老朽化したアパートを相続して、どのように取り扱えば良いか悩む人は少なくありません。
賃料収入が見込めるなら持ち続けるのも1つの選択肢ですが、賃貸経営には多額の費用や面倒な管理もともないます。
「賃貸経営を引き継ぎたくない」「リフォームなどの資金がない」という場合は、売却で処分することを検討してみましょう。
「老朽化したアパートだと売れるか心配」という人は、訳あり物件専門の買取業者に相談するのがおすすめです。
自社買取なので最短2日で買い取ってもらえますし、不動産業者が買主になるので老朽化したアパートでも高額買取が可能です。まずは無料査定を利用して、いくらで売れるのか調べてみましょう。
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- 賃料収入が見込めるなら賃貸経営を続けるのもありだが、多額の費用や長期的な運用計画が必要。
- 手間やリスクを避けたいなら売却するのがおすすめ。
- 相続放棄は「アパートだけ放棄」はできず、他の相続財産も放棄する必要がある。
老朽化したアパートを相続したときは売るべき?賃貸経営を続けるべき?
老朽化したアパートを相続したとき、選択肢としては「売却」と「賃貸経営の継続」のどちらかになります。
個別の事情や自身の希望にもよりますが、どちらを取るべきかの判断基準は次のようになります。
- 賃料収入が見込める→賃貸経営の継続
- 手間やリスクを避けたい→売却
それぞれの選択肢で押さえておくべきポイントや、なにもせず放置した場合のリスクについて、詳しく解説していきます。
1.賃料収入が見込めるなら賃貸経営を続ける
アパートを持ち続けることで賃料収入が見込めるなら、そのまま賃貸経営を引き継ぐと良いでしょう。
アパート経営は優秀な副業であり、管理会社に委託すればむずかしいことをしなくても安定した副収入が得られます。
ただし、老朽化にともないリフォームや建て替えが必要な場合、高額の費用がかさみます。
なんとなく引き継ぐのではなく、賃貸経営の継続にかかる損益を予測することが大切です。
リフォーム・建て替えには100万~2,000万円以上かかる
アパートの老朽化が進んでいる場合、劣化部分の修繕はもちろん必要ですが、より収益性を向上させるためにはリフォームや建て替えも必要です。
リフォームの場合、どの部分をどの程度まで手を加えるかによって、必要な費用は変わります。
例えば、大東建託がアパート向けに提供している内装リフォームプランでは、次のような料金体系になっています。
ベーシックタイプ | 18,000円/㎡~ |
---|---|
スタンダードタイプ | 26,000円/㎡~ |
ハイクオリティタイプ | 40,000円/㎡~ |
参照:大東建託 DK SELECT Refoem「リフォームラインナップ」
上記のベーシックタイプを基準にすると、1室20㎡×4部屋のリフォームでも最低144万円はかかる計算です。
建て替えとなると建物の解体費用と新規建築費用がかかるため、さらに高額の負担がかかります。
例えば、建物面積が100㎡の木造アパートを建て替えた場合、費用シミュレーションは次のようになります。
項目 | 金額 |
---|---|
解体費用 | 90万7,500円(3万円/坪)※1坪=約3.3㎡ |
新築費用 | 2,400万円(24万円/㎡) |
合計 | 2,490万7,500円 |
※料金参考
解体費用:クラッソーネ「木造二階建ての解体費用を解説!内訳や安くするコツ、注意点など」
新築費用:e-Stat「建築着工統計調査 住宅着工統計 (新築住宅)利用関係別、資金別、建て方別(住宅の工事費)/戸数、床面積、工事費予定額、1戸あたり工事費予定額、1平米あたり工事費予定額 」
上記はおおよそのシミュレーションですが、数千万円単位で資金が必要なのは間違いないでしょう。
老朽化したアパートで健全な賃貸経営をするならば、100万円~2,000万円以上の資金を用意できるかどうかが1つのポイントとなります。
建て替え時は入居者の立ち退き料もかかる
建て替えをおこなう場合、建物の解体・新築費用以外に、入居者への立ち退き料も支払わなければいけません。
立ち退き料に一律の基準はなく、入居者との交渉で決まります。数ヶ月分の家賃であったり、引越し代であったりと金額はさまざまです。
立ち退き交渉が上手くいかないと裁判が必要になり、余計な手間がかかってしまいます。なるべく早くに通知をおこない、丁寧な説明で立ち退きに納得してもらいましょう。
アパートのリフォーム・建て替えで使えるローンや補助金はある?
ここまで解説したように、アパートのリフォーム・建て替えには多額の資金が必要です。しかし、これらの費用はローンや補助金でまかなえる場合があります。
ローンについては、アパート専用のローンを用意している銀行もあります。例えば三井住友信託銀行なら、金利年3.25~4.25%(固定金利の場合)で最大3億円借りることが可能です。
補助金については、国が設けている長期優良住宅の補助金制度のほか、自治体独自の制度もあります。物件によって適用できる制度も異なるので、役所や工事を依頼する業者に確認してみましょう。
利回りや維持費をもとに長期的な運用計画が必要
リフォームや建て替えの資金があっても、その後の賃貸経営で利益を得られなければ、大金を払う意味がありません。
利回りや維持費をもとに長期的な運用計画を立て、最終的に売却するのか、それとも再び相続するのか、出口戦略までしっかりと見通すことが必要です。
また、アパートの賃貸寿命が何年か(次にリフォームや建て替えが必要な時期はいつか)や、地域の賃貸需要が今後どう変わるのかなど、不確定要素の予測も必要になります。
相続したアパートで賃貸経営を継続するなら、常に勉強を怠らず、その時々でうまく立ち回れるようにしましょう。
2.手間やリスクを避けたいなら売却する
「賃貸管理を引き継ぎたくない」「老朽化したアパートは不要」という場合は、売却で手放したほうがよいでしょう。
しかし、売却で問題となるのが「老朽化したアパートは売れるのか」という点です。
建物の劣化が激しいと需要は下がりますし、そもそもアパート自体が一般的な住宅より購入者層が限られます。そのまま売り出すより、更地にしてからのほうが高く売れる場合もあります。
アパートの売却価格は独特な方法で計算しますが、専門知識がなくても簡易的な査定が可能です。まずはおおよその価格を把握してから、どのように売却するか考えましょう。
アパートの売却価格は投資利益をもとに計算できる
アパートのような収益物件は、投資利益をベースに計算する「収益還元法」で査定できます。具体的な計算式は下記の通りです。
※1 年間の純利益:「年間の賃料収入-経費」で算出する。
※2 還元利回り:物件の収益性を表す利率。周辺にある類似物件の「年間の純利益÷不動産価格」から予想するのが一般的。
例えば、アパートの年間純利益が200万円、還元利回りを5%とすると、価格は次のようになります。
上記の計算では、アパートの適正価格は4,000万円と予測できます。
ただし、正確な査定では物件の構造や劣化具合、地域の賃貸需要なども考慮するため、あくまで目安として用いましょう。
更地にしたほうが高く売れる場合もある
収益還元法では投資利益をもとに計算するため、空き室が多かったり、賃料の設定が低かったりすると、算出されるアパート価格は大幅に下がります。
そのため、物件によっては建物を解体し、更地にしたほうが高く売れる場合もあります。
例えば、アパートの年間純利益が100万円、還元利回りが6%の場合、収益還元法による査定価格は「100万円÷6%=1,666万円」です。
一方、土地面積が120㎡、地価が25万円/㎡であれば、更地にしたときの価格は「25万円×120㎡=3,000万円」です。仮に解体費用で300万円かかるとしても、更地にしたほうがお得になります。
ただし、これらの計算は予測であり、実際の不動産売買は「売主と買主の合意」が全てです。交渉次第で価格は変動するものなので、想定通りに売れるとは限らない点には注意しましょう。
「訳あり物件専門の買取業者」なら老朽化アパートも高く売れる
アパートの売却価格について解説しましたが、いくら計算上の価値があっても、実際に購入希望者が現れないと売却できません。
老朽化が激しいアパートの場合、いつまで経っても売却できず、もし買い手が見つかっても安く買い叩かれる恐れがあります。
そこでおすすめなのが「訳あり物件専門の買取業者」という、物件を自社で直接買い取る不動産業者です。
不動産業者が直接買い取るので最短2日での現金化も可能ですし、老朽化アパートのような訳あり物件でも再生・活用する知識があるため、高額買取が可能です。
「売却に手間をかけたくない」「なるべく高く売りたい」という人は、ぜひ訳あり物件専門の買取業者に相談してみましょう。老朽化したアパートでも積極的に買い取ってもらえます。
老朽化アパート を「相続したまま放置」はNG
アパートを相続したものの、各種手続きが面倒で放置してしまう人もいます。しかし、老朽化アパートを相続したまま放置するのは非常に危険です。
管理を怠り、そのせいで入居者や近隣の人に被害を与えてしまった場合、損害賠償責任などを問われることになります。
また、仮に入居者がゼロの場合、自治体から「特定空家」に指定されることで、想定外のコストが発生するかもしれません。
相続したからには、資産価値のないアパートでも管理責任が発生することを覚えておきましょう。
雨漏りや倒壊が起きると損害賠償が発生する
老朽化したアパートでありがちなトラブルが、雨漏りや倒壊といった物理的な被害です。民法でも、入居者側の過失がない限り建物の修繕はオーナー側の義務と規定されています。
賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
例えば、雨漏りで家財道具に損害を与えた場合は弁償しなければいけませんし、壁や屋根の倒壊で誰かが怪我をしたら治療費や入院中の収入を支払わなければいけません。
こうした賠償責任を避けるには、相続後なるべく早くに必要な修繕をおこなうか、売却でアパートを手放すようにしましょう。
全戸空室の場合は「特定空家」に指定されるリスクがある
全戸空室の状態で、衛生面、景観などなんらかの問題があるアパートは、自治体から「特定空家」に指定される恐れがあります。
特定空家に指定されると、住宅用地特例から除外されて固定資産税が高くなったり、50万円以下の過料が科される可能性があります。
最終的には強制的な解体(大抵は相場より高額な解体費用がオーナーに請求される)にもなるため、特定空家に指定されると良いことはありません。
適切な管理をおこなうか、早めに売却して管理責任をなくしてしまいましょう。
アパートが不要なら相続放棄もあり?
老朽化アパートの処分方法として売却を解説しましたが、相続が発生したときに「相続放棄」をするという方法もあります。
相続放棄とは、その名の通り相続する権利を放棄するというもので、放棄した人は「最初から相続人ではなかった」とみなされます。
「売却手続きも面倒くさい」「一時的でもアパートの管理責任を負うのは嫌だ」という人なら選択肢になりますが、デメリットもあるため誰にでもおすすめできる方法ではありません。
相続放棄が有効な状況や、デメリットについて見ていきましょう。
相続財産に借金が多い場合は相続放棄も有効
相続放棄でもっとも大きなメリットが「マイナスの相続財産も放棄できる」という点です。
財産を相続すると、借金や連帯保証人の地位も引き継ぐ必要があるため、プラスの財産よりマイナスの財産が多い場合は損にしかなりません。
相続放棄をすれば相続財産はすべて手放すことになるため、マイナス分で損失を受けることを防げます。逆にいえば、トータルでプラスの財産が多いのであれば相続したほうがお得となります。
不要なアパートでも相続後に売却すれば現金化できるので、マイナスの財産が少ないのであれば相続する価値があるでしょう。
老朽化アパートのみを相続放棄の対象にはできない
マイナスの財産が多いときには有効な相続放棄ですが、デメリットとしては「特定の財産だけ放棄することはできない」点があげられます。
つまり、老朽化したアパートだけではなく、必ずすべての財産を放棄しなければいけないのです。
アパート以外に相続したい財産がある場合は相続放棄をせずに、後から不要な財産だけ売却するようにしましょう。
アパートの相続税は土地と建物を分けて計算する
アパートの相続で発生する費用に「相続税」があります。相続税では売買と違う基準で資産価値を図るため、老朽化していても一定の出費になるので注意しましょう。
アパートに限らず、不動産の相続では土地と建物でそれぞれ異なる計算をおこないます。相続人の人数や各種特例も関わってくるので、実際の計算は複雑です。
基本的な計算方法について解説しますが、確実な申告をおこなうためにも税理士に依頼することをおすすめします。
相続税の計算方法【基礎控除と税率】
相続税を計算するときは、最初に下記の計算式で基礎控除を算出しましょう。
※法定相続人:配偶者や子供、直系尊属(親や祖父母)など
相続財産が基礎控除以下であれば、相続税はかかりません。例えば法定相続人が3人いれば「3,000万円+ 600万円×3人=4,800万円」までは非課税となります。
基礎控除を算出したら、次の手順で計算をおこないます。
- 課税遺産総額を法定相続分で取得したとして分割
- 上記の想定で各相続人の相続税額を計算
- 上記の相続税額を合算
- 上記で合算した相続税額を、各相続人が実際に取得した相続割合に応じて分割
上記の手順2で相続税額を計算するときは、下記の利率と控除額が適用されます。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | 0円 |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円以上 | 55% | 7,200万円 |
このように、相続税は複雑な計算が必要となります。
参照:国税庁「相続税の計算」
参照:国税庁「相続税の税率」
アパートの相続税シミュレーション
ここからは、単純化した条件で相続税をシミュレーションしてみます。簡易的な計算例なので、あくまで目安程度に考えてください。
- 土地の課税評価額:3,000万円
- 建物の課税評価額:2,500万円
- 相続人:1人
相続人が1人なので基礎控除額は3,600万円となり、土地+建物の評価額が5,500万円なので合計の課税評価額は「5,500万円-3,600万円=1,900万円」となります。
速算表の税率15%、控除50万円が適用されるため「(1,900万円-50万円)×15%=277万5,000円」となり、他に相続人がいないためこの金額がそのまま課税される相続税となります。
まとめ
老朽化したアパートを相続したとき、そのまま賃貸経営を続けるためには高額の資金と長期的な運用計画が必要となります。
資金に余裕がない場合や、管理が面倒な場合は、売却して手放してしまうことを検討しましょう。
老朽化が激しいアパートでも、訳あり物件専門の買取業者ならスピーディーかつ高額での買取が可能です。
まずは無料査定を利用して、どれくらいの価格になるか調べてみることをおすすめします。
アパートの相続についてよくある質問
賃料収入が見込めるならそのまま運用するのも良いですが、リフォームなどで多額の資金が必要だったり、長期的な運用計画を立てたりする必要があります。コストと手間を避けるなら、売却して現金化すると良いでしょう。
あくまで目安ですが、リフォームなら100万円~、建て替えなら2,000万円以上の費用はかかるでしょう。
はい、可能です。売りにくくはありますが、訳あり物件専門の買取業者に依頼すれば最短2日で高額買取してもらえる可能性もあります。→【老朽化アパートでも高値で売却!】訳あり物件の買取相談窓口はこちら
「収益還元法」という方法で算出可能です。「年間の純利益÷還元利回り」という計算式で、おおよその売却価格を査定できます。
相続放棄はすべての相続財産を放棄する必要があるので、アパート以外の財産も不要なら選択肢に上がります。ただし、相続財産がトータルでマイナスにならないのであれば、一旦相続してから売却したほうがお得です。
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