共有持分の評価額の算定方法は?査定額との違いや価格を左右するポイント

共有持分の評価額の算定方法は、原則「不動産全体の評価額×持分割合」です。たとえば、3,000万円の不動産を共有しており、持分割合が1/3であれば、共有持分の評価額はおおよそ1,000万円となります。
このことから、「共有している不動産の評価額はいくらか」「どれだけ持分割合を所有しているか」が共有持分の評価額を決定する大きな要因と言えます。不動産の評価額は土地または建物によって下記のように異なります。
- 土地:公示地価や固定資産税評価額、実勢価格などから求められる
- 建物:固定資産税の課税明細書から確認できる「固定資産税評価額」が指標になる
ただし、評価額はあくまで税金の算出などの基準額であって売却価格ではありません。そのため、仮に評価額が3,000万円の共有持分であっても、実際の売却価格は評価額とは異なるのが実務上の基本の考えです。
共有持分の売却先は基本的に「他の共有者」「専門の買取業者」の2つであり、それぞれで売却価格の目安が異なります。実務上では共有者の場合は「不動産の市場価格×持分割合」になりますが、買取業者の場合は経費がかかる分価格が安くなりやすく、「市場価格×持分割合×1/2~1/3」が目安となります。
なお、共有持分の価値を知るためには、専門業者による査定を受けるのも1つの手です。弊社クランピーリアルエステートでは、共有持分の買取だけでなく査定のみの依頼にも対応しています。
査定は無料で最短即日に回答いたしますので、共有持分の価値を把握したい場合はお気軽にご相談ください。
目次
共有持分の評価額は「不動産全体の評価額×持分割合」で算出する
共有持分の評価額は、基本的に「不動産全体の評価額×自分の持分割合」で算出します。
国税庁も共有地の評価について、共有地全体の価額に共有持分の割合を乗じて、各共有者の持分の価額を算出する考え方を示しています。
たとえば、評価額3,000万円の不動産を3人で共有しており、自分の持分割合が1/3であれば、持分割合に応じた評価額は3,000万円×1/3=1,000万円です。
つまり、共有持分の評価額を算定するには、まず以下の2点を確認する必要があります。
- 共有している不動産全体の評価額はいくらか
- 自分がどれだけの持分割合を所有しているか
共有者の持分割合は、登記事項証明書などで確認できます。
ただし、「不動産全体の評価額」として何を基準にするかは、評価する目的によって異なるため注意が必要です。
たとえば、現在の市場でどれくらいの価値があるのかを知りたい場合は実勢価格、相続税・贈与税を計算する場合は相続税評価額を基準にします。このほか、土地の価値を確認する指標として公示地価や基準地価、固定資産税の算定には固定資産税評価額が用いられます。
つまり、「共有持分の評価額」といっても、何のために価値を確認するのかによって、基準となる価格が異なるのです。
また、共有持分を売却する場合は、こうした評価額とは別に、不動産会社や買取業者が個別の状況を踏まえて「査定額」を算出します。評価額と査定額の違いについては後ほど詳しく解説します。
【土地】共有持分の評価額を調べる際に参考となる5つの価格
土地の共有持分の評価額を調べる際に参考となる価格は、次の5つです。
| 価格 | 主な用途・意味 |
|---|---|
| 実勢価格 | 実際の不動産市場における取引価格の水準を把握するときに参考にする |
| 公示地価 | 一般の土地取引価格の指標として参考にする |
| 基準地価 | 公示地価とあわせて地域の地価水準を把握するときに参考にする |
| 固定資産税評価額 | 固定資産税などの算定の基礎となる |
| 相続税評価額 | 相続税・贈与税を計算するときに用いる |
たとえば、土地を売却した場合の市場価値としての評価額を知りたいなら、周辺の実際の取引価格などから実勢価格を確認することが重要です。一方、相続や贈与に伴って税務上の評価額を求めるのであれば、相続税評価額を確認します。
「共有持分の評価額を知りたい」と考えたときは、まず何のために評価額を知りたいのかを明確にしたうえで、適した価格を確認しましょう。
実勢価格
実勢価格とは、不動産が実際の市場で取引される価格のことです。土地を売却した場合にどれくらいの価格になるのか、現在の市場価値を考えるうえで重要な指標となります。
前提として、土地の実勢価格は「このエリアなら必ず⚪︎万円になる」のように公的に定められているわけではありません。
不動産の価格は、所在地や面積、形状、接道状況、最寄り駅までの距離などの条件によって変わります。同じ地域の土地であっても条件が異なれば取引価格も異なるため、実勢価格を調べる場合は周辺で実際に取引された条件の近い土地を比較して、おおよその価格水準を判断することになります。
周辺の取引価格を確認する際は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」が参考になります。不動産情報ライブラリでは、地域や取引時期、物件種別などを指定して、実際の取引価格・成約価格を確認できます。
たとえば、自分が所有する土地と面積・立地・接道条件などが近い土地の取引事例が複数あれば、現在の市場価値を把握するための参考になります。
なお、過去の取引価格そのものが現在の土地の実勢価格になるわけではありません。地価の変動や個別条件の違いもあるため、売却を前提としてより正確な価格を知りたい場合は、不動産会社による査定を依頼するのが良いでしょう。
公示地価
公示地価とは、土地の適正な価格形成を目的として国が公表している土地価格の指標です。
国土交通省の土地鑑定委員会が全国の「標準地」を選び、毎年1月1日時点の1㎡あたりの正常な価格を判定して公示します。一般の土地取引価格の指標として利用されるほか、公共用地の取得価格などを決める際の基準にもなります。
公示地価を確認すれば、対象となる土地がある地域で、土地価格がおおむねどの程度の水準にあるのかを把握できます。
ただし、公示地価はあくまで標準地の価格です。自分が所有する土地そのものの価格ではないため、以下のような条件によって実際の土地価格とは差が生じます。
- 土地の面積・形状
- 接している道路の幅や方角
- 駅からの距離
- 用途地域
- 周辺環境
そのため、「公示地価×土地面積」で自分の土地の価値が正確に算出できるわけではありません。地域の土地価格の水準を確認するための指標の一つとして利用するのが適切です。
なお、公示地価は、国土交通省の「地価・不動産鑑定:地価公示」で確認できます。
基準地価
基準地価も、公示地価と同じく土地価格の水準を確認するための公的な指標です。
都道府県が毎年7月1日時点における「基準地」の1㎡あたりの正常な価格を判定し、公表します。一般の土地取引価格の指標として利用され、公示地価と相互に補完する役割を持っています。
公示地価との大きな違いは、価格の基準日です。
- 公示地価:毎年1月1日時点
- 基準地価:毎年7月1日時点
そのため、公示地価と基準地価の両方を確認することで、地域の地価水準や価格変動をより把握しやすくなります。
ただし、基準地価についても公示地価と同様、基準地そのものの価格であって、自分が所有している土地の評価額を直接示すものではありません。
実際の土地の価値を考える際は、近隣の公示地価・基準地価だけで判断せず、実際の取引事例や土地固有の条件もあわせて確認することが大切です。
固定資産税評価額
固定資産税評価額は、固定資産税などを算出する際の基礎となる土地・建物の価格です。
固定資産は総務大臣が定める固定資産評価基準に基づいて評価され、市町村長(東京23区では東京都知事)が価格を決定して固定資産課税台帳に登録します。土地・家屋については、原則として3年ごとに評価額を見直す「評価替え」が行われます。
土地の固定資産税評価額は、主に以下の方法で確認できます。
- 固定資産税・都市計画税の課税明細書
- 固定資産評価証明書
- 固定資産課税台帳
所有者であれば、まずは毎年送付される納税通知書に同封された課税明細書を確認するのがわかりやすいでしょう。課税明細書には固定資産の「価格(評価額)」などが記載されています。
なお、「評価額」と「課税標準額」は同じとは限らないため注意が必要です。課税明細書から固定資産税評価額を確認するときは、「価格」「評価額」などと記載された欄を確認しましょう。
相続税評価額
相続税評価額は、土地を相続・贈与した際に相続税や贈与税を計算するための評価額です。
土地の相続税評価額は、地域によって以下のいずれかの方法で算出します。
- 路線価方式
- 倍率方式
路線価方式
路線価方式は、路線価が定められている地域の宅地を相続税・贈与税のために評価する方法です。
路線価は道路ごとに設定されている1㎡あたりの価額で、国税庁の「財産評価基準書」から確認できます。
単純化すると、「路線価×土地面積」が基本になりますが、実際には土地の奥行きや形状、接している道路の状況などに応じて補正を行います。
たとえば、路線価が1㎡あたり60万円、奥行価格補正率が0.95、土地面積が50㎡で、ほかの補正を考慮しない単純なケースであれば、60万円×0.95×50㎡=2,850万円となります。
実際の路線価方式では、奥行価格補正のほか、角地や二方路線、不整形地など土地の状況に応じて複数の補正が必要になることがあります。
そのため、形状や接道状況が複雑な土地では、単純に「路線価×面積」だけで相続税評価額を判断しないようにしましょう。
倍率方式
倍率方式は、路線価が定められていない地域の土地を相続税・贈与税のために評価する方法です。
計算式は次のとおりです。
評価倍率は地域や土地の種類ごとに定められており、「財産評価基準書」にて都道府県を選択し「評価倍率表」から該当する土地の種類・場所を選択することで確認できます。
たとえば、土地の固定資産税評価額が3,000万円、評価倍率が1.1であれば、3,000万円×1.1=3,300万円となります。
路線価方式と倍率方式のどちらを使う地域なのかも、国税庁の財産評価基準書で確認できます。
【建物】共有持分の評価額を調べる際は「固定資産税評価額」が参考になる
建物の共有持分の評価額を調べる際は、固定資産税評価額が参考になります。
特に、相続税・贈与税を計算する際の一般的な家屋は、原則として「固定資産税評価額×1.0」で評価します。つまり、固定資産税評価額がそのまま家屋の相続税評価額になります。
そのため、共有名義の建物について相続税評価額を求める場合は、建物全体の固定資産税評価額に自分の持分割合を掛けて算出できます。
たとえば、建物全体の固定資産税評価額が1,200万円で、自分の持分割合が1/2なら、持分割合に応じた評価額は以下のとおりです。
この場合、相続税・贈与税を計算するうえでの建物の持分価額は600万円となります。
ただし、固定資産税評価額は、建物が実際の市場でいくらで売れるかを示す価格ではありません。
建物を売却する場合の市場価値や査定額は、固定資産税評価額だけでなく、築年数や構造、建物の状態、立地、周辺の需要なども踏まえて判断されます。そのため、固定資産税評価額から求めた持分価額と、実際に共有持分を売却するときの査定額が一致するとは限りません。
なお、分譲マンションなど一定の居住用区分所有財産を相続・贈与する場合は、固定資産税評価額に「区分所有補正率」を乗じて評価するケースがあります。単純に「固定資産税評価額×1.0」で算出できない場合がある点には注意しましょう。
建物の固定資産税評価額を確認する方法
建物の固定資産税評価額を知るために、自分で再建築費や経年劣化などから計算する必要はありません。すでに自治体によって評価された金額を、次のような書類から確認できます。
- 固定資産税・都市計画税の課税明細書
- 固定資産評価証明書
- 固定資産課税台帳
もっとも確認しやすいのは、毎年送付される固定資産税の納税通知書に同封されている課税明細書です。課税明細書には、所有する土地・家屋の評価額などが記載されています。
課税明細書が手元にない場合は、不動産が所在する自治体で固定資産評価証明書を取得したり、固定資産課税台帳を閲覧したりする方法もあります。
建物の共有持分について相続税・贈与税上の価額を確認したい場合は、まず建物全体の固定資産税評価額を確認し、そこに自分の持分割合を掛けると考えるとわかりやすいでしょう。
共有持分の評価額と査定額は異なるため注意
共有持分の「評価額」と、売却を前提として不動産会社や買取業者が算出する「査定額」は同じものではありません。
前述したように、共有持分の評価額は「不動産全体の評価額×持分割合」を基本に算出します。ただし、不動産全体の評価額には実勢価格・固定資産税評価額・相続税評価額などがあり、評価する目的によって用いる価格は異なります。
一方、査定額は、共有持分を実際に売却することを前提として、不動産会社や買取業者が物件の状況や権利関係などを確認したうえで算出する金額です。
共有持分における評価額と査定額のそれぞれの違いを整理すると、以下のようになります。
| 価格 | 意味 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 評価額 | 目的に応じた基準から不動産や共有持分の価値を評価した金額 | 市場価値の把握、相続・贈与、固定資産税など |
| 仲介による査定額 | 不動産市場で売り出した場合に、どの程度で売却できそうかを不動産会社が算出した金額 | 売出価格を決める際の参考 |
| 買取業者による査定額 | 買取業者が共有持分を直接取得することを前提として算出した金額 | 買取価格を検討する際の参考 |
| 売却価格 | 最終的に売主と買主が合意した金額 | 実際の売買 |
共有持分の評価額と売却時の査定額はどれくらい変わる?
共有持分の評価額と売却時の査定額は、比較する評価額の種類によって査定額の方が高くなる場合も低くなる場合もあります。
たとえば、固定資産税評価額や相続税評価額は税金を計算するための基準となる価格であり、実際の不動産市場での価値をそのまま示すものではありません。そのため、これらの評価額と売却時の査定額を比較すると、査定額の方が高くなるケースもあります。
一方、共有持分を売却する場合の金額感を考えるうえでは、「不動産全体の実勢価格×持分割合」で求めた持分相当額と、実際の査定額を比較するとわかりやすいです。
たとえば、不動産全体の実勢価格が5,000万円、持分割合が1/2であれば、持分割合に応じた市場価値は以下のように2,500万円となります。
ただし、共有持分1/2だけを買取業者へ売却する場合、査定額がそのまま2,500万円になるとは限りません。
弊社が共有持分を査定する実務上の感覚では、専門の買取業者へ共有持分のみを売却する場合、「不動産全体の実勢価格×持分割合」で求めた金額の30〜50%程度が一つの目安になります。
先ほどの例であれば、持分相当額2,500万円に対して、750万〜1,250万円程度が買取査定額の目安です。
| 項目 | 金額の例 |
|---|---|
| 不動産全体の実勢価格 | 5,000万円 |
| 持分割合 | 1/2 |
| 実勢価格を基準とした持分相当額 | 2,500万円 |
| 専門の買取業者による査定額の目安 | 750万〜1,250万円程度 |
つまり、実勢価格を基準とした持分相当額と比較すると、共有持分のみを買取業者へ売却する際の査定額は低くなるケースが多いということです。
ただし、30〜50%という割合がすべての共有持分に一律で当てはまるわけではありません。実際の査定額は、不動産や共有関係の状況によって大きく変わります。
なかには、立地や物件状態、共有関係などの条件が良く、一般的な目安より高く査定できるケースもあります。反対に、権利関係の整理に時間や費用を要すると見込まれる場合は、目安より低い査定となることもあります。
このように、共有持分の査定額は「評価額から一律○%下がる」と決まっているものではありません。
共有持分の売却先ごとの価格相場については、下記の記事で詳しく解説しています。
共有持分の評価額・売却時の査定額を左右する主なポイント
共有持分の評価額や売却時の査定額は、不動産そのものの価値だけで決まるわけではありません。
不動産の資産価値や持分割合は評価額・査定額の両方に関係し、共有者の人数や関係性などは主に売却時の査定額を左右します。
それぞれの関係を整理すると、以下のとおりです。
| ポイント | 評価額への影響 | 売却時の査定額への影響 |
|---|---|---|
| 不動産の資産価値 | 大きく影響する | 大きく影響する |
| 共有者の人数と持分割合 | 持分割合が直接影響する | 持分割合・共有者数ともに影響する |
| 共有者との関係性 | 基本的な算定式には直接影響しない | 権利調整の見込みによって影響する |
| 居住者の有無 | 評価目的や利用状況によって異なる | 誰がどのように利用しているかによって影響する |
ここからは、それぞれのポイントが評価額・査定額にどのように関係するのかを解説します。
不動産の資産価値
不動産そのものの資産価値は、共有持分の評価額・売却時の査定額の双方を左右する基本的な要素です。
共有持分の評価額は不動産全体の価値を基準に算出するため、土地や建物そのものの価値が高ければ、持分割合に応じた金額も高くなります。
売却時の査定でも、不動産全体としてどれだけ需要があり、将来的に売却・賃貸などで活用しやすいかが判断材料になります。
具体的には、以下のような条件が関係します。
- 立地や最寄り駅からの距離
- 土地の面積・形状・接道状況
- 建物の築年数・構造・管理状態
- 周辺の不動産需要
- 再建築の可否など、不動産そのものが抱える制約
そのため、同じ持分割合であっても、駅から近く需要の高い物件と、交通の便が悪く建物の老朽化も進んでいる物件とでは、評価額・査定額ともに差が生じます。
弊社の買取実務でも、立地や建物状態が良く、取得後の活用・売却を見込みやすい不動産は、共有持分であっても高く査定できるケースがあります。
共有者の人数と持分割合
持分割合は評価額・査定額の双方に直接関係しますが、共有者の人数は主に売却時の査定額に影響します。
持分割合については、前述した「不動産全体の評価額×持分割合」という計算式にそのまま反映されるため、所有する割合が大きければ、その分だけ持分割合に応じた金額も大きくなります。
さらに、売却時の査定では単に「何分の何を持っているか」だけでなく、その持分を取得することで共有不動産に対してどの程度の権限を持てるようになるかも判断材料になります。
たとえば、持分価格の過半数を取得すると、共有物の管理に関する事項は原則として持分価格の過半数で決められるため、少数持分よりも取得後の管理方針を決めやすくなります。
一方、不動産全体の売却など共有物に重大な変更を加える場合は、持分の過半数を取得していても原則として他の共有者の同意が必要です。
そのため、「持分割合が大きいほど必ず同じ割合で査定条件も良くなる」という単純なものではありませんが、取得する持分割合によって買主が持つ権限が変わることは、査定上の重要なポイントになります。
また、共有者の人数も査定時に確認されます。
共有者が多くなるほど、取得後に話し合う相手も増えるため、共有状態を整理するまでに時間や費用がかかる可能性が高まります。
ただし、共有者が多いだけで機械的に査定額が下がるわけではありません。共有者全員と連絡が取れており、今後の方針について話し合える状態であれば、人数が多くても権利調整を進めやすいケースがあります。
つまり、共有者の人数だけでなく、実際に何人と調整する必要があり、その人たちと連絡・協議できる状態なのかまで含めて査定されます。
共有者との関係性
共有者との関係性は、持分割合に応じた基本的な評価額よりも、売却時の査定額に影響しやすいポイントです。
ここでいう「関係性」とは、単純に共有者同士の仲が良いか悪いかという意味ではありません。
査定で重要なのは、買取後に他の共有者と連絡を取り、共有状態の解消に向けた話し合いを進められる状況にあるかです。
たとえば、共有者同士の関係が悪くても、連絡先がわかっており、不動産について話し合える状態であれば、取得後の交渉を進められる可能性があります。
一方、以下のような状況では、権利関係を整理するまでに時間や費用がかかる可能性があります。
- 長期間連絡を取っておらず、現在の連絡先や所在がわからない
- これまで何度も協議したものの話がまとまっていない
- 不動産の利用や売却をめぐって強く対立している
実際に弊社でも、共有者が6名まで増え、その一部とは長年連絡が取れなくなっていた共有持分を買い取った事例があります。このケースでは、取得後の共有状態の解消に裁判所での手続きが必要になる可能性もあり、その期間や専門家費用を査定に反映しました。
つまり査定で見られるのは、「仲が悪いかどうか」ではなく、取得後の権利調整をどの程度の期間・費用で進められる見込みがあるかという点です。
居住者の有無
共有不動産に誰が居住・使用しているかも、売却時の査定額を左右する重要なポイントです。
特に査定では、単純に「誰かが住んでいるか」だけでなく、誰が、どのような状態で不動産を利用しているのかを確認します。
代表的なケースは以下のとおりです。
| 利用状況 | 査定時に確認される主なポイント |
|---|---|
| 空き家 | 居住者との調整が不要で、取得後の活用・売却を進めやすいか |
| 他の共有者が居住している | 今後の利用方法や全体売却などについて、居住中の共有者との協議が必要になるか |
| 第三者へ賃貸している | 賃貸借契約の内容や賃料、契約期間などから、収益性や取得後の利用方法を判断できるか |
そのため、「居住者がいる=査定額が必ず低くなる」と一律に判断されるわけではありません。
たとえば、第三者へ賃貸している物件で安定した賃料収入があり、賃貸借関係も明確であれば、その収益性を考慮できる場合があります。
一方、他の共有者が居住している場合は、取得後もその共有者との間で不動産の利用方法や全体売却などについて協議が必要になる可能性があります。
弊社の買取事例でも、共有者が居住していた物件では、居住中の共有者との今後の協議にかかる期間や費用を査定に反映したケースがあります。
このように、共有持分の査定では、不動産そのものの価値だけを見るのではなく、持分割合や共有者、現在の利用状況などを総合して「取得後にその不動産をどのように活用・整理できるか」まで判断します。
共有持分の査定額を知るには査定を依頼する|主な査定方法
ここまで解説したように、共有持分の売却時の査定額は、不動産そのものの価値や持分割合、共有関係、利用状況なども踏まえて算出されます。
そのため、実際に売却する場合の査定額を知りたい場合は、共有持分の取扱実績がある不動産会社や買取業者へ査定を依頼するのが良いでしょう。
不動産会社による査定方法は、大きく「机上査定」と「訪問査定」に分けられます。
| 査定方法 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 机上査定 | 現地を訪問せず、物件情報や取引データなどをもとに査定する | まずおおよその査定額を確認したい場合 |
| 訪問査定 | 担当者が現地を確認し、物件の状態なども踏まえて査定する | より具体的な査定額を確認したい場合 |
共有持分の査定では、一般的な不動産査定で確認する物件情報に加えて、持分割合や共有者の状況なども重要な判断材料になります。
1.机上査定
机上査定とは、担当者が現地を訪問せず、物件資料や周辺の取引データなどをもとに査定額を算出する方法です。
一般的な不動産の机上査定では、所在地や土地・建物の面積、築年数、周辺の取引事例などから、不動産全体の市場価値を確認します。
共有持分の場合は、それに加えて以下のような情報も査定の判断材料になります。
- 自分の持分割合
- 共有者の人数
- 不動産の利用・居住状況
- 他の共有者との連絡状況
- これまでの共有者間での話し合いやトラブルの状況
共有持分の机上査定では、「不動産全体はいくらか」だけでなく、売却対象となる持分と共有関係の状況まで確認するのが特徴です。
査定時点ですべての資料や状況がわかっていない場合でも、まず把握している範囲の情報を伝え、追加で必要な情報を確認するとよいでしょう。
2.訪問査定
訪問査定とは、担当者が実際に不動産を確認し、机上の情報だけではわからない条件も踏まえて査定額を算出する方法です。
たとえば、以下のような点を現地で確認します。
- 建物の劣化・管理状態
- 土地の形状や高低差
- 接道状況
- 物件の利用状況
- 周辺環境
机上査定では書類やデータから不動産の価値を判断しますが、訪問査定では実際の物件状態まで確認できるため、より具体的な査定につなげやすくなります。
ただし、共有持分の査定で常に訪問査定が必要になるわけではありません。査定先や物件の状況によって必要な確認方法は異なるため、まずは現在わかっている情報を伝えたうえで、現地確認が必要か相談するとよいでしょう。
なお、売却時の価格目安ではなく、裁判や遺産分割などで第三者にも説明できる客観的な不動産価値が必要な場合は、不動産鑑定士による鑑定評価を検討します。
不動産会社による査定と不動産鑑定士による鑑定評価では目的が異なるため、必要とする価格に応じて使い分けましょう。
共有持分の売却なら専門の買取業者に依頼するのも手
ここまで解説した方法で共有持分の評価額や査定額を確認し、実際に売却を検討する場合は、まず他の共有者に持分を買い取る意思があるか確認するのも選択肢の一つです。
他の共有者が持分を取得すれば、その人の持分割合が増えて不動産を利用・処分しやすくなるため、第三者へ持分だけを売却する場合よりも持分相当額に近い価格で売却できる可能性があります。
一方で、以下のようなケースでは、共有持分を取り扱う専門の買取業者への売却も現実的な選択肢です。
- 他の共有者に持分を買い取る意思がない
- 共有者との関係が悪く、売却について話し合うのが難しい
- 共有者と連絡が取れない
- できるだけ早く共有状態から抜けたい
- 一般的な不動産会社では共有持分のみの売却を断られた
共有持分を専門に扱う買取業者であれば、持分だけを直接買い取り、取得後の共有者との調整や権利関係の整理まで自社で進めることを前提に査定できます。
そのため、共有者との関係が悪い、他の共有者が不動産に居住しているなど、一般的な不動産売却では扱いにくい状況でも査定・買取の対象になります。
ただし、共有持分を買い取る業者であればどこでも同じ査定額になるわけではありません。共有持分を取得した後にどのように共有状態を解消し、物件を活用・売却するかという判断は業者によって異なるため、査定額にも差が出ることは珍しくありません。
そのため、買取業者へ売却する場合は、共有持分の買取実績や査定根拠、買取後の対応方針まで確認することが大切です。
クランピーリアルエステートは、共有持分を専門領域として買取を行っています。1,600超の士業連携によりトラブルが起きている共有持分も買取が可能で、不要なコストを最大限カットした分を査定額に反映する体制をとっております。
「売却するかはまだ決めていないが、自分の共有持分が実際にいくらになるのか知りたい」という段階でも査定できます。評価額と実際の査定額にどの程度差があるのか確認したい場合は、お気軽にご相談ください。
共有持分の評価額・査定額に関するよくある質問
共有持分の評価額は相続税評価額と同じですか?
共有持分の評価額と相続税評価額は、必ずしも同じものではありません。
共有持分の評価額は、何のために価値を確認するかによって基準となる価格が異なります。
相続税や贈与税を計算する場合は相続税評価額を用いますが、現在の市場価値を知りたい場合は実勢価格などを参考にします。
相続・贈与のための評価なのか、現在の市場価値を知りたいのかによって、確認すべき価格を使い分けましょう。
共有持分の査定だけ依頼して、売却しなくても問題ないでしょうか?
査定を依頼したからといって、そのまま共有持分を売却する必要はありません。
「実際に売るといくらになるのかを確認してから判断したい」「他の共有者との話し合いの前に価格感を把握したい」といった目的で、まず査定額だけを確認することもできます。
共有持分は、不動産全体の価格と持分割合だけでは実際の査定額を判断しにくいため、売却するかどうかを決めるための判断材料として査定を利用するのも一つの方法です。
クランピーリアルエステートでも、査定額を確認したうえで売却するかどうかをご検討いただけます。
共有持分の査定は他の共有者に知られず依頼できますか?
他の共有者に売却の検討を伝える前でも、共有持分の査定について不動産会社へ相談することはできます。
特に机上査定であれば、現地を訪問せず、物件情報や持分割合、共有関係などをもとに査定できる場合があります。
ただし、査定方法や物件の状況によっては現地確認が必要になることもあるため、他の共有者に知られずに査定を進めたい場合は、依頼時にその旨を伝え、どのような方法で査定できるか確認しておくと安心です。
まとめ
共有持分の評価額は、基本的に「不動産全体の評価額×持分割合」で算出します。
ただし、「不動産全体の評価額」として何を基準にするのかは、評価する目的によって異なります。土地であれば実勢価格・公示地価・基準地価・固定資産税評価額・相続税評価額などがあり、相続・贈与なのか、市場価値の確認なのかによって見るべき価格を使い分けることが大切です。
また、共有持分の評価額と、実際に売却する場合の査定額は同じとは限りません。査定では不動産そのものの価値だけでなく、持分割合や共有者の状況、居住者の有無なども踏まえて個別に価格を判断します。
そのため、売却を考えており「自分の共有持分なら実際にいくらになるのか」を知りたい場合は、共有持分の取扱実績がある不動産会社・買取業者へ査定を依頼するのが確実です。
クランピーリアルエステートでは、共有持分を専門領域として査定・買取を行っています。共有者との関係が悪い場合や、他の共有者が居住している場合なども含めて査定できますので、まずは共有持分の価値を確認したいという段階でもご相談ください。


