共有名義の底地の売却方法は?売る際のポイント、所有し続けるリスクも解説

共有名義の底地は、共有者全員の合意があれば底地全体を売却できます。一方、自分の共有持分のみであれば、他の共有者の同意を得ずに売却することが可能です。

共有名義の底地では、共有者や借地人の状況によって、主に次のような売却方法を検討できます。

※表内の各売却方法をタップもしくはクリックすると、詳しい解説箇所へ移動できます。

実務上は、共有者全員で合意して、底地全体を借地人に売却できるのが理想的です。借地人への売却の場合、底地と借地権が一体化するメリットがあるため、第三者への売却よりも高値になりやすい傾向があります。また、借地関係が解消されることで、将来的な権利関係のトラブルも生じにくくなります。

ただし、借地人に購入の意思がない場合や、購入資金を用意できない場合は、ほかの売却方法を検討する必要があります。とはいえ、底地は借地人が利用しているため一般的な土地より買主が限られ、さらに共有持分のみを売却する場合は権利関係も複雑になります。

底地や共有持分の取り扱い経験が少ない不動産会社では、売却に時間がかかったり、取り扱いを断られたりすることもあるため、底地や共有持分の取り扱い実績が豊富な不動産会社に相談することが重要です。

弊社クランピーリアルエステートでは、全国1,600超の士業ネットワークと連携し、権利関係が複雑な物件であっても積極的に買取ができる体制を整えています。共有者や借地人との複雑な交渉でお悩みの方も、まずは現状のままお気軽にご相談ください。

本記事では、共有名義の底地の売却方法や売却する際のポイントを解説します。加えて、売却せずに所有し続けることによるリスクについても触れていきます。共有名義の底地に悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてください。

共有名義の底地の売却方法

共有名義の底地とは、借地権が設定された土地を複数人で共有している状態を指します。もともと底地は市場での流動性が低く買い手がつきにくい不動産ですが、さらに共有名義であることにより権利関係が複雑化し、売却手続きが一層困難になる傾向があります。

共有名義の底地を売却する方法は、共有者や借地人から協力を得られるかによって異なります。主な方法は、次の5つです。

売却方法 必要な同意・協力 向いているケース
共有者全員の合意のもと、底地全体を売却する 共有者全員の合意が必要 共有者全員が売却に前向きで、底地をそのまま現金化したい場合
自分の共有持分のみを売却する 他の共有者の同意は不要 他の共有者と意見が合わない、連絡が取れないなど、底地全体の売却が難しい場合
共有者全員で借地権を買い取り、借地権のない土地として売却する 共有者全員と借地人の協力が必要 借地人が借地権の売却に応じ、通常の土地として売却したい場合
共有者全員と借地人で協力して同時売却する 共有者全員と借地人の協力が必要 地主側と借地人側の双方が売却を希望している場合
共有者全員と借地人で底地と借地権を等価交換して売却する 共有者全員と借地人の協力が必要 底地と借地権を整理し、それぞれ売却・活用しやすい土地にしたい場合

※表内の各売却方法をタップもしくはクリックすると、詳しい解説箇所へ移動できます。

共有者全員が売却に合意している場合は底地全体の売却を検討し、合意を得るのが難しい場合は、自分の共有持分のみを売却する方法が選択肢になります。

また、借地人の協力を得られる場合は、借地権の買取や同時売却、等価交換によって権利関係を整理してから売却することも可能です。共有者や借地人との関係、売却までの期間などを踏まえて方法を選びましょう。

共有者全員の合意のもと、底地全体を売却する

共有者全員の合意が得られる場合は、共有名義のまま底地全体を売却できます。主な売却先は次の2つです。

  • 借地人に売却する
  • 不動産買取業者に売却する

実務上は、まず借地人に購入意向があるか確認し、売却が難しい場合に不動産買取業者への売却を検討するのが一般的です。借地人は底地を取得するメリットが大きく、第三者よりも高値で売却できる可能性があるためです。

ポイント

【共有名義の底地を仲介で売却するのは難しい】
不動産仲介業者を通じて、共有名義の底地を一般市場で売却することは、理論上は可能です。買主としては、地代収入を目的に底地を取得する不動産投資家などが想定されます。

ただし、底地は借地人が土地を使用しているため、一般的な土地のように自由に利用できず、もともと買主が限られる不動産です。立地や地代収入、借地契約の内容などの条件が良ければ投資対象となることもありますが、実務上は一般的な土地と比べて仲介での売却難易度が高くなります。

さらに共有名義の場合は、複数の共有者との条件調整や契約手続きが必要になるため、買主側の負担も大きくなり、仲介で買主を見つける難易度がさらに高まります。

借地人に売却する

底地は、一般のエンドユーザーにとっては活用しづらいことが多く、買い手が見つかりにくい不動産です。一方、借地人にとっては底地を取得するメリットがあるため、有力な売却先となります。

借地人が底地を取得すると、これまで分かれていた底地と借地権が一体化し、借地権による土地利用上の制約がなくなります。借地人にとっては、地代などの負担がなくなり、土地を活用・売却しやすくなるなど、底地を取得するメリットが大きいため、条件次第では購入を前向きに検討してもらえる可能性があります。

こうした権利関係の解消によって土地の価値が高まることから、借地人への売却では「限定価格」の考え方が反映され、買取業者や投資家などの第三者へ売却する場合よりも高値になりやすいのが特徴です。

借地人への底地売却では、価格や売却条件についての交渉が重要です。当事者間で条件がまとまらない場合は、底地の取引に詳しい不動産会社へ相談し、権利関係をめぐってトラブルになっている場合は弁護士へ相談する方法もあります。

借地人への売却が現実的な選択肢となるのは、以下のようなケースです。

  • 借地人に底地を購入する意向がある場合
  • 第三者への売却よりも高値での売却を目指したい場合

借地人が底地を買い取る場合の限定価格や価格の決まり方については、以下の記事で詳しく解説しています。

不動産買取業者に売却する

借地人への売却が難しい場合には、不動産買取業者に底地を直接買い取ってもらう方法もあります。買取では不動産会社自らが買主となります。購入希望者を探す期間が不要なため、比較的短期間で現金化しやすく、売却活動にかかる手間を抑えやすい点がメリットです。

ただし、買取業者は取得後の権利調整にかかる費用やリスク、再販売時の利益なども見込んで査定します。そのため、借地人へ直接売却できる場合と比べると、売却価格は低くなる傾向があります。

「価格よりも売却までの期間や手間の少なさを重視したい」という場合には、買取が有力な選択肢になります。

不動産買取業者への売却が向いているのは、以下のようなケースです。

  • できるだけ早く底地を現金化したい場合
  • 交渉や手続きの手間を極力抑えたい場合
  • 借地人への売却交渉がまとまらない場合
株式会社クランピーリアルエステート 大江 剛 代表取締役 宅地建物取引士

専門家のコメント

買取業者はなぜ底地を買い取れる?

買取業者が底地を買い取るのは、借地人との権利調整や再販売など、買取後に収益化する方法を複数持っているためです。
たとえば、弊社では借地人との交渉によって借地権を買い取り、土地の価値を高める方法や、反対に借地人へ底地を売却する方法などを検討します。また、弁護士や司法書士などの士業とも連携し、複雑な権利関係の整理にも対応できます。
買取後の権利調整から収益化まで一貫して見通せることが、底地を積極的に買い取れる理由です。必要以上にリスクを織り込まず、物件本来の可能性まで踏まえて査定できる点も弊社の強みです。

底地を借地人や買取業者に売却する際の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。

自分の共有持分のみを売却する

共有者全員の同意が得られず、底地全体を売却できない場合は、自分の共有持分のみを売却する方法があります。自分の共有持分だけであれば、他の共有者の同意を得る必要はなく、自分の判断で売却できます。

ただし、底地の共有持分だけを購入する一般の買主は少ないため、売却先は限られます。主な売却先は、次の2つです。

  • 底地の共有者に売却する
  • 不動産買取業者に売却する

共有持分を他の共有者の同意なく売却できる理由や、共有持分のみを売却する際の注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。

底地の共有者に売却する

底地を共有する他の共有者に、自分の共有持分を売却する方法です。他の共有者が持分を取得すると、底地に対する所有割合が増えるため、不動産買取業者などの第三者へ売却する場合よりも高値で売却できる可能性があります。

とくに、共有者が自分を含めて2人の場合は、自分の持分を相手に売却することで相手が底地の単独所有者になります。共有状態を解消できるため、相手に買取意思と資金がある場合は、優先して交渉を検討するとよいでしょう。

一方で、共有者が3人以上いる場合は、売買に関わらなかった共有者との間でトラブルが生じることもあります。持分割合が変わると、各共有者が受け取る地代収入の取り分や、共有物の管理に関する意思決定への影響力が変わるためです。

民法第252条に基づき、共有物の管理に関する事項は、原則として各共有者の持分価格の過半数で決めます。そのため、特定の共有者が持分を買い増すことで、今後の管理方針に与える影響も大きくなる可能性があります。

自分の共有持分を売却すること自体に他の共有者の同意は必要ありませんが、今後も共有関係が続く場合は、トラブル防止のため事前に売買の意向を伝えておくとよいでしょう。

また、共有者が親族など親しい間柄であっても、売却価格の設定には注意が必要です。時価と比べて著しく低い価格で売却した場合は、時価との差額が贈与とみなされ、購入した共有者に贈与税が課される可能性があります。

底地の共有者への売却が向いているのは、次のようなケースです。

  • 他の共有者に持分を買い取る意思と資金がある場合
  • 不動産買取業者への売却よりも高値での売却を目指したい場合
ポイント

【底地の共有持分を共有者へ売却する場合の価格目安】
他の共有者へ自分の持分を売却する場合は、次の計算式が価格の目安になります。

底地全体の市場価格 × 自分の持分割合

【計算例】
底地全体の市場価格:1,000万円
自分の持分割合:1/2

1,000万円 × 1/2 = 500万円
→ 共有持分価格の目安:500万円

底地全体の市場価格を自分で大まかに調べる場合は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で近隣の土地の取引価格や地価情報を確認したり、不動産ポータルサイトや投資用不動産サイトで周辺の底地の売出事例を確認したりする方法があります。

ただし、底地価格は地代や借地契約の内容などによって変わります。より適正な価格を把握したい場合は、底地の取引実績がある不動産会社や不動産鑑定士へ相談するとよいでしょう。

不動産買取業者に売却する

共有者への売却が難しい場合は、第三者に共有持分を売却する方法があります。ただし、底地は地代収入を目的とする不動産で、さらに共有持分だけの売買となると権利関係も複雑になるため、一般の買主はつきにくい傾向があります。

そのため、実務上は底地や共有持分を取り扱う不動産買取業者が主な売却先となります。不動産会社自らが買主となって底地の共有持分を買い取るため、比較的短期間で現金化しやすい点がメリットです。

一方で、買取業者は取得後に他の共有者との権利調整や持分の買い増し、再販売などを行うことを前提に査定します。そのため、共有者へ直接売却できる場合と比べると、権利調整にかかる費用やリスクなどが査定額に反映され、売却価格は低くなる傾向があります。

一般的な共有持分の買取相場を踏まえると、買取業者へ売却する場合の価格は「底地全体の市場価格 × 自分の持分割合 × 1/3~1/2程度」が一つの目安です。

買取業者への売却が向いているのは、次のようなケースです。

  • 底地の共有持分を早く現金化したい場合
  • 他の共有者との売却交渉に時間や労力をかけたくない場合

株式会社クランピーリアルエステートでは、底地全体はもちろん、底地の共有持分の買取にも対応しています。底地の共有持分の売却先を探している方は、ぜひお気軽にご相談ください。

共有者全員で借地権を買い取り、借地権のない土地として売却する

借地人から借地権を買い取り、借地権のない土地にしたうえで売却する方法もあります。借地権による土地利用上の制約がなくなるため、底地のまま売却する場合よりも買い手を見つけやすくなります。市場性が回復することで、底地のまま売却する場合よりも高値での売却が期待できるのもメリットです。

ただし、共有者全員と借地人の合意が必要となるため、同意しない人がいる場合は実行できません。借地人が土地上の建物を所有している場合は、建物の買い取りや解体・明け渡しなどについても調整が必要です。

借地権を地主側(共有者全員)が買い取る場合の価格は、更地価格の50〜70%程度が一つの目安です。まとまった資金が必要になるため、共有者間で買取費用をどのように負担するか、売却後の代金をどのように分配するかも事前に決めておくとよいでしょう。

借地権の買い取り後の売却が向いているのは、次のようなケースです。

  • 共有者全員が借地権の買取費用や売却方針について合意している場合
  • 借地人に借地権を手放す意向がある場合

地主が借地権を買い取る場合の相場や、価格が決まる要因については、以下の記事で詳しく解説しています。

共有者全員と借地人で協力して同時売却する

共有者全員の同意と借地人の協力が得られる場合は、底地と借地権を同じ買主へ一体で売却する「同時売却」も選択できます。共有者側が事前に借地権を買い取る必要がないため、前述した方法のようにまとまった買取資金を用意する必要がありません。

買主は借地権のない土地として取得できるため、底地や借地権をそれぞれ単独で売却する場合よりも買い手が見つかりやすく、市場価格に近い金額での売却が期待できます。

ただし、共有者全員と借地人の合意が必要で、売却価格や売却時期だけでなく、売却代金の分配についても事前に調整しなければなりません。

売却代金は、底地と借地権それぞれの価値を踏まえて地主側と借地人側で分配し、地主側の取り分はさらに各共有者の持分割合などに応じて分けることになります。分配割合について意見がまとまらないと売却自体が進まない可能性があるため、売却活動を始める前に話し合っておくことが重要です。

同時売却が向いているのは、次のようなケースです。

  • 共有者全員と借地人が売却に前向きな場合
  • 共有者側で借地権の買取資金を用意することが難しい場合
  • 底地や借地権を単独で売るよりも高値での売却を目指したい場合

共有者全員と借地人で底地と借地権を等価交換して売却する

底地の一部と借地権の一部を等価交換し、地主側と借地人側がそれぞれ借地権のない土地を取得したうえで売却する方法もあります。複雑な権利関係が整理されるため、底地や借地権のまま売却する場合よりも買主が見つかりやすく、高値での売却も期待できます。

ただし、共有者全員と借地人の合意が必要であることに加え、土地を分けてもそれぞれ独立して利用できる程度の広さや形状が求められます。

等価交換では、単純に土地を同じ面積ずつ分けるのではなく、底地と借地権それぞれの価値を評価したうえで交換比率を決めます。交換比率によって双方が取得する土地の面積も変わるため、双方が納得できる条件を調整することが重要です。

おおまかな流れは、次のとおりです。

  1. 底地と借地権の価値を評価し、交換比率を決める
  2. 交換比率に応じて土地を分筆する
  3. 交換内容に応じて所有権移転など必要な登記手続きを行う

評価額や交換比率の判断には不動産鑑定士、分筆には土地家屋調査士、登記には司法書士など、手続きに応じて専門家へ相談するとよいでしょう。

等価交換で地主側の共有状態そのものが解消されるわけではありませんが、底地という権利上の制約がなくなるため、等価交換前よりも売却しやすくなります。

等価交換後の売却が向いているのは、次のようなケースです。

  • 土地を分けてもそれぞれ利用しやすい広さや形状がある場合
  • 共有者全員と借地人が等価交換に合意している場合
  • 底地や借地権のまま売却するよりも高値での売却を目指したい場合

共有名義の底地を売却する際のポイント

共有名義の底地をスムーズに売却するには事前の準備が重要です。具体的には、下記のようなポイントを押さえておきましょう。

  • 共有者同士で売却について話し合っておく
  • 底地の取り扱い実績のある不動産会社に相談する
  • 共有者の権利関係・借地契約の内容を明確にしておく
  • 地代・更新料を見直して、底地の収益性を高めておく

共有者同士で売却について話し合っておく

自分の共有持分のみの売却は単独で進められますが、底地全体の売却や借地人との等価交換、同時売却などは、共有者全員の合意が必要です。

共有者から売却の合意が得られたら、選択する方法に応じて、次のような点まで話し合っておくとスムーズです。

  • 底地全体を売却する場合:売却先や希望価格、売却時期などを共有者間で決めておく
  • 借地権を買い取ってから売却する場合:借地権の買取価格や費用負担、建物の扱い、売却代金の分配方法などを決めておく
  • 同時売却する場合:売却価格や時期に加え、地主側と借地人側の売却代金の分配割合について決めておく
  • 等価交換してから売却する場合:底地と借地権の交換比率や土地の分け方、分筆などにかかる費用負担について決めておく

借地人との交渉を複数の共有者がそれぞれ進めると、提示する条件や方針が食い違う可能性があります。誰が代表して借地人や不動産会社とやり取りするのかも、あらかじめ決めておくとよいでしょう。

なお、自分の共有持分だけを第三者に売却する場合は、他の共有者と売却条件について合意する必要はありません。ただし、黙って売却するとトラブルになるリスクがあるほか、共有者自身が買い取りを希望する可能性もあるため、可能であれば第三者へ売却する前に意向を伝えておくとよいでしょう。

底地の取り扱い実績のある不動産会社に相談する

共有名義の底地を売却する際は、底地や共有持分の取り扱い実績がある不動産会社へ相談することが重要です。

底地は、地代や借地契約の内容、借地人との関係などによって価値が変わるうえ、共有持分のみを売却する場合は、共有状況や共有者との関係も査定に影響します。底地の取引実績が豊富な会社であれば、地代収入を得ながら保有する、借地人へ売却する、借地権を買い取って権利関係を整理するなど、買取後の運用まで見通して査定できます。

一方、底地の取り扱い経験が少ない会社では、買取後の権利調整にかかる費用やリスクを大きく見積もり、査定額が低くなったり、買取自体を断られたりすることがあります。

弊社の買取事例でも、地代収入や借地契約、共有者間の取り決めなどを具体的に確認した結果、他社より100万円高い価格で買い取ったケースがあります。

【買取事例】
兄弟で底地を1/2ずつ共有しており、兄が自分の共有持分を手放したいと考えていました。弟とは疎遠で、しばらく連絡を取っていない状況でした。
他社へ査定を依頼したところ、買取価格は300万円との提示でしたが、ほかの不動産会社とも比較したいとのことで弊社へご相談いただきました。
弊社で状況を詳しく確認したところ、地代収入が安定していること、地代を兄弟で折半して受け取るルールが決められていること、借地人との契約書が保管されていることなどがわかりました。こうした点をプラス要素として評価した結果、400万円で買い取りました。

※個人が特定されないよう、実際の買取事例をもとに一部内容を再構成しています。

このように、共有名義の底地は、地代収入や借地契約の内容、共有者間の取り決めなどをどこまで具体的に評価できるかによって、査定額に差が生じることがあります。

底地の買取業者を選ぶ際の具体的なチェックポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。

共有者の権利関係・借地契約の内容を明確にしておく

底地を売却する前に、共有者それぞれの持分割合や、借地契約の内容を明確にしておくことが重要です。

共有者それぞれの持分割合を把握しておくと、売却代金の分配についても話し合いやすくなります。相続などで共有者が増え、「誰が共有者なのかわからない」といった場合も、法務局で「登記事項証明書」を取得すれば、持分割合や登記上の共有者を確認できます。

ただし、相続登記が済んでいない場合は亡くなった共有者の名義が残っていることもあるため、相続などで権利関係が複雑になっている場合は、必要に応じて戸籍なども確認し、現在の共有者を整理しておきましょう。

借地契約については、借地権の種類や契約期間、地代とその支払状況、更新料、建て替え・譲渡時の承諾料などの取り決めを確認しておきましょう。

契約書がない場合は、現在の契約条件について借地人と認識を確認し、可能であれば合意している内容を書面に残しておくとよいでしょう。共有関係や借地契約の情報を整理しておけば、不動産会社が査定しやすくなり、買主にも底地の状況を正確に説明できます。

地代・更新料を見直して、底地の収益性を高めておく

底地を購入する買取業者や投資家は、地代収入などの収益性も踏まえて価値を判断します。周辺相場と比べて地代が低い場合は、適正な水準に見直すことで査定時にプラスに評価される可能性があります。

ただし、地代は一方的に引き上げられるものではないため、固定資産税などの負担や土地価格、周辺相場を踏まえて借地人と協議する必要があります。更新料についても、契約内容やこれまでの取り決めを確認しておきましょう。

実際に弊社でも、売却前に地代を見直していたことが査定のプラス要素となった、共有名義の底地を買い取った事例があります。

【買取事例】
兄弟で共有していた底地について、双方が高齢になったことから売却を希望しており、とくに兄は老人ホームへの入居を予定していたため、できるだけ早く手放したいとのことで弊社へご相談いただきました。
詳しく事情を伺ったところ、以前は昔からの地代がそのまま続き、周辺相場より低い状態でしたが、数年前に子どもたちから勧められて地代を見直し、借地人との契約書も作成していました。
弊社では、現在の地代水準や契約内容が整理されている点を査定のプラス要素の一つとして評価し、最終的に1,200万円で買い取りました。売却代金は兄弟で半分ずつ受け取っています。

※個人が特定されないよう、実際の買取事例をもとに一部内容を再構成しています。

このように、適正な地代への見直しや借地契約の整理が、底地の査定でプラスに評価されることもあります。

共有名義の底地を所有し続けるリスク

共有名義の底地は、複数人で所有しているため、売却や借地人への対応などで共有者間の調整が必要になり、トラブルにつながることがあります。共有状態を長く続ける場合は、次のようなリスクに注意が必要です。

  • 底地の売却・契約変更が自由にできない
  • 底地の管理・維持費について共有者間で揉める
  • 借地人への対応について共有者間で意見が合わない
  • 共有者の持分売却で、他人と共有状態になる可能性がある
  • 相続によって権利関係が複雑になる

こうしたリスクを踏まえ、共有状態を長く続けることに不安がある場合は、底地全体の売却や共有持分の売却などによる共有状態の解消も検討するとよいでしょう。

底地全体の売却・契約変更が自由にできない

共有名義の底地では、一人の共有者だけでは自由に決められない事項があります。とくに底地全体を売却するには、原則として共有者全員の意思をそろえる必要があり、借地契約に関する事項についても内容に応じて共有者間での決定が必要です。

民法第251条第252条では、共有物に関する行為について、必要な同意の範囲が次のように定められています。

種類 必要な同意 内容

保存行為

同意は不要 現状維持のための修繕、共同相続人全員のために行う相続登記、不法占拠者への妨害排除・明け渡し請求など、共有物の現状を維持・保全する行為
管理行為 持分の過半数の同意が必要 共有物の利用方法の決定や短期間の賃貸借、分筆・合筆など、共有物の形状・効用を著しく変えない行為
変更行為 共有者全員の同意が必要 底地全体の売却や、土地の形状・効用を著しく変更する造成、新たな長期の借地権設定など、共有物を大きく変更・処分する行為

実際に弊社でも、共有者全員の意思をそろえることが難しく、底地全体ではなく一部の共有者の持分のみを買い取った事例があります。

【買取事例】
兄弟3人で底地を共有しており、長男・次男は底地を手放したいと考えていましたが、三男とは連絡が取れていない状態でした。当初は底地全体の売却を希望して弊社へご相談いただきましたが、三男との連絡や交渉に時間をかけることは避け、できるだけ早く売却したいとのご希望がありました。そこで、底地全体の売却ではなく、長男・次男が所有する共有持分を合わせて700万円で買い取りました。

※本事例は、個人が特定されないよう、実際の買取事例をもとに一部内容を再構成しています。

このように、共有名義の底地では、共有者間で意思がまとまらず底地全体を売却できないことがあります。共有状態を長く続けるほど、相続などによって権利関係が複雑になり、将来的に売却しにくくなる可能性がある点にも注意が必要です。

底地の管理・維持費について共有者間で揉める

共有名義の底地では、管理や修繕、固定資産税、都市計画税などの費用負担をめぐって、共有者間でトラブルになることがあります。共有物の管理費用などは、原則として持分割合に応じて負担しますが、共有者の一部が支払いに応じず、ほかの共有者が立て替えるケースもあります。

共有名義の不動産にかかる固定資産税や都市計画税は、共有者全員が連帯して納税義務を負います。(地方税法第10条の2)そのため、納税通知書を受け取る代表者が納付しない場合でも、ほかの共有者が納付を求められる可能性があります。

また、一部の共有者が負担せず、ほかの共有者が立て替える状態が続けば、費用負担への不満から共有者同士の関係が悪化するおそれがあります。

共有名義の底地を所有し続けると、管理費や税金の負担をめぐるトラブルが繰り返される可能性があります。共有者間で費用負担の調整が難しい場合は、将来的な負担を減らすためにも、共有持分の売却などによる共有状態の解消を検討するとよいでしょう。

共有名義不動産の固定資産税の滞納については、下記の記事も参考にしてみてください。

借地人への対応について共有者間で意見が合わない

共有名義の底地では、地代の見直しや建て替え・増改築への対応、借地権譲渡の承諾などについて、共有者間で方針を決める必要があります。共有者の意見が一致せず、借地人への対応がスムーズに進まないケースもあります。

たとえば、共有者Aは現在の条件での契約継続に前向きなのに、共有者Bは「地代を増額してからでなければ応じたくない」と主張するといった対立が考えられます。共有者間の意見のすり合わせが難航すれば、借地人への返答が遅れ、借地人との関係が悪化するおそれもあります。

また、共有者間で方針を決めないまま、一部の共有者が借地人に独断で条件を提示したり、建て替えなどの承諾料を受け取ったりすれば、共有者間のトラブルにつながることもあります。後からほかの共有者が知り、不信感から関係が悪化するおそれもあります。

借地人への対応をめぐって共有者間で意見が対立することが多い場合や、調整の負担が大きい場合は、早めに共有状態の解消を検討するとよいでしょう。

共有者が持分を売却すると、他人と共有状態になる可能性がある

共有名義の不動産では、自分の共有持分に限っては、他の共有者の同意を得ずに第三者へ売却することが可能です。

そのため、共有者の1人が底地の共有持分を第三者に売却した場合、知らない他人と突然、不動産を共有することになるリスクがあります。新たな共有者との間で利害調整が難航し、意思決定がさらに難しくなることも考えられます。

また、悪質な不動産業者が共有者となった場合、相場より低い価格で共有持分の買い取りを迫られたり、強引な交渉を受けたりするおそれもあります。

トラブルを回避するためには、共有者同士で今後の保有方針や売却意向を共有しておくことが重要です。日頃から情報共有を行い、各共有者の売却意向や今後の方針を把握しておくことで、突然のトラブルを未然に防げます。あらかじめ売却の希望がわかっていれば、底地全体の売却や、共有者間での持分の売買といった選択もできるでしょう。

相続によって権利関係が複雑になる

共有者が亡くなり、その持分を複数の相続人が承継すると、共有者の数が増えることがあります。現在の共有者同士の関係が良好であっても、相続によって新たな共有者が加わることで、意見の対立や意思決定の遅れが生じることもあります。

さらに、共有者が増えるほど、底地全体の売却や借地人への対応について合意をまとめることも難しくなります。地代の分配や固定資産税などの費用負担について、調整する相手が増える点にも注意が必要です。

相続が重なるほど共有者が増えて権利関係が複雑になる可能性があるため、将来的に売却を考えている場合は、早めに共有状態の解消を検討するとよいでしょう。

共有名義不動産を所有し続けるリスクや、共有状態を解消する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

共有名義の底地でよくある質問

共有名義の底地とは?

底地とは、借地権が設定されている土地、つまり借地人に貸している土地を指します。共有名義とは、1つの不動産を複数人で共同所有している状態です。

したがって、共有名義の底地とは「借地権が設定されている土地を、複数人で所有している状態」を意味します。

たとえば、親が所有していた底地を相続により複数の子どもが引き継いだ場合などに、このような共有状態になることがあります。

共有名義の底地では、底地全体の売却や借地人への対応などで共有者間の調整が必要になります。また、相続によって共有者が増えると権利関係がさらに複雑になる可能性があるため、将来的な管理や売却も踏まえて共有状態を続けるか検討することが大切です。

共有名義の解消方法については、下記の記事を参考にしてみてください。

共有名義の底地の売却は難しい?

底地は借地権が設定されているため、自由な利用が難しく、そもそも市場での需要が限られています。さらに、共有名義の底地の場合は、底地全体を売却するのに共有者全員の合意が必要となるため、売却のハードルは一層高くなります。

共有者全員が売却に前向きであれば、まずは底地全体の売却を検討するとよいでしょう。自分の共有持分だけを売却する場合と比べて買主の選択肢が広がり、高値で売却できる可能性があります。

一方、共有者から売却の合意を得ることが難しく、自分の共有持分だけを手放したい場合は、底地や共有持分を取り扱う不動産買取業者への売却が選択肢になります。自分の共有持分のみであれば、他の共有者の同意を得ずに売却できます。

共有者の関係性や底地の状況に応じて、適切な売却方法を選ぶことが重要です。

共有者と売却の合意ができない場合は、共有物分割請求をした方がよい?

共有物分割請求は、共有者同士の話し合いで共有状態を解消できない場合に検討する最終手段として考えるのが良いでしょう。

共有物分割請求とは、他の共有者に対して共有状態の解消を求めることです。共有者間の協議で分割方法がまとまらない場合や、そもそも協議ができない場合は、裁判所に共有物分割請求訴訟を提起できます。

訴訟では、土地を現物で分ける方法、特定の共有者が他の共有者の持分を取得して金銭を支払う方法、競売などによって共有状態を解消します。必ず自分が底地を単独所有できるわけではなく、裁判手続きには時間や費用もかかります。

また、底地を単独所有できたとしても、借地権そのものがなくなるわけではないため、底地としての権利関係は残ります。

なお、共有者間での話し合いが難航している場合でも、不動産買取業者に相談すれば、共有持分を買い取ってもらえる可能性があります。共有持分を手放せれば、裁判手続きを経ずに共有関係から抜けられます。

共有物分割請求の費用や手順、判決パターンについては、下記の記事も参考にしてみてください。

まとめ

共有名義の底地の売却方法は複数あるため、自身の希望や共有者との関係性など、さまざまな要素を考慮しながら選択する必要があります。

「手間をかけずに、できるだけ早く底地を手放したい」といった場合は、底地や共有持分を取り扱う不動産買取業者への売却が有力な選択肢です。底地全体だけでなく、自分の共有持分のみを売却することもできるため、共有者全員から売却の合意を得られない場合でも相談できます。

一方、共有者全員で協力でき、立地や地代収入などの条件が良い底地であれば、仲介による売却を検討できる場合もあります。共有者との関係や借地人の意向、売却までにかけられる期間なども踏まえ、自分に合った売却方法を選ぶことが大切です。

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