郊外の一戸建てが売れない!売却のコツや注意点について解説

郊外エリアはかつて住宅用地として需要が高く、多くの人がマイホームを購入しました。しかし、社会のあり方が変化した現代、郊外の一戸建ては需要が下がっています。

人口減少が進む日本では、郊外の一戸建ては今後さらに売れなくなることが予想されます。そのため、なるべく早めに売却へ動き出したほうが良いでしょう。

郊外の一戸建てを売りやすくする方法はいくつかありますが、とくに効果的なのは「なるべく多くの不動産会社に査定してもらうこと」です。

不動産会社によって得意な地域や物件タイプが違うので、複数社を比較すれば好条件で売却できる不動産会社を見つけられます。

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この記事のポイント

  • 郊外の一戸建ては売りにくく、今後ますます売却は困難になる。
  • 一括査定の利用やリフォーム・リノベーションなど、工夫次第で売りやすくすることは可能。
  • 売却する家が空き家の場合、売る時期や売却までの管理に注意。

郊外の一戸建ては売却がむずかしい

郊外の一戸建ては売りにくいのが実情で、とくに中古の一戸建ては買い手を見つけられないケースが多くなります。

「新築信仰」という言葉もあるように、もともと日本の住宅需要には新しい家を好む傾向があります。中古というだけで売却価格は大きく下がるのが一般的です。

また、郊外にある一戸建ては次のような特徴を持つ家が多く、さらに需要を下げる要因となっています。

郊外の一戸建てが売れない要因
  • 築年数が古い
  • 土地が広すぎて管理の負担が大きい
  • 地域の高齢化・過疎化が進んでいる
  • 商業施設や病院などが少ない
  • 金融機関の評価が低いためローンを組みにくい

日本はすでに人口減少がはじまっており、少子高齢化の影響から今後も減り続けるのは確実です。

住むのに不便で将来的な価値の上昇が見込めない郊外の一戸建ては、これからますます売りにくくなる恐れがあります。

テレワーク普及による「郊外の一戸建て需要」は限定的

新型コロナウイルスの流行からテレワークが普及し、郊外に移住する人が増えているというニュースが時々聞かれます。

自宅で仕事をする人が増えた結果、住宅には「都市部の利便性」より、働くスペースを確保するための「広さ」を求めるようになったという意見です。

しかし、実際の住宅流通量を見ると、郊外の住宅需要が一律で上がったとは断言できないと考えられます。

下記は、首都圏における令和2年度の既存住宅流通量(中古の戸建て・マンション等の売買件数)を推計したデータです。

既存住宅流通量の増減率(令和2年度)
推計エリア 件数(単位:千件) 前年比率
千葉県_千葉 26.4 8.90%
埼玉県_さいたま 9.7 2.70%
埼玉県_川口 7.2 2.60%
千葉県_松戸 7 0.20%
埼玉県_所沢 6.7 -0.30%
神奈川県_藤沢 4.1 -2.80%
千葉県_船橋 4.1 -3.70%
神奈川県_横浜 3.7 -3.90%
神奈川県_川崎 3.6 -4.20%
千葉県_市川 3.4 -7.90%
東京都_府中 3 -8.00%
埼玉県_志木 3 -10.60%
千葉県_柏 2.8 -11.90%
東京都_西東京 2.6 -15.70%
東京都_立川 2.5 -16.80%
東京都_町田 1.8 -22.10%

参照:一般社団法人 不動産流通経営協会「既存住宅流通量の地域別推計について〈R02(暫定)既存住宅流通量および前年からの増減率〉」

上記のデータを見ると、既存住宅の流通量が前年比で増えたのはわずか4エリアのみです。ほとんどのエリアでマイナスとなっています。

既存住宅流通比率(新築も含めたすべての住宅流通量に対する比率)を見ても微増減や横ばいが多く、コロナ禍で郊外の住宅需要が劇的に変化したとはいえない状況です。

人口減少で郊外の一戸建ては今後ますます売りにくくなる

日本の人口減少は今後も進行し、ピーク時は1億2,000万人を超えていたものの、いずれは8,000万人台になると予想されています。

日本の将来推計人口(平成29年推計)

引用:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計) 結果の概要 図1-1 総人口の推移」

人口が減少すれば、単純に住宅を買う人も減っていきます。施設や生活保障の充実している都市部に人が集まる一方、郊外に住む人は少なくなっていくでしょう。

現状でも売りにくい郊外の一戸建てが、今後ますます売れなくなってしまうかもしれません。そうなると、家を残して困るのは将来的に引き継ぐ子どもや孫となります。

子・孫世代に迷惑をかけないためにも、郊外の家はなるべく早いうちに売ってしまったほうが良いでしょう。

郊外の一戸建てを売りやすくする方法

なかなか売れない郊外の一戸建てを売りやすくする対策としては、次のような方法が考えられます。

  • 一括査定で複数の不動産会社に査定を依頼する
  • 不動産需要が増える時期に売り出してみる
  • 劣化箇所の修繕や耐震工事をしておく
  • リフォームやリノベーションで一戸建ての魅力を上げる
  • 更地にして売り出す
  • 地元の住民に売却を打診してみる

多額の費用が発生する方法もあるので、手元の資金や「いつまでに売りたいか」など自分の状況・希望に合わせて検討してみましょう。

次の項目から、各方法をそれぞれ詳しく解説していきます。

一括査定で複数の不動産会社に査定を依頼する

不動産の売却は、依頼する不動産会社の手腕に大きく左右されます。半年~1年以上も売れない場合、不動産会社の営業力が足りないかもしれません。

そういうときは不動産会社を切り替えるのが効果的な対策ですが、数ある不動産会社を1社ずつ調べるのは大変ですし、優良な不動産会社の基準がわからない人も多いでしょう。

そこでおすすめなのが、オンラインの一括査定を使い、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼する方法です。複数の査定額を比較することで相場がわかり、条件の良い不動産会社も見つけられます。

とくに、下記リンクから利用できるイエウールの一括査定では、大手企業から地元密着型の中小企業まで、全国の不動産会社から最大6社まで査定してもらえます。

自社で物件を直接購入する「買取業者」も参画しているので、早ければ数日間での売却も可能です。家が売ろうとしている人や売れずに困っている人は、ぜひ活用してみましょう。

不動産需要が増える時期に売り出してみる

売り出す時期についても工夫してみましょう。タイミングが悪いと、買主を見つけるのがむずかしくなります。

例えば、転勤などが多い春や秋は不動産取引が活発になります。こうした時期に売り出せば、需要の高さから売れやすくなるでしょう。

一方、地域や季節による影響もあります。冬の北海道では路面の凍結や大雪、夏の九州・四国では台風と、天候によって不動産の内覧が困難になるため、需要が下がりやすくなるのです。

タイミングが悪く売れ残っている物件は、一度募集を取り下げて、春・秋に再度売り出すことを検討してみましょう。需要のピーク時に「新規売り出し物件」としたほうが、買主の興味を引きやすくなります。

劣化箇所の修繕や耐震工事をしておく

郊外の一戸建ては建築から20~30年以上経っている家も多く、それだけ築年数が古いと経年劣化も進みます。

買主にとって家の劣化・損傷は避けたいポイントなので、事前に修繕しておくことで売りやすくできるでしょう。

また、1981年5月31日までに建築確認を申請した家は旧耐震基準となっており、大規模な地震に耐えられない可能性があります。

耐震基準は工事で改善することが可能なので、築古の家なら売却前の耐震工事を検討してみましょう。

リフォームやリノベーションで一戸建ての魅力を上げる

リフォームやリノベーションで家を改良し、家の魅力を高めるという方法もあります。

外壁の塗り直しや壁紙の張替えといったものから、間取りの変更、水回り設備の入れ替えなど、アイディア次第でさまざまな工夫ができるでしょう。

ただし、リフォームやリノベーションには費用がかかるため、費用対効果も考えなければいけません。

大規模なリフォームだと数百万円かかる場合もあるので、赤字にならないよう不動産会社としっかり相談してから進めましょう。

更地にして売り出す

木造一戸建ての場合、建物部分の市場価値は一般的に約20年でなくなるといわれています。家の価値がなくなると、売買は土地のみの値段で取引されます。

建物の資産価値がゼロであれば、「建物はいらないけど土地のみ欲しい」という買主もいるでしょう。そうした需要のために、場合によっては建物を解体したほうが売れやすくなります。

ただし、解体にも数十万~数百万円の費用がかかるうえ、今度は「建物部分も欲しかった」という需要を逃してしまいます。

どちらの需要も逃したくない場合は、「更地渡し可」という条件も検討しましょう。これは建物を残したまま、買主が希望した場合のみ売主負担で更地化するという条件です。

「土地のみ欲しい人」と「建物部分も欲しい人」の両方にアプローチできるため売りやすくなり、意味のない解体で費用をかけるという事態も防ぐことが可能です。

地元の住民に売却を打診してみる

売却先として、地元の住民に交渉を持ちかけるという方法もあります。

もともとその地域に住んでいる人なら、駐車場や資材置き場、子供世帯の住居など、なんらかの利用価値を見いだせるかもしれません。需要がうまくマッチすれば、スムーズに売却できるでしょう。

ただし、当然ながら価格やその他条件の交渉が必要ですし、そもそも相手に買取意思がなければ実現不可能な方法です。

交渉を持ちかけるときは焦らず、良好な関係を保ちながら話し合うことを意識しましょう。

郊外の一戸建てを売るときの注意点

郊外の一戸建てを売るにあたって注意したいのは、売却時期や売れるまでの管理です。だれも住んでいない家の場合、「焦って売る必要はない」と放置してしまうケースがあります。

しかし、一戸建てがすでに空き家となっている場合、売却時期や管理次第では損失が生じるかもしれないので注意が必要です。

すでに引っ越している人や、相続で空き家を引き継いだという人は、売却するならできるだけ早めに動き出したほうが良いでしょう。

相続した家は「相続から3年」で税金が変わる

相続した家を売る場合、次の要件にあてはまれば譲渡所得税の3,000万円控除が受けられます。

特例を受けるための要件(要点のみ抜粋)
  • 昭和56年5月31日以前に建築された
  • 相続直前に被相続人以外で居住をしていた人がいなかった
  • 相続から売却までだれも使っていない
  • 一定の耐震基準を満たしている
  • 売却代金が1億円以下

これらの要件にあてはまれば、譲渡所得(課税の対象価額)から最大3,000万円まで控除されます。

この特例の期限が「相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」なので、節税するには3年以内の売却が必要となります。

「相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」とは?
例えば、2022年6月6日に被相続人が死亡した(相続がはじまった)場合、3年を経過する日は2025年6月5日です。その日が属する年は2025年なので、期限は「2025年12月31日まで」となります。

参照:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

空き家のまま放置していると罰則を科される恐れがある

「空家等対策の推進に関する特別措置法」という法律では、空き家に対して適切な管理をおこない、防災、衛生、景観などの生活環境を守るためのルールが定められています。

この法律によると、適切な管理がされず周囲に悪影響をおよぼす空き家は「特定空家等」に指定されることになります。

「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。

引用:e-Govポータル「空家等対策の推進に関する特別措置法 第2条第1項」

特定空家等に指定されると自治体から改善の助言・指導がされ、それも無視し続けると勧告や命令、行政代執行と処置が厳しくなっていきます。

  1. 勧告→住宅用地特例の解除(敷地の固定資産税が高くなる)
  2. 命令→違反すると50万円の過料
  3. 行政代執行→強制解体(費用は所有者負担)

強制解体になると自分で解体業者を選べないので、相場より割高の費用を請求されるかもしれません。

だれも使わないからといって放置せず、売却できるまでは周辺に迷惑をかけないよう適切に家を管理しましょう。

参照:NPO法人空家・空地管理センター「特定空家とは」

どうしても売却できない一戸建ての処分方法

売却活動を続けているものの、どうしても買い手が付かない場合もあるでしょう。なにをしても売却が困難な場合、代わりに次のような処分方法があります。

  • 自治体やNPO法人などに寄付する
  • 相続放棄をする【相続で家を取得する場合】

売却したほうが利益を得られる分おすすめですが、どうしても売れない場合の選択肢として、これらの方法も押さえておきましょう。

自治体やNPO法人などに寄付する

一部の自治体やNPO法人では、不動産の寄付を受け付けている場合があります。

自治体の場合、寄付を受け付けているかどうかは地域によるため、まずは役所の不動産に関する窓口へ相談しましょう。

NPO法人については、例えば「NPO法人 住宅支援相談センター」という団体が寄付を受け入れています。

所在地や建物の劣化具合などいくつかの条件はありますが、買い手が見つからない不動産でも手放せる可能性があるため、処分に困っているときは検討してみましょう。

相続放棄をする【相続で家を取得する場合】

相続でこれから家を取得する場合、相続放棄をおこなうという方法もあります。

相続放棄をすれば「最初から相続人ではなかった」とみなされるため、家の管理責任を免れることが可能です。

ただし、相続放棄はすべての相続財産を手放す必要があるため、現金なども一緒に放棄する必要があります。家以外にも相続財産がある場合、損となってしまうでしょう。

また、自分以外に相続人がいない場合、相続財産管理人の選任が必要です。選任には50万~100万円の費用が必要なので、金銭的な負担が発生します。

相続放棄については関連記事でも解説しているので、詳しくはこちらを参考にしてください。

まとめ

テレワークの普及などで一部の不動産需要に変化はありますが、郊外の一戸建てが売りにくいという実情は今後も変わらないと考えられます。

むしろ、少子高齢化や人口減少を考えると、将来的にますます売りにくくなる可能性があります。子どもや孫の負担とならないよう、売却するなら早めに動き出すのが得策です。

郊外の一戸建てを売りやすくする対策としては、一括査定で複数の不動産会社に査定してもらったり、リフォームやリノベーションで一戸建ての魅力を上げるなどの方法があります。

郊外の一戸建てでも工夫次第で売れる可能性はあるので、諦めずにさまざまな対策を打っていきましょう。

家の売却についてよくある質問

  • 家を売りたい場合、売却期間はどれくらいが一般的ですか?

    個々の条件によるため一概にはいえませんが、おおむね3ヶ月程度が一般的です。

  • 今後の不動産需要で、郊外の一戸建てが売りやすくなることはありますか?

    テレワークの普及により一部で需要の変化はありますが、全体としては大きく改善しないと考えられます。むしろ、人口減少などにより郊外の一戸建てはますます売りにくくなる恐れがあります。

  • 1年以上家が売れ残っている場合、どんな理由が考えられますか?

    代表的な例だと「売り出し価格が高い」「家の劣化や損傷が激しい」「立地や土地の形状が悪い」「不動産会社の営業方法に問題がある」といった理由が考えられます。あてはまる理由に合わせて対策を講じましょう。

  • 家の適正価格を調べる方法はありますか?

    不動産ポータルサイトや国土交通省の「土地総合情報システム」を使って近隣の物件と比べるほか、一括査定で複数の不動産会社から査定してもらい、価格を比較する方法があります。一括査定ならオンラインで手軽に申し込めるので、手っ取り早く調べたいときはおすすめです。→【オンラインで価格がすぐわかる!】不動産の一括査定はこちら

  • 引っ越し前と後、どちらのほうが家を売りやすいでしょうか?

    引っ越し前後のどちらが売りやすいかは、個々の状況によるため一概にはいえません。一般的には、引っ越し後に売り出したほうが落ち着いて売却活動をおこなえる分、満足できる売買がしやすいでしょう。