事故物件になったタワマンは活用できる?資産価値を左右するポイントから活用方法までの完全ガイド

事故物件のタワマンを所有してる場合、「人の死があったらタワマンでも活用は難しいのか」「資産価値は下がるのか」のように考えるかもしれません。
結論、人の死が起きた場合、タワマンであっても資産価値は減少しやすく、場合によっては売却や賃貸で活用するのが難しいケースもあります。
人の死が起きた場合、心理的な抵抗を与えやすくなります。一般的に需要が高く資産価値が下がりにくいタワマンであっても、事故物件に該当するような物件であれば多少なりとも資産価値の減少は免れないといえるでしょう。
資産価値がどれだけ減少するかどうかは、「タワマン自体の条件」「発生した人の死の事件性」などによって異なります。場合によってはまったく減少しないこともあるかもしれませんが、事故物件の資産価値は一般的に通常物件の1割〜5割ほど下がるとされています。
とはいえ、事故物件のタワマンだからといって、絶対に活用できないわけではありません。とくに、事故物件専門の買取業者であれば、人の死が原因で活用が難しいタワマンであっても売却に期待できます。
当記事では、「事故物件になったタワマンは活用できるのか」をテーマに、事故物件になる基準や資産価値を左右するポイント、人の死があったタワマンの活用方法などを網羅的に解説していきます。事故物件のタワマンの活用を考えている場合には参考にしてみてください。
目次
タワマンで人の死があったからといって必ず事故物件になるとは限らない!事故物件になる基準は?
タワマンで人の死があった場合、いわゆる事故物件として扱われるのかと考えるかもしれません。しかし、人の死があったからといって、そのタワマンが必ず事故物件になるとは限りません。
前提から解説しますが、そもそも事故物件とは、人の死があったことで心理的に抵抗を感じるような物件のことを一般的にいいます。
そして、心理的に抵抗を感じるかどうかについては、人によって基準が変わります。人の死があった物件であっても特に気にすることなく居住できる人もいれば、「絶対に住むことはできない」のように抵抗を感じる人もいることでしょう。
法令でも事故物件の定義や基準が明確に定められてはいないため、「人の死が起きた」という情報だけではそのタワマンが事故物件として扱われるのかどうかは断言できないのです。
なお、国土交通省が2021年に制定した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」では、現時点で可能な限り妥当と考えられる事故物件の基準が公表されています。
こちらはあくまで参考であり、物件の状態や死因などによって事故物件に該当するかどうかは変わりますが、所有するタワマンが事故物件として扱われるかどうかを確かめたい場合に参考にしてみてください。
具体例 | |
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該当する物件 |
・他殺があった物件 ・自殺があった物件 ・火事などの事故死があった物件 ・遺体が人知れず放置されてしまい、特殊清掃や大規模なリフォームを行った物件 |
該当しないと考えられる物件 |
・自然死があった物件 ・日常生活において不慮の死があった物件 |
端的にいえば、死因が自然死や日常生活を送るうえでの不慮の死であった場合、人の死があった物件でも事故物件にならない可能性があります。
詳しくは後述しますが、事故物件として扱われなければ、賃貸や売却でタワマンを活用できる可能性はあります。一方、事故物件に該当するタワマンであれば、一般の人からは購入を敬遠されやすくなりますが、方法を工夫すれば絶対に活用できないとも限りません。
まずは所有するタワマンで起きた人の死によって、その物件が事故物件に該当するのかどうかを確かめておくのがよいでしょう。
タワマンが事故物件になった場合に資産価値を左右するポイント
一般的にタワマンは需要が高い傾向があり、資産価値も下がりづらい物件です。一方、事故物件の場合は買い手がつきづらくなり、資産価値は下がる傾向があります。
そのため、所有しているタワマンで人の死が起きた場合、「資産価値は下がるのか」のように考えている人もいることでしょう。
結論、基本的に事故物件のタワマンは資産価値が下がりやすいです。条件がよいタワマンであっても、人の死があった物件は心理的な抵抗を感じられやすくなり、需要が下がりやすくなるのが一般的です。
とはいえ、どの程度資産価値が下がるのかは、タワマン自体の条件や人の死が起きた状況などによって異なります。具体的にいえば、タワマンが事故物件になった場合に資産価値を左右するポイントとして下記が挙げられます。
- 心理的瑕疵や物理的瑕疵があるかどうか
- 発生した人の死の認知度はどうか
- 立地や築年数などのタワマン自体の条件はどうか
ここからは、タワマンが事故物件になった場合に資産価値を左右するポイントについて、それぞれ詳しく解説していきます。
心理的瑕疵や物理的瑕疵があるかどうか
タワマンが事故物件になった場合に資産価値を左右するポイントとして、心理的瑕疵や物理的瑕疵があるかどうかが挙げられます。まずは、心理的瑕疵について解説していきます。
心理的瑕疵とは、心理的に抵抗を感じさせるような事柄のことです。具体的には「人の死があった」「どのような死因だったのか」などが挙げられます。
人の死が起きた事実は心理的瑕疵になるため、事故物件になったタワマンの場合には心理的瑕疵による資産価値の減少は避けられないといえるでしょう。
次に、物理的瑕疵とは、不動産自体にある不具合や欠陥のことであり、事故物件に該当するタワマンにおいては遺体によるシミや異臭などが該当します。基本的には特殊清掃を行っておくことで、人の死による物理的瑕疵を修繕することが可能です。
心理的瑕疵や物理的瑕疵は、物件の資産価値を下げる要因にもなるものです。事故物件になったタワマンにおいては、下記のような瑕疵がある物件は資産価値が下がりやすいです。
- 過去に人の死が起きた事実があり、その痕跡が残っている
- 設備などが修繕されておらず一部壊れている
発生した人の死の認知度はどうか
タワマンが事故物件になった場合に資産価値を左右するポイントには、発生した人の死の認知度もかかわります。
たとえば、ニュースで取り上げられるような凄惨な事件が起きた場合、その物件で起きた事件に対する認知度は高いと言えるでしょう。その場合、心理的な抵抗が強くなると考えられ、物件の資産価値は減少する傾向があります。
一方、自然死や病死など、日常生活を送るうえで起こり得る死因の場合、人の死が発生した事件の現場となった物件よりも嫌悪感が抱かれにくく、資産価値の減少はゆるやかになるとも考えられます。
立地や築年数などのタワマン自体の条件はどうか
事故物件になったタワマンであっても、立地や築年数といった物件自体の条件によっても資産価値は左右されます。
たとえば、東京23区にあるタワマンは需要が高く、資産価値も高いのが一般的です。そのため、事故物件であっても購入や入居を希望する人が現れる可能性は十分にあり、資産価値は下がりづらいと考えられます。
下記のように条件がよいタワマンであれば人の死があっても需要が見込めます。
- 人気のエリアにある
- 築5年以内の築浅物件である
- 駅から5分圏内にある
- フィットネスジムやスパといった施設がそろっている
タワマンが事故物件に該当する場合は資産価値が1割〜5割ほど下がるのが相場
前述したように、事故物件になったタワマンの資産価値は、さまざまな要因に左右されます。そのため、「事故物件になったタワマンの資産価値は〇〇」のように一概にいうことはできません。
なお、当サイトを運営する「株式会社クランピーリアルエステート」では、事故物件の買取にも対応しています。過去の買取事例による相場に過ぎませんが、事故物件の買取価格の相場をまとめましたので参考にしてみてください。
相場 | |
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孤独死や病死があった事故物件 | 通常物件よりも1割〜2割程度下がる |
自殺があった事故物件 | 通常物件よりも1割〜3割程度下がる |
他殺があった事故物件 | 通常物件よりも3割〜5割程度下がる |
このように事故物件の買取相場は、死因に応じて変わる傾向があります。ここからは、物件で起きた事件・事故に応じた事故物件の売却相場について解説していきます。
孤独死や病死があったタワマン:通常物件よりも1割〜2割程度下がる
孤独死や病死は、日常生活を送るうえで起こり得ることだと考えられています。そのため、心理的な抵抗は比較的小さいと考えられており、孤独死や病死があったタワマンは事故物件のなかでも資産価値の減少がゆるやかになる傾向があります。
あくまで目安ですが、孤独死や病死の場合は通常物件よりも売却相場が1割〜2割ほど下がる傾向があります。たとえば、人の死が発生する前は5,000万円で売却できるタワマンであれば、4,000万円〜4,500万円程度が目安になります。
ただし、詳しくは「事故物件になるような人の死があったタワマンの場合は告知義務が生じる」の見出しで解説しますが、人の死が発生したことで特殊清掃を行った物件は、その事実を買い手や借り手に伝えなければなりません。
その場合、心理的な抵抗が強くなると考えられ、死因が孤独死や病死であっても特殊清掃を行った物件は、特殊清掃を行っていない物件よりも資産価値が減少する傾向があります。
自殺があったタワマン:通常物件よりも1割〜3割程度下がる
自殺は日常生活における不慮の死といえない死因です。そのため、心理的な抵抗が強くなりやすく、自殺があった物件は孤独死や病死があった物件よりも資産価値が減少するのが一般的です。
あくまで目安ですが、自殺があった場合には通常物件の1割〜3割ほど資産価値が下がる傾向があります。たとえば、自殺が起きる前は5,000万円で売却できるタワマンであれば、3,500万円〜4,500万円程度が目安になります。
なお、どのような事件が起きたかによっても心理的な抵抗は変わり、資産価値がどのように減少するのかも異なります。
たとえば、自殺の原因がリストカットである場合、物件自体に与えるダメージは比較的少なく、自殺があった事故物件のなかでも売却相場の下落率はゆるやかになる傾向があります。
また、当サイトを運営する株式会社クランピーリアルエステートの買取傾向からは、飛び降り自殺があった物件は物件内のダメージがほとんどないため、こちらも売却相場の下落率は比較的ゆるやかになります。
他殺があったタワマン:通常物件よりも3割〜5割程度下がる
殺人などの他殺は事件性や周知性、社会に与えた影響が高いものです。前述したように、事件や事故の認知度が高い場合には資産価値は減少しやすいため、他殺があったタワマンは事故物件のなかでもとくに資産価値が下がりやすいです。
あくまで目安ですが、他殺があった物件の場合は通常物件の3割〜5割ほど資産価値が下がる傾向があります。たとえば、他殺が起きる前は5,000万円で売却できるタワマンであれば、2,500万円〜3,500万円程度が目安です。
事故物件になるような人の死があったタワマンの場合は告知義務が生じる
前述したとおり、人の死があった物件は資産価値が下がりやすいです。心理的な抵抗を感じられやすくなることから、売却や賃貸で物件を活用するのが難しくなるケースも少なくありません。
この場合、「人の死が起きたことを隠して活用できないのか」のように考える人もいるかもしれません。しかし、事故物件を売却・貸借する場合には告知義務が生じるため、人の死が起きた事実を隠してタワマンを活用することは認められません。
国土交通省が公表する「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」には、心理的瑕疵物件を売却・賃貸する際は、不動産契約を判断する際に影響を及ぼすような重要な事例を相手に対して伝える必要があると定められています。
これを「告知義務」といい、心理的瑕疵物件を所有する場合、その物件を売ったり貸したりする際にはこの義務を負わなければなりません。
なお、自然死や日常生活において不慮の死の場合など、死因によっては人の死が起きていても事故物件としてみなされないケースもあり、この場合には告知義務は不要とされています。
とはいえ、前述したように、事故物件の基準は明確に定められていないため、どのような物件であれば心理的抵抗を与えづらく事故物件にならないと判断するのは難しいです。
人の死が起きた物件であるのは変わらないため、ガイドラインでは不要とされていても、人の死があったタワマンを売却・賃貸する場合には取引相手にその事実を伝えるべきだといえます。
告知義務を果たさずに賃貸や売却をすると損害賠償を請求される可能性がある
人の死があったことは、不動産契約を判断する際に重大な影響を与えるものだと考えられています。人の死が起きたことを意図的に隠して売却や賃貸をすると告知義務違反になり、契約不適合責任に問われてしまう可能性があります。
契約不適合責任とは、契約時に買主へ伝えていなかった不具合や欠陥が見つかった場合に売り手が買い手に対して負う責任のことです。契約不適合責任に問われた場合には、不動産契約の解除や損害賠償を請求される可能性もあります。
実際に、過去には1年以上前に建物内で自殺があったことを故意に隠して賃貸借契約をした賃貸人が賃借人から訴訟を起こされ、約114万円の支払いを命じられた判例もあります。
事故物件になるようなタワマンを活用する場合、取引相手に対して「人の死がいつ・どこで起きたのか」「どのような死因だったのか」「特殊清掃は行ったのか」といった点を必ず伝えるようにしましょう。
事故物件になったタワマンの活用が難しい場合には専門の買取業者に売却することを検討する
タワマンの場合は比較的需要が高いため、仲介などでも売却できる可能性は0ではありません。しかし、事故物件として扱われれば購入や居住をすることに抵抗を感じられやすくなるため、場合によっては「事故物件のタワマンを活用するのが難しい」というケースも考えられます。
事故物件になったタワマンの活用が難しい場合、専門の買取業者に売却することも検討してみてください。事故物件専門の買取業者であれば、ほかの業者に断られたような物件であっても買い取ってもらえることに期待できます。
また、事故物件専門の買取業者に依頼するメリットは、ほかにも下記が挙げられます。
- リフォームやリノベーションなどをせずにそのままの状態で買い取ってもらえる
- 契約不適合責任が免責されるのが一般的
- 数日〜1か月程度で売却が完了する
- 仲介手数料がかからない
ここからは、事故物件専門の買取業者に依頼するメリットについて、それぞれ詳しく解説していきます。
リフォームやリノベーションなどをせずにそのままの状態で買い取ってもらえる
人の死があったタワマンを仲介で売る場合、資産価値を高めるためにリフォームやリノベーション、特殊清掃が必要なケースがあります。また、事故物件であれば、心理的な抵抗を抑えるためにもお祓いを行なっておくのが一般的です。
リフォームやリノベーション、特殊清掃などをすべて自分で行う場合、数十万円〜数百万円ほどの費用がかかるケースも少なくありません。
一方、事故物件専門の買取業者はリフォームやリノベーション、特殊清掃、お祓いを自社で行ない、物件を再販売するのが一般的です。そのため、事故物件専門の買取業者であれば、人の死があったタワマンもそのままの状態で売却することも可能です。
売却のためのコストを抑えつつ事故物件のタワマンを買い取ってもらえる点は、事故物件専門の買取業者に依頼するメリットといえるでしょう。
契約不適合責任が免責されるのが一般的
仲介などで不動産を売却する場合、売り手は契約不適合責任を負わなければなりません。
たとえば、人の死があったことを隠してタワマンを売却して、それが売却後に発覚した場合、その物件を購入した人から契約不適合責任を問われる可能性があります。
契約不適合責任を問われた場合、タワマンの買い手から契約解除を求められたり損害賠償を請求されたりすることも考えられます。
しかし、事故物件専門の買取業者であれば、「契約不適合責任を一切負わない」という条件で売買契約が成立するのが一般的です。そのため、タワマンを売却した後に契約不適合責任に問われるリスクは仲介よりも低いといえます。
数日〜1か月程度で売却が完了する
タワマンに限った話ではありませんが、仲介で不動産を売却する場合、買い手を探すための売却活動が必要です。実際にかかる期間は物件の条件などによりますが、一般的には3か月〜6か月程度の期間がかかる傾向があります。
一方、買取は、買取業者に直接不動産を買い取ってもらう方法で、買い手を探すための売却活動が不要です。そのため、仲介よりも早く物件売却できるのが一般的です。
そして、事故物件専門の買取業者では、数日〜1か月程度で物件を買い取ってもらえる傾向があります。場合によっては、最短翌営業日に事故物件を買い取ってもらえる買取業者も存在します。
「人の死があったタワマンを少しでも早く売りたい」という場合には、事故物件専門の買取業者に依頼することも検討してみるとよいでしょう。
仲介手数料がかからない
仲介で不動産を売却する場合、売買契約が成立した後には報酬として不動産会社に仲介手数料を支払うのが一般的です。
しかし、買取業者であれば、不動産会社が買い手となり仲介が不要になるため、仲介手数料が発生しません。そのため、事故物件専門の買取業者に依頼すれば、仲介手数料分の費用を抑えてタワマンを売却することが可能です。
なお、仲介手数料は不動産会社によって異なりますが、不動産会社が受領できる仲介手数料の上限額は下記のように定められています。
不動産の売却価格 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下 | 売却金額の5%+消費税 |
200万円超400万円以下 | 売却金額の4%+2万円+消費税 |
400万円超 | 売却金額の3%+6万円+消費税 |
たとえば、売買価格が5,000万円のタワマンを想定すれば、「5,000万円×3%+6万円+(5,000万円×10%)=656万円」が仲介手数料の上限となります。この場合、買取業者に依頼すれば、最大656万円の仲介手数料を抑えつつタワマンを売却できるともいえるのです。
事故物件になったタワマンを売却する場合の流れ
仲介か買取かなどにもよりますが、タワマンを売却する場合には、おおまかに下記のような流れとなります。
- 不動産会社や買取業者に査定を依頼する
- 【仲介の場合】不動産会社と媒介契約を締結させる
- 買い手と売買契約を結ぶ
- 決済・タワマンの引き渡しを行う
- 確定申告のために譲渡所得税を計算しておく
ここからは、事故物件になったタワマンを売却する流れについて、各工程で詳しく解説していきます。
不動産会社や買取業者に査定を依頼する
不動産を売却する場合、まず不動産会社や買取業者に査定を依頼する必要があります。
査定をしてもらうことで、売りたい物件がどの程度の金額で売れるのかの目安になる査定額を提示してもらえます。業者から提示してもらった査定額に問題がなければ、合意をして物件の売買契約に進みます。
【仲介の場合】不動産会社と媒介契約を締結させる
仲介でタワマンを売却する場合、不動産会社と媒介契約を締結させる必要があります。仲介の媒介契約には3種類の契約形態に分かれます。
媒介契約 | メリット | デメリット |
---|---|---|
一般媒介契約 |
・同時に複数の不動産会社へ依頼できる ・自分で買主を見つけても良い |
・不動産会社にレインズへの登録や状況報告の義務なし |
専任媒介契約 |
・不動産会社は7日以内にレインズへ登録する義務がある ・2週間に一度以上、必ず状況報告がある ・自分で買主を見つけても良い |
・1社にしか仲介を依頼できない |
専属専任媒介契約 |
・不動産会社は5日以内にレインズへ登録する義務がある ・1週間に一度以上、必ず状況報告がある |
・1社にしか仲介を依頼できない ・自分で買主を見つけるのは不可 |
それぞれに異なる特徴があるため、タワマンを仲介で売却する際には、売却の目的や状況に合わせて契約形態を選ぶようにしましょう。
物件の買い手と売買契約を結ぶ
タワマンの売却先となる買い手が決まった後には、売買契約を結びます。
不動産売買を行う際には、「宅地建物取引業法」という法律によって不動産売買契約書の作成が必要です。売買契約書には買取価格や引き渡し時期などの合意内容が記載されており、基本的には依頼した業者が契約書を作成してくれます。
なお、売買契約を締結させる際には、さまざまな必要書類を用意する必要があります。追加書類の提出が求められるケースもありますが、下記のような書類が必要になるのが一般的です。
必要書類 | 概要 |
---|---|
登記済権利書 | 法務局から所有者に登記名義人に交付される書類。再発行できないため、紛失した場合には法務局に相談をする |
固定資産税納付通知書 | 固定資産税などが記載された書類。税務署から毎年4月上旬ごろに送付される。 |
境界確認書 | 隣地との土地の境界を証明できる書類。測量士に依頼をして作成してもらえる |
印鑑証明書 | 原則3か月以内に発行したものに限られる |
本人確認書類 | 運転免許証やマイナンバーカードといった身分を証明できる書類 |
住民票 | 役所で取得できる書類 |
提出書類については所有する物件などによって変わることがあるため、依頼する不動産会社や買取業者に、どのような書類が必要なのかを尋ねておくのがよいでしょう。
決済・タワマンの引き渡しを行う
売買契約が締結した後は、契約内容に沿って決済や物件の引き渡しを行います。
決済や引渡しの日程は、売買契約を締結させる際に決定されます。売買契約の際には、引き渡しの都合がつきそうな日程をあらかじめ決めておき、その日に引き渡しができるようにスケジュールを調整しておくとよいでしょう。
なお、引渡し当日には買い手に物件の鍵を渡す必要があります。引き渡し日には売りたい物件の鍵を忘れずに持っていきましょう。
確定申告のために譲渡所得税を計算しておく
不動産売却によって利益が出た場合、原則譲渡所得税を納めなければなりません。その場合、物件を売却した翌年の2月16日〜3月15日までに確定申告をする必要があります。
そのため、タワマンを売却する場合、「自身の状況では確定申告が必要になるのか」「譲渡所得税はいくらなのか」といった点を事前に確認しておくとよいでしょう。
譲渡所得税は個人でも算出することは可能ですが、簡単に算出できるわけではなく、手順を踏んで算出していく必要があります。
譲渡所得税の算出は、タワマンを売却したことで得られた利益である「譲渡所得」の計算から始めます。譲渡所得は「買い手から受け取った金額-(タワマンの取得費+譲渡にかかった費用)」の式で算出可能です。
たとえば、「取得費5,000万円」「譲渡費用300万円」「売却金額8,000万円」の場合を想定すれば、「8,000万円ー(5,000万円+300万円)=2,700万円」と計算できます。この際、譲渡所得が0になるケースもあり、その場合は売却による利益が出ていないため譲渡所得税はかかりません。
次に、譲渡所得に一定の税率をかけて、譲渡所得税を算出します。一定の税率は、不動産の所有期間によって下記のように変わります。
所有期間 | 所得税率 |
---|---|
5年超 | 15% |
5年以下 | 30% |
先ほどの条件である譲渡所得が2,700万円であれば、所有期間が5年以下の場合は「2,700万円×30%=810万円」、所有期間が5年を超えていれば「2,700万円×15%=405万円」と算出します。
なお、不動産会社や買取業者では、「譲渡所得税が発生するかどうか」「確定申告でどのような手続きをするのか」などを相談できるのが一般的です。タワマンを売却する場合、譲渡所得税や確定申告について相談しておくのもよいでしょう。
事故物件のタワマンを購入するメリットとデメリットは?
一般的にタワマンは、需要が高く資産価値が下がりづらいです。場合によっては、「事故物件であってもタワマンを購入したい」のように考える人もいるかもしれません。
事故物件のタワマンを購入することには、メリットとともにデメリットもあります。そのため、メリットとデメリットを把握したうえで、事故物件のタワマンを購入するべきかどうかを判断することが大切です。
ここからは、事故物件のタワマンを購入するメリットとデメリットについて、それぞれ解説していきます。
購入するメリット:比較的安値でタワマンを購入できる
高値で取引されやすいタワマンであっても、事故物件として扱われるような人の死が起きた場合には資産価値が下がりやすいです。そのため、事故物件のタワマンは比較的安値で購入できるメリットがあります。
どれほど安くなるのかどうかは、「立地や築年数といった条件はどうか」「どのような事件・事故が起きたのか」といった点で変わるため、「事故物件のタワマンなら〇〇円で購入できる」のように断言することはできません。
あくまで一般的には、通常価格より1割〜3割程度安くなると言われています。
購入するデメリット:購入した物件を活用するのが難しい
事故物件のタワマンを購入するデメリットとして、その物件を活用するのが難しいことが挙げられます。
物件自体の条件などにもよりますが、人の死が起きている以上はタワマンといえども心理的な抵抗を感じさせやすいです。そのため、活用のために事故物件のタワマンを購入したにもかかわらず、購入や居住の希望者が現れずに活用できなかったという事態にもなりかねません。
事故物件のタワマンの購入を考えている場合、その物件を活用できる見込みがあるのかどうかを十分に検討しておくことが大切です。
購入するデメリット:人の死があった事実を告知されている場合には契約の取り消しは難しい
国土交通省が公表する「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」では、事故物件を取引する場合、物件の所有者は人の死があったことを事前に告知するように定められています。
そして、人の死に関する告知がなかった場合、事故物件の賃貸や購入に関する契約の解除を求めることが可能です。
しかし、事前に人の死があった事実を告知された場合には、人の死が起きたことを理由に契約解除を求めることはできません。そのため、事故物件のタワマンを購入した後、物件の活用ができなかったとしても契約をなかったことにすることはできないのです。
事故物件のタワマンを探す方法
事故物件でもタワマンの購入・居住を検討している場合、「どうやって物件を探せばよいのだろう」のように考えるかもしれません。その際には、下記のような方法で物件を探してみるのがよいでしょう。
事故物件のタワマンを探す方法 | 概要 |
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事故物件の情報提供サイトで検索をする |
「大島てる」のようなサイトでは、事故物件に関する情報が掲載されている。 「大島てる」においては、事故物件がマップ上に炎のマークで表示される。 |
不動産会社に相談する | 不動産会社も事故物件に関する告知義務がある。そのため、事故物件のタワマンの購入を相談することで、そのような物件を紹介してもらえる可能性がある。 |
まとめ
人の死があったタワマンでも、必ず事故物件として扱われるわけではありません。自然死のような日常生活を送るうえで起こり得る死因の場合には、事故物件として扱われないケースもあります。
しかし、「死因が自殺や他殺」「特殊清掃を行った」というタワマンの場合には事故物件として扱われます。事故物件として扱われた場合、需要が高いタワマンといえども資産価値が減少する傾向があり、売却や賃貸として活用するのが難しくなることも少なくありません。
なお、不動産の買取業者のなかには、事故物件を専門とする業者もあります。仲介などでタワマンの売却が難しい場合であっても、事故物件専門の買取業者であれば積極的に買い取ってもらえることに期待できます。
事故物件として扱われるタワマンの活用が難しい場合には、専門の買取業者に相談することも検討してみるのがよいでしょう。
よくある質問
事故物件になったタワマンは賃貸に出せないのでしょうか?
賃貸に出せないわけではありませんが、人の死が起きていることから入居希望者が現れづらい傾向があります。とはいえ、絶対に現れないとは言い切れず、需要が高いタワマンであれば事故物件であっても入居希望者が現れる可能性はあります。
タワマンで人の死があった場合には告知義務はいつまであるのでしょうか?
人の死に関する告知義務の時効は、売買または賃貸によって変わります。
物件売却の場合には、告知義務に時効は定められていません。そのため、人の死から数年経過しているタワマンでも、売却する場合にはその事実を買い手に伝える必要があります。
一方、事故物件を賃貸物件として貸す場合、人の死から3年程度が経過していれば、その事案について告知する必要がないと定められています。
誰かが1度住んだタワマンなら事故物件にならないのでしょうか?
「誰かが1度でも住めば事故物件にならない」といううわさもありますが、実際はそのようなことはありません。誰かが住んだとしても人の死があった事実は変わらないため、今後も告知義務は生じます。