共有名義の区分マンションを売却する2つの方法!必要な書類や費用も解説

共有名義の区分マンションを売却する方法には、大きく分けて「不動産仲介による売却」と「不動産会社による買取」の2つがあります。仲介は市場に出して買主を探す方法、買取は不動産会社が直接購入する方法です。
売却方法 | 概要 | 向いている人 |
---|---|---|
仲介 | 市場に公開して買主を探す方法 | 時間や手間をかけてでも、できるだけ高値で売りたい人人 |
買取 | 不動産会社が直接購入する方法 | 手間をかけずに早く現金化したい人 |
なお、共有名義のマンション全体を売却する場合には、共有者全員の合意が不可欠です。1人でも同意しない共有者がいれば、物件全体をまとめて売ることはできません。
一方で、自分が所有している共有持分のみであれば、他の共有者の同意がなくても単独で売却することが可能です。
ただし、共有持分は特殊な権利であるため、実務上は仲介での売却が非常に難しいのが実情です。
その理由としては、以下のような点が挙げられます。
- 買主が取得した持分だけでは自由に物件を利用できないため、一般の購入希望者がほとんど現れない
- 残りの共有者との関係性が不透明なため、将来トラブルに巻き込まれるリスクが高いと見なされる
- 住宅ローンを組みにくく、現金での購入に限られるケースが多い
- 不動産仲介会社も売却成立の可能性が低いため、積極的に扱わない傾向がある
そのため、共有持分を売却する際には、専門の買取業者に依頼する方法が現実的です。
共有持分の取引に精通した買取業者であれば、複雑な権利関係を整理しながらスピーディーに現金化できます。また、弁護士や司法書士など士業と連携している業者であれば、相続登記が未了のケースや共有者間でのトラブルがある場合でも安心して進められます。
「共有名義のマンションを早く手放したい」「どこに相談したらよいか分からない」という方は、まずは共有持分の買取実績が豊富な業者に相談してみることをおすすめします。
なお、株式会社クランピーリアルエステートは、全国の士業1,200以上と連携し、年間3,000件以上のご相談に対応している不動産買取会社です。共有持分の買取に強く、複雑な権利関係や共有者間のトラブルがあるケースでも安心してご相談いただけます。
共有名義の不動産でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
目次
共有名義の区分マンション全体の売却方法
共有名義の区分マンション全体を売却する主な方法は、「不動産仲介」と「不動産会社による買取」の2種類です。
どちらを選ぶかは、「売却価格を重視するのか」「スピードや手間を重視するのか」によって異なります。仲介は高値を狙いやすい反面、時間と労力がかかる傾向があり、買取は短期間で現金化できる反面、売却価格は仲介より低くなります。
売却方法 | 向いている人 |
---|---|
仲介 |
・できるだけ高値で売りたい人 ・売却期間に余裕がある人 ・内覧や交渉に対応できる人 |
買取 |
・早く現金化したい人 ・内覧や広告活動を避けたい人 |
それぞれの特徴を理解し、自分たちの状況や希望に合った方法を選ぶことが大切です。
不動産仲介を通して売却する
「仲介」とは、不動産業者に売却活動を依頼し、広告やポータル掲載、内覧対応を通じて買主を探す方法です。
ここでは、共有名義のマンションを仲介で売却する際に押さえておきたいポイントを説明します。
まず、仲介は市場価格に近い金額で売れる可能性が高く、個人や業者、投資家など幅広い購入希望者にアプローチできます。一方で、次のような実務上の注意点があります。
- 成約までに時間がかかることが多い:物件やエリアにもよりますが、売却活動開始から成約まで数ヶ月から半年程度かかることが一般的です。
- 契約後のキャンセルリスク:買主の住宅ローン不承認や資格確認の不備など、契約直前での解除が発生することがあるため、代替案やスケジュールの余裕を見ておく必要があります。
- 共有名義物件の特有の制約:共有者全員の同意が必要な場面が多く、日程調整や条件合意に時間を要することがあるため、売却の進行が停滞しやすいです。
- 内覧対応・交渉コスト:売主側で内覧対応や物件の見せ方を整える負担が発生し、交渉が長引けば追加の手間や費用がかかります。
そのため、時間に余裕があり、できるだけ高く売りたい方向けの方法です。仲介での売却を検討する場合は、共有者間で事前に合意事項を整理し、ローン審査や権利関係のチェックを早めに進める準備をしておくと、手続きが円滑になりやすいです。
メリット | デメリット |
---|---|
・市場相場に近い価格での成約が期待できる ・多様な買主にアプローチできる ・物件の魅力を広告や内覧で訴求できる |
・成約まで時間を要することが多い ・内覧や交渉対応の負担がある ・住宅ローン不承認等による契約解除のリスクがある ・共有名義の場合は全員合意が前提で手続きが複雑化しやすい |
不動産会社に買い取ってもらう
「買取」とは、仲介のように市場で買主を探すのではなく、不動産会社が直接買主となって物件を購入する方法です。
実際に私たちがご相談を受ける中でも、「できるだけ早く現金化したい」「他の共有者との調整が難しい」「仲介で売れずに困っている」といった声は非常に多く寄せられます。こうしたケースでは、仲介では長期間かかってしまう可能性が高いため、買取を選ばれる方がほとんどです。
不動産会社が直接買い手となるため、条件が整えば契約から決済まで数日〜数週間で完了します。広告掲載や内覧対応が不要で、売却に余計な手間や時間をかけずに済みます。また、弊社も含めて、契約不適合責任を免除して取引するケースが多く、売却後に物件の不具合が見つかっても売主が責任を負わなくて済むため、共有者全員の負担を軽くできる点も売主様から評価されています。
一方で、市場価格に近い水準で売れる仲介に比べると、売却価格は下がる傾向があります。そのため「できるだけ高く売りたい」という方には向かないこともありますが、「早期に現金化したい」「権利関係や相続が複雑」「仲介では買い手が見つからない」といったご相談内容に対しては、現実的な方といえます。
メリット | デメリット |
---|---|
・売却完了までのスピードが早い(数日〜数週間) ・広告や内覧など販売活動の負担がない ・仲介で売れにくい物件にも値が付きやすい ・契約不適合責任を免除されるケースが多い ・共有名義や持分のみの売却にも柔軟に対応できる |
・売却価格は仲介より低めになりやすい ・価格交渉の余地が限られる ・「できるだけ高く売る」ことを最優先にしたい人には不向き |
共有名義の区分マンション全体の売却には「共有者全員の同意」が必要
共有名義の区分マンション全体を売却する場合は、民法251条の規定により、共有者全員の同意が必須です。
「共有物の変更」
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
e-Gov法令検索 民法第251条
不動産全体の売却は、「共有物の変更」に該当するため、持分割合に関係なく、1人でも反対する共有者がいれば契約は不成立となります。共有者全員の同意が必要な行為は、不動産全体の売却だけでなく、「建物の取り壊し」「大規模な改築」「共有物全体への担保権設定」「長期賃貸契約」「不動産全体の売却」なども含まれます。
共有物の変更とは、共有している物件の性質や用途を大きく変える行為を指す。具体的には不動産全体の売却や建物の取り壊しなど、共有者全員の利益や負担の分配に大きく影響するもの。外壁や屋上の修繕など軽微な変更や不動産の管理に該当する行為については、一部共有者による合意で実行が可能。
区分マンションの場合でも、登記簿に各共有者の持分割合が明記されており、不動産全体を売却するためには全員の意思確認が欠かせません。全員の合意なしに全体の売却はできないため、事前に共有者同士で売却価格や売却方法、売却条件、利益や負担の分配方法についての話し合いが求められます。
共有名義の区分マンション全体の売却相場
不動産の売却相場は、地域によって大きく異なります。東京一極集中が続き、東京都の不動産価格は上昇を続けています。一方で、北海道や沖縄などの一部国内の富裕層や外国人からの需要が高いエリアを除き、地方の不動産価格は下降傾向にあります。
ここでは、中古マンション全体の売却相場と、買取時の売却相場をみていきましょう。
不動産仲介の売却相場
都道府県 | ㎡単価 |
---|---|
東京都 | 119.67万円 |
大阪府 | 54.11万円 |
愛知県 | 31.83万円 |
福岡県 | 41.46万円 |
北海道 | 32.25万円 |
※2025年7月時点
参考:レインズ「月例マーケットウォッチ全国版」
全国の不動産市場動向の調査データによると、仲介による中古マンションの売却相場は上記の通りです。東京都で取引された物件の取引価格は6,791万円でしたが、この金額は面積や築年数によって変わってくるため、所有している不動産のおおよその売却相場を知りたい際は、「所有するマンションの専有面積×㎡単価」で算出できます。
不動産買取の売却相場
不動産買取の場合、売却価格は不動産仲介で売却した時の7〜8割程度が目安です。仲介での売却価格が分かれば、買取での売却価格をおおよそ予想できます。
仲介より売却金額が下がる理由は、不動産業者は再販を前提として買取を行うため、利益や諸経費をあらかじめ差し引いて買取価格を決めることにあります。
私たちのような不動産買取業者は、買い取った共有不動産を建て替えたりリノベーションしたりして価値を上げてから売却・賃貸などで活用する必要があります。しかし、前章で解説した通り、共有者は単独で大きな意思決定ができないため、我々はまず他の共有者が持つ持分を取得する手続きを進めなければなりません。
権利関係が複雑な場合や共有者間で争いがある物件では、交渉に時間と労力、さらにコストがかかります。加えて、リフォーム費用や販売経費、在庫期間中の維持費、業者の利益や人件費も必要です。このような事情から、買取価格はどうしても仲介価格より下がる傾向があります。
共有名義の区分マンション全体の売却にかかる主な費用・税金
共有名義不動産の売却では、売却代金から売却にかかるさまざまな費用や税金の支払いが必要です。ここでは、売却時にどのような費用がかかるか解説します。
- 仲介手数料(不動産仲介の場合のみ)
- 抵当権抹消費用
- 印紙税
- 譲渡所得税・復興特別所得税・住民税
- 住宅ローンの返済手数料
区分マンション全体を売却する場合、原則として売却にかかる費用は、共有者全員で負担します。持分割合に応じた金額をそれぞれ負担するのが一般的ですが、共有者全員の合意があれば負担割合を変えることもできます。
仲介手数料(不動産仲介の場合のみ)
不動産仲介を利用して売却する場合、不動産会社に仲介手数料を支払います。仲介手数料は、宅地建物取引業法施行規則により上限額が定められているため、売却価格に応じて計算式が異なります。
以下は売却価格別の仲介手数料の上限額です。
売却価格 | 計算式 |
---|---|
200万円以下 | 売却価格 × 5% + 消費税 |
200万円超〜400万円以下 | (売却価格 × 4%) + 2万円 + 消費税 |
400万円超 | (売却価格 × 3%) + 6万円 + 消費税 |
不動産の仲介手数料は、成功報酬制なので売却が成立したときにのみ支払います。仲介手数料は、高額物件ほど高くなるため、売却前に全員で試算し、売却代金から差し引かれる金額を把握しておくことが重要です。
抵当権抹消費用
売却する区分マンションに住宅ローンが残っている場合、引き渡しに際して残債を支払い、抵当権を抹消する必要があります。
抵当権抹消するための登記手続きでは、「登録免許税」と「司法書士への報酬」がかかります。登録免許税は不動産1物件につき1,000円、区分マンションの場合は土地と建物それぞれに課税されるため計2,000円を支払います。
司法書士への報酬は、5万〜10万円程度が相場です。報酬の金額は物件の種類や売却価格、業務範囲・難易度などによって決まりますが、共有名義の場合、共有者全員の署名押印や必要書類の提出が必要となるため、単独名義の不動産を売却する時よりも高くなる傾向があります。
なお、ローンの完済と抵当権抹消のタイミングは売却決済日に合わせるのが一般的で、スムーズに行えば買主への所有権移転にも支障が出ません。
住宅ローンを借りる際、金融機関は貸したお金を確実に回収するため、購入した不動産を担保にする権利=抵当権を設定する。抵当権が設定されると、債務者はローンを完済しない限り自由に売却や譲渡ができず、万一返済が滞れば金融機関が不動産を売却して債権を回収することができる。
印紙税
印紙税とは、不動産売買契約書に貼付する収入印紙の購入費用です。契約金額に応じて税額が変わり、契約書1通ごとに課税されます。通常、売買契約書は売主と買主がそれぞれ1通ずつ保管するため2枚分の印紙が必要です。
印紙税額は下記のように契約金額の範囲ごとに決まっており、売却価格が高くなるほど負担額も大きくなります。
契約金額 | 本則税率 |
軽減税率適用時 ※2027年3月31日まで延長中 |
---|---|---|
500万円超〜1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超〜5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超〜1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超〜5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
譲渡所得税・復興特別所得税・住民税
不動産の売却で利益(譲渡所得)が発生した場合、その利益に対して「譲渡所得税」「復興特別所得税」「住民税」が課税されます。
譲渡所得=売却価格 – (取得費用 + 譲渡費用)
取得費用とは、物件を購入した際にかかった費用を指す。土地・建物の購入代金のほか、登記費用・不動産仲介手数料・不動産取得税などが含まれる。譲渡費用とは、不動産を売却するためにかかった費用を指す。不動産仲介手数料・土地の測量費・建物の解体費用・登記費用・印紙代などが含まれる。
税率は下記のように所有期間によって異なります。
- 5年超の長期所有:所得税15% + 復興特別所得税2.1% + 住民税5%
- 5年以下の短期所有:所得税30% + 復興特別所得税2.1% + 住民税9%
共有名義の場合は、持分ごとに譲渡所得を計算し、それぞれが確定申告を行う必要があります。マイホームや相続空き家を売却した時には特別控除の適用が可能な場合もあるため、事前に節税の可能性を確認することをおすすめします。
関連記事:不動産売却は5年の所有期間が分かれ目!かかる税金の違いを解説
住宅ローンの返済手数料
共有名義の区分マンションに住宅ローンが残っている場合、売却時に残債を一括返済する必要があります。その際、多くの金融機関で「繰上げ返済手数料」や「事務手数料」が発生します。
契約内容や金融機関によって異なりますが、一括返済の手数料の金額は残債の1%程度が目安です。インターネット経由での繰上げ返済は、無料または低額で済むケースもありますが、窓口や電話での手続きは比較的高額になる傾向があります。売却計画を立てる段階で、金融機関に手数料の有無や金額を確認しておきましょう。
共有名義の区分マンション全体の売却に必要な書類
共有名義の区分マンションを全体売却する場合、売買契約や登記手続きのために複数の書類が必要になります。必要書類は、不動産の所有権や共有関係を証明し、売却手続きの正当性を担保するために必要不可欠です。
共有名義の場合は、共有者全員の書類を揃える必要があり、1人分でも欠けると手続きが進みません。滞りなく売却するためには、事前に必要書類を確認し、発行に時間がかかるものは早めに準備することが重要です。
以下に、主な必要書類と入手先をまとめます。
書類名 | 入手場所 |
---|---|
登記識別情報(登記済権利証) | 法務局 |
固定資産評価証明書 | 市区町村役場 |
共有者全員の身分証明書 | 各発行期間 |
印鑑証明書 | 各共有者の住所地の市区町村役場 |
住民票 | 各共有者の住所地の市区町村役場 |
共有者全員の同意書または委任状 | 共有者が作成 |
抵当権抹消に必要な書類 | 金融機関・法務局 |
登記識別情報(登記済権利証)
登記識別情報(登記済権利証)は、不動産の所有権を証明する書類です。登記識別情報を使って、法務局の登記簿に所有者として登録されている登記名義人が、申請人本人であるかの確認をするため、不動産の売却時には必ず提出が求められます。共有名義の場合は、各共有者分の登記識別情報が必要で、1人でも欠けると売却手続きが進められません。
現在、登記識別情報は、12桁の英数字が記載された「登記識別情報通知」として、不動産の取得時の登記の際に法務局から名義人ごとに1通のみ交付されています。2005年の不動産登記法改正以前に発行されたものは「登記済権利証」と呼ばれ、紙の書面で交付されていました。
登記識別情報を紛失した場合は、司法書士による「本人確認情報」の作成や法務局の「事前通知制度」の活用などの代替手段によって手続きが可能です。登記識別情報は再発行できないので、早めに司法書士や法務局に相談しましょう。
固定資産評価証明書
固定資産評価証明書は、不動産の課税評価額を証明する書類です。売却時には、登録免許税や不動産取得税の算定などに使用されます。法務局での登記手続きや税務署への申告に必要となるため、準備段階から用意しておくのがおすすめです。
入手場所は、不動産の所在地を管轄する市区町村役場です。申請方法は窓口・郵送で、自治体によってはオンライン申請にも対応しています。発行手数料は自治体ごとに異なりますが、1通あたり300円〜400円程度。
有効期限は用途ごとに異なりますが、不動産の登記においては申請する最新の年度のものが必要です。
共有者全員の身分証明書
共有名義の区分マンションを売却する際には、各共有者の本人確認が必要です。そのため、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなどの顔写真つきの身分証明書を用意します。身分証明書は、契約時や司法書士による本人確認などさまざまな場面で提示を求められます。
身分証明書は有効期限内のものを使用し、住所や氏名などの所有者情報が登記簿の記載と一致しているか事前に確認しておくことが重要です。もし一致していない場合は、先に所有者の住所変更や氏名変更の登記を行う必要があります。
登記簿上の所有者情報は、これまで変更が遭った際の申請は任意だったが、不動産登記法改正により2026年4月から更新が義務化。住所や氏名の変更から2年以内に変更登記を行う必要があり、正当な理由なく怠った場合は5万円以下の過料が科される。
共有者が遠方に住んでいる場合や契約当日に立ち会えない場合は、事前にコピーを提出することがありますが、その場合でも契約当日や登記申請時には原本の提示が必須です。契約や登記の際に出席できない場合は、司法書士による面談や郵便で本人確認が行われます。
印鑑証明書
印鑑証明書は、市区町村に印鑑登録をしていることを証明する公的書類です。実印と併せて本人確認や契約書類の真正性を担保するために用いられます。
区分マンション全体の売却では、共有者全員分の印鑑証明書が必要となり、契約書や登記申請書に押印する実印と一致していることが求められます。有効期限は法律で明確に定められていませんが、不動産取引では発行から3ヶ月以内のものを使用するのが一般的です。
印鑑証明書の取得は、印鑑登録を行っている市区町村役場の窓口、郵送、またはマイナンバーカードを利用したコンビニ交付サービスなどで行えます。発行手数料は自治体によって異なりますが、1通あたりの相場は300円程度です。
住民票
住民票は、氏名・住所・生年月日・世帯構成などを公的に証明する書類で、不動産売却時には本人確認のために必要です。共有名義の区分マンションを売却する場合、共有者全員分の住民票を用意する必要があります。特に、住所変更や本籍地の移動があった場合は、登記簿上の住所と現住所をつなぐため、住民票の除票や戸籍の附票が追加で求められることもあります。
入手場所は、現住所の市区町村役場の窓口・郵送の他、マイナンバーカード対応のコンビニです。発行手数料は、1通あたり200円〜300円程度。
有効期限は法律上明確に定められていませんが、不動産取引では発行から3ヶ月以内のものが使用されることがほとんどです。
共有者全員の同意書または委任状
同意書は、共有者全員による売却条件や物件の特定情報、売却金額への同意を明記した文書です。後から言った・言わないのトラブルにならないよう作成し、共有者全員が、署名・押印します。
委任状は、売却契約の締結や登記申請など特定の行為を代理人が行えるようにするための書類です。代理人を立てることで、遠方での取引に自分が参加できない際などに、自分が行うべき手続きや話し合いの代行をしてもらえます。委任状では、代理人に委任する行為・範囲を具体的に記載し、実印の押印と印鑑証明書の添付が必須です。
同意書も委任状も、トラブル防止のため内容を具体的かつ明確に記載し、作成日や署名者の住所・氏名を正確に記入します。提出先や金融機関によっては書式が指定される場合もあるため、事前に確認して準備しましょう。
抵当権抹消に必要な書類
抵当権抹消に必要な書類 | 入手場所 |
---|---|
登記申請書 | 法務局 |
登記原因証明情報(弁済証書・解除証書) | 金融機関 |
登記識別情報通知(登記済証) | 金融機関 |
抵当権解除証書 | 金融機関 |
抵当権者の委任状 | 金融機関 |
代理人への委任状 | 代理人に依頼する場合に作成 |
抹消手続きに必要な主な書類は、ローン完済を証明する「登記原因証明情報(弁済証書・解除証書)」や、抵当権放棄の意思を示す「抵当権解除証書」、登記識別情報通知です。いずれも、ローン完済後に金融機関から送付されてきます。一般的に、抵当権抹消登記は、債権者と債務者が共同で申請しますが、金融機関(抵当権者)からの「委任状」があれば、不動産所有者(債務者)が単独で申請することも可能です。
金融機関から発行された書類は、法務局に提出する「抹消登記申請書」に添付し、本人確認書類と印鑑証明書とともに提出します。多くの場合、手続きは司法書士に依頼するため、司法書士への委任状も必要です。
共有持分のみなら共有者の同意は不要で売却できる
共有不動産の売却には原則として全共有者の同意が必要ですが、自分が保有する共有持分だけを第三者に売却する場合は、他の共有者の同意は不要です。
民法206条では、不動産の所有者には、自分の所有物を自由に使用・処分できる権利が認められています。従って、共有持分のみを売却する場合には、単独で売買契約を締結できます。
「所有権の内容」
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
e-Gov法令検索 民法第206条
ただし、持分を購入した第三者が新たな共有者となるため、事前に他の共有者と意見の調整が必要になるケースがあります。他の共有者に隠して第三者に売却してしまうと、関係が悪化したりトラブルに繋がることもあるでしょう。
なお、共有持分のみを売却すると、不動産全体を売却して得た売却益を持分割合に応じて各共有者に配分した時よりも、1人当たりの取り分が小さくなります。他の共有者と話し合い、不動産全体を売却できれば、自分が受け取る金額を増やすことができます。
共有持分のみの売却なら「専門の買取業者」がおすすめ
共有持分のみを売却する場合、仲介で買主を探すよりも、最初から買取を前提とする「共有持分専門の買取業者」に依頼したほうがスムーズに現金化できます。
共有持分のみだと、購入しても自由に使うことができないため、仲介で買い手を見つけるのは非常に困難です。一方で、買取では、不動産業者が直接買い取るため、共有持分のみでもすぐに手放すことができます。
特に、共有持分を専門に取り扱っている不動産買取業者では、一般の不動産買取業者で対応が難しい案件でも買取が可能です。最後は、共有持分専門の買取業者を利用するメリットをお伝えします。
買取業者が直接買い取るためスピーディーに現金化できる
不動産仲介では、物件を中古市場に公開して買主を探すため、成約まで時間がかかる反面、相場に近い価格で売れる可能性があります。一方、買取は業者が直接買い取るため、売却までの期間を大幅に短縮できるのが強みです。
特に共有持分専門の買取業者は、共有持分の複雑な権利関係や法的リスクを把握した上で取引できる経験と、共有持分のみを買い取っても利益を作れるノウハウを持っています。共有持分に特化した体制を整えることで、スピーディーな買取を実現しているのです。
当社、クランピーリアルエステートでは、最短12時間で買取金額を査定、そして最短48時間での現金化に対応しています。
士業専門家と連携している業者なら法律・税金に関するサポートも同時に受けられる
共有持分の売却では、権利関係の整理や税金計算など専門的な対応が必要になる場合があります。そのため、弁護士・司法書士・税理士・行政書士といった士業との連携が重要になってきます。
- 弁護士:共有物分割請求や共有者間トラブルの交渉・訴訟対応
- 司法書士:不動産の名義変更や抵当権抹消など登記手続き
- 税理士:譲渡所得税の計算や確定申告のサポート
- 行政書士:契約書の作成や官公庁への各種申請手続き
士業はそれぞれ独占分野があり、不動産業者を通さず依頼する場合、自ら依頼先を探し、各々と調整を行わなければなりません。一方で、士業事務所と連携している買取業者なら、自ら依頼先を探す手間なく、不動産分野に強い専門家のサポートを受けることが可能です。
クランピーリアルエステートでは、全国の1500を超える弁護士・税理士・司法書士事務所とネットワークを形成しており、依頼者が抱える幅広いケースに対応できます。
権利関係に問題を抱えている共有持分でも買い取ってもらえる
共有持分専門の買取業者であれば、共有者同士が揉めている不動産であっても買い取ってもらえます。
共有不動産の使用や管理では、共有者間の意見が対立しやすく、他の共有者との関係が悪化したり、訴訟に発展したりするケースが珍しくありません。一般的な不動産買取業者では、トラブルを抱えた共有不動産の買取を敬遠する傾向があります。しかし、共有持分専門の買取業者であれば、過去の取引事例や経験からトラブルを解決した後、自社の利益まで確保できるノウハウを持っています。
クランピーリアルエステートでも、「他の共有者が売却に反対している場合」「長期間連絡が取れない共有者がいる場合」「一部の共有者が物件を占有している場合」でも、権利調整を見据えて買取が可能です。
まとめ
共有持分の売却は、通常の不動産取引よりも手続きや条件が複雑になりやすく、他の共有者との関係性や権利関係が絡むため、専門的な知識と経験が欠かせません。
仲介による売却では、買主探しや交渉に時間がかかり、権利関係に問題がある物件は敬遠されがちです。一方、共有持分専門の買取業者に依頼すれば、通常の不動産買取業者では対応が難しい共有者間トラブルを抱えている物件や権利調整が必要な案件にも柔軟に対応できるのが大きな強みです。
さらに、弁護士・税理士などの士業と連携している業者であれば、売却に伴う法務・税務・登記などの手続きをワンストップでサポートしてもらえます。特に、共有者全員の同意が得られない場合や、相続・離婚など背景事情が複雑な場合でも、専門家ネットワークを活用して、最適な解決策を提案してもらえる点は大きなメリットといえるでしょう。
共有持分の売却を検討している人は、早期の問題解決と確実な売却を実現するために、専門の買取業者への相談を強くおすすめします。
共有名義の区分マンション売却についてよくある質問
売却益はどのように分配される?
共有名義の区分マンションを売却した場合、売却代金から経費や税金を差し引いた残りの売却益は、各共有者の持分割合に応じて分配されるのが原則です。
例えば、持分が2分の1ずつであれば売却益も半分ずつとなり、3分の1の持分なら売却益も3分の1が配分されます。ただし、共有者間の合意によって持分割合とは異なる配分を設定することもできます。
トラブルを防ぐためには、売却前に共有者全員で取り決めを行い、同意書として書面に残すが大切です。
離婚時の財産分与でも、持分割合に応じて分配される?
離婚時に共有名義の区分マンションを財産分与する場合、法律上は婚姻期間中に形成された財産を原則2分の1に分けます。よって、登記上の持分割合が異なっていても、離婚に際しては半分ずつに分けるのが通例です。
例えば、夫が持分3分の2、妻が3分の1の共有持分を持っていたとしても、婚姻期間中に購入・ローン返済をしていたのであれば、離婚時には売却益や資産価値を2分の1ずつ分けることになります。
ただし、持分割合や取得時期、資金負担の状況によっては分与割合が変わることもあるため、具体的な条件は当事者間や弁護士を交えて決定する必要があります。
相続したマンションを売却して現金化したい
相続で共有状態となった区分マンションを売却して現金化する場合、「換価分割」という方法がおすすめです。
換価分割とは、不動産を相続人全員の合意で売却し、その代金を法定相続分や遺産分割協議で決めた割合に従って分配する方法です。不動産のままだと公平に分割するのは物理的に困難ですが、換価分割で現金にすることで相続財産を正確に、そして公平に分割が可能になります。共有状態を解消しつつ、遺産分割協議をスムーズに進めやすくなるため、売却後の資金活用や相続人間のトラブル防止にも有効です。