共有持分の売却相場を徹底解説!実際の買取事例や査定ポイントも紹介
共有不動産を所有しているものの、「使い道がない」「他の共有者と関わりたくない」といった理由から、共有持分の売却を検討している人はいませんか?持分を売却するにあたって気になるのは、やはり「共有持分の売却相場」ではないでしょうか。
共有持分の買取価格は、物件の立地条件や築年数、共有者の人数などから総合的に判断されるため、明確に「いくら」とは言えません。
とはいえ、共有不動産は「自由に活用できない」「他の共有者とのトラブルに巻き込まれる」といった事情から、需要が低くなるのが一般的です。そのため、市場価格よりも売却相場が安くなりやすいと考えておいたほうがよいでしょう。
あくまでも目安ですが、共有持分の売却相場は「市場価格の3割〜5割ほど値下がりする」といわれています。また、売却先によっても売却相場は異なります。
売却先 | 売却相場 |
---|---|
他の共有者 | 不動産全体の市場価格×持分割合 |
買取業者などの第三者 | 市場価格×持分割合×1/2〜1/3 |
共有持分の売却相場が知りたいなら、まずは売却先を決め、上記の計算方法で目安となる金額を確認するとよいでしょう。
なお、「他の共有者との権利関係をクリアにする」「複数の業者に査定を依頼する」といった対策をとることで、売却価格を引き上げられる可能性があります。記事の中で紹介する「共有持分を高く売却するためのテクニック」を実践し、高く買い取ってもらえるようにしましょう。
この記事では、共有持分の売却相場を徹底解説します。実際の買取事例や買取業者が重視する「査定ポイント」も紹介しているため、共有物分の売却相場が気になるならぜひ最後までご覧ください。
目次
共有持分の売却相場は市場価格よりも安くなりやすい
共有持分の売却相場は、市場価格よりも安くなる傾向にあります。不動産の売却金額は立地や築年数といったさまざまな条件をもとに決定されるため一概にはいえませんが、共有持分の売却相場は市場価格の3割〜5割ほど値下がりするともいわれています。
理由は以下のとおりです。
- 共有持分を購入しても自由に活用できないから
- 他の共有者とのトラブルに巻き込まれる可能性があるから
ここでは、共有持分の売却相場が安くなりやすい理由を詳しく解説します。
共有持分を購入しても自由に活用できないから
共有持分の売却相場が安くなりやすい理由の1つは、共有持分を購入しても「共有不動産全体を自由に活用できるわけではない」ことです。
以下のとおり、共有不動産全体を活用するためには、使用方法に応じて共有者から同意を得る必要があります。
使用方法 | 必要な共有者数 | 使用例 |
---|---|---|
変更行為 処分行為 |
共有者全員の同意 | ・売却 ・建て替え ・解体 ・登記申請など |
管理行為 | 共有者の過半数(共有持分価格の過半数)の同意 | ・賃貸借契約 ・賃料改定 ・大規模修繕など |
保存行為 | 共有者単独 | ・修繕 ・法定相続 ・不法占拠者に対する明け渡し請求など |
修繕や法定持分どおりに行う相続登記などであれば、各共有者が単独でできます。
しかし「変更」や「処分」に該当する行為を行うには、共有者全員から同意を得なければなりません。
たとえば、「建物が古くなっているからリフォームしたい」と提案したとします。リフォームは変更行為に該当するため、共有者のうち1人でも反対する人がいると実行できません。
また、賃貸借契約や賃料改定の同意、経年劣化を防ぐ目的の大規模修繕といった「管理行為」を行う場合は、共有者の過半数から同意を得る必要があります。
このように、共有持分を購入しても、単独で行えることは限られています。共有持分の需要が下がり、売却相場が安くなるのはそのためです。
他の共有者とのトラブルに巻き込まれる可能性があるから
他の共有者とのトラブルに巻き込まれる可能性がある点も、共有持分の売却相場が安くなりやすい理由として挙げられます。
たとえば、以下のようなトラブルが考えられます。
- 不動産の管理や変更について意見が割れ、話し合いが長引く
- 維持管理費や固定資産税を誰がどの程度負担するかでもめる
共有不動産の売却や建て替えといった「変更行為・処分行為」をするためには、共有者全員の同意が必要です。共有者のうち1人でも賛成していない人がいると実行できません。
そのため、共有不動産を活用したくても全員の意見が一致せず、話し合いが長引いてしまうケースがあります。
また、共有不動産の維持管理費や固定資産税は、共有者全員が負担しなければなりません。負担する金額は基本的に共有者間で決めますが、「誰がどの程度負担するか」でもめることは少なくありません。
このように、共有持分を所有するとトラブルに巻き込まれてしまい、場合によっては「所有していても利益をまったく得られない」という結果に終わってしまう可能性もあります。
共有持分には対価に見合わないリスクが付きまとうため、単独名義の不動産よりも価値が低くなるのは当然といえるでしょう。
共有持分の売却相場は売却先によって変わるのが一般的
共有持分の売却相場は、売却先によって変わります。
そもそも共有持分の売却先は、「買取業者のような第三者」か「他の共有者」に絞られるのが一般的です。詳しくは後述しますが、一般の人や不動産会社は共有持分の売却先にならないと考えられます。
第三者・他の共有者の売却相場は以下のとおりです。
- 買取業者のような第三者:市場価格×持分割合×1/2~1/3
- 他の共有者:不動産全体の市場価格×持分割合
あくまでも目安ですが、他の共有者になら「第三者よりも高く売却できる」可能性が高いです。
ここでは、共有持分の売却相場を売却先別に解説します。
第三者に売却するなら「市場価格×持分割合×1/2~1/3」が目安
買取業者のような第三者に売却するなら、「市場価格×持分割合×1/2〜1/3」が目安です。
前述したように、共有持分の売却相場は市場価格よりも低くなるのが一般的です。単純に「市場価格に持分割合をかけた金額が売却金額になる」と考えるかもしれませんが、その金額よりも低くなると予想されます。
たとえば、3,000万円の共有不動産を所有しており、持分割合が1/3だったとします。このケースで買取業者に共有持分を売却した場合、売却相場は300万円〜500万円が目安になります。
他の共有者が買い取るなら「不動産全体の市場価格×持分割合」が目安
他の共有者に持分を買い取ってもらうなら、「不動産全体の市場価格×持分割合」が目安です。
たとえば、3,000万円の共有不動産を所有しており、持分割合が1/3だったとします。このケースで他の共有者に共有持分を売却した場合、売却相場は1,000万円です。
共有持分は、他の共有者に売却することが可能です。自分の持分を増やすために共有持分を買い取りたがる共有者もいるため、買い取りを希望している共有者がいるときは、買い取ってもらう方向で話を進めてもよいかもしれません。
共有者が持分を増やしたがる理由は、「1人だけで過半数に達する持分割合を有している場合、その共有者は単独で共有不動産の管理行為を行える」ためです。
そのため、持分を買い取ることで持分割合が過半数に達する共有者であれば、第三者に売却するよりも高い価格で売却できると考えられます。
一般の人に共有持分を売却するのは難しい
「仲介で共有持分を売却できないか」と考える人もいるかもしれませんが、基本的には難しいと思っておいたほうがよいでしょう。仲介で不動産を売却する場合、買い手は一般の人であることがほとんどであるためです。
前述したように、共有持分は自分の意思だけで自由に活用できるものではありません。不動産投資家であればまだ可能性はありますが、赤の他人が共有している不動産の持分を、一般の人がわざわざ購入することはあまりないでしょう。
そのため共有持分は、他の共有者か買取業者に売却することをおすすめします。
実際の買取事例から見る共有持分の売却相場
共有持分の売却相場について解説してきましたが、実際の売却金額は物件の条件や共有者との関係性、持分割合などによって変わります。そのため、売却相場だけを参考にすると、実際の売却価格と大きな差が出てしまう可能性があります。
共有持分の売却相場は、実際に業者が買い取った事例からも見えてきます。共有持分の売却を検討しているなら、買取事例を確認しておくと参考になるでしょう。
ここからは、当社「株式会社クランピーエステート」が実際に取引した事例を紹介していきます。共有持分の売却価格を調べたいときは参考にしてみてください。
- 【事例1】他の共有者と交流がない共有持分を470万円で買取
- 【事例2】ローン残債がある不動産の共有持分を1,500万円で買取
- 【事例3】駐車場として利用している土地の共有持分を1億円で買取
【事例1】他の共有者と交流がない共有持分を470万円で買取
まずは、東京都にある戸建ての土地と建物の共有持分を買い取った事例です。
詳細は以下のとおりです。
地域 | 東京都 |
---|---|
共有者の人数 | 4人(親族) |
物件種別 | 一戸建て |
買い取った持分割合 | 戸建ての土地と建物の1/4 |
買い取った金額 | 470万円 |
持分割合は土地・建物ともに1/4、あわせて470万円で買い取りました。
こちらの売主様は相続によって共有持分を取得しましたが、共有不動産に居住している人や他の共有者とはまったく交流がなく、手紙も無視されている状態でした。
このような買取事例もあるため、他の共有者と交流がないケースでも売却できる可能性はあるといえます。
【事例2】ローン残債がある不動産の共有持分を1,500万円で買取
続いては、神奈川県にあるマンションの共有持分を買い取った事例です。
詳細は以下のとおりです。
地域 | 神奈川県 |
---|---|
共有者の人数 | 2人(夫婦) |
物件種別 | マンション |
買い取った持分割合 | マンションの1/2 |
買い取った金額 | 1,500万円 |
元夫である共有者は売却後もマンションに居住しており、ローン残債もある物件でした。好立地のエリアだったこともあり、1,500万円で共有持分を買い取りました。
このような買取事例もあるため、「ローン残債がある」「共有者が不動産に住んでいる」といった場合でも共有持分を売却できる可能性はあるといえます。
【事例3】駐車場として利用している土地の共有持分を1億円で買取
最後は、大阪府にある駐車場の共有持分を買い取った事例です。
詳細は以下のとおりです。
地域 | 大阪府 |
---|---|
共有者の人数 | 4人(親族) |
物件種別 | 駐車場 |
買い取った持分割合 | 駐車場の1/4 |
買い取った金額 | 1億円 |
売主様に現金化を急ぐ事情があったため、スピーディーに対応しました。
土地のみのスピーディーな高価買取が実現したこちらの事例から、「土地のみの共有持分を売却したい」「急いで現金化したい」というケースにも、柔軟に対応できることがおわかりいただけるのではないでしょうか。
いくらで売れるかは査定で決まる!買取業者が重視している7つのポイント
共有持分の実際の売却金額は、買取業者の査定によって決定します。査定の内容や基準は業者によって異なりますが、以下の点を重視するのが一般的です。
- 物件の立地条件
- 建物の条件(築年数・構造など)
- 持分の割合・共有者の人数
- 不動産に居住している人の有無
- 建物のみの所有か土地・建物両方の所有か
- 住宅ローン残債の有無
- 隣地との境界標の有無
それぞれ詳しく解説します。
1.物件の立地条件
物件の立地条件は、どのような不動産においても重要視されるポイントの1つです。
築年数や間取りが同じでも、利便性の高い都心と人口の少ない地方とでは需要がまったく異なるため、売却価格にも差が出やすいです。また、洪水や土砂災害、津波といった災害リスクの高い地域は、査定評価が低くなる傾向にあります。
そのほか、交通アクセスの環境が整備されているかどうかも評価されるポイントです。駅やバス停までの距離が近い物件のほうが「利便性が良い」といえることから、査定評価も高くなります。
2.建物の条件(築年数・構造など)
築年数や構造といった建物の条件も、査定において考慮される要素です。具体的な評価のポイントは以下のとおりです。
建物の条件 | 評価 |
---|---|
築年数 | 築年数が新しい方が査定評価が高くなりやすい |
構造 | 「鉄筋コンクリート造>鉄骨造>木造」の順に査定評価が高くなりやすい |
面積 | 土地面積・建物面積が大きいほど査定評価が高くなりやすい |
間取り | 3LDKや4LDKなどの間取りは需要が高いため査定評価が高くなりやすい |
基本的に、建物の築年数は新しい方が査定評価が高くなりやすいです。構造については、耐用年数の長さから鉄筋コンクリート造がもっとも評価される傾向にあります。
面積は、大きさと査定評価が比例するのが一般的です。ただし、面積が広くても三角形や台形などの特殊な形状をしていると、通常の土地よりも活用が難しくなるため査定にマイナスの影響を与える可能性があります。
間取りについては、3LDKや4LDなどのファミリー向けタイプの人気が高く、高評価もつきやすいです。
3.持分の割合・共有者の人数
共有持分の査定には、持分割合や共有者の人数なども影響します。
たとえば、市場価格が8,000万円の共有物件を所有しているケースで考えてみましょう。2人で共有しているなら1人あたりの持分割合は1/2ですが、共有者が10人いる場合は持分割合が1/10になるため、必然的に買取価格が下がってしまいます。
必ずしも共有者全員が均等な持分割合とは限りませんが、基本的には共有者の人数が少ないほど持分割合は多くなるものです。
逆にいえば、共有者の人数が多ければ多いほど1人あたりの持分割合は少なくなるのが一般的です。「共有者の人数が多い=査定額が下がりやすい」と認識しておきましょう。
なお、共有者の人数が多く1人あたりの持分割合が少ない場合の対策として、他の共有者と共同で持分を売却する方法がおすすめです。共有者の人数も少なくなるうえに売却する持分割合が多くなるため、査定評価がアップする可能性があります。
4.不動産に居住している人の有無
相続で取得した共有不動産に、親族が居住しているケースが多くみられます。
共有不動産に居住者がいる場合、そのままでは売却やリフォームができません。
不動産を活用するためには立ち退き交渉が必要です。もし居住者が立ち退き交渉に応じなければ、「共有物分割請求」で決着をつけなければなりません。
また、費用がさらにかかるため、買取価格が安くなる傾向にあります。
共有状態の解消を求めること。共有者全員で協議したあと、話し合いで解決できる余地があるなら調停、話し合いが難しく早期解決をしたい場合は訴訟を起こし、共有状態の解消を目指す。
共有物分割請求が認められたときは、主に以下のような方法で共有状態が解消されます。
方法 | 概要 |
---|---|
価格賠償 | 居住者の単独所有とする代わりに、訴訟を提起した共有者に対価として金銭を支払う方法 |
現物分割 | 土地を切り分けてそれぞれの単独所有とする方法 |
換価分割 | 不動産を競売にかけて売却し、共有者同士で対価を分け合う方法 |
「現物分割」は、不動産を物理的に切り分ける方法であるため建物には適しません。共有不動産が建物なら、「価格賠償」か「換価分割」のうち、いずれかの判決が下るでしょう。
共有物分割請求訴訟の費用や手順については、以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。
5.建物のみの所有か土地・建物両方の所有か
所有しているのが「建物のみ」か「土地・建物の両方か」によっても査定評価は左右されます。
建物(土地)のみ | 土地や物件の自由度が下がるため買取価格が安くなりやすい |
---|---|
土地・建物両方 | 活用の幅が広がるため買取価格が高くなりやすい |
たとえば、土地はAとB、建物はCとDが相続で引き継ぎ、それぞれ1/2ずつの持分割合で所有しているとします。仮にAが土地の共有持分を売却しても、建物は他人名義になっているため、土地の扱いが非常に難しくなります。
土地や建物のみの共有持分でも売却自体は可能ですが、扱いの難しさから買い手がつかないケースは珍しくありません。売却先が見つかったとしても、相場よりも買取価格が低くなりやすいでしょう。
買取価格を上げるためには、他の共有者から持分を買い取ったり、他の共有者と共同で持分を売却したりなどの対策が必要です。
土地・建物両方の持分が揃っていれば売却先も見つかりやすくなるため、売却を検討している共有者がいないか探してみることをおすすめします。
6.住宅ローン残債の有無
住宅ローン残債の有無も査定評価に関係します。住宅ローンの残債がある共有持分を売却する際は、「抵当権抹消費用」が売却価格から差し引かれるためです。
その分通常よりも、買取価格が安くなるのが一般的です。
住宅ローンを利用して不動産を購入するときに、金融機関が土地や建物を担保にする権利のこと。住宅ローン契約時に抵当権を設定した場合、完済しない限り抵当権も残っており、抹消しなければ売却できない。
抵当権が設定されている状態で共有持分を売却するには、金融機関と交渉して抵当権の設定を解除をしてもらい、任意売却の許可を得る必要があります。
このように、住宅ローンの残債があると手続きが複雑化するため、買取価格にもマイナスの影響を与える可能性が非常に高いです。
すぐにでも共有持分を売りたい場合は任意売却を検討すべきですが、急ぎでないなら住宅ローンを完済してから持分を売却することも検討してみてください。
ローンを完済していない不動産を、金融機関の了承を得て売却すること。
7.隣地との境界標の有無
共有不動産と隣地との境界が明確かどうかも査定ポイントの1つです。
先祖から代々受け継がれてきた古い土地は、隣地との境界が確定していないことがあります。
土地の境界が未確定のまま土地を売却すると、境界標の位置を巡って隣地所有者とトラブルに発展する可能性があります。このようなリスクを抱えていることから、隣地との境界標がない不動産は買取価格が安くなりやすいです。
境界標がない場合の対策として、土地家屋調査士や測量士などに依頼して隣地との境界を確定させる方法があります。しかし、境界線を確定するための費用は高額になることがあり、さらに自分で支払わなければなりません。
費用が気になるなら、まずは買取業者に相談してみましょう。買取業者であれば境界線の確認が依頼内容に含まれていることも多く、余計なコストをかけずに済む可能性があります。
共有持分はどのように査定する?査定方法4つ
共有持分の査定方法は以下の4つです。
- 机上査定
- 訪問査定
- 不動産鑑定士査定
- AI査定
それぞれ解説します。
1.机上査定
共有持分を査定する方法の1つは「机上査定」です。
その名のとおり、現地を直接確認せず以下のようなデータをもとに不動産の価値を査定する方法で「簡易査定」ともいう。無料で利用できる。
・似た物件の成約価格や販売価格
・路線価、固定資産税評価額
・景気の動き
データだけで金額を出せる分スピーディーな査定が可能ですが、現地を確認しないため正確な数字が出ない点はデメリットといえるでしょう。
また、特殊な物件だと「似た物件」があまりなく、査定自体が困難な場合もあります。正確に査定してもらうには、実際に物件を見て判断する「訪問査定」や不動産鑑定士が行う「不動産鑑定士査定」を受ける必要があるでしょう。
2.訪問査定
前述した机上査定のようにデータだけを頼りに査定するのではなく、不動産会社が実際に現地を訪問して査定する「訪問査定」という方法もあります。
以下のような点を確認したうえで金額を出すため、机上査定よりも精度の高い査定が可能です。
- 建物の状態(築年数・外装・内装)
- 土地の状態(形状・日当たり・眺望・境界)
- 都市計画や前面道路・ライフラインの整備状況
- 近隣トラブルの有無
ただし、訪問日当日は売主の立ち会いが必要です。無料で利用できますが、立ち会いのための時間を確保したり、当日に向けて簡単に掃除したりといった負担が生じます。
また、査定結果が出るまでに1週間程度かかります。
3.不動産鑑定士査定
より正確な査定を希望するなら、「不動産鑑定士」が共有持分の価値を査定する「不動産鑑定士査定」を検討するとよいでしょう。
不動産を鑑定し、適正に評価する専門家。不動産の鑑定は、国家資格を取得し不動産鑑定士協会に登録した不動産鑑定士しか行えない。そのほか、不動産の活用方法についてのコンサルティング業務も行う。
不動産鑑定士査定を行う際は、不動産鑑定士が現地を直接訪問して不動産の状態を調べ、「不動産鑑定評価書」を作成します。
不動産鑑定評価書は「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づいて作成される信頼性の高い書類です。不動産の適正な価格がわかるため、複数の業者に査定してもらう必要はありません。
ただし、査定に費用や時間がかかる点には注意が必要です。依頼する事務所によっても異なりますが、費用は20〜50万円程度かかり、鑑定結果が出るまでに2週間〜1カ月程度の時間を要します。
4.AI査定
AIを用いて共有持分を査定する「AI査定」というものもあります。
過去の取引データを参考に、人工知能が不動産を査定する方法。フォームに必要事項を入力するだけで手軽に査定額が確認できる。ただし、他の方法と比較すると精度は落ちる。
ツールによって、匿名で利用できるものや名前や連絡先を入力する必要があるものなどさまざまです。正確な査定はできないためあくまでも目安ですが、買取業者や不動産会社に相談する前に自分で参考金額を確認できるのはメリットといえるでしょう。
共有持分を少しでも高く売却するためのテクニック
共有持分の売却を検討している場合、「少しでも高値で売却したい」と考える人は多いでしょう。共有持分を少しでも高く売却したいときは、以下のテクニックを実践してみてください。
- あらかじめ不動産の市場価格を確認しておく
- 他の共有者との権利関係をクリアにする
- 他の共有者との関係を良好にする
- 他の共有者と協力して売却する持分割合を増やす
- 複数の業者に査定をしてもらい査定額を比較する
なお、それぞれのテクニックは、あくまでも「共有持分を高く売却できる可能性がある方法」です。そのため、「テクニックを実践すれば絶対に共有持分を高く売れる」とは限りません。
とはいえ、実践しない場合よりも共有持分を高値で売却できる可能性が高まるのは確かです。共有持分を売却するのであれば、可能な限りテクニックを実践してみるとよいでしょう。
あらかじめ不動産の市場価格を確認しておく
共有持分を売却する前に、不動産の市場価格を確認しておくことが大切です。通常どの程度の金額で取引されるのかを把握しておけば、悪質な業者から不当な金額を提示されたときに「適切な金額ではない」と気づけます。
なお、不動産の市場価格は「不動産ポータルサイト」で確認できます。自分が所有している不動産と、建物の築年数や面積、立地といった条件が近い物件を検索し、控えておきましょう。
そのほか、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」を利用するのもおすすめです。
他の共有者との権利関係をクリアにする
共有持分を売却する際には、「共有者が誰なのか」「共有者それぞれの持分割合はどの程度なのか」を明確にしておきましょう。権利関係が複雑化し、共有者や持分割合を把握できない場合、買取を避けられることがあるためです。
たとえば、親が購入した不動産を子ども2人で相続した場合、共有者や持分割合は明確です。このようなケースであれば共有者や持分割合の調査などでコストがかからないため、権利関係が原因で買取価格を下げられることはないでしょう。
しかし相続が何世代かにわたって発生しており、共有者の人数が把握しきれないほど増えていると、共有者を調査するだけでも多くのコストが発生します。調査費用が買取価格から差し引かれるか、そもそも買取を断られる可能性があります。
共有持分の買取価格を下げたくないなら、司法書士や行政書士などの専門家に調査を依頼し、事前に権利関係をクリアにしておくことが大切です。
他の共有者との関係を良好にする
他の共有者との関係を良好にしておくことも、共有持分を高く売却するための重要なポイントです。
買取業者が共有持分を買い取る目的の1つは、共有不動産全体を活用して利益を得ることです。共有不動産全体を活用するためには、他の共有者からも共有持分を買い取る必要があり、交渉にコストがかかります。
すでに他の共有者とトラブルに発展している場合、共有持分を買い取ったあとの労力が予測されるため、買取価格が相場よりも低くなる傾向にあります。
しかし、他の共有者と良好な関係を築いておけば、買い取り後のトラブルを回避でき、交渉もスムーズに進めやすいでしょう。共有持分を高値で買い取ってもらうためには、他の共有者との関係をできるだけ良好にしておくことをおすすめします。
他の共有者と協力して売却する持分割合を増やす
他の共有者と協力し、売却する持分割合を増やすことも高値で売却するためのテクニックの1つです。他の共有者と協力して共有持分の売却をすれば、1人で売却するよりも持分割合が増え、共有不動産に対して単独で行える行為も増える可能性があるためです。
共有持分は扱いが難しいため、他の共有者の中にも売却を検討している人がいるかもしれません。良好な関係の人がいるなら、協力してもらえないか話を持ちかけてみてもよいでしょう。
なお、他の共有者と協力して共有持分を売却する方法は以下の2つです。
- 自身が他の共有者から共有持分を買い取ったあとに売却する
- 他の共有者と一緒に共有持分を売却する
他の共有者から共有持分を買い取ったあとに売却する方法であれば、業者との交渉次第では買取価格よりも高値が付く可能性があります。
しかし、共有持分の売却で利益が出たことをその共有者に知られると、トラブルに発展してしまうかもしれません。他の共有者との関係性を悪化させたくない場合は、一緒に共有持分を売却する方法がおすすめです。
複数の業者に査定をしてもらい査定額を比較する
共有持分専門の買取業者に売却する際は、複数の業者に査定を依頼することをおすすめします。1社だけで見積もりを取っても、その金額が適正価格かどうかの判断は難しいためです。
複数の業者に査定を依頼すれば、簡単に買取価格を比較できます。また、買取業者に「他の業者にも査定依頼をしている」旨を伝えることで、買取金額を上乗せしてもらえる可能性もあります。
少しでも共有持分を高く売りたい場合は、複数の買取業者に査定依頼をし、買取価格を比較してみてください。
共有持分は「専門の買取業者」に売却するのがおすすめ
共有持分は「共有持分専門の買取業者」に売却するのがおすすめです。一般的な不動産会社では買取りを断られることのある共有持分でも、専門の買取業者なら問題なく買い取ってくれる可能性が高いためです。
そのほか、下記のようなメリットもあります。
- 最短数日程度で共有持分を現金化できる
- 仲介手数料がかからない
- 他の共有者に知られずに売却できる可能性がある
- すでにトラブルが発生していても買い取ってもらえる場合がある
- 一般的な不動産会社よりも高値がつく傾向にある
前述したように、共有持分は一般の人に売却するのが難しく、基本的には「買取業者のような第三者」か「他の共有者」が売却先となります。
他の共有者に売却するのもよいですが、「買い取れるほどの資金を有している」「交渉できるほどの関係性が築けている」ことが前提条件になるため、ハードルが高いケースもあるでしょう。
また、買取業者であれば、トラブルを抱えている物件でも買い取ってくれる可能性があります。ここでは、買取業者に依頼するメリットについて詳しく解説します。
最短数日程度で共有持分を現金化できる
共有持分専門の買取業者なら、最短数日程度で共有持分を現金化できます。
提示された売却価格に納得さえできれば売却が可能であるためです。買取業者によって売却までの期間は異なりますが、一般的には数日〜1カ月程度が目安といわれています。
共有持分は活用が難しいため、一般層からの需要はほぼありません。第三者に買い取ってもらう場合は不動産投資家や不動産業者などが候補にあがりますが、単独名義の不動産よりも買い手は見つかりにくいでしょう。
実際、仲介業者に売却先を探してもらったものの、「長期間にわたって買い手がつかない」というケースも珍しくありません。「共有持分をすぐにでも現金化したい」「共有状態から今すぐ抜け出したい」というときは、共有持分専門の買取業者に依頼するとよいでしょう。
仲介手数料がかからない
仲介手数料がかからない点も、共有持分専門の買取業者に依頼するメリットの1つです。
仲介業者に買い手を探してもらって第三者に共有持分を売却する場合は、仲介手数料が発生します。仲介手数料の上限額は、不動産の売却価格によって下記のように異なります。
売却価格 | 仲介手数料 | 上限額の計算式 |
---|---|---|
200万円以下 | 売却価格の5%以内 | 売却価格×5% |
200万円以上、400万円以下 | 売却価格の4%以内 | 売却価格×4%+2万円 |
400万円以上 | 売却価格の3%以内 | 売買価格×3%+6万円 |
たとえば共有持分の売却価格が2,000万円なら、以下の金額が仲介手数料の上限額です。
一方、買取業者に依頼すれば共有持分を直接買い取ってもらえるため、仲介手数料はかかりません。余計な出費を抑えて共有持分を売却したいときは、買取業者への依頼が適しているでしょう。
他の共有者に知られずに売却できる可能性がある
共有持分専門の買取業者に依頼すると、他の共有者に内緒で売却できる可能性があります。買取業者は仲介業者のように一般向けの広告を出す必要がなく、他の共有者に売却を計画していることが知られにくいためです。
仲介業者に依頼して共有持分を売却する場合、買い手を探すためにインターネットや紙媒体などに広告を掲載します。
もし他の共有者に広告が見つかると、共有持分の売却を計画していることを知られてしまい、トラブルに発展する可能性があります。たとえば、「なぜ勝手に売却しようとしているのか」と問い詰められたり、「自分に売却して欲しい」と強く頼まれたりなどです。
誰にも知られず共有持分を売却したい場合や、他の共有者とのトラブルを避けたいときは、買取業者への依頼を検討するとよいでしょう。
すでにトラブルが発生していても買い取ってもらえる場合がある
共有持分専門の買取業者に依頼した場合、すでにトラブルが発生している物件でも買い取ってもらえる可能性があります。弁護士をはじめとした士業と連携している買取業者も多く、トラブルに対応できる体制が整っているためです。
ただし、買取業者であればどこに依頼しても対応してもらえるとは限らない点に注意が必要です。依頼するなら、士業とつながりのある業者を選びましょう。
株式会社クランピーエステートなら、不動産トラブルに強い士業事務所と連携しています。ぜひお気軽にご相談ください。
一般的な不動産会社よりも高値がつく傾向にある
共有持分専門の買取業者なら、一般的な不動産会社よりも共有持分を高く買い取ってくれる傾向にあります。
一般的な不動産会社は共有持分の扱いに慣れていないことが多く、そもそも買い取ってくれないケースも珍しくありません。他の共有者とトラブルになっている物件ならなおさら嫌がられるでしょう。
しかし優良な買取業者であれば、共有持分の対応に慣れており状況に応じて士業との連携もとれるため、トラブルが起きていてもスムーズに対応できます。買取業者の中には悪質な業者もいますが、優良な買取業者に依頼すれば高い確率で買い取ってもらえるでしょう。
悪質な買取業者に売却した場合のトラブルについては次章で解説します。また、信頼できる買取業者を探すためのポイントについては「トラブルにならないためには?信頼できる買取業者を探すための3つのポイント」で解説しています。ぜひ参考にしてください。
悪質な専門業者に売却するとトラブルが起きるおそれがある
優良な買取業者がいる一方で、悪質な業者も存在します。
悪質な買取業者に売却した場合に起きる可能性のあるトラブルは以下のとおりです。
- 共有持分を買い取ったあと、他の共有者に対して強引に営業する
- 共有物分割請求を起こす
- 他の共有者に対して賃料を請求する
- 他の共有者の持分を不当に安い金額で買い取る
このようなトラブルが発生するおそれがあるため、業者選びは慎重に行う必要があるでしょう。
共有持分を買取業者に売却した場合のトラブルと業者の選び方については以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。
トラブルにならないためには?信頼できる買取業者を探すための3つのポイント
共有持分の売却でトラブルにならないためには、信用できる買取業者を探す必要があります。
信用できる買取業者を探すためのポイントは以下の3つです。
- 買取業者の実績を確認しておく
- 弁護士と連携しているか確認する
- 無料相談で担当者の対応をチェックする
それぞれ解説します。
1.買取業者の実績を確認しておく
信頼できる買取業者を探すためには、買取業者の実績を確認することが重要です。豊富な実績を持つ買取業者なら共有持分の売買について熟知しており、トラブルを解決へと導くための手腕があると考えられるためです。
また、実績のある業者なら、時間やコストをかけずに現金化できる可能性があります。その分買取価格も期待できるでしょう。
注意が必要なのは、買取実績を公開していない買取業者に依頼する場合です。実績を公開していない=実績が少ないケースが多いためです。
共有持分の取り扱いに慣れておらずトラブルになるおそれがあるため、実績を確認したうえで依頼するかどうか決めることをおすすめします。
2.弁護士と連携しているか確認する
依頼前に、弁護士と連携しているかどうかを確認しましょう。弁護士や司法書士といった士業と連携がとれないと、共有者との間でトラブルが起きた場合に対応しきれない可能性があるためです。
買取後に起きたトラブルを買取業者が収められず、裁判沙汰になるケースも考えられます。
また、士業と連携している業者であれば、書類の作成や登記手続きなどの手続きがワンストップで行えます。依頼者自身が手続きや士業の手配をせずに済むため、解決までスムーズにすすめられるでしょう。
3.無料相談で担当者の対応をチェックする
無料相談の中で、担当者の対応をチェックすることも重要です。悪質な買取業者の担当者は会社の利益や自分の成績しか考えておらず、そのような姿勢が態度に滲み出ることがあるためです。
担当者に以下のような特徴があるなら、契約を考え直したほうがよいかもしれません。
- 質問に対して曖昧にしか答えてくれない
- メリットしか伝えてこない
- 誠実さを感じない・うさんくさい
一般の人であれば、不動産の売却はそう何度も体験することではありません。そのため不安もあるでしょう。にもかかわらず、質問に対して曖昧にしか答えてくれないような担当者は、とても信用できるとはいえません。
また、メリットだけ伝えてデメリットをまったく伝えない担当者も要注意です。共有持分の売買に限らず、何ごとにおいても「メリットしかない」ということはありません。デメリットも伝えてこそ「誠実な対応」といえるでしょう。
また、「信用できない」と感じたときも、直感に従ったほうがよいかもしれません。ほかの担当者にも同じような印象を持つのであれば、その買取業者自体やめておいたほうがよい可能性があります。
共有持分を買取業者に売却する流れ
共有持分を買取業者に売却する際の流れは以下のとおりです。
流れに沿って解説します。
1.査定依頼を出す
買取業者に共有持分を売却するには、まず査定を依頼する必要があります。査定結果に問題がなければ、同意したうえで下記の書類を提出します。
- 権利証または登記識別情報
- 身分証明書
- 印鑑証明書(3ヶ月以内に発行したもの)
- 実印
- 固定資産税評価額証明書
- 境界確定図+境界確認書(土地を売却する場合)
- 住民票(現住所と登記上の住所が異なる場合)
- 委任状(代理人に委任する場合)
権利証・登記識別情報は、共有持分を取得する際に法務局から発行されています。もし紛失してしまった場合、再発行はできませんが代わりの方法を提案してもらえます。買取業者に相談しましょう。
固定資産税評価額証明書や住民票、印鑑証明書は市区町村役場の窓口や地区センターなどで発行可能です。自治体によってはコンビニでも取得できますが、対応しているかわからなければ市区町村役場に確認してみましょう。
境界確定図と境界確認書(境界確定書)は、土地を売却するときに必要です。土地の境界が確定しているならあるはずですが、見当たらない場合やそもそも境界が確定しているかどうかわからないときは、市区町村役場で調べられます。
境界が確定していなくても、売却自体は可能です。ただし、売却金額が下がる可能性があります。
なお、手続きを代理人に依頼するなら委任状が必要です。委任状のひな形や注意点については以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。
2.売買契約を結ぶ
必要書類を提出したあとは、買取業者と売買契約を結びます。契約書の内容を確認し、問題がなければ署名押印をして売買契約を成立させましょう。
不動産を売買する際は、宅地建物取引業法によって「不動産売買契約書」の作成が義務づけられています。売買契約書には買取価格や引き渡し時期などの合意内容が記載されており、後々のトラブルを防止する役割を担っています。
「不利な内容が書かれていないか不安」「このまま契約していいかわからない」というときは、弁護士や司法書士に売買契約書をチェックしてもらうのがおすすめです。専門家に太鼓判を押してもらうことで、安心して取引できます。
3.決済後に「持分移転登記」を申請する
売買契約成立後、契約内容に従って買取業者から入金があります。入金が確認できたら「持分移転登記」の手続きを進めましょう。
共有持分の所有権を売主から買主に移すための手続きのこと。以下の書類を揃え、不動産の所在地を管轄する法務局に申請する。法務局の状況にもよるが、問題がなければ1〜2週間で完了する。
・登記申請書
・登記原因証明情報(売買契約書)
・権利証書または登記識別情報通知
・固定資産税評価証明書
・印鑑証明書
登記の申請は自分でもできますが、慣れていないと難しく感じるかもしれません。買取業者に依頼する場合は買取業者が主体となって進めてくれるため、業者に不明点を相談しながら手続きを行えます。
持分移転登記の費用については、以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。
4.確定申告のために譲渡所得税を算出しておく
確定申告が必要なら、譲渡所得税を算出しておきましょう。
共有持分を売却した場合、譲渡所得税の支払いが必要なケースがあります。譲渡所得税が発生すると「売却した翌年の2月16日〜3月15日」に確定申告を行わなければならないため、忘れないようにしましょう。
不動産を売却し、利益を得た場合に発生する税金のこと。利益が出なければ課税されないため、譲渡所得税の支払いも確定申告も必要ない。
共有持分の譲渡所得税を計算する際は、まず「譲渡所得」を求めます。計算方法は以下のとおりです。
例を1つ見てみましょう。
・売却金額:1,500万円
・譲渡費用:100万円
上記のケースの譲渡所得は以下のように計算します。
譲渡所得税は、譲渡所得に一定の税率をかける必要があります。税率は不動産の所有期間によって以下のように変動します。
所有期間 | 税率 |
---|---|
5年超 (長期譲渡所得) |
20.315% 【内訳】 ・所得税:15.315%(復興特別所得税2.1%を含む) ・住民税:5% |
5年以下 (短期譲渡所得) |
39.63% 【内訳】 ・所得税:30.63%(復興特別所得税2.1%を含む) ・住民税:9% |
たとえば譲渡所得が400万円で所有期間5年以下のケースなら、譲渡所得税は「400万円×39.63%=158万5,200円」です。
なお、買取業者であれば、共有持分の売却によって必要な譲渡所得税や確定申告に関する手続きを相談できるのが一般的です。買取業者に売却する場合、譲渡所得税や確定申告についても相談することをおすすめします。
参照:No.3208 長期譲渡所得の税額の計算|国税庁
参照:No.3211 短期譲渡所得の税額の計算|国税庁
買取業者に売却した共有持分はどうなる?
買取業者に売却した共有持分は、以下のような方法で売却される可能性が高いです。買取業者にとって、一部の共有持分だけを所有するメリットはあまりないと考えられるためです。
- そのまま不動産投資家に売却される
- 買取業者が他の共有者からも持分を買い取り、共有不動産全体を売却する
一方、売主は共有関係から脱却し、共有不動産とは一切関係がなくなります。共有者の中には、「勝手に売却した」と気を悪くする人がいるかもしれませんが、自分の持分を売却するのに他の共有者の意思は関係ありません。
また、弁護士や司法書士と提携を結んでいる買取業者なら、士業と連携して交渉にあたるため他の共有者とトラブルにならないよう配慮してくれるでしょう。
ぜひ「信用できる」と思える買取業者を見つけ、共有持分の問題を解決してください。
まとめ
共有持分の売却相場について解説しました。
共有持分の売却相場は、市場価格の3割〜5割ほど値下がりした金額といわれています。
ただし、物件の条件や共有者の状況などから総合的に判断されるため、「◯◯円で売却できる」と断言できません。また、売却先によっても売却相場が変わります。
たとえば買取業者のような第三者であれば「市場価格×持分割合×1/2〜1/3程度」が目安ですが、他の共有者であれば「不動産全体の市場価格×持分割合」が目安になります。
共有持分の売却相場を知りたいときは、検討している売却先に合わせて目安となる金額を計算するとよいでしょう。
なお、一般の人には売却が難しいうえ共有者が必ず買い取ってもらえるとは限らないため、共有持分の売却は「共有持分専門の買取業者」に相談するのがおすすめです。
「最短数日程度で売却できる」「他の共有者に知られずに済む可能性がある」といったメリットがあるため、買取業者への売却も視野に入れておくとよいでしょう。
共有持分の売却に関するよくある質問
共有持分は共有者に同意がなくても売却できますか?
共有持分は、他の共有者の同意なく売却できます。しかし、共有者によっては内緒で売却したことを良く思わない可能性があります。今後のトラブルを防ぐためにも、可能であれば共有者に売却すること自体は伝えておくのが無難です。
不動産会社や買取業者に断られた共有持分は売却できないのでしょうか?
買取を断られた共有持分でも、絶対に売却できないわけではありません。「共有持分の専門買取業者」であれば、良い結果が得られることが多いです。
共有持分の売却で費用はかかるのでしょうか?
共有持分の売却には、以下の費用がかかります。
- 登記手続きの費用
- 専門家に依頼した場合の費用
- 譲渡所得税などの税金
ただし、ケースによってかかる費用は異なるため、前もって売却先に相談しておくことをおすすめします。