二世帯住宅の中古物件が売れない!原因と売りやすくするコツを解説

二世帯住宅 売れない

二世帯住宅は、建築時の費用を親子で出費できることが負担が少なく、介護や子育ての環境を整えやすいというメリットがあります。

しかし、処分しようとすると「なかなか売れずに困ってしまう」といわれることも少なくありません。

実際、中古の二世帯住宅を購入する層は少ないため、スムーズに売却するためには状況に合わせた対策が重要です。

とくに大切なのは不動産会社選びで、二世帯住宅の売買実績が豊富な会社を見つけることが、売却の結果を左右します。

不動産会社を選ぶときは、一括査定でまとめて複数社に査定を依頼するのが効率的でおすすめです。簡単な入力で申し込めるので、手間なく優良な不動産会社を選別できます。

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この記事のポイント

  • 二世帯住宅はもともとの需要が少ない。
  • 中古物件だと最新のニーズに対応できない場合が多い。
  • リフォームなどの様々な工夫はあるが、「二世帯住宅の売買が得意な不動産会社」を見つけることが重要。

二世帯住宅の中古物件が売れない原因

二世帯住宅の中古物件が売れない原因としては、次の4つが考えられます。

  • 二世帯住宅の需要が少ない
  • ターゲットのニーズが細かい
  • 通常の物件より高い
  • 売却理由が「親の死」「離婚」などイメージが悪い

もともとの需要が少ないうえに、その他の要因が重なってますます売れなくなるのが実情です。

それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。

1.二世帯住宅の需要が少ない

戸建て全体の需要において、二世帯住宅を購入する割合はそれほど多くありません。

平成30年住生活総合調査では、「今後5年以内の住み替え意向のある世帯」と、「最近5年以内に住み替えた世帯」のそれぞれに住み替えの目的を調査しています(複数回答方式)。

そのうち、「家族等との同居・隣居・近居」を目的にあげた回答は、住み替え意向のある世帯が13.6%、住み替えた世帯は12%となっています。

平成30年住生活総合調査_住み替えの目的
画像引用:国土交通省「平成30年住生活総合調査(確報集計) 6 調査結果の公表」

また、「高齢期における子との住まい方(距離)の希望」という設問で、「子と同居する(二世帯住宅を含む)」と回答する割合は年々減っており、平成30年調査では11.6%という結果です。

平成30年住生活総合調査_高齢期における子との住まい方(距離)の希望
画像引用:国土交通省「平成30年住生活総合調査(確報集計) 6 調査結果の公表」

同居や隣居などに一定の需要は見られるものの、全体の傾向として少ないため、売却がむずかしくなるのです。

2.ターゲットのニーズが細かい

割合が少ないとはいえ、二世帯住宅を購入する世帯も存在します。それでも売却しにくいのは、購買層のニーズとマッチングしにくい点が大きな要因です。

二世帯住宅は世帯人数や介護の有無など、様々なことを考慮して建てられます。最初の居住者に最適化されるため、物件ごとに独自の個性が生まれ、普遍性が低くなってしまうのです。

また、生活スタイルは時代とともに変化するため、築年数の古い住宅ほど陳腐化して売りにくくなるのが一般的です。二世帯住宅も、建築当時と現在では求められるものが異なってきます。

購入希望者が現れても、その人のニーズに合わないことから購入を見送られることが多く、売却が困難になってしまいます。

3.通常の物件より高い

建築プランにもよりますが、二世帯住宅は工事費が高くなる傾向にあります。建築面積の広さや、各種設備のコストが二重にかかることなどが原因です。

中古物件の査定でも、再調達価格(同じ建物を現在もう一度建てたときに必要な費用)をベースにするのが基本なので、もとの工事費が高ければ査定額も高くなります。

売主としても「なるべく高く売りたい」「少しでも建築費用を回収したい」と考えるようになるため、結果的に「中古住宅としては割高な物件」になりがちなのです。

4.売却理由が「親の死」「離婚」などイメージが悪い

二世帯住宅は、高齢の親世帯と同居するケースが基本です。そのため、親の死亡を理由に売り出されるケースが多くなります。

住宅に「人死があった」というイメージがつくと、売却しにくくなります。たとえ事故物件(自殺や他殺があった物件)ではなくても、買主の印象が悪くなるかもしれません。

また、離婚で二世帯住宅に住む必要がなくなったという理由も、買主にとってはマイナスイメージとなり、購入をためらわせる要因になりえます。

中古の二世帯住宅は上記のような負の側面を感じさせることが多いため、どうしても敬遠されやすくなってしまうのです。

「売れない二世帯住宅の中古物件」をスムーズに売却するコツ8個

中古の二世帯住宅が売れない原因を解説しましたが、工夫次第ではスムーズに売ることも可能です。

具体的なコツとして、次の8つを紹介します。

  • 二世帯住宅の売却が得意な仲介業者を探す
  • 買取業者に直接買い取ってもらう
  • 相場より安く売り出す
  • ホームステージングをおこなう
  • リフォームして売り出す
  • 投資用物件として売り出す
  • 解体して売る
  • 古家つき土地として売り出す【築古の場合】

個々のケースで適切な方法は異なるので、状況に合わせて適切な方法を活用しましょう。

1.二世帯住宅の売却が得意な仲介業者を探す

仲介業者は、不動産会社のなかでも「売買をサポートして仲介手数料を得る業者」のことです。一般的に、不動産を売却するときは、大半の人が仲介業者を使います。

しかし、相談する仲介業者を適当に決めてしまうと、売却がスムーズに進まない恐れがあります。なぜなら、仲介業者には各社ごとに「得意な物件タイプ」があるからです。

仲介業者のもつ知識と経験次第で、売却結果は大きく変わります。なるべく高く、スムーズに売るためには、二世帯住宅の売買実績が豊富な業者へ相談すべきです。

仲介業者を選別するにあたっては、一括査定の利用がおすすめです。簡単な入力でまとめ複数社に問い合わせられるので、効率的に仲介業者を比較できます。

とくに、下記のリンクから利用できる「イエウール」の一括査定は全国2,000社の優良業者と提携しているため、二世帯住宅が得意な仲介業者をきっと見つけられるでしょう。

2.買取業者に直接買い取ってもらう

「不動産を売却するときは仲介業者の利用が一般的」と解説しましたが、不動産会社には買取業者(物件を直接買い取る業者)もあります。

買取業者は基本的に現金一括払いであり、査定額がそのまま買取価格になります。買主を一から探す必要がないため、早ければ数日で売却することも可能です。

「なるべく早く現金が欲しい」「買主との価格交渉など面倒なことはしたくない」という考えであれば、仲介業者より買取業者のほうが優れているといえます。

ただし、買取業者は物件を再生・再販して利益を得るため、通常の相場より価格は安くなります。仲介業者に依頼したときと比べて、2割~5割ほど安くなる場合もあるでしょう。

なるべく高く売りたければ、仲介業者と同じように複数社を比較すべきです。何社かに査定を依頼すれば、数百万円単位で価格が変わることもあります。

3.相場より安く売り出す

住宅の売却がむずかしい場合、価格を下げるのは基本的な戦略です。先にも解説した通り中古二世帯住宅は割高になりがちなので、値下げは効果的な手法といえます。

ただし、不動産の売買では相手方から価格交渉を持ちかけられることも少なくありません。「とにかく処分できればいい」という状況でなければ、安く買い叩かれないための対策が必要です。

具体的には、最低希望売却価格を決めたうえで、そこから10~20%程度上乗せした金額で売り出すとよいでしょう。こうすることで、価格交渉があっても余裕をもって値下げに応じられます。

4.ホームステージングをおこなう

ホームステージングとは、室内をモデルルームのように演出し、住宅がもつ魅力を引き出す手法です。

片づけ・掃除・インテリアの専門家が、物件ごとの特徴を活かして「理想的な住環境」がイメージできるようコーディネートを施します。

内見者数の増加や売却期間の短縮化、価格の下落防止といった効果が期待できるため、そのままでは売れないような二世帯住宅でも売却できる可能性をアップできるでしょう。

参照:一般社団法人日本ホームステージング協会「ホームステージングとは」

5.リフォームやリノベーションをしてから売り出す

リフォームやリノベーションで、内装デザインや間取り、設備の一新をおこなえば、売却しやすくなるでしょう。

外壁の塗装や壁紙の変更をするだけでも印象が変わりますし、水回りの最新化や収納スペースの拡張など、工夫次第で改善の仕方は豊富にあります。

ただし、大規模な工事をしてしまうと数百万円の費用がかかります。コストをかけても、その分だけ売却価格に上乗せできるとは限らないので注意が必要です。

まずは不動産会社と相談し、リフォーム・リノベーションが売却においてプラスになるか、プラスになるならどれくらいの費用をかけるべきか、しっかり検討するようにしましょう。

6.収益物件として売り出す

そのまま二世帯住宅として売り出すのではなく、収益物件として売り出す方法もあります。

収益化の方法としては、例えば次のような方法が考えられます。

  • 賃貸専用住宅
  • 賃貸併用住宅
  • シェアハウス
  • レンタルスペース

とくに、二世帯住宅を賃貸併用住宅として使うのは、資産運用として大きなメリットがあります。

居住用の自宅スペースが50%以上あれば住宅ローンを使えるので、収益物件を住宅ローンで購入することが可能なのです。

住宅ローンが使えるとなれば、不動産投資家だけでなく普通のサラリーマンが副収入目的で買う場合もあります。

見た目が別々の戸建てのように見える二世帯住宅であれば、賃貸併用住宅としての需要は十分見込めるでしょう。

7.解体して売る

リフォームや収益化がむずかしければ、建物を解体して売るのも1つの手段です。とくに、建物の築年数が古ければ、更地にしたほうが売れる場合があります。

木造住宅の場合、一般的な解体費用はおおむね一坪3~5万円です。仮に50坪であれば、大体150万円から250万円程度かかるでしょう。

費用の捻出がむずかしければ、解体専用のローンを使うことも可能です。また、自治体によっては補助金を出してもらえる可能性もあります。

ただし、解体したからといって確実に売れるわけではないので、事前に不動産会社と相談し、解体すべきかどうかしっかり検討しておきましょう。

8.古家つき土地として売り出す【築古の場合】

解体がむずかしければ、「古家つき土地」として売り出すという方法もあります。古家つき土地とは、建物の価値を考慮せず、土地の値段のみで売却する方法です。

木造住宅の場合、築年数が20~25年経つと市場価値はほぼゼロになるのが一般的なので、築古であれば古家つき土地として売ったほうが早く売却できるでしょう。

建築当初のコストに縛られず、現状の価値を冷静に分析することが売却への近道です。

二世帯住宅の中古物件を売るときの注意点

二世帯住宅の中古物件を売るにあたって、気をつけておきたいポイントが次の3点です。

  • 「登記上の名義」を確認しておく
  • 「二世帯住宅のタイプ」に合わせた売却プランを立てる
  • 「瑕疵」は隠さず伝える

トラブルなくスムーズな売却をするために、ぜひ上記のポイントは押さえておきましょう。

「登記上の名義」を確認しておく

二世帯住宅は、所有形態によって次のような登記形態にわかれます。

  • 単有:単独(1名)で所有している状態
  • 共有:2人以上が共同で所有している状態
  • 区分:二世帯住宅を区切って別々の所有にしている状態

単独名義であれば、名義人の判断で売却できますが、共有だと共有者全員の同意が必要となります。

区分はそれぞれの名義人が自分の所有部分だけ売却することが可能ですが、物件自体は1つの二世帯住宅なので、片方だけ売却するのは現実的ではない場合も多いでしょう。

共有や区分になっているケースだと、協力して売却活動をおこなう必要があります。

「二世帯住宅のタイプ」に合わせた売却プランを立てる

二世帯住宅は、その建て方によって次の3つにわかれます。

  • 完全分離型
  • 一部共用型
  • 完全同居型

それぞれのタイプに合った売り方があるので、スムーズに売るためには適切な方法を選んでプランを立てましょう。

完全分離型なら「賃貸併用住宅」として売り出せる

完全分離型は、建物が区切られ、2戸の住居が独立している状態です。入居者は相互に干渉せず生活することができます。

完全分離型であればプライバシーを保てるので、賃貸併用住宅として活用しやすく、副収入が欲しいと考えるサラリーマン投資家などにアプローチするのが効果的です。

また、二戸とも賃貸用として売り出したり、地域によっては店舗や事務所との併用も需要が見込めるでしょう。

一部共用型なら「シェアハウス需要」が見込める

一部共用型は、玄関やキッチン、風呂場など一部分だけ共用で、それ以外の居室が分かれているという形態です。

一部共用型の特徴はシェアハウスとしても使いやすいため、実際に運用してから売り出すという手もあります。

大規模な工事はあまり必要とならず、壁紙やフローリングの張替えなどで転用できます。引用が順調であれば、売らずにそのまま収益を得るのもよいでしょう。

完全同居型は「広めの一戸建て」として価値がある

完全同居型は、すべての設備を共有しているケースです。基本的には一般的な住宅と変わらないといえます。

一般的な住宅との違いは、建物面積の広さや部屋の多さです。少人数の世帯だと管理が大変になるので、世帯人数の多い家族層にアプローチしたほうがよいでしょう。

あくまで二世帯住宅として売るのであれば、バリアフリー対応にして、高齢者がいる世帯でも安心して住めることをアピールするのが効果的です。

「瑕疵」は隠さず伝える

瑕疵とは、物件がもつ欠陥や欠点のことです。その性質によって次の種類に分けられます。

物理的瑕疵 雨漏り、シロアリ被害など
心理的瑕疵 自殺や他殺、孤独死で発見が遅れたなど
環境的瑕疵 近隣に嫌悪施設(火葬場、ゴミ処理場、暴力団事務所など)があるなど
法律的瑕疵 再建築不可物件(建て替えができない物件)など

不動産の売主は、これらの瑕疵があれば隠さずに伝える義務があります。隠したまま売却し、あとから発覚すると「契約不適合責任」に問われる恐れがあります。

契約不適合責任に問われると、代金減額や損害賠償、契約解除を請求されるかもしれません。トラブルなく売るためには、これらの瑕疵は正確に伝えておきましょう。

まとめ

中古の二世帯住宅は需要が少なく、基本的には売りにくいといえます。しかし、コツをしっかりと押さえれば、スムーズに売却することも不可能ではありません。

とくに、二世帯住宅の売買が得意な不動産会社を見つけることができれば、高額かつ短期間で売却できる可能性もあります。

二世帯住宅を買う層の需要を把握し、適切なアプローチをすれば納得のいく売却を実現できるでしょう。

二世帯住宅の売却についてよくある質問

  • 「二世帯住宅は売れない」とよく聞きますが本当ですか?

    物件の立地など各種条件によりますが、一般的には売りにくいといえます。しかし、まったく売れないわけではなく、適切な方法で売り出せば売却は十分可能です。

  • 実際に二世帯住宅の売れない場合、どんな原因が考えられますか?

    設備やデザインが現代のニーズに合っていなかったり、価格が高いといった要因が考えられるでしょう。

  • 「売れない二世帯住宅の中古物件」をスムーズに売却するコツはありますか?

    リフォームや値下げなどいくつかコツはありますが、なにより大切なのは不動産会社選びです。二世帯住宅の売買実績が豊富な不動産会社を見つければ、スムーズに売ることもできるでしょう。

  • 売却を依頼する不動産会社はどうやって探せば良いですか?

    一括査定サイトで複数の不動産会社を比較し、好条件の業者を探しましょう。とくに、提携不動産会社数2,000件以上の一括査定サイト「イエウール」なら全国対応で、どのエリアでも査定に対応してもらえるのでおすすめです。→【オンラインで価格がすぐわかる!】イエウールの一括査定はこちら

  • 二世帯住宅をなるべく高値で売る方法はありますか?

    賃貸併用住宅やシェアハウスなどで収益化してから売れば、そのまま売るより高値になる可能性があります。