底地の買取相場はどれくらい?価格の決まり方と高く売る方法を解説

底地の買取相場はどれくらい?価格の決まり方と高く売る方法を解説

底地の売却を検討している方の中には、「相場はいくらなのか?」「どのようにすれば高く売れるのか?」という疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

底地には借地権が付いており、借地人が住んでいる限り地主は土地を自由に扱えません。そのため、底地の買取相場は、更地価格の10〜50%程度に留まることが多いです。

底地を売却するにあたって最も大きなポイントとなるのは、売却先によって相場が大きく変わるという点です。一般的に、借地人に売却する場合は更地価格の50%前後で取引されることが多いのに対し、専門の買取業者といった第三者への売却では、更地価格の10〜20%程度にとどまるケースが目立ちます。

そのため、少しでも高く売りたいと考えるなら、まずは借地人に買取の意思があるかどうかを確認し、購入の見込みがない場合に業者や投資家への売却を検討するのが基本的な流れとなります。

もっとも、底地の価格は売却先だけで決まるわけではなく、借地権の種類や契約内容、立地条件、法令上の制限、さらには借地人との関係性など、さまざまな要素が影響します。代表的な評価要素を整理すると、次のようになります。

評価要素 価格への影響
売却先 ・借地人:完全所有権を得られるため高値になりやすい
・専門業者:安値になりやすいが早期の現金化が可能
・投資家:中間水準だが買い手は少ない
借地権の種類 ・普通借地権:更新が前提で地主の自由度が低く、低評価になりやすい
・定期借地権:満了が近いほど評価が高まる
・使用貸借:更地と同等で評価されやすい
借地契約の内容 ・地代が高いほど収益性が高く評価が上がる
・契約形態により地主の自由度が変動する
・更新料は収益の一部として査定に加わる
立地・面積・形状 ・駅近や商業地など利便性が高い土地は高評価
・狭小地や広すぎる土地は活用が難しく評価が下がる
・整形地は評価が高く、不整形地は低くなりやすい
法令上の制限 ・用途地域により建築できる建物が制限される
・建ぺい率・容積率が高いほど評価が上がる
・再建築不可や市街化調整区域は評価が大幅に下がる
借地人との関係性 トラブルがあれば価格は下がり、良好であれば相場に近い価格で取引できる。

底地の価格は、法律や契約条件、借地人の状況などさまざまな要素に加え、売り手と買い手の需要と供給の関係によっても左右されるため、自己判断で正確に算出することはほぼ不可能です。また、査定額はあくまで目安であり、実際に売買する際の価格は変動することが一般的です。

とはいえ、なるべく高く売却するには複数の売却先を比較検討してみることが重要であるため、まずは複数業者に査定依頼されることをお勧めします。

クランピーリアルエステートは、全国1,200以上の士業事務所や1,500以上の弁護士事務所と連携しています。そのため、契約内容が複雑な旧借地権でも専門的なサポートを受けながら売却を進められます。

「底地の価値がどれくらいあるのか知りたい」「権利関係が複雑で不安」という方は、無料で利用できる買取窓口へ相談してみてください。

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本記事では、底地の買取相場が更地に比べてどれくらいになるのか、その価格がどのような要素で決まるのかを詳しく解説します。ほかにも、高く売るための具体的な方法や実際の買取事例、売却に必要な費用や税金についてもわかりやすくまとめました。

「できるだけ高く売りたい」「相場を知って売却の準備をしたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

底地の買取相場は更地と比べてどれくらい?

底地の買取相場は更地価格の10〜50%程度が一般的です。底地は更地と同じ土地であっても、借地権が設定されているため自由に利用できません。この制約が価格に影響し、一般的な取引価格は更地に比べて大きく下がります。

また、借地権の種類や契約条件によってはさらに差が広がることもあります。

特に、契約更新が可能な借地権が付いている場合は、完全な所有権をいつ回復できるかが不透明なため、買い手が限定されやすく相場も低くなる傾向があります。一方で、契約期間の満了や借地人の退去が見込まれる状況であれば、更地に近い価格での売却も可能です。

底地の買取価格が決まる要素

底地の買取価格は、主に以下の5要素で決まります。具体的な評価要素は以下のとおりです。

買取額が決まる要素 概要
売却先 底地の売却先となる借地人や底地の買取業者、投資家など買取先によって価格が変動します。
借地権の種類 借地権とは借地借家法の適用を受ける権利のことです。借地権には複数の種類があり、その特徴や契約条件によって底地の売却価格が変動します。
借地契約の内容 地代や契約期間、更新料など、借地契約の条件によって買取価格が変動します。
立地や面積、土地の形状など個別要因 底地の立地や面積、形状などの要因によって評価額が変わります。
法令上の制限 法令上の制限とは、法律・条例によって課される規制のことです。この制限によって、建てられる建物の条件や利用用途の範囲が異なり、底地の市場価値に影響します。
借地人との関係性 地代の未払いやトラブルがあると、買主が敬遠する可能性があります。

借地権の種類を例に挙げると、更新が前提で地主の自由度が低い普通借地権は、買取相場が更地価格の1〜5割程度に収まることが多いです。

また、地主が無償で土地を貸している状態である「使用貸借」は、借地借家法の適用対象外です。そのため、地主が比較的容易に土地を返還できることから、更地に近い価格で売買できます。

このように、底地の買取価格は土地を利用できる自由度や、売却先によって異なります。各要素ごとの詳細について詳しく解説していきます。

1.売却先

底地を売却する際には、誰に売るかによって価格や手続きの流れが大きく変わります。主な売却先は以下の3通りです。

売却先 価格目安
借地人 更地価格の約50%程度
底地専門の買取業者 更地価格の約10〜20%程度
投資家などの第三者 更地価格の約40〜50%程度

売却先にはそれぞれメリットとデメリットがあります。借地人に売却すれば高値での成約が期待できる一方、迅速な現金化を重視するなら専門業者、長期的に収益を得たい買主に売るなら投資家が候補になります。

ここからは、それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

借地人│最も高値がつく可能性がある

底地を売却する際、最も高値がつきやすい相手は「借地人」です。借地人が底地を買い取れば、既に持っている借地権と合わせて土地の完全所有権を得られるメリットがあります。

所有権を得られると、元の借地人は地代や承諾料の支払いが不要になり、建て替えや増改築といった行為も元の地主の許可なしで行えるようになります。さらに、将来的に土地を売却する際もスムーズに取引できるようになります。

実際、借地人に売却する場合の目安は、更地価格の約50%程度で取引されるケースが多く見られます。ただし、この数値はあくまでも目安であり、実際の価格は立地条件や契約内容、交渉状況などほかの要素によって変動します。

底地専門の買取業者│借地人より安くなるが手間いらず

借地人への売却が難しい場合や、できるだけ早く現金化したい場合は、底地専門の買取業者へ売却するのも選択肢のひとつです。専門業者に買い取ってもらうことで買主を探す必要がなく、数日から1か月程度で取引が完了するケースもあります。

底地を買取業者へ売却する場合の相場は、更地価格の10〜20%程度が目安です。買取業者は底地を活用して利益を得ることが目的です。その際、借地人との交渉リスクや転売で利益を残すことを見越して買い取るため、価格を低く見積もることが借地人より安くなる理由です。

もし相続や借地人との交渉難航などで複雑な事情を抱えている場合は、「訳あり物件」を得意とする専門業者に相談するのがおすすめです。専門業者であれば、底地の特性を理解したうえで柔軟かつ迅速な対応が可能です。

当社クランピーリアルエステートでは、複雑な権利関係を抱える底地であっても積極的に買取を行っています。全国対応・無料相談も承っているので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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投資家などの第三者│買取業者より高く売れる可能性はあるが買い手はほぼいない

投資家への売却価格は、一般的に更地価格の40〜50%程度が目安です。投資家は借地人からの地代収入を得ながら長期的に資産運用を行うため、買取業者よりも高い価格を提示してくれる場合があります。

ただし、買主が見つかるまでに時間がかかることや、必ずしも相場以上で売れる保証はなく、条件によっては相場を下回ることもあります。

2.借地権の種類

借地権とは建物所有を目的とし、借地借家法の適用を受ける権利を差します。借地権にはいくつかの形態があり、それぞれの特徴や契約条件によって、底地の評価や売却価格が大きく変わってきます。

代表的な3種類の借地権は以下のとおりです。

項目 概要 価格
普通借地権 契約期間が満了しても、借地人が希望すれば更新できる権利。借地人の権利が強く保護されており、残存期間による価格変動は小さい。 更地価格の1〜5割程度
定期借地権 契約の更新がなく、期間満了後は確実に地主に返還される権利 残存期間が短いほど評価額は上がり、更地に近い水準になる
使用貸借 地主が無償で土地を貸している状態で、借地借家法の保護は弱い。借主が退去すれば土地を自由に活用できる。 更地価格とほぼ同等

ここからは、各借地権の特徴と底地価格への影響を見ていきましょう。

普通借地権:更地価格の1〜5割程度

普通借地権とは、契約期間が満了しても借地人が希望すれば更新できる借地権です。地主が契約更新を拒否するには「正当事由」が必要で、この条件を満たさない限り契約は自動的に更新されます。

正当事由とは、借地人を退去させるに足る社会的・法律的に合理的な理由のことです。また、仮に正当事由が認められて契約が終了する場合、借地人は建物買取請求権を行使し、地主に対して建物を時価で買い取らせることができます。

(建物買取請求権)
第十三条 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。

引用元 e-Gov「借地借家法」

この仕組みによって借地人の権利は強く保護されており、地主が自由に土地を取り戻すのは極めて難しいのが現状です。

普通借地権に該当する底地の売却価格は、更地価格の1〜5割程度です。売却価格が更地の約半分以下になるのは、「借地人の権利が強く、土地の利用範囲が限られる」ことが最大の要因です。

また、普通借地権は借地人の更新が前提となる権利なので、残存期間の長さによる評価額への影響は比較的小さいです。

定期借地権:契約満了時期が迫っているほど高額になる

定期借地権は契約の更新がなく、期間が満了すれば確実に地主へ土地が戻る借地権のことです。将来の所有権回復が見込まれるため、普通借地権に比べて売却しやすい傾向にあります。特に、契約の残り期間が短くなるほど更地としての利用が目前となるため、取引価格は上昇し安くなります。

例えば、更地価格が2,000万円の土地で残存期間が1年程度の場合、満了後すぐに自由利用できるため、売却価格がほぼ更地に近い水準まで高まる可能性があります。一方、残存期間が20年以上ある場合は、更地として使えるまで時間がかかるため相場は更地よりも低くなります。

定期借地権が設定されている底地の売却益を最大化するには、残存期間や契約内容を踏まえたタイミングが重要です。契約満了が近いほど買い手の需要が高まりやすいため、査定依頼は複数業者に行い提示条件を比較した上で売却戦略を立てることが望ましいでしょう。

使用貸借:借地人を退去させれば更地価格とほぼ同等

使用貸借とは、地主が無償で土地を貸している状態のことです。この場合は借地借家法による保護が及ばないため、借主に強い権利は認められにくいとされています。

そのため地主が必要とする際には立ち退きを求めやすく、借主が退去した後は土地を自由に活用できます。こうした背景から、使用貸借の底地は更地と同様の条件で評価されることがあり、取引価格についても更地価格に近い水準で決まる傾向があります。

3.地代・契約期間・更新料など借地契約の内容

底地の査定額は地代や契約期間、更新料などの契約条件によって大きく変動します。契約内容が土地から得られる収益性や、将来的な活用のしやすさに直結することが主な要因です。

要素 特徴と評価への影響
地代 土地を貸す賃料のこと。地代が相場より高ければ収益性が高いと判断され価格は上昇し、逆に低ければ評価は下がる
契約 ・普通借地権:契約期間はあるものの、更新が前提となるので期間による影響を受けにくくい
・定期借地権:契約期間が満了すると更地に戻るため、、満了時期が近いほど評価が上がる傾向にある
・使用貸借:地主が無償で土地を貸しているため、期間の影響を受けず更地価格に近い水準で売却できる
更新料 契約書や地域慣習に基づき発生し、収益の一部として査定に反映される

毎月の地代は主な収益源となるため、買取先が注目するポイントです。地代が相場より高ければ収益性が高いと判断され、査定額が上昇するケースがあります。反対に、地代が低水準の場合は評価が下がることがあります。

地代の相場を調べる方法は複数あります。その中でも「固定資産税や都市計画税をベースに調べる方法」が、法定の税率を使うので公的根拠があるのでおすすめです。具体的な計算方法は以下のとおりです。

① 年間税額=固定資産税評価額×(1.4%+0.3%)
② 住宅地の場合:年間税率 × 3〜5倍
  商業地の場合:年間税率 × 5〜8倍

シンプルな計算方式ではありますが、おおよその地代相場を算出できるので、現在設定している地代が高いのか・低いのか調べる際に活用してみてください。

契約期間については、更新可能な普通借地権の場合、地主の正当事由がない限り借地人が契約を更新し続けられるため、地主の自由度が低く、価格が抑制されやすいです。対して、定期借地権は契約終了時に更地として戻るため、契約満了が近い場合は評価が高まりやすいのが特徴です。

また、更新料は法律で明確に定められているものではなく、契約書に記載された取り決めや地域週間によって異なります。更新料の相場は以下のとおりです。

  • 更地価格の3〜5%程度
  • 借地権価格の5%前後
  • 年間地代の4〜8年分

更新料の算定方法には法律で統一ルールがなく、契約書や地域の慣習によって基準が異なります。そのため「借地契約書の確認」や「地元の不動産会社へ相談」するのが有効です。

まとめると、底地の買取価格には地代や契約期間、更新料といった条件が大きく影響し、その結果が買取価格に反映されます。売却を検討する際には、自身の契約内容が市場でどのように評価されるかを事前に確認しておくことが望ましいです。

4.立地や面積、土地の形状など個別要因

底地の価格は立地や面積、形状といった土地の特徴によって大きく変わります。これらの要素は収益性や活用のしやすさに直結するため、査定額を考えるうえで欠かせないポイントです。

評価要素 内容
立地 駅近や商業地に隣接するなど利便性が高い場所は評価が上がりやすい
面積 広さによって活用方法が変わり、狭すぎても広すぎても評価が下がることがある
形状 整った形状は高評価、不整形地は活用が難しく価格が下がりやすい

このように、立地・面積・形状といった個別要因は底地の評価に直結します。売却を検討する際には、自分の土地がどの条件に当てはまるのかを把握しておくことが、適正な査定につなげるために重要です。

5.法令上の制限の有無

土地には用途地域・建ぺい率・容積率などの公的ルールが設けられています。底地の利用制限が厳しいほど活用の幅は狭まり、買取価格は下がる傾向があります。反対に、需要の高い建物を建てられる地域で、建ぺい率・容積率の数値が確保できる土地は、利用価値が高く評価されやすくなります。

評価要素 概要 評価への影響
用途地域 住宅地・商業地・工業地など、地域区分によって建てられる建物の種類が決まる 需要の高い用途に適した地域は、評価が高くなりやすい
建ぺい率・容積率 ・建ぺい率:敷地面積に対する建築面積の割合
・容積率:敷地面積に対する延床面積(建物のすべての階の床面積を合計したもの)の割合
数値が高いほど大きな物件を建てられるようになり、利用価値が上がる
再建築不可(新しい建物を建てられない土地)の有無 接道義務を満たさない土地や、市街化調整区域の土地は新築・建て替えに制限がかかる 再建築不可の場合は評価が著しく低下する

ここで挙げた「用途地域」「建ぺい率・容積率」「再建築不可」などの条件は、建築基準法や都市計画法、各自治体の建築安全条例といった法律・規制によって定められています。

底地に限らず不動産の買取価格は、建築基準法・都市計画法・都道府県建築安全条例などによる各種規制が強いほど、用途や建築計画が制限され、査定額は下がる傾向があります。

各規制の内容は全国一律ではなく、地域ごとに異なります。自分の物件を調べる際には、市区町村の「都市計画情報サービス」や役所の窓口で確認すると、用途地域・建ぺい率・容積率・再建築可否といった条件を正確に把握できます。

法令上の制限に該当する部分があるか把握することは、買取相場を適切に見極めるうえで重要なポイントのひとつです。

6.借地人との関係性

底地の評価を左右する要素のひとつに、借地人との関係性があります。地代の未払いが続いていたり、契約内容をめぐって対立が生じている場合は、将来的に紛争へ発展するリスクがあるため、買主が避けやすくなります。

そのうえ、解決にあたって弁護士費用や訴訟費用がかかることも見込まれるため、査定額が抑えられる傾向があります。一方で、借地人と良好な関係を維持できている土地は将来的なトラブルの懸念が少なく、売却も進めやすいとされます。その結果、相場に近い水準での取引につながりやすくなります。

底地の具体的な価格を調べるには?

底地の価格を正しく把握するには、単純に評価額を見るだけでは不十分です。税務上の評価と実際の市場価格には大きな差が生じることが多く、売却先や状況によっても査定額は変動します。

ここでは、実際に底地の価格を確認するための代表的な方法を紹介します。

底地に強い買取業者へ相談・査定依頼する

底地の買取相場は更地価格の10〜50%程度ですが、より詳しく知るためには複数の買取業者へ査定依頼することをおすすめします。査定額は業者によって差があるため、比較することで相場感や高値で買い取ってくれる会社が見えてきます。

どの買取業者に頼めばよいか迷ったときは、実績や得意分野を確認して信頼できる専門家を選ぶことが大切です。特に底地は、権利関係が複雑で扱いが難しい買取になるため、底地の売買に精通している専門業者に相談することをおすすめします。

なお、弊社「クランピーリアルエステート」では、底地の買い取りを行っています。仲介手数料は不要で、価格交渉や承諾料の負担交渉、登記手続きまでワンストップでサポートします。弁護士とも提携しているため、法律トラブルがあった場合もアドバイスを提供できますので、お気軽にご相談ください。

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土地の相続税評価額は買取価格の参考にはならない

底地の売却を検討する際に、相続税評価額をそのまま目安にしてしまうのは誤りです。相続税評価額はあくまで税金計算を目的に算出された数値であり、市場での実際の取引価格とは大きくかけ離れることが多いです。

特に底地の場合、借地権や地上権といった権利関係が絡み合っているため、自由に利用できる更地に比べて市場性が低くなります。その結果、理論上の評価額と比べて売却価格は大幅に下がります。

さらに、底地の買取価格は売却先によっても差が生じます。借地人が購入する場合と、不動産会社や投資家が購入する場合では需要や条件が異なるため、提示される金額も大きく変わる可能性があります。

そのため、相続税評価額を基準にせず、実際の市場動向や売却先を踏まえて判断するか、買取業者へ相談・査定依頼することをおすすめします。

底地の買取事例

底地の売却は、権利関係や共有者の有無、借地人との関係性などによって条件が大きく異なります。そのため、実際の買取事例を知ることで、自分のケースに近い取引がどのように進んだのかをイメージしやすくなります。

ここでは、弊社が実際に買取を行った底地の事例を紹介します。

相続によって発生した共有不動産を5,050万円にて買取した事例

要素 内容
買取価格 5,050万円
エリア 東京都目黒区上目黒
種別 1棟収益物件(2棟)+底地共有持分

相続をきっかけに発生した共有不動産の事例です。被相続人が第三者へ遺言で相続させたことで、他の兄弟が納得せず、相続手続きが未了のまま複雑な状況となっていました。さらに4名の共有者が高齢であり、時間の経過によるリスクを避けたいとのご希望がありました。

物件は収益不動産として一部賃貸中でしたが、空室もあり底地についても借地人との関係が円滑とはいえない状態でした。このままでは問題がさらに複雑化する恐れがあるため、売主様より早期の現金化を強く希望されました。

弊社ではご相談から1週間という短期間で、5,050万円にて買取を実施しました。

地上権仮登記・無償借地が絡む相続物件を2週間で買取した事例

要素 内容
買取価格 1億5,000万円
エリア 東京都杉並区井草
種別 共有持分(土地・建物)

親の逝去により、個人と資産法人を相続した事例です。共有者は叔母であり、資産法人には債務も抱えていたことから売却を希望されましたが、共有者が売却を望まなかったため協議が難航しました。その結果、資産法人の解散も視野に入れ、売却を決断されました。

対象の不動産は7筆の土地に3棟の建物が建っており、地上権の仮登記や無償借地、所有権が混在する複雑な権利関係を抱えていました。さらに、共有者は敷地内の建物1棟を全所有し、ご家族と居住していたため、今後の処分が一層困難になる可能性がありました。

弊社にて今回のご相談から2週間で現況のまま契約を成立し、最終的に1億5,000万円にて買取を実施しました。

共有状態となった不動産を1,100万円で買取した事例

要素 内容
買取価格 1,100万円
エリア 愛知県名古屋市天白区荒池
種別 定期事業借地権の底地・共有持分

父親の逝去により、叔父たちと共有状態となった不動産のケースです。生前から親族間の関係はあまり良好ではなく、将来的に共有状態が問題を引き起こすことを懸念されたため、ご依頼者様は自身の持分のみを売却する決断をされました。

弊社ではご相談から1ヶ月で契約を成立させ、1,100万円にて買取を実施しました。

底地売却の流れと必要な手続き

底地の売却は、査定から契約、登記までいくつかのステップを経て完了します。基本的な流れを理解しておくことで、手続きをスムーズに進められるだけでなく、不必要なトラブルや費用の発生を防ぐことにもつながります。底地売却の具体的な手順は以下のとおりです。

  1. 事前調査と価格査定を行う
  2. 売却先候補との交渉・合意を進める
  3. 売買契約を結び必要書類を準備する
  4. 名義変更・登記手続きを行い代金を受け取る

底地の売却は段階的に進めることが基本です。それぞれのステップで必要な準備を押さえておくことが、成功へのポイントとなります。

事前調査と価格査定

底地を売却する際には、まず複数の不動産会社へ査定を依頼し、相場を把握することから始めます。査定額は依頼先によって差が出るため、比較することで高値で買い取ってくれる業者を見極められます。中でも、底地は権利関係が複雑で扱いが難しいため、借地権や訳あり物件の取扱いに強い専門業者を選ぶことが大切です。

底地の価格査定は、基本的に無料で行っている不動産会社や買取業者が多いです。ただし、正式な不動産鑑定士の鑑定評価は有料になる点に注意してください。また、調査後に提示された査定額を参考に「希望する売却価格」と「最低限受け入れられる価格」の目安を決めておきましょう。後の交渉で不利になりにくく、不当に安く手放すリスクを防止できます。

最終的な売却価格は、買主が提示する金額や合意内容によって決まるため、査定はあくまで目安として捉えましょう。

売却先との交渉・合意

売却価格の目安を決めたあとは、買主候補との交渉に進みます。複数の不動産会社から提示された査定額を比較材料にすれば、当初の金額よりも高く買い取ってもらえる可能性があります。価格だけでなく引き渡し時期や諸条件についても調整し、納得できる条件を提示してくれる相手を選ぶことが重要です。

また、借地人への売却では直接話し合おうとする方もいますが、金銭が絡む交渉は利害が対立しやすく、思わぬトラブルを招くことがあります。中立的な立場の不動産会社を介して進めれば、条件整理がスムーズになり、安心して合意に至ることができます。

底地専門の買取業者へ売却する場合は、交渉のプロセスがよりシンプルになります。査定額がそのまま買取価格になるケースが多く、価格の駆け引きに時間を割かずに済みます。そのため、迅速な現金化を希望する地主にとっておすすめの選択肢です。

契約書の作成と締結

交渉で条件がまとまったら、正式に売買契約を結びます。契約時には手付金を受け取るのが一般的ですが、買主によっては契約時に手付金を支払わず売買代金の全額をまとめて一括で決済するケースもあります。借地人・投資家・買取業者といった売却先を問わず、基本的な流れは同じです。

契約手続き時に準備する主な書類は以下のとおりです。

書類名 入手先 備考
登記済権利書(または登記識別情報) 法務局(登記完了時に交付) 紛失すると再発行不可。紛失時は司法書士による本人確認情報で対応する
実印と印鑑証明書 市区町村役場(またはコンビニ交付) 実印は印鑑登録が必要
本人確認書類 運転免許センター・市区町村役場・外務省など 運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど
固定資産税の納税通知書 市区町村役場から所有者へ毎年送付 4〜6月頃に送付されるのが一般的
固定資産税評価証明書 市区町村役場(資産税課) 窓口で申請し交付を受ける

契約書には土地の基本情報や売却金額、支払い方法、引き渡し日といった重要事項が記載されるため、不明点があれば必ず担当者に確認しましょう。署名・押印を終えれば契約成立です。

名義変更・登記手続き

売買契約を結んだあとは、取り決めた期日に土地を引き渡して残りの代金を受け取ります。登記については、買主側が依頼する司法書士が手続きを進めるため、売主が大きな負担を抱えることはほとんどありません。

所有権移転登記が完了すれば、手付金を除いた残代金が入金されて売却は正式に完了となります。

底地売却にかかる費用と税金の基礎知識

底地を売却する際には、仲介手数料や印紙税といった諸費用に加え、利益が出た場合には譲渡所得税が課税されることがあります。また、土地が共有名義になっている場合は、費用や利益の分担方法についても注意が必要です。

ここでは、底地売却に関わる代表的な費用や税金の仕組み、共有名義のケースで押さえておきたいポイントを整理して解説します。

仲介手数料や登記費用などの諸費用

底地を売却する際には、契約や手続きに伴っていくつかの費用が発生します。ただし、すべてのケースで同じ費用がかかるわけではなく、売却方法や土地の状況によって必要な費用が変わります。代表的なものは以下の3つです。

費用項目 概要 相場例
仲介手数料 仲介で売却する場合のみ発生。買取業者や借地人に直接売却する場合は不要。 売却価格の3〜5%程度(例:2,000万円で約60〜100万円)
印紙税 売買契約書を作成する際に必ず必要。契約金額に応じて課税。 1,000万円の契約で1〜2万円程度(軽減措置あり)
登記費用(抵当権抹消) 底地に抵当権が残っている場合のみ発生。司法書士に依頼するのが一般的。 登録免許税1件1,000円+司法書士報酬5,000〜20,000円

抵当権とは、お金を借りるときに担保となった家や土地を指します。底地売却にかかる諸費用をあらかじめ把握しておくことで、売却後の手取り額を正しく見積もり、資金計画を立てやすくなります。

譲渡所得税の課税対象となる場合

底地を売却して利益が出た場合、その利益部分に対して譲渡所得税が課されます。譲渡所得は、売却で得た代金から取得費と売却にかかった諸費用を差し引いて算出されます。

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費+売却にかかった費用)

取得費には購入時の代金や登録費用などが含まれ、売却費用には仲介手数料・印紙税・測量費などが挙げられます。

例えば、1,500万円で取得した底地を2,200万円で売却し、仲介手数料などの売却費用が200万円かかった場合を想定すると、以下の計算になります。

2,200万円 −(1,500万円+200万円)=500万円

この500万円が譲渡所得の対象額となります。

また、税率は所有期間によって異なります。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下であれば短期譲渡に区分され、課税率は約30%になります。一方、所有期間が5年を超えていれば長期譲渡となり、課税率は約15%です(復興特別所得税を除く)。

先ほどの例で所有期間が5年を超えている場合は、500万円 × 15%=約75万円が課税額の目安となります。

このように、取得費や売却費用の内容、所有期間の長さが税額に直結するため、計算にあたっては詳細を確認しておくことが重要です。

共有者がいる場合の費用分担に注意

底地が共有名義の場合、売却を進めるにはまず共有者全員の合意が必要です。底地の売却は「不動産の処分」にあたるため、ひとりでも反対する人がいれば契約は成立せず、手続きを進めることはできません。

また、売却にかかる費用についても注意が必要です。仲介手数料や測量費、抵当権抹消にかかる司法書士報酬などの諸費用は、原則として持分割合に応じて負担します。例えば持分が半分ずつの共有者が2人いる場合、100万円の費用が発生すれば、それぞれ50万円ずつ分担することになります。

売却代金から諸費用を差し引いた最終的な利益についても、共有者の持分割合に応じて分配されます。例えば、1,000万円で底地を売却した場合、半分ずつの共有者なら最終的な手取りもそれぞれ500万円となります。

このように、共有名義の底地を売却する際には「全員の合意」と「費用・利益の持分に応じた分担」が大前提となります。後々のトラブルを避けるためにも、事前に共有者同士でしっかり話し合い、合意内容を明確にしておくことが大切です。

底地の売却方法として、共有者全員で底地全体を売却するケースとは別に、自己の持分だけ単独で第三者に売却することもできます。ただし、共有持分のみを買い取ろうとする一般の購入希望者は少なく、売却先は限られてしまうのが実情です。

底地を高く売るために借地人と協力する方法もある

底地は単独で売却しようとすると制約が多く、価格が抑えられる傾向があります。しかし、借地人と協力して売却の方法を工夫すれば、資産価値を高められる可能性があります。

代表的なのが「底地と借地を一緒に売却する方法」「一部を等価交換して売却する方法」です。いずれも地主と借地人が協力することで権利関係を整理し、完全所有権の土地として市場に出せることが高く売れるポイントです。

ここからは、それぞれの仕組みやメリットについて詳しく見ていきましょう。

底地と借地を一緒に売却する

底地と借地を一体で売却すると、土地の所有権と借地人が持つ借地権がそろうため、制約のない「完全所有の不動産」として扱われます。この状態で市場に出せば、通常の土地取引と同じ条件に近づくため、底地だけを売却する場合よりも高い価格での成約が期待できます。

底地と借地を一体で売却するには、借地人との協力が欠かせません。売却に合意して共同で手続きを進める必要があり、売却益の分配方法についても事前に話し合う必要があります。

底地を単独で売却すると価格が抑えられることを考えると、借地人との共同売却は双方にとって資産価値を高められる有力な選択肢です。買主にとっても権利関係が整理された状態で取得できるため、取引がスムーズに進みます。

底地と借地の一部を等価交換して売却する

底地を高く売る手段のひとつが、借地人との等価交換によって「完全所有権の土地」にしてから売却する方法です。地主と借地人が底地の一部と借地権の一部を価値が等しくなるように交換し、それぞれが制約のない所有権付きの土地を取得します。

段階 借地人 地主
交換前 借地権100%(価値60%分)を持つ
→ 自宅が建っているが所有権はない
底地権100%(価値40%分)を持つ
→ 建物があるため自由に使えない
交換内容 借地権のうち40%分を返還 底地権のうち60%分を譲渡
交換後 自宅が建つ60%部分を完全所有権として取得 残りの40%部分を完全所有権として取得

例えば、ある土地に借地人が自宅を建てて住んでおり、その権利割合が「借地権60%・底地権40%」と評価されているとします。もともと地主は底地権を100%持ち、借地人は借地権を100%持っていますが、価値に換算すると地主側の持分は4割、借地人側の持分は6割という関係になります。

この場合、等価交換を行うと、借地人は自分の借地権のうち40%分を地主に返還します。その代わりに、地主は底地権のうち60%分を借地人に譲渡します。

こうして交換が成立すると、借地人は自宅が建つ部分(価値60%相当)を完全所有権の土地として取得できます。地主は残りの土地を完全所有権の土地として所有できます。

結果的に、地主も借地人も「制約のある底地・借地権」から解放され、それぞれが自由に売却・活用できる土地を手にできるのです。これにより、借地人は自宅が建つ土地を完全所有でき、地主は残り40%の更地を完全所有として扱えるようになります。

面積自体は分割されて小さくなりますが、底地のままよりも「完全所有権の土地」として市場に出せるため、高値での取引が期待できます。さらに一定の要件を満たせば「固定資産の交換の特例」が適用され、譲渡所得税が発生しないケースもあるため、節税の観点からも有利な手法といえます。

底地を素早く売却したい場合は買取業者への売却がおすすめ

底地をできるだけ早く現金化したい場合には、専門の買取業者へ直接売却する方法がおすすめです。買取業者であれば買主を探す手間がなく、最短数日から1か月程度で契約・現金化まで完了するケースもあります。

特に、相続や借地人との交渉難航などで複雑な事情を抱えている場合は、底地や借地権、共有持分といった「訳あり不動産」を専門に扱う業者に依頼することでスムーズな解決が期待できます。

弊社株式会社クランピーリアルエステートは、底地を含む共有持分や事故物件、再建築不可物件などの幅広い不動産を積極的に買取している専門業者です。

  • 自社直接買取によるスピード対応で、最短即日査定・現金化が可能
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「借地人との交渉が進まない」「他の業者に断られた」「できるだけ早く資金化したい」という地主様は、まずは無料査定・無料相談をご利用ください。オンラインや電話からお気軽にお問い合わせいただけます。

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まとめ

底地の買取相場は、更地に比べて10〜50%程度です。借地権の種類や契約内容、借地人との関係性、立地や法的制限といった要素によって価格は大きく変動します。

特に、普通借地権のように借地人の権利が強い場合は評価が下がりやすく、逆に定期借地権で契約満了が近い場合は更地に近い価格で売却できる可能性があります。

底地を高く売却するには、まず自分の契約内容や土地の状況を把握し、複数の業者に査定を依頼して比較することが重要です。借地人との共同売却や等価交換といった手法を検討することで、通常よりも高い価格を実現できるケースもあります。

一方で、迅速な現金化を希望する場合は、専門の買取業者への売却が有効です。買主探しに時間をかけず短期間で契約から入金まで進められるため、相続やトラブルを抱えた底地でもスムーズに手放せます。

底地は相場や条件によって大きく価格が変わります。誰に売るか、どんな状態で売るかが価格を左右するため、しっかりと準備と情報収集を行いましょう。不安がある場合は底地に強い専門家への相談が安心です。

底地の売却は権利関係が複雑で、交渉や手続きに時間や労力がかかることも少なくありません。後悔のない取引を実現するには、底地に強い専門業者や不動産の専門家へ早めに相談し、状況に合った最適な方法を選ぶことが大切です。

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