借地人が底地を買い取る場合の価格はいくら?限定価格の考え方と計算方法

借地人が底地を買い取る場合の価格は、第三者が買う場合よりも高くなるのが実務上の基本です。これは、借地人が買主となる場合は「限定価格」という考え方を踏まえて価格を決めるためです。

世間一般では「底地は更地の10%〜50%程度が目安」といわれることがありますが、これは借地人だけでなく、買取業者などの第三者が買い取る場合も踏まえた全体的な価格相場です。そのため、借地人が底地を買い取る場合の価格目安として、そのまま当てはめることはできません。

底地を買取業者などの第三者が買う場合は、市場での取引を前提とした「正常価格」を基本に考えます。第三者が土地を購入しても自由に使えないなどの制限があることから、底地の価格は下がりやすくなります。

一方、借地人が底地を買い取る場合の価格は、借地権と底地が1つになることで新たな価値として「増分価値」が生じます。土地を自由に使えるようになり、土地全体の資産価値も上がるため、第三者が買うよりもメリットが大きいといえます。

そのため、借地人が底地を買い取る場合の価格は、底地の正常価格に増分価値の一部を上乗せするのが適正な売買と考えられています。これが「限定価格」の考え方であり、借地人が買い取る価格が第三者の買取価格より高くなりやすい理由です。

なお、増分価値の大きさなどの影響によって価格は変動するため、あくまで目安に過ぎませんが、借地人が底地を買い取る場合の価格は「更地価格の30%〜50%程度」が目安といわれています。

しかし、当事者間での価格交渉は折り合いがつかず難航しがちです。「金額が妥当かわからない」「直接交渉するのが精神的に負担だ」とお悩みの場合は、専門家を交えて客観的な価値を把握するか、専門業者への売却を含めた別の選択肢を検討するのも一つの手です。

弊社クランピーリアルエステートでは、全国1,600名の士業ネットワークと連携し、価格評価や交渉が難しい「底地・借地権」に特化した査定・買取を行っております。「まずは適正な相場がいくらになるか知りたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

本記事では、借地人が底地を買い取る場合の限定価格の考え方や計算方法、底地の価格シミュレーションを、底地や借地権の買取を行う弊社の実務情報を踏まえつつ解説します。

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借地人が底地を買い取る場合の「限定価格」とは?

借地人が底地を買い取る場合の価格は、「限定価格」の考え方を踏まえて判断されます。借地権と底地が1つになることで新たな価値(増分価値)が生じるため、第三者が底地を買い取る際の「正常価格」よりも高くなるのが一般的です。

まずは、正常価格と限定価格の違いと、限定価格が正常価格よりも高くなる理由を解説します。

ポイント

【地主が借地権を買い取る場合は必ずしも限定価格になるとは限らない】

借地権と底地が一体化するからといって必ず限定価格が適用されるわけではなく、状況によって価格の考え方は変わります。

地主から買い取りを求める場合は、借地人の保護が強いため「立退料」を含んだ交渉になりがちです。一方、借地人から求める場合、契約満了時の建物買取請求権であれば「建物の時価」、契約途中で第三者へ売却可能な条件であれば「正常価格」が交渉の基準になりやすいのが実務上の特徴です。

正常価格と限定価格の違い

底地の価格を理解するには、正常価格と限定価格の違いを押さえておく必要があります。まずは、国土交通省「不動産鑑定評価基準」における定義を確認しておきましょう。


正常価格:市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。

限定価格:市場性を有する不動産について、不動産と取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。
引用元 国土交通省「不動産鑑定評価基準」

簡単にいうと、正常価格とは、特別な事情のない第三者同士が、通常の市場で売買することを前提とした価格です。底地の場合は、借地権が付いた土地を第三者に売却する場合の価格と考えるとわかりやすいでしょう。

一方、限定価格とは、その不動産を買う人にとって特別な価値が生じる場合に、その価値を反映して考える価格です。底地の場合は、借地人が買うからこそ生じる価値を、底地の価格に上乗せして考えます。

底地の価格については、次の記事でも解説しています。

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限定価格の方が正常価格よりも高くなる理由

限定価格が正常価格よりも高くなるのは、同じ底地であっても、第三者が買う場合と借地人が買う場合とで、取得後に得られる価値が異なるためです。

第三者が底地を購入しても、底地にはすでに借地権が付いているため、通常の土地のように家を建てたり、自由に活用したりできるわけではありません。主な利益は、地代収入や、契約内容・慣行に応じた更新料、借地権の譲渡・建て替え時の承諾料などが中心です。

一方、借地人が底地を購入すれば、借地権と底地が1つになり、所有権のある土地として扱えるようになります。地主との借地関係がなくなるため、建て替えや売却の際に地主の承諾を得る必要がなくなり、土地全体の資産価値も高まります。

そのため、借地人にとっては、第三者が買う場合の正常価格に一定の金額が上乗せされたとしても、土地の自由度や資産価値が高まる分、経済的な合理性があります。

このように、借地人が買う場合にだけ生じる価値があるため、底地の限定価格は、第三者が買う場合の正常価格より高くなるのです。

借地人が底地を買い取る場合の限定価格の計算方法

借地人と地主の関係における限定価格は、「底地と借地権が一体化することで新たに生じる価値(増分価値)を、地主と借地人の貢献度に応じて分け合う」という考え方に基づいて算定されます。

簡単にいうと、「底地と借地権を別々に持っている状態よりも、1つにまとめたほうが土地の価値は上がる。その上がった分をどう価格に反映するか」という考え方です。

具体的には、次の流れで計算します。

  1. 更地・底地・借地権の「正常価格」を算出する
  2. 一体化によって生まれる「増分価値」を求める
  3. 増分価値の配分額を決め、底地の正常価格に上乗せする

ステップ1:更地・底地・借地権の「正常価格」を算出する

まずは、更地・底地・借地権それぞれの正常価格を確認します。

実務では、周辺の取引事例や公示地価・基準地価などの客観的な価格情報に加え、底地・借地権については、地代の水準、契約内容、地域の取引慣行、取引実績などを踏まえて価格を判断します。

自分で大まかな価格を調べる場合は、次のような方法があります。

更地の正常価格 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で近隣の取引価格や地価情報を確認できます。
あわせて、不動産ポータルサイトで同じエリア・面積・道路付けに近い土地の売出価格を調べたり、不動産会社に査定を依頼したりすると、価格感をつかみやすくなります。
底地の正常価格 底地についても、不動産ポータルサイトや投資用不動産サイトで売出事例を確認できる場合があります。
ただし、一般の土地に比べて掲載数は少なく、地代収入、契約期間、更新料・承諾料の有無、借地人との関係などによって価格が変わりやすいため、底地の取引実績がある不動産会社に査定を依頼するのが現実的です。
借地権の正常価格 不動産ポータルサイトで、同じエリアの借地権付き建物の売出価格を確認する方法があります。ただし、借地権の価格は、地代の水準、契約内容、地主の承諾や名義書換料の有無などによって変わるため、借地権の取引実務に詳しい不動産会社に査定を依頼するのがよいでしょう。

なお、不動産ポータルサイトで確認できる価格は、基本的に売出価格です。実際の成約価格とは差が出ることもあるため、そのまま正常価格と考えるのは避けましょう。

また、底地や借地権は、通常の土地のように単純な坪単価だけでは判断しにくい不動産です。正確な価格を把握したい場合は、不動産会社の査定だけでなく、不動産鑑定士による評価も検討しましょう。

ポイント

【よくある勘違い:路線価・借地権割合は正常価格とは異なる】

相続税の計算に使われる路線価や借地権割合は、相続税・贈与税の評価で用いられる指標であり、実際の売買価格である正常価格とは異なります。

そのため、借地人が底地を買い取る価格を検討する際に、路線価や借地権割合だけで価格を決めるのは避けましょう。ただし、「まずは大まかな価格感を知りたい」という段階では、相続税路線価を使って概算する方法もあります。

更地価格の概算:路線価 × 1.25 × 土地の面積
底地価格の概算:更地価格 ×(1−借地権割合)
借地権価格の概算:更地価格 × 借地権割合

路線価や借地権割合は、国税庁が公表している「路線価図・評価倍率表」で確認できます。

これらはあくまで税務上の評価をもとにした目安です。適正価格を把握するには、不動産会社の査定や不動産鑑定士による評価も確認しましょう。

ステップ2:底地と借地権の一体化で生まれる「増分価値(差額)」を求める

次に、底地と借地権が一体化することで生じる増分価値を求めます。増分価値を求める際には、「増分価値 = 更地の正常価格 −(底地の正常価格 + 借地権の正常価格)」の式を使うのが基本です。

たとえば、更地の正常価格が2,500万円、底地の正常価格が800万円、借地権の正常価格が1,200万円の場合、増分価値は次のように計算します。

2,500万円 −(800万円 + 1,200万円)= 500万円

この場合、底地と借地権を一体化することで、500万円の増分価値が生じていると考えます。

ステップ3:増分価値の配分額を決め、底地の正常価格に上乗せする

最後に、増分価値を地主側と借地人側でどのように配分するかを決め、地主側に配分される金額を底地の正常価格に上乗せします。

借地人が底地を買い取る場合の価格 = 底地の正常価格 +(増分価値 × 地主側の配分割合)

なお、増分価値の配分割合は一律ではありません。借地権割合だけで機械的に決まるものではなく、地域の借地権取引の慣行、地代の水準、契約期間、更新料・承諾料の有無、建物の状況、地主と借地人の交渉経緯などを踏まえて個別に判断されます。

ステップ2で挙げた「底地の正常価格800万円、増分価値500万円」の例で考えてみましょう。増分価値を地主側と借地人側で50%ずつ配分する場合、借地人が底地を買い取る価格は次のようになります。

800万円 +(500万円 × 50%)= 1,050万円

増分価値のうち60%を地主側、40%を借地人側に配分する場合は次のとおりです。

800万円 +(500万円 × 60%)= 1,100万円

この計算式で増分価値のすべてを地主側に配分すると、理論上の上限価格は1,300万円になります。ただし、実際の売買価格は計算だけで決まるわけではないため、あくまで限定価格を検討するための目安として考えましょう。

借地人が底地を買い取る場合の価格シミュレーション

ここでは、借地人が底地を買い取る場合の価格がどの程度になるのかを、更地価格ごとにシミュレーションします。

なお、以下はあくまで限定価格の考え方を理解するためのモデルケースです。底地や借地権の正常価格、増分価値の配分割合は事案によって異なるため、1つの目安として参考にしてください。

更地価格2,000万円の場合の価格シミュレーション

次の条件を想定します。


底地の正常価格:640万円
借地権の正常価格:960万円
一体化した土地の正常価格(更地価格):2,000万円

この場合、増分価値は次のとおりです。


2,000万円 -(640万円 + 960万円)=400万円

この400万円が、借地権と底地が一体化することで新たに生じた価値です。借地人が底地を買い取る場合の価格は、底地の正常価格に、増分価値のうち地主側に配分される金額を上乗せする形で決めます。

仮に、増分価値を借地人60%、地主40%で配分する場合、限定価格は次のようになります。


640万円 +(400万円 × 40%)=800万円

一方で、交渉状況によっては、増分価値の半分以上が地主側に配分され、840万円~1,040万円程度の範囲で合意されるケースもあります。

更地価格3,000万円の場合の価格シミュレーション

次の条件を想定します。


底地の正常価格:1,000万円
借地権の正常価格:1,500万円
一体化した土地の正常価格(更地価格):3,000万円

この場合、増分価値は次のとおりです。


3,000万円 -(1,000万円 + 1,500万円)=500万円

この増分価値の一部を底地価格に上乗せして、限定価格を形成します。仮に、増分価値を借地人60%、地主40%で配分すると、限定価格は次のようになります。


1,000万円 +(500万円 × 40%)=1,200万円

価格交渉の段階で、増分価値の半分以上が地主側に配分すると判断された場合は、1,250万円~1,500万円程度の範囲で合意される可能性もあります。

更地価格5,000万円の場合の価格シミュレーション

次の条件を想定します。


底地の正常価格:1,600万円
借地権の正常価格:2,400万円
一体化した土地の正常価格(更地価格):5,000万円

この場合の増分価値は次のとおりです。


5,000万円 -(1,600万円 + 2,400万円)=1,000万円

増分価値が1,000万円規模になると、配分割合の違いによって、限定価格に数百万円単位の差が生じます。

仮に、増分価値を借地人60%、地主40%で配分すると、限定価格は次のようになります。


1,600万円 +(1,000万円 × 40%)=2,000万円

一方、地主側の価格主張が通りやすい事情がある場合は、試算上、2,100万円~2,600万円程度の範囲で検討されることもあります。

これらのシミュレーションから分かるとおり、 限定価格には明確な「正解」があるわけではなく、増分価値をどう分けるかが価格を大きく左右します。

そのため、金額が大きくなりやすいケースほど、借地権の実務に詳しい不動産会社などの専門家に相談し、 客観的な視点を持ったうえで交渉を進めることが重要です。

借地人が底地を買い取る場合の価格を決める際の相談先

底地の価格判断について専門家に相談したい場合は、底地を取り扱う買取業者や不動産鑑定士に頼る方法があります。

それぞれ相談できる内容や向いているケースは、次のとおりです。

相談先 相談できる内容 向いているケース
買取業者 底地・借地権の取引実務をもとに、業者が買い取る際の底地価格を査定してもらえます。

査定額がそのまま購入価格になるわけではありませんが、価格検討の材料になります。

無料査定を利用すれば、費用をかけずにおおよその価格帯を把握できます。
・無料査定を利用して、おおよその価格帯を把握したい場合
・借地人が買い取る場合の価格を検討する材料にしたい場合
不動産鑑定士 不動産鑑定評価基準に基づき、底地や借地権の価格を客観的に評価してもらえます。

借地人が底地を買い取る場合の限定価格を算出できる場合もあるため、依頼前に対応可否を確認しておきましょう。

ただし、鑑定評価書を依頼する場合は数十万円程度かかることもあるため見積もりを依頼するのが良いでしょう。
・費用をかけてでも、客観的な評価資料をもとに交渉したい場合
・地主から提示された価格が妥当か判断したい場合

底地の価格は、立地や周辺需要、地代の水準・回収状況、借地契約の内容、接道状況や再建築の可否などによって変動するため、自分だけで正確な価格を判断するのは難しいです。

価格の判断材料が欲しい場合は、弊社の無料査定をご利用ください。第三者が底地を買い取る場合の価格を把握しておくことで、借地人が買い取る場合の限定価格を検討しやすくなります。

ポイント

【交渉トラブルや税金の不安は専門家に相談する】
借地人と地主だけで価格交渉を進めると、金額や契約条件をめぐってトラブルになることがあります。また、「借地人が底地を買い取る場合に発生する税金」で詳しく解説しますが、底地の売買では土地の購入価格以外の費用も発生します。

法的トラブルがある場合や代理交渉を依頼したい場合は弁護士、税金について確認したい場合は税理士に相談しましょう。

借地人が底地を買い取る場合に適したタイミング

底地を買い取りたいと考えていても、地主の合意が得られなければ売買は成立しません。そのため、価格交渉そのものだけでなく、「いつ話を切り出すか」も重要なポイントです。

次のようなタイミングであれば、地主側も売却を前向きに検討しやすく、価格面でも折り合いがつきやすい傾向があります。

  • 地主に相続が発生した時
  • 借地契約の更新時

地主に相続が発生した時

地主に相続が発生した時は、借地人が底地の買い取りを提案しやすいタイミングです。

現在の地主が亡くなり相続が発生すると、相続人が底地を引き継ぐことになります。しかし、相続人が必ずしも底地経営を続けたいと考えているとは限りません。

「管理に手間をかけられない」「遺産分割のために現金化したい」「相続税の納税資金を確保したい」などの理由から、底地の売却を検討するケースもあるため、買取交渉を切り出しやすくなります。

また、底地は借地権が付いているため、一般の土地と比べて第三者への売却が難しい不動産です。一方、借地人に売却できれば、地主側は買主を探す手間を省きやすく、第三者へ売却するより高く売れる可能性もあります。

地主側にも売却するメリットがあるため、相続人が資産整理を考えている場合は、借地人からの買い取り提案が前向きに検討されやすくなります。

借地契約の更新時

借地契約の更新時も、底地の買い取りを相談しやすいタイミングです。

更新時には、更新料や今後の地代条件について話し合うため、借地人側から「更新料を支払って契約を続けるのではなく、底地を買い取れないか」と相談しやすくなります。地主側にとっても、今後の契約関係や管理負担を見直すきっかけになります。

また、住宅用の底地から得られる地代収入は、固定資産税・都市計画税の3~5倍程度が1つの目安とされています。たとえば、底地にかかる固定資産税・都市計画税が年間20万円の場合、地代収入は年間で約60万~100万円、月額にすると5万~8万円程度が目安です。

しかし、賃貸経営など他の土地活用方法と比べると大きな収益を見込みにくく、地主にとっては管理負担に見合わないケースもあります。

そのため、地主が「底地経営から手を引きたい」「管理の負担を減らしたい」「まとまった資金を確保したい」と考えている場合には、更新時の話し合いをきっかけに、買い取り交渉が進みやすくなる可能性があります。

借地人が底地を買い取る場合に発生する税金

借地人が底地を買い取る場合、地主に支払う購入代金だけでなく、次のような税金が発生します。買取を検討しているのなら、売買代金以外にかかる費用も含めて資金計画を立てておくことが大切です。

税金 概要 税額の目安
不動産取得税 底地を取得した際に発生する税金です。 税額は、次の計算式が目安となります。
固定資産税評価額 × 税率(原則4%)
令和9年3月31日までに取得した土地は、軽減措置により税率3%で計算されます。
また、宅地については、課税標準を固定資産税評価額の2分の1として計算します。
登録免許税 底地の名義を地主から借地人へ移す登記の際にかかる税金です。 税額は、次の計算式が目安となります。
固定資産税評価額 × 税率(原則2%)
令和11年3月31日までに土地売買による所有権移転登記を受ける場合は、軽減措置により税率1.5%で計算されます。
印紙税 底地の売買契約書に対して課される税金です。 契約金額に応じて、次のように税額が異なります。

100万円超500万円以下:1,000円
500万円超1,000万円以下:5,000円
1,000万円超5,000万円以下:1万円
5,000万円超1億円以下:3万円
※令和9年3月31日までに作成する契約書に軽減措置が適用された場合
固定資産税・都市計画税 毎年1月1日現在の所有者に課される税金です。 税額は、次の計算式が目安となります。
固定資産税:課税標準額 × 税率(標準税率1.4%)
都市計画税:課税標準額 × 税率(最大0.3%)
住宅用地の特例が適用される場合、小規模住宅用地では、固定資産税・都市計画税の課税標準額がそれぞれ固定資産税評価額の6分の1・3分の1まで軽減されることがあります。

固定資産税評価額1,000万円の底地を買い取った場合の費用目安は次のとおりです。ここでは、買取価格を1,000万円超5,000万円以下とし、不動産取得税・登録免許税の軽減措置と小規模住宅用地の特例が適用されたと仮定します。

不動産取得税:1,000万円 × 1/2 × 3% = 15万円
登録免許税:1,000万円 × 1.5% = 15万円
印紙税:1万円
取得時にかかる税金の合計:31万円程度

固定資産税:1,000万円 × 1/6 × 1.4% = 約2.3万円
都市計画税:1,000万円 × 1/3 × 0.3% = 約1万円
固定資産税・都市計画税:年間約3.3万円

実際の税額は、評価額や課税標準額、軽減措置の適用有無、自治体によって異なります。また、年の途中で底地を買い取る場合、その年の固定資産税・都市計画税は、売主と買主の間で日割り精算されるのが一般的です。取得時期によっては、売主へ支払う精算額が上記の年額より低くなる場合があります。

参照:国土交通省|土地の取得に係る税制の概要(参考)
参照:国税庁|不動産売買契約書の印紙税の軽減措置
参照:東京都主税局|固定資産税・都市計画税(土地・家屋)

まとめ

借地人が底地を買い取る場合の限定価格は、底地と借地権が一体化することで生まれる増分価値をどのように配分するかを踏まえて判断されます。そのため、単純な相場や計算式だけで決まるものではありません。

実務では、土地の面積や立地が同程度であっても、地代の水準、借地契約の内容、これまでの経緯、当事者間の交渉状況などによって、最終的な価格に大きな幅が生じるケースもあります。

そのため、感覚的に交渉を進めてしまうと、想定より高い価格で合意してしまうリスクもあります。価格面で後悔しないためにも、必要に応じて不動産鑑定士や底地・借地権の取引実務に詳しい買取業者などに相談しながら進めることが重要です。

「いくらなら妥当なのか」「どこに交渉の余地があるのか」を冷静に見極め、借地人・地主双方が納得できる形での解決を目指しましょう。

よくある質問

借地人が底地を買い取るメリット・デメリットは?

借地人が底地を買い取る場合の主なメリット・デメリットは次のとおりです。

メリット デメリット
・地代や更新料の支払いがなくなる
・借地契約上、建て替えや増改築の際に地主の承諾を得る必要がなくなる
・借地のままより資産価値が高まり、売却しやすくなる
・購入資金の負担が大きい
・購入資金に加えて税金も発生する
・住宅ローンなどを利用できるとは限らない

借地のままでは、地代や更新料の支払いが続くほか、借地権の売却や転貸、契約で制限された建て替え・増改築、借地条件の変更などの際に地主の承諾が必要になることがあります。契約内容や地域の慣行に応じて、承諾料が発生することもあります。

底地を買い取ると借地契約は終了し、地代や更新料、こうした承諾・承諾料の負担がなくなります。将来売却する場合も、借地権付き建物ではなく、所有権のある土地・建物として売却しやすくなる点がメリットです。

ただし、底地の買い取りにはまとまった資金が必要であり、購入時には不動産取得税や登録免許税、印紙税などの税金も発生します。また、底地の購入資金について住宅ローンを利用できるかどうかは金融機関の判断によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

資金状況や将来の活用・売却予定を踏まえ、メリットとデメリットを比較したうえで判断することが大切です。

地主からの地代の値上げなど、借地権にまつわるトラブルについては、次の記事でも詳しく解説しています。

借地人が底地を買い取る際に住宅ローンを組むことはできる?

借地人が底地を買い取る際に、住宅ローンや不動産担保ローンなどを利用できるケースはあります。

借地人が底地を買い取る場合、すでに土地上に自己所有の建物があるため、金融機関によっては土地と建物を一体で評価し、底地の購入資金について融資を検討してもらえることがあります。

特に、借地権付き建物を購入した際に住宅ローンを利用している場合は、同じ金融機関に相談することで、追加融資や借り換えを検討できるケースもあります。

ただし、融資の可否や条件は金融機関によって異なり、住宅ローンの利用を断られる場合や、次のような条件が付くこともあります。

  • 担保評価が低く、融資額が制限される
  • 売買契約書や借地契約の内容確認を求められる
  • 建物や土地への担保設定を求められる

そのため、底地を買い取りたい場合は、事前に金融機関へ相談し、利用できるローンの種類や融資条件を確認しておきましょう。

借地人が底地を買い取る場合の流れは?

借地人が底地を買い取る場合は、一般的に次の流れで進めます。

  1. 地主に買い取りの意向を伝える
  2. 買取価格を交渉する
  3. 売買契約を結ぶ
  4. 売買代金の支払いと土地の引渡しを行う
  5. 所有権移転登記を行う

まずは地主に対して、底地を買い取りたい意向を伝えます。いきなり金額を提示するのではなく、買い取りを希望する理由や今後の利用予定を説明したうえで、話し合いの場を設けると交渉を進めやすくなります。

地主が売却に応じる場合は、限定価格の考え方を踏まえ、双方が納得できる買取価格を交渉します。

価格や支払時期、引渡日、固定資産税・都市計画税の精算方法などに合意できたら、売買契約を締結します。その後、売買代金の支払いと土地の引渡しを行い、地主から借地人へ名義を変更する所有権移転登記を行います。

なお、個人間売買も可能ですが、底地の売買は権利関係や登記手続きが複雑になりやすいです。売買契約書を作成したうえで、不動産会社や司法書士などの専門家に相談しながら進めると、条件の詰め不足や手続き漏れを防ぎやすくなります。

借地人が底地の買い取りを交渉する際の注意点は?

借地人が底地の買い取りを交渉する際は、価格の決まり方や交渉時の立場を理解したうえで進めることが大切です。

注意点 概要
限定価格の考え方を理解しておく 限定価格は通常の底地価格より高くなりやすいものの、地主の希望額が適正価格とは限りません。自分から購入希望額を提示する場合も、地主から提示された金額を確認する場合も、価格の根拠を整理しておきましょう。
「買わざるを得ない立場」と見られないようにする 借地人はすでに土地上の建物を所有しているため、地主側から「底地を買うしかない」と見られることがあります。そのまま交渉を進めると、強気な価格提示を受け入れてしまうおそれがあります。
実際は、借地権を維持して利用を続ける、条件が整えば借地権を売却するなどの選択肢もあるため、これらを踏まえて対等な立場で交渉しましょう。
感覚だけで価格交渉を進めない 感覚だけで価格交渉を進めると、不利な条件で合意してしまったり、地主との話し合いがトラブルになったりするおそれがあります。
提示額の妥当性や価格の根拠を確認したい場合は不動産鑑定士、交渉がこじれて法的な対応が必要な場合は弁護士に相談しましょう。

底地を買い取れないので借地権を手放したい。売却はできる?

一般的な土地賃借権型の借地権は、地主の承諾を得られれば第三者へ売却できます。借地契約書で譲渡条件や承諾料が定められていることもあるため、まずは契約内容を確認しましょう。

地主の承諾が得られない場合でも、借地権の譲渡によって地主に不利となるおそれがないときは、裁判所に地主の承諾に代わる許可を申し立てられる場合があります。

ただし、借地権は権利関係が複雑なため、一般の不動産市場で買主を見つけるのは難しいのが実情です。地代水準や契約期間の残存年数、契約内容によっては、売却活動が長期化したり、希望条件で売却できなかったりすることもあります。

そのため、借地権の売却では、借地権の取り扱いに慣れた買取業者へ相談する方法も選択肢になります。

株式会社クランピーリアルエステートでは、借地権の買取に対応しています。弁護士や司法書士、税理士といった専門家とも連携しているため、借地権でお悩みの方は弊社にご相談ください。

借地権の売却については、次の記事も参考にしてみてください。

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