借地権を売却したい方必見!地主・第三者・業者に売る方法と注意点を完全網羅

借地権の買取を専門とする弊社「クランピーリアルエステート」では、「借地権は売却できるのか」「売却できるとしたらいくらくらいで売れるのか」といった相談が寄せられることがあります。
結論からいえば、借地権でも売却は可能です。
借地権の売却先には、主に次の3つがあります。
売却先 | 概要 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
地主 | 地主に借地権を買い取ってもらう方法 |
・地主が土地を一本化できるため交渉がまとまりやすい ・承諾料や手続きが不要なケースが多い |
・価格交渉の主導権を地主に握られやすい ・地主が買い取りに応じない可能性がある |
第三者 | 個人や法人などに借地権付きの建物を売却する方法 |
・条件次第では、仲介に近い価格で売却できるケースがある ・交渉によっては高値で売却できる可能性がある |
・地主の承諾がなければ売却できない ・承諾料の支払いが必要なケースが多い ・買主が見つかるまで時間がかかる可能性がある |
不動産買取専門業者 | 借地権の売却に詳しい専門業者に直接買い取ってもらう方法。スピーディーな売却を重視する人向け。 |
・短期間で現金化しやすい ・地主との調整を代行してもらえるケースがある |
・仲介よりも売却価格が低くなる傾向がある ・承諾手続きや費用負担は避けられない場合が多い |
また、地主と協力して売却する方法もあります。
- 地主と協議し、底地と借地権を同時売却する
- 借地権と底地の一部を等価交換し、単独所有にしてから売却する
このような方法は、所有権が一本化されるため、買主にとって使い勝手が良く、単独所有の不動産と同程度の価格で売却できる可能性があります。ただし、地主との関係が悪い場合は、交渉が進まなかったり、承諾そのものを得られなかったりすることがあるため、現実的には難しいケースも少なくありません。
借地権の売却には、地主との関係や法律的な制約が関わるため、通常の不動産売買とは進め方が異なります。スムーズに売却したい場合は、借地権に詳しい不動産買取専門業者への相談を視野に入れるのがおすすめです。
本記事では、借地権の売却に関する基本知識や売却方法について解説します。相場や売却の流れ、注意点についてもまとめました。借地権の売却について悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
なお、弊社「クランピーリアルエステート」では、借地権の買い取りを行っています。売却に関する相談はもちろん、借地権の無料査定も承っています。弁護士とも提携しているため、法律トラブルがあった場合もアドバイスを提供できますので、お気軽にご相談ください。
目次
借地権は売却できる
借地権とは、借地借家法で定められた「建物を建てるために地代を払い、他人から土地を借りる権利」です。
地上権・賃借権のいずれも、条件を満たせば売却は可能です。ただし、賃借権は地主の承諾が原則必要で、承諾料が発生するケースもあります。地上権は物権のため承諾不要が原則ですが、契約によって制限される場合があります。
種類 | 登記の可否 | 地主の承諾 | 売却のしやすさ |
---|---|---|---|
地上権 | 登記可 | 原則不要(契約で制限あり) | 比較的売却しやすい |
賃借権 | 登記可(実務上は少ない) | 原則必要 | 売却に承諾が必要でハードル高め |
多くの借地権は賃借権として設定されているため、地主の承諾が必要な場合が一般的です。まずは自分の借地権の種類と契約内容を確認しましょう。
借地権のタイプごとに異なる「売りやすさ」の傾向
借地権は、契約内容によって以下の3種類があります。それぞれの権利形態は契約期間や更新可否が異なるため、買主のつきやすさに差がでます。
借地権の種類 | 特徴 |
---|---|
旧法借地権 | 更新可能で借主保護が強く、比較的買主が見つかりやすい |
普通借地権 | 更新可能で長期利用が可能なため、自己居住用の購入希望者にも受け入れられやすい |
定期借地権 | 契約満了で終了・更新不可のため、残存期間が短くなるほど売却ハードルが高くなる |
自身の借地権の種類は、契約書の締結日や更新に関する記載で確認できます。1992年7月31日以前に締結されたものは原則として旧法借地権、1992年8月1日以降は普通借地権または定期借地権です。
ただし、契約更新や再契約で、旧法から普通借地権や定期借地権に切り替わっているケースもあるため、契約内容を必ず確認しましょう。
次の項目から、各借地権の特徴と売れやすさについて詳しく解説します。
旧法借地権:強い借主保護により流通しやすい傾向
旧法借地権は、借主の権利が強く守られ、長期にわたる安定利用が可能なため、借地権のなかでは比較的売却しやすいタイプです。こうした安定性の高さから、自己利用を希望する個人だけでなく、長期保有を前提とした不動産投資家などからも一定の需要があります。
平成4年(1992年)8月1日に借地借家法が施行される前に旧借地法で設定された借地権で、借地借家法附則第3条の経過措置により現在も旧法の規定が適用されます。
(旧借地法の効力に関する経過措置)
第三条 接収不動産に関する借地借家臨時処理法(昭和三十一年法律第百三十八号)第九条第二項の規定の適用については、前条の規定による廃止前の借地法は、この法律の施行後も、なおその効力を有する。
借地借家法 制定附則 第三条|e-Gov法令検索
非堅固建物(木造など)は20年、堅固建物(レンガやコンクリート造など)は30年の存続期間が原則です。契約でこれより長期の期間を定めることもでき、期間を定めない場合はそれぞれ30年・60年と長期利用が認められます。
契約満了後は、地主に「自ら土地を利用する必要性」や「建物の老朽化」などの正当事由がない限り更新が可能です。正当事由の有無はこれまでの契約経過や立退料の提示なども総合的に考慮されます。
契約が旧法借地権に該当するかどうかは、契約書の締結日や更新・再契約の有無だけでなく、登記簿で契約種別や日付を確認することも大切です。
普通借地権:更新可能で購入希望者のニーズにマッチしやすい
普通借地権は契約更新が可能で、長期にわたって安定利用できるため、定期借地権に比べて買主が見つかりやすいタイプです。地主に正当な事由がない限り、借主の更新請求は認められるため、更新時に地主の承諾を得る必要は基本的にありません。
借地借家法に基づいて設定される借地権で、契約期間満了後も更新が可能です。普通借地権の存続期間や更新後の存続期間は、以下のように定められています。
- 普通借地権の存続期間:30年
- 更新後の存続期間:更新の日から10年(借地権設定後の最初の更新は20年)
(借地権の存続期間)
第三条 借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。(借地権の更新後の期間)
第四条 当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から十年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、二十年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
借地借家法 第三条・第四条|e-Gov法令検索
更新にあたって、地主は正当な理由なく契約更新を拒否することはできません。正当事由として認められるのは「自ら土地を利用する必要性」がある場合などで、これまでの契約経過や土地の利用状況、立退料の支払い提案などを総合的に考慮して判断されます。
(借地契約の更新拒絶の要件)
第六条 前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。
借地借家法 第六条|e-Gov法令検索
このように、普通借地権は契約期間の長さと更新が可能なことから安定性が高く、自己居住用住宅の購入層にも選ばれやすい傾向があります。なお、契約書に「更新不可」や定期借地権に関する特約が記載されている場合は、普通借地権ではないため、契約内容を必ず確認しましょう。
定期借地権:契約満了で終了するため、売却ハードルが高め
定期借地権は契約更新ができず、契約満了時に土地を返還する必要があるため、買主が見つかりにくく売却が難しいタイプです。地主が新たに再契約に応じない限り、引き続き利用することはできません。
普通借地権のような契約更新や存続期間の延長は認められません。契約時に定められた期間が満了すると借地権は終了し、建物を取り壊して更地にしたうえで地主に返還する必要があります。
(定期借地権)
第二十二条 存続期間を五十年以上として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。
借地借家法 第二十二条|e-Gov法令検索に
更新できない性質上、買主にとっては資産価値が残存期間の経過とともに減少していくリスクが高く、購入を敬遠されやすい傾向があります。そのため、旧法借地権や普通借地権と比べると売却の難易度は高くなります。
なお、契約書に「定期借地権」と明記されていなくても、更新不可の特約や契約期間満了時に建物の取り壊し・返還義務が定められている場合には、実質的に定期借地権として扱われるケースがあります。
このような借地権は、残存期間によっては売却価格が大きく下がる傾向にあります。
たとえば、残存期間が30年以上であれば、通常の借地権物件と比較して6〜9割程度の価格で売却されるケースもありますが、20年を下回ると4割未満に落ち込むこともあります。とくに10年未満になると再契約の見通しが立たず、買主に敬遠されやすいため、価格が大幅に下落してしまいがちです。
こうした点からも、取引前に契約内容を専門家に確認してもらうことが重要です。
借地権の主な3つの売却先
借地権を売却する場合、売却相手によって必要な手続きや承諾の有無、売却までの日数、そして得られる金額が大きく変わります。
たとえば地主への売却はスムーズにまとまりやすい一方、第三者への売却は高値が狙える反面、承諾や手続きが増える傾向があります。
主な売却先は以下の3つです。
売却先 | 概要 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
地主 | 地主に借地権を買い取ってもらう方法 |
・地主が土地を一本化できるため交渉がまとまりやすい ・承諾料や手続きが不要なケースが多い |
・価格交渉の主導権を地主に握られやすい ・地主が買い取りに応じない可能性がある |
第三者 | 個人や法人などに借地権付きの建物を売却する方法 |
・条件次第では、仲介に近い価格で売却できるケースがある ・交渉によっては高値で売却できる可能性がある |
・地主の承諾がなければ売却できない ・承諾料の支払いが必要なケースが多い ・買主が見つかるまで時間がかかる可能性がある |
不動産買取専門業者 | 借地権の売却に詳しい専門業者に直接買い取ってもらう方法。スピーディーな売却を重視する人向け。 |
・短期間で現金化しやすい ・地主との調整を代行してもらえるケースがある |
・仲介よりも売却価格が低くなる傾向がある ・承諾手続きや名義書換料・解体費用などの費用負担が発生する場合がある |
どの売却先を選ぶかによって、必要な承諾や売却価格、かかる日数も異なるため、自身の事情に合った相手を選ぶことが大切です。
以下で、それぞれの特徴を解説します。
地主
もっとも基本的な売却先は、その土地の所有者である「地主」です。
地主は借地権を買い取ると土地と建物の権利を一本化でき、管理や活用がしやすくなるため、交渉に応じてもらえる可能性は比較的高めです。譲渡承諾料が不要になるケースも多く、スムーズに取引がまとまりやすいのもメリットといえます。
実際の売却期間は、交渉が順調に進んだ場合でもおおむね3ヵ月〜半年程度かかるのが一般的です。土地の境界確定や契約条件の調整などに時間を要するため、状況によっては半年を超える場合もあります。
権利の一本化によって建て替えや再開発など将来計画を進めやすくなる点も、地主にとっての利点です。
ただし、地主の資金状況や将来計画、借主との関係性によっては買い取りに応じないケースもあります。
また、価格交渉では地主に主導権を握られやすく、市場価格より低くなる傾向があります。借地権の取引は情報が限られているため、借主が相場や他の売却条件を把握していないと、提示額をそのまま受け入れてしまうケースも少なくありません。詳しくは「地主に借地権を買い取ってもらう場合」をご覧ください。
そのため、事前に不動産会社で査定を受け、適正価格を把握したうえで交渉に臨むことが重要です。
第三者
借地権付き建物を一般の個人や法人など第三者に売却することも可能です。人気エリアであれば、マイホームや事業用地として購入したい人が現れる場合もあります。
ただし、第三者に売却する際は地主の「譲渡承諾」が必要であり、これは民法第612条にも定められています。
無断譲渡は契約解除の原因となる可能性があるため、事前に地主の承諾を得ておきましょう。契約が解除されると、借地権自体を失い、建物を撤去したうえで土地を明け渡さなければならなくなるおそれがあります。スムーズな手続きを進めるためにも、地主と早めに話し合いの場を設け、あらかじめ承諾を得ておくことが大切です。
(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
第六百十二条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
民法 第六百十二条|e-Gov法令検索
原則として「譲渡承諾書」の取得と承諾料の支払いが必要で、承諾料は借地権価格の5〜10%程度が目安とされます。たとえば、借地権価格が1,000万円であれば、承諾料は50万〜100万円程度が目安とされています。実際の金額は、地域や地主の意向によって異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
また、地主によっては第三者への売却自体を好まないケースもあるため、事前に不動産会社を通じて地主の意向を確認することが重要です。承諾が得られない場合は、借地借家法第19条に基づき、裁判所に譲渡許可を申し立てる方法もあります。
(土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可)
第十九条 借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。
借地借家法 第十九条|e-Gov法令検索
第三者への売却は、希望価格での売却を目指せる一方で、買主探しや承諾取得の手続きに時間がかかる傾向があるため、その点も考慮して計画を立てるとよいでしょう。
不動産買取専門業者
時間をかけずに借地権を現金化したい場合には、不動産の買取専門業者に売却する方法もあります。買取業者は、借地権を仕入れて再販したり、地主と交渉して所有権ごと取得したりすることで利益を得ることを目的としているため、購入後の活用方法も比較的明確です。
文字通り買取業者が直接の買い手となるため、仲介のように買主を探す必要がなく、査定から契約までの流れが短期間で進みやすいという特徴があります。もっとも、借地権の売却には地主の承諾が必要なケースが多く、承諾料の支払いや条件交渉に時間を要することもあります。実務上は、数週間から数ヵ月程度で売却手続きが完了するのが一般的ですが、条件が整っていれば1ヵ月以内にまとまるケースもあります。
ただし、買取価格は一般的に市場相場よりも2〜3割低くなる傾向があります。そのため、価格よりも「早く売りたい」「煩雑な手続きを避けたい」といったニーズがある場合に適しています。
また、業者を相手にする場合でも地主の譲渡承諾が必要になるケースがあります。第三者への売却と同様、事前に承諾条件や承諾料の有無を確認しておくことが重要です。
借地権を売却する場合はいくらで売れる?相場の目安と計算方法
借地権を売るときに最も気になるのが「どのくらいの価格で売れるのか」という点でしょう。
借地権の価格は、次の式で求めるのが一般的です。
借地権割合とは、土地の更地価格に対して借地権が占める価値の割合を示す指標で、国税庁が地域ごとに定めています。相続税評価や借地権売買価格の算定に利用され、割合は30〜90%程度で地域や用途により異なります。
たとえば、更地価格が5,000万円で借地権割合が60%の場合、借地権価格はおおむね3,000万円となります。
借地権割合は国税庁の路線価図で確認が可能です。また、地域や地形、契約内容によって変動するケースもあります。ただし、実際の取引価格は売却相手や条件によって上下します。
ここでは、売却先別に相場の目安や計算方法をみていきましょう。
地主に借地権を買い取ってもらう場合
地主に借地権を買い取ってもらう場合は、借地権割合と地主の底地割合を合算した「所有権価格」を基準に価格が決まるのが一般的です。
たとえば、更地価格が5,000万円、借地権割合60%(地主の底地割合40%)の場合、それぞれの持ち分は以下のとおりです。
- 借地権者の持分:約3,000万円(5,000万円×60%)
- 地主の持分:約2,000万円(5,000万円×40%)
理論上は、借地権者の持分額(3,000万円)が売却価格の目安となりますが、地主が交渉を優位に進める場合が多く、実務では2,700万〜2,900万円程度に下がるケースもあります。
地主は「土地を完全に所有できる」というメリットがあるため、交渉はスムーズに進む傾向があります。
不動産買取専門業者含む第三者に借地権を売却する場合
第三者や不動産買取業者に売却する場合は、借地権部分のみの市場価値を基準に価格が決まります。
計算方法は「更地価格 × 借地権割合」が目安で、ここから買主側が承諾料や権利制限による減額を見込むのが一般的です。
たとえば、更地価格が5,000万円、借地権割合が60%の場合、借地権価格はおおむね3,000万円となります。
ただし、借地権価格(約3,000万円)から、買主が負担する承諾料や、再建築や転用などの制限、地主が譲渡を承諾してくれないリスクも考慮されます。そのため、実際の取引価格は2,400万〜2,700万円程度に下がるケースも少なくありません。
なお、不動産買取専門業者のなかには底地を同時に取得する提案や地主交渉の代行を行う会社もあり、その場合は価格下落が抑えられるケースもあります。
また、人気エリアや店舗・オフィス需要が高い立地などでは、相場に近い価格で成約できる場合もあるため、複数の業者に査定を依頼して実勢価格を把握しておくことが大切です。
地主に借地権を売却する場合のステップ
地主は底地をすでに所有しているため、借地権を買い取ることで土地の完全所有が可能になります。そのため、売却の交渉がまとまりやすい傾向にあります。ただし、価格や条件は関係性や交渉力によって変動するため、事前準備が重要です。
地主に借地権を売却する流れは以下の4ステップです。
- 売却の方針を整理し不動産会社に相談する
- 地主に売却の意思を伝え買い取り交渉を行う
- 合意内容をもとに売買契約を締結する
- 決済を行い借地権を正式に引き渡す
それぞれのステップについて詳しく解説します。
ステップ1|売却の方針を整理し不動産会社に相談する
まず、自分が所有する借地権を売却すべきかどうか、家族構成や相続の意向、将来の資金計画などを含めて整理します。売却は地主と直接交渉することも可能ですが、地主との関係性が良好で、かつ自身に交渉力や法的知識がある場合に限られます。
借地借家法や契約条件に関する知識、交渉経験が求められるため、不動産会社に依頼したほうがスムーズに進みやすくなるでしょう。
査定の段階で地主への売却可能性や相場の目安もあわせて確認しておくことが大切です。
ステップ2|地主に売却の意思を伝え買い取り交渉を行う
売却の意志が固まったら、地主に対して借地権を売却したい旨を正式に伝えましょう。
自分で交渉する場合は、市場価格や条件を事前に調べ、承諾料や更新料精算の有無も含めて話し合う必要があります。不動産会社を通す場合は、地主との関係性を考慮しながら交渉を代行し、市場価格のデータを提示してくれるでしょう。
地主にとっては、土地の一体利用が可能になり資産価値が向上するうえ、借地人との地代のやり取りや契約更新・承諾の手続きといった管理業務が不要になるため、交渉には応じてもらいやすいでしょう。
ただし、地主から市場価格より低い金額を提示される場合もあります。借地権の売却先として地主が最も現実的であり、他の買主と異なり権利関係の調整や承諾手続きが不要なため、交渉上も優位な立場となりやすいからです。こうした状況でも不利にならないよう、あらかじめ相場を把握し、自身の希望条件を整理しておくことが重要です。
ステップ3|合意内容をもとに売買契約を締結する
条件がまとまったら、売買契約を締結します。契約書には、売却価格・支払い時期・引き渡し条件などを明記し、双方の権利義務を明確にしておきましょう。
不動産会社に仲介を依頼する場合は仲介手数料が発生します。支払い時期や割合は事前に確認しましょう。詳しくは第三者に売却する場合のステップ4|売買契約を締結するをご覧ください。
住宅ローンの抹消や担保権の解除などの事前手続きが必要な場合もあります。スムーズな契約のためにも、必要な書類を整理しておくことが大切です。
売買契約時に必要な書類
地主に借地権を売却する際に必要な主な書類は以下のとおりです。
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 借地契約書
- 建物の登記簿謄本(登記事項証明書)・権利証(登記識別情報)
- 印鑑証明書・実印
- 住民票(登記住所と現住所が異なる場合)
- 固定資産税納付書
- 建物図面・地積測量図(必要に応じて)
不備があると契約日が延期になる可能性もあるため、早めに準備しておきましょう。
ステップ4|決済を行い借地権を正式に引き渡す
売買契約締結後は、契約内容に沿って決済を行い、借地権を正式に地主へ引き渡します。登記されている建物も一緒に引き渡す場合は、司法書士が所有権移転登記を代行するのが一般的です。
借地権を売却して利益がでた場合は譲渡所得税の課税対象となるため、翌年に確定申告が必要になります。居住用として利用していた場合は、譲渡所得3,000万円特別控除などの税制特例が使えるケースもあるため、事前に税理士へ相談すると安心です。
確定申告については、第三者に売却する場合の売却の確定申告をするで詳しく解説します。
第三者に売る場合のステップと地主承諾の取得手順
借地権付き建物を不動産会社に仲介してもらい、第三者へ売却することも可能ですが、地主の承諾を得る必要があるため、手続きが複雑になる傾向があります。
買主との売買契約に加え、譲渡承諾料の支払いや契約書の取り交わしも発生するため、余裕を持ったスケジュールで進めましょう。
第三者に売却する際は、借地権売買に対応した不動産会社を通じて進めるのが一般的です。以下に、不動産会社を介して売却する際の具体的な流れと、地主から承諾を得るまでの手順をまとめました。
- 第三者への借地権売却に対応できる不動産会社を選ぶ
- 地主に借地権売却の承諾を得る手続きを進める
- 売却活動を行い買主を探す
- 売買契約を締結する
- 地主と譲渡承諾書を交わし承諾料を支払う
- 買主に物件を引き渡し決済を行う
- 確定申告を行う
ステップごとに解説します。
ステップ1|第三者への借地権売却に対応できる不動産会社を選ぶ
第三者へ売却する場合は、地主との調整や法的知識が求められるため、借地権売却の経験が豊富な不動産会社に依頼することが不可欠です。
ただし、借地権は契約内容や法規制が複雑なため、一般的な仲介会社では対応を断られることも少なくありません。交渉や契約手続きにも専門的な知識が必要となるため、実務経験の有無が大きく成否を左右します。
そのため、「借地権 売却 仲介」「借地権付き建物 売却対応」などのキーワードで検索し、借地権に対応している不動産会社を探すのが現実的です。公式サイトに記載されている「地主との交渉実績」や「借地権の取引事例」などをチェックし、信頼できる会社を選びましょう。
底地や借地の売却に特化した不動産会社も存在します。
無料相談窓口を設けている業者もあるため、複数社に相談して比較検討することが重要です。対応経験が少ない業者に依頼すると、地主との交渉や契約処理に不備が生じ、最悪の場合は取引が中断してしまうリスクもあります。
価格だけでなく、実績や対応体制を見極めて慎重に検討しましょう。
なお、弊社でも借地権の売却や取扱いに対応しております。まずはお気軽にご相談ください。
ステップ2|地主に借地権売却の承諾を得る手続きを進める
第三者に売却するには、借地借家法第19条に基づき、地主の「譲渡承諾」が必要です。承諾を得る際には「譲渡承諾書」の作成と「譲渡承諾料」の支払いが求められるのが一般的です。
金額は借地権価格の5〜10%程度が目安ですが、地域や契約によって変動するため、早めに見積もりを確認しておきましょう。
ただし、地主の承諾が得られない場合でも、別の手段によって売却を進められる可能性があります。
地主の承諾が得られない場合は「借地非訟手続」で裁判所の許可を得る
地主がどうしても譲渡に同意しない場合には、借地借家法第19条に基づき、「借地非訟手続(しゃくちひしょうてつづき)」を活用することで、地主側に不合理な拒否理由がない場合は裁判所から譲渡許可を得られる可能性があります。
借地非訟手続とは、地主の承諾に代わって裁判所が譲渡許可を与えるための簡易な手続きです。通常の裁判とは異なり、対立構造ではなく「判断の申立て」を行う非公開の手続きで、比較的スムーズに進む傾向があります。
この手続きでは、地主が承諾しないことに正当な理由がないかどうかが裁判所で判断されます。以下のような条件を満たしていれば、譲渡許可が認められる可能性があるでしょう。
- 売却先が社会的に問題のある人物ではない
- 地代の支払いに遅れや滞納がない
- 周辺住民とのトラブルなどがない
必要書類を整えたうえで家庭裁判所に申立てを行う流れとなるため、スムーズに許可を得るためにも、事前に弁護士や借地権に詳しい不動産会社・専門買取業者に相談し、方針を確認しておくことが重要です。
ステップ3|売却活動を行い買主を探す
地主の承諾を前提に、借地権付き建物として売却活動を開始します。価格は借地権割合や残存期間、建物の状態などによって決まります。
ただし借地権付き物件は、土地所有権がないため担保評価が低く、住宅ローンの融資が受けられない場合が多いです。そのため、買主は現金購入者や投資家などに限られます。
一方で、立地条件が良い物件や事業用ニーズがある物件は成約しやすいケースもあります。
一般の個人買主だけでなく、買取業者や投資家など複数の売却ルートに同時査定を依頼すると、条件の良い相手と出会える可能性が高まります。
ステップ4|売買契約を締結する
購入希望者が決まったら、不動産会社の仲介で売買契約を締結します。
仲介手数料は、宅建業法で定められた額が発生し「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限です。たとえば売却価格が1,000万円なら、最大で約39.6万円の仲介手数料を支払う必要があります。
支払いは契約時と引き渡し時の2回に分けて行うのが一般的で、契約時に半額、引き渡し時に残額を支払います。不動産会社によっては契約時に一括で支払うケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
契約内容は、承諾取得を条件とする「停止条件付契約」にするのが一般的です。地主の承諾が得られなかった場合は契約が白紙に戻ります。契約書には決済時期や承諾取得の期限を明記します。
買主が住宅ローンを利用する場合は、契約前に金融機関の審査で借地権付き物件を融資対象とするか、必ず確認しておくことが大切です。
売買契約時に必要な書類
第三者売却の契約締結時には、以下の書類を用意しておきましょう。
- 借地契約書
- 建物の登記簿謄本(登記事項証明書)および権利証(登記識別情報)
- 地主の譲渡承諾書(または承諾が条件である旨の書面)
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 印鑑証明書・実印
- 住民票(登記住所と現住所が異なる場合)
- 固定資産税納付書
- 建物図面・地積測量図(必要に応じて)
不動産会社が事前にチェックしてくれるため、早めに相談しておくと安心です。
ステップ5|地主と譲渡承諾書を交わし承諾料を支払う
売買契約後は、地主に正式な譲渡承諾書の作成を依頼し、承諾料を支払います。承諾料は売主が支払うことが多いですが、契約内容によっては買主が負担するケースもあります。
承諾書がなければ、買主は安心して引き渡しを受けられないため、必ず書面で取得しておきましょう。
なお、譲渡承諾料は譲渡所得計算上、譲渡費用として控除できます。
ステップ6|買主に物件を引き渡し決済を行う
売買代金の決済と同時に、建物の引き渡しと所有権移転登記を行います。当日は司法書士が立ち会い、登記や権利移転の手続きを代行するのが一般的です。
引き渡し前には、建物の状況や設備に関する説明責任(契約不適合責任)を果たすため、以下のような事前準備が求められます。
- 建物や付帯設備の劣化・不具合箇所を事前に点検し、説明資料を作成しておく
- 設備表・物件状況確認書などの書面を作成・確認しておく(仲介会社と共有)
- 境界標の確認や隣地との越境の有無など、外構部分も含めてチェックしておく
- 電気・ガス・水道などのライフラインの停止・引継ぎ手続きも段取りしておく
万一、引き渡し後に契約内容と異なる不具合が発覚した場合、売主が修補や損害賠償の責任を負うおそれがあります。トラブルを未然に防ぐためにも、事前に不動産会社と十分にすり合わせを行い、準備を整えておくことが重要です。
ステップ7|確定申告を行う
借地権を売却して利益が出た場合は、翌年の2月16日〜3月15日までに確定申告を行わなければなりません。
譲渡価格から取得費と譲渡費用を差し引いて譲渡所得を算出し、所得税および住民税の申告をします。譲渡所得税は長期・短期で税率が異なり、居住用財産であれば3,000万円特別控除が使える場合もあります。
なお、取得費が不明な場合でも概算取得費(売却価格の5%)で申告は可能です。ただし売却額5,000万円で実際の取得費が1,000万円(20%)の場合でも、概算適用時は250万円(5%)しか認められません。
その結果、課税所得が増加してしまうため、できる限り実際の取得費を証明できる資料を探しましょう。
不動産買取会社に借地権を売却する場合のステップ
借地権をできるだけ早く・確実に手放したい場合は、不動産買取会社に直接売却する方法も選択肢の1つです。仲介のように買主を探す必要がないため、交渉や内覧の手間を省け、最短で数日〜数週間で決済まで進められるケースもあります。
ただし、仲介で売却した場合の価格より、2〜3割ほど低くなるのが一般的です。これは、買取会社が購入後に物件を再販するためのリフォーム費用や広告費、売却リスクなどを差し引いて価格を算出するためです。
不動産買取会社に借地権を売却する場合の流れは以下のとおりです。
- 売却方針を決め、複数の買取業者に相談する
- 現地調査・査定を受ける
- 地主の承諾を得る
- 売買契約を締結する
- 決済と引き渡し
それぞれ詳しく解説します。
ステップ1|借地権の売却方針を整理し、買取業者に相談する
まずは「価格よりスピード重視なのか」「多少時間をかけても高値を目指すのか」という売却方針を整理し、業者に相談しましょう。
買取業者によって査定基準や対応スピードは異なります。必ず複数の業者から査定を取り、借地権の取扱実績や過去の成約事例も確認してください。
ステップ2|現地調査・査定を受ける
買取業者が建物の状態や借地契約の内容、立地条件などを確認します。借地権は残存期間や承諾条件、地代の設定など特殊要素が多いため、査定額が業者によって大きく異なる場合があります。
老朽化や借地残存期間の短さは評価を下げる要因ですが、必要に応じて簡易リフォームや残存期間延長の交渉も検討できます。ただし、延長交渉は時間がかかるため、スピード重視の売却には向きません。
ステップ3|地主に借地権売却の承諾を得る手続きを進める
買取業者へ売却する場合も、地主の承諾が必要となるのが一般的です。これは第三者売却と同様の手続きになります。
譲渡承諾書の取得や承諾料の支払いが求められるため、事前に地主の意向を確認しておくことが大切です。
なお、一部の買取業者は地主の承諾なしでも買い取るケースがあります。承諾後の交渉ノウハウを持っているため、スピード感はでやすいです。ただし、買い取り後に承諾料を増額されたり、条件が不利になったりするおそれもあるため注意しましょう。
ステップ4|提示された条件に納得できたら売買契約を結ぶ
査定額や引き渡し条件に納得できたら、買取業者との間で売買契約を締結します。契約書には決済日、建物の引渡状態、契約不適合責任の有無などを明記します。
買取は仲介にくらべスピーディーに進む反面、条件をよく確認しないまま契約を進めてしまうリスクもあります。
とくに、契約不適合責任を免責する特約が付いているかどうかは必ず確認しましょう。買取業者への売却は、売却後に建物の不具合が見つかっても責任を負わずに済むケースが多いというメリットがあります。
売買契約時に必要な書類
契約締結時に必要な書類は、次のとおりです。
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 借地契約書
- 建物の登記事項証明書・権利証(登記識別情報)
- 印鑑証明書・実印
- 借地権対象の土地の登記簿謄本(地主名義の確認用)
- 住民票(登記住所と現住所が異なる場合)
- 固定資産税納付書(あれば望ましい)
書類の不備は引き渡し遅延につながるため、事前準備を徹底しましょう。
ステップ5|決済と引き渡しを行い売却完了
契約で定めた決済日に売買代金の支払いと同時に引き渡しを行います。
所有権移転登記や抵当権がある場合の抹消登記は司法書士が対応するのが一般的です。登記費用の負担者を売主・買主のどちらにするかは契約書で明確にしておきましょう。
売却益がでた場合は翌年に譲渡所得として確定申告が必要なため、帳簿や契約書類は大切に保管しておきましょう。
地主と協力して借地権を売却する方法
借地権付き物件は、借地権と建物をセットで売却できますが、地主と協力することで、市場価値を高め、有利な条件で売却できる可能性があります。
底地と借地権をまとめることで、単独売却よりも高値で売れるケースや、買主の住宅ローンが通りやすくなるケースもあり、結果的に買主が見つかりやすくなるでしょう。
地主と協力して借地権を売却する代表的な方法は以下の2つです。
- 地主と協議し、底地と借地権を同時売却する
- 借地権と底地の一部を等価交換し、単独所有にしてから売却する
地主と協議し、底地と借地権を同時売却する
最もシンプルで効果的なのが、借地権者と地主が協力し「底地と借地権をセットで第三者に売却する」方法です。
買主は完全な所有権を取得できるため、資産価値が高く評価されやすく、住宅ローンの審査にも通りやすくなります。
この方法には地主の同意が不可欠です。同時売却に前向きな地主であれば、価格配分や契約条件の調整も合意しやすく、取引全体がスムーズに進むでしょう。
価格配分や契約条件は事前に明確化し、不動産会社を通じて進めることで、交渉や契約もスムーズになります。
借地権と底地の一部を等価交換し、単独所有にしてから売却する
借地権者が持つ借地権と、地主が持つ底地権の一部を等価で交換し、それぞれが単独所有になるよう権利を整理してから売却する方法もあります。交換の際は、事前に測量や評価額算定を行い、面積や評価のバランスを確認する必要があります。
この手法は、不動産の権利関係を整理して売却や相続をしやすくする「権利調整」の一種です。
ただし、交換によって評価額に差が出る場合や課税が発生するほか、地主側や金融機関の承諾が必要になるケースもあります。譲渡所得と交換の特例などを参考に、事前に税理士や司法書士などの専門家へ確認しておくとよいでしょう。
借地権を売却時にかかる税金・費用
借地権を売却するときは、売却益に対する「譲渡所得税」だけでなく、契約に伴う登録免許税や印紙税など、複数のコストが発生します。
手取り金額を正確に把握するには、事前に税金や諸費用の内容を確認しておくことが大切です。
以下の表に、借地権売却で想定される主な税金・費用をまとめました。
項目 | 概要 | 金額の目安 |
---|---|---|
印紙税 | 契約書や領収書など、経済的な取引のために作成された書類にかかる税金。契約金額に応じて税額が変わる。 | 200円~48万円 |
登録免許税(抵当権抹消登記) | 建物に設定された抵当権を抹消するための登記費用(1不動産につき1,000円)。 | 1,000円+司法書士報酬(数千円~数万円) |
譲渡所得税 | 借地権売却の際の譲渡所得に対して課せられる税金。所有期間は「譲渡した年の1月1日時点」で判定。特別控除(3,000万円控除など)が使える場合もあり。 |
譲渡所得×税率 ・所有期間5年以下:39.630% ・所有期間5年超:20.315% |
仲介手数料 | 不動産売買を仲介する不動産会社に支払う手数料。宅地建物取引業法で上限が定められている。 | 売却価格×3%+6万円+消費税が上限 |
譲渡承諾料 | 地主に第三者への譲渡承諾を得るための費用。契約や地域慣習で金額が異なる。 | 借地権価格の10%程度 |
取り壊し費用(更地渡しの場合) | 建物を解体し、更地で引き渡す場合の工事費 | 3万円/坪~ |
測量費 | 境界不明や紛争防止のために行う測量費用。借地権売却では必須ではなく、境界トラブル防止のために任意で行うケースが多い。 | 40〜50万円 |
借地権の売却では、売却先や条件によってかかる費用や税額が大きく変わる場合があります。
ここからは、代表的な3つの売却パターンに分けて、費用の目安をシミュレーション形式で紹介します。
地主に売却する場合
地主に借地権を買い取ってもらう場合、譲渡承諾料が不要となるケースが多く、手数料や税金のみで済む傾向があります。建物が古くても、解体せずそのままの状態で受け入れてもらえる場合が多いため、余計な出費を抑えられる可能性もあります。
とくに、長年付き合いのある地主との関係性が良好であれば、手続きがスムーズに進みやすいでしょう。
ここでは、売却時に発生する主な費用をまとめました。
【費用項目】
- 印紙税:1万円(売却価格1,000万円の場合)
- 登録免許税・司法書士報酬:1万円程度
- 仲介手数料:1,000万円 × 3% + 6万円 + 税 = 約39.6万円
- 譲渡所得税:譲渡益500万円 × 20.315% ≒ 約101.6万円(所有期間5年超)
◆売却価格:1,000万円
◆費用合計:約143万円(印紙税1万円 + 登録免許税1万円 + 仲介手数料39.6万円 + 譲渡所得税101.6万円)
◆手取り見込:約857万円
なお、登録免許税は原則として買主が負担します。
また「3,000万円特別控除」が適用されると、譲渡益が非課税となり、譲渡所得税・住民税は発生しません。
この場合の費用合計は仲介手数料39.6万円 + 印紙税1万円 = 約40.6万円となります。
譲渡所得税ありの場合よりも、税負担を約101万円抑えられる計算です。
そのため、手取り見込は約959万円です。
第三者に売却する場合
第三者に借地権を売却する場合、地主の譲渡承諾が必要となり、「譲渡承諾料」が発生するのが一般的です。また、買主が新築を希望するケースでは、建物の解体と更地での引き渡しを求められる場合が多く、追加の出費が発生します。
【費用項目】
- 印紙税:1万円
- 登録免許税・司法書士報酬:1万円
- 仲介手数料:39.6万円
- 譲渡所得税:約101.6万円(譲渡益500万円と想定)
- 譲渡承諾料:借地権価格800万円 × 10% = 80万円
- 建物解体費:20坪 × 3万円 = 約60万円
◆売却価格:1,000万円
◆費用合計:約283万円(印紙税1万円 + 登記費用1万円 + 仲介手数料39.6万円 + 譲渡所得税101.6万円 + 譲渡承諾料80万円 + 解体費60万円)
◆手取り見込:約717万円
なお、登録免許税は原則として買主が負担します。
なお、譲渡所得が発生する場合でも、「3,000万円特別控除」が適用されると非課税となります(詳細は地主への売却パートを参照してください)。
この場合の費用合計は、印紙税1万円 + 仲介手数料39.6万円 + 譲渡承諾料80万円 + 解体費60万円=約180.6万円となります。
そのため、手取り見込は約820万円です。
買取業者に売却する場合
買取業者に借地権を売却する場合、仲介手数料がかからないのが大きなメリットです。譲渡承諾料も、業者が地主と直接交渉して免除・軽減してくれるケースが多く、費用を抑えやすい傾向にあります。
ただし、再販リスクや立地条件などを考慮して、売却価格は市場価格の5〜8割程度に下がるのが一般的です。とはいえ、「早く現金化したい」「煩雑なやりとりを避けたい」といった方にとっては、有力な選択肢といえるでしょう。
【費用項目】
- 印紙税:5,000円
- 登録免許税・司法書士報酬:1万円
- 仲介手数料:なし
- 譲渡所得税:約40万円(譲渡益200万円と想定)
- 譲渡承諾料:なし(免除されたケース)
◆売却価格:700万円(市場価格1,000万円の7割)
◆費用合計:約41.5万円(印紙税0.5万円 + 登記費用1万円 + 譲渡所得税40万円 )
◆手取り見込:約658.5万円
なお、登録免許税は原則として買主が負担します。
また、地主や第三者に売却する場合と同様に「3,000万円特別控除」が適用されると譲渡所得税が非課税となります。
この場合の費用合計は、印紙税0.5万円のみとなるため、手取り見込みは約699.5万円です。
借地権売却でトラブルを避け、スムーズに進めるための備え
借地権の売却では、契約内容や地主との関係、権利関係の不備などが原因でトラブルに発展するケースがあります。
不要な交渉や税金計算のミスを避けるためにも、事前に準備すべきポイントを押さえておくことが大切です。
トラブルを避け、スムーズに進めるための備えは以下のとおりです。
- 借地権の種類(地上権か賃借権か)を確認しておく
- 登記や権利関係を事前に確認しておく
- 地主との関係性を良好に保っておく
- 更新時期や契約条件を事前に整理しておく
- 借地権に精通している不動産会社に依頼する
- 解体費用や承諾料の負担範囲を確認する
それぞれ詳しく解説します。
借地権の種類(地上権か賃借権か)を確認しておく
借地権には「地上権」と「賃借権」の2種類があり、売却に必要な手続きや自由度が異なります。
地上権は登記によって第三者に対抗でき、地主の承諾を得ずに売却できます。一方、賃借権は登記できず、契約書や借地借家法に基づき地主の譲渡承諾が必要になるのが一般的です。
契約書に「地上権設定契約」などの記載があれば地上権、それ以外は原則として賃借権です。自分の借地権の種別を正確に把握しておくことが、トラブル防止につながるでしょう。
登記や権利関係を事前に確認しておく
登記情報に不備があると、売却ができない場合があります。とくに相続登記が未了の場合は、売却前に所有権移転登記(相続登記)を行う必要があります。
また、借地権者が複数いる共有状態では、共有者の一人でも反対すれば契約が成立しません。事前に全員の同意を得ておくことが不可欠です。
登記簿謄本で現状を確認し、不明な点があれば司法書士や不動産会社に相談しておきましょう。
地主との関係性を良好に保っておく
地主の協力は、借地権売却をスムーズに進めるうえで欠かせません。とくに第三者への売却では、譲渡承諾が必要になるケースが多いため、地主の理解が不可欠です。
過去に地代の滞納や揉め事があると、売却の交渉時に承諾料の増額や交渉拒否といった支障がでる恐れがあります。
地代支払いを遅らせない、更新時の相談を早めに行うなど、日頃から円滑な関係を築いておくことが大切です。
更新時期や契約条件を事前に整理しておく
借地契約の内容によっては、更新期限が迫っていたり、更新料の発生が予定されていたりするケースもあります。こうした条件は売却価格の交渉材料になり得ます。
定期借地権の場合は更新不可のため、残存期間が短いほど値下げ幅が大きくなる傾向があります。契約書を確認し、更新期限や条件を事前に整理しておきましょう。
借地権に精通している不動産会社に依頼する
借地権付き物件は、通常の不動産売却と異なる知識や経験が必要です。一般的な仲介業者では対応が難しい場合があるため、地主対応や承諾手続き、権利関係の調整に慣れた業者を選びましょう。
実績や対応履歴を確認し、信頼できる担当者に任せることが大切です。
解体費用や承諾料の負担範囲を確認する
老朽化した建物がある場合、売却前に解体が必要になるケースがあります。また、譲渡承諾料が発生する場合、売主・買主のどちらが負担するのかを明確にしておくことが重要です。
これらの費用は、売却価格や条件交渉に影響するため、不動産会社に見積もりを依頼し事前に整理しておきましょう。
借地権の売却でお悩みの方はクランピーリアルエステートへご相談ください
借地権の売却は、契約内容や地主対応、税金など専門的な知識と実務経験が求められる複雑な取引です。
弊社では、これまでにも「地主に売却を断られた」「価格交渉がうまくいかない」「契約書の読み方がわからない」など、数多くのご相談をいただいてきました。
クランピーリアルエステートは、借地権の買取専門不動産業者です。
地主への売却が難しいケースや、譲渡承諾が必要な場合、相続登記が未了の状態などにも柔軟に対応し、最短数日で現金化が可能です。
仲介手数料は不要で、価格交渉や承諾料の負担交渉、登記手続きまでワンストップでサポートします。
「できるだけ早く売りたい」「第三者への売却を断られた」「トラブルなく手放したい」など、状況に応じた最適なご提案が可能です。無料相談・査定を承っていますので、借地権の売却でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
まとめ
借地権は、種類や売却先、契約条件によって売却のしやすさや手続きの複雑さが大きく変わります。とくに「地主の承諾が必要か」「譲渡承諾料は誰が負担するか」など、案件ごとに異なる条件への対応が求められるため、慎重に進めることが重要です。
売却先は「地主」「第三者」「不動産買取業者」の3つがあり、目的や状況に応じて最適な方法を見極める必要があります。
また、契約内容や税金の確認、不動産会社の選定もトラブル防止には欠かせません。とくに「承諾不要」をうたう業者の場合、後に条件が不利になる可能性もあるため注意しましょう。
弊社クランピーリアルエステートは、借地権の買取専門不動産業者として、複雑な案件やスピード重視の売却にも対応してきました。
「早く現金化したい」「地主との交渉が難航している」など、お悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。無料査定・相談で、最適な解決策をご提案いたします。
借地権を売却する際のよくある質問
借地権の売却を地主に拒否された場合はどうすればよいですか?
賃借権として設定された借地権を第三者に売却するには、原則として地主の承諾が必要です(民法第612条、借地借家法第10条)。承諾を得られない場合は、まず契約書で承諾の要否や承諾料の条件を確認しましょう。
どうしても同意が得られない場合は、裁判所に「代諾許可」を申し立てる方法があります。これは地主の承諾に代わる許可で、承諾料が不当に高額な場合や正当な理由なく拒否されている場合に認められます。
手続きは複雑なため、不動産会社や弁護士へ相談するとよいでしょう。
借地権の売却を地主に拒否された場合はどうすればよいですか?
賃借権として設定された借地権を第三者に売却するには、原則として地主の承諾が必要です(民法第612条、借地借家法第10条)。承諾を得られない場合は、まず契約書で承諾の要否や承諾料の条件を確認しましょう。
どうしても同意が得られない場合は、裁判所に「代諾許可」を申し立てる方法があります。これは地主の承諾に代わる許可で、承諾料が不当に高額な場合や正当な理由なく拒否されている場合に認められます。
手続きは複雑なため、不動産会社や弁護士へ相談するとよいでしょう。
相続した借地権でも売却できますか?
はい、可能です。借地権は相続により承継される財産であり、相続登記(借地権の名義変更登記)が完了していれば売却できます。
2024年4月からは相続登記が義務化され、未登記のまま放置すると10万円以下の過料が科される可能性があります。
複数人で相続した場合は共有者全員の同意が必要です。持分だけの売却も法律上は可能ですが、買主が限られ、価格が下がる傾向があります。
借地権だけを売ることはできますか?
はい、建物が残っている状態であれば「借地権付き建物」として売却できます。
ただし、借地契約は建物所有を前提としているため、建物を解体すると土地の返還義務が生じ、借地権が消滅する可能性があります。
解体や売却方法は、必ず事前に地主や不動産業者へご相談ください。
借地権にローンが残っている場合は売れますか?
ローンが残っていても売却は可能ですが、売却代金で完済することが原則です。完済できない場合は、金融機関の同意を得て「任意売却」として進める必要があります。
任意売却では、地主の承諾と金融機関の承諾の両方が必要です。また、抵当権が付いている場合は、決済時に司法書士による抵当権抹消登記も行います。
スムーズに進めるため、早めに金融機関・地主・不動産会社と連携しましょう。