共有持分の遺産分割協議書の書き方!状況別の記載例から失敗しない対策まで徹底解説

共有持分の遺産分割協議書について、「書き方がわからない」「相続登記の申請が通るのか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。

遺産分割協議書とは、相続人全員で遺産の分け方について話し合い、その内容を正式に取りまとめた書面のことです。

共有持分の場合は、単独で不動産を相続する場合と異なり、「誰がどの不動産を取得するか」だけでなく「不動産の持分をどのような割合で取得するのか」まで記載する必要があります。単独名義であれば「不動産を取得する」と書けば足りますが、共有の場合は持分割合を「2分の1」など具体的な数値で示さなければなりません。

共有持分における遺産分割協議書の具体的な作成ポイントは、以下のとおりです。

記載項目 概要 注意点
被相続人の情報 氏名・本籍・死亡日・最後の住所・(必要に応じて)登記簿上の住所 ・氏名・本籍は戸籍の情報と一致させる
・最後の住所は住民票の除票と一致させる
・登記簿上の住所と最後の住所が異なる場合、遺産分割協議書とは別に、住所のつながりを証明する書類(戸籍の附票など)が追加で必要になるため注意する
不動産の表示 所在地・地番・家屋番号・地目・地積など ・登記事項証明書の記載をそのまま転記する
・省略や表記違いは登記の補正対象になる
取得内容(共有持分) 誰がどの持分を取得するかを明記 ・「持分○分の○のうち全部を取得」「○分の○のうち○分の○を取得」など、範囲まで明確に記載する
・割合の表記は登記簿の記載に合わせて統一する
相続人の情報 相続人全員の氏名・住所 ・1人でも漏れると協議が有効に成立していないと扱われるケースがある
・住所は印鑑証明書の記載と一致している必要がある
署名・押印 相続人全員の署名と実印 印鑑証明書と一致している必要がある

実務において共有持分の記載でとくに注意したいのは、「不動産全体の割合」と「被相続人が保有する持分の割合」を混同してしまうことです。

たとえば、被相続人が「不動産全体の2分の1」の持分を持っていたとします。遺産分割協議書には「被相続人が有していた持分2分の1のうち、その2分の1を取得する」と、対象となる持分と取得する割合を区別して記載する必要があります。

ここで、誤って「不動産全体の4分の1を取得する」と独自に計算した結果だけを記載してしまうと、被相続人の権利との不整合が起き、法務局から補正を求められる原因になります。分数計算のミスや、対象範囲の混同には細心の注意が必要です。

共有持分の遺産分割協議書は書き方を誤ってしまうと、その後の相続登記(名義変更)の手続きが滞る原因となります。提出書類の内容に不備があると、手続きの途中で差し戻しを受け、修正が必要になるためです。

実務経験上、遺産分割協議書の書き方にミスがあったことが原因で、遺産分割協議書の修正や再作成が必要となり、相続人全員から署名・押印を再度集め直すケースもあります。

共有持分の相続では、持分割合の書き方や不動産の表記などに注意が必要です。たとえば「不動産全体のうち何割を取得するのか」「被相続人の持分のうちどれだけを取得するのか」を区別せずに記載すると、補正の原因となり得ます。

本記事では、共有名義や共有持分を専門に扱う立場から、共有持分の相続における遺産分割協議書の基本的な書き方、状況別の記載例、よくある失敗例、作成手順を詳しく解説します。実務でつまずきやすいポイントも紹介しているので、これから手続きを進める方はぜひ参考にしてください。

遺産分割協議書は遺産の分割方法などの合意内容をまとめた書類のこと

遺産分割協議書とは、相続人全員で合意した遺産の分け方について、正式な書面としてまとめた書類のことです。単なる話し合いの記録ではなく、相続手続きを進めるうえで必要となる証明書としての役割を担います。


引用元: 民法|e-Gov 法令検索

相続が発生したものの遺言書がない場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を取得するかを決める必要があります。遺産の分け方は民法で定められた法定相続分をひとつの基準として、相続人全員で分け方を決めます。相続人全員の合意があれば、協議によって分け方を決めることが可能です。

ただし、遺産分割における合意は、口頭だけでは手続きに反映することができません。

また、不動産の相続において遺産分割協議によって取得者や持分割合を決めた場合、その内容を相続登記に反映するためには、誰がどの財産を取得したのかを証明する遺産分割協議書が必要です。なお、遺言書がある場合や、法定相続分どおりに登記する場合など、遺産分割協議書を使用せずに相続登記をするケースもあります。

共有持分を相続する場合、不動産全体ではなく、被相続人が有していた持分を誰が承継するのかを決めます。相続人全員の合意があれば、特定の相続人が持分を単独で取得することも、複数人で共有することも可能です。ただし、共有で取得する場合は、「被相続人の持分のうち、どの範囲を誰が取得するのか」を遺産分割協議書で明確にしなければなりません。

このとき、「被相続人が有していた持分のうち、どの範囲を誰が取得するのか」を遺産分割協議書で明確にしておかなければ、登記手続きが進められません。

相続登記の手続きをする法務局では、遺産分割協議書や登記申請書などの提出書類に基づいて名義変更が進められます。そのため、持分割合に記載ミスがあったり矛盾点があったりする場合、補正や再提出が求められることになります。

実際の手続きでは「口頭では合意していたが、書面の記載に不備があり補正を求められる」「持分割合の記載が漏れており、後から修正が必要になる」といったトラブルが起こりがちです。二度手間になるのを防ぐためにも、遺産分割協議書は正確に作成することが大切です。

不動産については、登記事項証明書の記載どおりに所在地や地番などを書いていきます。また、共有持分の場合は「被相続人が有していた持分○分の○のうち、その全部を相続人Aが取得する」といった形で、どの持分が誰に移転するのかを明確に示す必要があります。

遺産分割協議書は単なる形式的な書類ではなく、相続登記にも必要な重要な書類です。作成は個人でもできますが、迷ったときは司法書士などの専門家に相談してみてください。

共有持分を相続する場合の遺産分割協議書の書き方

共有持分を相続する場合は、「誰が」「どの持分を」「どの範囲で取得するのか」を正確に記載しなければなりません。

遺産分割協議書の内容はそのまま登記に反映されるため、記載の曖昧さや表記に誤りがあると補正を受ける原因になってしまいます。

まずは、共有持分の相続における遺産分割協議書の記載例をご覧ください。


※上記はあくまでもサンプルであり、実際の遺産分割協議書は不動産の取得内容や相続人の状況など個別の事情に応じて内容を調整する必要があります。

記載項目 概要 注意点
被相続人の情報 氏名・死亡日・最後の住所など ・氏名は戸籍の情報と一致させる
・最後の住所は住民票の除票と一致させる
不動産の表示 所在地・地番・家屋番号・地目・地積など ・登記事項証明書の記載をそのまま転記する
・省略や表記違いは登記の補正対象になる
取得内容(共有持分) 誰がどの持分を取得するかを明記 ・「持分○分の○のうち全部を取得」「○分の○のうち○分の○を取得」など、範囲まで明確に記載する
・割合の表記は登記簿の記載に合わせて統一する
相続人の情報 相続人全員の氏名・住所 ・1人でも漏れると協議が有効に成立していないと扱われるケースがある
・住所は印鑑証明書の記載と一致している必要がある
署名・押印 相続人全員の署名と実印 印鑑証明書と一致している必要がある

遺産分割協議書において、とくに注意したいのが、共有持分の書き方です。不動産を共有名義で相続する際には、「共有で相続すること」と「誰がどの持分を取得するのか」を明確に記載する必要があります。

たとえば、被相続人が不動産全体の2分の1を所有していた場合は、「相続人Aは、被相続人が有していた持分2分の1のうち3分の2を取得する」「相続人Bは、被相続人が有していた持分2分の1のうち3分の1を取得する」という形で記載します。

このように「不動産全体に対する持分」なのか「被相続人が有していた持分に対する割合」なのかを区別して記載することが大切です。単に「Aが持分2分の1を取得する」という表現では、登記の段階で補正を求められる原因になります。

また、割合の表記については、「2分の1」や「1/2」などどちらの形式でも登記自体は可能ですが、基本的には登記事項証明書の記載内容に合わせて統一しましょう。

法務局に書類を提出した後、補正を受けると二度手間になってしまうため、上記の点はとくによく確認した上で遺産分割協議書を作成してください。

あくまでも一例ですが、実務では以下のようなミスが原因で補正を受けることがあります。

  • 登記事項証明書と不動産の表記が一致していない
  • 持分の範囲の記載が曖昧になっている
  • 相続人の記載漏れがある
  • 住所や氏名が公的書類と一致していない

登記は書面に基づいて厳格に判断されるため、上記のような不備があると補正や再提出が必要になり、手続きが遅れる原因になります。

なお、遺産分割協議書は自分で作成することも可能です。法務局の公式サイトで公開されているひな型を使用すれば基本的な形式は満たせますが、共有持分の相続では記載方法のわずかな違いがミスにつながる場合もあります。そのため、不安がある場合は司法書士などの専門家に依頼して遺産分割協議書の作成を進めてみてください。

共有持分の遺産分割協議書は「内容が合っているか」だけでなく、「登記申請に使用できる程度の正確性で書かれているか」が重要になります。記載内容の正確性を意識して作成することが、その後の手続きをスムーズに進めるためのポイントです。

【状況別】共有持分の遺産分割協議書の記載例

共有持分の遺産分割協議書は、相続の状況によって記載方法が異なります。ここでは、実務上でも見られる3つのケースに分けて、具体的な記載例を紹介します。

  • 相続人全員で均等に共有持分を引き継ぐ場合の記載例
  • 持分割合を調整して共有する場合の記載例
  • 一部の相続人のみで共有する場合の記載例

相続人全員で均等に共有持分を引き継ぐ場合の記載例

今回の記載例では、配偶者と子ども1人の計2人で、被相続人の土地と建物それぞれについて、均等に共有持分を引き継ぐケースを想定しています。

遺産分割協議書

被相続人
氏名:○○○○
生年月日:昭和○年○月○日
死亡年月日:令和○年○月○日
本籍地:東京都○○区○○町○○番地

被相続人、○○○○の遺産について、相続人全員が協議し、下記の通り遺産分割を行うことに合意した。

1.相続人○○○○が取得する遺産

【預貯金】○○銀行 ○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○
上記口座の相続開始日時点の残高および相続開始後に発生した利息その他の付随金の2分の1

【土地】
所在:○○市○○町○○丁目
地番:○番
地目:宅地
地積:○○.○㎡
取得内容:上記不動産について、被相続人の有していた持分2分の1のうち、その2分の1(※不動産全体に対する持分4分の1)を取得する

【建物】
所在:○○市○○町○○丁目
家屋番号:○番
種類:居宅
構造:木造瓦葺3階建
床面積:1階○○.○○㎡ 2階○○.○○㎡
取得内容:上記不動産について、被相続人の有していた持分2分の1のうち、その2分の1(※不動産全体に対する持分4分の1)を取得する

2.相続人○○○○が取得する遺産

【預貯金】○○銀行 ○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○ 2分の1

【土地】
所在:○○市○○町○○丁目
地番:○番
地目:宅地
地積:○○.○㎡
取得内容:上記不動産について、被相続人の有していた持分2分の1のうち、その2分の1(※不動産全体に対する持分4分の1)を取得する

【建物】
所在:○○市○○町○○丁目
家屋番号:○番
種類:居宅
構造:木造瓦葺3階建
床面積:1階○○.○○㎡ 2階○○.○○㎡
取得内容:上記不動産について、被相続人の有していた持分2分の1のうち、その2分の1(※不動産全体に対する持分4分の1)を取得する

3.上記以外の被相続人にかかる遺産が新たに発見された場合、相続人○○○○が相続する

以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、本協議書を2通作成し、署名捺印のうえ、各1通ずつ保管する。

令和○年○月○日

住所:東京都○○区○○町○○番地
相続人氏名:○○○○(自署・捺印)

住所:東京都○○区○○町○○番地
相続人氏名:○○○○(自署・捺印)

※上記のひな形はあくまでも一例であるため、実際に作成する際は司法書士などの専門家に相談してください。

配偶者と子どものように2分の1ずつ共有する場合、一見シンプルな分割に思えますが、記載方法で重要なのは、「どの財産を」「どの割合で取得するのか」を明確にすることです。

今回の記載例では、「被相続人が有していた持分2分の1のうち、その2分の1を取得する」という形で、それぞれの相続人が取得する範囲を個別に記載しています。これにより、各相続人が取得するのは不動産全体の4分の1であることが明確になります。

一方で、「各自2分の1ずつ取得する」といった抽象的な書き方だけでは、対象となる財産や持分の範囲が不明確になり、登記の場面で補正を求められる原因になります。そのため、不動産やその他の財産ごとに割合を分けて記載する形にしましょう。

持分割合を調整して共有する場合の記載例

今回の記載例では、配偶者と子ども1人の2人で相続し、持分割合を調整して共有するケースを想定しています。配偶者が3分の2、子どもが3分の1の割合で取得するなど、状況に応じて持分を変更するパターンです。

遺産分割協議書

被相続人
氏名:○○○○
生年月日:昭和○年○月○日
死亡年月日:令和○年○月○日
本籍地:東京都○○区○○町○○番地

被相続人、○○○○の遺産について、相続人全員が協議し、下記の通り遺産分割を行うことに合意した。

1.相続人○○○○が取得する遺産

【預貯金】○○銀行 ○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○ 3分の2

【土地】
所在:○○市○○町○○丁目
地番:○番
地目:宅地
地積:○○.○㎡
取得内容:上記不動産について、被相続人が有していた持分2分の1のうち、その3分の2(※不動産全体に対する持分3分の1)を取得する

【建物】
所在:○○市○○町○○丁目
家屋番号:○番
種類:居宅
構造:木造瓦葺3階建
床面積:1階○○.○○㎡ 2階○○.○○㎡
取得内容:上記不動産について、被相続人が有していた持分2分の1のうち、その3分の2(※不動産全体に対する持分3分の1)を取得する

2.相続人○○○○が取得する遺産

【預貯金】○○銀行 ○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○ 3分の1

【土地】
所在:○○市○○町○○丁目
地番:○番
地目:宅地
地積:○○.○㎡
取得内容:上記不動産について、被相続人が有していた持分2分の1のうち、その3分の1(※不動産全体に対する持分6分の1)を取得する

【建物】
所在:○○市○○町○○丁目
家屋番号:○番
種類:居宅
構造:木造瓦葺3階建
床面積:1階○○.○○㎡ 2階○○.○○㎡
取得内容:上記不動産について、被相続人が有していた持分2分の1のうち、その3分の1(※不動産全体に対する持分6分の1)を取得する

※上記のひな形はあくまでも一例であるため、実際に作成する際は司法書士などの専門家に相談してください。

持分割合を調整するケースでは、均等に分ける場合よりも記載ミスのリスクが高くなります。重要なのは、「誰が」「どの割合を取得するのか」を正確に書き分けることです。

今回の記載例のように「3分の2」と「3分の1」で分ける場合は、それぞれの相続人に対応する割合を取り違えないように注意が必要です。記載内容を誤ると、登記後に内容を修正する手間が生じ、手続きが煩雑になってしまいます。

また、実務上は持分の合計についても見落とされやすいポイントです。ここで確認すべきなのは、不動産全体ではなく、被相続人が有していた持分をすべて相続人に配分できているかという点です。

たとえば、被相続人の持分を「3分の2、3分の1」で分ける場合は、被相続人の持分全体を1として、配分割合の合計が1になるかを確認します。ここで割合を誤ると、遺産分割協議書の内容に不整合が生じ、作り直しが必要になることがあります。

記載ミスがあると、遺産分割協議書を作り直したうえで、相続人全員から再度署名・実印を集め直すことになり、手間も時間も大きくかかります。持分割合を調整する場合は、記載内容と計算の両方を確認したうえで作成することが大切です。

一部の相続人のみで共有する場合の記載例

今回の記載例では、配偶者と子ども2人の計3人が相続人となり、不動産は子ども2人のみで共有し、配偶者は取得しないケースを想定しています。

たとえば、将来的な二次相続や不動産の管理・売却のしやすさを考慮し、相続人全員の合意によって、子どもだけで不動産を取得するパターンが考えられます。ただし、誰が取得するのが適切かは、他の相続財産や税金、居住状況によって変わるため、実際には税理士や司法書士、弁護士などの専門家に確認しながら判断することが大切です。

遺産分割協議書

被相続人
氏名:○○○○
生年月日:昭和○年○月○日
死亡年月日:令和○年○月○日
本籍地:東京都○○区○○町○○番地

被相続人、○○○○の遺産について、相続人全員が協議し、下記の通り遺産分割を行うことに合意した。

1.相続人○○○○が取得する遺産

【預貯金】○○銀行 ○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○ 全額

2.相続人○○○○が取得する遺産

【土地】
所在:○○市○○町○○丁目
地番:○番
地目:宅地
地積:○○.○㎡
取得内容:上記不動産について、被相続人の有していた持分2分の1のうち、その2分の1(※不動産全体に対する持分4分の1)を取得する

【建物】
所在:○○市○○町○○丁目
家屋番号:○番
種類:居宅
構造:木造瓦葺3階建
床面積:1階○○.○○㎡ 2階○○.○○㎡
取得内容:上記不動産について、被相続人の有していた持分2分の1のうち、その2分の1(※不動産全体に対する持分4分の1)を取得する

3.相続人○○○○が取得する遺産

【土地】
所在:○○市○○町○○丁目
地番:○番
地目:宅地
地積:○○.○㎡
取得内容:上記不動産について、被相続人の有していた持分2分の1のうち、その2分の1(※不動産全体に対する持分4分の1)を取得する

【建物】
所在:○○市○○町○○丁目
家屋番号:○番
種類:居宅
構造:木造瓦葺3階建
床面積:1階○○.○○㎡ 2階○○.○○㎡
取得内容:上記不動産について、被相続人の有していた持分2分の1のうち、その2分の1(※不動産全体に対する持分4分の1)を取得する

4.上記以外の被相続人にかかる遺産が新たに発見された場合、相続人○○○○が相続する

以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、本協議書を3通作成し、署名捺印のうえ、各1通ずつ保管する。

令和○年○月○日

住所:東京都○○区○○町○○番地
相続人氏名:○○○○(自署・捺印)

住所:東京都○○区○○町○○番地
相続人氏名:○○○○(自署・捺印)

住所:東京都○○区○○町○○番地
相続人氏名:○○○○(自署・捺印)

※上記のひな形はあくまでも一例であるため、実際に作成する際は司法書士などの専門家に相談してください。

一部の相続人のみで不動産を共有する場合は、「誰が取得しないのか」を含めて内容を明確にしておく必要があります。今回の記載例では、配偶者は不動産を取得せず、子ども2人のみで共有する形になっているため、「取得する相続人」と「取得しない相続人」がはっきり分かる構成にしています。

記載例では、子ども2人それぞれについて「土地2分の1」「建物2分の1」と記載することで、不動産の持分が2人に分かれていることを具体的に示しています。このように取得する相続人ごとに持分割合を明確にしておけば、登記の際に補正を受けるリスクを減らせます。

なお、不動産を取得しない配偶者については、預貯金を全額取得する形で記載しています。

不動産を一部の相続人のみで共有する場合は、「取得する人」と「取得しない人」の区分をはっきりさせたうえで、財産ごとに持分を具体的に記載することが、手続きをスムーズに進めるためのポイントになります。

共有持分の遺産分割協議書の作成でよくある失敗例

共有持分の遺産分割協議書は、一見するとひな形に沿って作成すれば問題ないように見えますが、実務では細かなミスが原因で手続きが止まる場合もあります。ここでは、弊社の実務経験をもとに、実際の手続きで起こりやすい代表的な失敗例を紹介します。

  • 不動産の表記ミスにより登記が通らない
  • 相続人の記載漏れで遺産分割協議書が無効になる
  • 持分割合を明確に記載していない
  • 実印で押印しておらず手続きが進まない
  • 持っていた権利証の情報が古い

不動産の表記ミスにより登記が通らない

不動産の表記ミスがあると、法務局に登記申請をしても、法務局から補正を求められる原因になります。遺産分割協議書の記載内容は登記事項証明書と照合されるため、わずかな表記の違いでも別の不動産と判断されてしまうためです。

とくに注意したいのが、持分を取得する不動産について普段使っている住所(住居表示)をそのまま記載してしまうケースです。登記手続きでは、登記事項証明書に記載されている「所在」と「地番(建物の場合は家屋番号)」での記載が必要となるため、住居表示をそのまま記載してしまうと補正を受ける原因になります。

【失敗例】
日常で使う住居表示をそのまま書いてしまった。
所在地:○○市○○町1-1-1

【成功例】
登記事項証明書どおりに正確に記載した。
所在:○○市○○町○丁目
地番:○番
地目:宅地
地積:○○.○㎡

また、所在地の省略や地番の記載漏れといったミスも、補正の対象になることがあります。こうした不備があると、法務局から補正を求められ、場合によっては遺産分割協議書を作り直したうえで、相続人全員から再度署名・実印を集め直す必要が生じます。

不動産の表示は登記事項証明書を確認し、一字一句をそのまま転記することが手続きをスムーズに進めるための基本です。

相続人の記載漏れで遺産分割協議書が無効になる

遺産分割協議は、相続人全員の合意があって初めて成立します。そのため、相続人が1人でも漏れている場合、遺産分割協議書は有効に成立していないと扱われる場合があり、登記手続きに使用することもできません。

実務上、とくに注意が必要なのは「戸籍を確認して初めて見知らぬ相続人の存在が発覚した」といったケースです。

たとえば、前の配偶者との間に子どもがいる場合や、認知した子どもがいる場合などが該当します。また、相続人がすでに亡くなっており孫が相続する「代襲相続」や、相続手続き中にさらに相続が発生する「数次相続」も相続人の範囲が複雑になり、記載漏れが起こりやすくなります。

【失敗例】
相続人A・Bのみで遺産分割協議書を作成したが、後から相続人Cの存在が発覚して遺産分割協議書が無効になった。

【成功例】
事前に戸籍調査をしたため、相続人A・B・C全員で遺産分割協議書を作成し、署名・押印をした。

相続人の記載漏れがあると、遺産分割協議書は登記書類として使用できず、協議自体をやり直す必要があります。さらに、あらためて相続人全員から署名と実印を集め直すことになるため、手続きに大きな手間と時間がかかります。

このようなミスを防ぐためには、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍をすべて取り寄せ、相続人の範囲を正確に確定させたうえで遺産分割協議書を作成することが大切です。

持分割合を明確に記載していない

共有持分の割合が確定していない遺産分割協議書では、相続登記を進めることができません。遺産分割協議書には、「誰が」「どの割合を取得するのか」を数値で明確に記載する必要があります。

登記手続きでは、共有持分はすべて分数などの数値で管理されます。そのため、「半分ずつ」「均等に分ける」といった表現では、登記簿に反映すべき具体的な割合が特定できず、差し戻しを受ける原因となってしまいます。

【失敗例】
持分割合を曖昧な記載方法にしてしまい、法務局から差し戻された。
例:相続人Aと相続人Bで半分ずつ共有する

【成功例】
持分割合を分数で明確に記載したため、そのまま登記申請が通った。
例:相続人Aが2分の1、相続人Bが2分の1の割合で取得する

また、持分割合の記載で見落とされやすいのが、共有持分の合計です。たとえば、被相続人の持分を分ける場合は「被相続人の持分(○分の○)のうち、相続人Aが2分の1、相続人Bが2分の1を取得する」といった形で記載します。分け合う割合の合計が被相続人の持分に対して「1(全部)」になるようにしましょう。

割合の組み合わせに誤りがあると、内容に矛盾があるとして登記が通らず、遺産分割協議書の内容の修正や再作成が必要になる場合があります。

持分割合を記載する際は「誰がどの割合で取得するのか」を数値で明確に記載することが失敗しないためのポイントです。

実印で押印しておらず手続きが進まない

遺産分割協議書に実印で押印されていない場合、そのままでは相続登記を進められません。

遺産分割協議書は相続人全員の合意を法的に証明するための書類であり、その合意が本人の意思であることを確認するために、実印の押印と印鑑証明書の添付が求められます。

相続登記で遺産分割協議書を提出する場合は、通常、相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。認印やシャチハタで押印すると、本人の意思に基づく合意であることを登記手続き上確認できず、そのままでは相続登記を完了できないことがあります。法務局から補正を求められたり実印での押印が取り直しになる原因となるため、注意しておきましょう。

【失敗例】
相続人Aが手元にあった認印でそのまま押印してしまい、登記の段階で補正対応が必要になった。

【成功例】
相続人全員がそれぞれ実印で押印し、印鑑証明書もあわせて用意したことで、そのまま登記手続きに進めた。

上記のように不備があると、登記申請は受理されず、改めて押印をやり直す必要があります。もし相続人が遠方に住んでいる場合や人数が多い場合は、書類の再送や押印のやり直しに時間がかかり、手続きが大きく遅れる原因になります。

なお、印鑑証明書について、相続登記においては法的な有効期限は設けられていません。ただし、預貯金などの相続で金融機関に提出する場合は6ヶ月以内、自動車の名義変更では3ヶ月以内のものが求められる場合があります。

遺産分割協議書を作成する際は、実印の押印と印鑑証明書の取得を忘れないようにしましょう。

持っていた権利証の情報が古い

手元にある権利証(登記識別情報)の内容をそのまま使って遺産分割協議書を作成すると、補正の対象になることがあります。

権利証はあくまでも不動産を取得した当時の情報を示すものであり、現在の登記内容と一致していない可能性があるためです。

不動産は、分筆や合筆、地番の変更、建物の増改築などによって登記内容が変わっていることがあります。そのため、権利証の記載をそのまま転記してしまうと、現在の登記事項証明書と内容が一致しないというケースが起こり得ます。

【失敗例】
昔取得した権利証を見ながら遺産分割協議書を作成したところ、地番が現在の登記情報と一致せず、登記手続きが滞ってしまった。

【成功例】
事前に登記事項証明書を取得して最新情報を確認し、その内容どおりに記載したことで、そのまま手続きを進めることができた。

実際の不動産の情報と遺産分割協議書の内容が食い違っていると登記申請が受理されず、補正や書類の作り直しの原因となってしまいます。

遺産分割協議書を作成する際には古い権利証を参照するのではなく、最新の登記事項証明書を法務局で取得し、それをもとに不動産の情報を記載しましょう。

共有持分の遺産分割協議書を作成するまでの手順

共有持分を相続する場合、遺産分割協議書の記載内容が不動産の売却や管理、共有者間のトラブル防止に大きく影響します。

共有不動産は相続後の扱いが複雑になりやすく、相続人や財産調査に誤りがあると、遺産分割協議書の修正が必要となり、共有状態が長期化してしまうおそれがあります。協議書を正しく作成するためには、作成までの手順を正確に踏むことが重要です。

ポイント

遺産分割協議書を作成しても、不動産の名義は自動的には変更されません。協議内容を反映するためには、法務局で相続登記(名義変更)を行う必要があります。

相続によって不動産の権利自体は取得していますが、その内容を第三者に主張するためには、相続登記によって登記簿に反映しておくことが大切です。登記が完了すれば、誰がどの持分を取得したのかを公的に示せる状態になります。

2024年4月1日からは相続登記が義務化されており、相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内の申請が必要です。また、遺産分割協議によって不動産や共有持分を取得した場合は、遺産分割が成立した日から3年以内に申請しなければなりません。正当な理由なく期限を過ぎると、10万円以下の過料の対象となります。

  1. 相続人を確定する
  2. 相続財産をすべて洗い出す
  3. 共有持分の割合を決める
  4. 分割内容を遺産分割協議書として文章化する
  5. 相続人全員が署名・実印で押印する

①相続人を確定する

最初に行うべきは、遺産分割協議に参加する相続人の確定です。相続人に漏れがあると、遺産分割協議が有効に成立していないと扱われ、協議書の作成や手続きをやり直す必要が生じます。

遺産分割協議は相続人全員の合意が前提となるため、1人でも欠けている場合、相続登記に使用することができません。相続人の記載漏れは、登記申請時の戸籍照合で発覚するため、事前の確認が必須です。

あくまでも弊社の実務経験をもとにした一例ですが、以下のようなケースでは、相続人の見落としが起こりやすくなります。

  • 前の配偶者との間に子どもがいる
  • 認知した子どもがいる
  • 代襲相続(子が親より先に亡くなり孫が相続する)が発生している
  • 数次相続(相続の手続き中に別の相続人が亡くなる)が起きている

相続人を正確に確定するためには、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍を取り寄せて確認します。なお、数次相続が発生している場合は、相続手続きの途中で亡くなった相続人についても戸籍を確認する必要があり、調査の範囲が広がる点に注意が必要です。

相続関係が複雑な場合や時間が取れない場合は、司法書士などの専門家に依頼することを推奨いたします。

②相続財産をすべて洗い出す

相続人を確定した後は、被相続人が所有していた財産をすべて洗い出します。相続財産に漏れがあると、後から遺産分割のやり直しや追加の手続きが必要になるため、遺産分割協議の前にしっかり確認しておくことが大切です。

共有持分を相続する場合は、不動産の評価額や権利関係の把握が重要になります。これらが不正確だと、持分割合の設定や代償金の金額にズレが生じ、不公平な分割や後のトラブルにつながるおそれがあります。

調査対象となる主な財産は以下のとおりです。

  • 不動産(共有持分)
  • 預貯金・現金
  • 株式や投資信託などの有価証券
  • 自動車、貴金属などの動産
  • 借金、ローン、未払税金などの負債

実務では、相続財産の見落としが後から発覚するケースもあります。たとえば、使っていない銀行口座や把握していなかった有価証券などが後から見つかると、追加で協議が必要になってしまいます。

このようなリスクを減らすためにも、不動産については登記事項証明書を取得のうえ、市区町村で名寄帳を取得して被相続人が所有する不動産をすべて確認しましょう。

さらに、遺産分割協議書に「後から新たな財産が発見された場合の取り扱い」を定めておくことで、すべてをやり直すのではなく、該当財産についてのみ追加で協議する形にもできます。

③共有持分の割合を決める

相続人と相続財産が確定したら、遺産分割協議を行い、「誰がどの割合で共有持分を取得するか」を決めます。共有持分の相続では、割合の決め方がその後の不動産の扱いに直接影響するため、慎重に決定する必要があります。

共有持分は単なる数字ではなく、共有不動産に対してどの程度の権利を持つかを示す割合です。たとえば、共有不動産の管理行為については原則として持分価格の過半数で決められますが、不動産全体を売却するような処分行為には共有者全員の同意が必要です。

また、固定資産税などの費用は、共有者間では持分割合に応じて負担する形が一般的ですが、納税義務の面では共有者が連帯して扱われる点にも注意が必要です。

そのため、単に「均等に分ける」といった決め方をしてしまうと、将来的に意見がまとまらず、不動産を売却できない状態になることがあります。「話し合いがまとまらないから、とりあえず均等に分ける」という判断は、問題の先送りになってしまいかねません。

実際には、話し合いの手間を避けて法定相続分どおりに分けるケースもありますが、後から活用や処分で支障が出ることもあります。そのため、共有持分の実務に携わる立場からは、将来の使い方まで見据えて分け方を考えることを推奨します。

共有持分特有のリスクを避けるためには、代償分割として代償金を支払ったうえで1人が多くの持分を取得する方法や、特定の相続人が単独で取得する方法が挙げられます。

なお、遺産分割協議は対面に限らず電話やオンラインでも行うことが可能ですが、最終的には相続人全員が遺産分割協議書へ署名・押印する必要があります。

ただし、共有持分の相続では相続人全員の合意を得なければならないため、連絡が取れない相続人がいる場合や、未成年の相続人がいる場合には追加の法的手続きが必要になります。

連絡が取れない相続人がいる場合、状況によって必要な対応が異なります。住所や所在がわからない場合は、不在者財産管理人の選任が必要になることがあります。一方、所在は分かっているものの協議に応じてもらえない場合は、家庭裁判所での遺産分割調停を検討することになります。

また、未成年者と親権者がともに相続人となり、利益相反が生じる場合には、特別代理人の選任が必要です。

手続きは個人でも進められますが法的知識が必要になるため、迷ったときは弁護士に相談しましょう。

④分割内容を遺産分割協議書として文章化する

相続人全員で合意した内容は、遺産分割協議書として文章にまとめます。文章化する際には、「誰が、どの不動産の、どの持分を取得するのか」を、登記に使用できる形で具体的に記載することがポイントです。

遺産分割協議書には決まった書式はなく、手書きでもパソコンで作成しても問題ありません。ただし、内容が曖昧だと登記手続きに使用できないため、登記事項証明書などを見ながら正確に記載しましょう。

たとえば、同じ不動産を複数の相続人で共有する場合は、それぞれの相続人ごとに取得する持分を個別に記載します。

ここで重要なのが、「不動産全体に対する割合」なのか「被相続人が有していた持分に対する割合」なのかを区別して書くことです。区別が曖昧なままだと、登記内容と不一致となり法務局から補正を受ける原因になります。

遺産分割協議書の作成では、合意内容を正しくまとめるだけでなく、登記に使える精度で文章化することが求められます。記載内容に不備があると手続きが止まってしまうため、細かい部分まで丁寧に確認しながら作成することが大切です。

⑤相続人全員が署名・実印で押印する

遺産分割協議書の作成が完了したら、相続人全員による署名と実印での押印をします。

もし押印漏れがあったり、一部の相続人の印鑑証明書が不足していたりすると、相続登記の手続きが滞ってしまいます。また、相続人が遠方に住んでいる場合は、郵送のやり取りに時間がかかることもあるため、事前の連絡が必須です。

相続人が近くに住んでいない場合は、以下の方法で対応できます。

  • 遺産分割協議書を郵送で順番に回して署名・押印してもらう
  • 同内容の書類を相続人ごとに用意し、それぞれ署名・押印して回収する

なお、氏名の記載はパソコンで入力した記名でも手続き上は問題ありませんが、後のトラブルを防ぐ観点からは手書きでの署名が望ましいといえます。仮に後から相続人の一部が「合意していない」「勝手に印鑑を押された」と主張した場合でも、手書きの署名があれば、本人が内容を確認したうえで署名したことを示す有力な資料になります。そのため、後日のトラブル防止という意味でも、可能であれば自署で作成しておきましょう。

なお、印鑑証明書について、相続登記に使用する場合には発行から何ヶ月以内といった有効期限の制限はありません。ただし、預貯金の相続手続きや自動車の名義変更など、提出先によっては発行から3ヶ月以内または6ヶ月以内のものを求められる場合があります。そのため、相続登記以外の手続きも同時に進める場合は、できるだけ新しい印鑑証明書を取得しておくことを推奨します。

遺産分割協議書は相続人全員分の署名・実印が必須であり、1人でも欠けると補正や再提出が必要になるため、最後まで慎重に作成しましょう。

共有持分の遺産分割協議書の作成を士業に依頼するメリット

共有持分の遺産分割協議書は、記載内容の正確さだけでなく、相続人同士の利害調整や今後の不動産の扱いまで見据えて作成する必要があります。

手続き自体は自分で進めることも可能ですが、内容に不備があるとやり直しが発生したり、後のトラブルにつながることもあります。そのため、共有持分の遺産分割協議書で迷ったときは、弁護士や司法書士などの士業に依頼することをおすすめします。

ここでは、それぞれの専門家に依頼するメリットについて解説します。

弁護士に依頼するメリット

相続人同士で意見がまとまらない場合や、トラブルに発展する可能性がある場合は、弁護士への依頼を検討しましょう。共有持分の相続では、持分割合や不動産の扱いをめぐって意見が対立しやすく、話し合いが難航するケースもあります。

弁護士に依頼する主なメリットは以下のとおりです。

  • 相続人の代理人として交渉を任せられる
  • 法律に基づいた主張で不利な条件を避けやすくなる
  • 調停や審判などの法的手続きにも一貫して対応できる

弁護士が代理人として間に入ることで、相続人同士が直接やり取りする必要がなくなり、感情的な対立を避けやすくなります。親族間の話し合いは、内容だけでなく感情面でも負担が大きくなりがちですが、第三者に任せることで冷静に進めやすくなります。

あくまでも弊社の実務経験をもとにした一例ですが、以下のようなケースでは弁護士への依頼が向いています。

  • 相続人同士で意見が対立している
  • 話し合いが進まず協議が長引いている
  • 共有持分の分け方や不動産の処分方法で揉めている
  • 交渉から遺産分割協議書の作成まで一貫して依頼したい

上記のような状況では、当事者同士で無理に進めるよりも、弁護士に任せた方がスムーズに解決できることもあります。弁護士費用は発生してしまいますが、状況によっては依頼を検討してみてください。

司法書士に依頼するメリット

相続人同士で意見はすでにまとまっているものの、登記などの手続きに不安がある場合は、司法書士への依頼がおすすめです。共有持分の相続では、持分割合や不動産の記載内容が複雑であるため、遺産分割協議書の作成から司法書士に依頼すれば手続きがスムーズに進みやすくなります。

司法書士に依頼する主なメリットは以下のとおりです。

  • 相続人間で合意ができている場合、遺産分割協議書の作成から相続登記まで一貫して任せられる
  • 法務局での手続きが滞りなく進む
  • 登記実務に沿って書類を作成してもらえる
  • 戸籍収集や書類整理の負担を軽減できる

司法書士に依頼すれば、最新の登記情報に基づいて書類を作成してもらえるため、やり直しのリスクを抑えて手続きを進められます。戸籍の収集についても、司法書士に相続登記などの業務を依頼した場合は、業務に必要な範囲で戸籍等を取得してもらえるため、複数の役所から書類を取り寄せる負担を軽減できます。

ただし、司法書士は相続人同士の交渉を代理することはできません。そのため、すでに話し合いがまとまっている場合や大きな対立がないケースで、手続きを滞りなく進めたい場合に依頼を検討すると良いでしょう。

あくまでも一例ですが、以下のようなケースでは司法書士への依頼が向いています。

  • 相続人同士で合意ができている
  • 共有持分の割合がすでに決まっている
  • 相続登記をスムーズに完了させたい
  • 手続きの手間や負担を減らしたい

相続人同士のトラブルは生じておらず、遺産分割協議書の作成や書類収集、登記など事務的な手続きを任せたい場合には、司法書士への依頼を推奨します。

まとめ

共有持分の相続では、遺産分割協議書の内容が登記や将来の不動産の扱いにそのまま影響するため、記載が曖昧だったり不備があったりすると手続きが進まないだけでなく、後のトラブルの原因にもなります。

手続きを進めるうえでは、相続人を漏れなく確定し、相続財産を正確に把握したうえで、共有持分の割合を明確な数値で決めなければなりません。そのうえで、協議で取り決めた割合を登記にそのまま使える形で遺産分割協議書に落とし込むことが大切です。

手続きに不安がある場合は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することも検討してください。相続人同士で意見がまとまらない場合は弁護士、すでに合意ができているが書類作成や登記に不安がある場合は司法書士といったように、状況に応じて依頼先を選びましょう。

共有にすると、各共有者は自分の共有持分だけであれば単独で売却できますが、不動産全体を売却するには原則として共有者全員の同意が必要になります。そのため、相続時に深く考えず共有にしてしまうと、後から売却や活用、管理費の負担をめぐって意見が分かれ、不動産全体を動かせない状態になることがあります。

共有にする場合は、誰が住むのか、固定資産税や修繕費をどのように負担するのか、将来的に売却する場合にどのように合意形成を行うのかまで、方針を決めておくことが大切です。

そのため、不動産の専門家としては遺産分割協議の段階で「共有にしても問題ないか」「共有にするなら不動産をどのように活用するか」をあらかじめ決めておくことを推奨します。

よくある質問

遺産分割協議書に有効期限はありますか?

遺産分割協議書そのものに有効期限はありません。相続人全員の合意によって成立した遺産分割協議書は、どれだけ時間が経過しても有効な書類として扱われます。
ただし、相続登記には申請期限があり、2024年4月以降は不動産を相続したことを知った日から3年以内に手続きを行う必要があるため、作成後は早めに登記まで進めましょう。

遺産分割協議書は公正証書にしたほうが良いですか?

基本的に、遺産分割協議書は、公正証書にする必要はありません。相続人全員の合意があり、署名・実印で押印された協議書であれば法的に有効な書類となり、そのまま相続登記などの手続きに使用できるためです。
ただし、後から内容をめぐって争いになる可能性がある場合や、代償金の支払いなど確実に履行させたい条件がある場合など、公正証書として作成した方が良いケースもあります。
たとえば、代償金の支払いのように金銭の支払義務を定める場合、公正証書に強制執行認諾条項を付けておくことで、支払いが滞った際に裁判を経ずに強制執行の手続きへ進める場合があります。ただし、公正証書にすれば遺産分割協議書のすべての内容について直ちに強制執行できるわけではありません。必要に応じて、弁護士や司法書士に確認しながら作成することが大切です。

遺産分割協議書を自分で作成する場合、法務局で内容をチェックしてもらうことはできますか?

法務局では、登記申請に必要な書類や形式面について案内を受けられます。
ただし、遺産分割の内容自体の妥当性や、将来的なトラブルのリスクまで判断してもらえるわけではありません。また、法務局では遺産分割の内容が相続人にとって適切かといった個別の法律判断までは行っていません。
内容面に不安がある場合は、司法書士や弁護士などの専門家に確認してもらうことを検討してみてください。
なお、相談は原則として予約が必要となるため、あらかじめ法務局の窓口や公式サイトで予約を取っておきましょう。

こんな記事も読まれています