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老朽化は収益物件立ち退きの正当事由になるのか?トラブルを起こさない進め方を解説

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アパートの老朽化は、築30年を超えたあたりから顕著になります。建物自体の寿命を迎えることは避けられないため、老朽化による建て替えは避けて通れないものです。

しかし、ここで問題となるのが入居者にどのように立ち退きをしてもらうかです。古いアパートなどには長年居住している高齢者が多く、立ち退きを拒み居座るケースも少なくありません。

さらに、借地借家法では入居者が基本保護されるルールとなっているため、家主は正当事由のもと適正に立ち退きを請求する必要があります。

老朽化による建て替えは、立ち退きの正当事由として認められます。しかし、無条件で強制退去をできるわけではないので、入居者との交渉は必須です。

この記事では、トラブルを起こさない立ち退き交渉の進め方や立ち退き料などについて解説していきます。

建物老朽化は立ち退きの正当事由になるのか?

建物は定期的にメンテナンスを行えば、建物の状態を良好に保つことができますが、メンテナンスを怠れば建物自体の寿命が短くなり短期間でも経年劣化が進むことがあります。よって、同じ建物でも老朽化のスピードは異なるケースが多くあります。

建物が老朽化したら、利用者の安全性を損なう可能性があり建て替えが必要となりますが、「老朽化したから」だけで正当事由として認められるのでしょうか?以下に、詳細を解説していきます。

建物老朽化による立ち退き要求は正当事由として認められる

建物老朽化による立ち退き要求は、正当事由として認められます。しかし、正当事由として認められるには、日常的な維持管理などを適正に行っているかなどが条件となります。仮に、外壁の補修や設備の交換工事など、適正なメンテナンスを怠っている状態の場合、過去の判例では正当事由として認められていないケースがあります。

正当事由として認めてもらうポイント3つ

以下に挙げたのは、老朽化による建て替えが正当事由として認められるポイントになります。各々、解説していきます。

  • ①日常的な維持管理を行う
  • ②耐震補強などの安全対策をしっかりと講じている
  • ③立ち退き料を支払うことができる
①日常的な維持管理を行う

一つ目は、日常的な維持管理をしっかりと行っていることです。

建物は築年数が経過すれば、さまざまな個所に傷みが生じます。これら不具合箇所を放置せずに、メンテナンス工事を行っていることが必要となります。

建物は適正な維持管理をすれば、法定耐用年数以上に使用することは容易で、建物寿命を延ばすことは可能です。外壁・屋根・床下・共用部分・内装・水回り・配管など、特に長期間の使用で傷みが生じやすい箇所は、定期的な検査とメンテナンス工事が必要になります。

②耐震補強などの安全対策をしっかりと講じている

二つ目は、耐震補強など建物の安全対策をしっかりと講じているかになります。

外壁の補強、柱の補強、開口部の補強、建物重量自体の軽減など、地震に対する安全対策は数多くあります。これら耐震補強工事は、多額の工事費用が掛かるため、賃貸経営の収支を考慮し、二の足を踏む家主も多いようです。

しかし、大きな地震が起きた場合、耐震補強を建物に施していたか否かで建物自体に与えられるダメージには相当な違いあります。長期間アパートを所有していたら、大きな地震が起きる可能性は非常に高く、耐震性のある住宅を提供することは入居者の安全性を考えると必然となります。

よって、建物の安全対策は事前に講じているものの、建物自体の寿命が到来したため、建て替えが必要であると正当性を主張できます。

③立ち退き料を支払うことができる

三つ目は、立ち退き料を支払うことができるかです。

入居者を立ち退きさせる正当事由を補完する目的で、立ち退き料の支払いがあります。立ち退き料は、本来支払う必要のないものです。しかし、入居者としては望まない立ち退きを進めるには、実際に立ち退きに掛かる費用負担と立ち退きによる迷惑料を負担するしかありません。これにより、立ち退き交渉自体がスムーズに進むことが大半です。

よって、このような立ち退き料を支払える体制であることが、正当事由が認められる最も重要なポイントになります。

老朽化以外で立ち退きの正当事由になるもの

ここでは、建物老朽化以外で立ち退きの正当事由として認められる項目について、紹介していきます。

  • ①周辺の再開発
  • ②家主本人が使用するため

①周辺の再開発

まずは、周辺の再開発エリアに入っていることです。

再開発は、東京都内などで利用者が多い駅周辺で行わるケースが良くあります。再開発エリアに入り家主が土地の明け渡しに合意すると、期日までに建物を撤去しなければなりません。当然に、そこに住む人も立ち退きを強いられることになります。

②家主本人が使用するため

次に、家主本人が使用したいときです。

家主の家族や親戚を所有するアパートに住まわせたい場合に、立ち退きを強いられることがあります。こちらは100%家主の都合となるため、高額の立ち退き料を請求される可能性があります。

老朽化による建て替えでも正当事由が必要になる理由

老朽化による建て替えは、賃貸経営では必要な手段です。建物自体の安全性や耐震性が増すこと、内装や設備が最新となり住環境が良くなること、新築となることで家賃を上げることができるなど、建て替えを行うことでさまざまなメリットが生じます。

一方で、老朽化による建て替えは家主の都合で行われることから、入居者を説得し立ち退きを了承させる正当事由が必要になります。では、なぜ建て替えによる立ち退きで入居者に対し、改めて正当事由を主張する必要があるのでしょうか?

入居者は原則借地借家法に守られているから

正当事由が必要な理由は、入居者は借地借家法により保護されているからです。

借地借家法では、原則賃借人が退去の意思を示さない限り、契約を更新できるとされています。つまり、家主が契約更新を拒みたくても、入居者に更新する意思があれば賃貸借契約の更新は可能です。

入居者は法律のルールにより居住できる権利が守られているため、その権利を打ち破るには正当性の高い理由が必要となります。その一つが今回取り上げている、「老朽化」です。なお、入居者は家主からの立ち退き要求を拒否することができます。

よって、強い法的な権利がある入居者を説得するには、法律のプロである弁護士が交渉を行うことが一般的となっています。

借主が契約違反をすると正当事由なく立ち退き要求は可能

なお、借地借家法で守られている入居者ですが、契約違反を起こしている場合については例外です。

契約違反とは、家賃の滞納、無許可での転貸、居住用以外での部屋の使用などになります。また、隣接世帯へ騒音や嫌がらせなどのトラブルを起こすことやゴミ出しなどのマナーが悪く再三の注意するも改善する見込みがないなども、賃貸借契約では重大な契約違反となります。

よって、家主は契約違反をした入居者を、正当事由なく強制退去させることができます。

立ち退きには正当事由のほか立ち退き料も必要

立ち退きには、正当事由のほか立ち退き料も必要となります。立ち退き料の額は、一般的に相場や決められた金額は特にありませんが、大概は家賃の6カ月~12カ月分相当程度となります

なお、立ち退きの事例によってはこれ以上になることもあり、100万円~150万円程度の補償になるケースもあります。

立ち退き料の内訳

一般的に設定される立ち退き料には、どのような項目が含まれているのでしょうか?以下に、代表的な4点を挙げ解説していきます。

  • ①引っ越し費用
  • ②転居先の確保費用
  • ③インターネットなどの住環境整備費用
  • ④迷惑料

①引っ越し費用

まずは、引っ越しの費用です。

立ち退きで掛かる引っ越し費用全てを負担します。立ち退き交渉では、引っ越し費用を負担すること以外に引っ越し会社の紹介や、引っ越しプランを最も良いグレードにするなども交渉次第では必要になるケースもあります。

②転居先の確保費用

続いて、転居先の確保費用です。

転居先の確保には、敷金・礼金・仲介手数料で5か月分の家賃相当費用が必要になります。また、高齢者の場合、民間の賃貸住宅では入居NGの物件が多く、転居先の確保自体に苦労することがあります。市営や県営、UR賃貸住宅など、高齢者でも入居しやすい物件に必ず空きがあるとは限りません。

よって、立ち退き交渉を始める前から、高齢者でも入居しやすい物件を幾つかピックアップしておくのが良いでしょう。

③インターネットなどの住環境整備費用

次に、インターネットなどの住環境整備費用の負担です。ネット回線の移転費用や整備費用など、必要な費用を負担します。

④迷惑料

最後に、迷惑料です。

立ち退き料は立ち退きに掛かった実費の他に、迷惑料が幾らになるかで実質的な負担額が決まってきます。

迷惑料は実際に掛かった金額ではなく、入居者が立ち退きにより被った何かしらの損害に対し金額を算出するものです。よって、迷惑料は双方が納得する金額となるため、立ち退き交渉ごとに金額にバラツキがあります。

立ち退き料の相場や決め方

立ち退き料に相場はなく、立ち退き交渉毎に異なるというのが正確な見解となります。

なお、立ち退き料の目安としては、家賃の6か月分から12か月相当分になります。しかし、実際に掛かる立ち退き料は、先述にて紹介した「立ち退きに掛かる経費+迷惑料」となり、この迷惑料を幾らに設定するかで立ち退き料は変わります

さらに、立ち退き料の金額を大きく左右する迷惑料は、立ち退きをさせたいスピード感により変わるケースがあります。例えば、家主が建て替えを急ぐ場合には立ち退き交渉もスピーディーに行う必要があります。よって、家賃の12か月分を超える金額を提示し、早期解決を図ることもあります。

立ち退き請求の進め方

ここまで、老朽化による建て替えに正当事由が必要な理由や立ち退き料についてなどを解説してきました。ここからは、実際に立ち退きを進める手順について紹介していきます。

  • ①弁護士に相談する
  • ②立ち退き要求の通知を書面で送付する
  • ③立ち退き交渉を行う
  • ④立ち退きの合意文書を締結する
  • ⑤立ち退き料を支払い、入居者には速やかに退去してもらう

①弁護士に相談する

まずは、弁護士に相談します。

立ち退き交渉は、法律に詳しい弁護士に依頼するのが一般的です。なお、立ち退き交渉には一定のノウハウと経験が必須となります。過去に立ち退き交渉の回数や経験が多い弁護士ほど、立ち退き交渉では優位に展開できる可能性があります。よって、弁護士は立ち退き交渉の経験値が高い人を選任します。

弁護士と入居者間の話し合いで立ち退きに合意するのが最も良い方法

立ち退き交渉は、弁護士と入居者間の話し合いで合意するのが最もスムーズに進む方法となります。

まず、家主は法律に詳しくないことで、交渉を論理的に展開することが難しくなります。また、当事者間の話し合いになると、感情などのもつれから収拾がつかなくなる可能性もあります。

このようになると、次回以降の交渉が難しくなり、立ち退きの話し自体が実質的に暗礁に乗り上げることにもなりかねません。立ち退き交渉が進まずに入居者に居座られることで、当初予定した建て替え計画や賃貸経営的に大きな影響を及ぼします。よって、立ち退き交渉は家主の代理として弁護士が行う、ということになります。

②立ち退き要求の通知を書面で送付する

弁護士と立ち退き交渉について契約を結べたら、次は入居者に対し建て替えによる立ち退き要求を書面で送付します。この書面は、契約満了日の半年から1年前を目途に行います。

理由は、立ち退き交渉は直ぐには纏まらないこと、立ち退きに合意し引っ越しするには時間が掛かる、からです。つまり、仮に契約満了日の2か月前に立ち退きを通知しても、入居者側がそもそも対応できないケースがあります。よって、通知は早めに行うことになります。

③立ち退き交渉を行う

書面が到着したころに、弁護士は立ち退き交渉する当事者に連絡を入れ、実際に交渉する日程などを決めていきます。その後、指定した日時にて立ち退き交渉を対面にて行っていきます。

立ち退き交渉では、まず建て替えに至る経緯の説明、立ち退きの具体的な時期、立ち退き料として支払う金額と内訳などを提示していきます。当然に交渉が1回で終わることはなく、何度も交渉を重ね妥協点を見つけていくことが最大の作業です。

④立ち退きの合意文書を締結する

立ち退き交渉が纏まれば、立ち退きの合意文書を作成し締結します。この文書には、立ち退きについて入居者が合意した旨を表する内容、立ち退きの時期と立ち退き料の金額、立ち退き料以外の取り決めがあれば特約として記載することがあります。

⑤立ち退き料を支払い、入居者には速やかに退去してもらう

最後に、指定の期日に家主は立ち退き料を振込み、入居者には速やかに退去してもらいカギの返却を受けます。立ち退き交渉が全て完了したら、弁護士には予め決められた成功報酬が支払われます。

立ち退き交渉や建て替えが面倒であれば訳あり物件専門業者への売却もおすすめ

建物の老朽化による建て替え及び入居者への立ち退き交渉は、時間と労力とお金が掛かり大変且つ面倒です。よって、老朽化しアパートなどを所有して困っていたり、建て替えや立ち退きは面倒、そもそも建て替え費用や立ち退き費用は捻出できないなど、があれば訳あり物件専門業者に売却するのがおすすめです

このような専門業者は、現況のまま買取りします。さらに、買取り即引き渡しと現金化できるのが魅力です。よって、建て替えの打ち合わせや立ち退き交渉する弁護士の手配などを行う必要がなく、余計な費用と負担が掛かることはありません。

老朽化したアパートなどの所有でお悩みや相談は、当社までお問合せください。

まとめ

老朽化が立ち退きの正当事由になるかは、日常の維持管理をしっかりと行っていること、立ち退き料を支払えることが認められる条件となります。なお、正当事由が必要な理由は、入居者は借地借家法により退去の意思を示す若しくは契約違反がない限り、原則住み続けることができるからです。

よって、法的には居住する権利を守られている入居者に家主の都合で立ち退きを要求するには、正当事由が認められるかがポイントになります。なお、老朽化した建物の建て替えや立ち退き交渉などが面倒であれば、訳あり物件を買い取る専門業者に売却するのがおすすめです。

「立ち退き 正当事由 老朽化」に関してよくある質問

アパートの老朽化は立ち退きの正当事由になるのか?

アパートの老朽化による立ち退きは正当事由になりますが、認められるには幾つか条件があります。

アパートの老朽化が立ち退きの正当事由として認められるには、どのような条件があるのか?

以下に挙げたものが、正当事由として認められる条件になります。

①日常的な維持管理を行う
②耐震補強などの安全対策をしっかりと講じている
③立ち退き料を支払うことができる

老朽化による建て替えでも正当事由が必要な理由は何か?

入居者は借地借家法により保護されているからです。
借地借家法では、原則賃借人が退去の意思を示さない限り、契約を更新できるとされています。つまり、家主が契約更新を拒みたくても、入居者に更新する意思があれば賃貸借契約の更新は可能です。
入居者は法律のルールにより居住できる権利が守られているため、その権利を打ち破るには正当性の高い理由が必要となります。

立ち退き請求はどのように進めるのか?

以下に挙げた順序で、立ち退き交渉を進めていきます。

①弁護士に相談する
②立ち退き要求の通知を書面で送付する
③立ち退き交渉を行う
④立ち退きの合意文書を締結する
⑤立ち退き料を支払い、入居者には速やかに退去してもらう

立ち退き料に相場はあるのか?その目安になる金額とは?

立ち退き料に相場はありません。立ち退き料の目安は、現家賃の6か月~12か月分相当となります。なお、立ち退き交渉次第では12か月分相当以上となることもあります。

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