事故物件の売却相場は?売却価格の調べ方を解説

事故物件の売却相場は?売却価格の調べ方や告知義務など網羅的に解説

一般的に、事故物件の売却金額は安くなると言われています。事故物件の売却を検討している場合、「事故物件はどの程度の金額で売れるのか」のように考える人もいることでしょう。

あくまで目安にすぎませんが、事故物件の売却相場は通常物件の1割〜5割程度下落した価格とされています。

とはいえ、事故物件に限らず、不動産の実際の売却金額はその物件の条件や状態などによって変動するため、不動産の売却金額を正確に断言することはできません。また、事故物件の場合、物件で起きた事件や事故の内容によって、売却相場が変わる傾向があります。

そのため、事故物件の売却金額を知りたい場合、なんとなくの相場感を知るだけでなく、自身が所有する物件の条件や状態などに応じた相場を把握することが大切です。

当記事では、事故物件の売却相場をテーマに、売却価格の調べ方や高値売却のポイントなどを解説していきます。

なお、事故物件を売却する場合、売主には原則告知義務が生じます。人の死があったことを隠して売却することは告知義務違反になり、契約解除や損害賠償の請求になる可能性があるため、事故物件を売却する場合には買い手にその事実を伝えるのが重要です。

当記事では事故物件の告知義務についても解説していくため、ぜひ参考にしてみてください。

目次

事故物件の売却相場は市場価格よりも安くなりやすい

結論から先に述べると、事故物件の売却相場は市場価格よりも安くなりやすいです。物件の条件や状態などによって実際の売却金額は変動しますが、あくまで一般的には通常物件の1割〜5割程度価格が下落するのが目安とされています。

事故物件は人の死が起きたことから買い手に心理的な抵抗を与えやすい物件です。いわゆる「心理的瑕疵物件」として事故物件は扱われて通常物件よりも需要が低くなりやすく、市場価格よりも値下げをして売却せざるを得ないことが多いです。

その結果、一般的に事故物件の売却相場は通常物件よりも安くなってしまいます。

事故物件の売却相場は事故の原因によって変わる

事故物件に対する心理的な抵抗は、その物件でどのような事件・事故が起きたかによって変わります。物件で起きた事件・事故によっては、比較的抵抗が小さくなったり大きくなったりするため、事故物件の売却相場は人の死因によっても変わると考えられます。

実際に、当サイトを運営する「株式会社クランピーリアルエステート」での買取事例を参考にしたところ、死因に応じて下記のように事故物件の買取相場が変わることがわかりました。

下落率
孤独死や病死があった事故物件 通常物件よりも1割〜2割程度下がる
自殺があった事故物件 通常物件よりも1割〜3割程度下がる
他殺があった事故物件 通常物件よりも3割〜5割程度下がる

※あくまで目安であり、必ずこの数値になるとは限らないため、目安程度にお考えください。

ここからは、物件で起きた事件・事故に応じた事故物件の売却相場について解説していきます。事故物件の売却を検討している場合、所有している物件がどの程度の金額で売却できるかを参考にしてみてください。

孤独死や病死があった事故物件:1割〜2割程度下がる

孤独死や病死は日常生活における不慮の死に該当するとされています。そのため、比較的心理的な抵抗は小さいと考えられており、孤独死や病死があった物件は事故物件のなかでも売却金額の下落率がゆるやかになる傾向があります。

あくまで目安ですが、孤独死や病死の場合は通常物件よりも売却相場が1割〜2割ほど下がる傾向があります。通常1,000万円で売却できる金額であれば、800万円〜900万円程度が売却相場です。

とはいえ、通常物件よりも心理的な抵抗を与えやすいのは変わりません。価格の下落率は少ないといっても、通常物件よりも売れづらいことを踏まえて、売却活動をするのがよいでしょう。

ポイント

○特殊清掃を行ったかどうかによっても売却相場は変わる
孤独死や病死があった物件によっては、遺体の発見が遅れてしまったために特殊清掃を行った物件もあることでしょう。

特殊清掃を行うとその事案を買い手に告知する義務が生じます。それにより、買い手に心理的な抵抗を与えやすくなることもあるため、孤独死や病死であっても特殊清掃を行った物件は、特殊清掃を行っていない物件よりも売却相場が安くなる傾向があります。

一方、遺体の発見が早く特殊清掃を行っていない物件であれば、心理的な抵抗が少ないため、市場価格で売却できるケースも少なくありません。

自殺があった物件:1割〜3割程度下がる

自殺は日常生活における不慮の死といえない死因です。そのため、心理的な抵抗を与えやすく、自殺があった事故物件は孤独死や病死があった物件よりも売却価格が下がるのが一般的です。

目安としては、通常物件の1割〜3割ほど売却金額が安くなる傾向があります。通常1,000万円で売却できる金額であれば、700万円〜900万円程度が目安です。

なお、どのような事件が起きたかによっても心理的な抵抗は変わります。

たとえば、自殺の原因がリストカットである場合、物件自体に与えるダメージは比較的少なく、自殺があった事故物件のなかでも売却相場の下落率はゆるやかになる傾向があります。

また、当サイトを運営する株式会社クランピーリアルエステートの買取傾向からは、飛び降り自殺があった物件は物件内のダメージがほとんどないため、こちらも売却相場の下落率は比較的ゆるやかになります。

あくまで目安ですが、通常の物件の1割程度になる傾向があり、立地がよい有名なマンションであれば飛び降り自殺があっても高値で売却できる可能性もあります。

他殺があった物件:3割〜5割程度下がる

殺人などの他殺は事件性や周知性、社会に与えた影響が高く、心理的な抵抗を強く与えやすい死因です。そのため、他殺があった物件は事故物件のなかでも買取相場の下落率が大きくなるのが一般的です。

目安として、他殺があった物件の場合は通常物件の3割〜5割ほど売却金額が安くなる傾向があります。通常1,000万円で売却できる金額であれば、500万円〜700万円程度が目安です。

また、ニュースで全国的に取り上げられたような周知性が高い事故が起きた物件の場合、心理的な抵抗を与えやすく、その分売却相場の下落率も大きくなります。場合によっては、買取自体を断られてしまうことも少なくありません。

事故物件を実際に買い取った事例

実際の事故物件の売却金額は、物件で起きた事故・事件の内容や物件自体の状態などによって変動します。そのため、所有する事故物件によっては、売却金額が相場とは大きく異なるケースも少なくありません。

実際に業者が買い取った事例を参考にすれば、事故物件が実際にはいくらほどで売却できるかがみえることもあります。事故物件の売却相場を知りたい場合、買取事例も参考にするのもよいでしょう。

ここからは、当社「株式会社クランピーエステート」が実際に買い取った事例を紹介していきます。

  • 孤独死があったマンションを1,000万円で買い取った事例
  • 変死があった戸建てを500万円で買い取った事例
  • 共用部分で飛び降りがあったマンションを1,300万円で買い取った事例

孤独死があったマンションを1,000万円で買い取った事例

東京都品川区にあるマンションを買い取った事例です。詳細は以下となります。

買い取った物件種類 マンション
物件があるエリア 東京都品川区
事故・事件の内容 1人住まいの居住者が脱衣所で亡くなり、腐臭が発生していた物件
買取金額 1,000万円

この物件は、1人住まいの居住者が脱衣所で亡くなり、その腐臭から近隣住民の方が通報し発覚した事故物件です。疎遠になっていた相続人からのご依頼で、相続手続きの相談を含めて1,000万円で買い取らせていただきました。

変死があった戸建てを500万円で買い取った事例

千葉県松戸市にある戸建てを買い取った事例です。詳細は以下となります。

買い取った物件種類 戸建て
物件があるエリア 千葉県松戸市
事故・事件の内容 親子が建物内で変死してしまった物件
買取金額 500万円

この物件は、居住者である親子2人が建物内で変死してしまった事故物件です。2年以内に起きた事故で、なかなか買い手がつかなかったとのことですが、物件について詳しく調査をしたうえで査定を行い、500万円で買い取らせていただきました。

共用部分で飛び降りがあったマンションを1,300万円で買い取った事例

東京都足立区にあるマンションを買い取った事例です。詳細は以下となります。

買い取った物件種類 マンション
物件があるエリア 東京都足立区
事故・事件の内容 マンションの共用部分で飛び降り自殺があった物件
買取金額 1,300万円

この物件は、マンションの共用部分で飛び降り自殺が起きた事故物件です。依頼者は早めの取引がご希望とのことでしたので、スピード感を持って物件調査を行い、1,300万円で買い取らせていただきました。

事故物件の家賃相場は通常物件よりも20〜30%程度安くなる

前提として、事故物件を貸し出す場合、家賃を値下げしなければならないルールはありません。通常物件と近い家賃を設定して、賃借人を募っても問題はありません。

しかし、人の死があった物件は心理的な抵抗を与えやすく、売却と同様に通常物件よりも家賃を値下げしなければ借主が現れないのが一般的です。そのため、基本的には事故物件の家賃相場も通常物件より安くなります。

あくまで目安に過ぎませんが、事故物件の家賃相場は通常物件よりも20〜30%程度安くなるのが一般的です。売却ではなく賃貸で事故物件を活用する場合、基本的には家賃収入に値下げの影響が出ると考えておきましょう。

ポイント

○誰かが一度住んだ物件であっても事故物件の家賃相場は安くなるのが一般的
インターネットなどでは、「誰かが一度住んでいれば、事故物件として伝える必要はない」のような情報もみられます。

確かに、以前まではそのような判断をしていた不動産会社もあったようですが、現在は物件で起きた事故・事件について告知する義務が定められており、誰かが一度住んだとしても事故物件であることは原則借主に伝えなければなりません。

そのため、誰かが一度住んだ物件であっても、それが事故物件であれば家賃相場は安くなるのが一般的です。

人の死が起きてから3年程度が経過すれば事故物件として告知する義務はなくなる

人の死が起きてからおおむね3年が経過していれば、借主に対して事故物件として告知する義務はありません。国土交通省が制定した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」にも記載されているように、賃貸契約における事故物件の告知義務には時効が定められているためです。

前提として、事故物件を売ったり貸したりする場合、契約を締結する前に取引相手に対して物件で起きた事故・事件の内容を伝えなければなりません。これを「告知義務」といい、売り手や貸し手はこの義務を果たしたうえで契約をする必要があります。

しかし、賃貸借契約においては、例外的に人の死があってからおおむね3年が経過していれば時効となり、貸主は告知をする義務が原則なくなります。そのため、事件・事故から3年が経過した事故物件であれば、告知が必要な物件よりも入居希望者が現れやすくなるとも考えられます。

とはいえ、借主から「事故・事件が起きていないか」のように尋ねられた場合には、正しく情報を伝えなければならないため注意が必要です。

事故物件であることを隠して契約をするのはNG!事故物件売却の際には告知義務に注意

事故物件の売却を検討している場合、「事故物件であることを隠せれば高く売れるのでは」のように考えるかもしれません。しかし、事故物件であることを隠して売買契約を締結させるのは、告知義務に違反するため絶対に避けましょう。

事故物件を売却する場合、売り手には告知義務が生じます。これは、事故物件のように瑕疵を抱えた物件は、借主・買主が契約締結を判断する際に大きな影響を及ぼす可能性があるとされているためです。

たとえば、事故物件であることを隠して売買契約を締結させた場合、それが契約後に発覚すれば、「事前に告知されていれば購入しなかった」と考える人もいます。決して公平な不動産取引とはいえないため、このような事態を避けるためにも事故物件に対しては告知義務が生じるのです。

そして、告知義務を果たさなかった場合、買主から契約解除や損害賠償の請求をされる可能性もあります。事故物件を売却する場合、その事実を隠そうとせず、売買契約を締結させる前に告知をするようにしてください。

なお、賃貸契約の場合はおおむね3年の時効がありますが、売買契約の場合は告知義務に時効はありません。仮に人の死から何年が経過していても、買主には告知する義務があるため注意しましょう。

事故物件以外にも告知が必要になるケースもある

不動産取引を行う際には、公平性を保つために売り手や貸し手はその物件の状態について、可能な限り取引相手に伝えなければなりません。事故物件の場合、人の死が起きたことを告知する必要がありますが、ほかにも買主に伝えなければならない事項もあります。

具体的には、事故物件に下記のような瑕疵がある場合、それについても告知義務が生じます。

概要
物理的瑕疵 その物件自体が抱える物理的な欠損
環境的瑕疵 その物件の周辺環境が抱える瑕疵
法律的瑕疵 その物件や土地が抱えている法的な問題

これらの瑕疵があるにもかかわらず不動産取引をした場合、告知義務違反となり、買主から契約解除または損害賠償の請求となる可能性があります。事故物件の売却を検討している場合、買主に告知が必要な瑕疵がないかを確かめておくことも重要です。

ここからは、事故物件の心理的瑕疵以外にも告知するべき瑕疵について、それぞれ解説していきます。

物理的瑕疵

物理的瑕疵とは、その物件が抱える物理的な欠陥のことです。たとえば、下記のような欠陥は物理的瑕疵に該当し、買主に告知が必要です。

  • 建築資材にアスベストが使用されている
  • 柱などに使われている木材がシロアリに食い荒らされている
  • 壁にひび割れが起きている
  • 雨漏りがある
  • 化学物質などで土壌が汚染されている
  • 地盤がゆがんでいたり、沈んでいたりする
  • 土地の境界があいまいで、周囲の物件が自分の土地を侵食している
  • 地中に障害物や埋蔵物がある
  • 耐震強度が国の基準を満たしていない

環境的瑕疵

環境的瑕疵とは、その物件の周辺環境が抱える瑕疵のことです。物件自体に問題がなかったとしても、その周辺環境に問題がある場合には環境的瑕疵物件として扱われます。

たとえば、下記のような欠陥は環境的瑕疵に該当し、売買契約の前に買主へ告知が必要です。

  • 周囲に暴力団の事務所がある
  • 近所に暴力団構成員が住んでいる
  • 周囲に繁華街があり、騒音トラブルが頻繁に起きる
  • 周囲に火葬場や産業廃棄物処理施設がある
  • 周囲に悪臭を放つような建物がある

法律的瑕疵

法律的瑕疵とは、その物件や土地が抱えている法的な問題のことです。

土地や建物に対しては「都市計画法」「建築基準法」「消防法」などの法律が適用されます。法律で定められた基準を満たしている必要がありますが、土地や建物によっては基準を満たさないものもあり、それらは法律的瑕疵物件として扱われます。

たとえば、下記のような欠陥は法律的瑕疵に該当し、売買契約の前に買主へ告知が必要です。

  • 火災報知機やスプリンクラーなどの防災設備が古い
  • 接道義務を満たしておらず再建築不可である
  • 市街化調整区域内にあり再建築不可である
  • 計画道路指定を受けており建築の制限がある
  • 構造上の安全基準を満たしていない
  • 建ぺい率を違反している

売却したい事故物件の相場を調べる方法

事故物件の実際の売却金額は、その物件の条件や状態などによっても変動します。相場とは異なることも考えられるため、相場だけで事故物件の売却金額は測れません。

そのため、所有する事故物件の売却金額をより詳しく知りたい場合、下記のような方法を実施してみてください。

  • 条件が似ている物件の買取金額を参考にする
  • 買取業者の査定額を参考にする
  • 不動産一括査定の結果を参考にする

ここからは、売却したい事故物件の相場を調べる方法について、それぞれ解説していきます。

条件が似ている物件の買取金額を参考にする

所有する事故物件の売却金額を知りたい場合、条件が似ている物件の買取価格を参考にするのも1つの方法です。所在地や広さ、最寄り駅までの距離といった条件が似ている物件の買取事例があれば、その金額から所有する事故物件の売却金額の目安を調べられます。

たとえば、所有する事故物件と条件が似た物件が2,000万円で買い取られていた場合を想定します。この物件が通常物件であれば、所有する事故物件の買取金額はその金額よりも安くなると予測され、おおむね1,000万円〜1,800万円が買取相場となります。

条件が似ている物件の買取金額を調べる際には、「SUUMO」「アットホーム」といった不動産ポータルサイトを活用するのがおすすめです。

買取業者の査定額を参考にする

売却したい事故物件の相場を調べる方法として、買取業者の査定額を参考にすることも挙げられます。

不動産における査定とは、土地や建物がどの程度の金額で売却できるのかを調査してもらうことです。買取業者に査定を依頼した場合、査定結果の金額が実際の売却金額の目安となります。

そのため、買取業者に依頼をすることで、売却したい事故物件が実際にいくらくらいで売れるのかの目安を把握できます。

買取業者は査定のみの依頼に対応しているのが一般的で、査定のみであれば基本的に無料で行ってもらえます。最短翌営業日に査定結果を提示してもらえる買取業者もあるため、実際の買取価格を調べてもらいたい場合には検討してみるのもよいでしょう。

ただし、買取業者によって買取対象とする物件種別が異なるうえ、心理的な抵抗を与えやすい事故物件は買取対象としていない業者も少なくありません。

事故物件を専門とする買取業者もあるため、査定を依頼する場合にはそのような業者を探すのが得策です。

不動産一括査定の結果を参考にする

所有する事故物件の売却金額を知りたい場合、不動産一括査定サイトを利用するのもよいでしょう。

不動産一括査定サイトとは、不動産の査定を複数社に依頼できるサイトのことです。不動産一括査定サイトを利用することで、複数の業者から所有する事故物件の査定結果を提示してもらえます。

買取業者によって査定結果は異なると考えられるため、複数の業者からの査定結果を提示してもらうことで適正な売却相場をつかむことが可能です。

不動産一括査定サイトの多くは無料で利用できるため、「より適正な売却価格を知りたい」「費用をかけずに事故物件の相場を知りたい」といった場合には活用を検討してみてください。

事故物件を高値で売却するためのポイント

事故物件の売却を検討している場合、「なるべく高値で売却したい」と考える人もいることでしょう。その場合、事故物件を高値で売却するためのポイントを確認してみてください。

  • リフォームや特殊清掃をして資産価値を高める
  • 人の死が起きてから時間をあけてから売却する
  • 独断で建物の解体をしない

ここからは、事故物件を高値で売却するためのポイントについて、それぞれ解説していきます。

リフォームや特殊清掃をして資産価値を高める

事故物件が安値になりやすいのは、値下げをしなければ買主が現れづらいことが原因です。逆にいえば、買主が現れるのであれば、事故物件を値下げする必要はありません。

とはいえ、人の死があったことから、通常物件よりも買主が現れづらいのは事実です。そこで、事故物件を売却する際には、リフォームや特殊清掃を行って資産価値を高めておくことも検討してみてください。

価値が高い物件であれば、買主が現れる可能性はあります。そして、物件の資産価値はその物件の状態によっても変動します。

リフォームや特殊清掃をして物件の状態をよくすることで、物件の資産価値を高められるため、買主が現れる可能性が高まり、必要以上に値下げをせずに済むことも考えられるのです。

また、特殊清掃やリフォームをすれば、しない場合よりも事故物件の心理的瑕疵を和らげられます。心理的瑕疵が和らげば買主が現れることも考えられるため、事故物件を少しでも高く売却したい場合は、特殊清掃やリフォームをしたうえで売却することも検討してみてください。

ただし、特殊清掃やリフォームをするには費用がかかります。特にリフォームの場合は数百万円ほどの費用がかかるケースもあるため、不動産会社に相談しながらどの部分をリフォームするべきかを決めるのが得策です。

人の死が起きてから時間をあけてから売却する

物件で起きた事件や事故の内容にもよりますが、ある程度の期間が経てば、事故物件で発生した事件は風化する傾向があります。その場合、心理的な抵抗も和らぐと考えられ、その分事故物件を必要以上に値下げせずに売却できる可能性があるのです。

そのため、少しでも高く事故物件を売却したい場合、事件が風化するまで売却を控えることも検討してみてください。事件内容にもよりますが、ニュースで報道されたような事件であれば、数年程度経過してから事故物件の売却活動をするのも得策です。

独断で建物の解体をしない

事故物件の売却を検討している場合、「人の死があった建物を解体すれば土地部分を市場価格で売却できるのでは」のように考える人もいるかもしれません。しかし、少しでも高く事故物件を売却したいのであれば、独断で物件を解体するのは避けるべきです。

前提として、建物を取り壊したとしても人の死があった事実はなくならないため、事故物件を解体しても買主に事件・事故があったことを伝えなければなりません。そのため、解体をしても土地部分に対して心理的な抵抗をなくせるとは限らず、値下げが必要になることも考えられます。

そして、建物を解体するには費用がかかり、100万円以上の解体費用がかかることも珍しくありません。仮に事故物件を解体して買主が現れたとしても、値下げが必要になれば、解体費用分の金額がすべて赤字になってしまう可能性もあるのです。

事故物件を売却する場合、独断で建物の解体はせずに、そのままの状態で売却することを検討するのが得策です。

事故物件の売却なら専門業者がおすすめ!買取業者の選び方は?

心理的な抵抗を与えやすい事故物件は買主が現れづらいため、仲介では売却が難航することも少なくありません。場合によっては、「不動産会社に仲介を依頼してから何年も売れ残っている」というケースも考えられます。

そのため、事故物件の売却を検討している場合、専門の買取業者に依頼することも検討してみてください。事故物件を専門とする買取業者であれば、買い取った物件を活用するためのノウハウがあるため、仲介で売れる見込みがない事故物件でも積極的に買い取ってもらえるのが一般的です。

また、事故物件専門の買取業者に依頼することには、ほかにも下記のようなメリットがあります。

  • そのままの状態でも事故物件を買い取ってもらえる
  • 数日〜1か月程度で事故物件を売却できる
  • 契約不適合責任がが免除されるのが一般的

これらのメリットがあることから、「売却できそうにない」「早く事故物件を売却したい」といった場合、事故物件専門の買取業者に依頼することを視野に入れるのもよいでしょう。

なお、事故物件専門の買取業者は多々存在するため、「どのような業者に依頼するべきかわからない」という人もいることでしょう。

ここからは、事故物件専門の買取業者の選び方について解説していきます。事故物件専門の買取業者を探す際には参考にしてみてください。

所有する事故物件の種類の買取に対応しているか

事故物件専門の買取業者では、買取対象としている物件種別が業者によって異なります。たとえば、事故物件全般を買取対象にしている業者もあれば、孤独死があった物件を主な対象にしている業者もあります。

買取対象としていない業者に依頼しても、所有する事故物件を買い取ってもらえない可能性もあります。そのため、事故物件専門の買取業者を選ぶ際には、売却したい物件を買取対象としている業者を探すのがよいでしょう。

買取や相談の実績が豊富か

事故物件の買取業者を選ぶ際には、その業者の買取実績を確認することも大切です。

買取実績が豊富な買取業者であれば、買い取った物件の活用方法や高値での転売に関するノウハウがあると予測されます。ノウハウが豊富な買取業者に依頼すれば高値で買取に期待できるうえに、買い取りまでの手続きをスムーズに進められることも考えられます。

買取業者の公式サイトには、過去の買取実績が掲載されているのが一般的です。事故物件を専門とする買取業者を探す際は、業者の公式サイトから買取実績を調べたうえで、依頼する業者を探すとよいでしょう。

特殊清掃やお祓いにも対応しているか

事故物件の売却を検討している場合、特殊清掃やお祓いをしていない人もいるかもしれません。

「特殊清掃やお祓いをしなければ事故物件を絶対に売却できない」というわけではありませんが、これらを行っておくことで心理的な抵抗を和らげられるため、基本的には売却前に行っておくのが得策です。

事故物件を専門とする買取業者のなかには、特殊清掃やお祓いを代行してもらえる業者もあります。そのような買取業者に依頼すれば、特殊清掃やお祓いにかかる費用を抑えつつ、事故物件の売却が可能です。

特殊清掃やお祓いをしていない場合、これらを代行してくれる専門業者を探すのもよいでしょう。

まとめ

事故物件は心理的な抵抗を与えやすく、通常物件よりも売却金額が安価になりやすいです。あくまで目安ですが、事故物件の場合は通常物件の1割〜5割程度価格が下落するのが相場とされています。

また、物件内で起きた事故・事件によって心理的な抵抗の感じやすさも変わるため、事故物件の売却相場は人の死因によっても変わる傾向があります。

孤独死や病死があった物件は心理的な抵抗が少ないとされており、売却金額の下落率も1割〜2割程度と比較的ゆるやかになるのが一般的です。一方、他殺があった物件は心理的な抵抗が大きくなりやすく、下落率も3割〜5割程度と事故物件のなかでも安価になりやすいです。

なお、事故物件を売却する場合には、原則売主には告知義務が生じます。人の死があったことを隠して売却をすると告知義務違反になり、契約解除や損害賠償の請求となる可能性があるため、事故物件を売却する場合にはその事実を買い手に必ず伝えるようにしてください。

事故物件の売却相場に関するFAQ

適正な事故物件の売却相場を知るにはどうすればいいでしょうか?

不動産会社や買取業者に査定を依頼するのが得策です。査定を行ってもらうためある程度の期間が必要ですが、物件の状態や条件、事件・事故の内容などを考慮したうえで買取価格の目安を提示してもらえます。

マンションの他の部屋で人の死があった場合も売却相場は安くなりますか?

基本的にはその部屋に告知義務が生じ、隣などの他の部屋は告知の必要がありません。そのため、事故や事件が起きた部屋よりも心理的な抵抗は少なく、売却相場もさほど下がらない傾向があります。

売却金額を下げたくないのですが、事故物件であることはバレるのでしょうか?

売買契約時にはバレない可能性がありますが、契約後に知られる可能性は大いにあります。その際には契約解除や損害賠償の請求になるおそれがあるため、必ず告知義務は果たしましょう。

こんな記事も読まれています