瑕疵物件を売却するときの価格相場は?高値で売るための対策も解説

瑕疵物件 売却 価格相場

損傷の激しい物件や、過去に自殺があった物件など、問題を抱えた不動産を「瑕疵(かし)物件」といいます。瑕疵とは、不具合や欠陥・欠点という意味です。

瑕疵物件でも売却は可能ですが、需要が低くなるため買主を見つけるのがむずかしく、通常の物件と比べて価格相場も下がります。

瑕疵物件をなるべく高く売るためには、瑕疵の内容ごとに変わる価格相場を把握し、その上で適切な対策を取ることが大切です。

また、瑕疵物件の売却は「訳あり物件専門の買取業者」に相談するのもおすすめです。訳あり物件専門の買取業者なら、瑕疵物件を収益化する方法を熟知しているため、高値での買取も可能です。

まずは無料査定を利用して、売却予定の瑕疵物件がいくらになるか調べてみましょう。

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この記事のポイント

  • 不動産の瑕疵は4種類あり、どの瑕疵に当てはまるかで価格への影響も変わる。
  • 訳あり物件専門の買取業者なら、瑕疵物件でも高額・スピード買取が可能。
  • 瑕疵物件の売却時は、告知義務を怠ると損害賠償や契約解除が発生する恐れがある。

目次

【瑕疵の種類別】瑕疵物件を売却するときの価格相場

瑕疵物件の売却価格の相場は、瑕疵の内容によって大きく異なります。

瑕疵物件にもさまざまな種類があり、大きくわけると下記の4つとなります。

瑕疵の種類 内容
心理的瑕疵物件 自殺や他殺・孤独死など、人死があって心理的な嫌悪感がある物件。
物理的瑕疵物件 雨漏りや家の傾き・地盤沈下など、物理的な問題がある物件。
法的瑕疵物件 建築基準法や都市計画法など、法律関係の規制に違反している物件。
環境的瑕疵物件 近隣に火葬場・ゴミ処理場などの嫌悪施設がある物件。

瑕疵の種類によって買主に与える物件の印象が変わるため、価格相場にも違いが生まれます。

心理的瑕疵物件|通常の「約50~90%」が価格相場

心理的瑕疵物件の価格相場は、通常の約50~90%と振り幅が大きくなります。これは、心理的瑕疵の感じ方が人によって違うためです。

「人の死があったなんて不吉だ」と考える人もいれば、「きれいに清掃・リフォームされていれば気にしない」という人もいます。買主がどのように考えるかによって、売却価格も変わるのです。

また、殺人や心中など凄惨な事件であれば価格は下がりやすくなりますが、孤独死で発見も早かった場合など、ほとんど価格に影響しないケースもあります。

立地によっても違いがあり、もともと不動産需要の高い地域の場合、大きな値下げをしなくても売れやすい傾向にあります。

物理的瑕疵物件|通常の「約20~30%」が価格相場

物理的瑕疵のある物件の価格相場は通常の約20~30%と、瑕疵物件のなかでは最も安くなりやすい特徴があります。

物理的瑕疵は物件全体の性能や品質に関するトラブルなので、不動産の使用に支障をきたすと考えられるためです。

雨漏りやシロアリの被害・耐震性の不足・土壌汚染など、瑕疵の内容や被害規模によっては、入居者に大きな危険を及ぼす可能性があります。

直接的な被害のリスクが高いことから、売却価格も大きく下がってしまうのです。

修繕費を差し引くことで売却価格がわかる

物理的瑕疵物件の売却価格は、瑕疵のある部分や範囲を把握し、それらを修繕するためには費用がいくらかかるのか調べることでおおよその計算が可能です。

通常の不動産として売る場合の価格相場から、修繕に必要な費用を差し引くことで売却価格が予測できます。

自分で修繕してから売却する方法もありますが、そうなると修繕費用の持ち出しが必要です。手元に資金がない場合は、瑕疵物件のまま売却したほうがよいでしょう。

法的瑕疵物件|通常の「約50%」が価格相場

法的瑕疵とは、建築基準法や都市計画法、消防法など法律に違反している瑕疵を指します。

とくに多いのは「未接道物件」であるために再建築ができない状態の物件です。

未接道物件とは?
接道義務に違反している物件。接道義務とは「建物のある敷地は原則として幅員4m以上の道路に間口2m以上で接する」という建築基準法の規定。

接道義務を満たしていない物件は解体や建て替えができないため、不動産の利用や処分が大きく制限されます。詳しくは下記の関連記事でも解説しています。

未接道物件のような法的瑕疵があると、買主は住宅ローンの融資を受けられないというデメリットもあります。

買主は現金で購入する必要があることも法的瑕疵物件の売却価格を下げる原因となり、価格相場は通常の50%程度となります。

参照:e-Govポータル「建築基準法第42条、43条」

環境的瑕疵物件|通常の「約70~80%」が価格相場

環境的瑕疵とは、物件自体には問題がなくても物件周辺の環境に問題がある場合のことです。

具体的には、ゴミ屋敷が近くにあったり、線路に近いため音や振動が気になったりするなどが挙げられます。

ただし、臭いや音、振動などを不快に感じるかどうかは人それぞれです。そのため、物件に環境的瑕疵があるかどうかの判断は買主の主観によるところが大きくなります。

物件の利用自体には支障のないケースが多いため、価格相場も通常不動産の約70~80%と、値下げ幅が小さい傾向にあります。

瑕疵物件の売却方法は主に3つ

瑕疵物件を売却する方法は主に下記の3つです。

  • 瑕疵を残したまま通常の方法で売却する
  • リフォームをしてから売却する
  • 訳あり物件専門の買取業者へ現状のまま売却する

上記の販売方法から、瑕疵の内容や売却の目的によって適切なものを選びましょう。

瑕疵を残したまま通常の方法で売却する

瑕疵物件でも、買主が瑕疵物件であることに納得しているのであれば、瑕疵を残したままの売却も可能です。

ただし、瑕疵を残したまま売る場合は買主が見つからないリスクもあります。

一般的な不動産の売却方法である仲介では、不動産会社が一般の人から買主を探すことになります。しかし、例え売却価格が低くても瑕疵物件を進んで買う人は少数です。

そのため、通常の売却方法だと何年経っても売却できない恐れがあり、なるべく早く処分したい場合は他の売却方法を検討する必要があります。

リフォームをしてから売却する

心理的瑕疵や物理的瑕疵なら、リフォームをすることで売れやすくなるケースがあります。

設備や内容を最新のものに入れ替え、物件の資産価値を底上げすることで、高値で売却できる可能性もあるでしょう。

ただし、リフォームには数十万~数百万円の費用がかかるため、リフォーム後の売却価格を予想して、費用対効果を考慮する必要があります。

リフォーム費用をかけすぎて赤字にならないよう、不動産会社と相談して必要な箇所だけ手を加えることが大切です。

リフォームについては、下記の関連記事も参考にしてください。

訳あり物件専門の買取業者へ現状のまま売却する

「リフォームする資金がない」「手間なくすぐに売却したい」という場合は、訳あり物件専門の買取業者に売却するとよいでしょう。

買取業者は物件を直接買い取る不動産会社で、通常の不動産売却のように買主を探す手間がないため短期間での売却が可能です。早ければ2日程度で、瑕疵物件を現金化することもできるでしょう。

また、買取業者のなかでも瑕疵物件のような「訳あり物件」を専門に扱う不動産会社なら、買取後に自社で物件を再生・収益化する知識があるので、積極的に買い取ってもらえます。

査定価格がそのまま買取価格になるので、まずは無料査定を依頼してみましょう。金額に納得できればそのまま売却できるので、短期間で確実に瑕疵物件を売りたい人におすすめの方法です。

瑕疵物件を相場より高額で売却するための対策6つ

瑕疵物件は、適切な対策をすることで相場よりも高額で売却することが可能です。

瑕疵物件を相場よりも高額で売却するための対策は、下記の6つです。

  • 清掃やリフォームをしてから売却する
  • 事件・事故から期間をあけて売却する
  • 解体して更地として売却する
  • 瑕疵部分を修繕してから売却する
  • 賃貸物件として利用してから売却する
  • 実績豊富な買取業者へ売却する

上記6つの対策について解説します。

清掃やリフォームをしてから売却する

瑕疵物件で少しでも高額で売却したいのであれば、清掃・リフォームしてから売却しましょう。

とくに、心理的瑕疵物件は人死のあった物件であるため、シミや臭いなどが残っている場合は特殊清掃業者による清掃が必須です。

見た目の対策をしても相場価格で売却できるとは限りませんが、少しでも売却価格を上げることができるでしょう。

事件・事故から期間をあけて売却する

心理的瑕疵物件は、抵抗感を減らすために期間をあけて売却するのもおすすめです。

期間をあけることで心理的瑕疵の原因である事件・事故の記憶が風化し、借主や買主の抵抗感が減っていきます。

抵抗感を少しでも減らせる状態を作れば、売却価格を上げることもできるでしょう。

解体して更地として売却する

心理的瑕疵や物理的瑕疵などがある物件は、建物を解体して更地として売却すれば相場以上で売却できることがあります。

ただし、解体して更地にすることで、固定資産税の減額措置を受けられなくなり、解体前よりも税金を多く支払う必要が出てきます。

すぐに売却するか新しく物件を建てる予定がなければ、解体する時期は慎重に検討しましょう。

参照:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」

瑕疵部分を修繕してから売却する

物理的瑕疵であれば、瑕疵部分を修繕してから売却しましょう。

物理的瑕疵は、物件自体の性能や品質に問題がある瑕疵のため、それらを修繕することで売却価格を相場価格に近づけることが可能です。

また、修繕後には「建物状況調査」をおこなうことで、物理的瑕疵を解消した証拠となり売却しやすくなります。

参照:一般社団法人住宅あんしん検査「建物状況調査とは?」

賃貸物件として利用してから売却する

瑕疵物件を売却する際には、賃貸物件として貸し出してから売却することで、売却価格を上がられる可能性があります。

賃貸物件として人が借りるのであれば、投資物件として収益を得られるということです。

瑕疵の程度が「入居者が問題なく入る程度」なのであれば、不動産投資家としても投資をしやすくなるでしょう。

実績豊富な買取業者へ売却する

不動産会社を選ぶときに、実績豊富な買取業者を選ぶことも高値で売るコツの1つです。

瑕疵物件は取り扱いが特殊な物件になるので、運用・再販するには経験に培った専門知識が重要となります。

実績豊富な買取業者ほど買取後の収益化を効率的におこなえるため、自社のコストを抑えて買取価格を高値で設定できます。

そのため、実績の少ない業者より、専門的に瑕疵物件を取り扱う買取業者のほうが高額で売却できるのです。

優良な買取業者なら自社の買取実績を公開しているので、Webサイトなどでチェックしてみましょう。

瑕疵物件を売却する流れ

瑕疵物件を売却する方法は「仲介」と「買取」に分けられます。

仲介 不動産会社が買主を探す売却方法。
買取 不動産会社が物件を直接買い取る方法

それぞれの売却方法について、具体的な流れを解説していきます。

仲介で瑕疵物件を売却するの流れ

仲介の場合、基本的な売却の流れは以下の通りです。

  1. 仲介業者に査定を依頼
  2. 仲介業者と媒介契約を結び、売却活動を開始
  3. 買主が見つかれば、価格交渉などで売却条件を決定
  4. 双方合意の上、売買契約を結ぶ
  5. 物件を引き渡し、売却代金を受け取る

買主側から価格交渉を持ち出されるケースが多いので、最初の売り出し価格は若干高めに設定するのが一般的です。

仲介業者と媒介契約を結ぶときは、瑕疵について必ず相談しておきましょう。そうすれば、買主への説明は仲介業者の方でおこなってもらえます。

買取で瑕疵物件を売却する流れ

買取で瑕疵物件を売却する場合、具体的な流れは以下の通りです。

  1. 買取業者に査定を依頼
  2. 査定価格に納得できれば売買契約を結ぶ
  3. 物件を引き渡し、売却代金を受け取る

査定額がそのまま買取価格になるため、売却活動や価格交渉の手間を省けるのが特徴です。

仲介では売れなかった瑕疵物件でも買い取ってもらえる可能性が高いので、長期間売れ残っている物件でも気軽に相談してみましょう。

瑕疵物件の売却では告知義務に注意

仲介でも買取でも、瑕疵物件を売却する際には瑕疵があることを告知しなければいけません。

瑕疵物件の売却は売主に告知義務があり、瑕疵があることやその内容を買主に告知しなければ、トラブルの原因になります。

契約解除や慰謝料が発生する恐れもあるため、瑕疵物件の売却では細心の注意を払いましょう。

告知義務とは瑕疵の理由を相手に詳細に伝えること

告知義務とは、瑕疵がある場合にその事実を買主へ伝えなければならないという法律です。

告知義務は、宅建業法の47条1項に定められています。

宅地建物取引業法第47条1項
宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。(中略)
宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金、借賃等の対価の額若しくは支払方法その他の取引条件又は当該宅地建物取引業者若しくは取引の関係者の資力若しくは信用に関する事項であつて、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの

引用:e-Govポータル「宅地建物取引業法第47条1項」

宅地建物取引業者についての記載ですが、個人間の売買でも同様に告知義務があるとされます。

法律で定められているのはもちろんですが、将来のトラブルを防止したり公正な取引をおこなうためにも、瑕疵物件を売却する際には必ず相手に瑕疵の事実を伝えましょう。

瑕疵物件であることを告知せずに売却すると契約解除や損害賠償のリスクがある

瑕疵物件であることを告知せずに売却してしまうと契約不適合責任を問われ、契約の解除や損害賠償の請求が発生するかもしれません。

瑕疵物件であることを隠して売却できたとしても、売却後のトラブルの原因となる上に、損害賠償が発生してしまい経済的な負担も強いられます。

ただし、瑕疵が発生してから時間が経っている場合や、解体して瑕疵の原因となる事件・事故の場所を特定できない場合には、告知義務の消滅や減衰が認められます。

個々の物件状況によって告知義務の有無は異なるため、弁護士や不動産業者に逐一確認しておきましょう。

まとめ

瑕疵物件の売却価格相場や売却時の注意点、瑕疵物件を少しでも高額で売却する方法について解説しました。

瑕疵物件の売却価格は下がりやすいということもあり、売却価格を高くすることばかりを気にしてしまいがちです。

ただ、しっかりと告知義務を果たさなければ、自分自身が損をしてしまうかもしれません。

そのため、瑕疵物件を売却する際には売却価格だけでなく、トラブルにも注意して売却をおこないましょう。

瑕疵物件の売却と価格相場についてよくある質問

  • 瑕疵物件とはなんですか?

    瑕疵物件とは、なんらかの不具合や欠陥・欠点がある不動産を指します。「心理的瑕疵」「物理的瑕疵」「法的瑕疵」「環境的瑕疵」の4種類があります。

  • 瑕疵物件を売却するときの価格相場はどれくらいですか?

    瑕疵の種類と程度によって異なります。一般的な相場価格に対して20%まで下がることもあれば、90%程度で売れる場合もあります。物理的瑕疵とくに下がりやすく、相場価格の約20~30%になることが多くなります。個々の物件状況によるので、まずは不動産業者の査定を受けてみるとよいでしょう。

  • 瑕疵物件の売却価格を上げる方法はありますか?

    物件の清掃やリフォーム・修繕などをすると高値で売れる可能性が高くなります。しかし、数十万~数百万円の費用がかかる場合もあるので注意しましょう。

  • 瑕疵があることは買主に伝える必要がありますか?

    はい、買主に伝える必要があります。買主に瑕疵を隠したまま売却すると告知義務違反となり、損害賠償や契約解除を請求されてしまいます。

  • なるべく高く、スピーディーに瑕疵物件を売却する方法はありますか?

    一般的な物件を扱う大手不動産会社より「訳あり物件の専門買取業者」に依頼したほうが、高額かつ短期間での売却ができます。弁護士と連携しているところなら、権利関係の調整や法的トラブルのサポートも可能です。→【弁護士と連携!】訳あり物件の無料査定はこちら