共有持分の売却相場を徹底解説!実際の買取事例や実際の買取事例や査定ポイントも解説

共有持分の売却相場を知りたい!査定ポイントや業者も選び方も解説

不動産の共有持分を所有しているものの、「使い道が少ない」「他の共有者とのトラブルを防ぎたい」などの理由で自分の持分を売却したいと考えている方も多いのではないでしょうか。その場合、「共有持分のみの場合、売却相場はどれくらいなのだろう」のように考えることでしょう。

共有持分の買取価格は物件の条件や共有者の状況などから総合的に判断されるため、明確な売却相場は一概にいえません。

とはいえ、活用がしづらいことから需要が低くなるのが一般的であるため、共有持分の売却相場は市場価格よりも安くなりやすいです。あくまでも目安にすぎませんが、共有持分の売却相場は市場価格の3割〜5割ほど値下がりするといわれています。

また、売却先によって共有持分の売却相場は変わり、ほかの共有者であれば「不動産全体の市場価格×持分割合」、買取業者などの第三者であれば「市場価格×持分割合×1/2~1/3」が目安になります。

そのため、共有持分の売却相場を知りたい場合、まずは売却先を決めたうえで、それに応じた目安を確認しておくのがよいでしょう。

当記事では、共有持分の売却相場の徹底解説をテーマに、売却先に応じた売却相場や実際の買取事例、買取業者の査定ポイントなどを解説していきます。

なお、「他の共有者との権利関係を明確にしておく」「複数の業者に査定をしてもらう」といった対策をとることで、共有持分の売却価格が高くなる可能性があります。当記事では、共有持分を少しでも高く売却するためのテクニックも解説するため参考にしてみてください。

目次

共有持分の売却相場は市場価格よりも安くなりやすい

前提として、不動産の売却価格はその物件の需要の高さによって変動するのが一般的です。たとえば、立地や状態がよい不動産は需要が高くなるのが一般的であり、売却価格も高くなると予測されます。

共有持分の場合、他の共有者との権利関係があるため、扱いが通常物件よりも複雑になりやすいです。また、そもそも物件の一部の所有権であるため、共有持分の売却相場は市場価格よりも低くなるのが一般的です。

立地や築年数などの物件の条件をもとに実際の売却金額が決定されるため一概にはいえませんが、共有持分の売却相場は市場価格の3割〜5割ほど値下がりするともいわれています。

なお、共有持分の売却相場が安くなりやすい理由には、下記が挙げられます。

  • 共有持分を購入しても自由に活用できないから
  • 他の共有者とのトラブルに巻き込まれる可能性があるから

ここからは、共有持分の売却相場が安くなりやすい理由をそれぞれ解説していきます。

共有持分を購入しても自由に活用できないから

共有持分を購入しても、共有不動産の全体を活用できるわけではありません。民法で定められているように、共有持分の不動産を活用するためには、使用方法に応じて共有者から同意を得る必要があります。

使用方法 必要な共有者数 使用例
変更行為
処分行為
共有者全員の同意 売却・建て替え・解体・登記申請など
管理行為 共有者の過半数(共有持分価格の過半数)の同意 賃貸借契約・賃料改定・大規模修繕など
保存行為 共有者単独 修繕・法定相続・不法占拠者に対する明け渡し請求など

「変更」に該当するような行為をするには、共有者全員からの同意が必要です。

たとえば、「建物が古くなっているからリフォームしたい」という提案を出したとします。リフォームは変更行為に該当するため、共有者のうち1人でも反対する人がいればリフォームの実行はできません。

また、「管理」の場合、共有者の過半数から同意を得られれば実行が可能です。賃貸借契約や賃料改定の同意、経年劣化を防ぐ目的の大規模修繕などが該当します。

このように、共有持分を購入しても自由に単独で活用することは認められていないことから、需要が低くなりやすく、売却相場は安くなるのが一般的です。

他の共有者とのトラブルに巻き込まれる可能性があるから

前述したように、共有不動産全体を管理・変更する場合、他の共有者から同意を得なければなりません。必ずしも共有者から同意を得られるわけではなく、共有不動産の管理・変更においては共有者同士でトラブルが起きることも少なくないのです。

具体的なトラブルの事例は以下のとおりです。

  • 不動産の管理や変更についての意見が一致せず話し合いが長引いてしまう
  • 維持管理費や固定資産税を誰がどの程度負担するのかで揉める

共有持分の不動産を売却したり建て替えたりなど、変更行為や処分行為をするためには共有者全員の同意が必要です。共有者のうち1人でも売却や処分に同意をしない人がいれば、変更行為や処分行為を実行できません。

このように、共有不動産を活用したくても全員の意見が一致せず、話し合いが長引いてしまうようなトラブルに発展するケースがあります。

また、共有不動産を所有している場合、その物件の維持管理費や固定資産税は共有者全員が負担しなければなりません。負担する金額は基本的に共有者間で決めるのですが、誰がどの程度の費用負担するのかでトラブルになることも少なくありません。

このように、共有持分を所有するとトラブルに巻き込まれてしまい、場合によっては利益が全く得られないという結果に終わってしまうこともあります。

共有持分には対価に見合わないリスクが付きまとうため、単独名義の不動産よりも価値が低くなるのは当然といえるでしょう。

共有持分の売却相場は売却先によって変わるのが一般的

共有持分の売却相場は、売却先によって変わります。

そもそも、共有持分の売却先になるのは、「ほかの共有者」「買取業者のような第三者」が一般的です。詳しくは後述しますが、仲介などで一般の人は共有持分の売却先にならないと考えられます。

そして、共有持分の売却相場は、共有者と第三者のどちらに売却するかによって変わるといわれています。

  • 買取業者のような第三者:市場価格×持分割合×1/2~1/3が目安
  • ほかの共有者:不動産全体の市場価格×持分割合が目安

簡単にいえば、一般的にはほかの共有者であれば第三者よりも共有持分を高く売却できるのです。

ここからは、売却先ごとの共有持分の売却相場をそれぞれ解説していきます。

買取業者などの第三者に売却するなら「市場価格×持分割合×1/2~1/3」が目安

前述したように、共有持分は通常物件よりも売却相場が低くなるのが一般的です。単純に共有不動産の市場価格に持分割合をかけた金額が売却金額の目安になるかと考えるかもしれませんが、その金額よりも低くなると予想されます。

あくまで目安にすぎませんが、共有持分を買取業者などの第三者に売却する場合は市場価格の1/2~1/3程度になるといわれています。そのため、買取業者などの第三者に売却する場合の買取相場は、下記の式で算出できます。

市場価格×持分割合×1/2~1/3

たとえば、3,000万円の共有不動産を所有しており、持分割合が1/3の場合を想定します。この場合で買取業者に共有持分を売却した場合、売却相場は300万円〜500万円が目安になります。

ほかの共有者に買い取ってもらうなら「不動産全体の市場価格×持分割合」が目安

共有持分は、ほかの共有者に売却することも可能です。共有者によっては共有持分をむしろ買い取りたいケースもあり、その人に対してであれば市場価格と同等の価格で売却できるのが一般的です。

共有不動産における持分割合の過半数を超えている場合、その不動産をどのように使用するかを決定する権利があります。基本的に共有不動産の使用方法を決定するには共有者の半数からの同意が必要ですが、1人の共有者だけで過半数を超えているなら単独で決定ができるのです。

そのため、自身の共有持分を買い取ることで持分割合が過半数を超える共有者であれば、第三者に売却するよりも高い価格で売却できると考えられます。

あくまで目安にすぎませんが、共有持分を共有者に売却する場合の相場は、下記の式で算出できます。

不動産全体の市場価格×持分割合

たとえば、3,000万円の共有不動産を所有しており、持分割合が1/3の場合を想定します。この場合でほかの共有者に共有持分を売却した場合、売却相場は1,000万円が目安になります。

一般の人にはそもそも共有持分を売却するのが難しい

「仲介では共有持分を売却できないのか」のように考える人もいるかもしれませんが、基本的には難しいといえます。

仲介で不動産を売却する場合、基本的に買い手は一般の人になります。前述したように、共有持分は権利関係が複雑であり、自由に活用できるものではないため、一般の人からの需要は低くなるのが基本です。

そもそも共有持分は一般の人に売却するのが難しいため、基本的には共有者か買取業者に売却することを検討するべきといえます。

共有持分の売却相場は実際の買取事例からもつかめる

共有持分の売却相場を解説してきましたが、実際の売却金額は物件の条件や共有者との関係性、持分割合などによって変わります。そのため、売却相場だけを参考にしておくと、実際の共有持分の売却価格と大きな差が出てしまう可能性もあります。

共有持分の売却相場は実際に業者が買い取った事例からもつかめるため、共有持分の売却を検討している場合は買取事例を確認しておくのも得策です。

ここからは、当社株式会社クランピーエステートが実際に共有持分を買い取った事例を紹介していきます。共有持分の売却価格を調べたい場合には参考にしてみてください。

ほかの共有者と交流がない共有持分を470万円で買取した事例

地域 東京都
共有者の人数 4人(親族)
物件種別 一戸建て
買い取った持分割合 戸建ての土地と建物の1/4
買い取った金額 470万円

東京都にある戸建ての土地と建物の共有持分を買い取った事例です。持分割合は1/4で470万円での買取となりました。

この売主様は相続によって共有持分を取得したようで、共有不動産に居住している人や他の共有者とはまったく交流がなく、手紙も無視されている状態だったようです。

このような買取事例もあるため、ほかの共有者と交流がない共有持分であっても売却できる可能性はあるといえます。

ローン残債がある共有不動産の共有持分を1,500万円で買取した事例

地域 神奈川県
共有者の人数 2人(夫婦)
物件種別 マンション
買い取った持分割合 マンションの1/2
買い取った金額 1,500万円

神奈川県にあるマンションの共有持分を買い取った事例です。

元夫である共有者は売却後もマンションに居住しており、ローン残債もある物件でした。好立地のエリアだったこともあり、1,500万円で共有持分を買取させていただきました。

このような買取事例もあるため、「ローン残債がある」「共有者が不動産に住んでいる」といった場合でも共有持分を売却できる可能性はあるといえます。

駐車場として利用している土地の共有持分を1億円で買取した事例

地域 大阪府
共有者の人数 4人(親族)
物件種別 駐車場
買い取った持分割合 駐車場の1/4
買い取った金額 1億円

大阪府にある駐車場の共有持分を買い取った事例です。売主様は急いで現金化をする事情がありましたのでスピーディーに対応させて頂きました。

この事例では1億円の買取とさせていただき、「土地のみの共有持分を売却したい」「急いで現金化したい」という場合も、共有持分を売却できる可能性はあるといえます。

共有持分の売却価格は査定で決まる!買取業者が確認している査定ポイント

共有持分の実際の売却金額は、売却を依頼した業者による査定で決定されます。査定の内容や基準については業者によって異なると予測されますが、一般的に共有持分の買取業者が確認している査定ポイントには下記が挙げられます。

  • 物件の立地条件
  • 築年数・構造など建物の条件
  • 持分の割合・共有者の人数
  • 不動産の居住者の有無
  • 建物のみ所有か土地・建物両方所有か
  • 住宅ローン残債の有無
  • 隣地との境界標の有無

ここからは、共有持分における買取業者が確認する査定ポイントについて、詳しく解説します。

物件の立地条件

物件の立地条件は、どのような不動産においても重要視されるポイントのひとつです。

築年数や間取りが同じ物件だとしても、利便性の高い都心と人口の少ない地方とでは、需要が全く異なるため売却価格にも差が出やすいです。また、洪水や土砂災害、津波など災害リスクの高い地域は、査定評価が低くなる傾向にあります。

他には、交通アクセスの環境が整備されているかどうかも評価されるポイントです。駅やバス停までの距離が近い物件の方が利便性が良いことから、査定評価も高くなります。

築年数・構造など建物の条件

築年数や構造など、建物の条件も査定において考慮されるポイントです。具体的な評価のポイントは以下のとおりです。

建物の条件 評価
築年数 築年数が新しい方が査定評価が高くなりやすい
構造 「鉄筋コンクリート造>鉄骨造>木造」の順に査定評価が高くなりやすい
面積 土地面積・建物面積が大きいほど査定評価が高くなりやすい
間取り 3LDKや4LDKなどの間取りは需要が高いため査定評価が高くなりやすい

基本的に、建物の築年数は新しい方が査定評価が高くなりやすいです。構造については、耐用年数の長さから鉄筋コンクリート造が最も評価される傾向にあります。

面積は、一般的に大きいほど査定評価が高くなります。ただし、面積が広くても三角形や台形などの特殊な土地である場合、通常の土地よりも活用が難しくなるため、査定にマイナスの影響を与える可能性があります。

間取りについては、3LDKや4LDKなどファミリー世帯で住みやすいタイプが人気であることから、査定評価も高くなりやすいです。

持分の割合・共有者の人数

共有持分の不動産を査定する際には、持分の割合や共有者の人数なども査定に影響を与えます。

たとえば、市場価格が8,000万円の共有物件を2人で共有している場合、1人あたりの持分割合は1/2になります。一方、共有者が10人いる場合は持分割合が1/10になるため、買取価格も必然的に下がってしまいます。

必ずしも共有者全員が均等な持分割合とは限りませんが、基本的には共有者の人数が少ない方が持分割合は多くなるものです。逆にいえば、共有者の人数が多ければ多いほど持分割合は少なくなるのが一般的です。

基本的に、共有者の人数が多いほど査定額は安くなるものと認識しておきましょう。

なお、共有者の人数が多く1人あたりの持分割合が少ない場合の対策として、他の共有者と共同で持分を売却する方法がおすすめです。共有者の人数も少なくなるうえに売却する持分割合が多くなるため、査定評価がアップする傾向にあります。

不動産の居住者の有無

相続などで共有不動産を引き継いだ場合、親族が居住しているというケースが多くみられます。

共有不動産に居住者がいると、売却やリフォームなど不動産の活用ができません。不動産を活用するためには立ち退き交渉の必要が生じてしまい、費用がさらにかかることから、買取価格が安くなる傾向にあります。

もしも居住者が立ち退き交渉に応じない場合、共有物分割請求で決着をつけなければなりません。

共有物分割請求は、共有状態の解消を求めることです。相手と話し合いの余地がありそうなら調停、話し合いが難しく早期解決をしたい場合は訴訟を起こし、共有状態の解消を目指します。

共有物分割請求が認められた場合は、主に以下のような方法で共有状態が解消されます。

方法 概要
価格賠償 居住者の単独所有とする代わりに、訴訟を提起した共有者に対価として金銭を支払う方法
現物分割 土地を切り分けてそれぞれの単独所有とする方法
換価分割 不動産を競売にかけて売却し、共有者同士で対価を分け合う方法

建物に居住者がいる場合、現物分割の方法を取るのは難しいため、価格賠償か換価分割のいずれかの判決になる可能性が高いでしょう。

建物のみ所有か土地・建物両方所有か

土地と建物の両方の共有持分を所有していれば、活用の幅が広がることから買取価格が高くなる傾向にあります。

反対に、共有持分が土地か建物のどちらかだけの場合、土地や物件を自由に扱えないことから、買取価格が安くなりやすいです。

たとえば、土地はAとB、建物はCとDが相続で引き継ぎ、1/2ずつの持分割合でそれぞれ所有しているとします。仮にAが土地の共有持分を売却しても、建物は他人名義になっているため、土地の扱いが非常に難しくなります。

土地や建物のみの共有持分でも売却自体は可能ですが、扱いの難しさから買い手がつかないケースも多いです。売却先が見つかったとしても、相場よりも買取価格が低くなりやすいでしょう。

買取価格を上げるためには、他の共有者から持分を買い取ったり、他の共有者と共同で持分を売却したりなどの対策が必要です。

土地と建物の両方の持分が揃っていれば売却先も見つかりやすくなるので、売却を検討している共有者がいるかどうか探してみてください。

住宅ローン残債の有無

住宅ローン残債のある共有持分を売却する際には、「抵当権抹消費用」が売却価格から差し引かれるため、通常よりも買取価格が安くなるのが一般的です。

抵当権とは、住宅ローンを利用して不動産を購入するときに、金融機関が土地や建物を担保にする権利のことです。住宅ローンの残債が残っている場合、金融機関からその不動産に対して抵当権が原則設定されています。

抵当権が設定されている状態で共有持分を売却するには、金融機関と交渉して抵当権設定の解除をしてもらい、任意売却の許可を得る必要があります。

このように、住宅ローン残債があると手続きが複雑化するため、買取価格にもマイナスの影響を与える可能性が非常に高いです。

すぐにでも共有持分を売りたい場合は任意売却を検討するべきですが、急ぎでない場合、住宅ローンを完済してから持分を売却することも検討してみてください。

隣地との境界標の有無

親世代から代々受け継がれてきた古い土地は、隣地との境界標がはっきりしていないというケースがあります。

土地の境界が不明瞭なままで土地を売却すると、境界標の位置を巡って隣地所有者とトラブルに発展する可能性があります。このようなリスクを抱えていることから、隣地との境界標がない不動産は買取価格が安くなりやすいです。

境界標がない場合の対策として、土地家屋調査士や測量士などに依頼して隣地との境界線を確定させる方法があります。しかし、境界線を確定するための費用は自分で支払わなければなりません。

費用負担が気になる場合は、まず不動産買取業者に相談してみましょう。不動産買取業者であれば境界線の確認が依頼内容に含まれていることも多く、余計なコストをかけずに済む可能性もあります。

共有持分を少しでも高く売却するためのテクニック

共有持分の売却を検討している場合、「少しでも高値で売却したい」のように考えるのが一般的でしょう。共有持分を少しでも高く売却したい場合、下記のテクニックを実践してみてください。

  • 他の共有者との権利関係をクリアにしておく
  • 他の共有者との関係を良好にしておく
  • 他の共有者と協力して売却する持分割合を増やしておく
  • 複数の業者に査定をしてもらい査定額を比較する

なお、それぞれのテクニックは、あくまで「共有持分の売却金額が高まる可能性がある方法」です。そのため、「テクニックを実践すれば絶対に共有持分を高く売れる」とは限りません。

とはいえ、テクニックを実践しない場合よりも共有持分を売却できる可能性を高められるため、共有持分を売却するのであれば、可能な限りテクニックを実践してみるのがよいでしょう。

他の共有者との権利関係をクリアにしておく

共有持分を売却する際には、「共有者が誰なのか」「共有者それぞれの持分割合はどの程度なのか」を明確にしておくのが得策です。権利関係が複雑化しており、共有者や持分割合が不明瞭な場合、買取を避けられる場合があるからです。

たとえば、親が購入した不動産を子ども2人で相続した場合、共有者や持分割合が明確です。共有者や持分割合の調査などでコストがかからないため、基本的には買取価格が下げられることはありません。

一方、相続が何世代かにわたって発生しており、共有者の人数が増えていると、共有者が誰なのかが不明瞭になります。

共有者を明確にするにはコストが発生するため、その費用が買取価格から差し引かれるか、そもそも買取を断られる可能性があります。

共有持分の買取価格を下げたくない場合は、司法書士などの専門家に依頼し、事前に権利関係をクリアにしておくことが大切です。

他の共有者との関係を良好にしておく

他の共有者との関係を良好にしておくことも、共有持分を高く売却するために重要なポイントです。

買取業者が共有持分を買い取る目的には、共有不動産全体を活用して利益を得ることが一つになるケースもあります。その場合、ほかの共有者からも共有持分を買い取る必要もあり、その際には交渉などでコストをかけなければなりません。

すでに他の共有者とトラブルに発展している場合、共有持分を買い取った後の労力が予測されるため、買取価格が相場よりも低くなる傾向にあります。

一方、他の共有者と良好な関係を築いておけば、買い取り後のトラブルを避けられ、活用方法の交渉などもスムーズに進みます。そのため、他の共有者との関係が良好であるほど、高値で買い取ってもらえると考えられます。

他の共有者と協力して売却する持分割合を増やしておく

共有持分は扱いが難しいため、他の共有者の中にも売却を検討している人がいる可能性もあります。

他の共有者と協力して共有持分の売却をすれば、1人で売却するよりも持分割合が増えるため、買取金額も高くなるのが一般的です。

なお、他の共有者と協力して共有持分を売却する方法は以下の2通りです。

  • 自身が他の共有者から共有持分を買い取った後に売却する
  • 他の共有者と一緒に共有持分を売却する

他の共有者から共有持分を買い取った後に売却する方法であれば、業者との交渉次第で買取価格よりも高値が付く可能性があります。

しかし、共有持分の売却で利益が出たことを他の共有者に知られると、トラブルに発展してしまうかもしれません。他の共有者との関係性を悪化させたくない場合は、一緒に共有持分を売却する方法がおすすめです。

複数の業者に査定をしてもらい査定額を比較する

共有持分専門の買取業者で売却する際には、複数の業者に査定を依頼しておくのが得策です。

1社だけで見積もりを取っても適正価格かどうかの判断は難しいですが、複数の業者に査定を依頼すれば、簡単に買取価格を比較できます。また、買取業者に「他の業者にも査定依頼をしている」という旨を伝えることにより、買取金額を上乗せしてもらえる可能性も0ではありません。

少しでも共有持分を高く売りたい場合は、複数の買取業者に査定依頼をし、買取価格を比較してみてください。

共有持分の売却先には専門の買取業者を選ぶのが一般的

前述したように、共有持分は一般の人に売却するのが難しく、基本的には「買取業者のような第三者」「ほかの共有者」が売却先となります。

他の共有者に売却するのも手ですが、「買い取れるほどの資金を有している」「交渉できるほどの関係性が築けている」というのが前提条件になります。共有者であれば誰でも買い取ってもらえるわけではないため、共有持分の売却先には専門の買取業者を選ぶのが一般的です。

共有持分専門の買取業者であれば、一般の人では活用が難しい共有持分であっても売却に期待できます。また、他にも下記のようなメリットもあります。

  • 最短数日程度で共有持分を買い取ってもらえる
  • 仲介手数料が不要である
  • 他の共有者に知られずに売却できる可能性がある
  • 既にトラブルを抱えた共有持分も買い取ってもらえる可能性がある

共有持分を専門とする買取業者であれば、トラブルを抱えている物件でも買い取ってもらえる可能性もあります。ここからは、共有持分専門の買取業者に依頼するメリットについて詳しく解説します。

最短数日程度で共有持分を買い取ってもらえる

共有持分は活用が難しいため、一般層からの需要はほぼありません。第三者に買い取ってもらう場合は不動産投資家や不動産業者なども候補にあがりますが、単独名義の不動産よりも買い手は見つかりにくいです。

そのため、共有持分の場合、仲介業者に売却先を探してもらっても長期間にわたって買い手がつかないというケースも珍しくありません。

一方、共有持分専門の買取業者に依頼する場合、提示された売却価格に納得さえできれば売却が可能です。買取業者によって売却までの期間は異なりますが、一般的には数日〜1か月程度が目安といわれています。

「共有持分をすぐにでも現金化したい」「共有状態からすぐに抜け出したい」といった場合、共有持分専門の買取業者に依頼するのが得策といえるでしょう。

仲介手数料が不要である

仲介業者に買い手を探してもらって第三者に共有持分を売却する場合は、仲介手数料が発生します。仲介手数料の上限額は、不動産の売却価格によって下記のように異なります。

売却価格 仲介手数料 上限額の計算式
200万円以下 売却価格の5%以内 売却価格×5%
200万円以上、400万円以下 売却価格の4%以内 売却価格×4%+2万円
400万円以上 売却価格の3%以内 売買価格×3%+6万円

たとえば共有持分の売却価格が2,000万円の場合、「2,000万円×3%+6万円=66万円」が仲介手数料の上限額となります。

一方、買取業者に依頼すれば共有持分を直接買い取ってもらえるため、仲介手数料はかかりません。余計な出費を抑えて共有持分を売却したい場合には、買取業者への依頼が向いています。

他の共有者に知られずに売却できる可能性がある

仲介業者に依頼して共有持分を売却する場合、買い手を探すためにインターネットや紙媒体などに広告を掲載することになります。

もしも他の共有者に広告が見つかると、共有持分の売却を計画していることを知られてしまい、トラブルに発展する可能性があります。たとえば、「なぜ勝手に売却しようとしているのか」と問い詰められたり、「自分に売却して欲しい」と強く頼まれたりなどです。

一方、買取業者に売却すれば一般向けの広告掲載はないので、他の共有者に売却を計画していることが知られるリスクは仲介よりも低いです。

誰にも知られず共有持分を売却したい場合や、他の共有者とのトラブルを避けたい場合は、買取業者への依頼を検討するのもよいでしょう。

既にトラブルを抱えた共有持分も買い取ってもらえる可能性がある

共有不動産は共有者同士で揉め事になるケースが多く、トラブルを抱えていることが原因で買い手が見つからないというケースも少なくありません。トラブルを抱えている場合、さらに共有持分の売却が難しくなります。

共有持分専門の買取業者の中には弁護士などの専門家と連携し、トラブルに備えている業者も存在します。トラブルに対するノウハウが豊富であることから、すでに問題を抱えている共有持分でも買い取ってもらえる可能性があります。

共有持分を買取業者に売却すれば共有名義から抜け出せるため、今後はトラブルに巻き込まれることもなくなります。共有持分を巡って揉め事が起きてしまった場合は、買取業者に依頼してトラブルの渦中から抜け出すのもよいでしょう。

共有持分を専門業者に売却するとトラブルが起きるリスクがある

共有持分を専門の買取業者に売却する場合、他の共有者とトラブルが起きる可能性があるため注意が必要です。

残念なことに、買取業者の中には自社の利益だけを考える悪質な業者も潜んでいます。悪質業者に共有持分を売却して起き得るトラブルには、下記が挙げられます。

  • 買取業者が他の共有者の持分買取を要求する可能性がある
  • 買取業者からの共有物分割請求が起こる場合がある

買取業者の目的は買い取った物件を活用することで利益を出すことであるため、共有者全員から共有持分を買い取って、不動産全体を所有することを視野に入れていることも考えられます。

その場合、「早朝や深夜に共有者の家へ訪問してくる」「嫌がらせ行為のように手紙を投函してくる」など、ほかの共有者に対して強引な営業が起こる場合があるのです。

また、共有持分を買取業者に売却すると、今後はその業者が新たに不動産の共有者として加わります。共有者には、共有状態を解消するための協議を請求できる「共有物分割請求」の権利があるため、その権利を行使して無理やり共有状態を解消しようとしてくる業者も潜んでいます。

最悪の場合は他の共有者に対して訴訟を起こして、共有状態の解消を請求されてしまう可能性もあり、ほかの共有者の生活に悪影響を与えてしまうリスクがあるのです。

共有持分の売却でトラブルを起こさないためにも信頼できる買取業者を探す

前述したように、共有持分を悪質な買取業者に売却すると、他の共有者の生活に支障が出るほどのトラブルが起きる可能性もあります。そのため、トラブルを起こさないためにも、共有持分を売却する場合は信頼できる買取業者を探すのが大切です。

信頼できる買取業者を探す際には、以下を重点的にチェックしてみてください。

  • 買取業者の実績を確認しておく
  • 弁護士と連携しているかを確認する
  • 無料相談などで担当者の対応を確認する

ここからは、信頼できる共有持分専門の買取業者を探し方について、それぞれ詳しく解説していきます。

買取業者の実績を確認しておく

買取業者の公式サイトには、買取実績が掲載されている場合があります。単純な話ですが、買取実績が豊富な業者であれば、その分利用者が多いと考えられ、トラブルが起きるような悪質な業者である可能性は低いと推測できます。

また、買取実績が豊富な業者であれば、共有持分を収益化するノウハウや十分な経験があるとも考えられ、共有持分の価値を正しく判断したうえで買い取ってもらえることにも期待できるのです。

弁護士と連携しているかを確認する

共有持分専門の買取業者の中には、弁護士と連携して業務を進めている業者もあります。

弁護士と連携している買取業者なら、他の共有者とのトラブルや複雑な事情がある不動産についても、法的知識で円滑に対応してもらえると考えられます。

そのため、弁護士と連携していない業者よりも、共有持分の買取でトラブルが起きる可能性を抑えられるともいえるのです。

無料相談などで担当者の対応を確認する

買取業者の中には、詐欺などをしている悪徳な業者も存在するため、査定価格だけで安易に業者を選ぶのは危険です。

たとえば、見積もりの際には高額査定を出したにもかかわらず、売却の直前になって大幅に値下げをされるなどの被害に遭うおそれもあります。

悪徳業者を見極めるためには、無料相談の際に担当者の対応を確認してみましょう。主なチェックポイントは以下のとおりです。

  • 親身に相談にのってくれるか
  • 査定額の提示などに明確な根拠があるか
  • 不利益なことでもはっきり回答してくれるか

他社よりも買取価格が高い場合は、査定の根拠を尋ねてみましょう。明確な根拠をはっきりと提示してくれれば、信頼できる業者であると判断する材料になります。

悪徳業者に騙されないためにも、複数の業者に無料相談をしてみて担当者の対応をしっかりとチェックしてください。

共有持分を買取業者に売却する流れ

共有持分を買取業者に売却する際の流れは、大まかに以下となります。

  1. 査定依頼を出す
  2. 売買契約を結ぶ
  3. 決済後に所有権移転登記をする
  4. 確定申告のために譲渡所得税を算出しておく

売却の流れを詳しく解説していくので、共有持分の売却を検討している方はぜひチェックしてください。

査定依頼を出す

買取業者に共有持分を売却するには、まず査定を依頼する必要があります。査定結果に問題がなければ、それに同意したうえで下記のような書類を提出します。

  • 権利証または登記識別情報
  • 身分証明書
  • 印鑑証明書(3ヶ月以内に発行したもの)
  • 実印
  • 固定資産税評価額証明書
  • 土地測量図と境界確認書(土地を売却する場合)
  • 住民票(現住所が登記簿上と異なる場合)
  • 委任状(代理人に委任する場合)

権利証または登記識別情報は、共有持分を取得する際に法務局から発行されています。もしも紛失してしまった場合は代わりの方法を提案してもらえるため、買取業者に相談してみてください。

固定資産税評価額証明書は役所の窓口やコンビニなどで発行が可能です。

売買契約を結ぶ

必要書類を提出した後には、買取業者と売買契約を結びます。

不動産の売買を行う際には、宅地建物取引業法によって「不動産売買契約書」の作成が義務付けられています。

売買契約書には買取価格や引き渡し時期などの合意内容が記載されており、後々のトラブルを防止する役割を担っています。

契約書の内容を確認し、問題がなければ署名押印をして売買契約を成立させましょう。

決済後に所有権移転登記をする

売買契約の成立後、契約内容に従って買取業者から入金があります。入金が確認できたら所有権移転登記の手続きを進めていきましょう。

所有権移転登記とは、共有持分の所有権を売主から買主に移すための手続きのことです。買取業者に依頼する場合、所有権移転登記は業者が主体となって進めてくれるため、業者に不明点を相談しながら手続きを行えます。

確定申告のために譲渡所得税を算出しておく

共有持分を売却する場合、譲渡所得税の支払いが必要なケースがあります。譲渡所得税が発生した場合、売却した翌年の2月16日〜3月15日までに確定申告が必要になるため忘れないようにしましょう。

共有持分の譲渡所得税を計算する際には、まず譲渡所得(共有持分の売却によって得られた利益)の計算が必要です。譲渡所得の計算方法は以下のとおりです。

買主から受け取った金額-(共有持分の取得費+譲渡にかかった費用)

たとえば、取得費1,000万円の不動産が1,500万円で売れた場合で、100万円の譲渡費用がかかったケースを想定します。このケースの譲渡所得は「1,500万円ー(1,000万円+100万円)=400万円」と計算できます。

譲渡所得税を算出するには、譲渡所得に一定の税率をかける必要があります。税率は不動産の所有期間によって変動し、下記のように定められています。

所有期間 所得税率
5年超 15%
5年以下 30%

譲渡所得が400万円で所有期間5年以下のケースであれば、譲渡所得税は「400万円×30%=120万円」と計算できます。

なお、買取業者であれば、共有持分の売却によって必要な譲渡所得税や確定申告に関する手続きを相談できるのが一般的です。共有持分を買取業者に売却する場合、譲渡所得税や確定申告についても相談しておくのが得策でしょう。

まとめ

共有持分の買取価格は物件の条件や共有者の状況などから総合的に判断されるため、「⚪︎⚪︎円で売却できる」のように断言はできません。あくまで一般的な目安ですが、有持分の売却相場は市場価格の3割〜5割ほど値下がりした金額といわれています。

ただし、共有持分の場合、売却先によって売却相場が変わります。買取業者のような第三者であれば市場価格×持分割合×1/2~1/3程度、ほかの共有者であれば不動産全体の市場価格×持分割合」が目安といわれています。

そのため、共有持分の売却相場を知りたい場合、検討している売却先に合わせた目安を把握しておくとよいでしょう。

なお、一般の人には売却が難しいうえに共有者が必ず買い取ってもらえるとは限らないため、共有持分の売却であれば基本的に専門の買取業者に相談するのが得策です。

「最短数日程度で売却できる」「ほかの共有者に知られずに済む可能性がある」といったメリットがあるため、共有持分専門の買取業者に売却することも視野に入れておくとよいでしょう。

共有持分の売却に関するよくある質問

共有持分は共有者に同意がなくても売却できますか?

共有持分は自身のみに所有権があるものです。自身だけに所有権があるのであれば、自由に売却できると民法でも認められています。とはいえ、今後のトラブルを防ぐためにも、可能であれば共有者に売却すること自体は伝えておくのが無難です。

不動産会社や買取業者に断られた共有持分は売却できないのでしょうか?

買取を断られている共有持分でも絶対に売却できないわけではありません。共有持分の専門買取業者であれば、良い結果が得られることが多いです。

共有持分の売却で費用はかかるのでしょうか?

登記手続きにかかる費用、専門家に依頼した場合の費用、譲渡所得税などの税金といった費用がかかると考えられます。他にも売却によってかかる費用は考えられるため、事前に売却先へ相談しておくのがよいでしょう。

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