マンションの共有持分とは?区分所有との違いや土地・共用部分の持分、調べ方を解説

マンションの住戸における「共有持分」とは、1つの住戸を夫婦や相続人など複数人で所有している場合に、それぞれが持つ所有権の割合です。たとえば、夫婦で1住戸を1/2ずつ所有していれば、それぞれが住戸全体に対して1/2の共有持分を持つことになります。
また、マンションでは住戸そのものだけでなく、敷地や共用部分についても共有持分が関係する場合があります。
マンションで共有持分が関係する主な部分を整理すると、以下のとおりです。
このうち敷地については、すべてのマンションで土地の共有持分を持つわけではありません。敷地利用権が地上権や賃借権の場合は土地そのものを所有していないため、マンションを所有していても土地の共有持分を持っていないケースがあります。
また、「共有持分」と「区分所有」は似た場面で使われるため混同されやすい言葉ですが、そもそも示しているものが異なります。区分所有は「1棟のマンションを住戸ごとに分けて所有する仕組み」、共有持分は「1つの不動産を複数人で所有するときの権利割合」です。
たとえば、マンションの101号室そのものは区分所有の対象ですが、その101号室を夫婦で所有すれば、夫婦それぞれが共有持分を持つことになります。つまり、マンションでは区分所有された1つの住戸を複数人で共有することもできます。
本記事では、マンションにおける住戸・敷地・共用部分の共有持分について整理したうえで、区分所有との違いや、それぞれの持分・権利の調べ方について解説します。
マンションの共有持分とは
分譲マンションを所有する場合、住戸だけでなく、廊下やエントランスなどの共用部分や、マンションが建つ敷地についても権利関係が生じます。
住戸そのものについては、1人で所有する場合もあれば、夫婦や相続人など複数人で所有する場合もあります。1つの住戸を複数人で所有している場合、それぞれが持つ所有権の割合が「共有持分」です。
また、共用部分は原則として区分所有者の共有となるため、各区分所有者が持分を持ちます。敷地についても、敷地利用権が所有権であれば、区分所有者が土地の共有持分を持つことになります。
そのため、マンションの共有持分を理解する際は、「専有部分(住戸そのもの)」「敷地」「共用部分」のどの部分に関する持分なのかを分けて考えましょう。
専有部分(住戸そのもの)の共有持分
マンションでは、夫婦それぞれが購入資金を負担して1つの住戸を購入したり、複数人で相続したりすることで、住戸を共有名義で所有することがあります。
住戸を共有名義で所有している場合、各共有者がその住戸に対して持つ所有権の割合が「共有持分」です。
たとえば、夫婦でマンションの1住戸を1/2ずつ所有している場合、夫と妻の共有持分はそれぞれ1/2です。
なお、共有持分が1/2だからといって、住戸を物理的に半分ずつ所有しているわけではありません。住戸全体に対する所有権を1/2の割合で持っているという意味です。
敷地の共有持分
マンションを所有する場合、住戸だけでなく、その建物が建っている土地を利用する権利も必要です。このように、マンションの専有部分を所有するために敷地について持つ権利を「敷地利用権」といいます。
敷地利用権が所有権の場合は、マンションの土地を区分所有者で共有し、それぞれが土地の共有持分を持つことになります。
たとえば、マンションの敷地についてAさんの持分が「1000分の35」と登記されている場合、Aさんは敷地全体に対して3.5%の割合で所有権を持っているという意味です。
この場合、「敷地のうち特定の3.5%の場所がAさんの土地」というわけではありません。住戸そのものの共有持分と同じように、敷地全体に対して3.5%の割合の権利を持っていると考えるとわかりやすいでしょう。
一方で、地上権や賃借権によって敷地を利用しているマンションもあり、この場合、区分所有者が土地の所有権を共有しているわけではありません。
そのため、マンションを所有しているからといって、必ず土地の共有持分を持っているとは限りません。
【敷地利用権は原則として専有部分とセットで扱われる】
マンションの敷地利用権は、原則として専有部分と分けて売却・処分することはできません。たとえば、住戸だけを売って土地の権利を手元に残したり、反対に土地の共有持分だけを住戸とは別に売却したりすることは、原則としてできない仕組みです。
このように、専有部分と分離して処分できない敷地利用権が登記されている場合、その権利を「敷地権」といいます。 ただし、マンションの規約で別段の定めがある場合もあるため、実際の権利関係は登記事項証明書や管理規約などで確認する必要があります。
共用部分の共有持分
分譲マンションでは、各住戸のように区分所有者が個別に所有する「専有部分」とは別に、廊下やエントランス、建物の構造部分などの「共用部分」があります。
区分所有法第11条により、共用部分は原則として区分所有者全員の共有となり、それぞれの区分所有者が持分を持ちます。
また、区分所有法第14条では、共用部分の持分割合は原則として各区分所有者が所有する専有部分の床面積の割合によるとされています。ただし、マンションの規約で別の割合を定めることも可能です。
共用部分の主な例は以下のとおりです。
- 廊下・階段・エレベーター
- 建物の躯体となる壁・床・天井など
- バルコニー・ベランダ
- 玄関ポーチ
- 玄関ドア
- 窓ガラス・網戸
- 室外機置場
- 給排水管などの設備の一部
なお、どこまでが専有部分・共用部分にあたるかは、設備の位置やマンションの管理規約などによって異なる場合があります。
マンションの共有持分と区分所有の違い
マンションの購入や相続、売却について調べていると、「区分所有」と「共有持分」という言葉があわせて出てくることがあります。どちらもマンションの権利関係に関わる言葉ですが、意味する内容は異なります。
たとえば、マンションの101号室は、他の住戸とは独立した区分所有の対象です。この101号室を夫婦で共有している場合、101号室の区分所有権を夫婦で共有し、それぞれが共有持分を持つことになります。
つまり、区分所有と共有持分はどちらか一方になるものではなく、区分所有された1つの住戸を複数人で共有し、それぞれが共有持分を持つこともあります。
両者の違いを整理すると、以下のとおりです。
区分所有:マンションの各住戸をそれぞれ独立して所有する仕組み
「区分所有」とは、マンションやビルなどの1棟の建物を区切り、各住戸や店舗などをそれぞれ独立して所有することです。区分所有された各住戸の専有部分について持つ所有権を「区分所有権」といいます。
たとえば、Aさんが101号室、Bさんが102号室を所有している場合、それぞれが別の住戸について区分所有権を持っている状態です。
また、区分所有者には、自分の住戸である専有部分だけでなく、共用部分や敷地についても権利関係が生じます。
- 専有部分(住戸そのもの):各住戸について区分所有権を持つ
- 敷地:敷地利用権を持ち、所有権の場合は土地について共有持分を持つ
- 共用部分:原則として区分所有者が共有持分を持つ
なお、専有部分の区分所有権を夫婦や相続人など複数人で共有する場合は、それぞれがその住戸について共有持分を持つことになります。
【区分所有の対象となるのはどんな建物?】
区分所有の対象となるためには、以下の2つの独立性が必要です。
- 構造上の独立性があること
- 利用上の独立性があること
「構造上の独立性」は、建物内の各部分が壁などで区切られ、他の部分から構造上独立していることを指します。障子やふすまなどの簡易な仕切りでは、構造上の独立性は認められません。
「利用上の独立性」は、たとえば居住用物件なら、独立した各部分がそれぞれ1つの住居として利用できることを指します。構造上と利用上の独立性が確保されていれば、マンションの住戸だけでなく、オフィスや店舗、倉庫なども区分所有の対象となり得ます。
共有持分:1つの不動産を複数人で共有する場合の権利割合
共有持分は、1つの不動産を複数人で所有している場合に、それぞれの共有者が持つ所有権の割合です。
たとえば、マンションの101号室を夫婦が1/2ずつ共有している場合、夫と妻はそれぞれ101号室全体に対して1/2の共有持分を持っています。
夫婦はいずれも101号室全体を持分に応じて使用できます。また、夫または妻が自分の1/2の共有持分だけを売却する場合は、原則としてもう一方の同意は必要ありません。
一方、101号室全体を売却する場合は、共有者全員の同意が必要です。また、共有している101号室について「変更」「管理」「保存」にあたる行為をする場合も、それぞれ必要な同意が異なります。
このように、共有持分を持っていても、共有している住戸についてすべてを自分だけで決められるわけではありません。
マンションの共有持分の調べ方
マンションの共有持分を確認する際は、「専有部分(住戸そのもの)」「敷地」「共用部分」のどの持分を調べたいのかによって、確認する資料や箇所が異なります。
それぞれの主な確認方法は、以下のとおりです。
- 専有部分(住戸そのもの)の共有持分:登記事項証明書の権利部(甲区)を確認する
- 敷地の共有持分:登記事項証明書の表題部にある「敷地権の種類」「敷地権の割合」を確認する
- 共用部分の共有持分:マンションの管理規約などを確認する
住戸そのものや敷地の持分は登記事項証明書から確認できますが、共用部分の持分割合は登記事項証明書に記載されるものではないため、確認方法が異なります。
専有部分(住戸そのもの)の共有持分:登記事項証明書の権利部(甲区)で確認する
マンションの住戸そのものについて、自分やほかの共有者がどの程度の共有持分を持っているかは、登記事項証明書の「権利部(甲区)」で確認するのが基本です。権利部(甲区)には、その住戸の所有者や所有権を取得した原因・日付などが記載されており、共有名義の場合は各共有者の持分も確認できます。
たとえば、夫婦で101号室を1/2ずつ共有している場合は、それぞれについて「持分2分の1」などと記載されます。
登記事項証明書は、法務局の窓口や郵送、オンラインで請求できます。手数料は、書面で請求する場合は1通600円、オンライン請求の場合は郵送受取で520円、法務局などの窓口受取で490円です。
固定資産税の納税通知書・課税明細書の発送時期は自治体によって異なりますが、毎年春ごろに不動産所在地の自治体から送付されます。手元にある場合は、共有持分の記載がないか確認してみるとよいでしょう。
敷地の共有持分:登記事項証明書の表題部の敷地権の割合を確認する
マンションの敷地の共有持分は、登記事項証明書の表題部にある「敷地権の種類」と「敷地権の割合」で確認できます。
そもそもマンションの敷地は所有権とは限らず、地上権や賃借権の場合もあります。その場合も「敷地権の種類」を見れば、敷地についてどの種類の権利を持っているのかを確認できます。
たとえば、敷地権の種類が「所有権」、敷地権の割合が「1000分の35」と記載されている場合、敷地全体について1000分の35の割合で所有権を持っていることを示します。
一方、敷地権の種類が地上権や賃借権の場合は、土地の所有権を共有しているわけではありません。土地自体は別の所有者のもので、区分所有者はその土地を使う権利を持っている状態です。
ただし、この方法で確認できるのは、敷地利用権が「敷地権」として登記されている場合です。古いマンションなどでは、敷地権として登記されていないこともあります。
その場合、土地を共有しているのであれば、敷地となっている土地の登記事項証明書を別途取得し、所有者や共有持分を確認します。地上権や賃借権などによって敷地を利用している場合は、契約書などの確認が必要になることもあります。
共用部分の共有持分:管理規約などを確認する
共用部分の共有持分は、住戸そのものの共有持分や敷地権の割合のように、登記事項証明書に各区分所有者の持分割合が記載されるものではありません。
マンションの売却や相続などで権利関係を正確に確認したい場合は、マンションの管理規約などを確認します。共用部分の持分割合は原則として専有部分の床面積の割合によって決まりますが、マンションの規約で別の割合が定められている場合もあります。
なお、マンションの共用部分は原則として区分所有者全員の共有となるため、住戸を所有していれば、廊下やエントランスなどの共用部分についても持分を持つことになります。そのため、通常は自分の持分割合を細かく意識する必要はありません。
よくある質問
マンションの共有持分の割合はどう決めますか?
マンションの共有持分の割合は、購入した場合と相続した場合で決まり方が異なります。
【購入した場合 】
マンションを購入する場合は、それぞれが実際に負担した購入資金の割合に応じて持分割合を決めるのが基本です。自己資金だけでなく、住宅ローンによって実際に負担する金額も含めて考えます。
連帯債務型の住宅ローンを利用する場合も、自己資金や住宅ローンの実質的な負担額などを含め、それぞれが実際に負担する購入資金の割合をもとに持分割合を決めます。
なお、連帯保証型の住宅ローンでは債務者は1人ですが、不動産まで必ず単独名義になるわけではありません。連帯保証人が頭金などの購入資金を負担している場合は、その負担割合に応じて共有持分を持つこともあります。
【相続した場合】
相続の場合は、遺言書の内容や遺産分割協議などによって、誰がマンションを取得するか、複数人で取得する場合はどの割合で共有するかが決まります。
遺言書がなく遺産分割が成立していない場合、マンションは原則として法定相続分に応じた相続人の共有状態となります。
マンションの共有持分を持つことにはどのようなリスクがありますか?
マンションの共有持分を持つと、住戸全体の売却や活用について自分だけで決められず、他の共有者との合意が必要になる場面があります。
たとえば、住戸全体を売却するには共有者全員の同意が必要です。また、利用方法や管理について意見が分かれると、共有者同士でトラブルになることもあります。
さらに、自分やほかの共有者が亡くなって相続が発生すると、共有持分が相続人に引き継がれ、相続を繰り返すことで共有者が増えて権利関係が複雑になる可能性もあります。
そのため、マンションの共有持分を持っている場合は、将来的な売却や相続も見据えて、共有状態を長く続けるかどうかを検討しておくことが大切です。
共有持分を持つことで起こり得るトラブルや対処法について詳しくは、次の記事をご覧ください。
マンションの自分の共有持分だけを売却できますか?
マンションを複数人で共有している場合でも、自分の共有持分だけであれば、原則としてほかの共有者の同意を得ずに売却できます。一方、住戸全体を売却する場合は、共有者全員の同意が必要です。
ただし、共有持分だけを購入しても住戸全体を自由に使用・処分できないため、一般の個人からは買主がつきにくい傾向があります。そのため、売却を検討する場合は、共有持分を取り扱う専門の買取業者などへの相談も選択肢です。
まとめ
マンションの共有持分について考える際は、「住戸そのもの」「共用部分」「敷地」のどの権利を指しているのかを区別することが大切です。また、区分所有と共有は別の考え方であり、区分所有された1つの住戸を夫婦や相続人など複数人で共有することもあります。
自分がどのような権利をどの割合で持っているのか確認したい場合は、住戸や敷地については登記事項証明書、共用部分については必要に応じて管理規約などを確認しましょう。
とくにマンションを共有している場合は、住戸全体の売却などを自分1人では決められない場面があります。購入・相続によって共有持分を持つことになった場合は、持分割合だけでなく、ほかの共有者との権利関係もあわせて把握しておくことが大切です。


