共有名義の不動産相続で生活保護が終了?売却益が与える影響と対策を解説

共有名義の不動産相続で生活保護が終了?売却益が与える影響と対策を解説

生活保護を受給している方が不動産を相続することになった場合、「相続しても住み続けられるのか」「生活保護は打ち切られるのか」「相続した不動産は売却すべきか」といった不安や疑問を抱く方も多いでしょう。

結論からいうと、相続する不動産が単独名義か共有名義かを問わず、生活保護受給者が不動産を相続すると、生活保護の停止や廃止につながる可能性があります。特に、相続した不動産の資産価値が高かったり、住宅ローンが残っていたりする場合は、生活保護の継続が難しくなることがあります。

ただし、相続前からその不動産に居住していた場合は、住まいの喪失を避ける必要があることから、生活保護がすぐに打ち切られる可能性は低くなります。

また、共有名義不動産を相続し、それを売却した場合は、得られた売却益の額に応じて生活保護への影響も変わります。

  • 売却益が生活保護費を下回る場合:保護費の一部返還が求められる可能性あり
  • 売却益が生活保護費を上回る場合:生活保護が一時的に停止される可能性あり
  • 売却益で一定期間の生活が可能な場合:生活保護が廃止される可能性あり

仮に生活保護が廃止されたとしても、売却益を使い切った後に再申請・再審査を受ければ、再び受給できるケースがあります。不動産相続による影響はケースバイケースのため、正しい知識を持ち、早めに福祉事務所へ相談することが重要です。

本記事では、生活保護受給者が共有名義の不動産を相続することになった場合に、生活保護の受給の継続にどのような影響があるのか解説します。不動産の相続で生活保護が継続できなくなるケースや、生活保護受給中に相続した不動産の売却方法、注意点にも触れていきます。

目次

共有名義不動産の相続で生活保護受給に影響が出る可能性はある

生活保護受給者が不動産を相続することになった場合、生活保護の受給の可否や金額に影響を及ぼす可能性があります。場合によっては、受給の打ち切りに至るケースも考えられます。

そもそも生活保護とは、日本国憲法第25条に規定された「生存権」およびそれを保障するための国の責務に基づいた制度です。経済的に困窮している国民に対し、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立を助けるための社会保障として位置づけられています。


「生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務」
1 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
引用元 衆議院 国会関係法規 日本国憲法第25条

生活保護制度は、厚生労働省のガイドラインや各自治体の福祉事務所が定める基準に基づいて運用されています。

生活保護の受給に必要な条件は、厚生労働省の「生活保護を受けるための要件及び生活保護の内容」を参考に以下のようにまとめられます。

要件 詳細
資産を保有していない ・資産を保有している場合は売却・解約して生活費に充てる必要がある
・資産とは、預貯金・不動産・自動車・貴金属類・生命保険などを指す
働ける能力がない ・働ける能力がある人は、自分で働いて収入を得る必要がある
他に利用できる制度がない ・年金や保険、その他の手当てが利用できる場合は、先に利用する必要がある
扶養義務者からの支援がない ・扶養義務者からの支援が受けられる場合は、先に支援を受ける必要がある
・扶養義務者とは、妻/夫・親・子ども・兄弟姉妹・三親等内の親族を指す

生活保護受給者は、原則として資産を所有することができません。そのため、資産に該当する不動産を相続した場合、保有しているだけで生活保護費の減額や受給停止となる可能性があります。

共有名義不動産であっても、「持分」という形で本人に所有権が認められている以上、資産として扱われます。不動産全体を自由に使用・売却できない状況であっても、共有持分を通じて不動産を使用する権利があるため、「経済的価値を持つ財産」と判断されるのです。

そのため、生活保護制度上の「資産保有」に該当する可能性があり、受給に影響を及ぼすおそれがあります。

共有名義の不動産を相続して生活保護の受給が終了する可能性があるケース

共有名義の不動産を相続することで生活保護の需給が打ち切られる可能性があるのは、主に以下の2つのケースです。

  • 相続した共有不動産の価値が高い場合
  • 相続した共有不動産の住宅ローンが残っている場合

どのような理由から生活保護が終了されるのか、詳しく確認してみましょう。

相続した共有名義不動産の価値が高い場合

相続した共有不動産の価値が高いと判断された場合、生活保護の受給が打ち切られる可能性があります。

生活保護制度では、資産を保有している場合は原則として受給の対象外となり、不動産については「売却して生活費に充てることができる」と判断されやすいためです。共有名義不動産であっても、自身の持分が資産とみなされることに変わりはありません。

厚生労働省の「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」によると、不動産保有に関する判断は画一的なものではなく、以下のような複数の観点から各自治体で総合的に判断されます。


【保有の要否を検討する場合の判断】
・処分価値、処分の可能性、地域の低所得者の持ち家状況などのほか、住民意識や世帯の事情等を勘案し、各実施機関における処遇検討会等において総合的に判断。
・処遇検討会等での検討に付する目安額としては、当該実施機関における最上位級地の標準3人世帯の生活扶助基準額に同住宅扶助特別基準額を加えた額の概ね10年分(約2千万円程度)を目処。
引用元 厚生労働省|生活保護制度の在り方に関する専門委員会「不動産の保有の考え方」

つまり、生活保護受給中における不動産保有の可否は、不動産の価値や地域の住宅事情、住み続ける必要性などを踏まえて、総合的に判断されます。

不動産を相続したことで必ずしも生活保護が打ち切られるわけではありませんが、「処分可能な高額資産」とみなされれば、売却などの対応が必要になる可能性があります。

相続した共有名義不動産の住宅ローンが残っている場合

相続した共有名義不動産に住宅ローンが残っている場合も、原則として生活保護は打ち切りになります。

住宅ローンの返済中に生活保護費を支給すれば、受給者がそのお金を生活費ではなくローン返済に充ててしまうおそれがあるため、生活保護の趣旨と矛盾してしまいます。住宅ローンは「資産を増やすための支出」とみなされることから、残債がある不動産を所有していると生活保護の対象外と判断されやすくなります。

一例として、東京国分寺市では、住宅ローンの残る不動産を所有している場合の生活保護の受給について以下のように示しています。


質問:住宅ローンがあっても生活保護を利用(受給)できますか。

回答:原則できません。
保護費で住宅ローンを返済することは生活保護の趣旨に反するので、原則として利用(受給)することができませんが、ローン支払いの繰り延べが行われている場合、または、ローン返済期間も短期間であり、かつ、ローン支払額も少額である場合、利用(受給)できることもあります。また、住宅ローンが支払えず、家を手放さざるを得なくなった場合でも生活保護を利用(受給)することができますので、福祉事務所に相談してください。
引用元 東京都国分寺市|生活保護について よくある質問

なお、住宅ローンの残債があるかどうかを確認するには、金融機関との契約書やローン返済明細書、残高証明書などを確認しましょう。不動産を相続する前に、これらの資料を通じて現状を正確に把握しておくことが重要です。

すでに共有名義の不動産に住んでいるなら原則生活保護は打ち切られない

相続前からその家に住んでいて、他に住む場所がない場合は、生活保護の支給が原則継続されます。これは、その家を手放して住む場所を失うと、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」が脅かされると判断される可能性があるためです。

生活の基盤である住まいを失えば、衛生的な環境、安全な寝食、地域とのつながりなど、基本的な生活環境が損なわれるおそれがあります。

生活保護制度は「資産や収入がなく、働くことも難しい人が最低限の生活を送れるよう支援する」ことを目的としています。そのため、すでに住んでいる家を売却すると生活が成り立たなくなる場合には、生活保護が継続される可能性が高いといえます。

ただし、その不動産の資産価値が高すぎる場合は、「売却して生活費に充てるべき」と判断される可能性もあります。この場合、売却して得た資金で低コストの住宅に転居することが現実的とされるためです。

一方で、売却してもさほど資金が得られない、あるいは転居が生活基盤の喪失につながるような場合には、不動産を所有したまま生活保護の継続が認められることもあります。

いずれにしても、生活保護の可否は一律ではなく、個別の事情を考慮して総合的に判断されます。相続予定の共有名義不動産にすでに居住している場合は、生活保護の支給が続く可能性があるため、相続前に福祉事務所へ相談しましょう。

生活保護受給中に共有名義不動産は売却できる?

生活保護を受給している場合でも、自身が所有する不動産や相続した不動産を売却することは可能です。

ただし、売却によって得た利益の額によっては、生活保護費の返還や支給の見直し(減額・停止・打ち切り)につながる可能性があります。不動産売却ではまとまった資金が手に入ることが多いため、生活に必要な資力を得たと判断されれば、保護の要件を満たさなくなる場合があるためです。

生活保護法第63条では、生活保護費の返還について以下のように定められています。


「費用返還義務」
保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。
引用元 e-Gov法令検索 生活保護法第63条

つまり、「生活保護を受けていると不動産を売れない」のではなく、「売却はできるが、その結果として生活保護費の返還や支給停止のリスクがある」ということです。売却を検討している場合は、事前に福祉事務所に相談し、今後の生活への影響を十分に確認することが大切です。

共有名義の不動産売却で利益が出た場合の生活保護の考え方

共有名義不動産を売却した際の「売却益(利益)」の有無や金額によって、生活保護に与える影響が異なります。売却益とは、売却価格から売却にかかった諸費用(仲介手数料や登記費用、必要な修繕費など)や、住宅ローンの残債があればその返済額を差し引いた後に手元に残る金額を指します。

例えば、以下のようなケースでは「利益が出た」と判断され、生活保護の受給に影響する可能性があります。

  • 売却後、一定額以上の現金が手元に残る
  • 売却益を使えば、当面の生活費を自力で賄えると判断される
  • 売却益によって、住宅扶助などの一部を不要とするだけの資力が確認される

生活保護制度では、収入や資産状況によって支給内容が見直されるため、売却益の金額に応じて、以下のような対応が取られることがあります。

  • 生活保護費よりも不動産の売却益が少ない場合は保護費の返還が必要な場合がある
  • 生活保護費よりも不動産の売却益が多い場合は生活保護が一時的に停止される
  • 継続的に生活ができるほどの売却益が出た場合は生活保護が廃止される

売却による利益が生活保護に大きく影響する可能性があるため、共有名義の不動産の売却を検討する場合は、事前に福祉事務所へ相談し、適切な判断を仰ぎましょう。

生活保護費よりも不動産の売却益が少ない場合は保護費の返還が必要な場合がある

不動産を売却して得た利益が生活保護費よりも少なかった場合でも、生活保護法第63条に基づき、資力があるにもかかわらず保護を受けたと判断された場合には、受けた保護費の一部または全額を自治体に返還しなければならないことがあります。

生活保護は、月々の収入が国が定める「最低生活費」よりも少ない場合に不足分を補う制度です。不動産売却益のような収入が発生した場合、その月の生活保護費は減額または支給停止となり、資力の有無や時期によっては返還義務が発生することがあります。

 
【生活保護費よりも売却益が少ない場合】
生活保護費を月13万円受給している世帯が、不動産を相続し、3ヶ月後に売却して20万円の利益を得たケースでは、次のような扱いになる可能性があります。

3ヶ月間に受給した生活保護費:13万円 × 3ヶ月 = 39万円
不動産売却による利益:20万円

最低生活費に対して20万円余剰があると判断され、当月分の生活保護費が減額される可能性があります。また、相続や売却時点で資力があったと判断されれば、過去に受給した保護費の返還を求められるおそれもあります。

なお、不動産売却による利益が一時的なものであり、その後に最低生活費を超える収入がなければ、資力を活用した後に生活保護を再度受給することは可能です。

生活保護の受給と資力の取り扱いについては複雑なため、不動産売却や収入発生時には必ず福祉事務所へ相談し、適切な手続きと申告を行うことが重要です。

生活保護費よりも売却益が多い場合は生活保護が一時的に停止される

生活保護費よりも売却益が若干でも多い場合は、受け取った生活保護費を返済したうえで、生活保護が一時的に停止されることになります。生活保護費の考え方は、売却益が最低生活費を上回るかがポイントです。

 
【生活保護費よりも売却益が多い場合】
生活保護費を月13万円受給している世帯が、不動産を相続し、3ヶ月後に50万円の利益を得た場合、以下のような扱いになる可能性があります。

3ヶ月間に受給した生活保護費:13万円 × 3ヶ月 = 39万円
不動産売却による利益:50万円
返還すべき生活保護費:39万円
手元に残る金額:50万円 − 39万円 = 11万円

翌月は最低生活費13万円を満たすため、残額11万円との差額2万円のみ生活保護が支給されます。

その後、収入がなければ、通常どおり生活保護の受給が再開されます。

継続的に生活ができるほどの売却益が出た場合は生活保護が廃止される

生活保護費よりも売却益が大幅に多い場合は、受け取った生活保護費を返済したうえで、生活保護が打ち切りになるため要注意です。おおよそ、最低生活費6ヶ月以上に相当する金額の売却益が出た場合に生活保護が終了と判断されます。

 
【継続的に生活ができるほどの売却益が出た場合】
生活保護費を月13万円受給している世帯が、不動産を相続し、3ヶ月後に300万円の利益を得た場合、以下のような扱いになる可能性があります。

3ヶ月間に受給した生活保護費:13万円 × 3ヶ月 = 39万円
不動産売却による利益:300万円
返還すべき生活保護費:39万円
手元に残る金額:300万円 − 39万円 = 261万円

261万円があれば、13万円 × 約20ヶ月分の生活費に相当するため、生活保護がなくても一定期間は生活可能と判断され、生活保護は打ち切りになります。

もう一度生活保護を受けたいという場合は、売却益をすべて使い切った後に、再度生活保護の再申請・再審査が必要です。

生活保護受給中に共有名義不動産の売却を検討するべきケース

共有名義の不動産を売却すると、その売却益によって生活保護が一時的に減額・停止・廃止される可能性があります。これは売却によって「資力がある」と判断されるためです。

しかし、以下のようなケースに該当するのなら、売却も視野に入れると良いでしょう。

  • 共有名義不動産に住んでいないため、売却しても居住環境に支障がない場合
  • 固定資産税や管理費などの維持コストを負担できず、逆に経済的負担となっている場合
  • 資産価値が低く、売却益が少額で生活保護廃止にまでは至らないと見込まれる場合

共有名義不動産を住居として使用していないのであれば、売却しても住まいを失う心配はありません。

また、共有名義不動産の場合、すべての共有者は持分割合に応じて固定資産税や管理費を負担しなければなりません。生活保護を受給している方にとって、これらの支払いは負担になってしまうことでしょう。売却によって共有持分を手放した方が、家計への負担を軽減できるケースもあります。

さらに、仮に売却したとしても売却益が少額であれば、生活保護の一時的な減額・停止で済む可能性があります。完全な廃止に至らなければ、生活保護を再申請する必要はありません。そのため、状況によっては売却を選択する方が良い場合もあります。

相続した共有名義不動産や共有持分の価値を把握しておくことは、いざ売却に踏み切った際に生活保護の受給が継続できるかどうかを判断するうえでも、重要な材料となります。売却を検討している方は、まずは一度、無料査定で現状の価値を確認しておくことをおすすめします。

「株式会社クランピーリアルエステート」では、共有名義不動産全体の査定はもちろん、ご自身が所有する共有持分のみの査定にも対応しています。お問い合わせ・ご依頼から最短12時間で金額査定が可能であるため、ぜひ無料査定をご利用ください。

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相続した共有名義不動産を売却する方法

共有名義不動産を所有していても、生活費の足しにはなりません。むしろ、維持管理にかかる費用の支払いが負担となります。生活保護を受給したい人にとって住んでもいない不動産という資産は、生活をより苦しくするだけでなく、生活保護受給の障害となりかねません。

生活保護の受給を目指し、共有不動産を売却するには、下記の2つの選択肢があります。

  • 共有者全員の合意のもと不動産全体を売却する
  • 自分の共有持分を売却する

原則としては資産を処分しないと生活保護は受けられないため、自分が居住していない共有名義の不動産は売却を検討しましょう。

共有者全員の合意のもと不動産全体を売却する

民法第251条にも定められている通り、共有不動産の全体を売却するためには、共有者全員の合意が必要です。


(共有物の変更)
第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
引用元 e-Gov法令検索 民法第251条

不動産全体を売却した後は、それぞれの共有者が自身の持つ共有持分の割合に応じて、売却益の一部を受け取ります。例えば、売却益が500万円あり、自分の持つ共有持分が4分の1だった場合は、500万円×1/4で、受け取れるのは125万円です。

ただし、共有者のうち1人でも売却に反対した場合、不動産全体を売ることはできません。不動産の売却に反対した共有者がいた場合は、次項の「自分の共有持分を売却する」を選ぶことになります。

また、生活保護を受給している場合は、売却益によって「資力あり」と判断され、保護費の返還を求められることがあります。売却益がそのまま手元に残るとは限らず、実際には保護費の減額や返還で消える可能性があります。

共有持分のみを売却する

民法第206条・249条では以下のように定められており、自分の持つ「共有持分」であれば、他の共有者の同意なく単独で売却できます


(所有権の内容)
第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
(共有物の使用)
第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
引用元 e-Gov法令検索 民法第206条・249条

共有者である以上、自分の権利部分を自由に処分することが法律上認められており、売却する際に他の共有者に許可を得たり、事前に伝えたりする義務もありません。

共有持分の売却先は、主に「他の共有者」と「第三者(買取業者など)」の2つがあります。

自分の共有持分を他共有者に売却する

自分の持つ共有持分を、他の共有者に売却する方法です。他の共有者に手放したい旨を相談し、金額交渉の末、お互いに合意できれば売却できます。

他の共有者にとっては、不動産の持分を集約するメリットがある一方で、自分自身は不動産を手放すことで固定資産税などの維持費負担から解放されます。売却額が一定額を超える場合には生活保護の減額や停止、廃止があり得ますが、資力が尽きれば受給再開、もしくは生活保護受給要件を満たしていれば、再申請により再度の受給も見込めます。

なお、共有持分を第三者に売却すると、他の共有者が見ず知らずの人と共有関係を続けることになるため、関係悪化やトラブルを避ける意味でも、まずは他の共有者への売却を検討するのが無難といえます。

自分の共有持分を第三者に売却する

自分の持つ共有持分を専門の買取業者に売却する方法です。他の共有者に購入の意思がない場合や、購入の意思はあるが売却額で合意に至らなかった・購入する資金が足りない場合に活用できます。

一般市場で買い手のつかない共有持分であっても、買取業者であれば、スムーズに売却できる可能性があります。また、現金化が早いため、一刻も早く共有持分を手放したい場合に向いています。買取業者を利用するメリットについては、次項で詳しく解説します。

共有持分のみを売却するなら専門の買取業者に依頼するのがおすすめ

共有者間で共有持分を売買するには、良好な関係性や、相手の資金力などが求められます。実際、共有者に購入の意思があっても、資金面で折り合いがつかないこともあり、共有者が買い取ってくれるケースはそう多くありません。

また、共有持分は利用や転売が難しいことから、一般の人が買主になることはほぼありません。こうした事情を踏まえると、共有持分の売却は専門の買取業者に依頼するのが現実的な選択肢といえます。

買取業者への売却は、以下のようなメリットも得られます。

  • 共有者と関わることなく共有持分を現金化できる
  • 仲介では買い手がつきづらい共有持分でも売却に期待できる
  • 数日〜1週間程度で現金化が可能

共有持分の売却をお考えの方は、ぜひ「株式会社クランピーリアルエステート」にご相談ください。弊社は、共有持分や訳あり不動産の買取を専門に扱っており、年間3,000件以上のご相談をいただいています。また、全国の弁護士や税理士と連携しているため、共有不動産にありがちな法律や税務の問題にも柔軟に対応可能です。お問い合わせ・ご依頼から最短12時間で金額査定、最短48時間で現金化ができるため、ぜひ無料相談をご活用ください。

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共有者と関わることなく共有持分を現金化できる

買取業者に限らないことですが、共有持分の売却は他の共有者の同意を必要としないため、共有者に報告せずに売却が可能です。「共有者と関わりたくない」といった場合でも、共有持分をスムーズに売却できます。

また、買取業者への売却であれば、売却後に共有持分の所有権が業者に移るため、その後に共有者との間で何らかのトラブルが発生したとしても、対応は業者が行います。自分が関与する必要はなく、精神的な負担を軽減できるのも大きなメリットです。

弊社では、不動産の買取だけでなく、共有者への対応もサポートしています。すでに共有者との間でトラブルが発生している不動産についても、買取実績が多数あります。なお、売却後の共有者とのやりとりや対応はすべて弊社が引き継ぐため、安心して不動産を手放すことができます。

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仲介では買い手がつきづらい共有持分でも売却に期待できる

仲介業者では買い手がつきづらい共有持分も、買取業者であれば売却できる可能性が高いといえます。

共有持分は、他の共有者との調整やトラブルのリスクがあるため、一般の仲介業者では売買を断られる傾向にあります。

一方、共有持分の扱いに特化した買取業者であれば、共有持分の複雑な事情にも精通しており、収益性や法的リスクなどを踏まえたうえで、適正な価格で買い取ってくれる可能性が高くなります。

弊社では、仲介や他社では対応が難しい物件でも、買取対応が可能です。以下のような、相続が絡んでいたり、共有者の所在が不明だったりといった、複雑な事情を抱える不動産も買い取り実績があります。

 
【買取事例1.広島市安佐南区|共有持分2分の1を200万円で買取】

■お取引の概要
・両親の離婚により長年疎遠だった父の相続で不動産を取得
・共有者は父の内縁の妻の親族
・共有者側の相続状況や意思確認が一切できない
・空き家と思われていたが、調査の結果、第三者の居住を確認

売主様は、長らく連絡を取っていなかったお父様の相続により、共有持分を取得されました。共有者は、父の内縁の妻の親族で、相続関係も不明、連絡もつかないという非常に不透明な状況でした。さらに、物件は空き家と認識されていましたが、弊社による現地調査で第三者の居住が判明。こうした複雑な事情のもと、弊社が現地確認と共有関係の調査を行い、売主様の持分を無事に買取いたしました。
 
【買取事例2.東京都豊島区長崎二丁目|共有持分2分の1をを2,700万円で買取】

■お取引の概要
・母親の逝去により、不動産を弟と共有相続
・相続税の支払いが迫っているが、弟が売却に応じない
・話し合いが困難で、納税期限が間近に
・不動産を現金化し、弟との関係も整理したいというご希望

売主様は、お母様の相続により弟と不動産を共有することになりました。しかし、相続税の納付期限が迫るなか、弟との関係が悪く、売却の話し合いが一切進まない状況に。納税資金の確保と共有状態の解消を同時に実現するため、弊社にて共有持分のみを買取いたしました。これにより、資金面の不安が解消され、精神的な負担も軽減されました。

「共有関係が複雑すぎて相談しづらい」「他社で断られた」といった場合も、どうぞ安心してご相談ください。状況に応じた最適な対応をご提案いたします。

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数日〜1週間程度で現金化が可能

共有持分を買取業者に売却する場合、不動産を直接買い取ってもらえるため、手続きがスピーディーです。早ければ数日〜1週間程度で、共有持分を現金化できます。

仲介での売却は、買主探しや価格交渉、契約手続きに時間がかかり、売却完了まで数ヵ月を要することもありますが、買取業者であればこうした工程を省略でき、スムーズに手続きが進みます。

「すぐに現金が必要」「早く共有状態を解消したい」といった場合には、買取業者への売却が有効な選択肢となるでしょう。

弊社では、お問い合わせ・ご依頼から最短12時間で金額査定、最短48時間で現金化が可能です。共有持分の売却を急いでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
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生活保護受給中に共有名義不動産の自己持分を業者に売却する流れ

相続によって保有することになった共有名義不動産や、保有を認められた共有名義不動産を生活保護受給中に売却したいという場合は、適切な手続きを踏む必要があります。

生活保護受給中に、共有名義不動産の自己持分を不動産買取業者に売却する流れは以下のとおりです。

  1. 事前に売却活動を行うことを福祉事務所に伝える
  2. 他共有者に自分の持分を売却することを伝える
  3. 買取専門業者に査定を依頼する
  4. 売却先の業者と売買契約を結ぶ
  5. 決済後に所有権移転登記を行う
  6. 利益が出た場合は生活保護費を返還する

なお、福祉事務所での手続きや所有権移転登記といった公的な手続きは、他の共有者への売却でも買取業者への売却でも変わりません。

事前に売却活動を行うことを福祉事務所に伝える

生活保護を受給している場合、相続した不動産・所有している不動産を売却する際には売却する旨を福祉事務所に報告しましょう。

そもそも生活保護受給者の資産保有は認められていないため、対象の不動産に居住していない場合や不動産の資産価値が高い場合は、基本的には売却を求められます。

福祉事務所が保有が必要だと判断した以外の不動産を保有している場合、生活保護費の返却・一時停止・打ち切りとなる可能性があります。不動産を売却する意思を正式に福祉事務所へ伝え、売却活動の証明を提示しないと、売却の意思がないとみなされかねません。

虚偽の報告をしたり意図的に資産を隠したりすると、生活保護費の不正受給と判断されます。不正受給がバレると生活保護費の返還はもちろん、追加で費用を徴収されたり刑事罰を受けたりするリスクもあるため、福祉事務所には不動産の保有や売却の意思を漏れなく報告するようにしましょう。

他共有者に自分の持分を売却することを伝える

続いて、共有持分を売却する旨を他の共有者へ通知をします。共有持分のみの売却であれば他の共有者に知らせる義務はありませんが、勝手に売却すると後々トラブルになりかねません。他の共有者との関係を悪化させないためには、事前に通知しておくことが大切です。

共有者によっては、共有持分の購入を希望している場合もあります。金額交渉をして合意に至れば、他の共有者に売却するのが無難でしょう。

ただし、身内だからといって極端に安い金額で売却するのはNGです。親族であれば、市場価格よりも安く取引したくなりますが、あまりに低い金額で売買すると「みなし贈与」とみなされ、不動産を受け取った側(贈与された側)に贈与税が課せられることになります。他の共有者に売却する場合は、みなし贈与とみなされないよう、市場価格に近い適正な金額で取引しましょう。

買取専門業者に査定を依頼する

他の共有者が購入しない場合は、共有不動産専門の不動産買取業者に査定を依頼しましょう。

査定を依頼する際には、どの程度の金額で売却できるのか相場を確認することが大切です。共有持分のみを売却する場合の共有持分の価格は、不動産全体を売却して売却益を持分割合に応じて分配した場合に受け取れる金額よりも下がります。これは、共有持分のみを所有していても、そのままでは活用が難しいため、資産としての価値が落ちるためです。よって、自身が持つ共有持分のおおよその価格を調べる際は、共有不動産全体の価格に自分が持つ共有持分の割合をかけた値の半分程度を目安としましょう。

また、複数の不動産買取業者に査定を依頼して、自身が所有する共有持分の相場を確認する方法もあります。不動産買取業者は査定のみでも依頼できます。相見積もりを取ることで、相場を把握できるだけでなく、最も高く買い取ってくれる業者もわかるので、少なくとも3社に査定を依頼するのがおすすめです。

査定にかかる期間は業者や依頼のタイミングによって異なりますが、最短で依頼当日、一般的には1週間程度で査定額を出してもらえます。

売却先の業者と売買契約を結ぶ

売却先を決めたら、売買契約を結びます。不動産業者(法律的には宅地建物取引業者)が不動産の売買を行う際には、宅地建物取引業法第37条によって宅地建物取引士の記名と押印がある「不動産売買契約書」の作成が義務付けられています。なお、同法では契約書に記載する事項についても定めがあります。


「書面の交付」
宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、(中略)書面を交付しなければならない。
引用元 宅地建物取引業法第37条

今後のトラブル防止のため、契約内容を十分に把握し、不当に売主に不利益がないか確認したうえで契約を結びましょう。具体的には売買金額や支払日、登記手続きにかかる費用の負担者、契約解除の条件、売主の契約不適合責任を負わない旨の記載などを確認します。取引額が高額な場合は、宅建士や行政書士、不動産売買に強い弁護士に別途依頼をして契約書のリーガルチェックを受けるのもおすすめです。

なお、他の共有者に売却する場合、個人間取引となりますが、個人間取引では売買契約書を作成する義務はありません。しかし、契約書がないと言った・言わないのトラブルになりかねないため、個人間取引でも業者に売却する際と同様に契約書を作成して売買契約を結ぶのが一般的です。

決済後に所有権移転登記を行う

共有持分の売買契約が成立した後は、契約で定めた支払日までに決済が行われます。売却先からの入金を確認できたら、不動産の所在地を管轄する法務局で「所有権移転登記」を行います。

所有権移転登記とは、不動産の所有権が移転したことを登記簿に記録する手続きです。この所有権移転登記を行わなければ、売却した共有持分の所有者が売主から買主に変更された記録が残らないことになるため、不動産売買後には必須の手続きといえます。所有権移転登記の手続きは売主と買主が協力して行う必要がありますが、業者への売却では業者が主体となって手続きを行ってくれます。

他の共有者に売却する場合には、売主が主体となって所有権移転登記を行う必要があります。特別な資格や知識がなくても所有権移転登記の手続きは行えますが、必要書類の収集・作成に手間と時間がかかります。自分で手続きする時間がない・手続きを不備なくできるか不安があるという場合は、司法書士や弁護士に依頼して手続きしてもらいましょう。

利益が出た場合は生活保護費を返還する

共有持分を売却して利益を得たら、売却益に応じて今まで受給したお金を返還する必要があります。

売却益とは、不動産の売却価格(取引価格)から、売却した不動産の取得にかかった費用と売却にかかった費用を差し引いた金額です。

売却益=不動産の売却価格-(売却した不動産の取得にかかった費用+売却にかかった費用)

売却した不動産の取得にかかった費用には、不動産の購入費や建築代金、住宅ローンの利息などが含まれますが、相続によって取得した不動産の場合は、相続時の不動産登記にかかった費用や税金、相続税の一部が含まれます。また、自分の住んでいる住宅を売却した場合は特別控除として、最高3,000万円まで控除を受けられます。

返還の時効は返還義務が発生した翌日から5年間です。返還方法や返還時期については、福祉事務所に相談しましょう。

なお、生活保護受給中であっても、不動産の売却で利益が出た場合は、売却益(譲渡所得)にかかる所得税と住民税の納税が必要です。共有持分の売却で利益が出た場合は、確定申告を行い、納税の手続きをしましょう。

生活保護の受給中に共有名義不動産の売却を行う際の2つの注意点

最後は、生活保護の受給中に共有名義の不動産を売却した際に注意したいポイントを2点お伝えします。

  • 共有名義の不動産の相続や売却を福祉事務所に隠さない
  • 生活保護受給継続のために相続放棄はできない

「知らなかった」では済まない場合もあるため、必ずチェックしておきましょう。

共有名義の不動産の相続や売却を福祉事務所に隠さない

生活保護法大63条では以下のように定められており、生活保護受給者は、収入や資産に変動がある際にはその都度、福祉事務所に報告しなければなりません。不動産の相続が発生した場合も、必ず福祉事務所に報告が必要です。報告をしなかったり虚偽の報告をしたりすると、生活保護の不正受給に該当します。


(届出の義務)
第六十一条 被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があつたとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動があつたときは、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。
引用元 e-Gov法令検索 生活保護法第63条

不正受給だとみなされる可能性がある行為は以下の通りです。

  • 収入や遺産相続の事実を故意に隠す
  • 収入や相続する遺産(金額)を少なく報告する
  • 生活保護の受給を継続するために、受け取れる遺産を受け取らない
  • 相続で遺産を得る予定があるにもかかわらず、その事実を隠して生活保護を申請・受給する

なお、不正受給については、生活保護法大78条・85条で以下のように定められています。


(費用等の徴収)
第七十八条 不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者があるときは、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の額の全部又は一部を、その者から徴収するほか、その徴収する額に百分の四十を乗じて得た額以下の金額を徴収することができる。
(罰則)
第八十五条 不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者は、三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条があるときは、刑法による。
引用元 e-Gov法令検索 生活保護法第78条・85条

不正受給が発覚すると、下記のような罰則が科せられる可能性があります。悪質性が高いほど、より重い罰則が科せられます

  • 不正に受給した生活保護費の全額返還請求
  • 不正受給した生活保護費の最大40%増で返還請求
  • 生活保護の一時停止・打ち切り
  • 生活保護法違反で3年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • 詐欺罪として10年以下の懲役(罰金刑なし)

自分が生活保護受給の要件を満たしているように見せかけたり、虚偽の内容を記載した申請書を提出したりすると詐欺罪が成立する可能性があります。詐欺罪は罰金刑がない重罪なので注意してください。

少しでも遺産を相続した場合や労働・仕送り・宝くじの当選などで収入を得た場合は、漏れなく福祉事務所に報告しましょう。

生活保護受給継続のために相続放棄はできない

生活保護を受給するため・受給を継続するために、本来受けられる遺産を相続放棄することは原則認められていません。

相続放棄とは、亡くなった人の全ての財産を受け継ぐ権利を放棄することを指します。生活保護受給者であっても相続人の権利として相続放棄することは可能です。しかし、生活費として活用できる資産を活用しないことは、生活保護を受給するための要件を満たさないことになります。そのため、生活保護を受給し続けるために、自身が相続する遺産を少なくしたり、遺産を受け取らなかったりしたら、不正受給とみなされる可能性もあります。

よって、生活保護を受けている場合、相続できる財産はすべて相続するのが原則です。

ただし、遺産に借金など負債があり、マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合もあります。また、処分が難しい山林や農地を相続しても、すぐには現金化できず、生活できません。よって、マイナス財産がプラスの財産を上回る場合や、処分が困難な財産が相続される場合には、相続後の生活が困窮することが予想されるため、生活保護の受給が継続できる可能性があります。

相続放棄ができるのかは自分で判断せず、福祉事務所に状況を相談してください。

まとめ

生活保護制度では、原則として受給者の資産保有が認められていません。そのため、共有持分であっても相続すると生活保護費の返還や一時停止、場合によっては廃止となる可能性があります。

特に、相続した共有名義不動産の資産価値が高い場合や、住宅ローンが残っているケースでは、生活保護の受給が廃止される可能性が高まります。一方で、相続前からその共有名義不動産に居住している場合は、その不動産を売却すると住まいを失うことになるため、生活保護が打ち切られる可能性は低いと考えられます。

なお、生活保護の受給を続けたいからといって、遺産を受け取らなかったり、相続したことを隠したりすれば不正受給とみなされ、こちらも生活保護費の返還・停止・打ち切りになります。故意に不正を働けば、刑事罰を受けるリスクもあります。

生活保護の受給中に相続が発生した場合は、まずは福祉事務所に相談しましょう。相続した共有持分を売却した場合、売却益により一時的に生活保護費の返還や停止があっても、生活保護自体は継続できる可能性があります。生活保護の継続や不動産売却の要否、遺産の相続の要否はすべて福祉事務所が判断することになるため、自分で判断したり放置したりせず、しっかり福祉事務所に報告・相談してください。

よくある質問

他の共有者に、共有持分を安く売却しても問題ありませんか?

共有者同士で金額に合意すれば、共有持分を相場より安く売却することも可能です。実際、「とにかく早く手放したい」という事情から、安価で売却したいと考える方もいるでしょう。

しかし、相場より著しく低い価格で売却した場合、「適正な対価を得ていない」と判断され、税務署から贈与とみなされる可能性があります。その場合、共有持分を取得した側に対して、贈与税が課されるおそれがあります。

トラブルや余計な税負担を避けるためにも、売却価格は相場とかけ離れないよう慎重に設定し、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

生活保護を再申請する際に、不動産の売却履歴や相続内容は調べられますか?

生活保護の再申請時には、保有している資産の状況や過去の資産変動について、福祉事務所によって詳細に確認されます。不動産の相続や売却についても、その経緯や利益の有無、資産の使途まで問われる可能性があります。

意図的に保有資産を隠して生活保護を受給した場合は、不正受給と判断され、それまでに受け取った生活保護費の返還を求められるだけでなく、最悪の場合は支給の停止や打ち切り、さらには刑事罰の対象になる可能性もあります。

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