必要がない |
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デメリット | ・更地にすることにより売主の固定資産税の負担が増える ・売主が解体費用を負担しなければならない |
解体のメリットは、まず買主が土地の形状や状態を確認しやすいことです。さらに、周辺に建物などがあれば離隔や住環境なども確認できます。また、買主が解体費用を負担する必要や、解体業者を手配する手間がなくなります。
一方デメリットは、更地にすることで売主の固定資産税の負担が増えてしまいます。住宅地に適用される固定資産税の減免措置がなくなるため、税額は約6倍となります。
また、解体費用は売主が負担することになります。解体費用を売却価格に転嫁できればよいのですが、田舎立地では価格を高くするといっそう売りにくくなる可能性があるため、解体費用を実質的に負担するケースが多いようです。
田舎の家をたたむときの注意点
田舎の家をたたむときには、いくつか注意点があります。下記に4つ解説します。
- ①相続税の納税資金を用意する
- ②売却を依頼できる不動産会社がなかなかみつからない
- ③直ぐに売れるとは限らない
- ④相続放棄をしても管理義務は残ってしまう
①相続税の納税資金を用意する
まずは、相続税の納税資金が用意することです。
実家を相続するには、相続開始日から10か月以内に相続税を現金納付しなければなりません。納税する資金がない場合には、以下の方法が考えられます。
- 相続財産の売却
- 延納
納税資金を準備できない場合には、相続財産の売却が考えられます。しかし、この場合納付期限があることから、物件を売り急がなければなりません。つまり、通常の不動産仲介のように戦略を立てながら高値売却を目指すような売り方はできず、少しでも早く売るために安値での売却となる可能性が高まります。
なお、相続税額は遺産総額から基礎控除分を差し引きます。算出した金額に応じて決まっている控除額を差し引き、税率を掛けることで相続税が決まります。
〇相続税=遺産総額-基礎控除額×税率-控除額
〇基礎控除の算出式=3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、法定相続人が一人であれば、基礎控除の額は3,600万円(=3,000万円+600万円×1(人))です。したがって、遺産総額が3600万円以下であればそもそも相続税は掛かりません。
続いて、延納です。現金納付が難しい場合に分割で納付することができます。なお、延納するには下記条件を満たすことが必要です。
- 現金納付ができない理由がある
- 相続税額が10万円超ある
- 担保提供する
- 延納申請書を提出し、税務署の許可を取得する
延納すると、延納利子税が加算されます。相続税以外にさらに余計に税金を支払うことになるので、なるべく延納は避けたいところです。
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②売却を依頼できる不動産会社がなかなかみつからない
次は、売却を依頼できる不動産会社が見つけづらいことです。
田舎にある不動産は需要が少なく、買い手が見つかるまでに時間が掛かります。また、仲介手数料は成約価格に対して一定の割合を掛けることで算出されます。物件価格が安い田舎では、不動産仲介で成約しても収入が少なく、売却を受けてくれる業者が少ないこともあります。
さらに、不動産会社自体も少ないことや、街中でよく見るような大手不動産会社では対応できない若しくは対応しないことが多くもあります。よって、売却を依頼できる不動産会社が、なかなかみつからないということがあります。
③直ぐに売れるとは限らない
続いて、田舎にある家は不動産需要が少ないために、直ぐに売れることはほぼないと思っていた方が良いでしょう。内見者を広告等で募っても現れないことは多く、売却活動が苦戦する可能性は高くなります。
④相続放棄をしても管理義務は残ってしまう
最後に、売れない不動産であるからと相続放棄をしても、管理義務が残るケースがあります。他に複数相続人がおり、誰か一人でも相続人がいれば管理義務を逃れることはできます。しかし、相続人が一人の場合は財産としては放棄できても、管理義務は残ってしまいます。
よって、相続人がいない場合は売却・譲渡・寄付などをあらゆる手段を用い、第3者への譲渡することが管理義務から逃れる方法です。
まとめ
田舎の家をたたむには、不動産仲介などを用いての売却がおすすめです。
売却するには、事前に準備することや注意点があります。また、建物を残す若しくは解体するかでメリット・デメリットもあります。
田舎の家をたたむとき、まずは不動産業者など専門家に相談することがおすすめです。
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「田舎の家のたたみ方」に関してよくある質問
-
田舎の家をたたむにはどのような方法が良いのか?
田舎の家をたたむには、売却がおすすめです。
売却の方法は、不動産仲介か買取りとなります。売却する時間が取れるのであれば不動産仲介、売りを急ぐのであれば買取りという選択になります。 -
田舎の家をたたむ前に行った方が良いこととは何か?
田舎の家をたたむには、親が健在の内に準備を少しずつ始める必要があります。
主な内容は下記の通りです。
・両親との話し合い
・資産になりそうなものをピックアップしてもらう
・不用品の処分を行う
・不動産の権利関係を確認しておく
・敷地の一部などの売却などを行い、相続する財産を抑えておく -
田舎の家をたたむには、どのような手順を踏めば良いのか?
田舎の家をたたむには、下記のような手順を踏む必要があります。
➀相続登記を行う
②家の中を綺麗にする
③不動産会社を探す
④査定を受け、媒介契約を結ぶ
⑤買主を見つけ、売買契約を結ぶ
⑥引き渡しを行う
⑦譲渡所得があれば確定申告を行う(空き家の3000万円特別控除利用時も) -
田舎の家を売却する際に、建物は残した方がよいのか?解体したほうが良いのか?
一般的に、建物が使える状態であれば残す、修理や修繕など建物の住み心地に影響がある場合は解体が良いでしょう。
各々メリット・デメリットがあるので、詳細は本編にてご確認ください。 -
田舎の家をたたむ時の注意点とは何か?
田舎の家をたたむ時の注意点は、主に下記になります。
・相続税の納税資金を用意する
・売却を依頼できる不動産会社がなかなかみつからない
・直ぐに売れるとは限らない
・相続放棄をしても管理義務は残ってしまう
田舎の家をたたむ前には、不動産業者など専門家への相談がおすすめです。