共有不動産のトラブルは弁護士に相談するべき?相談すべきケース・解決方法など徹底解説

共有不動産を所有している方の中には、「他の共有者が売却に応じてくれない」「共有者の1人が不動産を占有している」「固定資産税や修繕費の負担で揉めている」などの悩みを抱えている方も多いでしょう。

実際、弊社が共有名義不動産の所有者を対象に行ったアンケート調査でも、具体的な悩みとして「売却の可否や価格などの処分方針」が32%で最多となっています。次いで「固定資産税などの維持費・税金の負担」や「権利・相続面」がそれぞれ25%を占めています。

トラブルの原因

※アンケート実施日:2026年3月12日〜3月26日
※実施方法:インターネットアンケート
※アンケート対象者:計500人

このように、「売りたいのに売れない」「固定資産税や修繕費の負担割合で揉めている」といった状況は、共有不動産で発生しやすく、解決が難しいトラブルです。

共有不動産のトラブルは、すべてのケースで弁護士に依頼しなければならないわけではありません。共有者同士で冷静に話し合いができ、売却や買取、費用負担などについて合意できる場合は、弁護士に依頼せず解決することも可能です。

反対に、以下のような状況になっている場合は、早めに弁護士へ相談することも検討しましょう。

  • 共有者が話し合いに応じない
  • 売却・賃貸・管理方針をめぐって意見が対立している
  • 固定資産税や修繕費などの負担割合で揉めている
  • 共有者の1人が不動産を独占して使用している
  • 共有者の1人と連絡が取れない
  • 共有物分割請求・調停・訴訟を検討している
  • 内容証明・調停申立書・訴状などが届いている
  • 相続・離婚・債務整理など別の法律問題が絡んでいる

上記のような状況に置かれている場合、当事者同士の話し合いだけで進めると、権利関係や金銭請求を整理する過程で対立が深まるおそれがあります。

弁護士に相談すれば、個々の事情に応じて、共有者との交渉、通知書・合意書の作成、調停・訴訟対応など、どの方法を取るべきか助言を受けられます。正式に依頼すれば、共有者との交渉や裁判手続きの対応を任せることも可能です。

ただし、弁護士に依頼する場合は、相談料・着手金・報酬金などの費用がかかります。トラブルの内容によっては、弁護士に依頼して争うのではなく、自分の共有持分だけを売却して共有関係から離れる方法が適している場合もあります。

本記事では、共有不動産で弁護士への相談が必要になりやすいトラブルや、弁護士に相談した場合の解決方法、相談すべきかの判断基準、弁護士費用の目安について解説します。

共有持分などの訳あり不動産を扱う立場から、実際の相談事例や弁護士と連携した解決の進め方も紹介しているため、共有不動産のトラブルで悩んでいる方は参考にしてください。

目次

共有不動産で弁護士への相談が必要になりやすいトラブル

共有不動産は、共有者それぞれが持分に応じた権利を持つため、不動産全体の売却・賃貸・管理方針・費用負担などを1人だけの判断で自由に決めることはできません。

共有者間で意見が対立したり、金銭請求や権利関係の整理が必要になったりすると、当事者同士の話し合いだけでは解決が難しくなり、弁護士への相談を検討すべき段階に進むことがあります。

弊社は、1,500超の士業、900超の弁護士事務所と連携し、共有持分などの訳あり物件買取を行っています。

※データ集計日:2018年2月21日〜2025年12月31日
※実施方法:社内でのデータを集計

実際の買取相談でも「他の共有者が売却に応じない」「共有者の1人が不動産を使い続けている」「費用負担をめぐって揉めている」といった状況から、弁護士への相談が必要になるケースは少なくありません。

ここでは、共有不動産で弁護士への相談が必要になりやすい代表的なトラブルを紹介します。

  • 共有者の1人が不動産を独占して使用している
  • 売却・賃貸・管理方針をめぐって共有者同士の意見が対立している
  • 固定資産税や修繕費などの負担割合で揉めている
  • 相続をきっかけに共有者が増えて話し合いが進まない
  • 共有者の1人と連絡が取れず協議を進められない
  • 共有者が同意なく不動産を貸す・管理する・処分しようとしている

共有者の1人が不動産を独占して使用している

共有不動産では「共有者の1人だけが建物に住んでいる」「鍵を管理している」といった状態になることがありますが、それだけでただちに違法になるわけではありません。

民法第249条では、各共有者が共有物の全部について、持分に応じた使用ができると定められているためです。

(共有物の使用)
第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
引用元: 民法|e-Gov 法令検索

そのため、共有者の1人が不動産に住み続けている場合でも、第三者による不法占拠のように、直ちに退去を求められるとは限りません。明け渡しを求められるかどうかは、使用の経緯や共有者間の合意、他の共有者の利用を妨げている事情などを踏まえて判断されます。

たとえば、兄弟で相続した実家に長男だけが住み続けており、他の兄弟は鍵を持っておらず、建物の中にも入れない状態になっているとします。この場合、長男にも共有者として不動産を使用する権利がありますが、他の共有者がまったく利用できず、管理状況も確認できない状況であれば、使用関係や費用負担をめぐってトラブルになりやすいです。

とくに、不動産を使っていない共有者にも固定資産税や修繕費の負担が発生している場合、「自分は使えないのに費用だけ負担している」という不満につながります。また、「売却や賃貸の話し合いに応じてもらえない」「使用料相当額の請求を検討したい」「費用負担の精算を求めたい」という話になると、当事者同士だけでは対応が難しくなります。

弊社でも、買取相談を受ける中で「他の共有者が実家に住み続けており、自分は利用できないにもかかわらず費用負担だけ求められる」といったお話を聞くことがあります。

共有者の1人が不動産を独占して使用している状況では、法律上の使用権と共有者間の不公平感がぶつかりやすくなります。

このような場合、独占使用の状況が法的にどう評価されるのかを確認する必要があります。使用料相当額や費用負担の請求、共有状態の解消などが問題になると、当事者同士の感情的な話し合いだけでは対応が難しくなりやすいです。

感情的に退去や費用負担を求める前に、法的な根拠を踏まえて対応方針を決めることが大切です。独占使用の問題が深刻化している場合は、早めに弁護士へ相談したほうがよいでしょう。

売却・賃貸・管理方針をめぐって共有者同士の意見が対立している

共有不動産は、売却や賃貸、大規模な修繕などを共有者の1人だけで自由に進められるわけではありません。共有者ごとに「売却して現金化したい」「賃貸に出して収益を得たい」「思い入れがあるので残したい」など考え方が分かれると、方針が決まらないまま時間だけが過ぎてしまうことがあります。

たとえば、兄弟3人で相続した実家について、長男は売却を希望し、次男は賃貸に出したいと考え、三男は親の家だから残したいと考えているとします。

この場合、売却や取り壊しなど、不動産全体の処分・大きな変更にあたる行為は、原則として共有者全員の同意が必要です。一方、共有物の管理に関する事項は、原則として持分価格の過半数で決めます。

賃貸借については、土地は5年以内、建物は3年以内など一定期間を超えないものであれば、持分価格の過半数で決めることが可能です。一方、長期の賃貸借や建物の価値・性質を大きく変える工事は、全員の同意が必要になることがあります。

このように、共有不動産では行為の内容によって必要な同意の範囲が異なります。売却や取り壊しについては、誰か1人でも反対していると進めることが難しくなります。賃貸や大規模な修繕についても、必要な同意や持分価格の過半数による決定が得られなければ、方針を決められないまま空き家として放置されるケースがあります。

放置されている間も固定資産税や管理費は発生し、建物の老朽化も進むため、「使っていないのに費用だけかかる」「反対している共有者が管理に協力してくれない」といった不満が生じやすくなります。

弊社にも、「共有者間で売却や管理方針がまとまらず、自分の持分だけでも手放したい」といった相談が寄せられることがあります。

実際、弊社が実施したアンケートによれば、「売却の可否や処分方針」をめぐる争いは、共有名義におけるトラブルの32%に上っており、頻発している問題であることがわかっています。

トラブルの原因

※アンケート実施日:2026年3月12日〜3月26日
※実施方法:インターネットアンケート
※アンケート対象者:計500人

共有者ごとの権利関係が絡むため、当事者同士の話し合いだけでは解決が難しく、弁護士への相談が必要になるケースもあります。

共有不動産では、方針の違いがそのまま権利関係や費用負担の問題につながります。意見の対立が長期化する前に、法的な観点から対応方針を検討することが大切です。

固定資産税や修繕費などの負担割合で揉めている

共有不動産では、固定資産税や都市計画税、修繕費、管理費などの費用負担をめぐって揉めることがあります。

共有不動産の費用負担を考える際は、共有者間の内部負担と、自治体に対する納税義務を分けて考える必要があります。

民法第253条では、各共有者は持分に応じて共有物の管理費用や負担を負うとされています。これは、共有者同士の内部的な負担割合を考えるうえでの基本です。

(共有物に関する負担)
第二百五十三条 各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
引用元: 民法|e-Gov 法令検索

固定資産税・都市計画税については、共有者全員が連帯して納税義務を負います。そのため、自治体は各共有者に持分割合ごとに分割して請求するわけではなく、実務上は共有者の代表者宛てに納税通知書が届くことがあります。

(連帯納税義務)
第十条の二 共有物、共同使用物、共同事業、共同事業により生じた物件又は共同行為に対する地方団体の徴収金は、納税者が連帯して納付する義務を負う。
引用元:地方税法|e-Gov法令検索

自治体への納税義務は共有者全員が連帯して負いますが、共有者間では持分割合に応じて負担を分けるのが基本です。代表者や一部の共有者が固定資産税・都市計画税をいったん全額支払った場合は、他の共有者に対して持分割合に応じた負担分の精算を求めることになります。

しかし、他の共有者に負担分を求めても支払いに応じてもらえないと、立て替えた側だけに負担が偏ってしまいます。とくに、共有者間の関係が悪化している場合や、そもそも話し合いに応じてもらえない場合は、税金や管理費の負担をめぐってトラブルが深刻化しやすいでしょう。

たとえば、兄弟3人で相続した実家について、長男に固定資産税の納税通知書が届いており、毎年長男が全額を支払っているとします。そこで、次男や三男が「住んでいないから払いたくない」「売却に反対しているのは長男だから自分は負担しない」などと主張すると、費用負担をめぐる対立が起こりやすくなります。

修繕費についても、雨漏りの応急対応のように早急な対応が必要なものから、外壁工事のように費用が大きくなりやすいものまであり、共有者によって必要性や金額の受け止め方は異なるものです。

「建物を残すなら修繕が必要」という共有者がいる一方で、「いずれ売るなら修繕費はかけたくない」と考える共有者がいれば、費用を誰がどこまで負担するのかでトラブルが起こりやすくなります。

弊社でも、固定資産税や修繕費の負担が一部の共有者に偏り、「使っていない不動産の費用を払い続けたくない」「他の共有者とこれ以上費用の話をしたくない」といった理由で、買取の相談を受けることがあります。

実際、弊社が実施したアンケートによれば、共有不動産における困りごとのうち、「維持費・税金の負担や修繕の要否」に関するトラブルは25%にのぼります。

トラブルの原因

※アンケート実施日:2026年3月12日〜3月26日
※実施方法:インターネットアンケート
※アンケート対象者:計500人

とくに注意したいのが、固定資産税や都市計画税の滞納です。共有不動産では、共有者間では持分割合に応じた負担が原則ですが、自治体に対しては共有者全員が連帯して納税義務を負います。そのため、代表者が立て替えを拒否したり、他の共有者も支払いに応じなかったりすると、延滞金や差押えなどのリスクにつながるおそれがあります。

このように、費用負担をめぐる対立では「誰がどの費用を負担すべきか」「立て替えた費用をどこまで請求できるか」が主な問題点となります。

金額や請求の根拠をめぐって話し合いが進まない場合は、当事者同士の感情的なやり取りだけでは解決が難しいため、弁護士への相談も検討したほうがよいでしょう。

相続をきっかけに共有者が増えて話し合いが進まない

相続をきっかけに不動産を複数の相続人で共有する状態になると、売却や管理について話し合うべき相手が増えることになります。

最初は親子や兄弟など親族間だけの共有であっても、その後に次の相続が発生することで、共有者の配偶者や子どもなどが新たに持分を引き継ぐ可能性があるためです。

たとえば、親が亡くなり、実家を子ども3人で相続したとします。この時点では兄弟3人の共有ですが、その後、子どもの1人が亡くなると、その配偶者や子どもが持分を引き継ぐ可能性があります。

もともとは兄弟間で話し合えばよかった不動産でも、関係性の薄い甥姪や義理の親族が共有者になると、連絡を取るだけでも時間がかかってしまいます。なかには、遠方に住んでいる共有者や、普段ほとんど交流のない共有者、面識の少ない親族が含まれることもあります。

共有者が増えるほど、売却・賃貸・修繕・管理方針について全員の意見を確認するのが難しくなります。その結果、「売却したい人」「残したい人」「費用を負担したくない人」「そもそも話し合いに参加しない人」が混在し、協議が進まなくなるおそれがあります。

共有名義の不動産は時間が経つほど権利関係と人間関係の両方が複雑になりやすく、当事者だけでの話し合いが困難になるリスクがある点には注意が必要です。

弊社にも、相続後に共有者が増えたことで話し合いがまとまらず、「次の相続が起きる前に持分を手放したい」「親族間の協議から抜けたい」といったお話を聞くことがあります。

実際、弊社で集計した買取データでは、問い合わせに至った理由のうち26%が「相続トラブル・親族間の確執」となっています。


※データ集計日:2018年2月21日〜2025年12月31日
※実施方法:社内でのデータを集計

共有者や相続人だけで話し合いを進めると、権利関係を正確に把握できないまま対立が深まるおそれがあります。相続によって共有者が増えている場合は、弁護士への相談も視野に入れたほうがよいでしょう。

共有者の1人と連絡が取れず協議を進められない

共有不動産では、共有者の1人と連絡が取れないだけでも、売却や賃貸、大規模な改修、費用負担の話し合いが進まなくなることがあります。

連絡が取れない共有者がいる場合でも、その共有者が持つ権利自体は消滅しません。そのため、共有者の所在がわからないからといって、勝手に売却などの手続きを進めることはできません。

たとえば、叔父から共有持分を相続したものの、他の共有者の1人が遠い親族で、住所も電話番号もわからないとします。不動産全体を売却したくても、その共有者に連絡できなければ売却に必要な同意を得られず、手続きを進めることが困難になります。

所在等不明共有者がいる場合は、裁判所に共有物の変更・管理に関する裁判を求める方法のほか、所在等不明共有者の持分取得や、所在等不明共有者の持分譲渡権限付与の制度を検討できます。

ただし、これらの制度を利用するには所在調査や資料収集が必要であり、所在等不明共有者の持分取得や持分譲渡権限付与を進める場合、裁判所が定めた金額を法務局に供託する必要があります。供託金額は所在等不明共有者の持分の時価相当額を考慮して決められるため、固定資産税評価額のような一律の基準で想定していると、必要資金に差が出ることもあります。

また、遺産分割が終わっていない相続財産に所在等不明共有者の持分が含まれる場合は、原則として相続開始から10年を経過していることが必要になるなどの制限もあります。そのため、所在等不明共有者がいる共有不動産では、制度を利用できるかどうかだけでなく、供託金の準備や相続関係の確認も含めて検討しなければなりません。

弊社にも、「共有者の所在がわからず売却協議が進まない」「費用負担の話もできない」といった理由で、買取相談を受けるケースがあります。

実際、弊社が行ったアンケート調査でも、共有名義不動産でトラブルを経験した人のうち、17%が「共有者と連絡不能またはコミュニケーション上のストレス」を悩みとして挙げています。

トラブルの原因

※アンケート実施日:2026年3月12日〜3月26日
※実施方法:インターネットアンケート
※アンケート対象者:計500人

共有者の1人と連絡が取れない状態は、共有不動産の売却や大規模な管理方針の決定を進めにくくする原因になります。

このようなケースでは、所在調査や相続人の確認、裁判所手続きの利用可否などを検討することになります。共有者の所在や権利関係を確認しないまま進めると、後から手続きが止まるおそれがあるため、弁護士への相談も検討したほうがよいでしょう。

共有者が同意なく不動産を貸す・管理する・処分しようとしている

前述のとおり、共有不動産では、売却や取り壊しなど不動産全体に影響する行為について、原則として共有者全員の同意が必要です。また、賃貸や管理方法の変更についても、内容によっては持分価格の過半数による決定や共有者間の合意形成が必要になります。

そのため、共有者の1人が他の共有者に十分な相談をしないまま、不動産全体の売却や取り壊し、賃貸などを進めようとすると、トラブルに発展しやすくなります。

たとえば、兄弟3人がそれぞれ3分の1ずつ共有している空き家について、長男が他の兄弟に相談しないまま、知人に貸す話を進めていたとします。この場合、長男の持分だけでは持分価格の過半数に達しないため、長男1人の判断で不動産全体を貸し出すことは原則としてできません。

それにもかかわらず賃貸の話を進めると、次男や三男との間で「そもそも貸し出していいのか」「賃料はどのように精算するのか」「修繕費や管理責任を誰が負うのか」といった対立が起こりやすくなります。

賃料が発生する場合、各共有者は持分に応じて収益の分配を受ける権利があります。そのため、必要な同意や決定を得ないまま一部の共有者が賃貸し、賃料を受け取っている場合は、賃料収入の分配や精算をめぐってトラブルになりやすいでしょう。

また、共有者の1人が不動産会社に売却相談を進めていたり、建物の取り壊しを前提に業者と話をしていたりする場合も注意が必要です。共有者間の合意を得ないまま話を進めると、他の共有者から「自分の権利を無視された」と受け止められ、感情面の対立も深まりやすくなります。

弊社も、他の共有者が無断で賃貸や売却の話を進めていることから、「これ以上揉める前に持分を手放したい」と相談されるケースがあります。共有者間で必要な合意形成をしないまま不動産全体に関わる話を進めると、法的な問題だけでなく、共有者間の信頼関係にも大きく影響します。

このような場合、問題になっている行為にどのような同意が必要なのか、すでに進められている契約や交渉を他の共有者との関係でどう扱うべきかを確認する必要があります。共有者同士の話し合いだけで止められない場合や、相手が手続きを進めようとしている場合は、弁護士への相談を考えることになるでしょう。

共有不動産のトラブルを弁護士に相談した場合の主な解決方法

共有不動産のトラブルを弁護士に相談しても、必ずしもすぐに訴訟へ進むわけではありません。まずは、共有者同士の話し合いや弁護士を通じた書面での交渉により、売却や買取、費用負担、使用方法などの条件を確認のうえ、合意による解決を目指すのが基本となります。

一方、共有者が話し合いに応じない場合や、売却・使用・費用負担をめぐる対立が深刻な場合は、共有物分割請求や民事調停、訴訟といった法的手続きが必要になることもあります。

どの方法を選ぶべきかは、共有者同士の関係性や不動産の状況、何を解決したいのかによって異なります。弁護士に相談することで、任意交渉で解決を目指すべきか、裁判所を通じた手続きを検討すべきかを判断しやすくなるでしょう。

ここでは、共有不動産のトラブルを弁護士に相談した場合に考えられる主な解決方法を解説します。

  • 任意交渉|共有者間で解決条件を話し合う
  • 共有物分割請求|共有状態の解消を求める
  • 民事調停|裁判所で話し合いによる解決を目指す
  • 訴訟・判決|裁判所の判断で分割方法を決め、必要に応じて金銭請求も整理する

任意交渉|共有者間で解決条件を話し合う

共有不動産のトラブルでは、いきなり裁判手続きに進むのではなく、まず任意交渉によって解決を目指すのが基本です。任意交渉とは、共有者同士で売却や買取、費用負担、使用方法などの条件を話し合い、合意形成を図る方法です。

弁護士による任意交渉は、裁判所を利用する手続きではありません。ただし、共有不動産をめぐる交渉は、売却・買取・費用負担・使用方法などの法律上の権利義務に関わります。

そのため、当事者の代理人として法的な主張を行い、相手方と交渉することは、弁護士の職務にあたります。弁護士法3条でも、弁護士は当事者などの依頼を受けて、訴訟事件や一般の法律事務を行うことを職務とすると定められています。

(弁護士の職務)
第三条 弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。
引用元: 弁護士法|e-Gov 法令検索

共有者同士の話し合いが進まない場合でも、弁護士に依頼すれば、代理人として相手方に条件を提示できます。売却や買取、費用負担、使用方法などを法的な観点から検討し、協議による解決を目指せる点が特徴です。

たとえば、共有者の1人が売却に応じない場合、弁護士は依頼者の代理人として、他の共有者に対して書面で売却や持分買取の条件を提示します。相手が不動産を残したいのであれば持分買取を提案し、全員が売却に応じられる余地があれば不動産全体の売却を目指します。

また、固定資産税や修繕費の負担、使用料相当額が問題になっている場合は、過去の支払状況や使用状況を確認したうえで、清算方法を交渉することもあります。

共有者同士で直接話し合うと感情的になりやすいケースでも、弁護士が間に入ることで、法的に無理のある主張や不利な条件を避けながら、現実的な解決条件を検討できます。

任意交渉で合意できた場合、弁護士に合意書の作成や内容確認を依頼できます。売却代金の分け方、持分の買取金額、費用負担の清算方法などを明確にしておけば、後から「聞いていない」「その条件には同意していない」といった認識違いを防ぎやすくなります。

また、持分の買取代金や費用の清算など、金銭の支払いが発生する場合は、公正証書の作成も検討するとよいでしょう。金銭の支払いについて執行認諾文言付きの公正証書を作成しておけば、支払いが滞った際に裁判を経ずに強制執行へ進められる場合があります。

任意交渉で解決できれば、調停や訴訟に発展した場合と比べて、時間や費用の負担を抑えられる可能性があります。

共有物分割請求|共有状態の解消を求める

共有物分割請求とは、共有者が共有状態の解消を求める手続きです。共有者同士の協議で分割方法を決めるほか、協議がまとまらない場合や諸事情で協議できない場合には、裁判所に分割を請求することになります。

共有者は、民法第256条に基づき、原則としていつでも共有物の分割を請求できます。

(共有物の分割請求)
第二百五十六条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
引用元: 民法|e-Gov 法令検索

共有物分割請求では、まず共有者同士の協議によって分割方法を決めるのが基本です。ただし、共有者間で協議がまとまらない場合や、共有者の所在不明・協議拒否などにより協議そのものが難しい場合は、民法第258条に基づき、裁判所に共有物の分割を請求できます。

裁判所の手続きでは、不動産の性質や共有者の事情を踏まえ、どの方法で分割するのが相当かが判断されます。共有物分割請求における代表的な分割方法は、以下のとおりです。

  • 現物分割:土地を分筆するなど、不動産そのものを物理的に分ける方法
  • 代償分割:共有者の1人が不動産を取得し、他の共有者に代償金を支払う方法
  • 換価分割:不動産を売却し、売却代金を共有者間で分ける方法

たとえば、兄弟で共有している実家について、1人は売却を希望しているものの、他の共有者が「思い入れがあるから売りたくない」と反対している場合があるとします。このようなケースでは、弁護士が持分割合や不動産の評価額、相手方の買取意思などを確認し、代償分割や換価分割などの選択肢を検討します。

相手が話し合いに応じる余地があれば、持分買取や不動産全体の売却を提案し、合意による共有状態の解消を目指します。一方、合意が難しい場合には、調停や訴訟も視野に入れて対応を進めることになります。

弁護士に相談すると、持分割合や不動産の評価額、これまでの使用状況、費用負担の有無などを踏まえて、どの分割方法が現実的かを提案してもらえます。そのうえで、他の共有者に対して買取や売却などの条件を提示し、共有状態の解消に向けた交渉を進めることができます。

ただし、共有物分割請求をしたからといって、必ず自分の希望どおりの方法で共有状態を解消できるとは限りません。不動産の性質や共有者の意向、代償金の支払い能力などによって、現実的に選べる方法は変わります。

話し合いで合意できれば、裁判によらず共有状態を解消することが可能です。一方、他の共有者が分割に応じない場合や、分割方法をめぐって対立が続く場合は、共有物分割に関する調停や訴訟へ進むこともあります。

民事調停|裁判所で話し合いによる解決を目指す

任意交渉で話がまとまらない場合は、共有物分割に関する調停を利用して解決を目指す方法があります。

共有物分割調停とは、裁判所で調停委員を交えながら、共有状態の解消に向けて話し合う手続きです。不動産全体を売却するのか、共有者の1人が持分を買い取るのか、費用負担をどのように清算するのかなど、共有者間で合意できる条件を検討していきます。

共有不動産のトラブルでは、当事者同士で直接話し合うと感情的になり、売却価格や買取条件、費用負担の話が進まないことがあります。そのような場合でも、調停委員が間に入ることで、双方の主張を確認しながら話し合いを進められます。

たとえば、共有者の1人が不動産全体の売却に反対しており、任意交渉でも買取金額や売却条件で折り合えないケースがあります。このような場合、弁護士は持分割合、不動産の評価額、これまでの費用負担、使用状況などの資料を準備し、調停の場で売却や持分買取、費用清算などの条件を主張します。

調停では、調停委員を通じて相手方の意向も確認しながら、訴訟に進む前に合意できる条件を探ります。弁護士に依頼すれば、どの条件であれば合意を目指せるのか、どの資料を提出すべきか、相手方の主張にどう対応するかを相談しながら進められます。

ただし、共有物分割調停は判決のように裁判所が一方的に結論を決める手続きではありません。あくまでも当事者同士の合意を目指す手続きであるため、相手が条件に応じなければ調停は成立しません。

なお、共有物分割請求は、必ず調停を経なければ訴訟を起こせないわけではありません。話し合いによる解決が見込める場合は調停を利用し、合意が難しい場合は訴訟により裁判所の判断を求める流れになります。

訴訟・判決|裁判所の判断で分割方法を決め、必要に応じて金銭請求も整理する

任意交渉や民事調停でも話がまとまらない場合は、共有物分割請求訴訟によって裁判所の判断を求める方法があります。共有物分割請求訴訟は、共有者同士の合意ではなく、裁判所の判決によって共有状態の解消を目指す手続きです。

共有者間で分割方法について協議がまとまらない場合や、協議そのものが難しい場合は、民法第258条に基づき、裁判所に共有物の分割を請求できます。

(裁判による共有物の分割)
第二百五十八条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
(中略)
4 裁判所は、共有物の分割の裁判において、当事者に対して、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。
引用元: 民法|e-Gov 法令検索

訴訟では、不動産の性質や共有者の持分割合、これまでの使用状況、各共有者の希望などを踏まえて、裁判所が分割方法を判断します。

裁判による共有物分割では、現物分割が可能か、特定の共有者に不動産を取得させて代償金を支払わせる方法が相当か、競売によって売却代金を分けるべきかが検討されます。土地の形状や建物の有無、共有者の取得希望、代償金の支払い能力などによって、裁判所が選ぶ分割方法は変わります。

たとえば、共有者の1人が不動産を独占使用しており、任意交渉や調停でも売却や買取、費用負担の話し合いに応じないケースがあったとします。このような場合、弁護士は不動産の評価額、持分割合、使用状況、固定資産税や修繕費の負担状況などを証拠として準備し、訴訟で希望する分割方法を主張します。

相手方が不動産の取得を希望する場合は代償金の支払い能力を確認し、売却による清算が相当な場合は換価分割を求めるなど、裁判所に対して具体的な分割方法を示しながら解決を目指します。

訴訟では分割方法に加えて、代償金の支払いや登記手続きの進め方が問題になることがあります。民法第258条4項では、共有物分割の裁判において、裁判所が金銭の支払いや登記義務の履行などを命じることができるとされています。

固定資産税や修繕費の立替分、使用料相当額などの金銭請求がある場合は、共有物分割とあわせて主張できるか、別途請求すべきかを事案ごとに検討する必要があります。共有物分割の中心はあくまで分割方法の決定ですが、関連する金銭問題も含めて方針を立てることで、共有状態の解消と費用関係の解決を同時に目指せる場合があります。

また、競売による換価分割になった場合、任意売却よりも売却価格が低くなる傾向があります。共有者全員にとって経済的な負担が大きくなる可能性があることから、訴訟前や訴訟中の和解によって任意売却や代償分割を目指すことも検討されます。

弁護士に依頼すると、訴状や証拠資料の準備、不動産評価額や持分割合の確認、希望する分割方法の主張、相手方の反論への対応などを任せられます。

裁判の途中で和解案が提示されることもあるため、判決まで進めるべきか、和解によって早期解決を目指すべきかについても相談しながら判断できます。

また、和解や代償分割を検討する場面では、不動産の評価額をどう見るかが重要になります。代償金の金額や売却条件を決めるには、法的な主張だけでなく、不動産の市場価格や売却可能性も踏まえる必要があるためです。

共有不動産のトラブルでは、法的な見通しと不動産価格の両方を確認することで、和解・売却・持分買取などの選択肢を比較しやすくなります。弊社では900超の弁護士事務所と連携しており、共有持分の買取相談を受ける際も、不動産会社としての価格査定や買取実務の観点に加え、必要に応じて法的な対応方針を確認しながら進めています。

注意すべきなのは、訴訟を起こしたからといって、必ず自分の希望どおりの分割方法が認められるとは限らない点です。

裁判所は当事者の主張だけでなく、不動産の状況や分割後の公平性なども踏まえて判断するため、訴訟に進む場合は弁護士と方針を十分に確認しておくことが大切です。

共有不動産のトラブルで弁護士に相談するべきかの判断基準

共有不動産のトラブルは、すべてのケースで弁護士への依頼が必要になるわけではありません。共有者同士で冷静に話し合いができ、売却や買取、費用負担などの条件に合意できる場合は、弁護士に依頼せずに解決することも可能です。

一方、共有者同士の対立が深まっている場合や、金銭請求、権利関係、法的手続きが絡む場合は、当事者だけで進めるとトラブルが大きくなるおそれがあります。

弊社のアンケートデータによれば、共有名義がきっかけで共有者との仲が悪くなったり、絶縁や裁判にまで発展してしまったりした人は、全体の4分の1にあたる25%に上ります。

※アンケート実施日:2026年3月12日〜3月26日
※実施方法:インターネットアンケート
※アンケート対象者:計500人

ここでは、共有不動産のトラブルで弁護士に相談するべきか判断するための基準を解説します。

  • 共有者同士の話し合いだけでは解決できない
  • 金銭請求や権利関係の整理が必要になっている
  • 共有物分割請求・調停・訴訟を検討している
  • 相続・離婚・債務整理など別の法律問題が絡んでいる
  • 内容証明・調停申立書・訴状などが届いている

共有者同士の話し合いだけでは解決できない

共有者同士で何度話し合っても結論が出ない場合は、弁護士への相談を検討する段階といえます。共有不動産のトラブルでは、当事者だけで話し合いを続けても、感情的な対立や過去の親族関係が影響し、具体的な解決条件まで進めないことがあるためです。

たとえば、売却や買取の条件を提示しても相手が返答しない、話し合いのたびに感情的になってしまう、費用負担や使用方法について何度確認しても合意できないといった状況です。

このような状態で無理に協議を続けると、「言った、言わない」の争いが起きたり、不利な条件のまま合意してしまったりするおそれがあります。実務上は、「相場より低い金額で持分を買い取られる」「固定資産税や修繕費の負担を一方的に引き受ける」といった内容で合意してしまうケースが見られます。

弁護士に相談すれば、共有者それぞれの権利関係や主張を整理したうえで、法的な根拠に基づいて交渉を進めてもらえます。口頭でのやり取りではなく、書面で条件を提示することで、売却や買取、費用負担、使用ルールなどの論点を明確にできます。

また、相手が話し合いに応じない場合でも、弁護士に相談しておけば、任意交渉を続けるべきか、調停や訴訟などの手続きに進むべきかを判断しやすくなります。

共有者同士の話し合いだけで解決の見通しが立たない場合は、早めに弁護士へ相談し、対応方針を固めることが大切です。

金銭請求や権利関係の整理が必要になっている

共有不動産のトラブルが費用の清算や金銭請求、権利関係の確認に発展している場合は、弁護士への相談を検討しても良い段階といえます。

単に「売りたい」「残したい」と意見が分かれているだけでなく、誰にいくら請求できるのか、誰がどの権利を持っているのかを確認する必要があるためです。

共有者の1人が不動産を独占して使用している場合は、他の共有者が使用料相当額を請求できるのかも問題になります。

法律上は、不当利得返還請求として使用料相当額を求められるかが争点になることがあります。ただし、過去に無償での使用を認めていたのか、他の共有者の利用を実際に排除していたのか、固定資産税や修繕費を誰が負担していたのかによって判断が変わります。

共有不動産を無断で賃貸に出されていた場合も、賃料収入の分配や契約内容の確認が必要になります。賃料を一部の共有者が受け取っている場合は、持分割合に応じた分配や、不当利得返還請求を検討する場面もあります。

金銭請求は感情的な不満だけで進められるものではありません。持分割合、支払履歴、使用状況、過去の合意内容などをもとに、請求できる金額や証拠、どのような方法で回収を目指すのかを検討する必要があります。

また、相続登記が未了のまま共有状態になっている場合や、過去の相続が何代も放置されている場合は、現在の共有者が誰なのかを確定するところから始めます。登記上の名義人と実際の権利者が一致していないと、売却や買取、共有物分割請求の前提となる権利関係を正しく判断できません。

さらに、2024年4月1日からは相続登記が義務化されており、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の適用対象となります。

弁護士に相談すれば、そもそも金銭請求が可能かどうか、請求額をどのように算定するか、どのような法的手続きで回収を目指すべきかを確認してもらえます。

金銭や権利関係が絡む段階では、自己判断で強く請求すると対立が深まるおそれがあります。請求の根拠や権利関係を確認したうえで対応するためにも、専門家である弁護士に相談することが大切です。

共有物分割請求・調停・訴訟を検討している

共有物分割請求や調停、訴訟を検討している段階であれば、早めに弁護士へ相談したほうがよいでしょう。

これらは共有状態を解消するための法的手続きであり、どの方法で進めるのか、どの資料を用意するのか、相手方の主張にどう対応するのかを事前に考えておく必要があるためです。

共有物分割請求では、現物分割・代償分割・換価分割などの分割方法がありますが、希望する方法がそのまま認められるとは限りません。不動産の状態や持分割合、共有者の希望、代償金を支払えるかどうかなどを踏まえて、現実的な方針を検討するのが基本です。

また、調停や訴訟に進む場合は、不動産の評価額、登記事項証明書、固定資産税や修繕費の負担状況、これまでの使用状況などを確認しておく必要があります。

資料が不足したまま手続きを始めると、主張すべき内容を十分に伝えられなかったり、不利な条件で和解してしまったりするおそれがあります。

弁護士に相談すれば、任意交渉を続けるべきか、調停を利用するべきか、訴訟で裁判所の判断を求めるべきかを、現在の状況に応じて確認できます。手続きに入ってから慌てて相談するよりも、事前に方針や必要資料を確認しておいたほうが、対応を進めやすくなります。

共有物分割請求や調停、訴訟を現実的に検討し始めた場合は、手続きを始めてからではなく、その前の段階で弁護士に相談しておくことが大切です。

相続・離婚・債務整理など別の法律問題が絡んでいる

共有不動産のトラブルに相続・離婚・債務整理など別の法律問題が絡んでいる場合は、弁護士への相談を検討したほうがよいでしょう。

共有状態の解消だけでなく、相続人同士の権利関係や財産分与、住宅ローン、債権者対応なども同時に確認する必要があるためです。

相続が絡むケースでは、遺産分割協議や相続登記、相続人の確定が問題になります。たとえば、相続した実家を共有名義のままにしている場合、誰が持分を取得するのか、売却するのか、特定の相続人が住み続けるのかを相続人全員で話し合わなければなりません。

離婚が絡むケースでは、夫婦共有名義の自宅や住宅ローン、財産分与の扱いが問題になりやすいです。夫婦共有名義の不動産については、離婚に際して片方が住み続けるのか、売却して清算するのか、住宅ローンの返済や名義をどう扱うのかを決める必要があります。

また、売却額より住宅ローン残高のほうが多いオーバーローンの状態では、売却代金だけでローンを完済できないため、金融機関との調整や任意売却を検討する必要が生じます。

債務整理が絡むケースでは、共有者の1人が借金を抱えており、共有持分の差押え、競売申立て、破産手続きが問題になることがあります。自己破産などの手続きに進むと、共有者だけでなく、債権者や破産管財人との調整が必要になってきます。

このように、別の法律問題が絡む共有不動産トラブルでは、相談先や対応する順番を誤ると、売却や共有状態の解消がさらに遅れるおそれがあります。

弁護士に相談すれば、共有不動産の問題と相続・離婚・債務整理の問題を切り分けながら、どの手続きから進めるべきかを確認できます。

内容証明・調停申立書・訴状などが届いている

共有不動産に関して、他の共有者や代理人弁護士から内容証明が届いた場合や、裁判所から調停申立書・訴状などが届いた場合は、早めに弁護士へ相談するべきといえます。

相手方がすでに法的対応へ進んでいる可能性が高く、自己判断で対応すると不利な状況に陥りかねないためです。

内容証明が届いた場合は、相手方が売却や買取、費用負担、賃料相当額の支払いなどを正式に求めている可能性があります。内容証明そのものに判決のような強制力があるわけではありませんが、請求内容や回答期限、相手方の主張の根拠を確認したうえで、どのように対応するかを慎重に判断する必要があります。

調停申立書が届いた場合は、裁判所での話し合いが始まる段階です。期日に出席するのか、どのような資料を用意するのか、こちらの主張をどのように整理するのかを事前に検討しておかなければ、相手方の主張を前提に話し合いが進んでしまうことがあります。

訴状が届いた場合は、すでに訴訟を起こされている状態です。答弁書の提出や期日対応が必要になるため、放置すると相手方の主張に十分反論できないまま手続きが進むおそれがあります。届いた書類を読まずに放置したり、感情的に相手へ連絡したりするのは避けましょう。

弁護士に相談すれば、届いた書類の内容を確認したうえで、請求が法的に妥当か、どのように回答すべきか、交渉・調停・訴訟のいずれで争うべきかの方針を示してもらえます。

内容証明や裁判所からの書類が届いている場合は、期限内に対応する必要があるため、できるだけ早い段階で相談することが大切です。

共有不動産のトラブルで弁護士以外への相談も検討した方がよいケース

共有不動産のトラブルでは、必ずしも弁護士に依頼して裁判や調停を進める必要があるとは限りません。共有者との関係性や、どのような形で共有状態を解消したいのかによっては、弁護士以外への相談も選択肢になります。

実際、弊社の買取相談でも「他の共有者と争いたくない」「できるだけ早く共有関係から離れたい」といった主旨のお話を聞くことがあります。共有者との交渉や裁判に大きな負担を感じている場合は、法的に争う以外の解決方法も視野に入れることが大切です。

あくまでも一例ですが、共有不動産のトラブルで弁護士以外への相談も検討した方がよいケースは、以下のとおりです。

  • 他の共有者と争わずに共有関係から離れたいケース
  • 裁判や交渉に時間・費用をかけたくないケース
  • 不動産全体の売却に共有者全員の同意を得られないケース
  • 共有者との関係が悪く、これ以上やり取りを続けたくないケース
  • 固定資産税や修繕費の負担から早く解放されたいケース
  • 相続した共有持分を使う予定がなく、現金化したいケース

共有不動産の解決方法は1つではなく、共有者との関係性、不動産の利用状況、費用負担の状況などによって適した方法が変わります。また、相談先によって対応できる範囲も異なるため、「何を解決したいのか」を固めたうえで相談先を選ぶようにしましょう。

たとえば、法的な交渉や共有物分割請求を進めたい場合は、弁護士への相談が適しています。相続登記や名義変更を進めたい場合は司法書士、不動産全体の売却を進めたい場合は不動産会社、自分の共有持分だけを売却して共有関係から離れたい場合は共有持分の買取業者が主な選択肢になります。

方法 向いているケース 主な相談先
共有者同士で話し合って売却する 共有者全員が売却に前向きな場合 不動産会社
他の共有者に持分を買い取ってもらう 他の共有者に買取資金があり、関係性も悪くない場合 弁護士・不動産会社
自分の共有持分だけを売却する 他の共有者の同意を得ずに共有関係から離れたい場合 共有持分の買取業者
共有物分割請求を行う 話し合いでは共有状態を解消できない場合 弁護士
登記手続きを進める 相続登記が未了の場合や、合意内容に基づいて名義変更を行う場合 司法書士

なお、すでに内容証明や訴状が届いている場合は、法的な対応が必要になることがあります。共有持分の売却を検討している場合でも、共有者との対立が深刻化しているときは、先に弁護士へ相談したほうがよいでしょう。

共有不動産のトラブルを弁護士と連携して解決できた事例

共有不動産のトラブルでは、共有者同士の話し合いだけで解決できるケースもありますが、実際には当事者だけでは問題が長引いてしまうケースも少なくありません。

実際の相談でも、「他の共有者が売却に応じない」「共有者の1人が不動産を使用している」「相続後の協議がまとまらない」などの事情から、自分の共有持分を売却して共有関係から離れたいと相談されることがあります。

弊社は、1,500超の士業、900超の弁護士事務所と連携し、共有持分などの訳あり物件の調査・査定・買取を行っています。買取後に共有者間の法的交渉や共有物分割請求、調停・訴訟対応が必要になる場合は、法律判断や代理交渉を弁護士が担い、弊社は不動産会社として価格査定や売買実務の面から対応しています。

ここでは、共有不動産のトラブルについて、弊社が持分を買い取り、弁護士と連携しながら共有状態の解消を進めた事例を紹介します。

  • 売却に反対する共有者がいた持分を買い取り、共有物分割請求も視野に共有状態の解消を進めた事例
  • 不動産を独占使用する共有者がいた持分を買い取り、使用関係と費用負担を整理した事例
  • 相続後に兄弟間で対立していた持分を買い取り、連携弁護士と共有解消の方針を整理した事例

※以下は、弊社に寄せられる共有持分買取の相談傾向をもとに、個人情報や物件情報が特定されないよう一部内容を調整した事例です。

売却に反対する共有者がいた持分を買い取り、共有物分割請求も視野に共有状態の解消を進めた事例

共有不動産では、共有者の1人が売却を希望していても、他の共有者が反対していると不動産全体の売却は進めにくくなります。

とくに、親族間で感情的な対立がある場合や、共有者ごとに不動産への思い入れが異なる場合は、当事者同士の話し合いだけでは解決が難しくなります。

以下では、売却を希望する共有者の持分を弊社が買い取った事例を紹介します。

買取後は、弊社が新たな共有者として不動産の権利関係や利用状況を確認しました。共有物分割請求など法的手続きの要否については連携弁護士に確認し、必要な法律対応は弁護士が担う体制で、共有状態の解消に向けた方針を検討しました。

項目 内容
所在地 神奈川県横浜市
物件種別 戸建て住宅・土地
共有者 兄弟3名
売主様の持分 3分の1
主なトラブル 売主様は売却希望、他の共有者の1人が売却に強く反対
ご相談者様は、兄弟3名で共有している実家について、3分の1の共有持分を所有していました。ご相談者様は不動産全体の売却を希望していましたが、他の共有者の1人が売却に強く反対していたため、話し合いが進まない状態でした。

不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の同意が必要です。そのため、ご相談者様だけが売却を希望していても、反対する共有者がいる限り、実家全体をそのまま売却することは困難でした。

そこで弊社が、ご相談者様の共有持分を買い取りました。持分を売却したことで、ご相談者様は他の共有者との交渉や、今後の管理・費用負担の問題から離れることができました。

買取後は、弊社が新たな共有者として、不動産全体の任意売却や弊社持分の買取、管理費用の精算など複数の方法を検討しました。そのうえで、他の共有者と協議を進めましたが、相続時から続く感情的な対立もあり、当初は任意の話し合いだけで共有状態を解消するのが難しい状況でした。

そのため、共有物分割請求など法的手続きの要否については、連携弁護士に確認しました。法律判断や代理交渉が必要な場面では弁護士が対応する体制をとりながら、弊社は新たな共有者として、不動産全体の売却や弊社持分の買取に向けた方針を検討しました。

その後は、連携弁護士の助言を踏まえ、共有状態を続けた場合のリスクや、裁判所の判断によって分割方法が決まる可能性も整理しながら協議を進めました。その結果、他の共有者も任意売却や持分買取などの現実的な解決策を検討しやすくなりました。

今回の事例では、ご相談者様が共有持分を売却したことで、他の共有者との交渉や、売却後に発生する管理・費用負担の問題から離れることができました。

共有者間で売却への意見が分かれている場合でも、自分の共有持分を売却すれば、不動産全体の売却に全員の同意が得られない状態から抜け出すことが可能です。

買取後は弊社が新たな共有者となり、当事者として他の共有者と協議を進めることになります。本事例でも、不動産全体の任意売却、他の共有者による持分買取、管理費用の清算など、共有状態を解消するための方法を検討しました。

協議だけで合意形成が難しい場合には、連携弁護士と法的な見通しを確認しながら、共有物分割請求も視野に入れて対応方針を検討します。共有状態を続けるリスクや、裁判所の判断によって分割方法が決まる可能性を共有者に伝えることで、感情的な反対だけで止まっていた話し合いでも、任意売却や持分買取など現実的な解決策に向けて進むことがあります。

不動産を独占使用する共有者がいた持分を買い取り、使用関係と費用負担を整理した事例

共有不動産では、共有者の1人が建物に住み続けている一方で、他の共有者は不動産を利用できない状態になることがあります。共有者には不動産を使用する権利があるため、住んでいること自体を一律に問題視できるわけではありません。

しかし、利用できない共有者にも固定資産税や修繕費の負担が求められている場合は、不公平感が大きくなりやすい点に注意が必要です。

以下では、他の共有者が実家を独占使用していた共有持分を弊社が買い取り、その後に連携弁護士と使用関係や費用負担を整理した事例を紹介します。

所在地 東京都練馬区
物件種別 戸建て住宅・土地
共有者 兄弟2名
売主様の持分 2分の1
主なトラブル 他の共有者が実家を独占使用し、売主様は利用できない状態
ご相談者様は、兄弟で相続した実家について、2分の1の共有持分を所有していました。実家にはもう一方の共有者が長年住み続けており、ご相談者様は不動産を利用できない状態でした。

一方で、ご相談者様には固定資産税や修繕費の負担が求められていました。そのため、「自分は住んでいないのに費用だけ負担している」「相手とこれ以上費用の話を続けたくない」という不満を抱えている状況でした。

ご相談者様は、使用料相当額の請求などで争いを続けるよりも、早く共有関係から離れたいと考えていました。そこで弊社が、ご相談者様の共有持分を買い取りました。共有持分を売却したことで、ご相談者様は利用していない不動産の費用負担や、実家を使用している共有者との交渉から離れることができました。

買取後は、弊社が新たな共有者として、実際に不動産を使用している共有者と、今後の使用関係や共有状態の解消について協議しました。具体的には、今後も使用を続けるのであれば弊社持分を買い取ること、不動産全体を売却すること、共有状態を続ける場合には固定資産税や修繕費などの負担関係を明確にすることを提案しました。

本件では、単に共有者の1人が住んでいるという事実だけでなく、過去に無償での使用を認めていた経緯があるのか、固定資産税や修繕費を誰がどの程度負担していたのかなどを確認する必要がありました。また、使用料相当額の請求を検討できるのかも問題になりました。

そのため、弊社では連携弁護士と協議しながら、独占使用の経緯や費用負担の状況を確認しました。任意協議で合意が難しい場合には、使用料相当額の請求や共有物分割請求も視野に入れ、共有状態の解消に向けた方針を整理しました。

このようなケースでは、単に「共有者の1人が住んでいる」という事実だけで判断することはできません。

過去に無償での使用を認めていた経緯があるのか、固定資産税や修繕費を誰がどの程度負担していたのか、使用料相当額の請求を検討できるのかなど、複数の問題を確認する必要があります。

ご相談者様は共有持分を売却したことで、独占使用している共有者との費用負担や使用関係をめぐる協議から離れることができました。買取後は、弊社が新たな共有者として当事者となり、連携弁護士と法的な見通しを確認しながら対応を進めていきました。

今回の事例のように、独占使用と費用負担が問題になっているケースでは、感情的な話し合いだけでは解決が難しくなりやすいです。

共有持分を売却すれば、利用していない不動産の負担や他の共有者とのやり取りから離れられ、買取後は新たな共有者となった買主が共有状態の解消に向けて対応を進めます。

相続後に兄弟間で対立していた持分を買い取り、連携弁護士と共有解消の方針を整理した事例

相続をきっかけに兄弟で不動産を共有すると、売却・解体・管理費用の負担などをめぐって意見が分かれることがあります。とくに、古い実家や空き家を共有している場合は、「売却したい」「残したい」「解体費用を負担したくない」といった考えが対立し、話し合いが進まなくなるケースも少なくありません。

以下では、相続後に兄弟間で対立していた共有持分を弊社が買い取り、買取後に連携弁護士と共有状態の解消に向けた方針を整理した事例を紹介します。

所在地 埼玉県さいたま市
物件種別 土地・古家付き戸建て
共有者 兄弟4名
売主様の持分 4分の1
主なトラブル 相続後、売却・解体・管理費負担をめぐって兄弟間で対立
ご相談者様は、相続によって兄弟4名で共有名義になった土地・建物について、4分の1の共有持分を所有していました。建物は老朽化しており、売却するのか、解体するのか、誰が管理費用を負担するのかをめぐって、兄弟間で意見が対立している状態でした。

ご相談者様自身は不動産を利用する予定がなく、今後も兄弟間の話し合いや管理費用の負担に関わり続けることに大きな負担を感じていました。そのため、「自分の持分だけでも手放したい」と考え、弊社へご相談いただきました。

そこで弊社が、ご相談者様の共有持分を買い取りました。共有持分を売却したことで、ご相談者様は老朽化した不動産の今後の管理負担や、共有者としての協議から離れることができました。

買取後は、弊社が新たな共有者として、不動産全体の売却、弊社持分の買取、建物の解体・管理費用の精算など複数の方法を検討しました。そのうえで、他の共有者に対して現実的な解決方法を提示しましたが、相続時から続く感情的な対立もあり、当初は任意の協議だけで共有状態を解消するのが難しい状況でした。

そこで弊社では、共有物分割請求も含めた法的手続きの見通しについて、連携弁護士に確認しました。法律判断や代理交渉が必要な場面では弁護士が対応する体制をとりながら、弊社は新たな共有者として、不動産全体の売却や持分買取、解体費用・管理費用の精算に向けた方針を検討しました。

その後は、建物の老朽化による管理リスクや、共有状態を放置した場合の将来的な負担を共有者間で確認しながら、不動産全体の売却または持分整理に向けた協議が進む形となりました。

今回の事例では、ご相談者様が共有持分を売却したことで、兄弟間の対立や老朽化した不動産の管理負担から離れることができました。相続後の共有不動産では、話し合いが長引くほど、管理費用や解体費用の負担が増えるだけでなく、親族間の感情的な対立も深まりやすくなります。

買取後は弊社が新たな共有者となり、不動産全体を売却するのか、弊社持分を他の共有者が買い取るのか、解体費用や管理費用をどのように清算するのかといった方法を検討しました。

古家付き土地の共有トラブルでは、法律上の権利関係だけでなく、建物の老朽化リスク、解体費用、売却価格、今後の管理負担なども考える必要があります。

そのため、弊社では不動産実務の観点から売却や管理コストを確認しつつ、連携弁護士と共有物分割請求を含めた法的な見通しも確認しながら対応を進めました。

このように、相続後の共有不動産で兄弟間の協議が止まっている場合でも、自分の共有持分を売却することで、親族間の話し合いや管理費用の負担から離れられます。ただし、売却前に発生していた固定資産税や修繕費の立替分、共有者間で未精算の金銭がある場合は、売却とは別に調整が必要になるケースもあるため、注意が必要です。

共有不動産のトラブル解決を弁護士に依頼する場合の費用相場

共有不動産のトラブルを弁護士に依頼する場合は、相談料・着手金・報酬金・実費などの費用がかかります。

依頼内容や不動産の評価額、交渉で解決するのか、調停・訴訟まで進むのかによって総額は変わりますが、事前に費用の内訳を把握しておくことが大切です。

ここでは、共有不動産のトラブル解決を弁護士に依頼する場合にかかる主な費用の目安を解説します。

費用 概要 目安
相談料 弁護士に共有不動産の状況や解決方法を相談する際にかかる費用 30分5,000円~1万円程度
※初回相談は無料の事務所もあり
着手金 交渉・調停・訴訟などを正式に依頼する際に、結果にかかわらず支払う費用 20万円~50万円程度
報酬金 ・持分買取や売却、金銭回収など、依頼によって利益が得られた場合に支払う費用
・経済的利益をもとに算定されることが多いが、固定報酬や段階報酬となる場合もある
経済的利益の5%〜10%程度
※事務所や依頼する内容によって異なる
実費・日当 裁判所への申立費用、郵送費、交通費、出張対応などにかかる費用 数万円~10万円程度

※上記はあくまでも目安のひとつであり、実際の費用は弁護士事務所の料金体系、請求内容、不動産の評価額、調停・訴訟へ進むかどうかによって異なります。

相談料

共有不動産のトラブルについて弁護士に相談する場合、弁護士事務所によっては相談料が発生します。

相談料は、30分5,000円〜1万円程度に設定されているところもあれば、初回のみ無料としているところもあります。実際の相談料は事務所や相談内容によって異なるため、予約する際に公式サイトや電話などで確認しておくことが大切です。

相談料を抑えたい場合は、無料相談を実施している事務所を選ぶのもひとつの方法です。ただし、費用だけで判断するのではなく、共有不動産や共有持分のトラブルに対応した経験があるかも確認しておきましょう。

また、無料相談でも制限時間を過ぎると費用が発生することがあります。あらかじめ登記事項証明書、固定資産税納税通知書、共有者とのやり取り、持分割合がわかる資料などを準備しておくと、限られた時間でも状況を伝えやすくなります。

着手金

着手金とは、弁護士に交渉・調停・訴訟などを正式に依頼する際にかかる費用です。相談料とは異なり、弁護士が事件処理に着手する段階で発生します。

共有不動産のトラブルでは、共有者との任意交渉だけを依頼するのか、共有物分割請求の調停や訴訟まで依頼するのかによって、着手金の金額が変わります。

また、共有者の人数が多い場合や、相続・離婚など別の法律問題が絡む場合は、権利関係の整理に手間がかかるため、費用が高くなる傾向があります。

着手金は事件処理に着手するための費用であるため、希望どおりの結果にならなかった場合でも、原則として返金されません。実際の費用は弁護士事務所によって異なりますが、20万円〜50万円程度が目安です。

依頼前には、着手金にどこまでの対応が含まれるのかを確認しておきましょう。たとえば、任意交渉から調停・訴訟へ移行した場合に追加着手金が発生するのか、共有者が複数いる場合でも同じ金額で対応してもらえるのかなどを確認しておくと、後から費用面で認識違いが起きにくくなります。

報酬金

報酬金とは、弁護士に依頼した事件が解決したときに、成果に応じて支払う費用です。着手金が依頼時に発生する費用であるのに対し、報酬金は交渉や調停、訴訟などの結果に応じて発生します。

共有不動産のトラブルでは、共有持分の売却代金、他の共有者から受け取る代償金、固定資産税や修繕費の清算で回収できた金額、使用料相当額として回収できた金額などが経済的利益として扱われることがあります。

弁護士事務所によって料金体系は異なるものの、経済的利益の5%~10%程度がひとつの目安となります。

ただし、何をもって「成功」とするかは契約内容によって異なります。希望どおりの結果ではなくても、一部の金銭回収や持分整理ができた場合には、報酬金が発生することもあります。

依頼前には、報酬金の計算方法だけでなく、どの時点で報酬金が発生するのかも確認しておきましょう。任意交渉で合意した時点なのか、売却代金を受け取った時点なのか、判決が確定した時点なのかによって、料金を支払うタイミングも変わる可能性があります。

実費・日当

相談料や着手金、報酬金以外にも、弁護士に依頼した場合は実費や日当が発生することがあります。

実費とは、手続きを進めるうえで実際にかかった費用のことで、裁判所へ納める費用や書類の取得費用、郵送費などが含まれます。

日当は、弁護士が裁判所への出頭や遠方での交渉、現地対応などを行う場合に発生する費用です。共有不動産の所在地が遠方にある場合や、裁判所への出廷回数が増える場合は、実費や日当の負担が大きくなる可能性があるため、事前に確認が必要です。

費用 内容 目安
収入印紙代 調停や訴訟を申し立てる際に裁判所へ納める費用 請求内容や不動産の評価額によって異なる
郵便切手代 裁判所から相手方へ書類を送付するために納める費用 数千円〜1万円程度
書類取得費用 登記事項証明書、固定資産評価証明書、戸籍謄本などを取得する費用 数百円〜数千円程度
交通費・宿泊費 弁護士が裁判所や現地調査などへ移動する際にかかる費用 移動距離や対応内容によって異なる
日当 弁護士が裁判所への出頭や遠方での交渉などを行う場合に発生する費用 半日3万円〜5万円程度、1日5万円〜10万円程度

実費や日当は、事務所によって着手金に含まれている場合もあれば、別途請求される場合もあります。

依頼前には、どの費用が見積もりに含まれているのか、追加で発生する可能性がある費用は何かを確認しておくことが大切です。

共有持分を売却すれば弁護士に依頼せずトラブルから離れられるケースもある

共有不動産のトラブルでは、弁護士に依頼して交渉や調停、訴訟を進める方法だけが解決策ではありません。共有者との話し合いを続けること自体が負担になっている場合は、自分の共有持分を売却し、共有関係から離れる方法もあります。

共有持分の売却とは、不動産全体を売るのではなく、自分が持っている持分だけを第三者や他の共有者に売却する方法です。不動産全体を売却するには原則として共有者全員の同意が必要ですが、自分の共有持分だけであれば、他の共有者の同意を得ずに売却できます。

なお、弊社が実施したアンケートでは、72%もの方が「自分の持分だけ売却できることを知らなかった」と回答しています。

※アンケート実施日:2026年3月12日〜3月26日
※実施方法:インターネットアンケート
※アンケート対象者:計500人

共有持分を売却すると、売主はその不動産の共有者ではなくなります。そのため、売却後は不動産全体の売却方針や管理方法をめぐる協議、固定資産税や修繕費の負担、他の共有者との交渉から離れることができます。

共有持分の売却が向いているのは、以下のようなケースです。

  • 他の共有者とこれ以上話し合いたくないケース
  • 共有不動産を自分では利用していないケース
  • 固定資産税や修繕費の負担から離れたいケース
  • 共有者全員の同意が得られず、不動産全体の売却が進まないケース
  • 調停や訴訟に時間・費用をかけたくないケース
  • 相続した共有持分を早めに現金化したいケース

注意点として、共有持分の売却価格は、不動産全体を売却した場合の持分相当額より低くなるのが基本です。買主は購入後、他の共有者との協議や共有状態の解消に対応する必要があり、そのリスクが価格に反映されるためです。

また、共有持分を売却すると、買主が新たな共有者になります。他の共有者から見れば、親族ではない第三者が共有者になるため、売却後の関係性や事前説明の要否については、状況に応じて慎重に判断する必要があります。

さらに、すでに内容証明や訴状が届いている場合、金銭請求が発生している場合などは、共有持分の売却とあわせて弁護士への相談も検討したほうがよいでしょう。

共有持分の売却は、共有不動産のトラブルから離れる有効な方法のひとつですが、事前に権利関係や売却後の影響を確認しておくことが大切です。

まとめ

共有不動産では、不動産全体の売却・賃貸・管理をめぐって共有者同士の意見が合わず、トラブルに発展することがあります。

とくに不動産全体の売却には共有者全員の同意が必要となるため、反対する共有者がいたり連絡が取れない共有者がいたりすると、話し合いが止まってしまう原因となります。

相続をきっかけに共有者が増えると、さらに問題は複雑になります。兄弟間では話し合えていた不動産でも、次の相続で配偶者や子どもが共有者になると、連絡先の確認や意思決定に時間がかかり、売却や管理の方針を決めにくくなります。

当事者同士で話し合っても解決できない場合は、弁護士に相談することで、任意交渉や民事調停、訴訟、共有物分割請求などの選択肢を法的な観点から検討できます。

金銭請求や権利関係の確認、相続・離婚・債務整理など別の法律問題が絡む場合も、早めに弁護士へ相談したほうが対応方針を立てやすくなります。

一方、共有者と争うよりも早く共有関係から離れたい場合は、自分の共有持分だけを売却する方法もあります。共有持分を売却すれば、不動産全体の売却に共有者全員の同意が得られない場合でも、固定資産税や修繕費の負担、共有者との交渉から離れられます。

共有不動産の問題は、放置するほど関係者が増え、話し合いも進みにくくなります。現在の状況が弁護士に相談すべき段階なのか、共有持分を売却して共有関係から離れる方法が合っているのかを早めに確認し、自分にとって負担の少ない解決方法を選びましょう。

共有不動産のトラブルを弁護士に相談する場合のよくある質問

共有不動産のトラブルは必ず弁護士に相談するべきですか?

共有不動産のトラブルは、必ず弁護士に相談しなければならないわけではありません。共有者同士で冷静に話し合いができ、今後の方針について合意できる場合は、弁護士に依頼せずに解決することは可能です。

ただし、共有者が話し合いに応じない場合や、親族同士で対立している場合は、弁護士への相談を検討したほうがよいでしょう。また、内容証明や訴状などが届いている場合、共有物分割請求や調停・訴訟を検討している場合、相続・離婚・債務整理など別の法律問題が絡んでいる場合も、当事者だけで判断すると不利な対応につながるおそれがあります。

弁護士に相談すれば、現在の状況が任意交渉で解決できる段階なのか、法的手続きを検討すべき段階なのかを確認できます。いきなり正式に依頼するのではなく、まずは法律相談で選択肢を確認するだけでも、今後の対応方針を決めやすくなるでしょう。

共有物分割請求をすれば必ず共有状態を解消できますか?

共有物分割請求をすれば、必ず自分の希望どおりの方法で共有状態を解消できるわけではありません。分割方法は、不動産の性質や持分割合、共有者の希望、代償金を支払えるかどうか、これまでの使用状況などを踏まえて判断されるためです。

共有物分割の方法には、土地を分ける現物分割、共有者の1人が不動産を取得して他の共有者へ金銭を支払う代償分割、不動産を売却して代金を分ける換価分割などがあります。

たとえば、自分は不動産を単独で取得したいと考えていても、代償金を用意できない場合や、不動産の状況から単独取得が適さない場合は、別の方法が検討されることがあります。

訴訟に進んだ場合は、裁判所が最終的な分割方法を判断しますが、希望する方法がそのまま認められるとは限りません。共有物分割請求を検討している場合は、事前に弁護士へ相談し、希望する解決方法が現実的かどうかを確認しましょう。

共有不動産のトラブルはどんな弁護士に相談するべきですか?

共有不動産のトラブルは、不動産分野に詳しく、共有物分割請求や共有者間の交渉に対応した経験がある弁護士に相談するとよいでしょう。

共有不動産の問題は、単に不動産を売ったり残したりするという話だけではありません。共有者ごとの権利関係、固定資産税や修繕費の負担、独占使用への対応、共有物分割請求、相続や離婚など、複数の問題が絡みやすいためです。

相談先を選ぶ際は、共有物分割請求の対応実績があるか、交渉から訴訟まで一貫して対応できるかを確認しておきましょう。相続や離婚が関係している場合は、その分野もあわせて相談できる弁護士を選ぶと、共有不動産の問題と周辺の法律問題をまとめて整理できます。

また、共有不動産の解決では、登記や税務、不動産売却の知識が必要になることもあります。そのため、司法書士や税理士、不動産会社など、他の専門家と連携できる弁護士に相談すると、手続き全体の流れを把握しながら解決方法を検討しやすくなります。

共有不動産の弁護士費用は誰が負担しますか?

共有不動産のトラブルで弁護士に依頼する場合、弁護士費用は原則として依頼した人が負担します。裁判所に納める訴訟費用とは異なり、弁護士費用は当然に相手方へ請求できるものではありません。

共有者全員の利益のために弁護士へ依頼する場合は、誰がどの費用を負担するのかを事前に決めておく必要があります。費用負担の合意がないまま依頼すると、後から「自分は依頼していない」「費用を負担するとは聞いていない」といったトラブルにつながるおそれがあります。

なお、固定資産税や修繕費の立替分、使用料相当額などは、弁護士費用とは別に請求を検討できる場合があります。弁護士費用と金銭請求は分けて考える必要があるため、相手にどこまで請求できるのかは個別に確認しましょう。

共有不動産のトラブルは弁護士の無料相談だけでも相談できますか?

共有不動産のトラブルについて、弁護士の無料相談だけを利用することも可能です。初回無料相談を設けている法律事務所もあるため、現在の状況を整理したい場合や、弁護士に正式依頼すべき段階か確認したい場合に活用できます。

無料相談では、共有者との話し合いで解決できそうか、共有物分割請求や調停・訴訟を検討すべきか、金銭請求や権利関係の整理が必要かなどを確認できます。弁護士費用の目安を聞いておけば、正式に依頼するかどうかも判断しやすくなります。

ただし、無料相談で対応できる範囲は限られています。複雑な権利関係の調査、書面作成、相手方との交渉、調停・訴訟対応などは、正式に依頼してから進めることになります。

無料相談を有効に使うには、登記事項証明書、固定資産税納税通知書、共有者とのやり取り、相続関係がわかる資料、内容証明や訴状などを事前に準備しておくとよいでしょう。短い時間でも状況を伝えやすくなり、より具体的なアドバイスを受けやすくなります。

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